JPH0515902B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、自動等のデイーゼル機関に燃料を
噴射させるために用いられる分配型の燃料噴射ポ
ンプであつて、主噴射に先立つて予備噴射を行わ
せる形式のものに関する。

（従来の技術） 予備噴射は、これを行うことにより主噴射前に
おける機関の気筒内の雰囲気を着火されやすい雰
囲気とし、主噴射の際の急激な爆発を緩和し、爆
発音を減少させることを主たる目的とし、この目
的を達成する手段そのものは特開昭56−56982号
公報や同57−173552号公報より公知となつてい
る。この公知の手段は、互いに連通する主噴射用
吐出口と予備噴射用吐出口とをプランジヤに形成
し、前記予備噴射用吐出口が主噴射に先立つ分配
通路に整合した時に予備噴射させるように構成さ
れている。ところが、常に予備噴射を行わせる
と、主噴射されるべき燃料量が相対的に低下して
機関の出力を落とすので、特開昭54−126820号公
報にあつては、噴射タイミングを制御するタイマ
を利用して機関の回転数に応じて予備噴射領域を
制御することが示されている。即ち、プランジヤ
の主噴射吐出口と予備噴射吐出口との形成角度を
適当にとれば、タイマにより変化する進角量の所
定のしきい値を境にして予備噴射させる領域と予
備噴射させない領域とに分けることができるもの
である。

しかしながら、タイマの特性は、機関の特性に
応じて差があるが、一般的には第９図に示すよう
に、機関の回転数Ｎがアイドル回転数Niをはる
かに越えて所定の回転数Ncになるまでは、タイ
マによる進角量TAは基準値０であり、所定の回
転数Ncを越えて始めて進角量TAが上昇し、そ
の後最高進角量となるように設定されている。し
たがつて、従来にあつては、少なくとも進角開始
までは予備噴射させるようになり、予備噴射領域
が広くならざるを得ないのに対し、実際に爆発音
が気になるのはアイドル回転数Niの付近のみで
あり、上述したように予備噴射領域が広いことに
よる機関の出力低下をいたずらに許容していると
いう欠点があつた。

（発明の課題） そこで、この発明は、タイマで噴射タイミング
が進んだ後に予備噴射を解除するように構成され
ていることに起因する従来の欠点を解消し、予備
噴射領域をより柔軟に調整して機関のアイドル回
転数付近に限定することができるようにして、予
備噴射による機関の爆発音を実質的に低下させた
ままで機関の出力を上昇させることができる分配
型燃料噴射ポンプを提供することを課題としてい
る。

（課題を達成するための手段） しかして、この発明の要旨とするところは、互
いに連通する主噴射用吐出口と予備噴射用吐出口
とをプランジヤに形成し、前記予備噴射用吐出口
が主噴射に先立つ分配通路に整合した時に予備噴
射させる形式の分配型燃料噴射ポンプにおいて、
機関の回転数に応じた燃料圧力で作動して噴射タ
イミングを制御するタイマを、前記燃料圧力が所
定値以下のときに作動する第１の圧力応動手段
と、前記燃料圧力が所定値以上のときに作動する
第２の圧力応動手段とに分けて、このタイマの第
１の圧力応動手段の制御領域にあるときのみ予備
噴射させるようにしたことにある。

（課題の達成） したがつて、噴射タイミングが第１の圧力応動
手段の制御領域にあるときのみ予備噴射が行わ
れ、第２の圧力応動手段の制御領域にあるときは
予備噴射が解除されるので、第１の圧力応動手段
と第２の圧力応動手段の設定に応じて予備噴射領
域と通常噴射領域との区分を調整することがで
き、そのため、上記課題を達成することができる
ものである。

（実施例） 以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。

第１図乃至第６図において、この発明の一実施
例が示され、分配型燃料噴射ポンプは例えばボツ
シユ式のもので、機関駆動されるベーン型のフイ
ードポンプ１を有し、このフイードポンプ１によ
りポンプハウジング２内のチヤンバ３に燃料が供
給される。ポンプハウジング２にはバレル４が設
けられ、このバレル４の摺動孔５にプランジヤ６
が周方向及び軸方向に摺動自在に嵌挿されてい
る。このプランジヤ６は、図示しないドライビン
グデイスクを介して駆動軸７に軸方向の移動を許
すように連結されている。また、このプランジヤ
６の基部には、機関の気筒数に対応したカムが形
成されたカムデイスク８が固定され、このカムデ
イスク８に対向してローラホルダ９が設けられて
いる。そして、このローラホルダ９に保持された
ローラ１０が前記カムデイスク８のカム面に当接
し、さらに、プランジヤ６及びカムデイスク８が
プランジヤスプリング１１によりローラホルダ側
に押付けられており、このため、プランジヤ６
は、駆動軸７が回転すると、カムデイスク８のカ
ム面に従つて往復動しつつ回転する。

