JP3207013B2 - 近赤外線遮断透明樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

近赤外線遮断透明樹脂組成物およびその成形体

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JP3207013B2 JP10100793A JP10100793A JP3207013B2 JP 3207013 B2 JP3207013 B2 JP 3207013B2 JP 10100793 A JP10100793 A JP 10100793A JP 10100793 A JP10100793 A JP 10100793A JP 3207013 B2 JP3207013 B2 JP 3207013B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硫化第二銅、光線反射率
60%以上の無機質フレークを配合した可視光線を比較的
よく透過し近赤外線遮断能に優れた新規な透明樹脂組成
物およびシートまたはフィルム状に成形されてなる近赤
外線遮断透明樹脂成形体である。
【0002】近赤外線遮断材料は、最近とくに研究開発
が盛んに行われている機能材料であり、近赤外領域の波
長を有する半導体レーザー光等を光源とする感光材料、
光ディスク用記録材料などの情報記録材料、赤外線カッ
トフィルターやフィルム等の光学材料、熱線吸収性グレ
ージング材料として利用することができる。
【0003】
【従来の技術】従来、近赤外線吸収性の光透過性材料と
しては、米国特許第3692688 号明細書に示されるように
六塩化タングステン(WCl6)と塩化スズ(SnCl2・2H2O)を
メタクリル酸メチルシラップ(モノマー)に溶解して重
合して得られる実質的にヘイズのない近赤外線遮断能に
優れた材料が知られている。
【0004】更に、このほか、これまでに開発された近
赤外線吸収材料としては、特公昭60−42269 号公報にク
ロム、コバルト錯塩、特公昭60−21294 号公報にチオー
ルニッケル錯体、特開昭61−115958号公報にアントラキ
ノン誘導体、特開昭61−218551号公報には 700〜800nm
の領域に極大吸収波長のある新規スクアリリウム化合物
が開示されている。
【0005】このほか、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの片面にアルミニウム、銀等の金属を蒸着した光
線反射フィルムが知られている。かかる光線反射フィル
ムを接着剤を用いて透明樹脂材料に貼付けると、外部か
らの熱線(近赤外線)を金属蒸着で反射して、室内温度
の上昇を抑えるというメリットを有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の近赤外線遮断材
料は、有機系のものは耐久性が悪く環境条件の変化や時
間の経過にともなって初期の能力が劣化してくるという
問題点があり、一方錯体系のものは耐久性はあるが近赤
外部のみならず可視部にも吸収があり化合物そのものが
強く着色しているものが多く用途が制限されてしまうと
いった問題があった。更にどちらの系のものも特定の波
長において吸収ピークがみられ、そのピークからはずれ
た波長では殆ど吸収能はないものであった。これらの素
材を利用して、たとえば近赤外部の波長を有するレーザ
ー光を光源とする記録体を考えると、レーザーの波長と
材料の吸収ピークを合わせる必要がある。しかし、レー
ザーの波長も近赤外吸収材料の吸収波長も限られたもの
しか得られないから、レーザーの波長と近赤外線遮断材
料の吸収ピークが合致する組み合わせは極く限られたも
のにならざるを得なかった。
【0007】上記従来技術のWCl6と SnCl2・2H2Oをメタ
クリル酸メチルシラップに溶解した組成物は濃青色に発
色し近赤外線をよく吸収する性質を持っているが、暗所
で長期間放置の間に褪色するという問題点を有してい
た。このように緩やかに進行するフォトクロミズムなど
は一定の品質を備えた光学フィルターや熱線吸収性グレ
ージングなどの工業製品を提供する上で好ましくない問
題点であった。
【0008】また、上記従来技術の光線反射フィルム
は、熱線のみならず可視光線まで金属蒸着層で反射する
ため、該フィルムを窓ガラス等に貼付けると採光性が損
なわれて室内が暗くなるという致命的な欠点があった。
また、光線反射フィルムを透明樹脂材料に接着剤を用い
て貼付けると透明樹脂材料との間に空気が入りやすいた
め、「気泡ぶくれ」を生じ、これが大きな膨れに成長し
て透過性を著しく低下させたり、接着強度が低下して剥
離し易くなるという問題があった。また、時間がたつと
アルミニウム蒸着層が酸化により変色するため外観およ
び性能が低下するという問題があった。更にこの様な蒸
着膜を形成させるには、その装置が大掛かりとなり、従
ってコスト高となる為、製品としては汎用性に乏しい物
であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、 800〜20
00nmの近赤外領域全体に一様に吸収がみられ、着色が少
なくかつ耐久性が優れた近赤外線遮断材料について鋭意
検討を重ねた結果、硫化第二銅、光線反射率60%以上の
無機質フレークとを透明樹脂中に含有せしめることによ
って得られることを見出だし本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、透明樹脂 100重量部
に対し、硫化第二銅 0.005〜2.5 重量部及び光線反射率
60%以上の無機質フレーク 0.1〜15重量部配合してなる
透明樹脂組成物に関する。更に、本発明は、上記の透明
樹脂組成物をシートまたはフィルム状に成形されてなる
近赤外線遮断透明樹脂成形体に関する。
【0011】本発明において用いられる透明樹脂として
は、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、メタク
リル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、不飽和ポ
リエステル系樹脂などを挙げることができるが、これら
に限定されるものではない。
【0012】ポリカーボネート系樹脂とは、2価フェノ
ールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反
応せしめて製造されたものであり、2価フェノールの代
表的な例をあげると2,2 −ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1 −ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、2,2 −ビス(4−ヒドロキシ
−3,5 −ジメチルフェニル)プロパン、2,2 −ビス(4
−ヒドロキシ−3,5 −メチルフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好まし
い2価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
アルカン系、特にビスフェノールAを主原料とするもの
である。又、カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等が挙
げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネー
ト、2価フェノールのジハロホルメート及びこれらの混
合物である。
【0013】スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体並
びに該単量体と共重合可能な他のビニル単量体からなる
それぞれの群から選ばれる少なくとも一種の単量体を用
い、更に必要に応じて、ゴム状物質をも存在させて得ら
れたものであり、スチレン系単量体とはスチレン、α−
メチルスチレン、及びベンゼン核の水素原子がハロゲン
原子や炭素数1〜2のアルキル基で置換されたスチレン
誘導体などを総称するものであり、かかるスチレン系単
量体として代表的なものを例示すれば、スチレン、o−
クロルスチレン、p−メチルスチレン、2,4 −ジメチル
スチレン、又はt−ブチルスチレンなどである。又、前
記した共重合可能な他のビニル単量体として代表的なも
のには、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリ
ロニトリルもしくはシアン化ビニリデンの如きアクリロ
ニトリル系単量体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸−2−エチルヘキシルブチルもしくは
(メタ)アクリル酸−β−ヒドロキシエチルの如き(メ
タ)アクリル酸及びそれらの各種エステル酸;あるいは
酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロ
リドン、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、又はマレイミドをはじめ、ビニルケトン
類、又はビニルエーテル類などがある。更に、前記した
コム状物質として代表的なものにはポリブタジエン・ゴ
ム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合ゴ
ム、エチレン・プロピレンターポリマー系ゴム、ブタジ
エン・アクリロニトリル共重合ゴム、ブチルゴム、アク
リル系ゴム、スチレン・イソブチレン・ブタジエン共重
合ゴム、又はイソプレン・アクリル酸エステル系共重合
ゴムをはじめとするイソプレンもしくはクロロプレンの
如き共役 1,3−ジエン系単量体を用いて得られたゴムな
どがあるが、これらは一種あるいは二種以上の組み合わ
せで用いられる。
【0014】本発明におけるメタクリル系樹脂とはメタ
クリル酸の各種エステルをモノマーの主成分とする重合
