JPH0516785A - 車両のスリツプ制御装置 - Google Patents

車両のスリツプ制御装置

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JPH0516785A
JPH0516785A JP3167187A JP16718791A JPH0516785A JP H0516785 A JPH0516785 A JP H0516785A JP 3167187 A JP3167187 A JP 3167187A JP 16718791 A JP16718791 A JP 16718791A JP H0516785 A JPH0516785 A JP H0516785A
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rapid
pressure reduction
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Haruki Okazaki
岡崎晴樹
Fumio Kageyama
景山文雄
Kazutoshi Nobumoto
信本和俊
Toshiaki Tsuyama
津山俊明
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンチスキッド制御において、初期制御段階
での減圧遅れによるロックの過大進行を防止する。 【構成】 初期制御段階(P4におけるFCON1=0の場
合)において、急減圧フェーズ(P6におけるP1
4)を設定する。急減圧フェーズへの移行は、P5に示
す様に車輪減速度DW1 に基づいて判定する。急減圧フ
ェーズの直後には保持フェーズ(P8におけるP1
5)を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪のブレーキ圧を制
御することによって車輪のスリップを制御するアンチス
キッド制御手段を備えて成る車両のスリップ制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、制動時に、過大ブレーキ圧に
より車輪がロック状態となってスリップし制動性や方向
安定性等が損なわれるのを防止するため、車輪のブレー
キ圧を制御して車輪のスリップ率を適宜制御するアンチ
スキッド制御が知られている。上記ブレーキ圧制御は、
通常増圧フェーズや減圧フェーズ等の制御フェーズが設
定され、該制御フェーズに基づいてブレーキ圧を適宜増
減することにより行なわれる。
【0003】上記の如きアンチスキッド制御において
は、例えば特開昭56-95746号公報に開示されている様
に、通常の減圧フェーズの他に該減圧フェーズよりも急
激に減圧を行なう急減圧フェーズを設定するものが知ら
れている。かかる急減圧フェーズは、非常に大きなロッ
クが発生し上記通常の減圧フェーズでの減圧ではロック
の進行を十分に抑えることができない様な場合に適用さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アンチスキ
ッド制御においては、通常、制御の精度を向上させるた
め、路面状況に応じて適宜各種の制御しきい値(各制御
フェーズへの移行を判定するためのしきい値)を決定
し、この制御しきい値に基づいて各制御フェーズへの移
行、即ちブレーキ圧の増減が行なわれる。しかるに、路
面状況、典型的には路面摩擦係数(路面μ)はアンチス
キッド制御によりブレーキ圧の増減を行なった状況下で
の車輪速変化状態に基づいて推定される。従って、制御
開始初期はその様な実際の路面状況を知ることができな
いので、予め設定された固定路面情報(路面μ等の路面
状況に関する情報)に基づいて決定された制御しきい値
に基づいて制御を行ない(初期制御段階)、その後はア
ンチスキッド制御下で得られた実際の路面情報に基づい
て決定された制御しきい値に基づいて制御を行なう(継
続制御段階)ことが考えられている。
【0005】そして、ロック判定を行なってアンチスキ
ッド制御を開始する際には、一般に、未だどの程度のロ
ックが生じているか予測し難いので、まず保持フェーズ
としてブレーキ圧保持状態で車輪の挙動を観察し、その
上でロックが大きく進行しそうな状況であると判定した
ら減圧フェーズに移行する方法が採られている。
【0006】しかしながら、例えば低μ路等においては
非常に大きなロックが発生し、その場合には早急に減圧
してロックの進行を阻止する必要があるが、上記の様な
ブレーキ圧を保持して様子を見ていると、その様な大き
なロックの場合そのブレーキ圧保持の間にロックがどん
どん進行し、ロックが大きいと判定してから通常の減圧
を初めても減圧が追いつかず、ロックの進行を十分に阻
止することができないという問題がある。
【0007】本発明の目的は、上記事情に鑑み、上記の
如き初期制御段階における減圧フェーズ開始遅れに起因
するロックの過大進行を阻止することのできる車両のス
リップ制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両のスリ
ップ制御装置は、上記目的を達成するため、◆車輪のブ
レーキ圧を制御することによって車輪のスリップを制御
するアンチスキッド制御手段を備え、該アンチスキッド
制御手段は、アンチスキッド制御開始直後における予め
設定された固定路面情報に基づいて決定された制御しき
い値に基づいてブレーキ圧制御を行なう初期制御段階か
ら実際の路面に応じた路面情報に基づいて決定された制
御しきい値に基づいてブレーキ圧制御を行なう継続制御
段階への移行を判定する継続制御段階移行判定部を備
え、かつ上記アンチスキッド制御手段による上記ブレー
キ圧制御には少なくとも減圧フェーズと急減圧フェーズ
とが設定されて成る車両のスリップ制御装置において、
◆上記アンチスキッド制御手段は、上記初期制御段階に
おいて急減圧フェーズへの移行を判定する急減圧フェー
ズ移行判定部を備え、該判定部による急減圧フェーズ移
