JPH05125650A - 捲縮性長繊維不織布の製造方法 - Google Patents

捲縮性長繊維不織布の製造方法

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JPH05125650A
JPH05125650A JP3308522A JP30852291A JPH05125650A JP H05125650 A JPH05125650 A JP H05125650A JP 3308522 A JP3308522 A JP 3308522A JP 30852291 A JP30852291 A JP 30852291A JP H05125650 A JPH05125650 A JP H05125650A
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thermoplastic resin
temperature
long
crimpable
nonwoven fabric
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JP3308522A
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Masaru Tsubata
勝 津幡
Kasumi Kin
霞 金
Yosuke Kudo
洋輔 工藤
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 嵩高性及び柔軟性に富む長繊維不織布の製造
方法を提供する。 【構成】 押出機1中において、熱可塑性樹脂S1を温
度T1で溶融させる。一方、押出機2中において熱可塑
性樹脂S2を温度T2で溶融させる。S1とS2とは、同一
の熱可塑性樹脂である。また、このときの温度の関係
は、T1>T2である。このS1及びS2を各々別個に紡糸
口金3に供給する。そして、紡糸口金3に設けられたサ
イドバイサイド型複合紡糸孔5の一対の孔6,6′よ
り、S1及びS2を別個に吐出する。吐出された後、直ち
にS1とS2とは、貼り合わされてサイドバイサイド型複
合長繊維となる。ところで、S1及びS2は、吐出された
後冷却されるが、その冷却速度が異なるため、S1とS2
とで体積収縮率が異なる。従って、サイドバイサイド型
複合長繊維に捲縮が発現する。この捲縮性長繊維を集積
させて、長繊維不織布を得るのである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、嵩高性に富み且つ柔軟
性に富む捲縮性長繊維不織布の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】現在、スパンボンド不織布に代表される
長繊維不織布は、様々な用途分野に使用されている。ス
パンボンド不織布は、カード法で得られる短繊維不織布
に比べて、引張強度に優れている或いは生産性が高いと
いった利点がある。しかし、その一方、前記の短繊維不
織布に比べると、嵩高性及び柔軟性に劣るという欠点が
ある。このため、衛生材料の表面材等の人肌に直接触れ
る用途においては、前記短繊維不織布に比べて、その利
用量が少ないということがあった。しかるに、スパンボ
ンド不織布は、生産性が高いため、その価格を安価にす
ることができ、衛生材料の表面材等の使い捨て用途に使
用するには、最適なものである。従って、嵩高性及び柔
軟性に富むスパンボンド不織布を製造するための技術
が、種々採用されている。
【0003】スパンボンド不織布に嵩高性及び柔軟性を
付与するには、構成繊維である長繊維に捲縮を与えると
効果的であることが、知られている。これは、長繊維の
捲縮によって、長繊維間隙の体積が大きくなって嵩高性
が増し、また捲縮によって長繊維に動きやすさが付与さ
