JP3513525B2 - 近赤外線吸収透明樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

近赤外線吸収透明樹脂組成物及びその成形体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は近赤外線吸収材料の製造
に関する。近赤外線吸収材料は、最近とくに研究開発
が盛んに行われている機能材料であり、近赤外領域の波
長を有する半導体レーザー光等を光源とする感光材料、
光ディスク用記録材料などの情報記録材料、赤外線カッ
トフィルターやフィルム等の光学材料、熱線吸収性グレ
ージング材料として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、近赤外線吸収性の光透過性材料と
しては、米国特許第 3692688号明細書に示されるように
六塩化タングステン(WCl6)と塩化スズ(SnCl2・2H2O)
をメタクリル酸メチルシラップ(モノマー)に溶解して
重合して得られる実質的にヘイズのない近赤外線吸収能
に優れた材料が知られている。
【0003】更に、このほか、これまでに開発された近
赤外線吸収材料としては、特公昭60−42269 号公報にク
ロム、コバルト錯塩、特公昭60−21294 号公報にチオー
ルニッケル錯体、特開昭61−115958号公報にアントラキ
ノン誘導体、特開昭61−218551号公報には 700〜800nm
の領域に極大吸収波長のある新規スクアリリウム化合物
が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の近赤外線吸収材
料は、有機系のものは耐久性が悪く環境条件の変化や時
間の経過にともなって初期の能力が劣化してくるという
問題点があり、一方錯体系のものは耐久性があるが近赤
外部のみならず可視部にも吸収があり化合物そのものが
強く着色しているものが多く用途が制限されてしまうと
いった問題があった。更にどちらの系のものも特定の波
長において吸収ピークがみられ、そのピークからはずれ
た波長では殆ど吸収能はないものであった。これらの素
材を利用して、例えば近赤外部の波長を有するレーザー
光を光源とする記録体を考えると、レーザーの波長と材
料の吸収ピークを合わせる必要がある。しかし、レーザ
ーの波長も近赤外吸収材料の吸収波長も限られたものし
か得られないから、レーザーの波長と近赤外線吸収材料
の吸収ピークが合致する組み合わせは極く限られたもの
にならざるを得なかった。
【0005】また、上記従来技術のWCl6と SnCl2・2H2O
をメタクリル酸メチルシラップに溶解した組成物は濃青
色に発色し近赤外線をよく吸収する性質を持っている
が、暗所で長期間放置の間に褪色するという問題点を有
していた。このように緩やかに進行するフォトクロミズ
ムなどは一定の品質を備えた光学フィルターや熱線吸収
性グレージングなどの工業製品を提供する上で好ましく
ない問題点であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、特定の粒径の硫化第二銅を透明樹脂中に
含有せしめることによって、 800〜2000nmの近赤外領域
全体に一様に吸収がみられ、着色が少なくかつ耐久性が
優れた近赤外線吸収材料が得られることを見出し本発明
を完成した。
【0007】即ち、本発明は、(A) 透明樹脂 100重量部
に対し、(B) 平均粒径0.05〜4μmの硫化第二銅0.01〜
5重量部を配合し、熱ロール、バンバリーミキサー又は
押出機で加熱混練してなる近赤外線吸収能に優れた透明
樹脂組成物の製造法に関する。又、本発明は、これらの
近赤外線吸収能に優れた透明樹脂組成物シート、フィ
ルム状に成形する近赤外線吸収透明樹脂成形体の製造法
を提供する。
【0008】本発明において用いられる透明樹脂として
は、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、メタク
リル酸エステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、
不飽和ポリエステル系樹脂などを挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0009】ポリカーボネート系樹脂とは、2価フェノ
ールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反
応せしめて製造されたものであり、2価フェノールの代
