JP3195855B2 - 近赤外線吸収メタクリル系樹脂積層体およびその成形体 - Google Patents

近赤外線吸収メタクリル系樹脂積層体およびその成形体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は可視光線を比較的よく透
過し、近赤外線吸収能に優れた新規なメタクリル系樹脂
積層体および波板状あるいは異形の断面形状に成形され
てなる耐候性に優れた近赤外線吸収メタクリル系樹脂成
形体である。
【0002】
【従来の技術】従来、近赤外線吸収性の光透過性材料と
しては、米国特許第3692688 号明細書に示されるように
六塩化タングステン(WCl6)と塩化スズ(SnCl2・2H2O) を
メタクリル酸メチルシラップ(モノマー)に溶解して重
合して得られる実質的にヘイズのない近赤外線吸収能に
優れた材料が知られている。
【0003】更に、このほか、これまでに開発された近
赤外線吸収材料としては、特公昭60-42269号公報にクロ
ム、コバルト錯塩、特公昭60-21294号公報にチオールニ
ッケル錯体、特開昭61-115958 号公報にアントラキノン
誘導体、特開昭61-218551 号公報には 700〜800nm の領
域に極大吸収波長のある新規スクアリリウム化合物が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】屋外用、屋内用の用途
に拘らず、透光板としては、平板のみならず、波板形状
あるいは異形の断面形状のものが多く使用されており、
かかる波板、異形の断面形状のものへの前記各材料の応
用が期待される。
【0005】従来の近赤外線吸収材料は、有機系のもの
は耐久性が悪く、環境条件の変化や時間の経過に伴って
初期の能力が劣化してくるという問題点があり、一方、
錯体系のものは耐久性はあるが、近赤外部のみならず可
視部にも吸収があり、化合物そのものが強く着色してい
るものが多く、用途が制限されてしまうという問題があ
った。更にどちらの系のものも特定の波長において吸収
ピークがみられ、そのピークからはずれた波長では殆ど
吸収能はないものであった。これらの素材を利用して、
例えば近赤外部の波長を有するレーザー光を光源とする
記録体を考えると、レーザーの波長は材料の吸収ピーク
を合わせる必要がある。しかし、レーザーの波長も近赤
外線吸収材料の吸収波長も限られたものしか得られない
から、レーザーの波長と近赤外線吸収材料の吸収ピーク
が合致する組み合わせはごく限られたものにならざるを
得なかった。
【0006】また、上記従来技術のWCl6と SnCl2・2H2O
をメタクリル酸メチルシラップに溶解した組成物は濃青
色に発色し、近赤外線をよく吸収する性質を持っている
が、暗所で長期間放置の間に褪色するという問題点を有
していた。このように緩やかに進行するフォトクロミズ
ムなどは一定の品質を備えた光学フィルターや熱線吸収
性グレージングなどの工業製品を提供する上で好ましく
ない問題点であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、 800〜20
00nmの近赤外領域全体に一様に吸収がみられ、着色が少
なくかつ耐候性及び耐久性が優れた近赤外線吸収材料に
ついて鋭意検討を重ねた結果、銅化合物あるいは銅化合
物およびチオ尿素系誘導体および/またはチオアミド系
誘導体をメタクリル系樹脂中に含有せしめ、これらを積
層することによって得られることを見出し、本発明を完
成した。
【0008】即ち、本発明は、メタクリル系樹脂 100重
量部に対し、粒径が平均8〜12μmで実質的に20μm以
上の粒子がない硫化第二銅0.01〜5重量部を含有してな
るメタクリル系樹脂シートにメタクリル系樹脂フィルム
を積層一体化してなることを特徴とする近赤外線吸収能
に優れたメタクリル系樹脂積層体に関する。
【0009】更に、本発明は、上記の近赤外線吸収能に
優れたメタクリル系樹脂積層体を波板状あるいは異形の
断面形状に成形してなる近赤外線吸収メタクリル系樹脂
積層成形体に関する。
【0010】本発明におけるメタクリル系樹脂とは、メ
タクリル酸の各種エステルをモノマーの主成分とする重
合体あるいは共重合体をさすものであり、具体的にはメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル等各種メタクリル酸エステルの単独重合体および
これらメタクリル酸エステルと各種のアクリル酸エステ