れて柔軟性が向上するからである。従来の技術として
は、例えば、二種類の熱可塑性樹脂で構成されたサイド
バイサイド型複合長繊維又は偏心芯鞘型複合長繊維を集
積させて不織ウェブとした後、この複合長繊維を収縮さ
せ、種類の異なる熱可塑性樹脂の収縮率の差を利用し
て、捲縮を発現させて、捲縮性長繊維を構成繊維とする
スパンボンド不織布が知られている(特開昭48-1471号
公報、特開昭63-282350号公報)。また、ポリエチレン
テレフタレートと、このポリエチレンテレフタレートと
は固有粘度が異なるポリエチレンテレフタレート共重合
体とを原料とし、この二種のポリエステルをサイドバイ
サイド型複合紡糸孔を用いて紡糸し、両者の熱収縮率の
違いによって捲縮を有するサイドバイサイド型長繊維を
形成し、この長繊維を使用して不織布を製造する方法も
知られている(特開平2-182963号公報)。
【0004】しかし、上記の技術は、いずれも二種の熱
可塑性樹脂を使用しているため、以下の如き欠点があっ
た。即ち、長繊維不織布を製造する際には、どうして
も、その両端に厚みが薄く且つ地合いの不均一な耳と称
する部分が生じる。この耳は、長繊維不織布の製造中或
いは製造後に切断され、廃棄されるものであるが、原料
の有効利用の観点から、回収して再利用するのが一般的
である。しかるに、この耳には、二種類の熱可塑性樹脂
が混合しているため、再利用が困難であるという欠点が
あった。例えば、これを溶融して長繊維を得ることが困
難であるという欠点があったのである。
【0005】一方、一種類の重合体を異形の紡糸孔を持
つ紡糸口金から溶融紡糸し、次いで延伸固化する際に、
この長繊維の一方側面のみを冷却することによって、冷
却部分では結晶化度を小さくし非冷却部分では結晶化度
を大きくして、長繊維の横断面において密度を異ならし
め、即ち溶融状態から固体状態に至る間での体積収縮率
を異ならしめ、これによって長繊維に捲縮を付与した
後、この捲縮性長繊維を集積させたスパンボンド不織布
も提案されている(特開平1-148862号公報)。この方法
で得られたスパンボンド不織布は、前記の欠点は回避し
うるものの、一般的に、以下の如き新たな欠点を惹起す
るのである。即ち、例えば、高結晶性のアイソタクチッ
クポリプロピレンを使用した場合には、目的の繊度まで
延伸が完了する以前に、冷却部分において重合体の温度
が結晶化温度以下になり、紡糸中に長繊維に破断伸度以
上の張力がかかり、紡糸口金直下で糸切れが多発すると
いう欠点があった。つまり、紡糸した後、すぐに冷却さ
れて固体状態となってしまい、延伸不能になって、紡糸
口金直下で糸切れが生じるのである。このことは、比較
的高張力が負荷される高速紡糸によって、細繊度の長繊
維が得られないということを意味している。また、高張
力を負荷せずに低速度で紡糸して、細繊度の長繊維を得
ようとすると、紡糸孔1個当たりの重合体吐出量を下げ
なければならず、生産性が低下するという欠点があった
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、一
種類の熱可塑性樹脂を使用して、それを二つの押出機中
で異なる温度で溶融させ、各々別個にサイドバイサイド
型複合紡糸孔まで導入し、紡糸孔から吐出した後直ち
に、各々の熱可塑性樹脂を貼り合わせてサイドバイサイ
ド型複合長繊維とした後、延伸固化することにより、各
々の熱可塑性樹脂の結晶化開始時点及び結晶化終了時点
を異ならせ、即ち結晶化に要する時間(従って結晶化
度)を異ならせて、各々の熱可塑性樹脂の溶融状態から
固体状態に至る間における体積収縮率に差を与え、もっ
て捲縮性長繊維を得ることにより、嵩高性に富み且つ柔
軟性に富む長繊維不織布を製造しようというものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、温度T
