JPH051535A - エンジン排ガスの導出パイプ - Google Patents

エンジン排ガスの導出パイプ

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JPH051535A
JPH051535A JP18054391A JP18054391A JPH051535A JP H051535 A JPH051535 A JP H051535A JP 18054391 A JP18054391 A JP 18054391A JP 18054391 A JP18054391 A JP 18054391A JP H051535 A JPH051535 A JP H051535A
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Toshiro Adachi
俊郎 足立
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二三男 最上
Tsugio Suzuki
次男 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 〔目的〕 高出力車のように 500℃前後の高温排ガス
と接してもマフラーとの溶接接合部に粒界腐食を起こさ
ない自動車エンジンの排ガス導出パイプを開発する。 〔構成〕 エンジンの排ガス経路の一部を構成し,他の
部材との溶接接合部をもち,そしてパイプ自身が下記の
成分組成を有する鋼板を所望径に溶接造管されたもので
あるエンジン排ガスの導出パイプ;重量%で,C:0.02
%以下, Si:1.0%以下, Mn:2.0%以下, P:0.04%
を超え0.15%以下, S:0.01%以下, Ni:0.6%以下,
Cr:11.0〜20.0%, Nb:0.8%以下, V:0.2%以下,
Al:0.05%以下, N:0.03%以下, O:0.01%以下,
ただし,これらの成分の間に,0.005≦C+N≦0.04%
の関係と,次の式 I=Nb−7(C+N)+0.01(Cr−12) で定められるI値が0.15以上となる範囲に維持される関
係が成立しており,残部がFeおよび不可避的不純物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,自動車エンジンの排ガ
ス構造部材の一つである排ガス導出パイプに係り,最近
の高出力下に伴う排ガス温度の上昇によっても溶接部で
の粒界腐食が生じないエンジン排ガスの導出パイプに関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車の排ガス経路は代表的には図1に
示すような部材からなっている。すなわち,エンジン側
からヂュアルチューブ1,ヂュアルチューブ集合体2,
コネクションチューブ3,フランジ4,コンバータ5,
フランジ6,センターチューブ7,マフラー8およびテ
ールチューブ9を接続して構成される。このうち,セン
ターチューブ7とマフラー8は溶接によって接合され,
マフラー8とテールチューブ9も通常は溶接で接合され
る。すなわち,図2に示したように,マフラー8の上流
側エンドプレート10に設けた開口にセンターチューブ7
の端を挿入し,その接合部11を例えばスポット溶接など
で接続する。マフラー8内のバッフルプレート12との接
合部13でも同様に溶接される。また,マフラー8の下流
側エンドプレート14に対してもテールチューブ9が接合
部15で例えばスポット溶接などで接合され,バッフルプ
レートに対しても同様に溶接される。
【0003】従来において,マフラーやセンターチユー
ブおよびテールチユーブ等は,アルミニウムめっき鋼板
を素材として使用されていた。すなわち,素材鋼板の両
面にアルミニウムめっき(溶融アルミニウムめっき)を
施した材料で管やマフラーを構成し,排ガスに接する側
と大気に接する側の両面をアルミニウムめっき面とする
ことによって内外とも耐食性を維持しようとしていた。
しかし,特にマフラーでは結露水による湿食の問題がク
ローズアップされ,ステンレス鋼板で置き換えることが
行われるようになった。このステンレス鋼としてはJIS
規格のSUS410L鋼等が通常採用されている。またエンジ
ンに近く高温に曝されるヂュアルチューブやコネクショ
ンチューブ等は耐熱性のあるステンレス鋼が使用されて
いる。したがって,アルミニウムめっき鋼板を素材とす
る部分はセンターチユーブおよびテールチユーブが主た
るものとなっていた。
【0004】しかし,アルミニウムめっき鋼板を素材と
するセンターチユーブやテールチユーブをマフラーに対
して溶接によって接合すると,溶接時にアルミめっき層
が損傷し,腐食寿命が短くなるという問題がある。この
ため,これらのチユーブ自体もステンレス鋼で置き換え
ることが試みられた。このようなステンレス鋼として
は,13Cr系のステンレス鋼として12Crで低C低Nを図
