JP3662770B2 - 車両用ペダル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はブレーキペダル装置などの車両用ペダル装置に関し、特に車体の前方から車体幅方向一側に片寄って負荷が入力した場合にペダルが車体幅方向内側に変位するのを抑制するようにした車両用ペダル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のブレーキペダル装置においては、図3に示すように、ブレーキペダル21を揺動可能に支持したペダルブラケット22をダッシュパネル23に固定している。また、ペダルブラケット22の後端部はダッシュパネル23より後方上部に配設されたカウルパネル24に固定されている。25はブレーキブースタ、26はブレーキペダル21の枢支軸である。
【0003】
以上の構成において、車体前方から所定以上の負荷が入力すると、ダッシュパネル23が後方に変位し、それに伴ってペダルブラケット22が後方に移動し、ブレーキペダル21が後方に移動するが、ペダルブラケット22の後端部が負荷入力時に変位し難いカウルパネル24に固定されていることによって後方移動が抑制される。
【0004】
また、特開平8−175346号公報には、ペダルブラケットをダッシュパネルに固定するともにその後端部を負荷入力時に変位しない高剛性部材から成るインパネリインフォース(ピラーツーピラー部材)に固定し、かつそのペダルブラケットの両側板に非対称に低剛性部を形成し、負荷入力時にペダルブラケットの低剛性部の変形によりペダルをステアリング中心線から遠ざかる方向を向くように構成されたものが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図3に開示された構成では、車体の前方から車体幅方向一側(運転席が右側の場合は右側)に片寄って負荷が入力した場合には、図4(a)に示す負荷入力前の状態から図4(b)に示すように、負荷が車体の一側部に集中するためにそのクラッシュ量が大きくなる。そのため、ペダルブラケット22は後方に移動しつつ車体幅方向中央側に偏向し、ブレーキペダル21が図4(b)に白抜き矢印で示すように車体幅方向中央側に大きく変位し、運転者の脚に近づくように変位するという問題がある。
【0006】
また、上記公報に開示された構成では、ペダルブラケットをインパネリインフォースまで後方に長く延出する必要があり、部品が大形化して、重量が大きく、コスト高になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、車体の前方から車体幅方向一側に片寄って負荷が入力した場合にペダルが車体幅方向内側に変位するのを抑制するようにした車両用ペダル装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用ペダル装置は、車体前方から所定以上の負荷が入力した時に車体後方に変位する第1の車体側部材に、ペダルの上部を揺動可能に支持したペダルブラケットを固定し、第1の車体側部材より後方に配設され負荷入力時に第1の車体側部材より先に変位しない第2の車体側部材に、負荷が車体幅方向一側に片寄って入力した時に車体幅方向内側に偏向しながら後方に移動してきたペダルブラケットの車体幅方向外側部が当接するように受止ブラケットを固定したものであり、負荷が車体幅方向一側に片寄って入力した時にペダルが車体幅方向内側に変位するのを確実に抑制することができ、かつ簡単で小型の受止ブラケットを設けるだけであるので、軽量にかつ低コストにて構成することができる。さらに、負荷入力前のペダルブラケットと受止ブラケットとの間の距離を、ペダルブラケットがその当初の後端位置より後方まで移動しても受止ブラケットに当接しないような十分に長い距離に設定しているので、負荷が車体幅方向正面から入力してその負荷が車体幅方向に分散され、車体幅方向一側部のクラッシュが大きくない場合などに、ペダルブラケットが受止ブラケットに当接せず、そのような場合にペダルブラケットが受止ブラケットに当接して第2の車体側部材が変形するような事態の発生を防止できる。
【0009】
また、ペダルブラケットの後端部を第1の車体側部材より後方に配設された第3の車体側部材に固定し、その固定部は所定以上の負荷入力時に離脱するように構成すると、負荷入力初期に変位しない第3の車体側部材にペダルブラケットの後端部が固定されていることにより、ペダルブラケットの後方への移動が抑制されて負荷入力が吸収されるとともに、所定以上の負荷が入力するとその固定部が離脱することによって、固定されたペダルブラケットの後端部を支点にペダルが後方上方に向けて大きく撥ね上がるように回動するのを防止できるとともにペダルブラケットがその姿勢を大きく変えることなく受止ブラケットに確実に当接して上記作用が確実に得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両用ペダル装置をブレーキペダルに適用した一実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0012】
1は車室、2はその前端部の下部前面を構成している第1の車体側部材としてのダッシュパネルであり、その下端は車室1の床面を構成するフロアパネルに連接されている。3は車体のフロントピラー間を連結する第2の車体側部材としてのピラーツーピラー部材であり、車室1の前部に配設されており、運転席部分にはステアリング装置取付部3aが形成されている。4は車室1の前端下部におけるダッシュパネル2より後方位置の上部で、かつピラーツーピラー部材3より前方に配設された第3の車体側部材としてのカウルパネルである。5はブレーキブースタで、ダッシュパネル2の車室1内側とは反対側に配設され、そのロッド5aが車室1内側に突出されている。