ル、アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン等との
共重合体である。これらの樹脂の製造方法は公知の重合
方法である懸濁重合、乳化重合、溶液重合を用いること
ができる。また、これらの重合体の重合原料である単量
体および単量体と部分重合体を含有したシラップを使用
することも出来る。
【0011】本発明に使用する硫化第二銅は常法により
製造された粉末状のものであればよく、その平均粒径が
8〜12μmであり、20μm以上の粒子が実質的に存在し
ない。平均粒子径が該範囲を越えると、得られる成形体
の外観を悪化させ、表面凹凸による平行光線透過性を悪
化させるのみならず、成形体物性と近赤外線吸収性も低
下するので好ましくない。
【0012】本発明で使用する下記の一般式(I)で示
されるチオ尿素誘導体として以下のものを例示できる。
【0013】
【化3】
【0014】(R1,R2,R3は、水素、アルキル基、シクロ
アルキル基、アリール基、アラルキル基および5員また
は6員の複素環残基からなる群から選ばれた一価基を表
し、各基は1個以上の置換基を有していてもよく、R1
R2またはR2とR3は連結して環を形成してもよい) 例えば、1−エチル−3−フェニルチオウレア、 1,3−
ジフェニルチオウレア、 1,3−ジエチルチオウレア、1
−エチル−3−p−クロロフェニルチオウレア、1−エ
チル−3−(2−ヒドロキシエチル)チオウレア、1−
(2−チアゾリル)−3−フェニルチオウレア、 1,3−
ジステアリルチオウレア、 1,3−ジベヘニルチオウレ
ア、1−エチルチオウレア、1−p−ブロモフェニル−
3−フェニルチオウレア、1− (2−チオフェニル)−
3−フェニルチオウレア、 1,3−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)チオウレア、1−p−アミノフェニル−3−フ
ェニルチオウレア、1−p−ニトロフェニル−3−フェ
ニルチオウレア、1−p−ヒドロキシフェニル−3−フ
ェニルチオウレア、1,3−ジ−m−クロルフェニルチ
オウレア、エチレンチオウレア、チオウレア、1−メチ
ル−3−p−ヒドロキシフェニルチオウレア、1−フェ
ニルチオウレア、1−m−ニトロフェニルチオウレア、
1−p−ニトロフェニルチオウレア、1−p−アミノフ
ェニルチオウレア、 1,3−ジメチルチオウレア、 1,3−
ジシクロヘキシルチオウレア、1−フェニル−3−p−
クロロフェニルチオウレア、1−フェニル−3−p−メ
トキシフェニルチオウレア、 1,1−ジフェニルチオウレ
ア、 1,1−ジベンジル−3−フェネチルチオウレア、1
−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)チオウレア
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0015】本発明で使用する下記の一般式(II)で示
されるチオアミド誘導体として以下のものを例示でき
る。
【0016】
【化4】
【0017】(R4,R5 は、水素、アルキル基、アルケニ
ル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基お
よび5員または6員の複素環残基からなる群から選ばれ
た一価基、またはR5はアルコキシ基を表し、各基は1個
以上の置換基を有していてもよく、R4とR5は連結して環
を形成してもよい) N−メチルチオベンツアミド、 N−フェニルチオベンツ
アミド、 N−エチルチオエチルアミド、 N−エチルチオ
−p−クロルベンツアミド、 N−プロピルチオベンツア
ミド、 N−エチルチオステアリルアミド、 N−1−(2
−チアゾリル)チオベンツアミド、 N−ステアリルチオ
ステアリルアミド、 N−ベヘニルチオベヘニルアミド、
チオアセトアミド、 N−フェニル−チオ−p−ブロモベ
ンツアミド、 N−1−(2−チオフェニル)チオベンツ
アミド、 N−ベヘニルチオアセトアミド、 N−p−アミ
ノフェニルチオベンツアミド、 N−p−ニトロフェニル
チオベンツアミド、 N−p−ヒドロキシフェニルチオベ
ンツアミド、 N−m−クロルフェニルチオベンツアミ
ド、チオニコチン酸アミド、チオアセトアニリド、o−
エチル− N−フェニル(チオカルバマート)、チオベン
ツアミド、チオ−m−ニトロベンツアミド、チオ−p−
ニトロベンツアミド、チオ−p−アミノベンツアミド、
N−メチルチオアセトアミド、 N−シクロヘキシルベン
