JPH051691B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、容器に入れて市販される氷菓に用い
られる氷片の製造方法に関する。

〔従来の技術〕

従来市販されている、例えばしぐれアイス等の
容器入り氷菓は、第５図に示すように外周面に破
砕爪１が取付けられたドラム２を回転させ、これ
に氷塊を接触させて破砕し、さらにロールクラツ
シヤーによつて粗粒を粉砕して、粒径：0.1〜１
mm、嵩比重：0.5〜0.7ｇ／c.c.の氷片とし、これに
シロツプ等を混合して容器に詰め、、−40℃程度で
冷却硬化した後出荷している。

上記氷菓に用いられる氷片は、粒状であるた
め、口中に入れた場合ざらつき感を与えるばかり
でなく、上記爪付きドラムによつて割砕した場
合、微細な氷粉が多く生成し、これら氷粉の各粒
子の熱容量が少さいため、シロツプと混合する際
融解し、その後、低温に保持されることによつて
再氷結するので、塊状部分が生成し、口中に入れ
た時の感触をさらに悪化させる。

一方飲食店等で供される氷苺、氷あずき等の氷
菓は、円盤に鉋状の刃を取付けた氷掻機を用い、
円盤上で氷塊を回転させて、これを劈砕して、シ
ロツプ、あずき等を入れた器に受けたもので、こ
れをただちに客に供している。この劈砕された氷
片は鱗片状のものが大部分で、食する時口中で速
かに融け、その間さくさくした感じを与える。

しかし、このような氷片は各粒子が鱗片状（極
薄板状）であるため、体積に比して表面積が大き
く、融解速度が早く、シロツプを混合して容器に
詰めている間に、かなりの部分が融解し、これを
冷凍庫で硬化させると、容器内で大きな塊とな
り、氷菓としての商品価値を失なう。そのため、
上記鱗片状氷片は、容器入り市販氷菓の原料とし
ては不適当であつた。

〔発明の解決しようとする問題点〕

本発明は上記の事情に鑑み、さくさくした感じ
を与える容器入り氷菓の原料となる氷片の製造方
法を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明者等は、上記問題点を解決すべく鋭意研
究した結果、液体窒素を噴霧又は滴下する方法が
本発明の目的に合致することを知見した。

本発明は上記の知見に基づいてなされたもの
で、その要旨は、盤面に先端が突出した刃が取付
けられた円盤の盤面に氷塊を接触させ、上記円盤
を回転して氷塊を鱗片状に劈砕し、次いでこの劈
砕した氷片をロールクラツシヤーにかけて粗粒の
ない嵩比重が0.20〜0.60ｇ／c.c.の鱗片状の氷片と
し、この鱗片状の氷片に、氷片１Kg当り0.01〜１
Kgの液体窒素を噴霧または滴下して温度が−10〜
−30℃の氷片とする氷菓用氷片の製造方法にあ
る。

〔作用〕

本発明の方法によつてつくられた氷片は、粗大
粒子が含まれず、大部分が鱗片状となつており、
また、氷片内部まで低温に保持されているので、
これにシロツプを混合して容器に充填しても融解
することなく、氷片はもとの形状を保持する。

〔発明の具体的構成〕

第１図ないし第３図は、本発明の方法を実施す
る装置の一例を示すもので、図中符号１１は円盤
である。この円盤１１には、盤面１１ａに先端が
僅かに突出した刃１２が取付けられている。ま
た、第４図は、刃１２の取付け方の異なる円盤１
１の平面図である。

この円盤１１を所定の速度で回転し、氷塊を盤
面１１ａに接触させると、氷塊は劈砕され、鱗片
状の氷片となる。この氷片をさらにロールクラツ
シヤにかけ、含まれる粗粒を破砕して密度を調整
し、嵩比重が0.20〜0.60ｇ／c.c.の鱗片状氷片を得
る。この嵩比重は、盤面１１ａに突出する刃１２
の寸法によつて異なり、刃が出過ぎると嵩比重は
大きくなり、出す寸法が少ないと小さくなる。ま
た、嵩比重が、小さくとも大きくともさくさくし
た感じは得られない。

次いで、この鱗片状氷片に氷片１Kg当り0.01〜
１Kgの液体窒素を噴霧又は滴下し、内部まで−10
〜−30℃の氷片とする。上記液体窒素の使用量
が、氷片１Kg当り0.01Kg未満では、冷却が不充分
で内部まで−10℃以下とならず、また、１Kgを越
えると充分冷却されて操作上は好ましいが、経済
性を失なう。

上記氷片は、口中でさくさくした感じを与える
のに適した厚さの鱗片状氷片であり、内部まで低
温に保持されているので、体積に対して表面積が
大きいにかかわらず、これにシロツプを混合して
容器につめるまで、表面が融解せず、氷片の形状
が保持される。したがつて、これを冷凍庫にて硬
化させたものは、食した時快適なさくさくした感
じを与える。

〔実施例、比較例〕

次に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に
説明する。

実施例 １ 円盤に２枚の刃を設けた氷掻機に、3.6Kgの氷
塊（20×20×10cm）を接触し、円盤を回転して氷
塊を劈砕し、ついで、ロールクラツシヤーを通し
て3.5Kgの、嵩比重が0.39ｇ／c.c.の氷片を得た。
次にこの氷片3.5Kgに液体窒素を0.5Kg噴霧し、−
15℃の温度の氷片を得た。

この氷片65ｇに５℃に冷却したストロベリーシ
ロツプ35ｇを加えてよく攬拌し、内容量130c.c.の
プラスチツク容器につめ、−40℃の冷凍庫に45分
間放置、硬化させた。

これを−20℃の冷凍庫に１ケ月間貯蔵したあ
と、取出して食したところ、製造直後のものと変
らない、さくさくした食感があつた。

「比較例」 実施例と同じようにして氷片をつくり、氷片
3.5Kgに対し、0.01Kg、0.02Kg、0.03Kgの液体窒素
をそれぞれ噴霧した。その結果0.01Kgの場合、噴
霧後も氷片からは水が融け出しており、0.02Kg、
0.03Kgにおいては、シロツプと混合した時点で氷
片の形状がくずれ、いずれも、氷菓用として使用
出来なかつた。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明に係る氷菓用氷片の
製造方法は、適度な厚さの鱗片状氷片が出来、そ
の温度は低温に保持されているので、これにシロ
ツプを混合して容器に充填しても、氷片はそのま
まの形状を維持し、これを低温保存することによ
り常にさくさくした食感の氷菓が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明において氷塊を劈
砕する円盤の一例を示すもので、第１図は平面
図、第２図は第１図の−線矢視断面図、第３
図は、第１図の−線矢視断面図、第４図は刃
１２の取付け位置の異なる円盤の平面図、第５図
は従来の氷塊破砕用ドラムの斜視図である。 １１……円盤、１１ａ……盤面、１２……刃。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 盤面に先端が突出した刃が取付けられた円盤
   の盤面に氷塊を接触させ、上記円盤を回転して氷
   塊を鱗片状に劈砕し、次いでこの劈砕した氷片を
   ロールクラツシヤーにかけて粗粒子のない嵩比量
   が0.20〜0.60ｇ／c.c.の鱗片状の氷片とし、この鱗
   片状の氷片に氷片１Kg当り0.01〜１Kgの液体窒素
   を噴霧または滴下して温度が−10〜−30℃の氷片
   とすることを特徴とした氷菓用氷片の製造方法。