体あるいは共重合体をさすものであり、具体的にはメタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル等各種メタクリル酸エステルの単独重合体及びこれ
らメタクリル酸エステルと各種のアクリル酸エステル、
アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン等との共重
合体である。これらの樹脂の製造方法は公知の重合方法
である懸濁重合、乳化重合、溶液重合を用いることがで
きる。またこれらの重合体の重合原料である単量体及び
単量体と部分重合体を含有したシラップを使用すること
も出来る。
【0015】塩化ビニル系樹脂としては、熱安定性、引
張強度、耐熱性に優れたホモ塩化ビニル樹脂が望ましい
が、少量のコモノマーを共重合させた塩化ビニルを主体
とする塩化ビニル系共重合体、グラフト共重合体、更に
は塩化ビニル系樹脂と相溶性の良い樹脂、例えば塩化ビ
ニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリ
エチレン等を少量含むブレンドポリマーでも差し使えな
い。更に、これらの混合物も有用である。
【0016】ポリオレフィン系樹脂とは、α−オレフィ
ンの単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単
量体との共重合体であり、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密
度が 0.910〜0.935 の低密度ポリエチレンやエチレン−
α−オレフィン共重合体及び酢酸ビニル含有量が30重量
%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が透明性や耐候
性や価格の点から農業用フィルムとして好ましい。更
に、酢酸ビニル含有量が5重量%以上、30重量%以下の
エチレン−酢酸ビニル共重合体はこれらのうちでも透明
性、柔軟性、耐候性等の点でより好ましい。
【0017】ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂と
しては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、
ナイロン−46、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリエーテル
エーテルケトンなどが例示できる。
【0018】本発明に使用する硫化第二銅は常法により
製造された粉末状のものであればよく、その平均粒径が
12μm 以下であることが好ましく、10μm 以下であるこ
とがより好ましい。更に、平均粒径20μm 以上の粒子が
実質的に存在しないことが好ましい。平均粒径が該範囲
を越えると得られる成形体の外観を悪化させ、表面凹凸
による平行光線透過性を悪化させるのみならず、成形体
物性と近赤外線吸収性も低下するので好ましくない。
【0019】本発明に使用する光線反射率が60%以上の
フレークとは、無機物質からなるもので型状としては平
板状のものであるが、樹脂配合後のフレーク径が 600μ
m 以下であり、アスペクト比(長径と厚みとの比)が10
以上のものが好ましい。具体的には平板状フレークの表
面が酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルトの
単独でまたは2種類以上によって10%以上の被覆率で被
覆された天然マイカ、天然雲母あるいはガラスフレーク
等、第一遷移元素群(スカンジウムを除く)、第二遷移
元素群(イットリウム、ニオブ、テクネチウム、ルテニ
ウムを除く)、第三遷移元素群(ハフニウム、水銀を除
く)に属する遷移元素から選ばれる金属、アルミニウ
ム、錫、鉛から選ばれる金属が具体的に挙げることがで
きる。また、平板状フレークを2種類以上混合して用い
てもよい。該平板状フレークは市販されているものを用
いることができ、樹脂に混合されるとき多少粉砕される
ことがある。
【0020】アスペクト比が10より低いと光線の反射効
率が低下するため近赤外線遮断性が低下する。又、フレ
ーク径が 600μm を越える平板状フレークを樹脂に添加
し、混合するとその過程でカール状に変形するため近赤
外線遮断性が低下するが、フレーク径が 600μm を越え
る平板状フレークを添加しても混合過程で破砕されるた
めに実質的に 600μm 程度に低下する。
【0021】無機質フレーク表面の光線反射率は60%以
上であることが好ましい。光線反射率が60%より低いと
光線の反射効率が低下するため近赤外線遮断性が低下す
る。
【0022】本発明において用いられる硫化第二銅及び
光線反射率60%以上の無機質フレークは、可視および近
赤外域の透過率の設定によって含有させる量を変化する
ことができる。硫化第二銅の添加量は、透明樹脂 100重
量部に対して 0.005〜2.5 重量部、好ましくは0.01〜1.
