JPH05140670A - Ti−Al系合金の製造方法 - Google Patents

Ti−Al系合金の製造方法

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JPH05140670A
JPH05140670A JP30063791A JP30063791A JPH05140670A JP H05140670 A JPH05140670 A JP H05140670A JP 30063791 A JP30063791 A JP 30063791A JP 30063791 A JP30063791 A JP 30063791A JP H05140670 A JPH05140670 A JP H05140670A
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JP
Japan
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nitrogen
alloy
nitrogen gas
weight
titanium
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JP30063791A
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English (en)
Inventor
Isamu Yuki
勇 結城
Minoru Uozumi
稔 魚住
Norihiro Amano
憲広 天野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】組織微細化に効果のある窒素が効果的に含有さ
れ、強度、延性の面で有利なTiAl等のTi−Al系
合金を製造する方法を提供すること。 【構成】TiAlインゴットとTiNおよび/またはA
lN系の粉末状の添加材とを高周波真空溶解炉に装入
し、不活性ガス雰囲気中において溶解処理し、セラミッ
クス鋳型に鋳造する。合金組成は、Al:27〜40重
量%、N:0.2〜1.0重量%、不可避の不純物、残
部実質的にTiである。 【効果】窒素添加にあたりスポンジTiと窒素ガスとを
接触させることを省略でき、そのため、溶湯となるTi
材の形態の自由度を増すことができ、(表面積/質量)
の小さなTiAlインゴットをも用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はTi−Al系合金の製造
方法に関する。本発明方法は、例えば、軽量で耐熱性に
優れタ−ビンホイールのような回転部品、エンジンバル
ブのような動弁系回転部品などの製造に有用である。
【0002】
【従来の技術】チタンとアルミニウムの2元系合金には
Ti3 Al、TiAl、TiAl3 の3種の金属間化合
物が存在することが知られており、これらは近年有望視
されつつある。このうち特に金属間化合物TiAlは、
比重が3.8と軽く高温での強度が高いことから、軽量
耐熱材料として有望視されている。しかしこの材料は常
温延性が不足するため塑性加工が困難である。そこで塑
性加工を回避または軽減すべく、鋳造によりTiAl製
の成形品を製造することが試みられている。しかしこの
場合、鋳造した成形品の内部にひけ巣が発生しやすく、
良好な鋳造品が得られない問題がある。
【0003】近年この点を改良するため、第3の元素を
添加する試みがなされている。例えば、特開昭63−1
25634号公報には、アルミニウムとほう素を含有
し、残部がチタンからなるTi−Al系合金が開示され
ている。さらに特開昭64−79335号後公報には、
アルミニウムと、ニッケルまたはケイ素の少なくとも1
種を含み残部がチタンからなるTi−Al系合金が開示
されている。しかしこれらの合金では、常温延性はいく
ぶん改善されるが、鋳造時のひけ巣は改善されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、近年、本発明
者は、Nが0.2〜1.0重量%含有される請求項4に
かかる組成をもつTi−Al系合金を開発した(本出願
時に未公知)。即ち従来より、Ti−Al系合金では窒
素量の上限は0.2%未満とされ、これを超えて含まれ
る場合には、延性などが低下するため好ましくないとさ
れている。しかし本発明者の研究により、窒素を従来の
ものよりも意識的に多く含ませることにより、Ti−A
l系合金の組織を微細化できることが見出され、これに
よりTi−Al系合金の強度、延性が向上するとともに
鋳造の際のひけ巣が低減することを知見し、かかる知見
に基づき上記合金が開発された。
【0005】本発明はかかる窒素を意識的に多く含むT
i−Al系合金についての研究の一環としてなされたも
のであり、窒素が含まれ、強度、延性の向上、ひけ巣の
低減に有利なTi−Al系合金を製造できる方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかるTi−
Al系合金の製造方法は、Ti成分及びAl成分が配合
された装入材に、TiNおよび/またはAlN系添加材
を添加し、真空中又は不活性ガス雰囲気中で溶解処理す
