JPH0512539Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車の給油パイプを通してタンク
に送られるガソリンの逆流を防止するような場合
において利用される逆流防止弁に関する。

［従来の技術］ 従来から逆流防止弁については各種の提案があ
り、多くの実用例が知られるが、本考案は自動車
のガソリンタンクに給油する給油パイプの様に比
較的小径なパイプ内部に装備して送液中、即ち給
油中にはその妨げとならず、逆流を生じたときに
は直ちに閉塞作用するようにした逆流防止弁に関
する。

従来、この様な送液パイプ類に組込まれる逆流
防止弁として例えば実公昭54−36334号、同56−
5638号、同56−49015号公報等に記載されるもの
が知られる。

これら従来例の中にあつて実公昭56−5638号公
報の考案を除く２つの考案はいずれもパイプの途
中に組込まれるもので、その各々は一方からの流
れに対しては液体圧によつて弁板を開き、逆方向
からの流れに対しては閉弁する構造となつてい
る。そして、これらは具体的には上下に２枚の弁
板を有し、一つの弁板は弁本体内壁部に設ける枢
着部に、他の一つの弁板は弁本体の中央を直径方
向に渡る枢着部に各枢着してそれぞれこれらの枢
着部を支点にして開閉動するように設けられるも
のとなつている。

これらの逆流防止弁はその公報にも記載される
ように大口径に適した逆止弁であり、従つて上記
中央部の直径方向に渡る枢着部を備えても液体の
流れに大きな障害とならないが、前述した様に自
動車の給油パイプの様に小径なパイプの場合には
流れの大きな障害となる。

この場合流れの障害は上記中央部の枢着部のみ
ならず、弁本体の内壁から突出する他の枢着部も
同様にパイプの実質口径を挟めるものとなり、流
れの障害を作り送液の妨げとなる。

また、従来の逆止弁は常時は弁板の自重によつ
て閉弁するようになつており、これがため枢着部
が常に弁板の上方に位置する必要があり、この位
置が狂つた場合機能しなくなつたり、困難になる
問題があつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上述した従来の逆流防止弁における欠
点、ことに小径な送液パイプ内部に組込み使用す
る場合の問題点、並びに取付位置、姿勢の変更に
伴う不作動乃至作動不良等の問題に鑑み、これを
解決すべく考案されたものである。

また、本考案は取付けるべく用意された筒状部
分に対し、単に圧入するだけで簡単に装着できる
装着作業性に優れた逆流防止弁を提供すべく考案
されたものである。

［問題点を解決するための手段］ 即ち、本考案は上述の目的に基づき研究開発さ
れたもので、その特徴とするところは筒形をなす
弁本体と一対の弁板からなり、弁本体は一端開口
部に中心線を挟んで相対向する一対の軸受部を備
え、他方対をなす弁板は共に略半円形状の板にし
てその直線縁の一端に枢着軸を突設し、他端には
軸受環を備えて両者対称形に形成せしめ、一方の
弁板の上記枢着軸を他方の上記軸受環にそれぞれ
貫通状に挿通して連結組合せると共に、上記それ
ぞれの枢着軸を前記弁本体の軸受部に嵌合せしめ
開閉自由に軸着してなることを特徴とした逆流防
止弁にある。

［作用］ 上述構成に係る本考案逆流防止弁はガソリンタ
ンクのパイプ接続部として設けられる筒状部分、
或は給油パイプ等のパイプ本体に対し筒形をなす
弁本体を挿入することで組込みを完了することが
でき、通常は送られる液体によつて２つの弁板が
それぞれ自からの枢着軸と軸受環を支点として開
放し、液体が逆流したときにはこの液圧を受けて
弁板を閉塞方向に付勢させ、各弁板の一面を弁本
体の開口部縁に当接させてこの逆流を防止するこ
とができるものとなつている。

以下、この考案を図示する実施例を基にしてそ
の特徴とするところを明らかにする。

［実施例］ 図面第１図は本考案に係る逆流防止弁の斜視図
で、第２図は拡大分解斜視図、第３図は弁板を閉
じた状態における平面図、第４図は同じく正面図
であり、第５図は側面図である。