5 重量部である。フレークの添加量は、透明樹脂 100重
量部に対して 0.1〜15重量部、好ましくは 0.2〜13重量
部である。また、同じ含有量でも透過率は本発明で得ら
れる樹脂材料が例えば板であるとき、その板厚によって
変化するので最終的には、設定した板厚における透過率
が得られるように含有量を決定することができる。
【0023】本発明において透明樹脂 100重量部に対し
て、硫化第二銅の添加量が 0.005重量部未満の場合また
はフレークの添加量が 0.1重量部未満の場合には、近赤
外線遮断能の向上が十分でなく、一方硫化第二銅の添加
量が 2.5重量部を越える場合またはフレークの添加量が
15重量部を越える場合には、近赤外線遮断能の向上は見
られず、透明性が著しく低下する。
【0024】尚、上記成分の他に必要に応じて硫化第二
銅の分散をより良好にするために、例えばソルビタンモ
ノステアレートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグ
リセリンモノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エ
ステルなどの分散剤を本発明の組成物に対して添加して
用いることも有効であり、また適当な添加剤、例えば難
燃剤、熱安定剤、抗酸化剤、光安定剤、紫外線吸収剤、
滑剤、着色剤、無機充填剤、ガラス繊維等の補強材など
を配合することもできる。
【0025】本発明における透明樹脂、硫化第二銅、フ
レークの混合方法としては、特別な手段、順序を要する
ことなく、慣用の混合装置、例えば、熱ロール、バンバ
リーミキサーまたは押出機により容易に製造できる。
【0026】フィルムまたはシートは、通常の製造法に
よって製造されたもので良い。例えば、押出機によるT
ダイ法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、
圧縮成形法によって製造できる。
【0027】フィルムまたはシートの厚さは、特に制限
はないが、0.01〜10mmの範囲内であるのが好ましい。
尚、更にシートの強度を増加したり、模様を付けるとき
は、例えば、約5mm角の格子状にガラスフィラメントヤ
ーンを編織したガラス繊維ネットやステンレス製金網を
内部に含有させて成形してもよい。
【0028】
【作用】上記の如く、平均粒径が12μm 以下の硫化第二
銅、フレークとを含有した透明樹脂に上記混合方法によ
り加熱混練することによって 800〜2000nmの全域にわた
りほぼ一様に近赤外線を吸収するようになるが、その理
由は明らかでない。
【0029】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明の詳細を述べ
るが、例文中の添加割合は全て重量部を示す。
【0030】また、得られた樹脂材料の透過スペクトル
は、分光光度計((株)日立製作所製:323 型)で測定
した。
【0031】近赤外線遮断能 (吸収性) の判定は、900
、1000、1100、1500nmの各波長の吸収値の平均が80%
以上のものを◎、60%以上のものを○、30%以上を△、
30%以下を×とした。
【0032】近赤外線遮断能の熱、湿度、光に対する安
定性を下記の方法で測定した。 耐熱性、耐湿性:近赤外線遮断性シートを80℃、 100%
RHのオーブン中に480時間放置した後、近赤外線遮断性
を再度分光光度計(1000nm)で測定した。その保存性
は、下記式により算出した結果で評価した。
【0033】
【数1】
【0034】耐光性:近赤外線遮断性シートをUVテス
ター(大日本プラスチックス(株)製超促進耐光試験
機)で 200時間光照射した後、近赤外線遮断性を再度分
光光度計(1000nm)で測定した。その保存性は、下記式
により算出した結果で評価した。
【0035】
【数2】
【0036】熱安定性は、射出成形機を用いてポリカー
ボネート系樹脂は 280℃、ポリスチレン系樹脂及びメタ
クリル系樹脂は 230℃、ポリ塩化ビニル系樹脂及びポリ
オレフィン系樹脂は 150℃の設定温度で滞留時間20分後
成形を実施し、得られたサンプルの色調変化を日本電色
(株)製色差計にて測定し、L.a.b.法により色差(Δ
E)を求め、以下のように判定した。 ◎:優秀 ○:良好 △:ヤケ無(黄色変化大) ×:ヤケ有。
【0037】気泡の発生状態(耐膨れ性)は、シート成
形後、温度40℃、 100%RHの雰囲気に 100時間放置し、
その後80℃のオーブン中に 100時間放置したのち、気泡
の発生状態を観察した。 ○:気泡の発生が無く、外観良好のもの △:小さな気泡が発生したもの ×:大きな気泡が発生し、膨れを生じたもの。
【0038】実施例1〜4 表1に示す組み合わせと重量部で平均粒径8μm の硫化