るものである。Ti成分及びAl成分が配合された装入
材としては、TiAlインゴットを採用してもよいし、
TiAlインゴットの他に、チタン材およびアルミニウ
ム材の少なくとも一種を採用してもよいし、チタン材と
アルミニウム材との組合わせを採用してもよい。TiA
lインゴットは金属間化合物TiAlからなるインゴッ
トである。チタン材は純チタン材、チタン系合金を採用
できる。チタン材はスポンジ状、粉末状、インゴット
状、塊状を採用できる。本方法で用いる添加材としては
TiNおよびAlNの少なくとも一方を含有するものを
採用できる。添加材の形態は粉末状、粒状、場合によっ
ては塊状とすることができる。溶解性等を考慮すると、
粉末状、微粉末状が好ましい。この場合、その粒径は例
えば0.1〜1.0mm程度にできる。TiN/AlN
の添加時期は特に問わない。例えばTi、Alと最初か
ら入れても良いし、Ti、Alが溶けてから添加しても
よい、溶解処理は、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行
う。溶湯と他のガス例えば酸素ガスとの反応を避けるた
めである。本方法で用いる不活性ガス雰囲気としてアル
ゴンガス雰囲気を採用できる。溶解処理で用いる炉とし
ては、高周波溶解炉、プラズマアーク炉、消耗電極アー
ク炉等公知の炉を採用できるが、Ti−Al系合金の溶
解温度は比較的高いので、これを考慮する必要がある。
【0007】請求項2にかかるTi−Al系合金の製造
方法は、Ti−Al系合金の溶湯を得る工程と、溶湯と
窒素ガスとを接触させ、溶湯に窒素を添加する工程と、
を含むことを特徴とするものである。この場合、Ti−
Al系合金の溶湯を得るにあたっては、TiAlインゴ
ットを溶解してもよいし、TiAlインゴットの他に、
チタン材およびアルミニウム材の少なくとも一種を溶解
してもよいし、チタン材とアルミニウム材とを添加溶解
してもよい。また本方法では、溶湯と窒素ガスとを接触
させるにあたり、窒素ガス雰囲気中に溶湯を保持する手
段を採用でき、この場合、窒素ガス雰囲気中に溶湯を保
持する時間は溶湯温度に応じ適宜選択できる。ただし、
保持時間が長すぎると、合金中の窒化物が増加する傾向
にあるので、留意する必要がある。本方法用いる窒素ガ
スは、窒素のみからなるガス、窒素が富化されたガスを
採用できる。また本方法では、場合によっては、Ti−
Al系の溶湯と窒素ガスとを接触させるにあたり、その
溶湯に窒素ガスを吹き込む手段を採用することもでき
る。
【0008】請求項3にかかるTi−Al系合金の製造
方法は、加熱又は溶解したAl系装入材と窒素ガスとを
接触させ、Al系装入材に窒素を吸収させる工程と、窒
素を吸収させたAl系装入材とTi系装入材とを混ぜ、
真空中又は不活性ガス雰囲気中で溶解する工程と、を含
むことを特徴とするものである。Al系装入材を加熱し
て窒素を吸収させる温度は200°C以上が好ましい。
200℃未満であると、窒素の吸収が少ないから好まし
くない。本方法で用いるAl系装入材としては、純A
l、Al系合金を採用でき、その形態は固体状でも溶湯
状でもよく、固体の場合にはその表面部に窒素が侵入し
て窒化される。なお固体の場合には粒状、粉末状、イン
ゴット状、塊状とすることができるが、窒素吸収面積を
確保する等のためにはAl系装入材は粒状、粉末状、微
粉末状であることが好ましく、例えばその粒径は0.1
〜30mm程度にできる。また、本方法で用いるチタン
材はスポンジ状や粉末状のチタンに限らず、塊状のチタ
ン、インゴット状のチタン等を適宜採用できる。その理
由は、本方法ではTi系装入材に窒素を吸収させるので
はなく、加熱又は溶解したAl系装入材に窒素を吸収さ
せるので、Ti系装入材の形態に特に制約がないからで
ある。
【0009】ところで、上記した各方法で製造したTi
−Al系合金の溶湯は型に鋳込まれる。この合金の組成
は、Al:27〜40重量%、N:0.2〜1.0重量
%、不可避の不純物を含有し、残部が実質的にTiとか
らなる組成とすることができる。この場合、アルミニウ
ムの含有量が40重量%を超えると合金の延性が低下し
加工性が劣るので好ましくない。一方、アルミニウムが
27重量%未満であるとTi3 Alが多量に生成して合
金が脆化するために好ましくない。また窒素含有量が
0.2重量%未満であると添加による延性が向上すると
いう効果が認められず好ましくない。また、窒素含有量
が1.0重量%を超えると、チタンと窒素との反応によ
る窒化物と推定される介在物の生成が増加し、強度、延
性が低下気味となる。本発明方法で製造したTi−Al
系合金は、窒素を0.2〜1.0重量%含有すれば、合
金の組織が微細化して均一となり、機械的性質が向上
し、鋳造時におけるひけ巣を低減できる。なお、用途に
よっては窒素が1.5重量%程度含有されたものでもよ
い。
【0010】
【作用】請求項1〜3にかかる製造方法では、組織微細
化に有効な窒素はTi−Al系合金に効果的に含有され
る。
【0011】
【実施例】
〔請求項1〕以下、請求項1にかかる本発明方法を、表
1に示す実施例(No.1〜No.12)により具体的
に説明する (組成)TiーAl系合金において、表1に示すNo.
