JPH0513811B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ブロー成形により美麗な表面状態の
中空体を製造する方法及びその製造に供する金型
に関するものである。

従来の技術 従来、ブロー成形法に供する金型は、鋳鉄ある
いは鋼などを加工してキヤビテイを形成して使用
されているが、通常ブロー成形された中空体の表
面は、これらの金型のキヤビテイ表面を正確に賦
型することは難しく、パリスンを金型表面との間
に存在する空気のために多数の凹部が発生する。
これを一般に“エアーマーク”と呼んでいる。こ
のためにブロー成形法に供する金型には、サンド
ブラスト加工により表面を梨地状に形成したり、
腐食加工によりシボ面を形成したりしている。

発明が解決しようとする問題点 しかし、上記のように金型表面に直接、サンド
ブラスト加工して梨地状にしたり、腐食加工によ
りシボ面を形成したものは、上記エアマークの防
止には効果を有するものの、シボ面を形成するに
は、腐食加工のためにきわめて多くの日数を要し
かつ高価であるという欠点を有しており、またサ
ンドブラスト加工にて梨地状にするには、金型表
面を仕上りのコントロールが難しく特に金型キヤ
ビテイの一部に形成することは困難であり、実際
にブロー成形で加工された中空体表面は、決して
美麗とは言えないものであつた。またこれらを解
決するためにシボ面を転写したシリコンゴムをキ
ヤビテイの一部に貼着したものもあるが、この金
型を使用してブロー成形すると冷却時間が長くか
つパリスンとシリコンゴム表面との空気の逃げが
悪くシリコンゴム表面のシボ形状の転写が不充分
であるという欠点を有している。

問題点を解決するための手段 この欠点を解決するために、中空体の外形形状
を賦型したキヤビテイを有する分割金型間にパリ
スンを配置し、型締後該パリスン内に圧力流体を
導入して、該パリスンをキヤビテイに密着せしめ
てキヤビテイの形状を賦型せしめるとともに該パ
リスンを冷却して離型後取り出すことにより中空
体を得る中空体の製造方法において、該分割金型
のキヤビテイの一部に繊維シートを固定せしめる
ことにより圧力流体の導入時にパリスンを繊維シ
ートに押し着けて繊維シートに密着せしめ、離型
時に繊維シートとの密着を解除せしめて中空体表
面に繊維シートの表面形状を賦型せしめたもので
あり、また複数の分割金型により中空体製造用の
キヤビテイを形成したブロー成形用の金型におい
て、該キヤビテイの一部にそのまわりを保持金型
で固定された繊維シートを有するものである。

作 用 以上のように本発明の製造方法は、パリスンを
繊維シートに押し着けて繊維シートに密着せし
め、離型時に繊維シートとの密着を解除して、中
空体表面に繊維シートの表面形状を賦型せしめる
ので、繊維シートの材質や編み方あるいは織り方
を種々選択することにより様々の風合い中空体の
表面を得ることができるとともに繊維シートから
容易に空気が逃げるのでパリスンを繊維シートと
の間に空気が滞留することなく完全に繊維シート
の形状を転写させることができる。

また、本発明の金型は、キヤビテイの一部に繊
維シートを有するので、中空体の表面にシボ面と
は異なつた風合いを出すことができ、しかも編物
や織物の状態を各種のものを使用することにより
その風合いも選択することができる。またこの金
型は、繊維シートのまわりを保持金型で固定され
ているので、繊維シートを容易に取り換えること
ができるのである。さらに繊維シートは、編物あ
るいは織物又は不織布であり、通気性を有するも
のであるのでパリスンと繊維シートとの間に介在
する空気を滞留させることなく、逃がすことがで
きる。

本発明に使用する繊維シートとは、天然繊維、
化学繊維及びこれらのブレンド繊維の織物、編物
及び不織布であつて、これらの繊維の目の間から
空気の流通が可能な程度の通気性を有するととも
に金型面に沿わせることができる程度の柔軟性を
有するのもである。そしてこられの繊維はパリス
ンの温度により溶融しないことが必要である。

天然繊維とは、種子毛繊維、靭皮繊維、葉脈繊
維、果実繊維などの植物繊維、獣毛繊維、絹繊維
などの動物繊維、石綿などの鉱物繊維である。ま
た、化学繊維は、金属繊維、ガラス繊維、岩石繊
維などの無機繊維、ビスコースレーヨン、銅アン
モニアレーヨン、ケン化アセテートなどのセルロ
ース系再生繊維、牛乳タンパク、大豆タンパク等
のタンパク質系再生繊維、アセテート、トリアセ
テート、酢化アセテートなどのセルロース系半合
成繊維さらにこれらの他に合成繊維が含まれる。
合成繊維とは、ポリアミド系、ポリビニルアルコ
ール系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポ
リアクリロニトリル系、ポリエチレン系、ポリプ
ロピレン系、ポリ青化ビリデン系、ポリ尿素系、
ポリスチレン系、ポリウタレン系、ポリフルオロ
エチレン系などが含まれるが、これらの中でも融
点が180℃以上であることが必要で、特に200℃以
上のものが好しい。