行判定に基づいて急減圧フェーズに移行するものである
ことを特徴とする。
【0009】上記急減圧フェーズ移行判定は、車輪減速
度に基づいて行なうことが望ましい。
【0010】また、上記急減圧フェーズの直後には保持
フェーズを設定することが望ましい。
【0011】また、継続制御段階にも急減圧フェーズが
設定されている場合、上記初期制御段階における急減圧
フェーズ後の増圧フェーズでの増圧は、継続制御段階に
おける急減圧フェーズ後の増圧フェーズでの増圧よりも
大きい、つまりより急激に増圧するものであることが望
ましい。
【0012】さらに、初期制御段階と継続制御段階のい
ずれにおいても急減圧フェーズの直後に保持フェーズを
設定しかつ保持フェーズの直後に増圧フェーズを設定し
ている場合、上記初期制御段階における保持フェーズか
ら増圧フェーズへの移行しきい値は、上記継続制御段階
における保持フェーズから増圧フェーズへの移行しきい
値よりも早目に増圧フェーズに移行し得る値に設定する
のが望ましい。
【0013】なお、上記車両のスリップ制御装置におい
ては、初期制御段階に急減圧フェーズを設定することが
必須であり、継続制御段階において急減圧フェーズを設
定することは任意である。そして、継続制御段階におい
ても急減圧フェーズを設定する場合は、初期制御段階と
継続制御段階とで急減圧フェーズ移行しきい値は同じで
も良いし異なっていても良い。また、初期制御段階にお
ける急減圧フェーズは保持フェーズの後に設定されるこ
とが望ましいが、必ずしもそれに限られるものではな
い。
【0014】また、急減圧フェーズ移行判定を車輪減速
度を用いて行なう場合、車輪減速度のみで判定しても良
いがさらに他のファクタをも加味して判定しても良い。
【0015】また、急減圧フェーズの直後に保持フェー
ズを設定するにあったては、急減圧フェーズの直後には
必ず保持フェーズを設定するのが望ましい。
【0016】
【作用】上記車両のスリップ制御装置は、初期制御段階
において急減圧フェーズが設定されている。従って、初
期制御段階において通常の減圧フェーズでは対応しきれ
ないような大きなロックが生じた場合にも、急減圧フェ
ーズとすることにより十分対応することができ、ロック
の過大進行を阻止することができる。
【0017】特に、初期制御段階においては、前述の様
にまず保持してそれから減圧するのが一般的であり、そ
の場合には大きなロックが発生したときには保持によっ
て減圧の遅れが生じ易いが、その様な保持によって減圧
の遅れが生じてもその減圧を急減圧とすることにより十
分に対応することができる。
【0018】また、車輪減速度はスリップ率等に比して
早期にロックが大きいか否かを判定することができる。
よって、車輪減速度で急減圧フェーズ移行判定を行なう
ことにより、急減圧が必要な場合に速やかに対応するこ
とができ、より好適にロックの過大進行を阻止すること
ができる。
【0019】また、急減圧後は車輪の挙動予測が困難で
ある。よって、急減圧フェーズの後に保持フェーズを設
定すれば、その保持フェーズの間での車輪の挙動観察に
より以後の車輪挙動をより正確に予測することができ、
それにより以後の制御の混乱を阻止し、より適切な制御
を実現することができる。
【0020】さらに、特に初期制御段階における急減圧
はスリップを早く回復させようとする余り過減圧となる
場合がある。従って、急減圧後の増圧を継続制御段階の
場合に比して初期制御段階の場合の方を大きく(急増
圧)したり、あるいは急減圧後の保持時間を継続制御段
階の場合に比して初期制御段階の場合の方を短くして早
目に増圧を開始させるようにすることにより、その初期
制御段階における過減圧状態を速やかに解消することが
できる。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を備え
た車両の平面概略図である。
【0022】<スリップ制御装置の構成>◆図1に示す
ように、本実施例を備えた車両は、左右の前輪1,2が
従動輪、左右の後輪3,4が駆動輪とされ、エンジン5
の出力トルクが自動変速機6からプロペラシャフト7、
差動装置8および左右の駆動軸9,10を介して左右の後
輪3,4に伝達される。
【0023】上記各車輪1〜4には、これらの車輪1〜
4と一体的に回転するディスク11a〜14a と、制動圧
(ブレーキ圧)の供給を受けてこれらのディスク11a 〜
14a の回転を制動するキャリパ11b 〜14b 等で構成され
るブレーキ装置11〜14がそれぞれ設けられていると共
に、これらのブレーキ装置11〜14を制御するブレーキ制
御システム15が設けられている。
【0024】ブレーキ制御システム15は、運転者による
ブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装置17と、
この倍力装置17によって増大された踏込力に応じた制動
圧を発生させるマスターシリンダ18とを有する。そし
て、このマスターシリンダ18から導かれた前輪用制動圧
供給ライン19が2経路に分岐され、これらの前輪用分岐
制動圧ライン19a ,19b が左右の前輪1,2におけるブ
レーキ装置11,12のキャリパ11a ,12a にそれぞれ接続
されていると共に、左前輪1のブレーキ装置11に通じる
一方の前輪用分岐制動圧ライン19aには、電磁式の開閉
弁20a と、同じく電磁式のリリーフ弁20b とからなる第
1バルブユニット20が設置され、また右前輪2のブレー
キ装置12に通じる他方の前輪用分岐制動圧ライン19b に
も、上記第1バルブユニット20と同様に、電磁式の開閉
弁21a と、同じく電磁式のリリーフ弁21b とからなる第
2バルブユニット21が設置されている。
【0025】一方、上記マスターシリンダ18から導かれ
た後輪用制動圧供給ライン22には、上記第1、第2バル
ブユニット20,21と同様に、電磁式の開閉弁23a と、同
じく電磁式のリリーフ弁23b とからなる第3バルブユニ
ット23が設置されていると共に、この後輪用制動圧供給