1〜No.12の様に、設定アルミニウム量を30重量
%、34重量%、38重量%の三種類に設定した。ま
た、TiN添加材またはAlN添加材の添加量を変化さ
せて窒素含有量が0.2〜1.5重量%範囲の合金とな
る様に設定した。そして以下の製造方法で作製した。
【0012】
【表1】
【0013】(製造方法)カルシア系の高周波真空溶解
炉を用い、原料としてインゴット状の金属チタン、イン
ゴット状のアルミニウム、さらにTiN添加材またはA
lN添加材の少なくとも一種を、1気圧のアルゴンガス
雰囲気中で溶解してTiーAl系合金の溶湯を得た。T
iN添加材、AlN添加材は、チタン、アルミ原料と同
時に溶解した。ここで、用いたTiN添加材は、0.2
〜0.5mmの粉末であり、実質的にTiN100%の
組成をもち、AlN添加材は、0.3〜0.7mmの粉
末であり、実質的にAlN100%の組成をもつ。この
様にして得たTiーAl系合金の溶湯を1気圧のアルゴ
ンガス雰囲気中で、1000℃のセラミックス鋳型に鋳
込み、No.1〜12にかかるテストピースを作製し
た。注湯温度はアルミニウム30%のとき1650℃、
アルミニウム34%のとき1600℃、アルミニウム3
8%のとき1550℃である。
【0014】なお、表1から理解できる様に、実施例の
うちNo.10〜12は、設定N量が1.5%とされて
おり、窒素含有量の多い合金とされている。 (評価)比較例として、窒素が実質的に添加されないT
iーAl系合金を製造すべく、インゴット状の金属チタ
ン、インゴット状のアルミニウムを、前述同様に、高周
波真空溶解炉を用い、1気圧のアルゴンガス雰囲気中で
溶解し、同様のセラミックス鋳型に鋳込み、No.13
〜No.15にかかるテストピースを作製した。
【0015】得られた実施例及び比較例にかかる各テス
トピースを用い、以下の評価を行った。評価の結果を表
1に示す。評価項目として、化学成分の分析(合金中の
Al、N量)、常温引張試験(試験片平行部φ5×長さ
30mm、歪み速度10-3sec-1)、組織観察(粒径、
介在物の有無を光学顕微鏡で観察)を行った。表1に示
す様に、No.1〜No.12から理解できる様に、合
金におけるNの成分分析値は設定N値にほぼ対応してお
り、N量がほぼ計算通り添加されているのがわかる。し
たがって、本実施例の製造方法によれば、窒素歩留りは
ほぼ100%と考えられ、TiーAl系合金における窒
素含有量を所望の値に容易にかつ精度良く調整すること
ができる。
【0016】次に引張試験の結果を説明する。即ち、A
l量が30%の合金の場合、TiN、AlNが無添加の
比較例(No.13)と、Nが添加されている実施例
(No.1からNo.3)とを比較する。引張強度は比
較例のNo.13では22.4kg/mm2 であり、実
施例のNo.1では28.1kg/mm2 であり、N
o.2では30.0kg/mm2 であり、No.3では
29.5kg/mm2 であり、伸びは、比較例のNo.
13では0%であり、実施例のNo.1〜No.3では
0.3%であった。
【0017】またAl量が34%の合金の場合、Ti
N、AlNが無添加の比較例(No.14)と、Nが添
加されている実施例(No.4〜No.6)とを比較す
る。引張強度は、比較例のNo.14では23.1kg
/mm2 であり、実施例のNo.4では32.5kg/
mm2 であり、No.5では35.4kg/mm2 であ
り、No.6では34.7kg/mm2 であり、伸び
は、比較例のNo.14では0.3%であり、実施例の
No.4では1.0%、No.5では1.3%、No.
