JPH05163426A - 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Info

Publication number
JPH05163426A
JPH05163426A JP3331976A JP33197691A JPH05163426A JP H05163426 A JPH05163426 A JP H05163426A JP 3331976 A JP3331976 A JP 3331976A JP 33197691 A JP33197691 A JP 33197691A JP H05163426 A JPH05163426 A JP H05163426A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
copper
polycarbonate resin
weight
infrared absorbing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3331976A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Miyake
祐治 三宅
Sakae Takahashi
栄 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP3331976A priority Critical patent/JPH05163426A/ja
Publication of JPH05163426A publication Critical patent/JPH05163426A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 可視光線を比較的良く透過し、近赤外線吸収
能に優れたポリカーボネート系樹脂組成物、及びシート
又はフィルム状成形体の提供。 【構成】 (A)ポリカーボネート系樹脂100重量部
に対し、 (B) 式(I)の銅化合物(例、ステアリン酸銅)、 (R−X)Cu (I) クロロフィル銅、銅クロロフィリンナトリウム及びビス
アセチルアセトナート銅0.05〜5重量部 (C)式(II)のチオ尿素誘導体(例、1−エチル−3
−フェニルチオウレア)および/または、式(III)の
チオアミド誘導体(例、N−メチルチオベンツアミド)
0.05〜50重量部を含有する組成物、そのシート、
フィルム等の成形体。 【効果】 光学的フィルター、熱線吸収性グレージング
材等として、また800〜2000nmの近赤外領域全
域に渡る強い吸収性を有し近赤外線カットフィルター等
光学材料、記録材料、熱線遮蔽材料、蓄熱材料、近赤外
線検出センサーに利用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は可視光線を比較的良く透
過し、近赤外線吸収能に優れた新規なポリカーボネート
系樹脂組成物、及びシート又はフィルム状に成形されて
成る近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂成形体に関す
るものである。近赤外線吸収材料は、最近特に研究開発
が盛んに行われている機能材料であり、近赤外領域の波
長を有する半導体レーザー光等を光源とする感光材料、
光ディスク用記録材料等の情報記録材料、赤外線カット
フィルターやフィルム等の光学材料、熱線吸収性グレー
ジング材料として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、近赤外線吸収性の光透過性材料と
しては、米国特許第3692688 号に示されるように六塩化
タングステン (WCl6)と塩化スズ(SnCl2・2H2O) をメタ
クリル酸メチルシラップ(モノマー)に溶解し、重合し
て得られる実質的にヘイズのない近赤外線吸収能に優れ
た材料が知られている。更に、この他これまでに開発さ
れた近赤外線吸収材料としては、特公昭60−42269 号公
報にはクロム、コバルト錯塩、特公昭60−21294 号公報
にはチオールニッケル錯体、特開昭61−115958号公報に
はアントラキノン誘導体、及び特開昭61−218551号公報
には700 〜800nmの領域に極大吸収波長のある新規スク
アリリウム化合物が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の近赤外線吸収材
料は、有機系のものは耐久性が悪く環境条件の変化や時
間の経過に伴って初期の能力が劣化してくるという問題
点があり、一方錯体系のものは耐久性があるが、近赤外
部のみならず可視部にも吸収があり、化合物そのものが
強く着色しているものが多く用途が制限されてしまうと
いった問題があった。更にどちらの系のものも特定の波
長において吸収ピークがみられ、そのピークからはずれ
た波長では殆ど吸収能はないものであった。これらの素
材を利用して、例えば近赤外部の波長を有するレーザー
光を光源とする記録体を考えると、レーザー線の波長と
材料の吸収ピークでの波長を合わせる必要がある。しか
し、レーザー線の波長も近赤外吸収材料の吸収波長も限
られたものしか得られないから、レーザー線の波長と近
