JPH05169017A

JPH05169017A - 鏡面材

Info

Publication number: JPH05169017A
Application number: JP33905291A
Authority: JP
Inventors: Kenichi Yoshitake; 賢一吉武
Original assignee: Matsushita Electric Works Ltd
Current assignee: Panasonic Electric Works Co Ltd
Priority date: 1991-12-20
Filing date: 1991-12-20
Publication date: 1993-07-09

Abstract

(57)【要約】【構成】基材に樹脂シートを貼着してその上に上塗り
塗装を施し、鏡面仕上げした鏡板と、鏡面性樹脂シート
貼りした枠体としての框組とを組立て取付けしてなる鏡
面材。【効果】下塗り、中塗り、研磨という従来の方法にお
いては欠かせなかった多数の工程と作業を必要とするこ
となしに、しかも溝部等の複雑形状を有する扉等木質材
においても、溝部等の塗料タレもなく、効率的に、均一
平滑性と、均一鏡面性とを有し、外観性の良好な鏡面木
質材を実現することができる。実際、このようにしてキ
ャビネット扉材としての鏡面板を優れた生産性と品質で
得ることができる。もちろん、この発明は、以上の例に
限定されることなく、様々な態様が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は鏡面材に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、溝部等の存在によ
って複雑な断面形状を有する木質、あるいは樹脂等の基
材であっても外観性が良好で、塗装工程数の低減によっ
て生産性良く効率的に製造することのできる鏡面塗装材
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、家具扉等の木質材の表面に、
ピアノタッチの鏡面塗装を施すことがしばしば行われて
きており、そのための方法についても様々な工夫がなさ
れてきている。通常、このような鏡面木質材は、たとえ
ば図５にその工程を示したように、木質基材（ア）の表
面に下塗り（イ）および中塗り（ウ）を順次施し、研磨
・バフ（エ）を行った後に上塗り（オ）し、さらに研磨
・バフ（カ）仕上げを施すという多数の工程によってそ
の表面に鏡面を形成して製造している。

【０００３】ピアノタッチのこのような鏡面木質材は、
家具扉等に使用することによって優れた質感と高級感を
与えるものとして注目されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の鏡面木質材については、図５からも明らかな
ように、下塗り（イ）、中塗り（ウ）、研磨・バフ
（エ）、上塗り（オ）および研磨・バフ（カ）という多
段の、しかも数多くの工程によって製造するため、作業
能率、生産性の向上には大きな制約があった。

【０００５】また、この従来の製造方法の場合には、た
とえば図６に示したような溝部（キ）、あるいは段差部
等の存在によって複雑な断面形状を有する木質材（ア）
に塗装しようとすると、この溝部（キ）あるいは段差部
が図７および図８に例示したようないずれの形状のもの
であっても、この溝部（キ）の内表面に研磨・バフ仕上
げを施すことは極めて困難であった。

【０００６】通常、下塗り（イ）および中塗り（ウ）の
後に研磨・バフ仕上げを施さない場合には、表面の平滑
性が得られずに鏡面としての外観性が著しく劣ってしま
う。このため、これまでは複雑断面形状の木質材（ア）
について鏡面形成することはほとんどなく、仮に鏡面形
成しようとすると、大変な労力と時間をかけて手作業で
細かく研磨仕上げするほかになく、生産性の向上、生産
コストの低減には大きな制約があった。

【０００７】そこで、この発明の発明者は、このような
欠点を解消するために、図９に示したように、あらかじ
め溝部（キ）を形成した木質材（ア）の表面に樹脂シー
ト（ク）を貼着し、この樹脂シート（ク）の上に上塗り
塗装（ケ）を施し、これを鏡面仕上げする方法を提案し
た。この方法は、複雑形状の木質材であっても、その外
観性を損うことなく優れた生産性で鏡面木質材（コ）を
提供するものとして有利である。

【０００８】しかしながら、その後の検討において、こ
の樹脂シート（ク）の貼着による鏡面形成法においても
依然として解決すべき課題が残されていることが明らか
になった。それと言うのも、この改善された方法の場合
には、溝部、たとえば図８に示した枠体と鏡板との境界
部における溝部（キ）と平面部との塗装が不均一になり
やすく、その原因が塗料の溝部（キ）への流れ込み、い
わゆる塗料タレによるものであることが見出されたから
である。

【０００９】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来、その鏡面形成が困難であった
断面複雑形状の木質材等においても、溝部等の境界部へ
の塗料タレもなく、これら溝部等と平面部との塗装不均
一性も生じることなく、その外観性を大きく損うことな
く効率的に鏡面形成することのできる新しい鏡面材を提
供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、木質材あるいは樹脂等からなる
基材に樹脂シートを貼着してその上に上塗り塗装を施
し、鏡面仕上げした鏡板と、鏡面性樹脂シート貼りした
枠体としての框組とを組立て取付けしてなることを特徴
とする鏡面材を提供する。

【００１１】この発明においては、框組の基材および鏡
板の基材としての木質材の種類に特別の制限はなく、ム
ク材、パーティクルボード、集成材、その他の任意の木
質材を使用することができ、この基材は、樹脂製等から
なるものであってもよい。また、鏡板に貼付ける樹脂シ
ートについても特段の限定はなく、塩化ビニル樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、その他の樹脂であ
って、比較的硬質な表面を有する適宜な樹脂シートを用
いることができる。そのシートの厚みにも限定はない。
平均的には、０．２〜０．５ｍｍ程度のものを使用する
ことができる。ただ、前記したように、鏡板の突出表面
等の比較的平面積の大きな部分については比較的厚手
の、たとえば０．５ｍｍ以上のものを用い、シート貼り
後の表面平滑性を確保することが好ましい。

