JP2995640B2 - 長繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

長繊維不織布及びその製造方法

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JP2995640B2 JP28402691A JP28402691A JP2995640B2 JP 2995640 B2 JP2995640 B2 JP 2995640B2 JP 28402691 A JP28402691 A JP 28402691A JP 28402691 A JP28402691 A JP 28402691A JP 2995640 B2 JP2995640 B2 JP 2995640B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、捲縮を有するサイドバ
イサイド型複合長繊維で構成された、嵩高性に富み且つ
柔軟性に富む長繊維不織布及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】現在、スパンボンド不織布に代表される
長繊維不織布は、様々な用途分野に使用されている。ス
パンボンド不織布は、カード法で得られる短繊維不織布
に比べて、引張強度に優れている或いは生産性が高いと
いった利点がある。しかし、その反面、前記の短繊維不
織布に比べると、嵩高性及び柔軟性に劣るという欠点が
ある。このため、衛生材料の表面材等の人肌に直接触れ
る用途においては、前記短繊維不織布に比べて、その利
用量が少ないということがあった。しかるに、スパンボ
ンド不織布は、生産性が高いため、その価格を安価にす
ることができ、衛生材料の表面材等の使い捨て用途に使
用するには、最適なものである。従って、嵩高性及び柔
軟性に富むスパンボンド不織布を製造するための技術
が、種々採用されている。
【0003】スパンボンド不織布に嵩高性及び柔軟性を
付与するには、構成繊維である長繊維に捲縮を与えると
効果的であることが、知られている。これは、長繊維の
捲縮によって、長繊維間隙の体積が大きくなって嵩高性
が増し、また捲縮によって長繊維に動きやすさが付与さ
れて柔軟性が向上するからである。従来の技術として
は、例えば、二種類の熱可塑性樹脂で構成されたサイド
バイサイド型複合長繊維又は偏心芯鞘型複合長繊維を集
積させて不織ウェブとした後、この複合長繊維を収縮さ
せ、種類の異なる熱可塑性樹脂の収縮率の差を利用し
て、捲縮を発現させて、捲縮を有する長繊維を構成繊維
とするスパンボンド不織布が知られている(特開昭48-1
471号公報、特開昭63-282350号公報)。また、ポリエチ
レンテレフタレートと、このポリエチレンテレフタレー
トとは固有粘度が異なるポリエチレンテレフタレート共
重合体とを原料とし、この二種のポリエステルをサイド
バイサイド型複合紡糸孔を用いて紡糸し、両者の熱収縮
率の違いによって捲縮を有するサイドバイサイド型複合
長繊維を形成し、この長繊維を使用して不織布を製造す
る方法も知られている(特開平2-182963号公報)。
【0004】しかし、上記の技術は、いずれも二種の熱
可塑性樹脂を使用しているため、以下の如き欠点があっ
た。即ち、長繊維不織布を製造する際には、どうして
も、その両端に厚みが薄く且つ地合いの不均一な耳と称
する部分が生じる。この耳は、長繊維不織布の製造中或
いは製造後に切断され、廃棄されるものであるが、原料
の有効利用の観点から、回収して再利用するのが一般的
である。しかるに、この耳には、二種類の熱可塑性樹脂
が混合しているため、再利用が困難であるという欠点が
あった。例えば、これを溶融して長繊維を得ることが困
難であるという欠点があったのである。
【0005】一方、一種類の重合体を異形の紡糸孔を持
つ紡糸口金から溶融紡糸し、次いで延伸固化する際に、
この長繊維の一方側面のみを冷却することによって、冷
却部分では結晶化度を小さくし非冷却部分では結晶化度
を大きくして、長繊維の横断面において密度を異ならし
め、即ち溶融状態から固体状態に至る間での体積収縮率
を異ならしめ、これによって長繊維に捲縮を付与した
後、この捲縮を有する長繊維を集積させたスパンボンド
不織布も提案されている(特開平1-148862号公報)。こ
の方法で得られたスパンボンド不織布は、前記の欠点は
回避しうるものの、一般的に、以下の如き新たな欠点を