赤外線吸収材料の吸収ピークでの波長が合致する組み合
わせは極く限られたものにならざるを得なかった。
【0004】また、上記従来技術のWCl6と SnCl2・2H2O
をメタクリル酸メチルシラップに溶解した組成物は濃青
色に発色し、近赤外線を良く吸収する性質を持っている
が、暗所で長期間放置の間に褪色するという問題点を有
してた。このように緩やかに進行するフォトクロミズム
などは一定の品質を備えた光学フィルターや熱線吸収性
グレージングなどの工業製品を提供する上で好ましくな
い問題点であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、 800〜2000nm
の近赤外領域全体に一様に吸収がみられ、着色が少なく
且つ耐久性が優れた近赤外線吸収材料について鋭意検討
を重ねた結果、銅化合物とチオ尿素系誘導体又は(及
び)チオアミド系誘導体とをポリカーボネート系樹脂中
に含有せしめることによって、目的とする優れた近赤外
線吸収材料が得られることを見出し、本発明を完成する
に至ったものである。
【0006】即ち本発明は、ポリカーボネート系樹脂 1
00重量部に対し、銅化合物が下記一般式(I) (R−X)nCu (I) 〔式中、R は水素、アルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アラルキル基及び複素環残基(各基は1個以
上の置換基を有していても良い)から成る群から選ばれ
る一価基,X は−COO,−SO4,−SO3,−PO4,−O 、n は1
〜4の整数〕で表わされる銅化合物、クロロフィル銅、
銅クロロフィリンナトリウム及びビスアセチルアセトナ
ート銅より成る群から選ばれる少なくとも一種の銅化合
物0.05〜5重量部、(C) 下記一般式(II)
【0007】
【化3】
【0008】(R1, R2, R3は、水素、アルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び5員又は
6員の複素環残基から成る群から選ばれる一価基を表わ
し、各基は1個以上の置換基を有していても良く、R1
R2又はR2とR3は連結して環を形成しても良い) で示され
るチオ尿素誘導体及び下記一般式(III)
【0009】
【化4】
【0010】(R4, は、水素、アルキル基、ア
ルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキ
ル基及び5員又は6員の複素環残基から成る群から選ば
れた一価基を表わし、R5は更にアルコキシ基をも表わ
し、各基は1個以上の置換基を有していても良く、R4
R5は連結して環を形成しても良い) で示されるチオアミ
ド誘導体から選ばれる少なくとも1種0.05〜50重量部を
含有して成ることを特徴とする近赤外線吸収ポリカーボ
ネート系樹脂組成物に関する。又本発明は、前記の組成
から成る近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物が
シート又はフィルム状に成形されて成る近赤外線吸収ポ
リカーボネート系樹脂成形体を提供することにある。
【0011】本発明において用いられるポリカーボネー
ト系樹脂とは、2価フェノールとカーボネート前駆体と
を溶液法又は溶融法で反応せしめて製造されるものであ
る。2価フェノールの代表的な例としては、 2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノール
A〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、 1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5 −ジメチルフェニル)プ
ロパン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5 −メチルフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サ
ルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン
等が挙げられる。好ましい2価フェノールは、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノー
ルAを主原料とするものである。また、カーボネート前
駆体としてはカルボニルハライド、カルボニルエステル
又はハロホルメート等が挙げられ、具体的にはホスゲ
ン、ジフェニルカーボネート、2価フェノールのジハロ
ホルメート及びこれらの混合物である。
【0012】ポリカーボネートを製造するに当り、前記
2価フェノールを単独で又は2種以上を使用することが
できる。また、得られたポリカーボネートを2種以上混
合して使用しても良い。ポリカーボネートの粘度平均分
子量は、一般に10000 〜100000、好ましくは20000 〜60
000 である。かかるポリカーボネートを製造するに際
し、適当な分子量調節剤、加工性改善のための分岐剤、
反応を促進するための触媒等必要に応じて使用すること
ができる。
【0013】また、本発明で使用する上記一般式(I)
で示される銅化合物として、下記のものを例示できる