6では1.0%であった。
【0018】またAl量が38%の合金の場合、Ti
N、AlNが無添加の比較例(No.15)と、Nが添
加されている実施例(No.7〜No.9)とを比較す
る。引張強度は、比較例のNo.15では19.7kg
/mm2 であり、実施例のNo.7では26.5kg/
mm2 であり、No.8では27.1kg/mm2 であ
り、No.9では26.3kg/mm2 であり、伸び
は、比較例のNo.15では0%であり、実施例のN
o.7〜No.9では0.3%であった。この結果から
理解できる様に、実施例のNo.1〜No.9では強
度、伸びが大幅に向上している。
【0019】組織観察においては、表1に示す様に、実
施例(No.1〜No.12)では結晶粒の粒径が0.
1mm以下と小さい。しかし比較例(No.13〜N
o.15)では粒径が大きかった。また、N量が1.4
%を越える実施例(No.10〜No.12)では、粒
径が0.1mm以下と小さいものの、窒化物と思われる
介在物が存在した。そのため、N量が1.4%を越える
実施例(No.10〜No.12)では、引張強度、伸
びは、N量が0.2〜1.0%の実施例(No.1〜N
o.9)に比べて劣っているものと推察される。
【0020】〔請求項2の実施例〕以下、請求項2にか
かる本発明方法を、表2に示す実施例(No.1〜N
o.12)により具体的に説明する (組成)TiーAl系合金において、表2に示す様に、
設定アルミニウム量を30重量%、34重量%、38重
量%の三種類に設定した。また、TiーAl系の溶湯が
接触する窒素ガス圧を変化させ、窒素含有量が0.2〜
1.5重量%範囲の合金となる様に設定した。合金中の
窒素含有量は窒素ガス圧により変化する。そして以下の
製造方法で作製した。なお、アルミニウム溶湯への窒素
導入時の窒素ガス圧を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】(製造方法)前述の高周波真空溶解炉を用
い、インゴット状の金属チタンとインゴット状のアルミ
ニウムを炉内に装入し、1気圧のアルゴンガス雰囲気中
で溶解してTiーAl系合金の溶湯を得た。その後、溶
湯を所定温度域で保持するとともに、炉内のアルゴンガ
スを排気し、炉内に窒素ガスを導入し、炉内を窒素ガス
雰囲気とした。なお、溶湯保持温度はその組成の液相線
温度よりも約50°C高温であり、即ち、アルミニウム
量が30重量%の場合には保持温度が1650°C、ア
ルミニウム量が34重量%の場合には保持温度が160
0°C、アルミニウム量が38重量%の場合には保持温
度が1550°Cである。
【0023】この窒素ガス雰囲気で炉内の溶湯を30秒
間保持した後、炉内の窒素ガスを排気し、次に再びアル
ゴンガスを炉内に導入して1気圧とし、これによりTi
ーAl系合金の溶湯への窒素の侵入を停止した。次に、
このTiーAl系合金の溶湯を1気圧のアルゴンガス雰
囲気中で1000℃のセラミックス鋳型に鋳込み、N
o.1〜No.12にかかるテストピースを作製した。
ここで、実施例のNo.10〜No.12は、窒素ガス
圧が高くされており(20Torr)、窒素含有量の多
い合金とされている。 (評価)比較例として、窒素が積極的に添加されないT
iーAl系合金を製造すべく、インゴットの金属チタ
ン、アルミニウムを、同様に、高周波真空溶解炉で1気
圧のアルゴンガス雰囲気中で溶解し、その溶湯をセラミ
ックス鋳型に鋳込み、No.13〜No.15にかかる
テストピースを作製した。
【0024】得られた実施例及び比較例にかかる各テス
トピースを用い、前述同様の方法で評価を行った。評価
の結果を表2に示す。表2の成分分析値から理解できる
様に、窒素ガス圧が3〜20Torrの範囲では圧力を
高くするにしたがって、合金における窒素含有量は多く
なっている。なお、実施例のNo.10〜12に示すよ
うに、窒素ガス圧が20Torrとなると、合金中の窒
素量が1.0重量%を超えている。また窒素ガスを導入
しない比較例(No.13〜15)では窒素含有量は
0.01重量%となり、ほとんど窒素は含まない。した
がって本実施例の製造方法では、溶湯が接触する窒素ガ
ス雰囲気の窒素ガス圧の変化により、合金における窒素
量を所望の範囲に調整することができる。なお、上記窒
素ガス圧は、Ti−Al系合金の組成の液相線よりも5
0°C高温の域における値であり、溶湯温度が異なれば
窒素ガス圧は変動する。
【0025】引張試験の結果を説明する。即ち、表2に
示す様に、Al量が30%の合金の場合、窒素ガスを導
入しない比較例(No.13)と、窒素ガスを導入した
実施例(No.1〜No.3)とを比較する。引張強度
は、比較例のNo.13では22.4kg/mm2 であ
り、実施例のNo.1では28.4kg/mm2 であ
り、No.2では30.5kg/mm2 であり、No.