また、プランジヤ６は、その先端側で前記バレ
ル４と共に圧縮室１２を構成し、この圧縮室１２
に臨むプランジヤ６の先端周囲には、気筒数に対
応する複数の吸入グループ１３が軸方向に形成さ
れている。該吸入グループ１３は、プランジヤ６
が第２図左方向に後退する吸入行程時にあつて
は、バレル４に形成された吸入ポート１４と該吸
入グループ１３の一つが整合し、吸入通路１５を
介して前記チヤンバ３から燃料を圧縮室１２に吸
入する。

さらに、圧縮室１２には、プランジヤ６の軸方
向に形成された縦孔１６の一端が開口しており、
この縦孔１６はその他端側でカツトオフ孔１７に
通じ、このカツトオフ孔１７を開閉するコントロ
ールスリーブ１８がプランジヤ６に外嵌され、こ
のコントロールスリーブ１８は、図示しないガバ
ナの出力で軸方向に動かされ、該コントロールス
リーブ１８からカツトオフ孔１７が離れると噴射
終りとなり、噴射量の制御が行われる。

また、上記縦孔１６の中間部には、第３図、第
４図に示すように、その実施例のように４気筒の
場合はプランジヤ６の半径方向に連通孔１９，２
０が略90゜の角度をもつて接続形成され、該連通
孔１９，２０の他端には主噴射用吐出口２１と予
備噴射用吐出口２２とが設けられている。そし
て、前記バレル４の半径方向には気筒数に対応し
た数の分配孔２３が形成され、90゜毎離れており、
さらにこの分配孔２３に続いてポンプハウジング
２には吐出孔２４が形成され、この吐出孔２４に
は送出弁２５が設けられている。

したがつて、プランジヤ６が第２図右方向に移
動する圧送行程時にあつては、吸入グループ１３
が吸入ポート１４から切り離され、圧縮室１２の
燃料が圧縮され、主噴射用吐出口２２が分配孔２
３の１つに整合して、圧縮室１２の燃料がプラン
ジヤ６の縦孔１６、連通孔１９、主噴射用吐出口
２２、分配孔２３及び吐出孔２４を介して図示し
ない噴射ノズルに送られ、主噴射がなされる。ま
た、この圧送行程時に予備噴射用吐出口２２が主
噴射に先立つ分配孔２３と整合する場合（第３図
参照）には、主噴射の場合と同様の経路を通つて
予備噴射がなされるが、予備噴射用吐出口２２が
主噴射に先立つ分配孔２３に整合しない場合（第
４図参照）には予備噴射が行われず、かかる２つ
の場合に分ける機能は下記するタイマ２６により
実行されるようになつている。

即ち、タイマ２６は、第１図に示すように、第
１の圧力応動手段２７と第２の圧力応動手段２８
とから構成され、該２つの圧力応動手段２７，２
８が直列に接続されている。第１の圧力応動手段
２７は、前記ポンプハウジング２に形成された第
１のシリンダ２９に嵌挿された第１のタイマピス
トン３０を有する。この第１のタイマピストン３
０は、一端が前記ローラホルダ９に一端が固定さ
れたレバー３１が係合していると共に、前記チヤ
ンバ３に通じる燃料圧導入孔３２が形成されてい
る。この燃料圧導入孔３２の他端は、シリンダ２
９、第１のタイマピストン３０及び第１の蓋体３
３に囲まれて構成された作動室３４に開口してお
り、この作動室３４の圧力を第１タイマピストン
３０の一端面が受ける。また、この第１のタイマ
ピストン３０と第２のタイマピストン３９との間
の第１のばね室３５には第１のタイマスプリング
３６が配置されている。

第２の圧力応動手段２８は、前記第１のシリン
ダ２９に段部３７を介して続く大径の第２のシリ
ンダ３８に第２のタイマピストン３９が嵌挿し、
この第２のタイマピストン３９のと第２の蓋体４
０との間には第２のばね室４１が設けられ、この
ばね室４１に第２のタイマスプリング４２が配置
されている。尚、この第２のばね室４１は低圧側
に通じ、さらに第２のタイマピストン３９に形成
された通孔４３を介して第１のばね室３５に通
じ、この第１のばね室３５も低圧となつている。