が、これらに限定されるものではない。 ステアリン酸銅、パナミチン酸銅、オレイン酸銅、ベヘ
ン酸銅、ラウリル酸銅、カプリン酸銅、カプロン酸銅、
吉草酸銅、イソ酪酸銅、酪酸銅、プロピオン酸銅、酢酸
銅、ギ酸銅、水酸化銅、安息香酸銅、オルトトルイル酸
銅、メタトルイル酸銅、パラトルイル酸銅、パラターシ
ャリブチル安息香酸銅、オルトクロル安息香酸銅、ジク
ロル安息香酸銅、トリクロル安息香酸銅、p−ブロム安
息香酸銅、p−ヨード安息香酸銅、o−ベンゾイル安息
香酸銅、p−ニトロ安息香酸銅、アントラニル酸銅、p
−アミノ安息香酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク
酸銅、グルタル酸銅、アジピン酸銅、ピメリン酸銅、ス
ベリン酸銅、アゼライン酸銅、セバシン酸銅、フタル酸
銅、モノエステルフタル酸銅、ナフテン酸銅、ナフタリ
ンカルボン酸銅、酒石酸銅、ジフェニルアミン−2−カ
ルボン酸銅、4−シクロヘキシル酪酸銅、ジエチルジチ
オカルバミン酸銅、グルコン酸銅、ジエトキシ銅、ジ−
i−プロポキシ銅、オクチル酸銅、アルキルベンゼンス
ルホン酸銅、p−トルエンスルホン酸銅、ナフタリンス
ルホン酸銅、ナフチルアミンスルホン酸銅、n−ドデシ
ルベンゼンスルホン酸銅、ドデシル硫酸銅、2,5 −ジメ
チルベンゼンスルホン酸銅、2−カルボメトキシ−5−
メチルベンゼンスルホン酸銅、α−ナフチルリン酸銅、
ジ−2−エチルヘキシルリン酸銅、イソデシルリン酸
銅。
【0014】本発明で使用する一般式(II)で示される
チオ尿素誘導体として以下のものを例示できるが、これ
らに限定されるものではない。 1−エチル−3−フェニルチオウレア、1,3 −ジフェニ
ルチオウレア、1,3 −ジエチルチオウレア、1−エチル
−3− p−クロロフェニルチオウレア、1−エチル−3
−(2−ヒドロキシエチル)チオウレア、1−(2−チ
アゾリル)−3−フェニルチオウレア、1,3 −ジステア
リルチオウレア、1,3 −ジベヘニルチオウレア、1−エ
チルチオウレア、1−p−ブロモフェニル−3−フェニ
ルチオウレア、1−(2−チオフェニル)−3−フェニ
ルチオウレア、1,3 −ビス(2−ヒドロキシエチル)チ
オウレア、1−p−アミノフェニル−3−フェニルチオ
ウレア、1−p−ニトロフェニル−3−フェニルチオウ
レア、1−p−ヒドロキシフェニル−3−フェニルチオ
ウレア、1,3 −ジ− m−クロルフェニルチオウレア、エ
チレンチオウレア、チオウレア、1−メチル−3− p−
ヒドロキシフェニルチオウレア、1−フェニルチオウレ
ア、1− m−ニトロフェニルチオウレア、1− p−ニト
ロフェニルチオウレア、1− p−アミノフェニルチオウ
レア、1,3 −ジメチルチオウレア、1,3 −ジシクロヘキ
シルチオウレア、1−フェニル−3−p−クロロフェニ
ルチオウレア、1−フェニル−3− p−メトキシフェニ
ルチオウレア、1,1 −ジフェニルチオウレア、1,1 −ジ
ベンジル−3−フェネチルチオウレア、1−フェニル−
3−(2−ヒドロキシエチル)チオウレア。
【0015】本発明で使用する一般式(III)で示される
チオアミド誘導体として以下のものを例示できるが、こ
れらに限定されるものではない。 N−メチルチオベンツアミド、 N−フェニルチオベンツ
アミド、 N−エチルチオエチルアミド、 N−エチルチオ
− p−クロルベンツアミド、 N−プロピルチオベンツア
ミド、 N−エチルチオステアリルアミド、 N−1−(2
−チアゾリル)チオベンツアミド、 N−ステアリルチオ
ステアリルアミド、 N−ベヘニルチオベヘニルアミド、
チオアセトアミド、 N−フェニル−チオ− p−ブロモベ
ンツアミド、 N−1−(2−チオフェニル)チオベンツ
アミド、 N−ベヘニルチオアセトアミド、 N− p−アミ
ノフェニルチオベンツアミド、 N− p−ニトロフェニル
チオベンツアミド、 N− p−ヒドロキシフェニルチオベ
ンツアミド、 N− m−クロルフェニルチオベンツアミ
ド、チオニコチン酸アミド、チオアセトアニリド、 O−
エチル− N−フェニル(チオカルバマート)、チオベン
ツアミド、チオ− m−ニトロベンツアミド、チオ− p−
ニトロベンツアミド、チオ− p−アミノベンツアミド、
N−メチルチオアセトアミド、 N−シクロヘキシルベン
ツアミド、 N−クロロフェニルチオベンツアミド、 N−
p−メトキシフェニルチオベンツアミド、 N−ステアリ
ルチオベンツアミド。
【0016】本発明において用いられる銅化合物とチオ
尿素誘導体又は(及び)チオアミド誘導体は、可視及び
近赤外域の透過率の設定によって含有させる量を変化さ
せることができる。銅化合物の添加量は、ポリカーボネ
ート系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部、好まし
くは0.05〜2.5重量部である。また、チオ尿素誘導体の
添加量は、ポリカーボネート系樹脂 100重量部に対して
0.05〜50重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。ま
た、チオアミド誘導体の添加量は、ポリカーボネート系
樹脂 100重量部に対して0.05〜50重量部、好ましくは0.