惹起するのである。即ち、例えば、高結晶性のアイソタ
クチックポリプロピレンを使用した場合には、目的の繊
度まで延伸が完了する以前に、冷却部分において重合体
の温度が結晶化温度以下になり、紡糸中に長繊維に破断
伸度以上の張力がかかり、紡糸口金直下で糸切れが多発
するという欠点があった。つまり、紡糸した後、すぐに
冷却されて固体状態となってしまい、延伸不能になっ
て、紡糸口金直下で糸切れが生じるのである。このこと
は、比較的高張力が負荷される高速紡糸によって、細繊
度の長繊維が得られないということを意味している。ま
た、高張力を負荷せずに低速度で紡糸して、細繊度の長
繊維を得ようとすると、紡糸孔1個当たりの重合体吐出
量を下げなければならず、生産性が低下するという欠点
があったのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、一
種類の熱可塑性樹脂を使用して、無機化合物粉末を混合
していないものと、無機化合物粉末を混合したものとを
別個の押出機中で溶融させ、各々別個にサイドバイサイ
ド型複合紡糸孔まで導入し、紡糸孔から吐出した後直ち
に、各々の熱可塑性樹脂を貼り合わせてサイドバイサイ
ド型複合長繊維とした後、延伸固化することにより、各
々の熱可塑性樹脂の結晶化度を異ならせて、各々の熱可
塑性樹脂の溶融状態から固体状態に至る間における体積
収縮率に差を与え、もって捲縮を有する長繊維を得るこ
とにより、嵩高性に富み且つ柔軟性に富む長繊維不織布
を製造しようというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、第一成
分となる繊維形成性熱可塑性樹脂を紡糸口金3に供給
し、一方、第二成分となる、第一成分と同一の繊維形成
性熱可塑性樹脂及び無機化合物粉末の混合物を該紡糸口
金3に供給し、該紡糸口金に設けられたサイドバイサイ
ド型複合紡糸孔5の一対の孔6,6′より、第一成分と
第二成分とを別個に吐出した後、直ちに該第一成分と該
第二成分とを貼り合わせ、その後延伸固化して捲縮を有
する長繊維を形成した後、該長繊維を集積させることを
特徴とする長繊維不織布の製造方法、及びこの方法によ
って得られた長繊維不織布に関するものである。
【0008】まず、本発明に係る方法において、捲縮を
有する長繊維が得られる理由について説明する。本発明
に係る方法においては、繊維形成性熱可塑性樹脂S
1(第一成分)を押出機1に投入して、所定の温度で溶
融する。一方、同一の繊維形成性熱可塑性樹脂S1及び
無機化合物粉末S3の混合物S2(第二成分)を押出機2
に投入して、所定の温度で溶融する。この第一成分S1
と第二成分S2は、各々パイプを通って、紡糸口金3に
至る。紡糸口金3には、サイドバイサイド型複合紡糸孔
5が設けられており、この一対の孔6,6′より第一成
分S1と第二成分S2を別個に吐出する。例えば、第一成
分S1は孔6から吐出し、第二成分S2は孔6′から吐出
するのである。吐出した際には各々溶融状態であり、こ
のときに第一成分S1と第二成分S2とは貼り合わされ
る。この後、両者S1とS2は延伸固化されて、エアーサ
ッカー4に導入されるのである。
【0009】以上の製造過程において、第一成分S1
第二成分S2とは、紡糸口金3から吐出されるときには
溶融状態であり、エアーサッカー4に導入されるときに
は固形状態になっている。従って、紡糸口金3からエア
ーサッカー4の間の一定の箇所で、第一成分S1と第二
成分S2の結晶化が生じるわけである。ところが、第一
成分S1と第二成分S2とでは、結晶化度が異なるのであ
る。例えば、第一成分S1の結晶化度をX1とし、第二成
分S2の結晶化度をX2とすると、X1<X2なのである。
この理由は、第二成分S2には無機化合物粉末が含有さ
れており、この無機化合物粉末が結晶核剤として機能
し、結晶化を促進させるからである。結晶化度が大きい
ほど密度は高くなるから、第一成分の密度をρ1とし、
第二成分の密度をρ2とすると、ρ1<ρ2である。
【0010】さて、前記したように第一成分S1と第二
成分S2とは、紡糸口金3に設けられたサイドバイサイ
ド型複合紡糸孔5の一対の孔6,6′より、各々別個に
吐出され、吐出された後直ちに、第一成分S1と第二成
分S2は貼り合わされて延伸固化され、サイドバイサイ
ド型複合長繊維が得られる。この際、サイドバイサイド
型複合紡糸孔5より吐出した時点では、第一成分S1
び第二成分S2共に溶融状態であり、それがエアーサッ