ツアミド、 N−クロロフェニルチオベンツアミド、 N−
p−メトキシフェニルチオベンツアミド、 N−ステアリ
ルチオベンツアミドなどが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0018】本発明において用いられる硫化第二銅、チ
オ尿素誘導体およびチオアミド誘導体は、可視および近
赤外域の透過率の設定によって含有させる量を変化する
ことができる。硫化第二銅の添加量は、メタクリル系樹
脂シート 100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましく
は0.02〜3重量部である。
【0019】チオ尿素誘導体およびチオアミド誘導体を
添加する場合の添加量は、それぞれ、メタクリル系樹脂
シート 100重量部に対して 0.001〜1重量部、好ましく
は 0.002〜0.5 重量部である。
【0020】また、同じ含有量でも透過率はシート厚に
よって変化するので、最終的には設定したシート厚にお
ける透過率が得られる様に含有量を決定することができ
る。
【0021】本発明においてメタクリル系樹脂シート 1
00重量部に対して硫化第二銅の添加量が0.01重量部未満
の場合には、近赤外線吸収能の向上が十分でない。
【0022】一方、メタクリル系樹脂シート 100重量部
に対して硫化第二銅の添加量が5重量部、もしくはチオ
尿素誘導体またはチオアミド誘導体の添加量が1重量部
を越える場合には、近赤外線吸収能の向上は見られず、
材料中にヘイズが発生する恐れがある。
【0023】なお上記成分の他に、必要に応じて硫化第
二銅の分散をより良好にするため、例えばソルビタンモ
ノステアレートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグ
リセリンモノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エ
ステルなどの分散剤を本発明の組成物に対して添加して
用いることも有効であり、また適当な添加剤、例えば難
燃剤、熱安定剤、抗酸化剤、光安定剤、紫外線吸収剤、
滑剤、着色剤、無機充填剤、ガラス繊維等の補強材など
を配合することもできる。
【0024】本発明におけるメタクリル系樹脂、硫化第
二銅あるいは硫化第二銅およびチオ尿素誘導体および/
またはチオアミド誘導体の混合方法としては、特別な手
段や順序を要することなく、慣用の混合装置、例えば、
熱ロール、バンバリーミキサまたは押出機により容易に
製造できる。
【0025】メタクリル系樹脂シート自身は、通常の製
造法によって製造されたもので良い。例えば、押出機に
よるTダイ法、インフレーション成形法、カレンダー成
形法、圧縮成形法、異形押出成形法によって製造でき
る。
【0026】この発明のプラスチックス積層体は、硫化
第二銅含有メタクリル系樹脂シートの少なくとも一面
に、メタクリル系樹脂フィルムを積層する。次いで、こ
の積層体を波板状に成形する場合は、加圧成形(例え
ば、型押出、フォーミングロール等)、真空成形、熱板
成形等に付することにより得られる。この際の積層は、
いわゆるウェットラミネーション、ドライラミネーショ
ン、エクストルージョンラミネーション、ホットプレス
等の公知の方法で行うことができる。また、各樹脂層別
に複数の押出機を使用して1個のダイで同時に複合押出
しをするコエクストルージョン法も適用できる。ここで
メタクリル系樹脂シートの厚さは0.01〜10mmの範囲内と
するのが適しており、0.05〜5mmの範囲内であるのが好
ましい。一方、メタクリル系樹脂フィルムの厚みは0.01
〜0.2mm の範囲内とするのが適しており、0.03〜0.08mm
の範囲内であるのが好ましい。
【0027】メタクリル系樹脂シートの厚みが上記範囲
から逸脱すると、積層体あるいは波板の強度が低下した
り、経済性に欠けるため好ましくない。また、メタクリ
ル系樹脂フィルムの厚みが薄すぎると積層時の加工性が
悪くなり、厚すぎると耐衝撃性が低下するため好ましく
ない。
【0028】メタクリル系樹脂フィルムには染顔料、紫
外線吸収剤、安定剤を含んでいてもよい。メタクリル系
樹脂の層を設けることにより、近赤外線吸収性メタクリ
ル系樹脂シートの平滑性又は耐候性の向上を図ったり、
メタクリル系樹脂シートの色調を調整したりすることが
できる。
【0029】一方、波形の成形は、上記積層体に、断面
が半円形、角形、台形、三角形等の連続した凹凸を付与
することにより行われる。これらの波形形状のピッチは
