JPH0512613U - エンジンのリアカバー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】出力側のシリンダブロック外壁部分にもオイル
リターン通路の形成を可能として通路面積の増大し得る
と共に、シリンダブロックの剛性を向上できるエンジン
のリアカバー構造。 【構成】シリンダブロック１０の出力側である後壁に形
成されたミッションケースを締着する取付フランジ２０
の内周側に、ひとまわり小径のリアカバー装着座２３が
形成され、該リアカバー装着座２３にリアカバー３０が
取付フランジ２０のネジ座２２…と対応する位置でネジ
２４によって締着され、該リアカバー３０とシリンダブ
ロック１０との間に、オイルリターン通路１８Ｒと連通
路１９を介して連通するオイル通路３５が形成されてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジン本体の出力側であるシリンダブロック外壁に装着され、出 力軸を気密的に突出させるエンジンのリアカバー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

車両のエンジンは、大きくは、シリンダブロックの上側にシリンダヘッドが、 下側にオイルパンが夫々装着されて構成されている。（実開昭５８−１０９５３ ９号公報等参照） シリンダブロックには、オイルリターン通路が上下方向に貫通して穿設されて おり、シリンダヘッドに供給された潤滑油がこのオイルリターン通路を介してオ イルパンに戻されるようになっている。このようなオイルリターン通路は、その 配置スペースの都合上、クランクシャフトを支持するジャーナル軸受部を形成す るバルクヘッドの付根部分に形成される。 一方、トランスミッションが出力軸に対して直列に接続されるエンジンでは、 出力軸はエンジン本体からシリンダブロックの出力側外壁に装着されたリアカバ ーを気密的に貫通してトランスミッション側に突出するように構成されている。

【０００３】

【従来技術の課題】

ところで、オイルの循環効率を高める為にはオイルが迅速にオイルパンに戻さ れることが望ましく、オイルリターン通路の面積は可能な限り大きく（径を大き く又は数多く）したいという要求がある。 しかし乍ら、シリンダブロックの下側には、その外縁部に沿ってオイルパンが シール部材を介して装着される為、上記従来の如くオイルリターン通路をバルク ヘッドの付根部分に形成する構成では、出力側のシリンダブロック外壁部分には 、オイルリターン通路が形成できないという問題があった。 つまり、出力側のシリンダブロック外壁の厚さ内にオイルリターン通路を形成 しても、該オイルリターン通路はシリンダブロック外壁の端面とオイルパンとの 接合部に介設されるシール部材と干渉してしまう為にオイルパン内と連通させる ことができないものである。オイルリターン通路をシール部材を迂回するよう形 成してこの問題を回避することも考えられるが、出力側のシリンダブロック外壁 にはミッションケースを取付けるミッションケース装着座が形成されることもあ ってオイルリターン通路は複雑に屈曲したものとせざるを得ず、成形時に中子が 抜けないといった問題が生ずる。 又、シリンダブロックは、その下側（クランク室側）が広がって開放形成され ると共に、出力側の端部は大径のフライホイール及びクラッチ部分を覆うミッシ ョンケースの接合座が幅方向に突出して形成される為、剛性が不足しがちなもの である。

【０００４】

【考案の目的】

本考案は、上記の如き事情に鑑み、出力側のシリンダブロック外壁部分にもオ イルリターン通路の形成を可能として通路面積を増大し得ると共に、シリンダブ ロックの剛性を向上できるエンジンのリアカバー構造の提供、を目的とする。

【０００５】

【考案の構成】

このため、本考案に係るエンジンのリアカバー構造は、シリンダブロックの出 力側外壁に、当該出力側外壁に装着されるミッションケースの装着座の外形に略 沿う外形のリアカバーが装着され、該リアカバーとシリンダブロック外壁との間 に出力軸を中心とする円弧状にオイル通路が形成されると共に、シリンダブロッ クの出力側外壁に、該シリンダブロックに穿設されたシリンダヘッドからのオイ ルリターン通路と、オイル通路と、を連通する連通路が形成されて構成されてい る。 本構成によれば、リアカバーがシリンダブロックの補強部材として機能してシ リンダブロックの剛性を向上させることができ、シリンダブロックの変形を抑制 できると共に、シリンダブロックの出力側外壁にもオイルリターン通路が形成可 能となり、オイルリターン通路の通路面積を増大し得る。 又、上記リアカバーが、シリンダブロックへのミッションケース締着位置と対 応する位置でシリンダブロックに締着されると共に、シリンダブロックと該シリ ンダブロックの下側に装着されるオイルパンとの間にロアブロックが介設され、 オイル通路はロアブロックに形成されたオイルパンと連通する連通路に接続され て構成されている。 本構成では、高剛性に形成されるミッションケース締着位置と対応する位置で リアカバーを締着することで、リアカバーを強固に装着できシリンダブロックの 剛性をより向上できると共に、ロアブロックを介してシリンダヘッドからオイル をオイルパンへ円滑に還流させることができる。