表的な例をあげると 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1 −ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、2,2 −ビス(4−ヒドロキシ
−3,5 −ジメチルフェニル)プロパン、2,2 −ビス(4
−ヒドロキシ−3,5 −メチルフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好まし
い2価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
アルカン系、特にビスフェノールAを主原料とするもの
である。又、カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等が挙
げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネー
ト、2価フェノールのジハロホルメート及びこれらの混
合物である。
【0010】スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体並
びに該単量体と共重合可能な他のビニル単量体からなる
それぞれの群から選ばれる少なくとも一種の単量体を用
い、更に必要に応じて、ゴム状物質をも存在させて得ら
れたものであり、スチレン系単量体とはスチレン、α−
メチルスチレン、及びベンゼン核の水素原子がハロゲン
原子や炭素数1〜2のアルキル基で置換されたスチレン
誘導体などを総称するものであり、かかるスチレン系単
量体として代表的なものを例示すれば、スチレン、o−
クロルスチレン、p−メチルスチレン、 2,4−ジメチル
スチレン、又はt−ブチルスチレンなどである。又、前
記した共重合可能な他のビニル単量体として代表的なも
のには、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリ
ロニトリルもしくはシアン化ビニリデンの如きアクリロ
ニトリル系単量体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸−2−エチルヘキシルブチルもしくは
(メタ)アクリル酸−β−ヒドロキシエチルの如き(メ
タ)アクリル酸及びそれらの各種エステル酸;あるいは
酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロ
リドン、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、又はマレイミドをはじめ、ビニルケトン
類、又はビニルエーテル類などがある。更に、前記した
ゴム状物質として代表的なものにはポリブタジエン・ゴ
ム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合ゴ
ム、エチレン・プロピレンターポリマー系ゴム、ブタジ
エン・アクリロニトリル共重合ゴム、ブチルゴム、アク
リル系ゴム、スチレン・イソブチレン・ブタジエン共重
合ゴム、又はイソプレン・アクリル酸エステル系共重合
ゴムをはじめとするイソプレンもしくはクロロプレンの
如き共役 1,3−ジエン系単量体を用いて得られたゴムな
どがあるが、これらは一種あるいは二種以上の組み合わ
せで用いられる。
【0011】メタクリル酸エステル系樹脂とは、重合性
原料としてメタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチル
を主成分とする重合性不飽和単量体により製造されたも
のであり、メタクリル酸メチルと共重合可能な重合性不
飽和単量体の例としては(メタ)アクリル酸(アクリル
酸あるいはメタクリル酸の意。以下同様)、アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テ
トラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸アリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が具
体例として挙げることができる。重合原料としてメタク
リル酸メチルを主成分とする重合性不飽和単量体を使用
する場合、メタクリル酸メチルを50重量%以上、好まし
くは60重量%以上含むことが望ましい。重合原料として
メタクリル酸メチル又はメタクリル酸メチルを主成分と
する重合性不飽和単量体中に該単量体の重合体を含有す
るシラップを得る方法としては、通常行われているよう
に塊状予備重合により部分重合物を得る方法、あるいは
重合物を単量体に溶解する方法が挙げられ、キャスティ