通常、20〜150mm で、その深さは通常、5〜100mm とす
るのが適している。異形の断面形状は、円や三角形の様
なチューブ形状、リブにより所定間隔で仕切られた中空
形状、L型、U型、半円型の様な開放型を付与すること
ができる。
【0030】なお、更にシートの強度を増加したり、模
様を付けるときは、例えば、約5mm角の格子状にガラス
フィラメントヤーンを編織したガラス繊維ネットやステ
ンレス製金網を内部に含有させて成形してもよい。
【0031】また、この発明のプラスチックス積層体
は、複数以上組み合わせて用いてもよく、例えば、2枚
の積層波板や積層シートをリブにより所定間隔で一体化
したもの(中空形状)は、特に強度や断熱性が要求され
る複合シートとして有用であり、この発明の一つの好ま
しい態様である。
【0032】上記の如く、本発明によれば平均粒子が12
μm以下の硫化第二銅あるいは該硫化第二銅およびチオ
尿素誘導体および/またはチオアミド誘導体を透明樹脂
に加熱混練することによって、 800〜2000nmの全域にわ
たりほぼ一様に近赤外線を吸収するようになる近赤外線
吸収能に優れたメタクリル系樹脂積層体が得られる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の詳細を述べ
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。尚、実施例中の添加割合は全て重量部を示
す。
【0034】また、得られた樹脂材料の透過スペクトル
は、分光光度計((株)日立製作所製:323型)で測定し
た。近赤外線吸収能の判定は、 900、1000、1100、1500
nmの各波長の吸収値の平均値を示した。
【0035】近赤外線吸収能の熱、湿度、光に対する安
定性を下記の方法で測定した。耐熱性、耐湿性は、近赤
外線吸収性シートを80℃、 100%RHのオーブン中に48
0時間放置した後、近赤外線吸収性を再度分光光度計(10
00nm)で測定した。その保存性は、下記式により算出し
た結果で評価した。
【0036】
【数1】
【0037】耐光性は、近赤外線吸収性シートをUVテ
スター(大日本プラスチックス(株)製超促進耐光試験
機)で 200時間光照射した後、近赤外線吸収性を再度分
光光度計(1000nm)で測定した。その保存性は、下記式に
より算出した結果で評価した。
【0038】
【数2】
【0039】熱安定性は、積層体を 230℃の設定温度の
ギヤオーブン中に20分間入れ、得られたサンプルの色調
変化を日本電色(株)製色差計にて測定し、L.a.b.法に
より色差(ΔE)を求め、以下のように判定した。 ◎:優秀 ○:良好 △:ヤケ無(黄色変化大) ×:ヤケ有 メタクリル系樹脂の光に対する安定性を下記の方法で測
定した。近赤外線吸収性シートをUVテスター(大日本
プラスチックス(株)製超促進耐光試験機)で 200時間
光照射した後、色調変化及び引張強度の変化を測定し
た。引張強度の保持率を下記式により算出した。
【0040】
【数3】
【0041】実施例1〜14 表1に示す組み合わせと重量部で平均粒径8μmの硫化
第二銅をメタクリル樹脂 100重量部に添加し、タンブラ
ーミキサーで20分間混合し、40mmφ押出成型機によって
230℃で混練後、 0.7mm厚にシート化し、押出し直後に
0.05mm厚のメタクリル樹脂フィルムを押出しラミネート
し、0.75mm厚に積層一体化した。積層に使用した冷却ロ
ールの温度は80℃であった。得られたシートをピッチ32
mm、谷の深さ9mmに波付け機で成形した。得られたこれ
らの積層シートについて透過スペクトルを測定し、表3
に 800〜2000nmにおける結果を示すが、近赤外域の吸収
能に優れていた。この樹脂シートは可視域の光は比較的
よく透過するが、通常のメタクリル樹脂シートに見られ
ない近赤外域の吸収能に優れていた。
【0042】比較例1〜4 表2に示す組み合わせの配合及び条件で実施例1〜14と
同様の方法でメタクリル樹脂に添加後、 0.7mm厚にシー
ト化し、押出し直後に0.05mm厚のメタクリル樹脂フィル
ムを押出しラミネートし、0.75mm厚に積層一体化した。
得られたこれらのシートについて透過スペクトルを測定
し、表3に 800〜2000nmにおける結果を示すが、全て30
%以下の近赤外線吸収能しかなかった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】実施例15 実施例2で得られた積層体をUVテスター(大日本プラ