05〜10重量部である。また、同じ含有量でも透過率は本
発明で得られる樹脂材料が例えば板である時、その板厚
によって変化するので、最終的には設定した板厚におけ
る透過率が得られる様に含有量を決定する必要がある。
【0017】本発明において銅化合物とチオ尿素誘導体
又は(及び)チオアミド誘導体の添加量がポリカーボネ
ート系樹脂 100重量部に対してそれぞれ0.05重量部未満
の場合には、近赤外線吸収能の向上が十分でなく、一方
銅化合物の添加量がポリカーボネート系樹脂 100重量部
に対して5重量部を超える場合には、近赤外線吸収能の
向上は見られず、チオ尿素誘導体又は(及び)チオアミ
ド誘導体の添加量がポリカーボネート系樹脂 100重量部
に対して50重量部を超える場合には、近赤外線吸収能の
向上が見られず、材料中にヘイズが発生する恐れがあ
る。
【0018】尚、上記成分の他に、必要に応じて一般に
使用されている添加剤、例えば難燃剤、熱安定剤、抗酸
化剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、無機充
填剤、ガラス繊維等の補強材等を配合することもでき
る。本発明におけるポリカーボネート系樹脂、チオ尿素
誘導体、チオアミド誘導体、銅化合物の混合方法として
は、特別な手段、混合順序を要することなく、汎用の混
合装置、例えば熱ロール、バンバリーミキサー又は押出
機により容易に製造できる。フィルム又はシートは、通
常の製造法によって製造されたもので良い。押出機によ
るTダイ法、インフレーション成形法、カレンダー成形
法、圧縮成形法によって製造できる。
【0019】フィルム又はシートの厚さは、特に制限は
ないが、0.01〜10mmの範囲内であるので好ましい。尚、
更にシートの強度を増加したり、模様を付ける時は、例
えば、約5mm角の格子状にガラスフィラメントヤーンを
編織したガラス繊維ネットやステンレス製金網を内部に
含有させて成形しても良い。
【0020】
【作用】上記の如く、一般式(I)の銅化合物或はクロ
ロフィル銅、銅クロロフィリンナトリウム、ビスアセチ
ルアセトナイト銅と一般式(II)のチオ尿素誘導体又は
一般式(III)のチオアミド誘導体とを含有した混合物を
ポリカーボネート系樹脂に上記混合方法により加熱混練
することによって 800〜2000nmの全域に渡りほぼ一様に
近赤外線を吸収するようになる。その理由は明らかでな
いが、以下に示す実施例及び比較例から明らかな様に、
チオ尿素誘導体、チオアミド誘導体或は銅化合物をそれ
ぞれ単独でポリカーボネート系樹脂に加熱混練しても 8
00〜2000nmの近赤外領域全域に渡りほぼ一様に且つ強く
近赤外線を吸収することはなく、単にポリカーボネート
系樹脂、チオ尿素誘導体或はチオアミド誘導体と銅化合
物とを混合しただけでも同様であることからすれば、チ
オ尿素誘導体又はチオアミド誘導体と銅化合物とを含有
した混合物をポリカーボネート系樹脂に上記混合方法に
より加熱混練することにより、チオ尿素誘導体又はチオ
アミド誘導体と銅化合物との間で何らかの反応が起き、
コンプレックス(錯体)が生じていることによると推定
される。
【0021】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明の詳細を述べ
るが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではな
い。尚、実施例中の添加割合は全て重量部を示す。ま
た、得られた樹脂材料の透過スペクトルは、分光光度計
((株)日立製作所製:323型) で測定した。近赤外
線吸収性の判定は、900 、1000、1100、1500nmの各波長
の吸収値の平均が80%以上のものを◎、60%以上を○、
30%以上を△、30%以下を×とした。
【0022】近赤外線吸収性の熱、湿度、光に対する安
定性を下記の方法で測定した。
【0023】耐熱性・耐湿性:近赤外線吸収性シートを
80℃、 100%RHのオーブン中に480時間放置した後、
近赤外線吸収性を再度分光光度計 (波長:1000nm) で測
定した。その保存性は、下記式により算出した結果で評
価した。
【0024】
【数1】
【0025】耐光性:近赤外線吸収性シートをUV(紫
外線)テスター(大日本プラスチックス(株)製、超促
進耐光試験機)で 200時間光照射した後、近赤外線吸収
性を再度分光光度計 (波長:1000nm) で測定した。その
保存性は、下記式により算出した結果で評価した。
【0026】
【数2】
【0027】熱安定性は、射出成形機を用いて 230℃の
設定温度で滞留時間20分後成形を実施し、得られたサン
プルの色調変化を日本電色(株)製色差計にて測定し、
L.a.b.法により色差(ΔE)を求め、以下のように判定
した。 ◎:優良 ○:良好 △:ヤケ無(黄色変化大) ×:ヤケ有実施例1〜23 表1、表2に示す組合わせのチオ尿素化合物2重量部と
銅化合物 0.2重量部とをポリカーボネート樹脂 100重量
部に添加し、タンブラーミキサーで20分間混合し、40mm
φ押出成型機によって 300℃で混練後、ペレットにし
た。次いでこのペレットを乾燥し、射出成型機を用いて