3では27.9kg/mm2 であり、伸びは、比較例の
No.13では0%であり、実施例のNo.1〜No.
3では0.3%であった。
【0026】またAl量が34%の合金の場合、窒素ガ
スを導入しない比較例(No.14)と、窒素ガスを導
入した実施例(No.4〜No.6)とを比較する。引
張強度は、比較例のNo.14では23.1kg/mm
2 であり、実施例のNo.4では32.9kg/mm2
であり、No.5では35.1kg/mm2 であり、N
o.6では34.5kg/mm2 であり、伸びは、比較
例のNo.14では0.3%であり、実施例のNo.4
では1.0%、No.5では1.3%、No.6では
1.0%であった。
【0027】またAl量が38%の合金の場合、窒素ガ
スを導入しない比較例(No.15)と、窒素ガスを導
入した実施例(No.7〜No.9)とを比較する。引
張強度は、比較例のNo.15では19.7kg/mm
2 であり、実施例のNo.7では25.3kg/mm2
であり、No.8では27.9kg/mm2 であり、N
o.9では26.8kg/mm2 であり、伸びは、比較
例のNo.15では0%であり、実施例のNo.7〜N
o.9では0.3%であった。この結果から理解できる
様に、実施例のNo.1〜No.9では強度、伸びが大
幅に向上している。
【0028】組織観察においては、実施例(No.1〜
No.12)では結晶粒の粒径が0.1mm以下と小さ
い。しかし比較例(No.13〜No.15)では粒径
が大きかった。また、N量が1.3%を越える実施例
(No.10〜No.12)では、粒径が0.1mm以
下と小さいものの、窒化物と思われる介在物が存在し
た。そのため、N量が1.3%を越える実施例(No.
10〜No.12)では、引張強度、伸びが実施例(N
o.1〜No.9)に比べ劣っているものと推察され
る。
【0029】〔請求項3の実施例〕以下、請求項3にか
かる本発明方法を、表3に示す実施例(No.1〜N
o.13)により具体的に説明する (組成)TiーAl系合金において、表3に示す様に、
設定アルミニウム量を30重量%、34重量%、38重
量%の三種類に設定した。また、窒素ガス圧を変化させ
て窒素含有量が0.2〜1.5重量%範囲の合金となる
様に設定した。そして以下の製造方法で作製した。な
お、アルミニウム溶湯への窒素導入時の窒素ガス圧を表
3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】(製造方法)前述の高周波真空溶解炉を用
い、インゴット状のアルミニウムを炉内に装入し、1気
圧のアルゴンガス雰囲気中で溶解してAlの溶湯を得
た。溶湯温度は750°Cである。その後、炉内のアル
ゴンガスを排気し、炉内に窒素ガスを導入し、炉内を窒
素ガス雰囲気とした。この窒素ガス雰囲気でAlの溶湯
を30秒間保持した後、炉内の窒素ガスを排気し、次に
再びアルゴンガスを炉内に導入して1気圧とし、Alの
溶湯への窒素の侵入を停止した。
【0032】次に、インゴット状の金属チタンを炉内の
アルミニウム溶湯に添加溶解してTiーAl系合金の溶
湯を形成した。このTiーAl系合金の溶湯を1気圧の
アルゴンガス雰囲気中で1000℃のセラミックス鋳型
に鋳込み、No.1〜No.9にかかるテストピース、
No.11〜No.13にかかるテストピースを作製し
た。ここで、表3に示す様に、実施例のNo.11〜1
3は、窒素ガス圧が高くされ(50Torr)、窒素含
有量の多い合金とされている。なお、上記窒素ガス圧
は、アルミニウム溶湯の温度が750℃の時の値であ
り、溶湯温度が異なれば窒素ガス圧は多少変動する。
【0033】また実施例のNo.10では、粒状のアル
ミニウムを高周波真空溶解炉内に装入し、1気圧のアル
ゴンガス雰囲気中で加熱し、260°Cで固体状態のま
まとした。その温度を保持した状態で、炉内のアルゴン
ガスを排気し、炉内に窒素ガスを導入し、炉内を窒素ガ
ス雰囲気とし、この窒素ガス雰囲気で2分間間保持し
た。その後、炉内の窒素ガスを排気し、次に再びアルゴ
ンガスを炉内に導入して1気圧とし、窒素の侵入を停止
した。その後は、No.1〜No.9と同様にTiーA
l系合金の溶湯とし、1000℃のセラミックス鋳型に
鋳込み、No.10にかかるテストピースを作製した。 (評価)比較例として、窒素が積極的に添加されないT
iーAl系合金を製造すべく、チタン及びアルミニウム
を高周波真空溶解炉で1気圧のアルゴンガス雰囲気中で
溶解し、その溶湯をセラミックス鋳型に鋳込み、No.
