JPH0512366U - 車両のペダルブラケツト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステアリングポストの安定した支持と、大荷
重印加時の速やかな変形による安全の確保を実現する。 【構成】 車室前部より後方へ延びて、車両後方へ傾斜
立設したステアリングポストの中間位置を支持するペダ
ルブラケット１であり、ステアリングポストが変位した
時の曲げ応力が最も集中する部位Ａを避けた位置に、切
欠き１４，１５および抜き穴１７を形成して座屈変形開
始部位としてある。通常使用時で印加荷重が小さい場合
には応力集中部位Ａの剛性が相対的に大きいからペダル
ブラケットの変形は小さくステアリングポストを安定に
支持する。過大な荷重が入力した場合には、相対的に剛
性の小さい座屈変形開始部位が速やかに変形して安全性
を確保する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両のペダルブラケットに関し、通常使用時には高い剛性を維持して ハンドルの振れを抑え、大荷重が印加された時には速やかに変形して安全を確保 できるペダルブラケットの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ペダルブラケットの一例を図５に示し、該ブラケット１はパネルを成形して閉 断面をなす腕木状に成形され、基部フランジ１１と上側面に突出成形した取付座 １２により車室フロントパネルに固定される（図６）。上記ペダルブラケット１ の中間部側面にはブレーキペダル等のペダル類が取り付けられる。

【０００３】 ペダルブラケット１の先端１３は平板状に成形され、車室内後方へ延びて、斜 め後方へ立設されたステアリングポストＳの中間位置を支持している。

【０００４】 ところで、ペダルブラケット１は、ステアリングポストＳの特に前方への荷重 （図６の矢印）を支持してハンドル振れを抑えるために通常使用時には充分な剛 性を有する必要がある。しかしながら一方、ステアリングポストＳから過大な荷 重が印加した場合には速やかに座屈変形することが安全上好ましい。

【０００５】 そこで従来は、ステアリングポストＳからの荷重による曲げ応力が最も集中す る部位（図５、図６のＡ部）でパネルを切り欠いて（図７の１４，１５）、過大 な荷重に対して速やかに座屈変形を生じるようにしている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の構造では、過大な荷重に対して比較的早く座屈が生 じるものの、通常使用時の剛性も低下してハンドルの安定性が損なわれる問題が あった。

【０００７】 本考案はかかる課題を解決するもので、通常使用時のハンドルの安定性を良好 に保つとともに、過大な荷重印加に対しては速やかに座屈変形して安全を確保で きる車両のペダルブラケットを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案の構成を説明すると、車室前部より後方へ延びて、車両後方へ傾斜立設 したステアリングポストの中間位置を支持するペダルブラケット１において、ス テアリングポスト変位時の曲げ応力が最も集中する部位Ａを避けた位置に、座屈 変形開始部位１４，１５，１７を設定したものである。

【０００９】

【作用】

上記構成のペダルブラケット１において、座屈変形開始部位１４，１５，１７ を、曲げ応力が最も集中する部位Ａを避けた位置に設定してあるから、座屈変形 開始部位１４、１５、１７の剛性を相対的に小さく、応力集中部位Ａの剛性を相 対的に大きくすることができる。これにより、印加負荷が小さい通常使用時には ペダルブラケット１は充分な剛性を保ってハンドルの安定性を維持し、過大な負 荷が印加した場合には座屈変形開始部位１４、１５、１７が速やかに変形を開始 して安全性を保つ。

【００１０】

【実施例】

図１において、ペダルブラケット１の基本構造は既述の従来構造と同一であり 、基部フランジ１１と取付座１２により車室フロントパネルに固定されるととも に、その先端部１３でステアリングポストを支持する。

【００１１】 ペダルブラケット１の主パネル１ａには、応力集中部位Ａを外れた先端寄りの 左右両側に内方へ向けて切欠き１４，１５が形成してあり、また、主パネル１ａ の先端部１３下面に接合されるアンダパネル１ｂには上記切欠き１４，１５等に 対応する位置に抜き穴１７が形成してある。しかして、かかる切欠き１４，１５ 等を形成したことによりこの部位での剛性は相対的に低下し、曲げ荷重による座 屈変形開始部位となる。

【００１２】 かかる構造のペダルブラケットにおいて、ステアリングポストより過大な荷重 が印加されると座屈変形開始部位１４、１５、１７で変形が開始される。この部 分での剛性は相対的に小さいから、図２の線ｘで示す如く比較的小さい荷重（図 ４の（３））で座屈変形を開始する。

【００１３】 これに対して、座屈変形開始部位１４、１５、１７を応力集中部位Ａに一致せ しめた従来例では、通常使用時のハンドル安定性を確保するために、この部位で の剛性をそれ程小さくすることはできず、この結果、線ｙで示す如く変形開始荷 重は大きくなる（図４の（２））。なお、図中線ｚは切欠き等を設けない場合を 示す（図４の（１））。

【００１４】 通常使用時の印加荷重が小さい状態（図３のＮ領域）で、本考案の構造では応 力集中部位Ａでの剛性が相対的に大きいから、図の線ｘで示すように、従来例（ 図の線ｙ）に比してペダルブラケット１の変形量は小さく、ハンドルの振れを生 じない安定した支持が可能である。

【００１５】

【考案の効果】

以上の如く、本考案のペダルブラケットによれば、通常使用時の安定したハン ドル支持と、大荷重印加時の速やかな屈曲変形を併せて実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すペダルブラケットの分
解斜視図である。

【図２】本考案の一実施例におけるペダルブラケットの
変位−荷重曲線である。

【図３】図２のＢ部拡大図である。

【図４】座屈変形開始荷重を示すグラフである。

【図５】従来例を示すペダルブラケットの分解斜視図で
ある。

【図６】従来例を示すペダルブラケットの概略側面図で
ある。

【図７】従来例を示すペダルブラケットの分解斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ ペダルブラケット １４，１５ 切欠き（座屈変形開始部位） １７ 抜き穴（座屈変形開始部位） Ａ 応力集中部位

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室前部より後方へ延びて、車両後方へ
   傾斜立設したステアリングポストの中間位置を支持する
   ペダルブラケットにおいて、ステアリングポスト変位時
   の曲げ応力が最も集中する部位を避けた位置に、座屈変
   形開始部位を設定したことを特徴とする車両のペダルブ
   ラケット。