しかして、このタイマ２６による進角特性は第
７図に示すようになつており、機関の回転数がア
イドル回転数以下の場合には、チヤンバ３の圧力
が上昇して作動室３４の圧力も燃料圧導入孔３２
を介して上昇するが、第１のタイマスプリング３
６に打ち勝つまでには至らず、第１図に示す位置
にある。この状態においては、進角量TAの基準
値０に対して所定角度遅角しており、圧送行程時
のプランジヤ６は第３図に示す位置になり、予備
噴射が行われる。として、さらにチヤンバ３の燃
料圧力が上昇すると、作動室３４の圧力が上昇し
て第１のタイマピストン３０が第１のタイマスプ
リング３６に抗して第２図右方向に移動し、つい
には第２のタイマピストン３９に当接する（第５
図参照）。このときの進角量TAは基準値０とな
つており、これにより圧送行程時のプランジヤ６
は第４図に示す位置になり、予備噴射用吐出口２
２が主噴射に先立つ分配孔２３を避けるようにな
り、このため、予備噴射が解除され、予備噴射領
域が機関のアイドル回転数Niよりやや大きいと
ころまでに限定される。そして、さらに機関の回
転数が上昇すれば、第１のタイマピストン３０は
第２のタイマピストン３９と一体に移動して通常
の進角制御がなされるようになる（第６図参図）。

尚、上記実施例においては、始動時に遅角する
ので、始動特性に影響を与える虞があるが、すで
に公知であるように、始動時におけるチヤンバ３
からのオーバーフローを避ける弁を設ければ、チ
ヤンバ３内の圧力特性を第８図に示すようにする
ことができ、これにより始動性が良くなると共に
予備噴射領域をアイドル回転数Ni付近でより狭
く限定することができる。

（発明の効果） 以上述べたように、この発明によれば、タイマ
を噴射タイミングを遅らせる第１の圧力応動手段
と噴射タイミングを進ませる第２の圧力応動手段
とに分け、第１の圧力応動手段の制御領域にある
ときのみ予備噴射が行われるようにしたので、第
１の圧力応動手段と第２の圧力応動手段の設定に
応じて予備噴射領域と通常噴射領域との区分を調
整することができ、そのため、予備噴射領域を例
えば機関のアイドル回転付近でのみ行わせること
ができ、実質的に爆発音の低減を図ることができ
ると共に、機関の出力を増大させることができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例におけるタイマ部
分を示す断面図、第２図は同上のタイマを有する
分配型燃料噴射ポンプの概略を示す断面図、第３
図、第４図はそれぞれ異なる状態にあるときのバ
レルとプランジヤとの関係を示す断面図、第５
図、第６図はそれぞれ異なる状態にあるときのタ
イマを示す概略の断面図、第７図は上記一実施例
における進角特性を示す線図、第８図は他の実施
例における進角特性を示す線図、第９図は従来に
おける進角特性を示す線図である。 ６……プランジヤ、２１……主噴射用吐出口２
１、２２……予備噴射用吐出口２２、２３……分
配通路２３、２６……タイマ２６、２７……第１
の圧力応動手段、２８……第２の圧力応動手段、
３０……第１のタイマピストン、３６……第１の
タイマスプリング、３９……第２のタイマピスト
ン、４２……第２のタイマスプリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互いに連通する主噴射用吐出口と予備噴射用
   吐出口とをプランジヤに形成し、前記予備噴射用
   吐出口が主噴射に先立つ分配通路に整合した時に
   予備噴射させる形式の分配型燃料噴射ポンプにお
   いて、機関の回転数に応じて燃料圧力で作動して
   噴射タイミングを制御するタイマを、前記燃料圧
   力が所定値以下のときに作動する第１の圧力応動
   手段と、前記燃料圧力が所定値以上のときに作動
   する第２の圧力応動手段とに分けて、このタイマ
   の第１の圧力応動手段の制御領域にあるときのみ
   予備噴射させるようにしたことを特徴とする分配
   型燃料噴射ポンプ。 ２ 第１の圧力応動手段及び第２の圧力応動手段
   は、それぞれタイマピストンとタイマスプリング
   とを直列に連結して構成されたことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の分配型燃料噴射ポン
   プ。