厚さ3mmのヘイズのない緑色の透明樹脂板を作製した。
得られたこれらの板について透過スペクトルを測定し
た。表4に結果を示すが、近赤外域の吸収能に優れてい
た。
【0028】実施例24〜33 表2に示す組合わせと添加量でチオ尿素化合物と銅化合
物とをポリカーボネート樹脂 100重量部に添加し、タン
ブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出成型機によ
って 300℃で混練後、ペレットにした。次いでこのペレ
ットを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ3mmのヘイズの
ない緑色の透明樹脂板を作製した。得られたこれらの板
について透過スペクトルを測定した。表5に結果を示す
が、近赤外域の吸収能に優れていた。
【0029】実施例34〜37 表2に示す組合わせと添加量でチオアミド化合物と銅化
合物とをポリカーボネート樹脂 100重量部に添加し、タ
ンブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出成型機に
よって 300℃で混練後、ペレットにした。次いでこのペ
レットを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ3mmのヘイズ
のない緑色の透明樹脂板を作製した。得られたこれらの
板について透過スペクトルを測定した。表5に結果を示
すが、近赤外域の吸収能に優れていた。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】実施例38 実施例1の組合わせの配合をタンブラーミキサーで20分
間混合し、40mmφ押出成形機によって 300℃でTダイ成
形法により1mm厚にシート化した。冷却ロールの温度は
120℃であった。得られた近赤外線吸収性シートの遮熱
効果を図1に示した装置を用いて測定した。1は60Wの
白熱電球、2は測定試料、3は精密温度計である。その
結果は図2の通りであった。近赤外線吸収性シートの遮
熱効果を図中のAで示すが、同図に示す近赤外線吸収剤
を含まない通常のポリカーボネート樹脂の遮熱効果を示
したBとの比較から、近赤外域の遮熱能に優れているこ
とが分かる。また、実施例1で得られた透明樹脂シート
の透過スペクトルを図3中のAで示すが、同図に示す近
赤外線吸収剤を含まない通常のポリカーボネート樹脂シ
ートの透過スペクトルBとの比較から分かるように、こ
の樹脂シートは可視域の光は比較的よく透過するが、通
常のポリカーボネート樹脂シートに見られない近赤外域
の吸収能に優れていた。
【0033】比較例1〜9 表3に示すチオ尿素化合物、チオアミド化合物若しくは
銅化合物を各々単独でポリカーボネート樹脂 100重量部
に添加し、タンブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ
押出成型機によって 300℃で混練後、ペレットにした。
次いでこのペレットを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ
3mmのヘイズのない緑色の透明樹脂板を作製した。得ら
れたこれらの板について透過スペクトルを測定した。表
5に結果を示すが、全て30%以下の近赤外線吸収能しか
なかった。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】表4、表5によればチオ尿素化合物又はチ
オアミド化合物と銅化合物とを混練したポリカーボネー
ト系樹脂のシートは、強い近赤外線吸収性シートとなる
ことが明らかである。また、この近赤外線吸収性は、加
熱や加湿或は露光によって殆ど低下せず、取扱いや保存
の環境条件の変化に対して安定性が高いものであること
が分かる。尚、チオ尿素化合物、チオアミド化合物或は
銅化合物とを単独に混練したポリカーボネート系樹脂の
シートは、近赤外線吸収性を実質的に示さなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明の近赤外線吸収ポリカーボネート
系樹脂組成物を加熱混練し、シート又はフィルム状に成
形されてなる樹脂材料は褪色などの不安定性はなく、暗
所に長期間放置により褪色するというフォトクロミズム
も見られず、優れた近赤外線吸収能を示すので、光学的
フィルター、熱線吸収性グレージング材等として工業的
に有用である。また、得られた近赤外線吸収シートは 8
00〜2000nmの近赤外領域全域にわたる強い吸収性を有し
ている。これらの性質を利用することによって近赤外線
カットフィルターなどの光学材料、記録材料、熱線遮蔽
材料、蓄熱材料、近赤外線検出センサー等として利用で
きる。本発明の組成物は、金属を含んでいるにもかかわ
らず、着色が少ないから、これらを含有したシート、フ
ィルム等の成形体は外観が優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】近赤外線吸収性シートの遮熱効果を測定する装
置の概略図である。
【図2】遮熱効果の測定結果を示す図である。
【図3】透過スペクトルを示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) ポリカーボネート系樹脂 100重量部に