った前述のSUS410L鋼,或いは低C低Nの11CrでCやN
の固定元素としてTiを添加したSUH409 鋼などがある。
これらの材料はCやNを低く抑えている上に,さらに40
9鋼ではTiを添加しているため, 粒界腐食に対するある
程度の抵抗性を有しており, 旧来は特に問題が生じてい
なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし,近年のエンジ
ンの高出力化に伴う排ガス温度の上昇により, これらの
材料をセンターチユーブやテールチユーブの素材とした
場合には特にマフラーとの溶接部において粒界腐食の発
生を見ることがある。すなわち, これらの材料を溶接に
よって造管し (高周波溶接造管し),スポット溶接などに
よってマフラーと接続して自動車に搭載し, 高温のエン
ジン排ガスに曝されると, 該溶接部において粒界腐食が
生ずるのである。この原因としては, 結晶粒内にTiC
やM236の形で析出していた炭化物が溶接による入熱
により固溶し,さらに,その後の排ガスによる高温加熱
を受けてCr炭化物として粒界へ優先的に析出する現象
が生じ, これにより,粒界近傍でCr欠乏層が生成して
粒界腐食が生じるものと考えてよい。Cr炭化物の粒界
への優先的な析出は一般に鋭敏化現象と呼ばれている
が,排ガス温度が旧来の300℃付近であればこの鋭敏化
はそれほど進行しなかった。近年では排ガス温度が上昇
し,13Cr系のフエライト鋼の鋭敏化温度域である500℃
付近にまで達すると,この粒界腐食の問題が顕在化す
る。
【0006】本発明は溶接造管され且つマフラー等との
溶接接合部をもつエンジン排ガスの導出パイプにおい
て, 高出力車の高温排ガスと接してもこの粒界腐食の問
題を起こさないパイプの開発を意図したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,エンジ
ンの排ガス経路の一部を構成し,他の部材との溶接接合
部をもち,そしてパイプ自身が下記の成分組成を有する
鋼板を所望径に溶接造管されたものであるエンジン排ガ
スの導出パイプ, 特にセンターチューブまたはテールチ
ユーブを提供する。重量%で,C:0.02%以下, Si:
1.0%以下, Mn:2.0%以下, P:0.04%を超え0.15%
以下, S:0.01%以下, Ni:0.6%以下, Cr:11.0〜2
0.0%, Nb:0.8%以下, V:0.2%以下, Al:0.05%
以下, N:0.03%以下, O:0.01%以下,ただし,これ
らの成分の間に,0.005≦C+N≦0.04%の関係と,次
の式 I=Nb−7(C+N)+0.01(Cr−12) で定められるI値が0.15以上となる範囲に維持される関
係が成立しており,残部がFeおよび不可避的不純物。
ここで,I値はCrおよびC,N含有量に応じた必要Nb
量を示すものであり,耐粒界腐食感受性指数と定義す
る。
【0008】〔発明の詳述〕本発明者らは,前述のよう
なステンレス鋼製の排ガス導出パイプの耐粒界腐食性を
向上させるべく,Crレベルを種々変化させたうえTi添
加量を増加させた材料を溶製し,その特性を種々調べた
結果, 13Cr系の材料を溶接後において鋭敏化温度域で
使用する場合には, 18Cr系ステンレス鋼溶接部の粒界
腐食防止に対して従来より行われてきた手法とは異なっ
た成分設計を必要とすることがわかった。また耐粒界腐
食性に関してはTiを十分に添加すれば改善されるが,
Tiを過剰に添加すると圧延材にストリーク状の表面疵
が発生する上, 高周波造管によって該パイプを作る際に
ピンホールが多数発生し,パイプに造管できないことも
わかった。ピンホール発生の原因を種々検討したとこ
ろ,Ti添加量が0.3%を超えた材料で特にピンホールの
発生率が高くなることからTiの酸化物が主な原因と推
定された。このようなことから,Tiを用いた耐粒界腐
食性の向上では高周波造管性が損なわれるので該パイプ
造管用として不向きとなり,耐粒界腐食性と高周波造管
性とを同時に満足する材料開発を新たに必要とすること
が明らかとなった。
【0009】このような知見事実に立脚して,合金元素
の点から,CとNの固定元素としてTi以外のZr,Nb,
Vを添加した材料について調べたところ,Zr添加鋼は
Ti添加鋼と同様にピンホールが発生し充分な高周波造
管性が得られなかったが,Nb,Vの同時添加鋼では高周
波造管性が良好となること,さらにC量, N量及びCr
量に応じてNbを適正量で添加すればより耐粒界腐食性
と高周波造管性を兼ね備えた材料が得られることを見出
した。Nb,Ti,V等の固定元素の種類および添加量と耐
粒界腐食性の関係を調査した結果, NbとTiはほぼ同等
の粒界腐食防止効果が認められた。VについてはNbと
複合で添加した場合に粒界腐食防止に有効であった。
【0010】また,Nbの添加量は溶接後に高温の排ガ
スによって鋭敏化温度域に曝されることを考慮すると,