1で溶融させた熱可塑性樹脂を押出機1から紡糸口金3
に供給し、一方、温度T1よりも低い温度T2で溶融させ
た、前記熱可塑性樹脂と同一の熱可塑性樹脂を押出機2
から該紡糸口金3に供給し、該紡糸口金3に設けられた
サイドバイサイド型複合紡糸孔5の一対の孔6,6′よ
り、各々の熱可塑性樹脂を別個に吐出した後直ちに各々
の熱可塑性樹脂を貼り合わせ、その後延伸固化して捲縮
性長繊維を形成した後、該捲縮性長繊維を集積させるこ
とを特徴とする捲縮性長繊維不織布の製造方法に関する
ものである。
【0008】まず、本発明に係る方法において、捲縮性
長繊維が得られる理由について説明する。熱可塑性樹脂
1を押出機1に投入して、温度T1で溶融する。一方、
同一の熱可塑性樹脂S2を押出機2に投入して、温度T2
で溶融する。ここで、T1はT2より高い温度、即ちT1
>T2とする。この熱可塑性樹脂S1及び熱可塑性樹脂S
2は、各々パイプを通って、紡糸口金3に至る。紡糸口
金3の温度は、一定の温度T3に設定されているが、こ
こではT3はT1とT2の温度の中間の温度、即ちT1>T
3>T2という温度に設定されているとする。すると、温
度T1で溶融している熱可塑性樹脂S1は、紡糸口金3に
導入されたとき、紡糸口金3の温度の影響を受けて、温
度が下がる。この下がった温度をT13とする。一方、温
度T2で溶融している熱可塑性樹脂S2は、紡糸口金3の
温度の影響を受けて、温度が上がる。この上がった温度
をT23とする。ここで、T13は温度T3まで下がらず、
またT23は温度T3まで上がらない。従って、各温度の
関係は、T1>T13>T3>T23>T2となる。
【0009】以上の結果、紡糸口金3の先端(これをa
点とする)において、熱可塑性樹脂S1はT13の温度で
あり、熱可塑性樹脂S2はT23の温度である。そして、
紡糸口金3のサイドバイサイド型複合紡糸孔5から吐出
された後、延伸固化され、エアサッカー4の入口付近
で、いずれの熱可塑性樹脂S1,S2も常温T0(これを
b点とする)となる。吐出されたいずれの熱可塑性樹脂
1,S2も、a点からb点に至るまでの時間(これをt
とする)は同一である。そうすると、熱可塑性樹脂S1
は時間tの間に、温度がT13からT0に降下するのであ
る。一方、熱可塑性樹脂S2は時間tの間に、温度がT
23からT0に降下するのである。これは、図3に示した
とおりであり、温度の降下勾配は、熱可塑性樹脂S1
方が大きい。
【0010】一方、結晶化開始温度をTmとし、結晶化
終了温度をTnとする。すると、各熱可塑性樹脂S1,S
2の結晶化時間は、図3に示したとおりになる。即ち、
熱可塑性樹脂S1の結晶化時間はt1となり、熱可塑性樹
脂S2の結晶化時間はt2となる。図3により明らかなと
おり、t1<t2となる。即ち、温度の降下勾配の小さい
方が、長い結晶化時間となるのである。ところで、結晶
化時間が長いほど結晶化度は大きくなるので、熱可塑性
樹脂S1の結晶化度をX1とし、熱可塑性樹脂S2の結晶
化度をX2とすると、X1<X2となる。そして、結晶化
度が大きいほど、密度は高くなるから、熱可塑性樹脂S
1の密度をρ1とし、熱可塑性樹脂S2の密度をρ2とする
と、ρ1<ρ2となる。
【0011】さて、前記したように熱可塑性樹脂S1
熱可塑性樹脂S2とは、紡糸口金3に設けられたサイド
バイサイド型複合紡糸孔5の一対の孔6,6′より、各
々別個に吐出さる。例えば、熱可塑性樹脂S1は孔6か
ら吐出され、熱可塑性樹脂S2は孔6′から吐出され
る。そして、吐出された後直ちに、両熱可塑性樹脂
1,S2は貼り合わされて延伸固化され、サイドバイサ
イド型複合長繊維が得られる。この際、サイドバイサイ
ド型複合紡糸孔5より吐出した時点では、熱可塑性樹脂
1と熱可塑性樹脂S2の両樹脂共に溶融状態であり、そ
れがエアーサッカー4に導入される時点において、結晶