【０００６】

【考案の実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明する。 図１は、本考案に係るエンジンのリアカバー構造を適用したシリンダブロック を、図中上側を出力側としてクランク室側から見た図であり、図２はその平面図 であって出力側壁面を示す図である。 図示シリンダブロック１０は、直列４気筒のエンジンのシリンダブロックであ り、各シリンダ１１…間のクランク室はバルクヘッド１３，１４，１５により仕 切られ、該バルクヘッド１３，１４，１５と、前後（図中上下）の外壁１２，１ ６に、夫々ジャーナル軸受部１７…が形成されている。 ジャーナル軸受部１７の軸受キャップ装着面１７Ａの上下方向高さは当該ジャ ーナル軸受部１７によって支持されるクランクシャフト（図示せず）の中心に一 致し、シリンダブロック１０の周囲外壁の下端縁１０Ａはこれより所定量低く、 この下端縁１０Ａに図示しないロアブロックが装着され、更に、該ロアブロック の下に図示しないオイルパンが装着されるものである。

【０００７】 バルクヘッド１３，１４，１５のジャーナル軸受部より側壁側は、その板厚内 が所定深さ（高さ方向）に肉が盗まれて中空状の空間部１３Ａ，１４Ａ，１５Ａ となっており、中央のバルクヘッド１４を除く前後のバルクヘッド１３，１５の 一方側方側の空間部１３Ａ，１５Ａと当該シリンダブロック１０の上面とが、夫 々オイルリターン通路１８…によって連通されている。これにより、シリンダヘ ッドを潤滑したオイルはオイルリターン通路１８…を通って空間部１３Ａ，１５ Ａに至り、オイルパンに戻るようになっているものである。 又、前方壁１２には、該前方壁１２の内面を略中心位置としてオイルリターン 通路１８Ｆが形成されている。該オイルリターン通路１８Ｆは前方壁１２の内面 （即ちクランク室側）開口しており、当該オイルリターン通路１８Ｆを介するシ リンダヘッドからのオイルは前方壁１２の内面をつたってオイルパンに戻るよう になっているものである。 更に、後方壁１６には、その板厚中央にオイルリターン通路１８Ｒがシリンダ ブロック１０の上面から所定の深さに形成されると共に、該オイルリターン通路 １８Ｒは、連通路１９によって後方側壁面の後述するリアカバー装着座２３側に 連通されている。

【０００８】 シリンダブロック１０の後方側端部には、当該エンジンの後段に設けられる大 径のフライホイールやクラッチを介して連結されるトランスミッションを覆うミ ッションケースを締着接続する為の取付フランジ２０が側方に突出形成され、該 取付フランジ２０と前方側の側壁とはテーパ状の外面２０Ａで接続されてその内 部は中空となっている。 取付フランジ２０は、出力軸を中心とする略半円形であって、その外周に沿っ て接合当接面２１が形成されると共に、中央に締着ネジ穴が形成された円形のネ ジ座２２…が複数形成されている。 又、接合当接面２１より内周側に、該接合当接面２１よりひとまわり小径のリ アカバー装着座２３が形成され、ここに、リアカバー３０が取付フランジ２０の ネジ座２２と対応する内周側（出力軸中心より）位置に螺合したネジ２４によっ て装着されている。尚、リアカバー３０はクランクシャフトが装着された状態で 装着されるものであるが、図は便宜上クランクシャフトやピストンは示さず、シ リンダブロック１０にリアカバー３０のみ装着された状態を示しているものであ る。