スチックス(株)製超促進耐光試験機)で 200時間光照
射した結果、基材シートであるメタクリル系樹脂の黄変
化がほとんど見られなかった。また引張強度の保持率は
92%であった。メタクリル系樹脂フィルムによる紫外線
の遮断効果の高いことが分かる。
【0047】比較例5 実施例2でメタクリル系樹脂フィルムを積層せずに得た
シートをUVテスター(大日本プラスチックス(株)製
超促進耐光試験機)で 200時間光照射した結果、基材シ
ートであるメタクリル系樹脂がかなり黄変化した。また
引張強度の保持率は35%であり、紫外線によりメタクリ
ル系樹脂がかなり劣化を受けたことが分かる。
【0048】表3によれば硫化第二銅を混練したメタク
リル系樹脂のシートは、強い近赤外線吸収性樹脂積層体
となることが明らかである。また、この近赤外線吸収性
は、加熱や加湿あるいは露光によって殆ど低下せず、取
り扱いや保存の環境条件の変化に対し安定性が高いもの
であることがわかる。金属銅を単独混練、あるいは前記
以外の添加量の硫化第二銅、チオ尿素化合物またはチオ
アミド化合物を混練したメタクリル系樹脂のシートは、
近赤外線吸収性を実質的に示さなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明の近赤外線吸収メタクリル系樹脂
積層体および波板状の成形体は、以上述べたように、褪
色などの不安定性はなく、暗所に長期間放置により褪色
するというフォトクロミズムも見られず、優れた近赤外
線吸収能を示し、 800〜2000nmの近赤外領域全域にわた
る強い吸収性を有している。これらの性質を利用するこ
とによって光学的フィルター、熱線吸収性グレージング
材、屋外でのテラス、ベランダ、カーポート、アーケー
ド、ガレージ等の雨、風よけおよび採光屋根、採光側
壁、天窓などの工業製品を提供する上で有用である。ま
た、保温効果もあるので暖房された部屋からの放熱防止
にも用いることができる。本発明の生成物は、金属を含
んでいるにもかかわらず、着色が少ないから、これらを
含有した積層体の成形体は外観が優れたものとなる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル系樹脂 100重量部に対し、粒
    径が平均8〜12μmで実質的に20μm以上の粒子がない
    硫化第二銅0.01〜5重量部を含有してなるメタクリル系
    樹脂シートにメタクリル系樹脂フィルムを積層一体化し
    てなることを特徴とする近赤外線吸収能に優れたメタク
    リル系樹脂積層体。
  2. 【請求項2】 更に、下記の一般式(I)で表される化
    合物から選択された少なくとも1種のチオ尿素誘導体
    0.001〜1重量部および/または下記の一般式(II)で
    表される化合物から選択された少なくとも1種のチオア
    ミド誘導体 0.001〜1重量部を含有してなるメタクリル
    シートにメタクリル系樹脂フィルムを積層一体化してな
    ることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収能に優
    れたメタクリル系樹脂積層体。 【化1】 (R1,R2,R3は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、
    アリール基、アラルキル基および5員または6員の複素
    環残基からなる群から選ばれた一価基を表し、各基は1
    個以上の置換基を有していてもよく、R1とR2またはR2
    R3は連結して環を形成してもよい) 【化2】 (R4,R5 は、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロ
    アルキル基、アリール基、アラルキル基および5員また
    は6員の複素環残基からなる群から選ばれた一価基、ま
    たはR5はアルコキシ基を表し、各基は1個以上の置換基
    を有していてもよく、R4とR5は連結して環を形成しても
    よい)
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の近赤外線吸収能に
    優れたメタクリル系樹脂積層体を波板状あるいは異形の
    断面形状に成形してなる近赤外線吸収メタクリル系樹脂
    積層成形体。
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