実施例 本発明の製造方法とその製造に供する金型の実
施例を図面に基づき説明する。

第１図の１，２は分割金型である。分割金型１
は凹型キヤビテイ３を有し、分割金型２は凸型キ
ヤビテイ４を有する。分割金型１は、本金型５と
保持金型６より構成され、これらの間には繊維シ
ート１０が介在している。繊維シート１０は、凹
型キヤビテイ３の一部で露出しており、この露出
面は凹型キヤビテイ面と同一高さである。露出面
の形状は、長方形の帯状をなしそのまわりを保持
金型６で保持している。凸型キヤビテイ４の表面
には、繊維シート１１が露出しており、繊維シー
トのまわりは、本金型７と保持金型８にて挟んで
保持されている。保持金型６上下部分には、把手
形成用キヤビテイ１２，１２が形成されるてい
る。

次に本発明の製造方法について説明するに、先
ず第１図に示すように分割金型１，２の間にパリ
スン１３をダイ１４より垂下する。分割金型１，
２は、上記したように凹型キヤビテイ３と凸型キ
ヤビテイ４のそれぞれにその一部に繊維シート１
０，１１を備えている。パリスン１３の垂下の
後、分割金型１，２を締め、パリスン１３内に吹
込針（図示せず）にて圧力流体を噴入してパリス
ン１３を上記凹型キヤビテイ３、凸型キヤビテイ
４の表面に密着せしめて、上記キヤビテイ形状を
賦型せしめる。このとき、パリスン１３は、圧力
流体の圧力により繊維シート１０，１１の表面に
押し着けて繊維シートと密着せしめ繊維シートの
繊維の目の中に押し込む。パリスン１３と繊維シ
ート１０，１１との間に発生した空気は、繊維シ
ート目を通つて、本金型５，７と保持金型６，８
との接合部分を通つて金型外へ出される。金型自
体の冷却及び圧力流体によりパリスン１３は冷却
固化し、その後分割金型１，２を開くことによ
り、繊維シート１０，１１とパリスン１３との間
の密着が解除される。パリスン１０を構成する熱
可塑性合成樹脂は、曲げ弾性率（JISK7203）が
500〜100000Kg／cm²であるので、繊維シート１
０，１１をパリスン１３から強制的に離すことに
より繊維シート１０，１１の目の中に取り込んだ
熱可塑性合成樹脂が変形することにより引き離す
ことができる。分割金型１，２から取り出した中
空体は、第３図に示すようにその表面に繊維シー
ト１０，１１により形づけられた微妙な凹凸を有
し、その凹凸がライン２４を形成している。中空
体は、内部に収納部分（図示せず）を有する本体
２２と、本体に連設した把手２３より構成される
ケース２１を成している。上記した如く本体２２
の両側部にはライン２４を有している。内部の収
納部分にも凸型キヤビテイ４の表面に設けた繊維
シート１１にて賦型せしめた凹凸部分を有する。
この凹凸部分は、円形、多角形等を形づくること
により意匠的効果を上げることができる。

効 果 本発明の製造方法は、繊維シートの材質や編み
方、織り方を種々選択することにより様々な風合
いを中空体に付すことができるとともに、圧力流
体をパリスン内に導入した際にパリスンと金型と
の間に滞留して発生する空気を繊維シートの目を
通じて金型外へ導くことができるのでエアーマー
クのない美麗な中空体が得られる。

本発明の金型は、以上のように構成したので中
空体の表面にシボ面とは異なつた風合いを出すこ
とができ、しかも編物や繊維の状態を各種のもの
と使用することによりその風合を選択することが
できる。また、繊維シートは、保持金型でまわり
を固定されているので、繊維シートを容易に取り
換えることができるともにパリスンを金型との間
に滞留する空気を金型外へ逃がすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の金型の間にパリスンを垂下
した状態を説明する断面図、第２図は金型を締め
てパリスン内に圧力流体を導入した状態を説明す
る断面図、第３図は、本発明の製造方法により得
られたケースの斜視図である。 １，２……分割金型、６，８……保持金型、１
０，１１……繊維シート、１３……パリスン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中空体の外形形状を賦型したキヤビテイを有
   する分割金型間にパリスンを配置し、型締後該パ
   リスン内に圧力流体を導入して、該パリスンをキ
   ヤビテイに密着せしめてキヤビテイの形状を賦型
   せしめるとともに該パリスンを冷却して離型後取
   り出すことにより中空体を得る中空体の製造方法
   において、該分割金型のキヤビテイの一部に繊維
   シートを固定せしめることにより圧力流体の導入
   時にパリスンを繊維シートに押し着けて繊維シー
   トに密着せしめ、離型時に繊維シートとの密着を
   解除せしめて中空体表面に繊維シートの表面形状
   を賦型せしめたことを特徴とする中空体の製造方
   法。 ２ 複数の分割金型により中空体製造用のキヤビ
   テイを形成したブロー成形用の金型において、該
   キヤビテイの一部にそのまわりを保持金型で固定
   された繊維シートを有することを特徴とする金
   型。