第二銅とフレーク径約10μm 、縦横比約40、光線反射率
75%のアルミニウムフレークをポリカーボネート樹脂 1
00重量部に添加し、タンブラーミキサーで20分間混合
し、40mmφ押出成型機によって 300℃で混練後、ペレッ
トにした。次いでこのペレットを乾燥し、射出成型機を
用いて厚さ3mmのヘイズのない緑色の透明樹脂板を作成
した。得られたこれらの板について透過スペクトルを測
定し、表1に 800〜2000nmにおける結果を示すが、近赤
外域の吸収能に優れていた。また、気泡の発生は認めら
れず、いずれも良好な外観を呈するものであった。尚、
その他の評価結果も表1に併せて示す。
【0039】実施例5〜7 表1に示す組み合わせと重量部で平均粒径8μm の硫化
第二銅とフレーク径約10μm 、縦横比約40、光線反射率
85%のニッケルフレーク、フレーク径約10μm、縦横比
約40、光線反射率67%の変性マイカフレーク又はフレー
ク径約10μm 、縦横比約40、光線反射率65%の変性雲母
フレークをポリカーボネート樹脂 100重量部に添加し、
タンブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出成型機
によって300℃で混練後、ペレットにした。次いでこの
ペレットを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ3mmのヘイ
ズのない緑色の透明樹脂板を作成した。得られたこれら
の板について透過スペクトルを測定し、表1に 800〜20
00nmにおける結果を示すが、近赤外域の吸収能に優れて
いた。また、気泡の発生は認められず、いずれも良好な
外観を呈するものであった。尚、その他の評価結果も表
1に併せて示す。
【0040】
【表1】
【0041】実施例8〜11 表2に示す組み合わせと重量部で平均粒径8μm の硫化
第二銅とフレーク径約10μm 、縦横比約40、光線反射率
75%のアルミニウムフレークを各樹脂 100重量部に添加
し、タンブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出成
型機によって 180〜220 ℃の範囲で混練後、ペレットに
した。次いでこのペレットを乾燥し、射出成型機を用い
て厚さ3mmのヘイズのない緑色の透明樹脂板を作成し
た。得られたこれらの板について透過スペクトルを測定
し、表2に 800〜2000nmにおける結果を示すが、近赤外
域の吸収能に優れていた。また、気泡の発生は認められ
ず、いずれも良好な外観を呈するものであった。尚、そ
の他の評価結果も表2に併せて示す。
【0042】実施例12 表2に示す組み合わせと重量部で平均粒径8μm の硫化
第二銅とフレーク径約10μm 、縦横比約40、光線反射率
75%のアルミニウムフレークをポリカーボネート樹脂 1
00重量部に添加し、タンブラーミキサーで20分間混合
し、40mmφ押出成型機によって 300℃で混練後、Tダイ
成型法により1mm厚にシート化した。冷却ロールの温度
は、 120℃であった。得られたこれらの板について透過
スペクトルを測定し、表2に 800〜2000nmにおける結果
を示すが、近赤外域の吸収能に優れていた。また、気泡
の発生は認められず、いずれも良好な外観を呈するもの
であった。尚、その他の評価結果も表2に併せて示す。
【0043】実施例13 表2に示す組み合わせと重量部で平均粒径8μm の硫化
第二銅とフレーク径約10μm 、縦横比約40、光線反射率
75%のアルミニウムフレーク、フレーク径約10μm 、縦
横比約40、光線反射率85%のニッケルフレーク及び実施
例6で使用した変性マイカフレークをそれぞれ 0.8、
0.6、 0.6重量部でポリカーボネート樹脂100重量部に添
加し、タンブラーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出
成型機によって 300℃で混練後、ペレットにした。次い
でこのペレットを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ3mm
のヘイズのない緑色の透明樹脂板を作成した。得られた
これらの板について透過スペクトルを測定し、表2に 8
00〜2000nmにおける結果を示すが、近赤外域の吸収能に
優れていた。また、気泡の発生は認められず、いずれも
良好な外観を呈するものであった。尚、その他の評価結
果も表2に併せて示す。
【0044】
【表2】
【0045】比較例1〜4 表3に示す組み合わせと重量部で平均粒径の8μm 硫化
第二銅または金属銅とフレーク径約10μm 、縦横比約4
0、光線反射率75%のアルミニウムフレークをポリカー
ボネート樹脂 100重量部に添加し、タンブラーミキサー
