JPH0513234Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ヘツドレストステイ側に本体パネル
を所要の摩擦力をもつて組付け保持させることに
より揺動可能な状態で支持してなる可動ヘツドレ
ストに関する。

〔従来の技術〕

一般に車両用シート等において、着座者の頭部
をその背面にて支持するようにシートバツクの上
端部にヘツドレストステイを介して設けられるヘ
ツドレストが知られている。ところで、このよう
なヘツドレストには、着座者の体格や好みに応じ
て可動調整し得ることが望まれており、従来から
種々の可動構造が提案されているが、その中でも
最も簡易型のものとして、たとえば特公昭57−45
号公報や実開昭61−113653号公報などに示される
ような摩擦力を利用した可動構造が知られてい
る。すなわち、これら簡易型の可動ヘツドレスト
は、シートバツク側に着脱自在に設けられるヘツ
ドレストステイの上端部側に、ヘツドレスト本体
としての本体パネル等を回動自在に枢支するとと
もに、その枢支軸を板ばねやゴム、樹脂材などの
弾性体からなるブツシユ等を装着することで摩擦
力を介して締付け保持することにより、可動可能
な構成とされる。そして、上述した本体パネルを
摩擦力に抗して回動させることで、ヘツドレスト
位置を着座者のフイーリングに合せて適宜調整す
るものであつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述した従来の可動ヘツドレス
ト構造によれば、枢支軸を所要の摩擦力をもつて
締付け保持するための取付け部品を含む構成部品
点数が多くなり、構造が複雑化し組立性の面から
も問題であつた。即ち逆Ｕ字状のヘツドレストス
テイを用いる場合には、可動機構への組付けが困
難であり、組付性を向上させる場合には逆Ｌ字状
を呈する一対のヘツドレストステイに分割したも
のを用いる方が枢支部への挿入等が容易となるも
のであつた。

然し乍ら、一対の逆Ｌ字状のヘツドレストステ
イを組付けた後に、これら一対のヘツドレストス
テイの先端同士を溶着等により接合しなければヘ
ツドレストステイにガタ付きが発生し、また回動
機構等が一箇所に設けられている場合にはヘツド
レストステイに対する本体パネルが安定的に支持
されない欠点を有するものであつた。

また安定した摩擦力を枢支軸に精度よく付与す
ることが難しく、さらに長期にわたつての可動性
能を維持し得ない等といつた問題もあり、これら
の問題点を一掃し得る何らかの対策を講じること
が必要とされている。

特に、このような可動ヘツドレスト構造には、
できるだけ簡単な構成でしかも組立性やコスト面
で優れ、さらに所望の調整位置でヘツドレストの
動きを確実に係止し、たとえば着座者が着座した
際の負荷に抗してその位置を安定的に保持し得る
こと等といつた条件を満足することが望まれるも
ので、これらの点をも考慮しなければならない。

