JPH05169191A - 消失模型鋳造法における振動テーブルの振動方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 消失模型鋳造において、鋳物砂の充填効率を
向上させ、消失模型がたとえ横向きの孔や下向きの面を
持った複雑な形状であっても、消失模型周辺の鋳物砂の
充填密度を十分に確保する。 【構成】 水平方向の１軸のみを駆動する振動テーブル
を使用して、鋳枠内に配置した消失模型への鋳物砂の充
填に際して、水平方向の振幅、振動加速度及び振動数を
一定の範囲内で選択使用する振動テーブルの振動方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、加熱により消失する模
型の使用によって鋳型を造型して鋳造する消失模型鋳造
法において、鋳枠内に設置されている発泡成型品周辺の
鋳物砂を、高密度で均一に充填する消失模型鋳造法にお
ける振動テーブルの振動方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、消失模型鋳造法において、発
泡成型品によってなる消失模型１が設置されている鋳枠
２内に鋳物砂を充填する作業には、一般に、図１に示す
機台３上にバネ４、４を介して水平かつ揺動自在にテー
ブル５を配置し、このテーブル５の下面に固着した２台
の振動モーター６、６により、テーブル５およびテーブ
ル５に載置固定した鋳枠２を垂直方向（Ｚ軸）の一方向
か、垂直方向（Ｚ軸）に水平方向（Ｘ軸）、又は垂直方
向（Ｚ軸）に水平２方向（Ｘ、Ｙ軸）を同時に振動させ
ることにより、鋳枠２内の鋳物砂７内に設置した消失模
型１の空隙部に振動力を利用して鋳物砂７を均一に充填
する方法が使用されている。又、公開特許公報昭６０−
１５８９５０号には、鋳枠全体として水平振動のみを行
う様弾性的に支持する手段と、振動テーブルと鋳物砂を
入れた鋳枠の複合重心をほぼ通り抜ける様な水平振動力
により振動力を０．５乃至１０Ｇで、８乃至１００Ｈｚ
とする方法が提案されている。

【０００３】しかし、こにような従来の充填方法では、
鋳物砂７を鋳枠２内に短時間で高密度かつ均一に充填す
ることが出来ず、充填効率が悪い欠点を有している。こ
のことは、本発明者によるつぎの実験により確認するこ
とが出来た。すなわち、充填実験は、図２に示すよう
に、一辺の長さＷが３００ｍｍ、高さＨが４５０ｍｍの
鋳枠２の内部にテストピース８を設置し、その周辺に鋳
物砂７を充満させる。テストピース８は、透明アクリル
樹脂製のもので、一様な内径（ｄ１＝２５ｍｍφ）を持
つ本管部８Ａと、本管部８Ａの軸線Ｃ１に直交する軸線
Ｃ２を有して本管部８Ａから分岐された一様な内径（ｄ
２＝１５ｍｍφ）、長さ９０ｍｍを持つ枝管部８Ｂによ
って構成されており、枝管部８Ｂにおける先端開口部を
全開してある。そして本管部８Ａの軸線Ｃ１を垂直に指
向させ、枝管部８Ｂの軸線Ｃ２を鋳物砂７の頂面７Ａか
ら所定の深さ（Ｄ＝２２５ｍｍ）に設定すると共に、本
管部８Ａの上端を鋳物砂７の頂面７Ａから突出させてあ
る。このような状態で、前述のテーブル５に載置固定
し、振動時間２０秒間を水平方向に振動テーブル５を振
動させ、本管部８Ａへの鋳物砂７の流入高さｈを測定し
た。

【０００４】この実験による測定結果を図３に示す。こ
の図において、垂直方向のみに２０秒間振動を加えた場
合には鋳物砂７の流入高さｈは低く、垂直方向に水平方
向の振動を加えると鋳物砂７の流入高さｈは増加する
が、流入量としては高い高さではないことを示してい
る。

【０００５】又更に、公開特許公報昭６０−１５８９５
０号と異なる方法で、図２で使用したテストピース８を
用い水平振動を加えた実験を試みた。即ち図４及び図５
の様に、鋳枠２を振動テーブル５上に載置して該振動テ
ーブル５に固着した２個の偏芯軸モーター６′、６′又
はピストン式振動源６”の振動力を利用して機台３上に
バネ４、４を介設して載置した振動テーブル５を振動さ
せた。この方法は、振動力の中心は鋳枠２と振動テーブ
ル５の複合重心を通らず、鋳枠２の頂部とその下部の振
幅が変り、また、この水平振動により複次的に垂直振動
を発生するが、実用上差支えがないのでこの方法により
振動させた。これによると、枝管部８Ｂと平行に振動力
を加えた結果、重力加速度２．１Ｇ、振動数７０Ｈｚで
あったが、振幅が０．２４ｍｍのため鋳物砂７が本管部
８Ａ内に入らず、本管部８Ａ内に流入する鋳物砂７の高
さｈは僅か１ｍｍであり、これらいずれのテストにおい
ても鋳物砂の高密度充填が不可能であることが判明し
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、従来の振動方法では鋳物砂を発泡成型品の空隙部
に短時間にして均一に充填することが出来ないので、充
填効率が悪い点と、消失模型が横向きの孔や下向きの面
を持った複雑な形状であると、該消失模型の周辺の鋳物
砂の充填密度を十分に確保出来ない点である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、振動テーブル
に直接固着された振動発生機を駆動することによって、
振動テーブル上に載置された鋳枠内の鋳物砂を水平振動
させることを特徴とし、鋳物砂の充填効率を向上させ、
消失模型が例え横向きの孔や下向きの面を持った複雑な
形状であっても、該消失模型周辺の鋳物砂の充填密度を
十分に確保する目的を達成した。