ング時の注入を考慮して35重量%以下の重合体含有率に
調整することが好ましい。又、次のような代表的な重合
方法である懸濁重合、乳化重合、溶液重合を用いて製造
したメタクリル酸エステル系樹脂も使用出来る。
【0012】塩化ビニル系樹脂としては、熱安定性、引
張強度、耐熱性に優れたホモ塩化ビニル樹脂が望ましい
が、少量のコモノマーを共重合させた塩化ビニルを主体
とする塩化ビニル系共重合体、グラフト共重合体、更に
は塩化ビニル系樹脂と相溶性の良い樹脂、例えば塩化ビ
ニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリ
エチレン等を少量含むブレンドポリマーでも差し支えな
い。更に、これらの混合物も有用である。
【0013】ポリオレフィン系樹脂とは、α−オレフィ
ンの単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単
量体との共重合体であり、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密
度が 0.910〜0.935 の低密度ポリエチレンやエチレン−
α−オレフィン共重合体及び酢酸ビニル含有量が30重量
%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が透明性や耐候
性や価格の点から農業用フィルムとして好ましい。更
に、酢酸ビニル含有量が5重量%以上、30重量%以下の
エチレン−酢酸ビニル共重合体はこれらのうちでも透明
性、柔軟性、耐候性等の点でより好ましい。
【0014】ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂と
しては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、
ナイロン−46、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリエーテル
エーテルケトンなどが例示できる。
【0015】本発明に使用する硫化第二銅は平均粒径が
0.05〜4μm であり、好ましくは0.05〜3μm である。
微粉砕法としては、ヘンシェルミキサーを使用し、ポリ
カーボネート樹脂に硫化第二銅を加え、回転数1500〜30
00rpm にて5〜10分間混合することにより、均一に微粉
化する方法や多本数圧縮エアーにて室内を空気の高速回
転室にし、そこに硫化第二銅を少量づつ加えてゆくこと
により、硫化第二銅同士の衝突、壁面衝突により微粉砕
させてゆくジェットミル方法が適当であるが、これらの
方法に限定されるものではない。平均粒径が0.05μm 未
満の場合は、粒子が二次凝集を起こして分散が悪くな
り、4μm を超える場合は、そのまま樹脂を混合成形す
ると硫化第二銅の結晶そのものがシート内に残り、20〜
100 μm の大きな異物となり、その数も1m2当たり数十
〜100 個の多さに至り、成形品を不良品とする。また、
4μm を超える場合は、近赤外線 (熱線) を良く透過し
てしまい、その効果は低くなる。
【0016】硫化第二銅の添加量は、透明樹脂 100重量
部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部
である。硫化第二銅の添加量が0.01重量部未満の場合に
は、近赤外線吸収能の向上が十分でなく、一方硫化第二
銅の添加量が5重量部を超える場合には近赤外線吸収能
の向上は見られず、材料中にヘイズが発生する恐れがあ
る。又、同じ含有量でも透過率は本発明で得られる樹脂
材料が例えば板であるとき、その板厚によって変化する
ので最終的には、設定した板厚における透過率が得られ
る様に含有量を決定することができる。
【0017】本発明においては、更に吸収効果及び透明
性の向上のために、下記の一般式(I) で表される化合物
の中から選ばれる1種以上のチオ尿素誘導体及び/又は
下記の一般式(II)で表される化合物の中選ばれる1種以
上のアミド誘導体を使用することができる。
【0018】
【化1】
【0019】(式中、R1、R2、R3は、水素、アルキル
基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は
5員又は6員の複素環残基からなる群から選ばれた一価
基を表し、各基は1個以上の置換基を有していてもよ
く、R1とR2又はR2とR3は連結して環を形成してもよ
い。)
【0020】
【化2】
【0021】(式中、R4、R5は、水素、アルキル基、ア
ルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキ
ル基又は5員又は6員の複素環残基からなる群から選ば
れた一価基を表すか、又はR5はアルコキシ基を表し、各
基は1個以上の置換基を有していてもよく、R4とR5は連
結して環を形成してもよい。) 本発明で使用する一般式(I) で示されるチオ尿素誘導体
として以下のものを例示できるが、これらに限定される
ものではない。
【0022】1−エチル−3−フェニルチオウレア、
1,3−ジフェニルチオウレア、 1,3−ジエチルチオウレ
ア、1−エチル−3−p−クロロフェニルチオウレア、
1−エチル−3−(2−ヒドロキシエチル)チオウレ
ア、1−(2−チアゾリル)−3−フェニルチオウレ
ア、 1,3−ジステアリルチオウレア、 1,3−ジベヘニル
チオウレア、1−エチルチオウレア、1−p−ブロモフ
ェニル−3−フェニルチオウレア、1−(2−チオフェ
ニル)−3−フェニルチオウレア、 1,3−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)チオウレア、1−p−アミノフェニル
−3−フェニルチオウレア、1−p−ニトロフェニル−
3−フェニルチオウレア、1−p−ヒドロキシフェニル
−3−フェニルチオウレア、 1,3−ジ−m−クロルフェ
ニルチオウレア、エチレンチオウレア、チオウレア、1
−メチル−3−p−ヒドロキシフェニルチオウレア、1
−フェニルチオウレア、1−m−ニトロフェニルチオウ
レア、1−p−ニトロフェニルチオウレア、1−p−ア
ミノフェニルチオウレア、 1,3−ジメチルチオウレア、
1,3−ジシクロヘキシルチオウレア、1−フェニル−3
−p−クロロフェニルチオウレア、1−フェニル−3−
p−メトキシフェニルチオウレア、1,1 −ジフェニルチ
オウレア、1,1 −ジベンジル−3−フェネチルチオウレ
ア、1−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)チオ
ウレア。
【0023】本発明で使用する一般式(II)で示されるア
ミド誘導体として以下のものを例示できるが、これらに
限定されるものではない。
【0024】N−メチルベンツアミド、 N−フェニルベ
ンツアミド、 N−フェニルステアリルアミド、 N−エチ
ルエチルアミド、 N−エチル−p−クロルベンツアミ
ド、 N−プロピルベンツアミド、 N−エチルステアリル
アミド、 N−1−(2チアゾリル)ベンツアミド、 N−
ステアリルステアリルアミド、 N−ベヘニルベヘニルア
ミド、アセトアミド、 N−フェニル−p−ブロモベンツ
アミド、 N−ベヘニルアセトアミド、 N−p−アミノフ
ェニルベンツアミド、 N−p−ニトロフェニルベンツア
ミド、 N−p−ヒドロキシフェニルベンツアミド、 N−
m−クロルフェニルベンツアミド、ニコチン酸アミド、
アセトアニリド、O−エチル−N−フェニル(カルバマー
ト)、ベンツアミド、m−ニトロベンツアミド、p−ニ
トロベンツアミド、p−アミノベンツアミド、 N−メチ
ルアセトアミド、 N−シクロヘキシルベンツアミド、 N
−クロロフェニルベンツアミド、 N−p−メトキシフェ
ニルベンツアミド、 N−ステアリルベンツアミド。
【0025】チオ尿素誘導体及び/又はアミド誘導体の
添加量は、透明樹脂 100重量部に対して 0.001〜1重量
部、好ましくは 0.002〜0.5 重量部である。チオ尿素誘
導体及び/又はアミド誘導体の添加量が 0.001重量部未
満の場合には、添加効果がなく、一方、チオ尿素誘導体
及び/又はアミド誘導体の添加量が1重量部を超える場
合には吸収効果は著しいが透明性の低下も著しい。
【0026】なお、上記成分の他に、必要に応じて硫化
第二銅の分散をより良好にするために、例えばソルビタ
ンモノステアレートのようなソルビタン脂肪酸エステル
やグリセリンモノステアレートのようなグリセリン脂肪
酸エステルなどの分散剤を本発明の組成物に対して添加
して用いることも有効であり、また適当な添加剤、例え
ば難燃剤、熱安定剤、抗酸化剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、滑剤、着色剤、無機充填剤、ガラス繊維等の補強材
などを配合することもできる。
【0027】本発明における透明樹脂、硫化第二銅、チ
オ尿素誘導体及び/又はアミド誘導体の混合方法として
は、特別な手段、順序を要することなく、慣用の混合装
置、例えば、熱ロール、バンバリーミキサー又は押出機
により容易に製造できる。
【0028】フィルム又はシートは、通常の製造法によ
って製造されたもので良い。押出機によるTダイ法、イ
ンフレーション成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法