CとNを固定するのに必要な量よりも増量して添加して
おく必要があることがわかった。
【0011】このNbの適切な添加量の関係は次式のI
値を指標として正確に規制できることがわかった。 I=Nb−7(C+N)+0.01(Cr−12) この式は本発明者らの実験によって設定されたものでは
あるが,概念的に言えば,7(C+N)の項はCとNの固
定のために消費される量を意味し,0.01(Cr−12)の項
は,12Cr鋼をベースとしてCrレベルによる粒界腐食感
受性の違いを示している。その詳細は後記の実施例によ
っても示すが,実験の結果, スポット溶接部の耐粒界腐
食性を維持するためにはI値は0.15以上必要である。
【0012】強力な酸化物形成元素であるAlについて
その添加量と高周波造管性に及ぼす影響を調べたが,A
l量を0.05%以下にすることにより, さらに良好な高周
波造管性が得られた。
【0013】Pの添加量は,JIS G 4304等で規定された
通常のステンレス鋼においては, 加工性, 靭性の面から
0.04%以下に厳しく制限されている。ところが本発明鋼
のように極低C, Nで固定元素を添加した成分系の材料
を4.0mmより薄い板厚で使用する場合にはPを0.04%を
超えて含有しても靭性は問題とならず,逆にデスケール
性や加工性を向上させ,また脱燐負荷が低下することか
ら安価な材料を供給できることがわかった。但し, P含
有量が0.15%を超えた材料では高周波造管時のピンホー
ルを増加させる傾向が認められた。
【0014】本発明は以上のような新たな知見事実に基
づくものであり,これによって高温排ガス用途向けでの
耐粒界腐食性と高周波造管性を同時に達成したものであ
るが各成分の含有量を規制した理由を個別に概説すると
次の通りである。
【0015】C:0.02%以下について。 Cは鋼中に不可避的に含まれる元素である。C含有量を
低減すると,軟質になり加工性が向上するとともに炭化
物の生成が少なくなり, 溶接性, 耐粒界腐食性が向上す
る。本発明鋼ではC含有量は0.02%までは許容され得
る。
【0016】Si:1.0%以下について。 Siは脱酸剤として製鋼上添加される元素である。Si含
有量が高いと耐酸化性の向上に役立つが, 1.0%を超え
て添加されると固溶強化により硬質になり加工性が低下
する。そこでSi含有量はその上限を1.0%とする。
【0017】Mn:2.0%以下について。 MnもSiと同様に製鋼時の脱酸剤として有効な元素であ
るが,過剰に添加すると耐酸化性を損なうだけでなく耐
食性も低下する。このためにMn含有量は2.0%以下にす
る。
【0018】P:0.04%を超え0.15%以下について。 Pは不可避的不純物として鋼中に含まれる元素であり,
脱P処理を施すとコスト高となる。この意味からは低P
鋼としない方が有利である。またデスケール性や加工性
にも有効に作用する。したがってPは0.04%を超える量
で含有させる。そして本発明鋼の場合には0.15%までの
P含有量では靭性, 加工性において問題はない。また高
周波造管性にも問題がない。従ってP含有量の上限は,
一般のステンレス鋼より高い0.15%とする。
【0019】S:0.01%以下について。 SはPと同様に不可避的不純物として鋼中に含まれる元
素であるが, S含有量が高いと熱間加工性や耐食性が低
下する。このためにS含有量の上限は0.01%とする。
【0020】Ni:0.6%以下について。 Niはフエライト系ステンレス鋼の靭性改善に有効な元
素であるが多すぎるとコスト高になる。本発明鋼も通常
のフエライト系ステンレス鋼で規定されている0.6%以
下とする。
【0021】Cr:11.0〜20.0%について。 Crはステンレス鋼の耐食性を保持する上で必須の元素
であり, この意味から11.0%以上は必要である。本発明
鋼の特徴は12Crレベルでも十分に発現できるが,さら
に高いCrレベルの材料においても本発明鋼の特徴は損
なわれない。ただし20.0%を超えてCrを含有すると靭
性が損なわれる上にコスト高となる。したがってCrの
含有量は11.0〜20.0%とする。
【0022】Nb:0.8%以下について。 Nbは本発明において重要な添加元素の1つである。Nb
はTiと同様にCとNの固定元素として添加されるので
Nb添加量は鋼中のCとNの含有量に関係し,耐粒界腐
食性試験によって実験的に定められたI値が所定範囲と
なるように添加することが耐粒界腐食性向上の点から必
要である。またNbはTiとは異なり0.3%以上添加して
も高周波造管性が低下しないという特有の性質がある。
しかし,0.8%を超えてNbを添加すると, スポット溶接
部において高温割れを生じ易くなる。したがってNb含
有量は0.8%以下とする。
【0023】V:0.2%以下について。 VはNbと同様にCとNの固定元素として有効である。
特にNbと複合で添加した場合に,Nbの粒界腐食防止効
果を補う元素として極めて有効に作用する。しかし, 0.