【０００９】 リアカバー３０は、リアカバー装着座２３と同じ半円形の外形に加えて出力軸 が挿通されるリング状のシール軸受部３１が一体形成されており、外周に沿って シリンダブロック１０のリアカバー装着座２３の締着ネジ穴２３Ａ…と対応する 位置にネジ座３２が形成されると共に、該ネジ座３２とシール軸受部３１とが複 数状のリブ３３…で結ばれて剛性が確保されている。又、シリンダブロック１０ のリアカバー装着座２３に開口する連通路１９の開口部位から、断面形状Ｕ字状 のオイル溝３４が出力軸を中心として円弧状に形成され、該オイル溝３４を形成 する壁部もリブ３３…を連結して剛性向上に寄与している。 オイル溝３４は、シリンダブロック１０の後方壁面（リアカバー装着座２３面 ）との間にオイル通路３５を形成し、該オイル通路３５はリアカバー３０の下側 端面（シリンダブロック１０の下端縁１０Ａと同一平面）に開放している。この オイル通路３５の開口部は、シリンダブロック１０の下側に装着される図示しな いロアブロックに形成されたオイルパンに連通するオイルリターン通路に接続さ れているものである。 つまり、上記構成により、シリンダブロック１０のリアカバー装着座２３にリ アカバー３０が装着された状態では、オイル通路３５とシリンダブロック１０の オイルリターン通路１８Ｒが連通路１９を介して連通し、シリンダヘッドを潤滑 した後オイルリターン通路１８Ｒに戻されるオイルは連通路１９を介してシリン ダブロック１０とリアカバー３０の間に形成されるオイル通路３５に至り、該オ イル通路３５を通ってシリンダブロック１０の下端縁の外側に至ってロアブロッ クのオイルリターン通路を経てオイルパンに戻るようになっているものである。

【００１０】 而して、上記の如きリアカバー３０構成によれば、リアカバー３０のシリンダ ブロック１０側にオイル通路３５を形成したことにより、該オイル通路３５をオ イルパンとの間にシール部材が介設されるシリンダブロック１０の下端縁からず れた位置とすることができ、シール部材との干渉を回避してオイル通路３５を形 成することができる。 又、エンジン構成の都合によって、シリンダブロック１０のオイルリターン通 路１８Ｒをクランクシャフトの回転方向掻き上げ側に配置した場合には、出力軸 を中心として円弧状に形成されたオイル通路３５によって逆側（即ちクランクシ ャフトの回転方向掻き下げ側）にオイルを戻すことができ、これによってクラン クシャフトがオイルを巻き込むことによる気泡の発生を防ぐことができる。本実 施例では、オイル通路３５及び図示しないロアブロックのオイルリターン通路を 経てオイルパンのクランクシャフトの回転方向掻き下げ側に戻るようになってい る。尚、他のオイルリターン通路１８…，１８Ｆはクランクシャフトの回転方向 掻き上げ側に配置されていることとなるが、シリンダヘッドから戻るオイル量は 端部からが最も多く、しかも、オイルパンは出力側が浅く構成されることから出 力側のオイルがクランクシャフトの回転方向掻き下げ側に戻るようにすることが 、気泡の発生防止には最も効果的なものである。

【００１１】 又、リアカバー３０を取付フランジ２０の接合当接面２１の内周に沿って大き な外形とすると共に、そのシリンダブロック１０への締着位置をミッションケー スを締着するネジ座２２と対応する位置としたことにより、シリンダブロック１ ０の後方側にテーパ状に拡大すると共に下側に開放する取付フランジ２０をリア カバー３０で補強することができ、取付フランジ２０の開閉変形を抑制してシリ ンダブロック１０の剛性を向上させることができる。

【００１２】

【考案の効果】

上記の如き、本考案に係るエンジンのリアカバー構造によれば、リアカバーが シリンダブロックの補強部材として機能してシリンダブロックの剛性を向上させ ることができ、シリンダブロックの変形を抑制できると共に、エンジン本体の出 力側のシリンダブロック外壁にもオイルリターン通路が形成可能となり、オイル リターン通路の通路面積を増大し得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るエンジンのリアカバー構造を適用
したシリンダブロックをクランク室側から見た図。

【図２】図１の平面図であって出力側壁面を示す図。

【符号の説明】

１０…シリンダブロック １８…オイルリターン通路 １９…連通路 ２０…取付フランジ（ミッションケースの装着座） ２２…ネジ座（ミッションケース締着位置） ３０…リアカバー ３５…オイル通路

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダブロックの出力側外壁に、当該出
   力側外壁に装着されるミッションケースの装着座の外形
   に略沿う外形のリアカバーが装着され、該リアカバーと
   前記シリンダブロック外壁との間に出力軸を中心とする
   円弧状にオイル通路が形成されると共に、前記シリンダ
   ブロックの出力側外壁に、該シリンダブロックに穿設さ
   れたシリンダヘッドからのオイルリターン通路と、前記
   オイル通路と、を連通する連通路が形成されて構成され
   ていること、を特徴とするエンジンのリアカバー構造。
2. 【請求項２】上記リアカバーが、上記シリンダブロック
   へのミッションケース締着位置と対応する位置で前記シ
   リンダブロックに締着されると共に、前記シリンダブロ
   ックと該シリンダブロックの下側に装着されるオイルパ
   ンとの間にロアブロックが介設され、上記オイル通路は
   前記ロアブロックに形成された前記オイルパンと連通す
   る連通路に接続されて構成されていること、を特徴とす
   る請求項１記載のエンジンのリアカバー構造。