【００１２】このような樹脂シートの上記の基材への貼
付けには、真空プレス等の手段によって、接着剤として
ウレタン系、ポリエステル系等を用いることにより容易
に貼着させることができる。樹脂シート貼着後の鏡板の
上塗りは、ポリエステル、ポリウレタン系等の、たとえ
ばポリクリアー塗料等を用いて行うことができ、その塗
膜の厚みも任意である。なお、この上塗りについては、
着色剤を混入した塗料を用いてもよい。

【００１３】次いでこの発明においては、上塗り塗装表
面に対して研磨・バフ仕上げを施すことができる。もち
ろん、仕上げ鏡面形成としては様々に可能である。この
ようにして鏡面形成したこの発明の鏡板は、次いで実結
合等の構造を採用することによって框組に組立て取付け
する。枠体としての框組には前記のような鏡面形成のた
めの樹脂シート貼りも、仕上げ塗装等も行わない。この
框組には、これに代わって、鏡面性を有する別の樹脂シ
ートを貼着したものを使用する。このような樹脂シート
としては、硬質の塩化ビニル樹脂シート等を例示するこ
とができる。この貼着にも、前記と同様の各種の手段が
採用できる。

【００１４】以上のようなこの発明においては、基材に
樹脂シートを貼着することにより表面平滑性を確保し鏡
面性を大きく向上させる。以下、実施例を示して、さら
に詳しくこの発明について説明する。

【００１５】

【実施例】図１、および図２に示した工程に沿って、た
とえば図３に示すことのできるこの発明の鏡面材を製造
した。すなわち、図１に例示したように、（ａ）まず、たとえば中密度ファイバーボード（ＭＤ
Ｆ）を用いて、家具扉材としての枠体框組基材（１）
と、鏡板基材（２）とを用意する。

【００１６】（ｂ）この框組基材（１）の表面には、鏡
面調の硬質表面を形成するため、ウレタン系接着剤を用
いて真空プレスにより硬質、塩化ビニルシートを貼着す
る。また、鏡板基材（１）には、塗装による鏡面形成の
ために表面にウレタン系接着剤を用いて真空プレスによ
り塩化ビニルシートを貼着する。

【００１７】（ｃ）次いで、鏡板基材（２）に貼着した
塩化ビニルシートの表面には、たとえばポリエステル系
塗料によって上塗り塗装を施す。この上塗りによる塗膜
は、乾燥硬化させる。種類によっては光硬化処理を行っ
てもよい。（ｄ）硬化処理後に、その塗装面に研磨・バフ仕上げを
行って、鏡面を形成する。

【００１８】（ｅ）そして最後に、鏡面形成した鏡板
と、前記（ａ）において鏡面性樹脂シートを貼着した框
組とを組立て取付けする。図２は、前記の組立て取付けの例を示したものである。
鏡面性樹脂シートを貼着した框組（１１）の溝（１３）
に、塗装鏡面形成した鏡板（１２）の両側縁（１４）が
嵌入して組立て取付けされるようにしている。図３は、
その組立て完成状態を示した平面図と断面図である。

【００１９】以上の工程においては、塗装鏡面形成用の
塩化ビニル樹脂シートとしては、厚み０．５ｍｍのもの
を、また、框組（１１）表面の鏡面性樹脂シートとして
は、０．３ｍｍ厚の硬質塩化ビニルシートを使用した。
均一で、外観性に優れた家具扉材が製造された。組立て
取付け後の境界溝部（１５）には塗料タレもなく、簡便
な製造が可能であった。

【００２０】もちろん、この工程においては、鏡板基材
（２）の表裏の両面を処理してもよいし、あるいは表面
だけを仕上げ処理してもよい。上塗りについては、フロ
ーコーティング、ハケ塗り、ロール塗布、ドクターブレ
ード塗布、その他の適宜な手段が採用され、また、研磨
・バフについても、通常の手段の各種のものが使用でき
る。

【００２１】また、組立て取付けについては、上記の例
によって何ら限定されることはない。たとえば図４に例
示したように、框組（１１）の段差部（１６）に、その
裏面から鏡板（１２）の側縁（１４）が当接し、接着さ
れるようにしてもよい。

【００２２】

【発明の効果】以上の工程からも明らかなように、下塗
り、中塗り、研磨という従来の方法においては欠かせな
かった多数の工程と作業を必要とすることなしに、しか
も溝部等の複雑形状を有する扉等木質材においても、溝
部等の塗料タレもなく、効率的に、均一平滑性と、均一
鏡面性とを有し、外観性の良好な鏡面木質材を実現する
ことができる。

【００２３】実際、このようにしてキャビネット扉材と
しての鏡面板を優れた生産性と品質で得ることができ
る。もちろん、この発明は、以上の例に限定されること
なく、様々な態様が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の鏡面木質材製造のための工程ブロッ
ク図である。

【図２】この発明の組立て取付け工程を例示した斜視図
である。

【図３】この発明の例としての扉材を示した平面図と断
面図である。

【図４】この発明の別の組立て取付け例を示した断面斜
視図である。

【図５】従来の製造法を示した断面図である。

【図６】複雑形状の木質材を例示した斜視図である。

【図７】図３に例示した木質材の断面を示した断面図で
ある。

【図８】さらに別の断面を示した断面図である。

【図９】従来の改良性としての樹脂シート使用による鏡
面形成法を示した工程断面図である。

【符号の説明】

１框組基材２鏡板基材１１框組１２鏡板１３溝１４側縁１５境界溝部１６段差部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材に樹脂シートを貼着してその上に上
塗り塗装を施し、鏡面仕上げした鏡板と、鏡面性樹脂シ
ート貼りした框組とを組立て取付けしてなることを特徴
とする鏡面材。