ライン22は、上記第3バルブユニット23の下流側で2経
路に分岐されて、これらの後輪用分岐制動圧ライン22a
,22b が左右の後輪3,4におけるブレーキ装置13,1
4のキャリパ13b,14b にそれぞれ接続されている。
【0026】すなわち、本実施例におけるブレーキ制御
システム15は、上記第1バルブユニット20の作動によっ
て左前輪1におけるブレーキ装置11の制動圧を可変制御
する第1チャンネルと、第2バルブユニット21の作動に
より右前輪2におけるブレーキ装置12の制動圧を可変制
御する第2チャンネルと、第3バルブユニット23の作動
によって左右の後輪3,4における両ブレーキ装置13,
14の制動圧を可変制御する第3チャンネルとが設けら
れ、これら第1〜第3チャンネルが互いに独立してアン
チスキッド制御されるようになっている。
【0027】上記ブレーキ制御システム15には上記第1
〜第3チャンネルをアンチスキッド制御するアンチスキ
ッド制御手段であるコントロールユニット24が備えら
れ、このコントロールユニット24は、ブレーキペダル16
のON/OFFを検出するブレーキスイッチ25からのブ
レーキ信号と、各車輪の回転速度をそれぞれ検出する車
輪速センサ26〜29からの車輪速信号とが入力され、これ
らの信号に応じた制動圧制御信号を第1〜第3バルブユ
ニット20,21,23にそれぞれ出力することにより、左右
の前輪1,2および後輪3,4のスリップに対するアン
チスキッド制御を第1〜第3チャンネルごとに並行して
行う。すなわち、コントロールユニット24は、上記各車
輪速センサ26〜29からの車輪速信号が示す車輪速に基づ
いて上記第1〜第3バルブユニット20,21,23における
開閉弁20a ,21a ,23a とリリーフ弁20b ,21b ,23b
とをそれぞれデューティ制御によって開閉制御すること
により、スリップの状態に応じた制動圧で前輪1,2お
よび後輪3,4に制動力を付与する。なお、第1〜第3
バルブユニット20,21,23における各リリーフ弁20b,2
1b ,23b から排出されたブレーキオイルは、図示しな
いドレンラインを介して上記マスターシリンダ18のリザ
ーバタンク18a に戻される。
【0028】なお、アンチスキッド非制御状態において
は、上記コントロールユニット24からは制動圧制御信号
が出力されず、したがって図示のように第1〜第3バル
ブユニット20,21,23におけるリリーフ弁20b ,21b ,
23b がそれぞれ閉保持され、かつ各ユニット20,21,22
の開閉弁20a ,21a ,23aがそれぞれ開保持され、ブレ
ーキペダル16の踏込力に応じてマスターシリンダ18で発
生した制動圧が、各制動圧供給ライン19,22を介して左
右の前輪1,2および後輪3,4におけるブレーキ装置
11〜14に対して供給され、これらの制動圧に応じた制動
力が前輪1,2および後輪3,4に対して直接に付与さ
れる。
【0029】<アンチスキッド制御の概要>◆次に、上
記コントロールユニット24が行なうアンチスキッド制御
の概要を説明する。
【0030】[FABS .FLOK .FCON ]◆以下の説明
においては、アンチスキッド制御フラグFABS 、ロック
フラグFLOK 、継続制御フラグFCON が用いられる。
【0031】FABS はアンチスキッド制御中か否かを示
し、FABS =0は非制御中、FABS =1は制御中を示
す。FABS は、以下に述べるいずれかのチャンネルのF
LOK が1にセットされたときに1にセットされ、ブレー
キスイッチ25のONからOFFへの切換等の所定のアン
チスキッド制御終了条件が満たされたときに0にリセッ
トされる。
【0032】FLOK は各チャンネル毎に設定され、それ
ぞれのチャンネルの車輪がロック状態に入ったか否かを
示す。FLOK =0は非ロック状態を示し、FLOK =1は
ロック状態を示す。所定のロック判定条件に基づいて各
チャンネルの車輪がロック状態に入ったと判定されたと
きに、そのチャンネルのFLOK が1にセットされる。ロ
ック判定については後述する。各チャンネルの車輪がロ
ック状態に入ったと判定された場合、そのチャンネルは
アンチスキッド制御が開始される。従って、いずれかの
チャンネルのFLOK が1にセットされると、上述の様に
ABS は1にセットされる。
【0033】なお、FLOK は各チャンネル毎に設定さ
れ、従って各チャンネル別を表わすためにFLOK1、F
LOK2、FLOK3の様に添字1,2,3が付される。FLOK
以外にも各チャンネ毎に設定されるものについては、同
様に添字1,2,3が付される。
【0034】FCON は各チャンネル毎に設定され、それ
ぞれのチャンネルのアンチスキッド制御が初期制御段階
(非制御状態を含む)か継続制御段階かを示す。FCON
=0は初期制御段階もしくは非制御状態を示し、FCON
=1は継続制御段階を示す。即ち、本アンチスキッド制
御においては、制御の精度を向上させるため、路面μに
応じて決定された各種の制御しきい値に基づいてブレー
キ圧の増減制御が行なわれる。その場合、路面μは以下
に述べる様にアンチスキッド制御下での車輪速変化状態
に基づいて推定される。従って、制御開始初期はその様
な実際の走行路面μを知ることができないので、路面μ
は高μであると仮定し、高μであるということに基づい
て決定された制御しきい値に基づいて制御を行ない、こ
の初期制御を行なって実際の路面μが得られるようにな
ったら、継続制御段階移行判定部を構成するコントロー
ルユニット24が初期制御段階から継続制御段階に移行す
ると判定し、それによってFCON は1にセットされ、上
記推定した路面μに基づいて決定された制御しきい値に
基づいて継続制御が行なわれる。
【0035】[車輪加速度および減速度の算出]◆コン
トロールユニット24は、上記センサ26〜29からの信号が
示す車輪速に基づいて各車輪ごとの加速度および減速度
をそれぞれ算出する。コントロールユニット24は、車輪
速の前回値に対する今回値の差分をサンプリング周期Δ