化して両樹脂共に固体状態となる。ところが、上記説明
したところより明らかなとおり、熱可塑性樹脂S1の結
晶化度X1は熱可塑性樹脂S2の結晶化度X2よりも小さ
い。即ち、結晶化の程度が、熱可塑性樹脂S1の方が小
さいのである。結晶化の程度が小さいと、溶融状態から
固体状態に至る際の体積収縮率は小さくなる。即ち、熱
可塑性樹脂S1の体積収縮率をV1とし、熱可塑性樹脂S
2の体積収縮率をV2とすると、V1<V2となる。このよ
うに体積収縮率が、サイドバイサイド型複合長繊維の各
成分S1とS2とで相違すると、体積収縮率が大きい成分
2の位置する箇所を内側として捲縮が生じるのであ
る。以上のようにして、本発明における捲縮性長繊維が
形成されるのである。従って、本発明における捲縮性長
繊維は、結晶化度を調整すること、ひいては当初におけ
る熱可塑性樹脂の溶融温度を調整することによって、そ
の捲縮の程度を大きくしたり或いは小さくしたりするこ
とができるものである。なお、この捲縮は、サイドバイ
サイド型複合長繊維に張力が負荷されている状態では、
表面に現われずに、この張力が解除された時点で発現す
る。従って、サイドバイサイド型複合長繊維がエアーサ
ッカー4から排出された時点で、捲縮が発現するのであ
る。
【0012】この捲縮性長繊維を形成する際に使用す
る、熱可塑性樹脂S1及びS2としては、同一の熱可塑性
樹脂であれば、どのようなものでも用いうる。代表的に
は、ポリプロピレンが用いられる。その他として、ポリ
エチレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアミド,
或いはこれらの共重合体,或いはこれらの混合物であっ
てもよい。また、これらの熱可塑製樹脂に結晶核剤や二
酸化チタン等の添加物が添加されていてもよい。本発明
においては、特に、メルトフローレート(JIS K7210 表
1 条件14で測定)が10〜80程度のポリプロピレンが好
ましく、最も好ましくは30〜50程度が良い。このような
ポリプロピレンを使用した場合には、捲縮性長繊維を良
好に形成することができるからである。
【0013】また、押出機1及び2における、熱可塑性
樹脂S1及びS2の溶融温度T1及びT2は、T1>T2の条
件を満足すればどのような温度でも良い。熱可塑性樹脂
としてポリプロピレンを使用する場合には、溶融温度は
180〜280℃の温度範囲内とするのが、好ましい。この範
囲外であると、ポリプロピレンを安定的に溶融紡糸しに
くくなる傾向が生じる。また、熱可塑性樹脂としてポリ
プロピレンを使用した場合における、T1とT2の温度差
は、最大100℃程度にすることができるが、一般的には3
0〜60℃程度が好ましい。温度差が30℃未満になると、
得られる捲縮性長繊維の捲縮の程度が小さくなる傾向が
生じる。逆に、温度差が60℃を超えると、捲縮の程度が
大きくなって絡みやすくなり、開繊時における開繊性が
低下する傾向が生じたり、或いは捲縮性長繊維を安定に
紡糸しにくくなる傾向が生じる。また、捲縮性長繊維を
得る際における、熱可塑性樹脂S1とS2の複合比率(重
量比)も任意に決定することができる。溶融温度の差を
30〜60℃とした場合には、一般的に、S1:S2=1:1で
あるのが好ましい。これは、捲縮性長繊維に適度な捲縮
を与えることができるからである。
【0014】以上のようにして得られた捲縮性長繊維
は、従来公知の方法で開繊され、そして従来公知の方法
で集積して、不織ウェブを作成し、その後捲縮性長繊維
相互間を何らかの方法で結合して不織布を得ることがで
きるのである。例えば、捲縮性長繊維に同電荷を付与
し、この同電荷による反発力を利用して開繊し、その後
捕集コンベア上に集積して、不織ウェブを作成する。そ
の後、この不織ウェブを加熱エンボスロールに導入し