で20分間混合し、40mmφ押出成型機によって 220〜300
℃の範囲で混練後、ペレットにした。次いでこのペレッ
トを乾燥し、射出成型機を用いて厚さ3mmのヘイズのな
い緑色の透明樹脂板を作成した。得られたこれらの板に
ついて透過スペクトルを測定し、表3に 800〜2000nmに
おける結果を示すが、全て30%以下の近赤外線遮断能し
かなかった。比較例4については表面に若干小さな気泡
が発生し、光線透過率がかなり低下した。尚、その他の
評価結果も表3に併せて示す。
【0046】比較例5 厚さ25μm のポリエチレンテレフタレート製フィルムの
片面に、真空蒸着によって厚さ約90オングストロームの
アルミニウム層を設け、さらにこの薄膜表面にアクリル
系の感圧性接着剤を転着方式により乾燥膜厚が25μm と
なるように塗布して感圧性接着剤付きの熱線遮断フィル
ムを得た。次にポリカーボネート樹脂の表面に上記熱線
遮断フィルムを感圧性接着剤がポリカーボネート樹脂の
表面に面するように重ね、加圧ロールを常温で積層して
熱線遮断シートを得た。得られたこれらの板について透
過スペクトルを測定し、表3に 800〜2000nmにおける結
果を示す。近赤外域の吸収能には優れていたが、シート
表面に大きな気泡が発生し、膨れを生じた。尚、その他
の評価結果も表3に併せて示す。
【0047】
【表3】
【0048】表1〜3によれば硫化第二銅と光線反射率
60%以上のフレークを混練した透明樹脂のシートは、強
い近赤外線遮断性シートとなることが明らかである。ま
た、この近赤外線遮断性は、加熱や加湿あるいは露光に
よって殆ど低下せず、取扱いや保存の環境条件の変化に
対し安定性が高いものであることがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の近赤外線遮断透明樹脂組成物お
よびシートまたはフィルム状に成形されてなる近赤外線
遮断透明樹脂成形体は、得られた樹脂材料は褪色などの
不安定性はなく、暗所に長期間放置により褪色するとい
うフォトクロミズムも見られず、優れた近赤外線遮断能
を示すので、光学的フィルター、熱線吸収性グレージン
グ材等として工業的に有用である。また、得られた近赤
外線遮断シートは 800〜2000nmの近赤外領域全域にわた
る強い吸収性を有している。これらの性質を利用するこ
とによって近赤外線カットフィルターなどの光学材料、
記録材料、熱線遮蔽材料、蓄熱材料、近赤外線検出セン
サー等として利用できる。更に、本発明の生成物は、金
属を含んでいるにもかかわらず、着色が少ないから、こ
れらを含有したシート、フィルム等の成型体は外観が優
れたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂 100重量部に対し、硫化第二銅
    0.005〜2.5 重量部及び光線反射率が60%以上のフレー
    ク 0.1〜15重量部を配合してなる近赤外線遮断能に優れ
    た透明樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 硫化第二銅の粒径が平均12μm 以下で実
    質的に20μm 以上の粒子の存在がないことを特徴とする
    請求項1記載の透明樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 フレークの縦横比(長さと厚さとの比)
    が10以上であり、フレーク径が 600μm 以下の形状を特
    徴とする請求項1または2記載の透明樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 フレークが (A)フレークの表面が酸化チ
    タン及び/又は酸化鉄によって10%以上の被覆率で被覆
    された天然マイカあるいは天然雲母、(B)第一遷移元素
    群(スカンジウムを除く)、第二遷移元素群(イットリ
    ウム、ニオブ、テクネチウム、ルテニウムを除く)、第
    三遷移元素群(ハフニウム、水銀を除く)に属する遷移
    元素から選ばれる金属、または(C)アルミニウム、錫、
    鉛から選ばれる金属であることを特徴とする請求項3記
    載の透明樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のフレークの2種類以上を
    併用して用いた請求項3記載の透明樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項に記載の近赤
    外線遮断能に優れた透明樹脂組成物をシートまたはフィ
    ルム状に成形されてなる近赤外線遮断透明樹脂成形体。
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