によって製造できる。
【0029】フィルムまたはシートの厚さは、特に制限
はないが、0.01〜10mmの範囲内であるのが好ましい。な
お、更にシートの強度を増加したり、模様を付けるとき
は、例えば、約5mm角の格子状にガラスフィラメントヤ
ーンを編織したガラス繊維ネットやステンレス製金網を
内部に含有させて成形してもよい。
【0030】
【作用】上記の如く、平均粒径が0.05〜4μm の硫化第
二銅を含有した透明樹脂に上記混合方法により加熱混練
することによって 800〜2000nmの全域にわたりほぼ一様
に近赤外線を吸収するようになるが、その詳しい作用機
構は未だ明らかでない。
【0031】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明の詳細を述べ
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
以下の例における添加割合は全て重量部を示す。
【0032】又、得られた樹脂材料の透過スペクトル
は、分光光度計((株)日立製作所製:323 型)で測定し
た。
【0033】近赤外線吸収能の判定は、900 、1300、16
00、1900nmの各波長の近赤外線吸収値 (%) で表した。
【0034】実施例1 ジェットミル方法により微粉砕した平均粒径 1.6μm の
硫化第二銅をビスフェノールAからなるポリカーボネー
ト樹脂 100重量部に対して 0.1重量部添加し、タンブラ
ーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出成型機によって
300℃で混練後、ペレットにした。次いでこのペレット
を乾燥し、射出成型機を用いて厚さ 0.7mmのヘイズのな
い緑色の透明樹脂板を作成した。得られたこれらの板に
ついて透過スペクトルを測定し、表1にその結果を示
す。
【0035】比較例1 平均粒径 9.5μm の硫化第二銅をビスフェノールAから
なるポリカーボネート樹脂 100重量部に対して 0.1重量
部添加し、タンブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ
押出成型機によって 220℃で混練後、ペレットにした。
次いでこのペレットを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ
0.7mmのヘイズのない緑色の透明樹脂板を作成した。得
られたこれらの板について透過スペクトルを測定し、表
1にその結果を示す。
【0036】比較例2 硫化第二銅無添加のビスフェノールAからなるポリカー
ボネート樹脂を、射出成型機を用いて厚さ 0.7mmのヘイ
ズのない透明樹脂板を作成した。得られたこれらの板に
ついて透過スペクトルを測定し、表1にその結果を示
す。
【0037】
【表1】
【0038】表1によれば平均粒径 1.6μm の硫化第二
銅を混練した透明樹脂のシートは、強い近赤外線吸収性
シートとなることが明らかである。
【0039】
【発明の効果】本発明は、以上述べたように、透明樹脂
100重量部に対して平均粒径0.05〜4μm の硫化第二銅
0.01〜5重量部を加熱混練することを特徴とする近赤外
線吸収透明樹脂組成物及びシート又はフィルム状に成形
されてなる近赤外線吸収透明樹脂成形体であるから、得
られた樹脂材料は褪色などの不安定性はなく、暗所に長
期間放置により褪色するというフォトクロミズムも見ら
れず、優れた近赤外線吸収能を示すので、光学的フィル
ター、熱線吸収性グレージング材等として工業的に有用
である。
【0040】又、得られた近赤外線吸収シートは 800〜
2000nmの近赤外領域全域にわたる強い吸収性を有してい
る。これらの性質を利用することによって近赤外線カッ
トフィルターなどの光学材料、記録材料、熱線遮蔽材
料、畜熱材料、近赤外線検出センサー等として利用でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 透明樹脂 100重量部に対し、(B) 平
    均粒径0.05〜4μmの硫化第二銅0.01〜5重量部を配合
    、熱ロール、バンバリーミキサー又は押出機で加熱混
    練してなる近赤外線吸収能に優れた透明樹脂組成物の製
    造法
  2. 【請求項2】 請求項1記載の近赤外線吸収能に優れた
    透明樹脂組成物シート、フィルム状に成形する近赤外
    線吸収透明樹脂成形体の製造法
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