カー4に導入される時点において、結晶化して両樹脂共
に固体状態となる。ところが、上記説明したところより
明らかなとおり、第一成分S1の結晶化度X1は第二成分
2の結晶化度X2よりも小さい。即ち、結晶化の程度
が、第一成分S1の方が小さいのである。結晶化の程度
が小さいと、溶融状態から固体状態に至る際の体積収縮
率は小さくなる。即ち、第一成分S1の体積収縮率をV1
とし、第二成分S2の体積収縮率をV2とすると、V1
2となる。このように体積収縮率が、サイドバイサイ
ド型複合長繊維の各成分S1とS2とで相違すると、体積
収縮率が大きい第二成分S2の位置する箇所を内側とし
て捲縮が生じるのである。以上のようにして、本発明に
おける捲縮を有する長繊維が形成されるのである。
【0011】以上の説明より明らかなとおり、本発明に
おける捲縮を有する長繊維は、第二成分の結晶化度を調
整すること、即ち第二成分中の無機化合物粉末の含有量
を調整することによって、その捲縮の程度を大きくした
り或いは小さくしたりすることができるものである。ま
た、複合長繊維中における第一成分と第二成分の複合比
率を調整することによって、捲縮の程度を大きくしたり
或いは小さくしたりすることができるものである。即
ち、第二成分の複合比率を高くすれば捲縮の程度が大き
くなり、第二成分の複合比率を低くすれば捲縮の程度が
小さくなるのである。なお、この捲縮は、サイドバイサ
イド型複合長繊維に張力が負荷されている状態では、表
面に現われずに、この張力が解除された時点で発現す
る。従って、サイドバイサイド型複合長繊維がエアーサ
ッカー4から排出された時点で、捲縮が発現するのであ
る。
【0012】サイドバイサイド型複合長繊維がエアーサ
ッカー4から排出された後、この捲縮を有する長繊維は
開繊される。長繊維を開繊するには、従来公知の開繊装
置を使用すればよく、例えば長繊維を摩擦帯電させて同
電荷を付与し、長繊維相互間を反発させることにより、
開繊させればよい。長繊維を開繊させた後、捕集コンベ
ア等の上に長繊維を集積させて、不織ウェブを得る。不
織ウェブ中の捲縮を有する長繊維相互間を、従来公知の
何らかの方法によって結合させれば、不織布を得ること
ができるのである。例えば、加熱された凹凸ロールと平
滑ロールとよりなる熱エンボス装置の各ロール間に、不
織ウェブを導入し、凹凸ロールの凸部によって不織ウェ
ブを部分的に熱圧着し、この圧着区域において長繊維を
溶融又は軟化させ、長繊維相互間を自己融着させて結合
し、不織布を得ることができるのである。
【0013】この捲縮を有する長繊維を形成する際に使
用する、繊維形成性熱可塑性樹脂S1及び第二成分S2
の繊維形成性熱可塑性樹脂S1としては、同一の熱可塑
性樹脂であって繊維形成能のあるものであれば、どのよ
うなものでも用いうる。代表的には、ポリエチレンやポ
リプロピレン、或いはこれらの共重合体,或いはこれら
の混合物等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂が用いられ
る。その他として、ポリエチレンテレフタレートやポリ
アミド,或いはこれらの共重合体,或いはこれらの混合
物が用いられてもよい。本発明においては、特に、メル
トフローレート(JIS K 7210 表1 条件14で測定)が10
〜80程度のポリプロピレンが好ましく、最も好ましくは
30〜50程度が良い。このようなポリプロピレンを使用し
た場合には、捲縮を有する長繊維を良好に形成させるこ
とができるからである。また、このようなポリプロピレ
ンを使用した場合には、押出機中1又は2における溶融
温度を180〜280℃にするのが好ましい。溶融温度を180
℃未満にしたり、或いは280℃を超える温度にすると、
ポリプロピレンの安定紡糸が図れない傾向が生じる。
【0014】第二成分S2中の無機化合物粉末S3として
は、結晶核剤として機能するものであれば、どのような
ものでも用いうる。代表的には、二酸化チタンが用いら
れる。二酸化チタン等の無機化合物粉末S3の最大粒径
は、0.4μm以下であるのが好ましい。最大粒径が0.4μ
mを超えると、繊維形成性熱可塑性樹脂S1と混合した
際の無機化合物粉末S3の分散性が悪くなったり、或い
は紡糸パック内のスクリーン(フィルター)が目詰まり
しやすくなる傾向が生じる。また、第二成分S2中にお
ける無機化合物粉末S3の含有割合は、0.5重量%程度で
