JP6975107B2 - 4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法、および、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法 - Google Patents

4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法、および、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法、および、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法に関する。
4位にハロゲン原子を有する(以下、「4−ハロ」とも略す。)シクロヘキサン−1−カルボン酸およびその誘導体は、機能性材料のビルディングブロックとして有用であることが知られている。
本発明者らは、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の合成方法として、米国特許第6143774号明細書の第29欄に記載された「1)例13の出発時に使用した4−ブロムシクロヘキシルカルボン酸エチルの製造」を利用した合成方法を検討したところ、以下のスキームに示すように、目的物質である下記式(3a)で表される4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸エチル以外に、下記式(3b)で表される3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸エチルおよび下記式(6)で表される副生成物が得られ、また、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸エチルおよび3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸エチルがいずれも油状物であるため、高純度化するためにはカラム精製が必要となることが分かった。
Figure 0006975107
そこで、本発明は、カラム精製を行わなくても高純度化することができる、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法、および、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定の溶媒中で、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3位にハロゲン原子を有する(以下、「3−ハロ」とも略す。)シクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物に晶析操作を施すことにより、カラム精製を行わなくても4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を高純度化することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物に対して、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める晶析工程を有する、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
[2] 晶析操作を炭化水素系溶媒中で施し、
炭化水素系溶媒が、ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒である、[1]に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
[3] 晶析操作を混合溶媒中で施し、
混合溶媒に含まれる水の比率が、50体積%以上である、[1]に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
[4] 晶析工程により生じたろ液を回収し、ろ液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、ろ液を濃縮した後に、混合物とともに晶析工程で再利用する、[1]〜[3]のいずれかに記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
[5] 晶析工程の前に、混合物に含まれる3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を4−ハロ−シクロヘキサン−1−カルボン酸に異性化させ、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める異性化工程を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
[6] 3−シクロヘキセン−1−カルボン酸と、ハロゲン化水素とを反応させ、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物を得る反応工程と、
混合物に対して、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高め、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率において4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を80%以上含有する生成物を得る晶析工程とを有する、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法。
[7] ハロゲン化水素が、臭化水素、および、ヨウ化水素からなる群から選択される少なくとも1種である、[6]に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法。
本発明によれば、カラム精製を行わなくても高純度化することができる、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法、および、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
[4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法]
本発明の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法(以下、「本発明のカルボン酸の精製方法」とも略す。)は、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物に対して、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める晶析工程を有する。
本発明のカルボン酸の精製方法は、上述した通り、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物に晶析操作を施すことにより、カラム精製を行わなくても4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を高純度化することができる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、本発明のカルボン酸の精製方法においては、晶析操作を施す混合物に含まれる化合物が、エステル体ではなく、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸であるため、特定の溶媒中で晶析操作を施すことで、結晶性の高い4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を優先的に固体化することができたためと考えられる。
以下に、本発明のカルボン酸の精製方法が有する晶析工程について、詳述する。
〔晶析工程〕
本発明のカルボン酸の精製方法が有する晶析工程は、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物に対して、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める工程である。
<混合物>
上記混合物は、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物であれば特に限定されないが、後述する本発明の製造方法と同様、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸とハロゲン化水素(例えば、臭化水素など)とを反応させた際に生成する4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とを含む混合物であることが好ましい。
本発明においては、上記混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の質量比(a:b)は特に限定されないが、10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
<晶析操作>
上記晶析操作は、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒を用い、上記混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める操作であれば特に限定されない。
ここで、上記晶析操作によって高まる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率は、晶析操作前の混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率よりも高い率であれば特に限定されない。
上記晶析操作としては、例えば、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒に対して上記混合物を添加して分散させた後、−5〜15℃の範囲で撹拌し、析出した固体を回収する操作が好適に挙げられる。
