JP3841125B2 - 自動車の運転室構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
自動車を運転するためのブレーキペダル、クラッチペダルはダッシュパネルに取り付けられているが、このため、ダッシュパネルは踏み力に影響されるので、周辺を大型にして踏み力と均衡させている。本発明は、ダッシュパネル周辺を強化してブレーキペダル、クラッチペダルを支持するようにした自動車の運転室構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワンボックスカーあるいはフロント部の短いトラックタイプの車両では、図12に示すように、車両前端aと運転席1との間を広くして運転席1の下方に前輪が位置しストラットタワー2がその近傍のフロア3に設置されている。また、ダッシュパネル4には大型のステアリングサポートブラケット5およびペダルブラケット6が取り付けられ、ペダルブラケット6にはステアリングコラム7の支持機能を持たせている。これにより前突時のペダルブラケット6の後退に伴うステアリングコラム7の後退スペースを確保している。なお、スリーボックスカー等の車両では、車体幅方向の断面が枠状に形成された(閉断面)カウルトップにダッシュパネルの上部が堅固に固着され、ダッシュパネルの剛性を高めている。
【0003】
また、フロントパネル外板とダッシュパネルを兼ねているパネル面に、ペダルブラケットを取り付ける場合、車体構造上、閉断面のカウルトップに類する部品が形成できないため、ペダルブラケット自体で剛性を確保する必要がある。そのため、ペダルブラケットを大型化することで剛性を保つようにしている(特開平4−293660号公報参照)。例えば、図13に示すように、ダッシュパネル4に大型のペダルブラケット6を固着し、ブレーキペダル8、クラッチペダル9を軸支する。また、ブレーキブースタ10をペダルブラケット6に固定し、ブレーキペダル8と連結させている。これにより、踏み力に対して強固になり、ブレーキブースタ10の応答性も確保するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の軽量化を促進するために、ペダルブラケット6を小型にすることが提案されているが、単純にペダルブラケット6を小型化しても、ペダルブラケット6の取付ピッチが小さくなるため、ペダル操作時にダッシュパネル4に踏み力が集中し、ダッシュパネル4の変形量が大きくなるだけで、ペダル剛性が確保できないという問題があった。
特に操作力の大きいブレーキペダル8ではダッシュパネル4変形量が増し、操作力(踏み力)に対してブレーキブースタ10内の液圧がリニアに上昇せず、本来のブレーキ性能を十分発揮できなくなる可能性があリ、前述したように、大型のペダルブラケット6を使用せざるをえないことが現実である。
一方、車両の種類によって、運転席1前方に前輪が位置するものでは前記の車両よりハンドル操作のタイミングが異なるため、運転感覚を切り換える必要がある。そこで、ホイールベースを長くし、前輪の位置を前方にずらし利用者の感覚に負担をかけずに操安性を良くしようとすることが提案されている。
【0005】
本発明は、閉断面カウルトップを持たない車両において、ペダルブラケットを軽量小型化し、かつ、周辺を堅固に構成し、ペダル操作の容易性、踏み力の応答性を維持させた自動車の運転室構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、運転席の下方に前輪を配置し、この運転席と車両前端との間にストラットタワーを配置すると共にこのストラットタワーと車両前端との間にダッシュパネルを配置し、このダッシュパネルに設けたペダルブラケットと前記ストラットタワーとをステーにより連結した自動車の運転席構造において、前記ステーを略L字状に形成し、前記ステーのペダルブラケット側端部にブレーキブースタに合わせた円弧状切欠部を形成すると共に前記ブレーキブースタを前記ペダルブラケットと共締めとする一方、車両前方側に向かって斜上方向に延びる前記ストラットタワーのステー取付座面に前記ステーのストラットタワー側取付面を沿わせて結合させたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ステーに略L字状に沿うリブを形成したことを特徴とする。
【0008】
通常、フロントサスペンションを構成するストラットの車体側取り付け部品であるストラットタワーは、運転席からフロントフェンダの間に位置されているが、本発明では、ダッシュパネル近傍の車体内側のフロアにストラットタワーを設け、閉断面カウルトップを持たない車両において支持されるダッシュパネルに小型化したペダルブラケットを装着すると共に、ペダルブラケットをステーにより高強度のストラットタワーに連結するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図2に示すように、運転席1の前方でダッシュパネル4の近傍のフロア3にストラットタワー2が配置され、小型のペダルブラケット11はダッシュパネル4に設けられている。ストラットタワー2は通常剛性が高く作られており、略L字状のステー12によりペダルブラケット11と連結されている(図1参照)。
【0010】
また、図3に示すように、ブレーキブースタ10はペダルブラケット11の前面に取り付けられブレーキペダル8と連結されている。
【0011】
ペダルブラケット11は図4ないし図7に示すように、前板13と副板14とがコ字状側板15とL字状側板16により縦割に仕切れて背板17に固着され、背板17によってダッシュパネル4に取り付けられるようになっている。ブレーキペダル8、クラッチペダル9は図1に示すように、各仕切り内に配置され回動自在に設けられる。また、前板13にはブレーキブースタ10用の孔18および取付用の孔19、長孔20が開けられている。