て、部分的に熱圧着を施して、捲縮性長繊維相互間の自
己融着による結合区域を設けて、不織布を得るのであ
る。
【0015】本発明における捲縮性長繊維の繊度は、任
意に決定しうる事項であるが、得られる長繊維不織布を
衛生材料の表面材として使用する場合には、1〜5デニー
ル程度が好ましい。繊度を1デニール未満より細くする
と、捲縮性長繊維を製造しにくくなる傾向が生じる。一
方、繊度が5デニールを超えると、得られる不織布の柔
軟性が低下したり、或いは肌触りが低下するので、衛生
材料の表面材として使用するには不適当になる。
【0016】また、本発明においては、捲縮性長繊維を
集積してなる不織ウェブに、無捲縮性長繊維を集積して
なる不織ウェブを積層して、積層型の長繊維不織布を製
造してもよい。捲縮性長繊維は、前述した方法で製造す
ることができる。無捲縮性長繊維は、従来公知の一般に
使用されている溶融紡糸法によって製造することができ
る。また、無捲縮性長繊維を製造する際に使用する熱可
塑性樹脂は、捲縮性長繊維の製造に使用したのと同一の
熱可塑性樹脂を用いるのが、好ましい。更に、無捲縮性
長繊維の繊度も、捲縮性長繊維と同程度であるのが、好
ましい。両不織ウェブを積層するには、捲縮性長繊維よ
りなる不織ウェブ上に、無捲縮性長繊維を集積させても
よいし、逆に無捲縮性長繊維よりなる不織ウェブ上に、
捲縮性長繊維を集積させてもよい。また、各々の不織ウ
ェブを別個に作成した後、両不織ウェブを積層してもよ
い。積層ウェブを得た後、例えば、加熱エンボスロール
に導入して、部分的に熱圧着を施して、捲縮性長繊維相
互間、無捲縮性長繊維相互間、及び捲縮性長繊維と無捲
縮性長繊維との相互間を融着させ結合区域を設けて、長
繊維不織布を得るのである。なお、ここでいう無捲縮性
長繊維とは、実質的に捲縮を有しないという意味であ
り、全く捲縮を有しないという意味ではない。
【0017】
【実施例】まず、実施例中で使用する物性値の測定方法
を、次のとおり明確にしておく。 [熱可塑性樹脂のメルトフローレート]JIS K 7210 表
1の条件14で測定した。 [捲縮性長繊維の捲縮数]JIS L 1074で測定した。 [長繊維不織布の目付]不織布1m2当たりの重量(g)
で表わした。 [長繊維不織布の引張強度]JIS L 1096に準拠したテン
シロン引張試験により測定し、その縦及び横方向の引張
強度の平均値で表わした。 [長繊維不織布の風合]JIS L 1096 E法のハンドルオメ
ーター法にして縦及び横方向の風合を測定し、その平均
値で表わした。なお、サンプルの大きさは20cm×20cmで
スロット幅は6.35mmとした。 [長繊維不織布の嵩高さ]カトーテック株式会社製の圧
縮試験機KES-FB3を用いて、測定荷重2g/cm2のときの
厚さをA(mm)とし、また測定荷重50g/cm2のときの
厚さをB(mm)とした場合、Y=[(A−B)/A]×
100で示されるYを嵩高さ(%)として表わした。
【0018】実施例1 熱可塑性樹脂として、メルトフローレート40のポリプロ
ピレンを準備した。そして、押出機1にこのポリプロピ
レンを投入し、温度245℃にて溶融させた。また、押出
機2にこのポリプロピレンを投入し、温度215℃にて溶
融させた。そして、押出機1及び2から紡糸口金3に、
各ポリプロピレンをギヤポンプにて供給した。ここで、
紡糸口金3は、サイドバイサイド型複合紡糸孔5を120
孔持つものを数個備えたものであり、その温度を230℃
に設定した。各ポリプロピレンは、サイドバイサイド型
複合紡糸孔の単孔当たりの合計吐出量が1g/minとなる
ようにし、且つ両ポリプロピレンの複合比を1:1(重量
比)とした。以上のようにして得られたサイドバイサイ
ド型複合長繊維を、エアーサッカー4に導入し、4000m
/minの速度で溶融紡糸した。得られた捲縮性長繊維の