良い。この程度で、第一成分S1との結晶化度に十分な
差が生じ、溶融状態から固体状態に至る間において、サ
イドバイサイド型複合長繊維に捲縮が生じる程度の体積
収縮率差を与えることができる。無機化合物粉末S3
含有割合が0.5重量%を超えて、例えば1.0重量%程度に
なると、体積収縮率の差が大きくなり、捲縮が激しくな
りすぎて、得られた長繊維を良好に開繊して、均一な不
織ウェブを得ることが困難になる傾向が生じる。
【0015】第一成分S1と第二成分S2とを貼り合わせ
て、サイドバイサイド型複合長繊維を得る際における、
1とS2との複合比率は、長繊維を形成するときに捲縮
が生じる範囲内で、任意に決定しうる事項である。例え
ば、第二成分S2中における無機化合物粉末S3の含有割
合が0.5重量%であるとき、第一成分S1と第二成分S2
の複合比率はS2:S1=1:1〜4程度が好ましい。ま
た、例えば、第二成分S2中における無機化合物粉末S3
の含有割合が1.0重量%であるとき、第一成分S1と第二
成分S2の複合比率をS2:S1=1:1にすると、得られ
る長繊維の捲縮の程度が激しくなる傾向が生じる。従っ
て、このようなときに、捲縮の程度を少なくするには、
第二成分S2中における無機化合物粉末S3の含有割合を
少なくするか、又はS2の複合比率を少なくすれば良い
のである。
【0016】本発明における捲縮を有する長繊維の繊度
は、任意に決定しうる事項であるが、得られる長繊維不
織布を衛生材料の表面材として使用する場合には、1〜5
デニール程度が好ましい。繊度を1デニール未満より細
くすると、捲縮を有する長繊維を製造しにくくなる傾向
が生じる。一方、繊度が5デニールを超えると、得られ
る不織布の柔軟性が低下したり、或いは肌触りが低下す
るので、衛生材料の表面材として使用するには不適当に
なる。
【0017】以上説明したところから明らかなように、
本発明に係る方法で得られた長繊維不織布は、捲縮を有
するサイドバイサイド型複合長繊維を構成繊維とするも
のである。そして、この複合長繊維の第一成分は、繊維
形成性熱可塑性樹脂で形成され、第二成分は、この繊維
形成性熱可塑性樹脂と無機化合物粉末との混合物で形成
されている。この長繊維不織布は、捲縮を有する長繊維
を構成繊維とするものであるため、嵩高性に富み且つ柔
軟性に富むものである。従って、使い捨ておむつや生理
用ナプキン等の衛生材料の表面材として、好適に使用さ
れうるものである。また、従来、長繊維不織布が使用さ
れている各種用途にも、汎用的に使用されうるものであ
る。
【0018】
【実施例】まず、実施例中で使用する物性値の測定方法
を、次のとおり明確にしておく。 [繊維形成性熱可塑性樹脂のメルトフローレート]JIS
K 7210 表1の条件14で測定した。 [捲縮を有する長繊維の捲縮数]JIS L 1074の捲縮数の
測定方法に従って測定した。 [長繊維不織布の目付]不織布1m2当たりの重量(g)
で表わした。 [長繊維不織布の引張強度]JIS L 1096に準拠したテン
シロン引張試験により測定し、その縦及び横方向の引張
強度の平均値で表わした。 [長繊維不織布の風合]JIS L 1096 E法のハンドルオメ
ーター法にして縦及び横方向の風合を測定し、その平均
値で表わした。なお、サンプルの大きさは20cm×20cmで
スロット幅は6.35mmとした。 [長繊維不織布の嵩高さ]カトーテック株式会社製の圧
縮試験機KES-FB3を用いて、測定荷重2g/cm2のときの
厚さをA(mm)とし、また測定荷重50g/cm2のときの
厚さをB(mm)とした場合、Y=[(A−B)/A]×
100で示されるYを嵩高さ(%)として表わした。
【0019】実施例1 繊維形成性熱可塑性樹脂として、メルトフローレート40
のポリプロピレンを準備した。そして、押出機1にこの
ポリプロピレン(第一成分)を投入し、温度230℃にて
溶融させた。また、押出機2にこのポリプロピレン99.5
重量%と二酸化チタン(ルチル型、平均粒径0.20μm、
最大粒径0.34μm)0.5重量%とよりなる混合物(第二
成分)を投入し、温度230℃にて溶融させた。そして、
押出機1及び2から紡糸口金3に、各成分をギヤポンプ
にて供給した。ここで、紡糸口金3は、サイドバイサイ
ド型複合紡糸孔5を120孔持つものを数個備えたもので
あり、その温度を230℃に設定した。各成分は、サイド
バイサイド型複合紡糸孔5の単孔当たりの合計吐出量が