図面において１は筒形に形成した弁本体で、２
はこの弁本体の一方の開口部に組込まれる弁板で
ある。

弁本体１はここでは断面真円形をなす円筒体に
形成してあり、一方の開口部１ａの外周面には挿
入深さを規制する鍔３を設け、この鍔に並行する
ように開口部に近い外周面には断面山形をなす係
合突条４を円周方向に沿つて突設してある。そし
て、開口部縁から長さ方向に鍔３、係合突条４を
切断するように切割り５を複数個設け、この係合
突条４を設けた開口部が縮径可能となるようにし
てある。

一方、弁本体１の他方の開口部１ｂには弁本体
の中心部を挟んで相対向する位置に耳片状の軸受
部６，６を設け、これに軸受孔７を穿つてある。
尚、この軸受部を設ける開口部１ｂの縁８は弁本
体の中心線に直交する面に揃えた平滑な断面とし
てあり、後述する弁板２の座を形成するようにし
てある。

他方、弁板２はここで全く対称形をなす２個が
用意され、この２つの弁板の組合せによつて前記
弁本体の開口部１ｂを閉塞するものとしてある。

弁板２は共に半円形状に形成してその直線縁２
ａの片半部に枢着軸９を一体に設け、その一端部
を外方に突出させ、また他半部の端部には環状の
軸受環１０を一体に備えるようにしてある。枢着
軸９は直線縁２ａに並行させ、他半の軸受環１０
はこの枢着軸の軸心の延長線上に位置させてあ
り、且つその孔部を枢着軸９を挿通できる口径に
してある。

この対称形をなす２つの弁板は向きを変えたと
き同一形をなすもので、ここでは第２図に示した
如く直線縁２ａを衝き合せる如く揃えて枢着軸９
を互い違いにし、一方枢着軸９の外方に突き出す
軸端を他方の弁板軸受環１０の孔部を突き通すよ
うにして両弁板を一つに組合せる。

この枢着軸９の軸端を他方の軸受環１０に貫き
通して組合つた２つの弁体は一つの円板形とな
り、且つ一直線に揃つた枢着軸９を支点にして蝶
着結合されることになる。

この様にして組合つた弁板は次に蝶着部の両端
から突出する枢着軸９の各軸端を前記弁本体１の
軸受部６，６に臨ませ、この両軸受部６，６を押
開きながら軸受孔７に嵌め入れることによつて、
弁本体との結合を果し本考案の逆流防止弁の組立
を完了する。

本考案逆流防止弁は上述の如く構成されるもの
で、次にこの防止弁の使用の実際を第６，７図に
従つて説明する。

図面に示す例はガソリンタンク１１の接続筒部
１２に装着し、給油パイプ１３を通して送られた
ガソリンの逆流を防止する場合につき示したもの
で、本考案逆流防止弁は上記接続筒部１２に対し
弁本体１の一方の開口部１ｂ側から押込むことに
よつて装着される。

弁本体１及び弁板２は合成樹脂を材料に成形
し、弁本体１の上記装着に当つてはこの素材の弾
性を利用して嵌め付けることになる。そして、こ
こでは接続筒部１２にバルジ加工により膨径部１
４を設け、この膨径部に弁本体１に設ける係合突
条４を係合させて嵌め付けたのち容易に脱出する
ことのないようにしている。尚、この嵌付けに当
り切割り５が弁本体の縮径を助けて係合突条４の
侵入を補助している。

この様にして装着したのち、上記接続筒部１２
に給油パイプ１３を嵌め付け、防止弁の装着とパ
イプの接続を完了する。

かくして、装着された逆流防止弁は給油パイプ
側からガソリンが送られるとき、その圧力によつ
て枢着軸９を支点にして第６図に示したように開
弁し、タンク１１への給油を可能にする。そし
て、このとき開弁した２つの弁板２は一方の軸受
部６に突設するストツパー１５に当接して背中合
せに接面し、重り合つて閉弁時に一方の弁板だけ
が閉弁して他方の弁板が開放したまゝになるのを
防止し、またストツパー１５によつて両弁板間に
間隙１６を形成し、ガソリンの逆流時、この逆流
圧を両弁板の背面に直接受けられるようにして迅
速な閉弁作用が得られるようにしてある。