2%を超えて添加してもその効果は飽和し, コスト高と
なるだけであるから,含有量は0.2%以下とする。
【0024】Al:0.05%以下について。 AlはSiと同様に脱酸剤として製鋼上添加される。しか
し酸素との反応性が極めて高いために鋼中に残存したA
lは高周波造管時にTiと同様酸化物を形成しピンホール
発生の原因となる。このためAl含有量の上限は0.05%
とする。
【0025】N:0.03%以下について。 NはCと同様に不可避的不純物として鋼中に含まれてく
る。N含有量が高いと硬質になり, 加工性が低下すると
ともに, 窒化物としてNb等の固定元素を多量に消費す
ることになる。本発明鋼ではN含有量は0.03%までは許
容される。
【0026】O:0.01%以下について。 OもCやNと同様に不可避的不純物として鋼中に含まれ
てくる。O含有量が高いと加工性を著しく阻害するとと
もに高周波造管時にTi,Al等と結びついて酸化物を形
成し,ピンホール発生の原因となる。このためO含有量
は0.01%以下としなければならない。
【0027】C+N:0.005〜0.04%について。 耐粒界腐食性はCr炭化物の粒界析出に起因する。した
がって,その防止のためにはC量の低減が最も重要であ
る。しかし本発明鋼のように固定元素を添加する場合に
は固定元素はCと同様Nとも結合して消費されるのでC
+Nの総和で両元素をコントロールすることが必要とな
る。現在の通常の精錬技術ではC+Nを0.005%未満に
することは不可能に近く, また0.04%を超えると粒界腐
食感受性が増大するようになる。従ってC+Nの範囲は
0.005〜0.04%とする。
【0028】I値:0.15以上について。 I値は材料を溶接後にさらに鋭敏化温度域である500℃
付近の熱履歴を受けることを想定して実験的に設定され
た粒界腐食感受性の指標である。溶接方法としてスポッ
ト溶接を行った場合の結果に基づいて設定すると,耐粒
界腐食性確保のためには0.15以上の値が必要である。し
たがってI値は0.15以上とする。
【0029】図3は, 後記実施例に示した鋼のうち12C
rベース鋼の粒界腐食試験結果をC+N量と, Nbまたは
Ti量の関係で示したものであり,図中の添字は第1表
の供試材No.である。また,Nb添加鋼およびTi添加鋼
をそれぞれ○および△と異なった記号で示してある。粒
界腐食の有無は記号の黒ぬりおよび白ぬりで区別してあ
る。図3から明らかなようにNb,Ti等の固定元素の含
有量が多い材料は粒界腐食を生じておらず, 固定元素の
種類による明確な違いは認められない。耐粒界腐食性を
確保するために必要なNbまたはTiの量はC+N量によ
って異なり, 実験結果からは0.15+7(C+N) 以上必要
であることがわかる。これを数式化するとスポット溶接
材の粒界腐食防止の条件としては, Nb ≧0.15+7(C+N) すなわち, Nb−7(C+N)≧0.15 が成立することである。
【0030】図4は, 図3で得られた関係に基づいて縦
軸をNb−7(C+N), 横軸をCr量として整理したもの
である。図中の数字と記号は図3と同様である。図4か
ら明らかなように, Crレベルが高い材料ほど耐粒界腐
食性を確保するために必要な有効固定元素量:Nb−7
(C+N) は少なくてすむことがわかる。図3の場合と
同様に, 粒界腐食防止の条件をCr量を考慮して求める
と, Nb−7(C+N)≧0.15−0.01(Cr−12) すなわち, Nb−7(C+N)+0.01(Cr−12)≧0.15・・・ が成立することである。この式の左辺がI値に相当す
るものである。
【0031】図5は高周波造管性に及ぼすNb,Ti,Al
の影響を見たものであり,後記実施例において高周波造
管時に発生したピンホール数をNb量, Ti量およびAl
量で整理したものである。○はNb量を, △はTi量を,
そして◇はAl量を変化させた場合に対応し,添字は実
施例の供試材No.を示している。図5から明らかなよう