14〜16にかかるテストピースを作製した。
【0034】得られた実施例及び比較例にかかる各テス
トピースを用い、同様な方法で評価を行った。評価の結
果を表3に示す。表3から理解できる様に、窒素ガス圧
が5〜50Torrの範囲では圧力を高くするにしたが
って、合金における窒素含有量は多くなっている。な
お、実施例(No.11〜No.13)に示すように、
窒素ガス圧が50Torrとなると合金中の窒素量が
1.0重量%を超えている。また窒素ガスを導入しない
比較例(No.14〜No.16)では窒素含有量は
0.01重量%となり、ほとんど窒素は含まない。した
がって本実施例の製造方法では、窒素ガス圧の変化によ
り、合金中の窒素量を所定の範囲に調整することができ
る。
【0035】引張試験の結果を説明する。即ち、Al量
が30%の合金の場合、窒素ガスを導入しない比較例
(No.14)と、窒素ガスを導入した実施例(No.
1、No.2、No.3)とを比較する。引張強度は、
比較例のNo.14では20.4kg/mm2 であり、
実施例のNo.1では27.1kg/mm2 であり、N
o.2では30.2kg/mm2 であり、No.3では
27.5kg/mm2 であり、伸びは、比較例のNo.
14では0%であり、実施例のNo.1〜No.3では
0.3%であった。
【0036】またAl量が34%の合金の場合、窒素ガ
スを導入しない比較例(No.15)と、窒素ガスを導
入した実施例(No.4〜No.6、No.10)とを
比較する。引張強度は、比較例のNo.15では23.
1kg/mm2 であり、実施例のNo.4では32.8
kg/mm2 であり、No.5では35.0kg/mm
2 であり、No.6では33.9kg/mm2 であり、
No.10では34.9kg/mm2 であり、伸びは、
比較例のNo.15では0.3%であり、実施例のN
o.4では1.0%、No.5では1.3%、No.6
では1.0%、No.10では1.3%であった。
【0037】またAl量が38%の合金の場合、窒素ガ
スを導入しない比較例(No.16)と、窒素ガスを導
入した実施例(No.7〜No.9)とを比較する。引
張強度は、比較例のNo.16では19.7kg/mm
2 であり、実施例のNo.7では26.7kg/mm2
であり、No.8では27.4kg/mm2 であり、N
o.9では25.9kg/mm2 であり、伸びは、比較
例のNo.16では0%であり、実施例のNo.7〜N
o.9では0.3%であった。この結果から理解できる
様に、実施例のNo.1〜No.9、No.10では強
度、伸びが大幅に向上している。
【0038】組織観察においては、実施例(No.1〜
No.13)では結晶粒の粒径が0.1mm以下と小さ
い。しかし比較例(No.14〜No.16)では粒径
が大きかった。また、N量が1.3%を越える実施例
(No.11〜No.13)では、粒径が0.1mm以
下と小さいものの、窒化物と思われる介在物が存在し
た。そのため、N量が1.3%を越える実施例(No.