このガソリンの給油によつて開放される弁板２
は常態にあるとき特定の姿勢をとらず、あるが
まゝの状態おかれるもので、前述給油時には枢着
軸９を支点にして開放する。

そして、過剰な給油や、衝撃を受けてタンク内
のガソリンが逆流することがあつたとき、この逆
流するガソリンをＶ字形に間隙１６をおいて開く
弁板２の背面に受けることで開放した弁板は枢着
軸９を支点に第７図に示した如く閉塞することに
なる。

［考案の効果］ 以上本考案を実施例につき詳述したが、上述の
構成から本考案逆流防止弁は一方からの流れに対
しては枢着軸を支点に弁板を開放し、逆方向から
の流れに対しては弁板の周縁を弁本体の開口部に
当接させて閉塞し、その流れを阻止することにな
り逆流防止の効果を奏することになる。

そして、本考案の逆流防止弁は略半円形状をな
す２つの弁板を組合せ、実質的に一直線に揃う枢
着軸を支点にこの２つの弁板を開閉する構造とし
たことから開放時の開口面積を最も大きく設定す
ることができ、従つて小径なパイプについても流
体の流れを阻止することなくことなく有効に使用
できる利点がある。

しかも、本考案における弁板を支える枢着軸は
弁板自体に一体に設けられ、実質的には弁板の板
厚に近似させられるものであるため、特別に弁本
体の開口部に枢着用の棧を渡す従来例に比較して
大きな開口面積を確保できる利点がある。

また一方、本考案防止弁は閉塞時弁板自重で閉
塞するのでなく、逆流圧を弁板に受けて閉塞する
構造としたことから取付ける向きによつて機能し
なくなるようなことがなく信頼性の高い防止弁を
提供することができる。

また、本考案逆流防止弁は蝶形に組合う２つの
弁板が同一形状をなすものであり、且つこの弁板
と円筒状をなす弁本体との組合せからなる極めて
単純な構造に係るものであるため製造性に優れる
と共に、この防止弁は実施例において説明した様
に接続筒部の如くパイプ状部分に対して単に押込
み嵌め付けるだけで装着が出来るため作業性にも
優れた効果を挙げられるものとなつている。

尚、実施例においては組合う弁板２の枢着軸
９，９の向い合つた端部間に空隙１７ができるよ
うにしてあるが、これは両弁板の枢着軸９と軸受
環１０の嵌め合せ時の逃げ代である。勿論、この
逃げ代は例えば枢着軸を細くして撓み性を付与す
ることで省略することができることは言うまでも
ない。

また、実施例ではガソリンタンクの逆流防止の
ため使用する場合につき説明したが、液体を始め
とする流体の流れるパイプ類の全てにつき使用で
きるものでありその範囲は一つに限定されるもの
ではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したもので、第１
図は斜視図、第２図は拡大分解斜視図、第３図は
閉塞状態の平面図、第４図は同じく正面図、第５
図は同じく側面図、第６図は開放時を示す使用状
態の中央横断平面図、第７図は同上の閉塞時の中
央横断平面図である。 １……弁板体、１ａ，１ｂ……開口部、２……
弁板、６……軸受部、９……枢着軸、１０……軸
受環。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒形をなす弁本体１と一対の弁板２，２からな
   り、弁本体１は一端開口部１ｂの中心線を挟んで
   相対向する一対の軸受部６，６を備え、他方対を
   なす弁板２，２は共に略半円形状の板にしてその
   直線縁２ａの一端に枢着軸９，９を突設し、他端
   に軸受環１０，１０を備えて両者を対称形に形成
   し、一方の弁板２の上記枢着軸９を他方の弁板２
   の上記軸受環１０の孔部に貫通状に挿通させ双方
   の弁板を連結組合せる一方、上記軸受環に貫通さ
   せた枢着軸９，９の軸端を前記弁本体１の相対向
   する軸受部６，６に各臨ませ且つ該両軸受部を外
   方に押開いて各形成する軸受孔７，７に嵌合せし
   め開閉自由に軸着させてなることを特徴とした逆
   流防止弁。