t(例えば7ms)で除算し、その結果を重力加速度に換
算した値を今回の加速度ないし減速度として更新する。
【0036】また、コントロールユニット24は、上記第
3チャンネル用の車輪速および加減速度を代表させる後
輪3,4を選択する。本実施例においては、スリップ時
における後輪3,4の両車輪速センサ28,29の検出誤差
を考慮して両車輪速のうちの小さいほうの車輪速が後輪
車輪速として選択され、また該車輪速から求めた加速度
および減速度が後輪減速度および後輪加速度として選択
される。
【0037】[悪路判定]◆また、コントロールユニッ
ト24は走行路面が悪路か否かを判定する。この悪路判定
処理は、例えば次のように実行される。つまり、コント
ロールユニット24は、例えば後輪3,4の減速度ないし
加速度が一定時間内に所定の上限値もしくは下限値を超
えた回数が設定値以内ならば悪路でないと判定して悪路
フラグFAKR を0に維持し、加速度および減速度を示す
値が、一定時間内に上記上限値および下限値を超えた回
数が設定値以上ならば悪路であると判定して悪路フラグ
AKR を1にセットする。
【0038】[スリップ率の算出]◆コントロールユニ
ット24は、上記車輪速センサ28,29からの信号から求め
た後輪車輪速および上記各車輪速センサ26,27からの信
号が示す左右の各前輪1,2の車輪速と擬似車体速(擬
似車体速はコントロールユニット24が算出するが、これ
については後述する)とから、第1〜第3チャンネルの
それぞれについてスリップの程度を示すスリップ率を算
出する。本実施例では、次の関係式、◆ スリップ率=(車輪速/擬似車体速)×100 ◆ を用いてスリップ率が算出される。つまり、擬似車体速
に対する車輪速の偏差が大きくなるほどスリップ率が小
さくなって、当該車輪のスリップ傾向が大きくなる。
【0039】[路面摩擦係数(路面μ)の推定]◆コン
トロールユニット24は、各チャンネル毎に遂時路面μの
推定を行なう。この路面μの推定は、例えば第1チャン
ネルについては図2のフローチャートに従って次のよう
に行なわれる。なお、第2,第3チャンネルについて
も、第1チャンネルの場合と同様にして路面μが推定さ
れる。
【0040】すなわち、コントロールユニット24は、S
1で各種データを読込み、S2でFABS が1にセットさ
れているか否かを判定する。FABS =0のときは、上述
の様に路面μの推定ができないので、路面μ値MU1
3(3は高摩擦路面を示す)とする。
【0041】FABS =1のときは各推定時前の車輪減速
度DW1 と車輪加速度AW1 とに基づいてMU1 を推定
する。つまり、S4〜S9に示す様に、減速度DW1
−20Gより小(本実施例では減速度DW1 を表わすのに
Gに(−)の符号を付している。従って、減速度DW1
が−20Gより小とは例えば−30Gを意味し、よって本実
施例での説明に限り、減速度の大小関係は一般的な意味
での減速度の大小関係と反対になっている)の場合は、
S5およびS7に進み、加速度AW1 が10G以下のとき
MU1 =1(1は低摩擦路面を示す)、10Gより大で20
G以下のときMU1 =2(2は中摩擦路面を示す)、20
Gより大のときはMU1=3とする。また、DW1 が−2
0G以上の場合は、直ちにS7に進み、加速度AW1 が2
0G以下のときMU1 =2、20Gより大のときMU1
3とする。
【0042】なお、FABS =1のときであっても、路面
μの推定精度が低い初期制御段階の間は、路面は高摩擦
路面であると仮定し、MU1 は予め設定された固定値で
ある3にセットされる。また、悪路(FAKR =1)の場
合もMU1 は自動的に3にセットされる。これは、悪路
のときはロック気味で制御した方がより制動性を高める
ことができるので、ロック気味で制御するため路面を高
摩擦路面と仮定したものである。
【0043】[擬似車体速の算出]◆コントロールユニ
ット24は、擬似車体速を算出する。上記擬似車体速の算
出処理は、具体的には図3のフローチャートに従って次
のように行なわれる。
【0044】すなわち、コントロールユニット24は、T
1で各種データを読み込み、T2で上記センサ26〜29か
らの信号が示す車輪速W1 〜W4 の中から最高車輪速W
MXを決定し、T3で該車輪速WMXのサンプリング周期Δ
tあたりの車輪速変化量ΔWMXを算出する。
【0045】次いで、T4において図4に示すマップか
ら代表摩擦係数値MU(MU1 ,MU2 ,MU3 の最小
値)に対応する車体速補正値CVRを読み出し、T5で上
記車輪速変化量ΔWMXがこの車体速補正値CVR以下か否
かを判定する。そして、車輪速変化量ΔWMXが上記車体
速補正値CVR以下のときは、T6で擬似車体速VR の前
回値から上記車体速補正値CVRを減算した値を今回値に
置き換える。したがって、擬似車体速VR が上記車体速
補正値CVRに応じた所定の勾配で減少することになる。
【0046】一方、上記T5において車輪速変化量ΔW
MXが車体速補正値CVRより大きいと判定したとき、すな
わち上記最高車輪速WMXが過大な変化を示したときに
は、T7において擬似車体速VR から最高車輪速WMX
減算した値が所定値V0 以上か否かを判定する。つま
り、最高車輪速WMXと擬似車体速VR との間に大きな開
きがないかどうかを判定する。そして、大きな開きがな
いときには、上記T6に進んで擬似車体速VR の前回値
から上記車体速補正値CVRを減算した値を今回値に置き
換える。また、最高車輪速WMXと擬似車体速VR との間
に所定値V0 より大きな開きが生じたときには、T7か
らT8に進んで最高車輪速WMXを擬似車体速VR に置き
換える。
【0047】このようにして、当該車両の擬似車体速V
R が各車輪速W1 〜W4 に応じてサンプリング周期Δt
ごとに更新されていく。
【0048】[制御フェーズの設定]◆上記コントロー
ルユニット24は、上記第1〜第3バルブユニット20,2
1,23に対する制御量を規定するための制御フェーズ設
定処理を行なう。
