JPH0515395B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

Ａ 産業上の利用分野 本発明は熱転写インクシートに関する。更に詳
しくは、熱転写方式のカラー記録における色の重
ね合わせ不良を排除した熱転写インクシートに関
する。 Ｂ 従来の技術 近年、サーマルプリンター、サーマルフアクシ
ミリ等を用いて普通紙に転写画像を形成させる熱
転写記録は盛んに開発されてきている。この熱転
写記録は装置の機構が簡単なため保守が容易で、
かつ価格及び維持費が低いこと、また低エネルギ
ーで鮮明で堅牢な記録が出来ること、および多色
のインクシートを用いることにより比較的容易に
カラー記録が可能であること等から最近注目され
ている。 熱転写方式を用いるカラー記録方法としては、
イエロー、マゼンタ及びシアン、更に必要に応じ
てブラツクの各色の熱溶融性インク層を用いて普
通紙上に順次それぞれの色の所定の画像を溶融転
写させ色の重ね合わせにより所望のカラー画像を
得る方法が１例として上げられる。この方法は取
扱いが簡単でかつ解像度の高い鮮明なカラー画像
を作成するのに特に好ましいものである。 Ｃ 発明が解決しようとする問題点 上記で述べた色の重ね合わせによるカラー記録
方法においては、しばしば色の重ね合わせ不良が
発生するという欠点がある。 例えば、イエローとマゼンタとの重ね合わせに
より、１ドツトのレツドの画像を得る場合、最初
にイエローの熱溶融性インクを普通紙上に溶融転
写させて１ドツトのイエローの画像を形成し、続
いてマゼンタの熱溶融性インクを同様にして順次
同じ普通紙上に溶融転写させて１ドツトのマゼン
タの画像を前記イエローの画像に重ね合わせて１
ドツトのレツドの画像を得る。この際、イエロー
とマゼンタの位置がずれて、一つの鮮明な１ドツ
トを形成しないため、これを色の重ね合わせ不良
と呼び、大きな問題となつている。同様のこと
は、グリーン、ブルー、ブラツクの色表現のた
め、各々イエローとシアン、マゼンタとシアン、
更にイエローとマゼンタの重ね合わさつたレツド
とシアンの重ね合わせにおいても生じ、満足すべ
きカラー画像を得ることができない。 近時、上記の如き欠点を排除したカラー熱転写
インクシートが提案されている。例えば、特開昭
58−158291号公報がある。同公報では、例えば、
イエローとマゼンタからレツドの画像を得る場
合、マゼンタのインク層の溶融転写時に該マゼン
タのインク層に加えられる熱によつて該マゼンタ
のインク層と接触している普通紙上のイエローの
インク層も又、溶融し、マゼンタのインク層と混
融し、粘着して普通紙上のイエロー部にマゼンタ
のインクが重なり熱転写インクシートと普通紙が
はがされる。このとき普通紙が熱転写インクシー
ト側に持ち上げられ、普通紙上のイエローの位置
とマゼンタの転写位置がずれて色の重ね合わせ不
良が生じる原因となる。そこで、少なくともイエ
ロー、マゼンタ及びシアンの各熱溶融性インク層
を基材上に設けるにあたり、これらのインク層を
サーマルヘツドによる印字順序に従つて段階的に
溶融温度を異ならしめることにより色の重ね合わ
せ不良を排除しようとするものである。 しかしながら、色の重ね合わせ不良というもの
は、上記公報の如く、溶融時における２種インク
間の融点差のみに起因するものではなく、根本的
には、２種インク間の物理的現象によることが考
えられ、未解決の課題であつた。 本発明は、熱転写方式の色の重ね合わせによる
カラー記録方法において、色の重ね合わせ不良を
排除した熱転写インクシートを得ることを目的と
する。 Ｄ 問題点を解決するための手段 本発明者らは、これらの欠点を解決するため鋭
意研究を行なつた結果、色の重ね合わせ不良を排
除した熱転写インクシートを提供することができ
た。 すなわち、互いに異る色の熱溶融性インク層の
２種以上をそれぞれ基材の同一面に形成したカラ
ー熱転写インクシートにおいて、２種インク面同
士の動摩擦係数が0.70以上である熱転写インクシ
ートであり、且つ該インク層の色がイエロー、マ
ゼンタ、シアンの３色、又は、イエロー、マゼン
タ、シアン及びブラツクの４色である熱転写イン
クシートによつて本発明の目的を達成することが
できた。 本発明の熱転写インクシートを用いて色の重ね
合わせ不良を排除する方法を更に詳しく説明す
る。 まず初めに、色の重ね合わせ不良の原因につい
て考えてみる。色の重ね合わせ不良の原因は、よ
くは解明されていないが、前述のごとくマゼンタ
のインク層の溶融転写時に該マゼンタのインク層
に加えられる熱によつて該マゼンタのインク層と
接触している普通紙上のイエローのインク層が溶
融し、マゼンタのインク層と混融し、粘着してマ
ゼンタのインク層は熱転写インクシートから剥が