    対し、 (B) 下記一般式(I) (R−X)nCu (I) 〔式中、R は水素、アルキル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、アラルキル基及び複素環残基(各基は1個以
    上の置換基を有していても良い)から成る群から選ばれ
    る一価基,X は−COO,−SO4,−SO3,−PO4,−O 、n は1
    〜4の整数〕で表わされる銅化合物、クロロフィル銅、
    銅クロロフィリンナトリウム及びビスアセチルアセトナ
    ート銅より成る群から選ばれる少なくとも一種の銅化合
    物0.05〜5重量部、 (C) 下記一般式(II) 【化1】 (R1, R2, R3は、水素、アルキル基、シクロアルキル
    基、アリール基、アラルキル基及び5員又は6員の複素
    環残基から成る群から選ばれる一価基を表わし、各基は
    1個以上の置換基を有していても良く、R1とR2又はR2
    R3は連結して環を形成しても良い) で示されるチオ尿素
    誘導体及び下記一般式(III) 【化2】 (R4, は、水素、アルキル基、アルケニル基、
    シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び5員
    又は6員の複素環残基から成る群から選ばれた一価基を
    表わし、R5は更にアルコキシ基をも表わし、各基は1個
    以上の置換基を有していても良く、R4とR5は連結して環
    を形成しても良い) で示されるチオアミド誘導体から選
    ばれる少なくとも1種0.05〜50重量部を含有して成るこ
    とを特徴とする近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の近赤外線吸収ポリカーボ
    ネート系樹脂組成物がシート又はフィルム状に成形され
    てなる近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂形成体。
JP3331976A 1991-12-16 1991-12-16 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体 Pending JPH05163426A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3331976A JPH05163426A (ja) 1991-12-16 1991-12-16 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3331976A JPH05163426A (ja) 1991-12-16 1991-12-16 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05163426A true JPH05163426A (ja) 1993-06-29

Family

ID=18249756

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3331976A Pending JPH05163426A (ja) 1991-12-16 1991-12-16 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05163426A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6291585B1 (en) 1997-12-24 2001-09-18 Sumitomo Dow Limited Transparent resin compositions containing a thiuram compound and certain copper compounds
JP2005097577A (ja) * 2003-08-29 2005-04-14 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 近赤外線を吸収する透明樹脂組成物
JP2008018585A (ja) * 2006-07-12 2008-01-31 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 近赤外線吸収性能を備えた樹脂成形体の製造方法
US7449506B2 (en) 2002-08-06 2008-11-11 Sumitomo Dow Limited Flame-retardant polycarbonate resin composition
US7960450B2 (en) 2006-08-25 2011-06-14 Styron Europe Gmbh Flame retardant and light diffusing polycarbonate resin composition and light diffusing sheet thereof