〔問題点を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係る可
動ヘツドレストは、逆Ｌ字状を呈する一対のヘツ
ドレストステイと、これら一対のヘツドレストス
テイに対して回動可能に支持される本体パネルと
を備える可動ヘツドレストにおいて、前記本体パ
ネルの内側面部左右両側に各ヘツドレストステイ
の水平部を枢支する左右一対の枢支部を本体パネ
ルより切起された切起し片で所定間隔をおいて形
成し、前記何れか一方のステイの水平部が嵌装さ
れ、かつ両端が本体パネルに係止されることによ
り前記何れか一方のステイを所定の摩擦力で締付
け保持するコイルばねを設け、前記各ステイの水
平部先端部同士を対向させた状態で本体パネルの
揺動角度を規制する角度規制ストツパを接合し、
前記各ステイの水平部先端部同士を角度規制スト
ツパにより一体的に連結したことを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、本体パネルの内側面部左右両
側に各ヘツドレストステイの水平部を枢支する左
右一対の枢支部を本体パネルより切起された切起
し片で所定間隔をおいて形成し、前記何れか一方
のステイの水平部が嵌装され、かつ両端が本体パ
ネルに係止されることにより前記何れか一方のス
テイを所定の摩擦力で締付け保持するコイルばね
を設けたので、所要の緊縛力をもつて前記ステイ
水平部による枢支軸を締付け保持することがで
き、また各ステイの水平部先端同士を対向させた
状態で本体パネルの揺動角度を規制する角度規制
ストツパを接合し、前各ステイの水平部先端部同
士を角度規制ストツパにより一体的に連結したの
で、本体パネルの揺動角度を適切な範囲で規制す
ることができ、また各ステイの左右方向への揺動
等を防止することができ、ヘツドレストの所要の
可動調整を簡単且つ適切に行える。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係る可動ヘツド
レストの一実施例を示すものであり、これらの図
において符号１はパツド材やその周囲を覆う表皮
材等が省略された可動ヘツドレスト本体を構成す
る断面Ｌ字状をなす本体パネル、２，３はこの本
体パネル１の側面部左、右両側に所定間隔をおい
て付設された枢支部で、本実施例ではパネル１側
面部から切起された切起し片の先端をパネル１側
にかしめやスポツト溶接等で固着することで軸受
孔を形成するようにした場合を示している。

４，５は全体が下向きコ字状をなすように組合
わせられてその下端部が図示しないシートバツク
上端部に着脱自在に設けられる略々逆Ｌ字状を呈
する一対のヘツドレストステイで、これら各ステ
イ４，５の水平部４ａ，５ａが前記枢支部２，３
に回動可能に支持されるような構成とされてい
る。なお、図中６ａ，６ｂは前記各ステイ４，５
の垂直部４ｂ，５ｂが貫通しかつ本体パネル１の
可動時において干渉しないように形成された長溝
である。

７は前記ステイ４，５のうちの一方の水平部
（本実施例では４ａ）に嵌装して設けられるコイ
ルばねで、その一端がパネル１側面部に係止され
るとともに他端が底面部に設けた係止部８に係止
されることで、所要の緊縛状態で前記ステイ水平
部４ａを締付け保持するように構成されている。

９は前記各ステイ水平部４ａ，５ａの先端部同
士を対向させて突き合せた状態でこれらにスポツ
ト溶接等で接合されることにより、ステイ４，５
を一体的に連結する角度規制ストツパで、このス
トツパ９によりステイ４，５に対する本体パネル
１の揺動角度が規制されるとともに、このような
ストツパ９で前記ステイ４，５を連結すること
で、各ステイ４，５の左、右方向への揺動等を防
止する役割を果たしている。

そして、このような構成において、各ステイ水
平部４ａ，５ａを、本体パネル１側の枢支部２，
３に枢支させるとともに、その一方の水平部４ａ
にコイルばね７を嵌装して設け、かつ両ステイ水
平部４ａ，５ａ先端を角度規制ストツパ９で連結
して固定し、さらにコイルばね７の両端を本体パ
ネル１側の適宜の係止位置に係止させることで、
所要の緊縛力をもつて前記ステイ水平部４ａによ
る枢支軸を締付け保持し、ヘツドレストの所要の
可動調整を簡単かつ適切に行なえるとともに、そ
の調整位置でコイルばね７のもつ摩擦力によつて
係止保持し得るものである。