また、固体の回収方法は特に限定されず、例えば、ろ過などが挙げられる。
また、固体の回収後に、回収した固体を乾燥することが好ましい。
本発明においては、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸をより高純度にできる理由から、上記晶析操作で用いる炭化水素系溶媒が、ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。
これらのうち、ヘキサンを用いることが好ましい。
また、本発明においては、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸をより高純度にできる理由から、上記晶析操作で用いる水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が、混合溶媒に含まれる水の比率が50体積%以上であることが好ましく、50体積%超であることがより好ましく、70〜90体積%であることがより好ましい。
ここで、水溶性有機溶媒としては、例えば、水溶性アルコール、非プロトン性極性溶媒であるエーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、ニトリル系溶媒、有機リン系溶媒などが挙げられ、なかでも、水溶性アルコールが好ましい。
水溶性アルコールとしては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
本発明においては、経済的な観点から、上記晶析工程により生じたろ液を回収し、ろ液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、ろ液を濃縮した後に、混合物とともに晶析工程で再利用することが好ましい。なお、ろ液を濃縮する際に除去した溶媒についても、晶析操作を施す溶媒として再利用することができる。
〔異性化工程〕
本発明のカルボン酸の精製方法は、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸をより高純度にできる理由から、上述した晶析工程の前に、上記混合物に含まれる3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を4−ハロ−シクロヘキサン−1−カルボン酸に異性化させ、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める異性化工程を有することが好ましい。
ここで、上記異性化工程における異性化とは、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とを含む混合物に対し、ルイス酸を作用させることで3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸に変換することをいう。
上記ルイス酸としては、ルイス酸をMLで表した際に、以下に示すMおよびLの組み合わせが挙げられる。
Mとしては、具体的には、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Sc、Y、Ti、V、Nb、Co、B、Al、In、Sn、および、Ceからなる群から選択される少なくとも1種の金属のカチオンが挙げられる。
Lは、Mの対イオンであり、その具体例としては、オキシド、酸性ラジカル、ハロゲン化物アニオン、Br、Cl、F、I、CO 2−、O 、ClO 、(OCH(CH、および、トリフレートからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
[4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法]
本発明の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも略す。)は、
3−シクロヘキセン−1−カルボン酸と、ハロゲン化水素とを反応させ、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物を得る反応工程と、
得られた混合物に対して、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高め、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率において4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を80%以上含有する生成物を得る晶析工程とを有する。
以下に、本発明の製造方法が有する反応工程および晶析工程について、詳述する。
〔反応工程〕
本発明の製造方法が有する反応工程は、以下のスキームに示すように、下記式(1)で表される3−シクロヘキセン−1−カルボン酸と、HXで表されるハロゲン化水素とを反応させ、下記式(2a)で表される4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および下記式(2b)で表される3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物を得る反応工程である。なお、以下のスキーム中、Xは、ハロゲン原子を表す。
Figure 0006975107
<ハロゲン化水素>
上記ハロゲン化水素としては、具体的には、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、臭化水素、および、ヨウ化水素からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
<溶媒>
上記反応工程は、溶媒を用いることが好ましい。
上記溶媒としては、ハロゲン化水素に対して不活性な溶媒が好ましく、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、石油エーテル等の炭化水素類、酢酸、酪酸等のカルボン酸類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<反応条件>
上記反応工程における反応条件は特に限定されないが、例えば、反応温度は、−30〜100℃で行われることが好ましく、−20〜50℃で行われることがより好ましく、−10〜40℃で行われることが更に好ましい。
また、反応時間は、10分〜96時間行われることが好ましく、20分〜48時間行われることがより好ましく、30分〜24時間行われることが更に好ましい。
〔晶析工程〕
本発明の製造方法が有する晶析工程は、上述した反応工程で得られた混合物に対して、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高め、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率において4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を80%以上含有する生成物を得る工程である。
ここで、「4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を80%以上含有する生成物」は、例えば、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率において、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を95%含有し、3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を5%含有する混合物だけでなく、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を100%含有する態様、すなわち、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸のみを含む概念である。
そして、本発明の製造方法が有する晶析工程は、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を80質量%以上含有する生成物を得ることを特定していること以外(例えば、混合溶媒の種類や好適例など)は、上述した本発明のカルボン酸の精製方法において説明した晶析工程と同様である。
また、本発明の製造方法においては、上述した本発明のカルボン酸の精製方法と同様、上記晶析工程により生じたろ液を回収し、ろ液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、ろ液を濃縮した後に、混合物とともに晶析工程で再利用することが好ましい。
〔その他の工程〕
本発明の製造方法は、上述した本発明のカルボン酸の製造方法と同様、上述した晶析工程の前に、上記混合物に含まれる3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を4−ハロ−シクロヘキサン−1−カルボン酸に異性化させ、混合物に含まれる4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める異性化工程を有することが好ましい。
ここで、異性化工程は、上述した本発明のカルボン酸の精製方法において説明した異性化工程と同様である。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
また、H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用い、Bruker AV400N(Bruker社)を用いて測定した。
[参考例1]
<3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸との混合物の合成方法>