【0049】上記制御フェーズ設定処理の概略を説明す
ると、コントロールユニット24は、当該車両の運転状態
に応じて設定したそれぞれの制御しきい値(制御しきい
値については後に詳述する)と車輪加減速度やスリップ
率との比較によって、アンチスキッド非制御状態を示す
フェーズ0、アンチスキッド制御時における増圧状態を
示すフェーズ1、増圧後の保持状態を示すフェーズ2、
減圧状態を示すフェーズ3、急減圧状態を示すフェーズ
4および減圧後の保持状態を示すフェーズ5を選択す
る。
【0050】そして、コントロールユニット24は、各チ
ャンネルごとに設定されたフェーズ値に応じた制御量を
設定した上で、その制御量に従った制動圧制御信号を第
1〜第3バルブユニット20,21,23に対してそれぞれ出
力する。これにより、第1〜第3バルブユニット20,2
1,23の下流側における前輪用分岐制動圧ライン19a ,1
9b および後輪用分岐制動圧ライン22a ,22b の制動圧
が、増圧あるいは減圧したり、増圧もしくは減圧後の圧
力レベルに保持されたりする。
【0051】[制御しきい値の設定]◆上記コントロー
ルユニット24は、上記第1〜第3チャンネルのブレーキ
圧制御に用いる各種の制御しきい値を設定する。制御し
きい値の設定処理は、図5のフローチャートに従って次
のように行なわれる。なお、この制御しきい値の設定処
理は、各チャンネルごとに独立して行なわれることにな
るが、ここでは左前輪用の第1チャンネルに対する設定
処理について説明する。
【0052】コントロールユニット24は、まずU1で各
種データを読み込み、U2において、図6に示す予め設
定したパラメータ選択テーブルから、摩擦係数値MU1
と疑似車体速VR とに応じたパラメータを選択する。摩
擦係数値MU1 =1で疑似車体速VR が中速域のとき
は、上記パラメータとして中速低摩擦路面用のLM2が
選択される。また、コントロールユニット24は、悪路
(FAKR =1)である場合、図6に示すように、疑似車
体速VR のみに応じたパラメータを選択し、このパラメ
ータは摩擦係数値MU1 =3の場合のパラメータと同一
に設定されている。つまり、例えば疑似車体速VR が中
速域に属するときには、上記パラメータとして中速高摩
擦路面用のHM2が強制的に選択される。これは、悪路
走行時においては上述の様にMU1 は自動的に3にセッ
トされるからである。
【0053】パラメータの選択が終了すると、U3に進
んで図7に示す制御しきい値テーブルから上記選択した
パラメータに対応する制御しきい値をそれぞれ読み出
す。ここで、制御しきい値としては、図7に示すよう
に、フェーズ1からフェーズ2への移行判定用の1−2
中間減速度しきい値B′12、フェーズ2からフェーズ3
への移行判定用の2−3中間スリップ率しきい値
B′SG、フェーズ3からフェーズ5への移行判定用の3
−5中間減速度しきい値B′35、フェーズ5からフェー
ズ1への移行判定用の5−1中間スリップ率しきい値
B′SZおよびフェーズ4への移行判定用(ただし移行そ
のものを判定するために用いられるものではなく移行判
定の場合別けを行なうために用いられる)のフェーズ4
中間スリップ率しきい値B′34などが、各パラメータ毎
にそれぞれ設定されている。この場合、制動力に大きく
影響する減速度しきい値は、路面μが大きいときのブレ
ーキ性能と路面μが小さいときの制御の応答性とを高水
準で両立するために、摩擦係数値MU1 のレベルが小さ
くなるほど、つまり路面μが小さくなるほど0Gに近づ
くように設定されている。
【0054】そして、コントロールユニット24は、上記
パラメータとして中速低摩擦路面用のLM2を選択して
いるときには、図7の制御しきい値テーブルにおけるL
M2の欄に示すように、B′12,B′SG,B′35,B′
SZ,B′34として、-0.5G,90%,0G,90%,30%の
各値をそれぞれ読み出す。
【0055】次に、U4で摩擦係数値MU1 =3である
か否かを判定し、MU1 =3のときはU5でFAKR =1
であるか否かを判定し、FAKR =1のときは、U6で悪
路時における制御しきい値の補正処理を行なう。この補
正処理は、例えば図8に示した最終しきい値テーブルに
基づいて行なわれ、コントロールユニット24は、1−2
中間減速度しきい値B′12から1.0 Gを減算した値を最
終1−2減速度しきい値B12としてセットし、また2−
3中間スリップ率しきい値B′SGおよび5−1中間スリ
ップ率しきい値B′SZからそれぞれ10%を減算した値を
最終1−2スリップ率しきい値BSGおよび最終5−1ス
リップ率しきい値BSZとしてセットし、3−5中間減速
度しきい値B′35はそのまま最終3−5減速度しきい値
35としてセットし、かつフェーズ4スリップ率しきい
値の場合は一律に10%を最終フェーズ4スリップ率しき
い値B34としてセットする。これは、悪路走行時には車
輪速センサ26〜29が誤検出を生じやすいため、制御の応
答性を遅らせて良好な制動性を確保するためである。な
お、第2、第3チャンネルについても、同様にして制御
しきい値が設定される。
【0056】[ロック判定]◆コントロールユニット24
は、各チャンネル毎に車輪がロック状態になったか否か
を判定する。
【0057】例えば左前輪用の第1チャンネルに対する
ロック判定においては、コントロールユニット24は、ま
ず第1チャンネル用の継続フラグFCON1の今回値を前回
値としてセットし、次に疑似車体速VR と車輪速W1
が所定の条件(例えば、V<5Km/H、W1 <2.5Km /
H)を満足するか否かを判定し、これらの条件を満足す
るときに継続フラグFCON1およびロックフラグFLOK1
それぞれ0にリセットする一方、満足していなければロ
ックフラグFLOK1が1にセットされているか否かを判定
する。ロックフラグFLOK1が1にセットされていなけれ
ば、予め設定されたロック判定条件を満たしたとき(本
実施例では車輪減速度DW1 ≦-3.0Gを満たしたとき)