にTi量が0.3%を越えるとピンホール数が急激に多くな
り,高周波造管できない。Alは0.05%を超えた場合に
ピンホールが発生するようになる。これに対しNb添加
鋼ではその含有量が増加してもピンホールの発生は認め
らない。
【0032】以上のように厳密に各成分の含有量を規制
したステンレス鋼を通常の製造法に従って所望板厚の鋼
板としたうえ,これを高周波溶接によって自動車エンジ
ン排ガスの導出パイプとしての所望径の管に造管し,こ
の素管をエンジンの排ガス経路の一部を構成するように
加工および溶接接合する。既述の図2に示したようにセ
ンターチューブとテールチユーブをこの素管で構成する
場合にはマフラーに対してスポット溶接などで接続され
る。そのさい,マフラーもステンレス鋼板を用いて製作
され,このマフラー用ステンレス鋼としては,前述のよ
うにJIS規格のSUS410L鋼, SUS409鋼, これらの鋼に0.10
%以下のAlを添加した鋼, 場合によってはマフラーの
湿食を特に防止したNb添加の極低硫黄フエライト系ス
テンレス鋼 (17Cr系) を使用することができ,更に,
センターチューブやテールチユーブを構成する本発明に
従うステンレス鋼と同一の鋼の鋼板を用いてマフラーを
組み立てることもできる。いずれの場合にも,センター
チューブとマフラー, テールチユーブとマフラーとの間
の溶接接合部の高温排ガスによる粒界腐食の問題は回避
される。
【0033】
【実施例】表1に示す化学成分を有するステンレス鋼を
溶製し,熱間圧延により板厚3.5mmの熱延板を製造し
た。その後, 板厚1.0〜1.2mmにまで冷間圧延し,900〜1
000℃で仕上焼鈍を施した。これらの各鋼板を自動車エ
ンジンの排ガス導出パイプに供される径のパイプに高周
波溶接によって造管し,後述の高周波造管性評価試験を
行った。また各鋼板をスポット溶接して後述の粒界腐食
試験に供した。
【0034】なお,表1中, No.1〜No.8は本発明で規
定する成分組成範囲の鋼であり,いずれも固定元素とし
てNbとVが同時添加されている。
【0035】また,No.11〜16は比較鋼であり,製造履
歴は本発明鋼と同じである。そのうちNo.11はSUH409に,
No.12はSUS410Lに相当する鋼である。No.13は本発明鋼
に比べAl含有量が多く, Nb含有量が少ない鋼である。
No.14とNo.15はSUH409と同様にTi添加鋼ではあるが,
Ti含有量が多くCrレベルもSUH409の規格を上回る鋼で
ある。No.16は従来から存在している18Cr系のNb添加
鋼であるが, Vを添加していない鋼である。
【0036】粒界腐食試験はスポット溶接材を用いて行
った。スポット溶接は板厚1mmの試片を2枚重ねて,加
圧力350kgf, 電流6000〜7000A,通電サイクル10Hzの条
件で行った。溶接後の試片はいずれも500℃×10時間の
加熱保持後にシュトラウス試験に供した。シュトラウス
試験はJIS G0575では沸騰で行なうことになっているが,
ここでは母材の腐食をさけるために60℃で行った。粒
界腐食の有無はナゲット部と熱影響部の断面組織を顕微
鏡観察することによって評価し, 粒界腐食が認められな
いものを○印, わずかに粒界腐食しているものを△印,
激しい粒界腐食のものを×印として, その結果を表2に
示した。
【0037】高周波造管性は,板厚1.2mmの供試材鋼板
を次の(a)式で定義されるヒート係数Hを2.26に設定し
て直径45mmのパイプに造管し, 得られたパイプを偏平試
験に供したさいの割れの有無およびピンホールの数(個/
m) で評価した。その結果を表2に示した。 ただし,Iは電流,Vは電圧,vは速度,tは板厚であ
る。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表2の結果に見られるように,本発明鋼は
いずれのサンプルにおいても粒界腐食は生じていなかっ
た。
【0041】一方,比較鋼では, 固定元素のTiを0.40