臭化水素を30質量%含有する酢酸溶液360mLと、5℃以下に冷却した塩化メチレン380mLとを混合した後、内温を10℃以下に保ちながら、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸191gを塩化メチレン190mLに予め溶解させた溶液を15分かけて滴下した。
滴下終了後、内温を20−30℃に保ちながら、30分撹拌した後に室温(23℃)で14時間静置した。
次いで、反応液を酢酸エチル190mLと水380mLで希釈し、分液した上層(水層)を除去した後、下層(有機層)を水380mLで4回、飽和食塩水380mLで1回洗浄した後、硫酸ナトリウム20gで乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過で除いた後、有機層をエバポレーターによって減圧濃縮(50mmHg、外温35℃)し、3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸との混合物を得た。
H−NMRによる解析の結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は58:42であった。
[実施例1]
参考例1に記載する合成方法によって調製した、3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸との混合物1gを、n−ヘキサンを3mLに分散させた後、0℃で1時間撹拌した。
析出した固体をろ過した後に、n−ヘキサン2mLで3回洗浄した。
その後、重量変化がなくなるまで25℃で風乾し、白色固体0.27g(得率:27%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は95:5であった。
[実施例2]
実施例1において、n−ヘキサンの代わりにn−ヘプタンを使用した。他の原材料は、実施例1と同様のモル比率で使用して、精製操作を実施した。
その結果、白色固体0.26g(得率:26%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は95:5であった。
[実施例3]
実施例1において、n−ヘキサンの代わりにシクロヘキサンを使用した。他の原材料は、実施例1と同様のモル比率で使用して、精製操作を実施した。
その結果、白色固体0.17g(得率:17%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は95:5であった。
[実施例4]
実施例1において、n−ヘキサンの代わりに2−メチルペンタンを使用した。他の原材料は、実施例1と同様のモル比率で使用して、精製操作を実施した。
その結果、白色固体0.27g(得率:27%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は92:8であった。
[実施例5]
実施例1において、n−ヘキサンの代わりに3−メチルペンタンを使用した。他の原材料は、実施例1と同様のモル比率で使用して、精製操作を実施した。
その結果、白色固体0.25g(得率:25%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は94:6であった。
[実施例6]
実施例1において、n−ヘキサンの代わりに石油エーテルを使用した。他の原材料は、実施例1と同様のモル比率で使用して、精製操作を実施した。
その結果、白色固体0.27g(得率:27%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は93:7であった。
[実施例7]
参考例1に記載する合成方法によって調製した、3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸との混合物1gをアセトニトリル1mLに分散させた後、0℃で1時間撹拌した。
その後、水2mLを1分間かけて滴下し、更に0℃で1時間撹拌した。
析出した固体をろ過した後に、水2mLで3回洗浄した。
その後、重量変化がなくなるまで25℃で風乾し、白色固体0.13g(得率:13%)を得た。
得られた白色固体をH−NMRで解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率は90:10であった。
[比較例1]
Figure 0006975107
上記スキームに示すように、エチル4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸15gに、三臭化リン8.3gを窒素雰囲気化で10分かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を加熱し、内温を75〜85℃に保ちながら、5.5時間撹拌した。
次いで、反応液を酢酸エチル50mLと水50mLで希釈し、分液した下層(水層)を除去した後、上層(有機層)を飽和重曹水50mLで1回、飽和食塩水50mLで1回洗浄した後、硫酸ナトリウム5gで乾燥させた。硫酸ナトリウムをろ過で除いた後、有機層をエバポレーターによって減圧濃縮(50mmHg、外温35℃)し、3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−シクロヘキセン−1−カルボン酸との混合物16gを得た。
H−NMRによる解析の結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−シクロヘキセン−1−カルボン酸とのモル比率は60:34:6であった。
得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、得られた液体7.6gを1H−NMRによって解析した結果、4−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−ブロモシクロヘキサン−1−カルボン酸と3−シクロヘキセン−1−カルボン酸とのモル比率は62:32:7であった。

Claims (7)

  1. 4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物に対して、水とニトリル系溶媒を含み、前記水の比率が50体積%以上である混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、前記混合物に含まれる前記4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める晶析工程を有し、
    前記混合物に含まれる前記4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および前記3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の質量比が10:90〜90:10である、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
  2. 前記晶析操作を前記炭化水素系溶媒中で施し、
    前記炭化水素系溶媒が、ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒である、請求項1に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
  3. 前記晶析操作を前記混合溶媒中で施し、
    前記混合溶媒に含まれる前記水の比率が、50体積%である、請求項1に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
  4. 前記晶析工程により生じたろ液を回収し、前記ろ液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、前記ろ液を濃縮した後に、前記混合物とともに前記晶析工程で再利用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
  5. 前記晶析工程の前に、前記混合物に含まれる前記3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を4−ハロ−シクロヘキサン−1−カルボン酸に異性化させ、前記混合物に含まれる前記4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高める異性化工程を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の精製方法。
  6. 3−シクロヘキセン−1−カルボン酸と、ハロゲン化水素とを反応させ、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸および3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む混合物を得る反応工程と、
    前記混合物に対して、水とニトリル系溶媒を含み、前記水の比率が50体積%以上である混合溶媒、または、炭化水素系溶媒中で晶析操作を施し、前記混合物に含まれる前記4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸の含率を高め、前記4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸と前記3−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸とのモル比率において前記4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を80%以上含有する生成物を得る晶析工程とを有する、4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法。
  7. 前記ハロゲン化水素が、臭化水素、および、ヨウ化水素からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の4−ハロシクロヘキサン−1−カルボン酸を含む生成物の製造方法。
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