1g/minとなるようにし、且つ第一成分と第二成分の複
合比率を第二成分:第一成分=3:7(重量比)とした。
以上のようにして得られたサイドバイサイド型複合長繊
維を、エアーサッカー4に導入し、4000m/minの速度
で溶融紡糸した。得られた捲縮を有する長繊維の繊度及
び捲縮数を表1に示した。
【表1】
【0020】次いで、得られた捲縮を有する長繊維を、
エアーサッカーの下方に設けられた開繊装置によって開
繊し、捕集コンベア上に集積して、目付約23g/m2
不織ウェブを形成した。この不織ウェブを、上段が加熱
された凹凸ロールで下段が平滑ロールで構成された熱エ
ンボス装置の各ロール間に導入して、部分的に熱圧着を
行なった。この際、凹凸ロールの凸部の形状を丸型と
し、直径を0.6mmとした。また、凹凸ロールの加熱温度
は、140℃とした。以上のようにして得られた長繊維不
織布は、融着面積率(不織布の全面積に対する、長繊維
相互間が自己融着している区域の総面積の割合)は、3
%であり、地合いも良好なものであった。この長繊維不
織布の目付,引張強度,風合,嵩高さを表2に示した。
【表2】
【0021】実施例2 実施例1において、第二成分である混合物としてポリプ
ロピレン99.75重量%と二酸化チタン0.25重量%とより
なるものを使用し、且つ第一成分と第二成分との複合比
率を1:1にした以外は、実施例1と同様の方法で長繊維
不織布を得た。この長繊維不織布の各種物性、及び長繊
維不織布を構成する捲縮を有する長繊維の繊度等は、表
2及び表1に示したとおりであった。また、この長繊維
不織布の地合いは良好であった。
【0022】実施例3 実施例1において、第二成分である混合物としてポリプ
ロピレン99.0重量%と二酸化チタン1.0重量%とよりな
るものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で長繊
維不織布を得た。この長繊維不織布の各種物性、及び長
繊維不織布を構成する捲縮を有する長繊維の繊度等は、
表2及び表1に示したとおりであった。また、この長繊
維不織布の地合いは、実施例1や2で得られた長繊維不
織布と比べて、劣るものであった。この原因は、長繊維
の捲縮が激しいため、開繊時において長繊維相互間が絡
まりやすいためである。
【0023】比較例1 実施例1において、第二成分としてポリプロピレン100
重量%よりなるものを使用した以外は、実施例1と同様
の方法で長繊維不織布を得た。この長繊維不織布の各種
物性、及び長繊維の繊度等は、表2及び表1に示したと
おりであった。
【0024】比較例2 実施例1において、第一成分としてポリプロピレン99.5
重量%と二酸化チタン0.5重量%よりなるものを使用
し、且つ第二成分としてポリプロピレン99.0重量%と二
酸化チタン1.0重量%よりなるものを使用する以外は、
実施例1と同様の方法で長繊維不織布を得た。この長繊
維不織布の各種物性、及び長繊維の繊度等は、表2及び
表1に示したとおりであった。比較例2に係る方法で得
られた長繊維に、捲縮が少ないのは以下の理由であると
考えられる。即ち、第一成分にも第二成分にも結晶核剤
として機能する二酸化チタンが含有されている場合、そ
の含有割合が異なるだけでは、十分な捲縮が生じる程度
に、第一成分と第二成分との間に体積収縮率の差が生じ
ないのである。二酸化チタンは、あくまで結晶核剤なの
であって、結晶化を促進させる起爆剤として働くため、
その含有割合によって結晶化度が大きく異なるというこ
とはないのである。
【0025】表1及び表2の結果より明らかなように、
実施例に係る方法で得られた長繊維は、比較例に係る方
法で得られた長繊維に比べて、十分な捲縮を有するもの
であった。また、得られた長繊維不織布は、比較例に係
る方法で得られた長繊維不織布に比べて、嵩高性に富み
且つ柔軟性に富むものであった。ただ、実施例3に係る
方法で得られる長繊維の捲縮は激しく、そのために良好
に開繊することが困難で、得られる長繊維不織布に厚み
差が生じて、厚みの厚い部分の風合が悪く、全体として
の風合は劣るものであった。
【0026】
【作用】本発明に係る長繊維不織布の製造方法におい
て、この長繊維は、第一成分となる繊維形成性熱可塑性
樹脂S1を押出機1から、そして第二成分となる繊維形
成性熱可塑性樹脂S1と無機化合物粉末S3との混合物S
2を押出機2から、サイドバイサイド型複合紡糸孔5を
備えた紡糸口金3に供給し、複合紡糸して製造されるも