%添加したNo.15鋼のみ粒界腐食が生じなかったが,そ
の他のサンプルではいずれも粒界腐食が生じていた。特
に固定元素を添加していないNo.12鋼(SUS410L相当鋼)
は激しい粒界腐食を生じていた。No.16鋼はI値が0.16
で0.15以上を満足しているが, Vを添加していないため
粒界腐食が認められた。
【0042】また高周波造管性について見ると,Ti含
有量が多い比較鋼のNo.15鋼では割れが生じた。Ti含有
量がNo.15に比べれば若干少ないが0.3%を超えるNo.14
鋼およびAl含有量が0.05%を超えるNo.13鋼では割れは
生じなかったもののピンホールが発生した。これに対
し, Ti,Al量を低く抑えたNb添加の本発明鋼はいずれ
も割れおよびピンホールとも生じておらず, 良好な高周
波造管性を示した。
【0043】
【発明の効果】以上のように,本発明によれば,最近の
高出力化に伴って自動車エンジンの排ガス温度が500
℃近辺まで上昇しても,溶接部での耐粒界腐食性が良好
な排ガス導出パイプが提供される。またこのパイプ素材
はTiを多量に添加した鋼に比べて表面疵も少ないので
冷延工程での歩留りが高いうえ高周波造管性に優れるの
で造管工程での歩留りも高く, 比較的安価に製造するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車エンジンの排ガス構造部材の接続関係を
示す斜視図である。
【図2】排ガス構造部材のうちマフラーと接続されるパ
イプの接合状態を示す略断面図である。
【図3】実施例に示した鋼のうち12Crベース鋼の粒界
腐食試験結果を横軸にC+N量を, 縦軸にNb,Ti量を
とって整理した図である。
【図4】実施例の粒界腐食試験結果について縦軸をNb
(またはTi)−7(C+N), 横軸をCr量として整理した
図である。
【図5】実施例の高周波造管試験結果についてNb量,
Ti量およびAl量で整理した図である。
【符号の説明】
7 センターチューブ 8 マフラー 9 テールチユーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 最上 二三男 東京都千代田区丸の内三丁目4番1号 日 新製鋼株式会社内 (72)発明者 鈴木 次男 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの排ガス経路の一部を構成し,
    他の部材との溶接接合部をもち,そしてパイプ自身が下
    記の成分組成を有する鋼板を所望径に溶接造管されたも
    のであるエンジン排ガスの導出パイプ;重量%で,C:
    0.02%以下, Si:1.0%以下, Mn:2.0%以下, P:0.
    04%を超え0.15%以下, S:0.01%以下, Ni:0.6%以
    下, Cr:11.0〜20.0%, Nb:0.8%以下, V:0.2%以
    下, Al:0.05%以下, N:0.03%以下, O:0.01%以
    下,ただし,これらの成分の間に,0.005≦C+N≦0.0
    4%の関係と,次の式 I=Nb−7(C+N)+0.01(Cr−12) で定められるI値が0.15以上となる範囲に維持される関
    係が成立しており,残部がFeおよび不可避的不純物。
  2. 【請求項2】 該パイプは,マフラーに対してその上流
    側に溶接接合されるセンターチューブである請求項1に
    記載のエンジン排ガスの導出パイプ。
  3. 【請求項3】 該パイプは,マフラーに対してその下流
    側に溶接接合されるテールチューブである請求項1に記
    載のエンジン排ガスの導出パイプ。
  4. 【請求項4】 マフラーは,該パイプを構成するステン
    レス鋼と同じステンレス鋼からなる請求項2または3に
    記載のエンジン排ガスの導出パイプ。
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