繊度及び捲縮数を表1に示した。
【表1】
【0019】次いで、得られた捲縮性長繊維を、エアー
サッカーの下方に設けられた開繊装置によって開繊し、
捕集コンベア上に集積して、目付23g/m2の不織ウェ
ブを形成した。この不織ウェブを、上段が熱エンボスロ
ールで下段が平滑ロールで構成された部分的熱圧着処理
装置に導入して、熱圧着を行なった。この際、熱エンボ
スロールの凸部の形状を丸型とし、直径を0.6mmとし
た。また、熱エンボスロールの温度は、140℃とした。
以上のようにして得られた長繊維不織布は、融着面積率
(不織布の全面積に対する、長繊維相互間が自己融着し
ている区域の総面積の割合)は、3%であり、地合いも
良好なものであった。この長繊維不織布の目付,引張強
度,風合,嵩高さを表2に示した。
【表2】
【0020】実施例2 押出機1におけるポリプロピレンの溶融温度を260℃に
し、押出機2における溶融温度を200℃にした以外は、
実施例1と同様の方法で長繊維不織布を得た。この長繊
維不織布の各種物性、及び長繊維不織布を構成する捲縮
性長繊維の繊度等は、表2及び表1に示したとおりであ
った。
【0021】実施例3 押出機1におけるポリプロピレンの溶融温度を240℃に
し、押出機2における溶融温度を220℃にした以外は、
実施例1と同様の方法で長繊維不織布を得た。この長繊
維不織布の各種物性、及び長繊維不織布を構成する捲縮
性長繊維の繊度等は、表2及び表1に示したとおりであ
った。
【0022】実施例4 押出機1におけるポリプロピレンの溶融温度を270℃に
し、押出機2における溶融温度を190℃にした以外は、
実施例1と同様の方法で長繊維不織布を得た。この長繊
維不織布の地合いは、実施例1〜3で得られた長繊維不
織布に比べて、劣るものであった。また、この長繊維不
織布の各種物性、及び長繊維不織布を構成する捲縮性長
繊維の繊度等は、表2及び表1に示したとおりであっ
た。
【0023】表1及び表2の結果より明らかなように、
実施例に係る方法で得られた長繊維は、捲縮を有するも
のであった。また、得られた長繊維不織布は、嵩高性に
富み且つ柔軟性に富むものであった。特に、押出機1に
おける熱可塑性樹脂S1の溶融温度T1と、押出機2にお
ける熱可塑性樹脂S2の溶融温度T2との温度差を、30℃
又は60℃にした実施例1又は2に係る長繊維不織布は、
1とT2の温度差を20℃にした実施例3に係る長繊維不
織布に比べて、長繊維の捲縮性の程度が大きいため、嵩
高性に富み且つ柔軟性にも優れていた。また、実施例1
又は2に係る長繊維不織布は、T1とT2の温度差を80℃
にした実施例4に係る長繊維不織布に比べて、長繊維の
開繊性が良好で、不織布の地合いが均一なものであり、
且つ柔軟性にも優れていた。実施例4に係る長繊維不織
布の柔軟性が、他の実施例のものに比べて劣っている理
由は、地合いが不均一(不織布の厚みの厚い部分と薄い
部分とにおける厚み差が激しいということ)であるた
め、厚みの厚い部分によって、不織布の柔軟性が低下す
るものと考えられる。
【0024】実施例5 熱可塑性樹脂として、メルトフローレート40のポリプロ
ピレンを準備した。そして、押出機1にこのポリプロピ
レンを投入し、温度260℃にて溶融させた。また、押出
機2にこのポリプロピレンを投入し、温度200℃にて溶
融させた。そして、押出機1及び2から紡糸口金3に、
各ポリプロピレンをギヤポンプにて供給した。ここで、
紡糸口金3は、サイドバイサイド型複合紡糸孔5を120
孔持つものを数個備えたものであり、その温度を230℃
に設定した。各ポリプロピレンは、サイドバイサイド型
複合紡糸孔の単孔当たりの合計吐出量が1g/minとなる
ようにし、且つ両ポリプロピレンの複合比を1:1(重量
比)とした。以上のようにして得られたサイドバイサイ
ド型複合長繊維を、エアーサッカー4に導入し、4000m