US8426015B2 (en) 2007-06-12 2013-04-23 Styron Europe Gmbh Clear and flame retardant polycarbonate resin film

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6291585B1 (en) 1997-12-24 2001-09-18 Sumitomo Dow Limited Transparent resin compositions containing a thiuram compound and certain copper compounds
US7449506B2 (en) 2002-08-06 2008-11-11 Sumitomo Dow Limited Flame-retardant polycarbonate resin composition
JP2005097577A (ja) * 2003-08-29 2005-04-14 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 近赤外線を吸収する透明樹脂組成物
JP4689987B2 (ja) * 2003-08-29 2011-06-01 三菱樹脂株式会社 近赤外線を吸収する透明樹脂組成物
JP2008018585A (ja) * 2006-07-12 2008-01-31 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 近赤外線吸収性能を備えた樹脂成形体の製造方法
US7960450B2 (en) 2006-08-25 2011-06-14 Styron Europe Gmbh Flame retardant and light diffusing polycarbonate resin composition and light diffusing sheet thereof
US8426015B2 (en) 2007-06-12 2013-04-23 Styron Europe Gmbh Clear and flame retardant polycarbonate resin film

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2537898B1 (en) Polycarbonate resin composition and molded article comprising same
JP3206940B2 (ja) 近赤外線吸収メタクリル系樹脂組成物及びその成形体
JP5963210B2 (ja) 熱吸収特性および高い耐候性安定性を有するポリマー組成物
JP3224869B2 (ja) 近赤外線吸収透明樹脂組成物及びその成形体
JP5055294B2 (ja) 眼鏡レンズ
JP2664630B2 (ja) 熱線遮蔽材
JPH05163426A (ja) 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体
JP3150745B2 (ja) 近赤外線吸収剤用組成物並びに近赤外線吸収材料及びそれらを含有した成形体
JP3195854B2 (ja) 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂積層体およびその成形体
JP3088161B2 (ja) 近赤外線吸収スチレン系樹脂組成物及びその成形体
CN112654670B (zh) 聚碳酸酯树脂组合物和包含该聚碳酸酯树脂组合物的光学模制品
JP3513525B2 (ja) 近赤外線吸収透明樹脂組成物及びその成形体
JPH05163405A (ja) 近赤外線吸収塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体
JP4820972B2 (ja) ポリカーボネート樹脂の回転成形方法
JP3135332B2 (ja) 近赤外線吸収ポリカーボネート系樹脂積層体及びその成形体
JP3279415B2 (ja) 近赤外線吸収透明樹脂組成物およびその成形体
EP3702409B1 (en) Polycarbonate resin composition and optical molded product including the same
JP4525998B2 (ja) 耐光性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP3195855B2 (ja) 近赤外線吸収メタクリル系樹脂積層体およびその成形体
JPH06306203A (ja) 近赤外線遮断透明樹脂組成物およびその成形体
US20120119170A1 (en) Color changing polymer-based article
US3640951A (en) Stabilized polycarbonates
JPH07145246A (ja) 紫外線吸収剤含有樹脂成形品及びその製造方法
JP2002114903A (ja) 耐光性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる積層体
JP2664630C (ja)