11〜No.13)では、引張強度、伸びが実施例(N
o.1〜No.9)に比べ劣っているものと推察され
る。
【0039】
【発明の効果】請求項1〜3にかかる製造方法では、組
織微細化に効果のある窒素が効果的に含有され、組織が
微細化した金属間化合物TiAl系等のTi−Al系合
金が得られる。そのため、Ti−Al系合金の強度、延
性を向上でき、鋳造時におけるひけ巣の軽減にも有利で
ある。
【0040】更に請求項1にかかる方法では、窒素の添
加を、TiN、AlN系の添加材で行うので、窒素歩留
りが高く、合金における窒素含有量の制御が容易であ
る。また窒素の添加をTiN、AlN系の添加材で行う
請求項1にかかる方法では、窒素添加にあたりTi材と
窒素ガスとを接触させることを省略することができ、そ
のため、使用するTi材の形態の自由度を増すことがで
きる。従って、(表面積/質量)の大きな微粉末状のチ
タン、スポンジ状のチタンばかりか、(表面積/質量)
の小さなインゴット状のチタン、塊状のチタンをも用い
ることができる利点が得られる。
【0041】請求項2にかかる方法では、窒素添加にあ
たりTi−Al系合金の溶湯と窒素ガスとを接触させる
ので、反応が早く、窒素を効率よく溶湯に含有させるこ
とができる。従って窒素添加処理時間の短縮化を図り
得、しかも使用する窒素ガスは少量で済む。またTi−
Al系合金の溶湯と窒素ガスとを接触させて窒素を添加
する請求項2にかかる方法では、窒素添加にあたりTi
材と窒素ガスとを接触させないで済む。そのため、使用
するTi材の形態の自由度を増すことができ、従って、
(表面積/質量)の大きな微粉末状のチタン、スポンジ
状のチタンばかりか、(表面積/質量)の小さなインゴ
ット状のチタン、塊状のチタンをも用いることができる
利点が得られる。更には、Ti−Al系の状態図ではT
iの融点よりもTi−Al系合金の融点は低いので、T
i−Al系合金の溶湯と窒素ガスとを接触させる請求項
2にかかる方法では、Tiの溶湯と窒素ガスとを接触さ
せる場合に比較して、エネルギ節約の面で有利である。
【0042】請求項3にかかる方法では、窒素添加にあ
たり、加熱又は溶解したAl系装入材と窒素ガスとを接
触させるので、窒素を添加処理する温度を低くでき、エ
ネルギ節約の面で有利である。また加熱又は溶解したA
l系装入材と窒素ガスとを接触させる請求項3にかかる
方法では、Ti材と窒素ガスとを接触させることを省略
できるので、使用するTi材の形態の自由度を増すこと
ができる。従って、(表面積/質量)の大きな微粉末状
のチタン、スポンジ状のチタンばかりか、(表面積/質
量)の小さなインゴット状のチタン、塊状のチタンをも
用いることができる利点が得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ti成分及びAl成分が配合された装入材
    に、TiNおよび/またはAlN系添加材を添加し、真
    空中又は不活性ガス雰囲気中で溶解処理するTi−Al
    系合金の製造方法。
  2. 【請求項2】Ti−Al系合金の溶湯を得る工程と、該
    溶湯と窒素ガスとを接触させ、該溶湯に窒素を添加する
    工程と、を含むことを特徴とするTi−Al系合金の製
    造方法。
  3. 【請求項3】加熱又は溶解したAl系装入材と窒素ガス
    とを接触させ、Al系装入材に窒素を吸収させる工程
    と、窒素を吸収させたAl系装入材とTi系装入材とを
    混ぜ、真空中又は不活性ガス雰囲気中で溶解する工程
    と、を含むことを特徴とするTi−Al系合金の製造方
    法。
  4. 【請求項4】Al:27〜40重量%、N:0.2〜
    1.0重量%、不可避の不純物を含有し、残部が実質的
    にTiからなる組成をもつTi−Al系合金を製造する
    請求項1、請求項2または請求項3に記載のTi−Al
    系合金の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07268517A (ja) * 1994-03-30 1995-10-17 Agency Of Ind Science & Technol 軽量耐熱材料、およびその製造方法
CN102312111A (zh) * 2011-09-07 2012-01-11 上海交通大学 采用真空自耗电弧炉熔炼TiAl合金的方法
JP2013133481A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Ihi Corp 窒素含有コバルト合金の製造方法
CN109095018A (zh) * 2018-09-20 2018-12-28 成都先进金属材料产业技术研究院有限公司 偏钛酸漂白铝粉添加装置

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