のである。従って、結晶核剤として機能する無機化合物
粉末S3を含有した第二成分S2の方が、結晶核剤として
機能する無機化合物粉末を含有していない第一成分S1
よりも、延伸固化時における結晶化度が大きくなる。結
晶化度が大きいと、各成分の溶融状態から固体状態に至
る過程で、体積収縮率が大きくなる。従って、体積収縮
率は、第一成分S1が小さく、第二成分S2が大きくな
る。このように、体積収縮率の異なる成分S1及びS2
貼り合わされてなるサイドバイサイド型複合繊維は、体
積収縮率の大きい第二成分S2成分の位置する箇所を内
側にして、捲縮が生じ、捲縮を有する長繊維が得られる
のである。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る製造
方法で得られた長繊維不織布は、その構成繊維として捲
縮を有する長繊維を使用したものであり、嵩高性に富み
且つ柔軟性に富むというものである。そして、この捲縮
を有する長繊維は、従来の如く二種成分より成るサイド
バイサイド型複合長繊維ではなく、単一成分で形成され
て成るものであり、ただ一方の成分に無機化合物粉末が
含有されているだけである。従って、従来廃棄されてい
た、不織布の製造過程で生じる耳は、単一成分の繊維形
成性熱可塑性樹脂と無機化合物粉末の混合物から成って
いる。依って、この耳を回収して、更に無機化合物粉末
を所望量追加して添加することにより、本発明に係る製
造方法における混合物(第二成分)として再利用するこ
とができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、捲縮を有する長繊維を製造す
るための装置の一例を模式的に示した図である。
【図2】サイドバイサイド型複合紡糸孔の平面図を模式
的に示した図である。
【符号の説明】
1 押出機 2 押出機 3 紡糸口金 4 エアーサッカー 5 サイドバイサイド型複合紡糸孔 6 サイドバイサイド型複合紡糸孔の一つの孔 6′サイドバイサイド型複合紡糸孔の他の一つの孔

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 捲縮を有するサイドバイサイド型複合長
    繊維で構成された長繊維不織布において、該サイドバイ
    サイド型複合長繊維の第一成分は、繊維形成性熱可塑性
    樹脂で形成され、第二成分は、第一成分と同一の繊維形
    成性熱可塑性樹脂及び無機化合物粉末の混合物で形成さ
    れていることを特徴とする長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 繊維形成性熱可塑性樹脂として、オレフ
    ィン系熱可塑性樹脂を用いる請求項1記載の長繊維不織
    布。
  3. 【請求項3】 無機化合物粉末が、最大粒径0.4μm以
    下の二酸化チタンである請求項1記載の長繊維不織布。
  4. 【請求項4】 第一成分となる繊維形成性熱可塑性樹脂
    を紡糸口金3に供給し、一方、第二成分となる、第一成
    分と同一の繊維形成性熱可塑性樹脂及び無機化合物粉末
    の混合物を該紡糸口金3に供給し、該紡糸口金に設けら
    れたサイドバイサイド型複合紡糸孔5の一対の孔6,
    6′より、第一成分と第二成分とを別個に吐出した後、
    直ちに該第一成分と該第二成分とを貼り合わせ、その後
    延伸固化して捲縮を有するサイドバイサイド型複合長繊
    維を形成した後、該長繊維を集積させることを特徴とす
    る長繊維不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維形成性熱可塑性樹脂として、オレフ
    ィン系熱可塑性樹脂を用いる請求項4記載の長繊維不織
    布の製造方法。
  6. 【請求項6】 無機化合物粉末が、最大粒径0.4μm以
    下の二酸化チタンである請求項4記載の長繊維不織布の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の長繊維不織布の製造方法
    において、長繊維を集積させて不織ウェブを形成した
    後、該不織ウェブに部分的に熱圧着を施して、圧着区域
    において長繊維相互間を自己融着させる長繊維不織布の
    製造方法。
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