【０００８】

【作用】本発明によれば、鋳枠内の鋳物砂が水平に振動
することにより、鋳物砂に上下方向の対流を生ずること
なく、空隙部における鋳物砂の安息角を低くすることに
より、砂の移動が容易となる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
すると、実施例１において、図２による装置で同様のテ
ストピース８を用いて水平方向（Ｘ軸）のみの振動を加
え場合、図６に示す様に、振動時間１０秒で振動方向を
枝管部８Ｂの軸線Ｃ２と平行に振動させた場合、振動テ
ーブルの加速度（Ｇ）の増加と共に本管部８Ａへの鋳物
砂の流入高さｈは急激に増大する。また、該枝管部８Ｂ
の軸線Ｃ２と直角方向に水平振動させても本管部８Ａへ
の鋳物砂の流入量は少ないが、加速度の増加と共に流入
量の増加が認められ、図３の垂直方向（Ｚ軸）の振動加
速度に比べ顕著な格差が生じていることが分かる。

【００１０】又、実施例２において、上記実施例１と同
様の装置及びテストピース８を利用して、振動テーブル
の加振力を一定に保って、振幅を変えて垂直方向（Ｚ
軸）、水平方向（Ｘ軸）及び垂直方向と水平方向（Ｚ・
Ｘの２軸）の方向で振動を加えた場合、図７に示す様に
明確に振幅が増大した場合に鋳物砂の本管部８Ａへの流
入量ｈが増大していることが分かる。

【００１１】上記の実施例の結果、鋳物砂の流入量は単
に振動テーブルの加速度だけではなく、振幅も考慮した
加速度の選択が必要であることを示している。従って振
動加速度と振動数、振幅の関係式は次の算式で現され
る。即ち、振動効果：Ｇ、Ｎ：振動数（ｃ．ｐ．ｍ）、
Ａ：全振幅（ｍｍ）として、 となり、これを図表で表すと図８となる。従って実施例
１、２を集約して図８中の斜線の範囲で区画される範囲
内で水平１方向の振動を消失模型の製品に応じて選択す
れば満足出来る鋳物砂の充填が出来ることを示してい
る。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、水平方向
の１軸のみを駆動する振動テーブルをを使用して、鋳枠
内に配置した発泡成型品への鋳物砂の充填に際して、水
平方向の振幅、振動加速度及び振動数を一定の範囲内で
選択使用することにより、該発泡成型品が横向きの孔や
下向きの面を持った複雑な形状のものであっても、空隙
部に極短時間の内に鋳物砂を緊密に充填させることが出
来るなどの利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の方法を示す正面図である。

【図２】鋳枠内の鋳物砂がテストピースに流入する高さ
を測定する装置である。

【図３】従来の振動方法による鋳物砂の流入高さを示す
グラフである。

【図４】２個の偏芯軸モーターで水平振動させる正面図
である。

【図５】１個のピストン振動源で水平振動させる正面図
である。

【図６】水平振動による鋳物砂の流入高さを示すグラフ
である。

【図７】振幅と鋳物砂の流入高さを示すグラフである。

【図８】振動効果と振動数、振幅の関係を示すグラフで
ある。

【符号の説明】

１ 消失模型 ２ 鋳枠 ３ 機台 ４ バネ ５ テーブル ６ 振動モーター（加振機） ７ 鋳物砂 ８ テストピース

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 消失模型鋳造法において、水平方向の１
   軸のみを駆動する振動テーブルを使用して、鋳枠内に置
   かれた発泡成型品への鋳物砂の充填に際し、水平方向の
   振動力を振幅０．２乃至２．５ｍｍ、振動加速度１．２
   乃至２．５Ｇ、振動数２０乃至８０Ｈｚの範囲内で鋳枠
   を振動させ、発泡成型品の空隙部に短時間に鋳物砂を充
   填することを特徴とする消失模型鋳造法における振動テ
   ーブルの振動方法。