/minの速度で溶融紡糸した。得られた捲縮性長繊維の
繊度は約2.2デニールであり、捲縮数は10個/25mmであ
った。次いで、得られた捲縮性長繊維を、エアーサッカ
ーの下方に設けられた開繊装置によって開繊し、捕集コ
ンベア上に集積して、目付12g/m2の不織ウェブを形
成した。
【0025】一方、メルトフローレート40のポリプロピ
レンを、別個の押出機(図示せず)に投入して、温度23
0℃で溶融させた。そして、この押出機から非複合型の
常用されている紡糸口金(図示せず)に、ポリプロピレ
ンをギヤポンプにて供給した。ここで、紡糸口金は、紡
糸孔(図示せず)を120孔持つものを数個備えたもので
あり、その温度を230℃に設定した。このポリプロピレ
ンは、単孔当たりの合計吐出量が1g/minとなるように
した。以上のようにして得られた非複合型の長繊維をエ
アーサッカー(図示せず)に導入し、4000m/minの速
度で溶融紡糸した。得られた無捲縮性長繊維の繊度は約
2.2デニールであり、捲縮数は4個/25mmであった。得ら
れた無捲縮性長繊維を、エアーサッカーの下方に設けら
れた開繊装置によって開繊し、捲縮性長繊維よりなる不
織ウェブ上に集積して、目付24g/m2の積層ウェブを
得た。なお、捲縮性長繊維よりなる不織ウェブは、その
地合いが若干不均一であったが、この不織ウェブ上に無
捲縮性長繊維よりなる不織ウェブを積層することによ
り、地合いの不均一さを隠蔽でき、積層ウェブは外観的
に均一な地合いを示すものであった。
【0026】この積層ウェブを、上段が熱エンボスロー
ルで下段が平滑ロールで構成された部分的熱圧着処理装
置に導入して、熱圧着を行なった。この際、熱エンボス
ロールの凸部の形状を丸型とし、直径を0.3mmとした。
また、熱エンボスロールの温度は、140℃とした。以上
のようにして得られた長繊維不織布は、融着面積率(不
織布の全面積に対する、長繊維相互間が自己融着してい
る区域の総面積の割合)は、3%であった。また、引張
強度は5.1kg/5cmであり、嵩高さは60%であった。
【0027】比較例 実施例5と同様の方法で無捲縮性長繊維を製造し、この
無捲縮性長繊維のみを用いて目付24g/m2の不織ウェ
ブを得た。そして、これを実施例5と同様の部分的熱圧
着処理装置に導入して、無捲縮性長繊維不織布を得た。
この無捲縮性長繊維不織布の引張強度は5.3kg/5cmであ
り、嵩高さは30%であった。
【0028】以上の結果より明らかなとおり、実施例5
に係る方法で得られた長繊維不織布も、比較例に係る方
法で得られた無捲縮性長繊維不織布も、良好な地合いを
示し、またその引張強度も同等であった。しかし、嵩高
さの点で、比較例の無捲縮性長繊維不織布は、実施例5
の長繊維不織布に比べて劣るものであった。
【0029】
【作用】本発明に係る長繊維不織布の製造方法におい
て、この長繊維は、高い温度T1で溶融させた熱可塑性
樹脂S1を押出機1から、そして低い温度T2で溶融させ
た熱可塑性樹脂S2を押出機2から、サイドバイサイド
型複合紡糸孔5を備えた紡糸口金3に供給し、複合紡糸
して製造されるものである。従って、熱可塑性樹脂S1
の冷却速度の方が、熱可塑性樹脂S2の冷却速度よりも
速くなる。そうすると、熱可塑性樹脂S1の方が、熱可
塑性樹脂S2に比べて、結晶化温度に留まる時間(結晶
化開始温度Tmから結晶化終了温度Tnに至る時間)が短
くなる。結晶化温度に留まる時間が短い方が、結晶化度
が低く、溶融状態から固体状態に至る過程で、体積収縮
率が小さくなる。従って、体積収縮率は、熱可塑性樹脂
1が小さく、熱可塑性樹脂S2が大きくなる。このよう
に、体積収縮率の異なる熱可塑性樹脂S1及びS2が貼り
合わされてなるサイドバイサイド型複合繊維は、体積収
縮率の大きい熱可塑性樹脂S2成分の位置する箇所を内