【0012】
ステー12は図8、図9に示すように、一方の端部が他方の端部より幅広に形成された略L字状の板で製作され、他方の端部はストラットタワー2の取付座面b(図1参照)に取り付けるため、曲げられている。
また、一方の端部には両側に孔21および長孔22が設けられ、中央部が円弧状に切り欠かれており(円弧部23)、リブ24が形成されている。他方の端部は中央部に幅広にリブ25が形成され、リブ25の平面にストラットタワー2に取り付ける孔26が開けられている。
ステー12の一方の端部は円弧部23により、ペダルブラケット11に載置したブレーキブースタ10に干渉されず、C−C線までペダルブラケット11に接触させ、孔21および長孔22により、ブレーキブースタ10をペダルブラケット11と共に共締めするようになっている。
【0013】
また、図10に示すように、ペダルブラケット11の前面に取り付けたステー12はストラットタワー2に向け延長され、ストラットタワー2の上面に形成された取付座面bと結合される。このため、ステー12の下端部は最小限に折り曲げている。また、取付座面bはストラットタワー2の上部をステー12の端部に沿う形状に成形しても良いが、ストラットタワー2の上部に三角ブラケット27(図11参照)を設け、取付座面bを形成させている。
なお、図1に示す符号28はアクセルペダルである。
【0014】
このように、従来の閉断面カウルトップを持たない車両の特徴ともいえる大型ペダルブラケット6を小型化し、枠状のペダルブラケット11をダッシュパネル4に取り付け、ステー12によってストラットタワー2に強固に固定することができるので、ダッシュパネル4の重量、強度を大きくせずに、ペダル類の支持機能、操作性を向上させ、踏み力によるペダルブラケット11の変位も防止することができる。
また、ステー12は、取付端部にリブ24,25を設け、ステー12の曲げ加工を最小限にし、ペダルブラケット11側端部を幅広にして円弧状切欠部23を設け、さらに、ブレーキブースタ10の位置に侵入してステー12とペダルブラケット11との接合面積を大きくして剛性を維持している。
このほか、運転席と前輪との位置関係が変わり、ホイールベースが長くなることにより操安性を向上することになる。また、前突時の衝撃力はペダルブラケット11やストラットタワー2の箇所により吸収することになる。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したものであり、従来の閉断面カウルトップを持たない車両のペダルブラケットに比べ、ペダルブラケットの小型化が可能であり、その際、運転席と車両前端との間にストラットタワーを配置すると共に、このストラットタワーと車両前端との間にダッシュパネルを配置することにより、ストラットタワーがダッシュパネルの近傍に位置しているため、ステーによりペダルブラケットとストラットタワーとを連結し取付強度を維持することができる。また、ステーを略L字状に形成し、このステーのペダルブラケット側端部にブレーキブースタに合わせた円弧状切欠部を形成すると共にブレーキブースタをペダルブラケットに共締めするため、ステーのペダルブラケット側端部はペダルブラケットにブレーキブースタが装着されていても、円弧状切欠部により、接合面積を多く取れるので取付強度を向上させることができる。また、トラットタワーの取付座面がステーの曲げ形状に沿うので、ステーの剛性が維持され、取付強度も向上させることができる。
このように、ペダルブラケットが小型化されても取付強度が維持されるので操安性も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による自動車の運転室内のペダル類装着構造の斜視図である。
【図2】 図1に示す自動車の運転室構造の側面図である。
【図3】 図1に示すペダル類装着構造の側面図である。
【図4】 図1に示すペダルブラケットの正面図である。
【図5】 図1に示すペダルブラケットの側面図である。
【図6】 図1に示すペダルブラケットの上面図である。
【図7】 図1に示すペダルブラケットの要部下面図である。
【図8】 図1に示すステーの平面図である。
【図9】 図1に示すステーの側面図である。
【図10】 図1に示すペダル類装着構造の要部側面図である。
【図11】 図1に示すステー装着時のブラケットの斜視図である。
【図12】 従来の自動車の運転室構造の側面図である。
【図13】 図12に示すペダル類装着構造の側面図である。
【符号の説明】
2 ストラットタワー,3 床面,4 ダッシュパネル,11 ペダルブラケット,12 ステー,19、20 取付用孔,23 円弧状切欠部,24、25 リブ,b 取付座面

Claims (2)

  1. 運転席の下方に前輪を配置し、この運転席と車両前端との間にストラットタワーを配置すると共にこのストラットタワーと車両前端との間にダッシュパネルを配置し、このダッシュパネルに設けたペダルブラケットと前記ストラットタワーとをステーにより連結した自動車の運転席構造において、
    前記ステーを略L字状に形成し、前記ステーのペダルブラケット側端部にブレーキブースタに合わせた円弧状切欠部を形成すると共に前記ブレーキブースタを前記ペダルブラケットと共締めとする一方、車両前方側に向かって斜上方向に延びる前記ストラットタワーのステー取付座面に前記ステーのストラットタワー側取付面を沿わせて結合させたことを特徴とする自動車の運転室構造。
  2. 前記ステーに略L字状に沿うリブを形成したことを特徴とする請求項1記載の自動車の運転室構造。
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