される。この際に普通紙が熱転写インクシート側
に持ち上げられ普通紙上のイエローの位置とマゼ
ンタの転写位置がずれてしまい色の重ね合わせ不
良が生じる場合と、普通紙上のイエローと熱転写
インクシート上のマゼンタの２種インク間の機械
的摩擦抵抗が小さいと該マゼンタが転写される際
に、普通紙上のイエローの位置から滑つて色の重
ね合わせ不良が生じる場合とが考えられる。 すなわち、前者の視点に立つならば、上記の従
来技術で引用した特許公報の如く、インク間の融
点差による解決方法がある。 しかしながら、上述したように色の重ね合わせ
不良は、根本的には溶融転写中の問題としてとら
えるよりは、溶融転写前の位置合わせの際の物理
的現象としてとらえることの方が大きいと考えら
れる。これらの考えをもとに普通紙上のインク面
と熱転写インクシート上のインク面の２種インク
面同士の動摩擦係数を大きくし２種インク面の滑
りを少なくすることによつて、色の重ね合わせ不
良を解決することができた。 本発明は、普通紙上のインク面と熱転写インク
シート上のインク面の２種インク面同士の動摩擦
係数の測定が、普通紙や熱転写プリンターの機種
により値が異なるため、同一のカラー熱転写イン
クシート内の２種インク面動士の同摩擦係数を測
定することによつて、色の重ね合わせに対する評
価ができることを見い出した。 すなわち、互いに異なる色の熱溶融性インク層
の２種以上をそれぞれ基材の同一面に形成したカ
ラー熱転写インクシートにおいて、２種インク面
動士の同摩擦係数が極端に小さいとマゼンタまた
はシアンのインクをイエローが転写されている上
に転写する際、普通紙上のイエローの位置から滑
つてしまい色の重ね合わせ不良が生じる。一方、
動摩擦係数が0.70以上の場合、普通紙上のイエロ
ーのインク面と熱転写インクシート上のマゼンタ
又はシアンの２種インク面の機械的摩擦抵抗が大
きいと滑りが少なく、色の重ね合わせ不良は生ず
ることなく、鮮明なカラー画像を得ることができ
る。 なお、インク層の動摩擦係数を本発明の範囲内
に維持するためには、インク配合、インク塗工条
件、インク塗工後の熱転写インクシートの熱処理
条件等公知の手段により適宜設定できる。 Ｅ 作用 熱転写記録を用いる色の重ね合わせによるカラ
ー記録を得るために、互いに異る色の熱溶融性イ
ンク層の２種以上をそれぞれ基材の同一面に形成
したカラー熱転写インクシートにおいて、２種イ
ンク面同士の動摩擦係数を0.70以上にすることに
よつて、色の重ね合わせ不良を排除することがで
き。 Ｆ 実施例 以外に実施例によつて本発明を更に具体的に説
明する。 熱転写インクシートの作成に当つて、２種イン
ク面同士の動摩擦係数がそれぞれ表−１に示す値
になるように熱転写インクシートＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄ
を作成した。 動摩擦係数の測定は、東洋精機製・カード摩擦
係数測定機を用い、JIS−C6244に従つて行なつ
た。評価方法は、神鋼電機(株)製カラーハードコピ
ーCHC33を用いて、作成した熱転写インクシー
トＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄと普通紙として三菱製紙(株)製の
熱転写受像紙（商品名TTR−Ｔ）の印字面を重
ね合わせ、イエローとマゼンタ、イエローとシア
ン、マゼンタとシアン及びイエローとブラツクの
２種の色による１ドツト（直径250μｍ）の重ね
合わせ印字によつて、色の重ね合わせ不良を光学
顕微鏡を用いて評価した。結果を表−１に示す。

【表】 表−１より明らかな通り、熱転写インクシート
の動摩擦係数を0.70以上にすることによつて、２
種インク間の機械的摩擦抵抗を大きくし、普通紙
上のインク面と熱転写インクシート上のインク面
の滑りを少なくすることで色の重ね合わせ不良を
排除することができた。 Ｇ 発明の効果 以上の通り、本発明の熱転写インクシートは、
互いに異なる色の熱溶融性インク層の物理的な動
摩擦係数を規定することによつて、色の重ね合わ
せにおいてずれを生ずることがなく、鮮明なカラ
ー画像を得ることができ、これによつて工業的意
義は極めて高いものといえる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互いに異る色の熱溶融性インク層の２種以上
   をそれぞれ基材の同一面に形成したカラー熱転写
   インクシートに於て、２種のインク面同士の動摩
   擦係数が0.7以上である熱転写インクシート。 ２ 該インク層の色がイエロー、マゼンタ、シア
   ンの３色、又は、イエロー、マゼンタ、シアン、
   及びブラツクの４色である特許請求の範囲第１項
   記載の熱転写インクシート。