側にして、捲縮が生じ、捲縮性長繊維が得られるのであ
る。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る製造
方法で得られた長繊維不織布は、その構成繊維として捲
縮性長繊維を使用したものであり、嵩高性に富み且つ柔
軟性に富むというものである。そして、この捲縮性長繊
維は、従来の如く二種成分より成るサイドバイサイド型
複合長繊維ではなく、単一成分で形成されて成るもので
ある。従って、従来廃棄されていた、不織布の製造過程
で生じる耳も単一成分で構成されているため、それを回
収して再利用しやすいという効果を奏するものである。
例えば、回収した耳を容易に溶融することができ、紡糸
原液等として再利用に供することができるという効果を
奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、捲縮性長繊維を製造するため
の装置の一例を模式的に示した図である。
【図2】サイドバイサイド型複合紡糸孔の平面図を模式
的に示した図である。
【図3】溶融させた熱可塑性樹脂が、紡糸工程で冷却し
てゆく状態を示したグラフである。
【符号の説明】
1 押出機 2 押出機 3 紡糸口金 4 エアーサッカー 5 サイドバイサイド型複合紡糸孔 6 サイドバイサイド型複合紡糸孔の一つの孔 6′サイドバイサイド型複合紡糸孔の他の一つの孔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度T1で溶融させた熱可塑性樹脂を押
    出機1から紡糸口金3に供給し、一方、温度T1よりも
    低い温度T2で溶融させた、前記熱可塑性樹脂と同一の
    熱可塑性樹脂を押出機2から該紡糸口金3に供給し、該
    紡糸口金3に設けられたサイドバイサイド型複合紡糸孔
    5の一対の孔6,6′より、各々の熱可塑性樹脂を別個
    に吐出した後直ちに各々の熱可塑性樹脂を貼り合わせ、
    その後延伸固化して捲縮性長繊維を形成した後、該捲縮
    性長繊維を集積させることを特徴とする捲縮性長繊維不
    織布の製造方法。
  2. 【請求項2】 捲縮性長繊維を集積してなる不織ウェブ
    と、無捲縮性長繊維を集積してなる不織ウェブとを積層
    して、長繊維不織布を製造する方法において、該捲縮性
    長繊維を請求項1記載の方法で得ることを特徴とする長
    繊維不織布の製造方法。
JP3308522A 1991-10-28 1991-10-28 捲縮性長繊維不織布の製造方法 Pending JPH05125650A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996017121A1 (fr) * 1994-11-25 1996-06-06 Polymer Processing Research Inst., Ltd. Non-tisse en fibres longues etirees constituees de differents types de polymeres, et son procede de fabrication

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996017121A1 (fr) * 1994-11-25 1996-06-06 Polymer Processing Research Inst., Ltd. Non-tisse en fibres longues etirees constituees de differents types de polymeres, et son procede de fabrication

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