にロック状態になったと判定し、FLOK1を1にセットす
る。なお、第2、第3チャンネルに対しても同様にして
ロック判定処理が行なわれる。
【0058】<通常制御の概要>◆次に、急減圧フェー
ズ4を除く増圧フェーズ1、増圧後の保持フェーズ2、
減圧フェーズ3および減圧後の保持フェーズ5から成る
通常制御について、第1チャンネルの場合を例にとって
図9のフローチャートに従って説明する。
【0059】コントロールユニット24は、Q1で各種デ
ータを読み込み、Q2でFABS =0か否かを判定し、F
ABS =0のときはQ3で車輪減速度DW1 が−3.0 G以
下か否かを判定する。−3.0 Gより大のときはリターン
に進み、−3.0 G以下になったら前述の様にロック判定
が行なわれ、アンチスキッド制御が開始されてFABS
1にセットされ、初期制御段階に入る。即ち、DW1
−3.0 G以下になったらQ4で制御フェーズ値P1 を2
にセットして増圧後の保持フェーズに移行する。続い
て、Q5でスリップ率S1 が2−3スリップ率しきい値
SGより小さいか否かを判定し、小さくなった時点でQ
6に進み、P1 を3にセットして減圧フェーズに移行す
る。次いで、Q7でDW1 が3−5減速度しきい値B35
(0G)に到達したか否かを判定し、DW1 が0Gにな
った時点でQ8に進んでP1 を5にセットし、減圧後の
保持フェーズに移行する。
【0060】続いて、Q9で急減圧後の保持か否かを判
定するが、ここでは急減圧についてはとりあえずは考え
ていないのでNOであり、Q10に進む(Q9でYESと
なり、Q13に進む場合については後述する)。
【0061】Q10ではスリップ率S1 が90%より大にな
ったと判定するまでフェーズ値P1 を5に維持し、90%
より大になった時点でQ11に進み、P1 を1にセットし
て増圧フェーズに移行する。Q10における判定は保持フ
ェーズ5から増圧フェーズ1への移行判定であるのでし
きい値としてBSZを用いても良いが、本実施例ではQ10
の判定は継続制御段階移行判定を兼ねている関係上、特
にしきい値として予め設定した90%という固定値を使用
している。
【0062】上記増圧フェーズ1への移行と同時にQ12
においてFCON1が1にセットされる。つまり、上記Q8
での減圧後の保持フェーズ終了までが上記初期制御段階
であり、Q11で増圧フェーズに移行した時点からは上記
継続制御段階に移行する。なお、上記初期制御段階にお
いては、上述の様に摩擦係数値MU1 は予め設定された
固定値3にセットされており、従ってMU1 =3という
条件の下に選定された各種制御しきい値に従って上記制
御が行なわれ、以後の継続制御段階においては、DW1
およびAW1 に基づいて実際に推定したMU1 の下に選
定された各種制御しきい値に従って制御が行なわれる。
【0063】上記Q12まで進んで継続制御段階に移行し
たら、Q1に戻ってQ2に進み、ここで既にFABS =1
となっているのでQ2からQ14に進む。そして、Q14で
DW1 が1−2減速度しきい値B12より小さいか否かを
判定し、小となった時点でQ15に進み、P1 を2にセッ
トして増圧後の保持フェーズに移行する。次いで、Q16
でS1 が2−3スリップ率しきい値BSGより小さいか否
かを判定し、小となった時点でQ17に進み、P1 を3に
セットして減圧フェーズに移行する。次いでQ18でDW
1 が3−5減速度しきい値B35(B35=0G)に到達し
たか否かを判定し、到達した時点でQ19に進んでP1
5にセットし、減圧後の保持フェーズに移行する。次い
でQ20でS1 が5−1スリップ率しきい値BSZを超えた
か否かを判定し、超えた時点でQ21に進んでP1 を1に
セットし、増圧フェーズに移行する。次いでQ22でアン
チスキッド制御が終了したか否かを判定し、終了してい
なければリターンに進んでさらにQ14〜Q22を繰り返
し、終了であればQ23に進んでFABS を0にリセットし
た後リターンに進む。
【0064】次に、第1チャンネルに対する上記通常制
御について図10を参照しながらさらに具体的に説明す
る。
【0065】減速時のアンチスキッド非制御状態におい
て、ブレーキペダル16の踏込操作によってマスターシリ
ンダ18で発生した制動圧が徐々に増圧し、例えば図10
(c) に示すように、左前輪1の車輪減速度DW1 が−3
Gに達したときには、同図(a)に示すように、FLOK1
1にセットされ、当該時刻ta からアンチスキッド制御
を開始すると共にP1 =2(保持フェーズ)とされ、制
動圧が保持される。この制御開始直後の初期制御段階に
おいては、上記したように摩擦係数値MU1 は高摩擦路
面を示す3にセットされていることから、コントロール
ユニット24は、FAKR が1にセットされておらず、かつ
上記疑似車体速VR が例えば中速域に属するときには、
制御パラメータとして図6に示すパラメータ選択テーブ
ルから中速高摩擦路面用のHM2を選択すると共に、こ
のパラメータに従って図7に示した制御しきい値設定テ
ーブルから各種の制御しきい値を読み出し、これに基づ
いて最終的な制御しきい値を設定する。
【0066】そして、コントロールユニット24は、上記
車輪速W1 から算出したS1 、DW1 、AW1 と上記各
種の制御しきい値とを比較し、S1 が2−3スリップ率
しきい値BSGより小になったらP1 =3(減圧フェー
ズ)とし、これにより、第1バルブユニット20のリリー
フ弁20b が所定のデューティ率に従ってON/OFFす
ることになって、同図(e) に示すように、当該時刻tb
から制動圧が所定の勾配で減少することになって制動力
が徐々に低下すると共に、それに伴って前輪1の回転力
が回復し始める。
【0067】さらに制動圧の減圧が続いてDW1 が3−
5減速度しきい値B35(0G)まで回復したらP1 =5
(減圧後の保持フェーズ)とし、当該時刻tc から制動
圧が減圧後のレベルで維持される。
【0068】そして、フェーズ5の状態が続いてS1
上述の固定値90%を超えるとP1 =1(増圧フェーズ)