したがつて、このような構成による本考案によ
れば、コイルばね７を摩擦係合手段として用い、
かつこれを分割形成されたステイ４，５の枢支軸
となる水平部４ａに嵌装させてその両端を適宜係
止するだけでよいため、構成部品点数が大幅に削
減され、構成が簡素化するとともに組立性をも向
上させることができ、全体の小型化等も可能で、
さらにコイルばね７による緊縛状態によつて必要
な摩擦力を安定して得ることができ、しかも精度
等も要求されず、また上述したコイルばね７によ
る摩擦力をも必要に応じて自由に変更し得る等の
実用上種々優れた効果がある。ここで、上述した
コイルばね７の締付けによる摩擦力は、その両端
を絞り込むようにして係止することで、小さくな
る内径が軸を緊縛することにより得られるもので
あるが、この場合にその線径、コイル内径、ばね
両端のパネル側への係止位置等を適宜選択するこ
とで、前述した摩擦力を自由に調整し得るもの
で、その実用上での効果は大きい。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜
変形、変更することは自由であり、たとえばヘツ
ドレストステイ４，５を枢支する枢支部２，３、
さらにはばね係止部８としては、第４図および第
５図に示すように、一対の切込みにより膨出させ
た構造を有するものであつてもよく、特に枢支部
２，３ではステイ水平部４ａ，５ａの回転を安定
させ得るもので、またステイ垂直部４ｂ，５ｂを
逃げるパネル側の案内溝としても、一端が開口さ
れた切込み状の長溝６ａ，６ｂであつてもよいこ
とは勿論であり、さらに一個の枢支部で枢支する
ようにしてもよいことも明らかであろう。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案に係る可動ヘツド
レストによれば、本体パネルの内側面部左右両側
に各ヘツドレストステイの水平部を枢支する左右
一対の枢支部を本体パネルより切起された切起し
片で所定間隔をおいて形成し、前記何れか一方の
ステイの水平部が嵌装され、かつ両端が本体パネ
ルに係止されることにより前記何れか一方のステ
イを所定の摩擦力で締付け保持するコイルばねを
設けたので、所要の緊縛力をもつて前記ステイ水
平部による枢支軸を締付け保持することができ、
また各ステイの水平部先端同士を対向させた状態
で本体パネルの揺動角度を規制する角度規制スト
ツパを接合し、前記各ステイの水平部先端同士を
角度規制ストツパにより一体に連結したので、本
体パネルの揺動角度を適切な範囲で規制すること
ができ、また各ステイの左右方向への揺動等を防
止することができ、ヘツドレストの所要の可動調
整を簡単且つ適切に行え、構成部品点数が大幅に
削減され、簡単かつ安価な構成にもかかわらず、
組立性さらには全体の小型化等の面から優れてお
り、さらにコイルばねによる緊縛状態によつて必
要な摩擦力を安定して得ることができ、また角度
規制ストツパを各ステイ４，５の水平部４ａ，５
ａ先端部に接合させ、一体的に連結したので、ヘ
ツドレストステイ４，５のガタ付きがなく、本体
パネル１が安定的に支持され、しかも精度等も要
求されず、またコイルばねによる摩擦力をも必要
に応じて自由に変更し得る等の実用上種々優れた
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る可動ヘツドレストの一実
施例を示す要部斜視図、第２図はその可動状態を
示す概略側面図、第３図は枢支部の詳細図、第４
図は本考案の別の実施例を示す概略斜視図、第５
図はその枢支部の詳細図である。 図中、１……可動ヘツドレストを構成する本体
パネル、２，３……枢支部、４，５……一対のヘ
ツドレストステイ、７……コイルばね、８……ば
ね係止部、９……角度規制ストツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 逆Ｌ字状を呈する一対のヘツドレストステイ
   と、これら一対のヘツドレストステイに対して回
   動可能に支持される本体パネルとを備える可動ヘ
   ツドレストにおいて、前記本体パネルの内側面部
   左右両側に各ヘツドレストステイの水平部を枢支
   する左右一対の枢支部を本体パネルより切起され
   た切起し片で所定間隔をおいて形成し、前記何れ
   か一方のステイの水平部が嵌装され、かつ両端が
   本体パネルに係止されることにより前記何れか一
   方のステイを所定の摩擦力で締付け保持するコイ
   ルばねを設け、前記各ステイの水平部先端部同士
   を対向させた状態で本体パネルの揺動角度を規制
   する角度規制ストツパを接合し、前記各ステイの
   水平部先端部同士を角度規制ストツパにより一体
   的に連結したことを特徴とする可動ヘツドレス
   ト。