として制動圧を増圧し、かつ同図(b) に示すように、F
CON1を1にセットする。これにより、初期制御段階から
継続制御段階に移行する。このフェーズ1への移行直後
には、第1バルブユニット20の開閉弁20b が、初期制御
段階におけるフェーズ5の持続時間に基づいて設定され
た初期急増圧時間TPZに応じて100 %のデューティ率で
開閉されることになって、同図(e) に示すように、制動
圧が急勾配で増圧される。また、初期急増圧時間TPZ
終了してからは、上記開閉弁20a が所定のデューティ率
に従ってON/OFFされることになって、制動圧が上
記勾配よりも緩かな勾配に従って徐々に上昇する。この
ように、継続制御段階への移行直後においては、制動圧
が確実に増圧されることになるので、良好な制動力が確
保される。
【0069】継続制御段階に移行後は、基本的に図示の
様なフェーズ1,2,3,5という変化が周期的に繰り
返される。なお、継続制御段階においては、実際の路面
状態を示すMU1 に応じて制御しきい値が選択されるの
で、路面状態に応じた緻密な制動圧の制御が行なわれ
る。
【0070】<急減圧制御>◆上記コントロールユニッ
ト24は、上記通常制御に加え、適宜急減圧制御を行な
う。本実施例では、上記急減圧制御即ち急減圧フェーズ
は、初期制御段階および継続制御段階の双方で行なわれ
る。
【0071】継続制御段階においては、急減圧フェーズ
移行しきい値として路面変化のない状態下では発生し得
ない程度の大きさの車輪減速度である−25Gが設定さ
れ、車輪減速度DW1 が−25Gより小となったときに急
減圧フェーズに移行して急減圧を実行する。
【0072】初期制御段階においては、急減圧フェーズ
移行しきい値として上記路面変化のない状態下では発生
し得ない程度の大きさの車輪減速度よりも小さな値であ
る−15G(この減速度−15Gは路面変化がない状態にお
ける大きなロックの時に生じ得る)が設定され、車輪減
速度DW1 が−15Gより小となったときに急減圧フェー
ズに移行して急減圧を実行する。
【0073】さらに、本実施例では、非常に小さい値の
フェーズ4スリップしきい値B34(図7参照)を設定
し、スリップ率がB34より小さい、つまり非常に大きな
スリップが発生した場合には、初期制御段階か継続制御
段階かを問わず車輪減速度DW1 がOGより小(例えば
−1.0GはOGより小)であれば急減圧フェーズに移行
して急減圧を実行する。
【0074】また、本実施例では、初期制御段階および
継続制御段階の双方において、急減圧フェーズの直後に
保持フェーズ(以下に説明する図11のP6,P7,P8
参照)を設定し、急減圧後の車輪の挙動を観察した上で
増圧フェーズ(図9のQ11,Q21参照)に移行してい
る。
【0075】さらに、以下に詳説する様に、急減圧後の
増圧は継続制御段階に比して初期制御段階の方を大きく
したりあるいは保持から増圧への移行を早目にして、初
期制御段階における過減圧状態の早期解消を図ってい
る。
【0076】上記急減圧フェーズへの移行について、図
11に示すフローチャートを参照しながら説明する。ま
ず、P1でデータ読込みを行ない、P2でアンチスキッ
ド制御中か否かを判定し、制御中でなければリターンに
進む。制御中であればP3でスリップ率S1 がフェーズ
4スリップしきい値B34以上か否かを判定し、B34より
小であればP12に進み、車輪減速度DW1 がOGより小
のときはP6に進んで制御フェーズを急減圧フェーズ
(P1 =4)にセットし、DW1 がOG以上であればP
13に進んで前述の通常制御を実行する。
【0077】上記P3においてS1 がB34以上であれ
は、P4でFCON1=1か否かを判定し、1即ち継続制御
段階の場合はP14に進み、DW1 が−25Gより小のとき
はP6に進んで急減圧フェーズ(P1 =4)とし、−25
G以上のときはP15に進んで前述の通常制御を実行す
る。P4でFCON1=0即ち初期制御段階の場合はP5に
進み、DW1 が−15Gより小のときはP6に進んで急減
圧フェーズ(P1 =4)とし、−15G以上のきはP13に
進んで前述の通常制御を実行する。
【0078】上記P6で急減圧フェーズに移行したら、
P7でDW1 がOG以上か否かを判定し、未だOGより
小つまり減速方向にある場合はP6に戻って急減圧フェ
ーズを維持し、OG以上つまり加速方向になったらP8
で制御フェーズP1 を減圧後の保持フェーズ5にセット
し、P9でFCON =1か否かを判定し、FCON1=0であ
れば図9の(A) に割り込み、FCON1=1であれば同じく
図9の(B) に割り込む。
【0079】そして、図9のフローチャートにおいて、
Q9で急減圧後の保持か否かを判定し、通常減圧後の保
持であれば前述の様にそのままQ10に進むが、急減圧後
の保持であればQ13に進んでスリップ率S1 が80%より
大か否かを判定し、80%以下であればQ8に戻って保持
を続け、80%より大となればQ11に進んで増圧フェーズ
に移行する。
【0080】即ち、初期制御段階においては、減圧後一
旦保持して増圧に移行する場合、通常減圧のときは保持
状態でスリップ率S1 が90%(Q10参照)まで回復して
から増圧に移行するが、急減圧のときはスリップ率S1
が80%(Q13参照)まで回復したら増圧に移行する。つ
まり急減圧のときは通常減圧のときに比して早目に増圧
が開始される。
【0081】また、継続制御段階においては、減圧後一
旦保持して増圧に移行する場合、通常減圧と急減圧とを
区別することなく同様に、Q20に示す様にスリップ率S
1 がスリップしきい値BSZまで回復したら増圧が開始さ
れる。しかるに、BSZは図7に示す様に一番小さい値が
85%であり、従って上記初期制御段階における急減圧後
の増圧は、上記継続制御段階における急減圧後の増圧よ
りも早めに行なわれる。なお、初期制御段階における急
減圧後の増圧を継続制御段階におけるそれよりも早めに
行なう代りに、継続制御段階のそれよりも急増圧とする
ように構成することも可能である。
【0082】上記初期制御段階においてはとにかくロッ
クを防止したいとう観点から急減圧による過減圧の状況
が生じやすく、また初期制御段階においては実際の路面
情報を知ることができないという点からも急減圧による
過減圧の状況が生じやすい。しかるに、上記の様に急減
圧後の増圧を継続制御段階に比して初期制御段階の方の
早くあるいは急激に行なうことにより、初期制御段階で
の上記急減圧による過減圧状態を速やかに解消すること
ができる。
【0083】
【発明の効果】上記車両のスリップ制御装置は、上記の
様に初期制御段階に急減圧フェーズを設定している。従
って、初期制御段階において通常の減圧フェーズでは対
応しきれない様な大きなロックが生じた場合にも、急減
圧フェーズとすることにより十分対応することができ、
特に一旦保持して様子を見ている間に減圧遅れが生じた
様な場合にも適切に対応してロックの過大進行を阻止す
ることができる。
【0084】また、急減圧フェーズ移行判定を車輪減速
度に基づいて行なえば、急減圧が必要な場合遅滞なく速
やかに急減圧フェーズに移行できる。
【0085】また、急減圧フェーズの直後に保持フェー
ズを設定すれば、該保持フェーズの間の車輪挙動に基づ
き以後の車輪挙動をより正確に予測することができ、よ
って以後の制御をより適切なものとすることができる。
【0086】さらに、急減圧後の増圧を継続制御段階に
比して初期制御段階の方を大きくあるいは早期に行なう
ことにより、過減圧状態を速やすかに解消することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を備えた車両の全体概略構成
【図2】路面μの推定手順を示すフローチャート
【図3】疑似車体速の算出手順を示すフローチャート
【図4】疑似車体速の算出に用いるマップを示す図
【図5】制御しきい値設定手順を示すフローチャート
【図6】パラメータ選択テーブルを示す図
【図7】制御しきい値テーブルを示す図
【図8】最終しきい値テーブルを示す図
【図9】通常制御の手順を示すフローチャート
【図10】通常制御を示すタイムチャート
【図11】急減圧制御の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1,2,3,4 車輪 24 アンチスキッド制御手段、継続制御段階移行判定
部、急減圧フェーズ移行判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津山俊明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪のブレーキ圧を制御することによっ
    て車輪のスリップを制御するアンチスキッド制御手段を
    備え、該アンチスキッド制御手段は、アンチスキッド制
    御開始直後における予め設定された固定路面情報に基づ
    いて決定された制御しきい値に基づいてブレーキ圧制御
    を行なう初期制御段階から実際の路面に応じた路面情報
    に基づいて決定された制御しきい値に基づいてブレーキ
    圧制御を行なう継続制御段階への移行を判定する継続制
    御段階移行判定部を備え、かつ上記アンチスキッド制御
    手段による上記ブレーキ圧制御には少なくとも減圧フェ
    ーズと急減圧フェーズとが設定されて成る車両のスリッ
    プ制御装置において、 上記アンチスキッド制御手段は、上記初期制御段階にお
    いて急減圧フェーズへの移行を判定する急減圧フェーズ
    移行判定部を備え、該判定部による急減圧フェーズ移行
    判定に基づいて急減圧フェーズに移行するものであるこ
    とを特徴とする車両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 上記急減圧フェーズ移行判定部は、急減
    圧フェーズへの移行判定を車輪減速度に基づいて行なう
    ものであることを特徴とする請求項1記載の車両のスリ
    ップ制御装置。
  3. 【請求項3】 上記アンチスキッド制御手段は、上記急
    減圧フェーズの直後に保持フェーズを設定するものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の車両のスリップ制御
    装置。
  4. 【請求項4】 上記アンチスキッド制御手段は、上記継
    続制御段階においても急減圧フェーズを設定し、初期制
    御段階における急減圧フェーズ後の増圧フェーズでの増
    圧は、継続制御段階における急減圧フェーズ後の増圧フ
    ェーズでの増圧よりも大きく設定されていることを特徴
    とする請求項1記載の車両のスリップ制御装置。
  5. 【請求項5】 上記アンチスキッド制御手段は、上記継
    続制御段階においても急減圧フェーズを設定すると共に
    初期制御段階も継続制御段階も急減圧フェーズの直後に
    保持フェーズを設定しかつその保持フェーズの直後に増
    圧フェーズを設定し、上記初期制御段階における保持フ
    ェーズから増圧フェーズへの移行しきい値は上記継続制
    御段階における保持フェーズから増圧フェーズへの移行
    しきい値よりも早目に増圧フェーズに移行し得る値に設
    定されていることを特徴とする請求項1記載の車両のス
    リップ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7445836B2 (en) 2003-03-03 2008-11-04 Honda Motor Co., Ltd. Molded product of fiber reinforced composite material and method

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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