【0013】
6はブレーキペダルで、ペダルブラケット7にてその上端部が前後方向に揺動自在に支持され、下端部に足で操作するためのペダル6aが固着されている。ペダルブラケット7は板金製で、上面板7aと両側面板7bを有する縦断面形状略コ字状に形成されるとともに、それらの前端縁からダッシュパネル2に接する取付板7cが連設され、ダッシュパネル2にボルト(図示せず)にて締結固定されている。また、上面板7aの後端部がカウルパネル4の下面に締結固定されている。このペダルブラケット7の上面板7aの後端部には、図2に示すように、ペダルブラケット7の正常な取付状態で固定ボルト9が貫通する長穴部分8aと、その前端に連続する大径穴8bからなる瓢箪型長穴8が形成されており、ペダルブラケット7が後方に相対移動したときにその大径穴8bから固定ボルト9の頭部9aが離脱できるように構成されている。
【0014】
10はペダルブラケット7の両側面板7bを貫通させて配設された枢支軸で、ブレーキペダル6の上端部が回転自在に支持されている。また、ブレーキペダルのアームの中間部にはブレーキブースタ5のロッド5aの先端に設けた連結具11が連結されている。これにより、ペダル6aを前方に押してブレーキペダル6を揺動させると、連結具11を介してブレーキブースタ5のロッド5aを押動させるように構成されている。
【0015】
そして、ピラーツーピラー部材3には、負荷が車体幅方向一側に片寄って入力してペダルブラケット7が図2の白抜き矢印の如く車体幅方向内側に偏向しながら後方に移動してきた時に、そのペダルブラケット7の一側部が当接するように受止ブラケット12が垂設されている。受止ブラケット12は、前面の当り面12aの一側縁から後方に支持片12bを延出された断面L字状の部材にて構成され、その上端部がピラーツーピラー部材3に一体固着されている。
【0016】
以上の構成において、車体前方から所定以上の負荷が車体幅方向一側に片寄って入力すると、ダッシュパネル2が後方に大きく、かつ一側に行くほどより大きく変位し、このダッシュパネル2の後方変位によってペダルブラケット7も後方に変位し、ペダルブラケット7が図2に白抜き矢印で示す如く車体幅方向内側に偏向しながら後方に移動することになる。そして、ペダルブラケット7が所定移動量後方に移動すると、図1、図2に仮想線で示すように、ペダルブラケット7の車体幅方向外側部が受止ブラケット12に当接し、それによってペダルブラケット7が図2の仮想線位置に実線で示したように車体幅方向外側がクラッシュして変形し、車体幅方向内側に偏向した姿勢が受止ブラケット12にて強制的に外向きに矯正され、その結果ブレーキペダル6及びそのペダル6aの位置を、図2に破線で示す位置から破線矢印で示すように仮想線で示す位置に規制され、ペダルaが車体幅方向内側に変位するのを確実に抑制できる。
【0017】
また、上記のようにペダルブラケット7が後方に移動する際に、その上面板7aが後方に移動するのに伴って固定ボルト9が前方に相対移動して瓢箪型長穴8の大径穴8bからブレークアウェイするため、ペダルブラケット7は大略その姿勢を保持してダッシュパネル2の変位に伴って後方に移動し、ペダルブラケット7がその後端部を支点に回動してブレーキペダル7が後方上方に向けて大きく撥ね上がるように回動するのを防止できるとともに、ペダルブラケット7が受止ブラケット12に確実に当接し、上記作用が確実に得られる。
【0018】
さらに、受止ブラケット12を、ペダルブラケット7がその当初の後端位置より後方まで移動しても受止ブラケット12に当接しないような十分に長い距離を離してピラーツーピラー部材3に設けているので、車体前方からの負荷が車体幅方向ほぼ全面から入力した場合のようにクラッシュ量が大きくない場合に、受止ブラケット12にペダルブラケット7が当接しないか、当接しても受止ブラケット12への入力が小さいために、ピラーツーピラー部材3の後方への変形を防止することができ、例えばこのピラーツーピラー部材3に固定されているステアリング装置の突き上げなどを防止できる。
【0019】
上記実施形態では、ペダルブラケット7の後端部のカウルパネル4に対する固定部として、ペダルブラケット7の上面板7aに形成した瓢箪型長穴8の前方の大径穴8bをボルト9の頭部9aがブレークアウェイするように構成した例を示したが、ペダルブラケット7の上面板7aの後端部に脆弱部を介してカウルパネル3に対して締結固定する固定部を形成しても良い。
【0020】
【発明の効果】
本発明の車両用ペダル装置によれば、以上のように負荷が車体幅方向一側に片寄って入力した時、ペダルブラケットが車体幅方向内側に偏向しながら後方に移動するが、そのペダルブラケットの車体幅方向外側部が受止ブラケットに当接してペダルブラケットが変形することによって、ペダルが車体幅方向内側に変位するのを抑制することができ、かつ移動してきたペダルブラケットの外側部が当接する簡単で小型の受止ブラケットを設けるだけであるので、軽量にかつ低コストにて構成することができ、さらに負荷入力前のペダルブラケットと受止ブラケットとの間の距離を、ペダルブラケットがその当初の後端位置より後方まで移動しても受止ブラケットに当接しないような十分に長い距離に設定したので、負荷が車体幅方向正面から入力して車体幅方向一側部のクラッシュが大きくない場合などに、ペダルブラケットが受止ブラケットに当接することはなく、そのような場合にペダルブラケットが受止ブラケットに当接してそれを固定した車体側部材が変形するような事態の発生を防止できる。
【0021】
また、ペダルブラケットの後端部を第1の車体側部材より後方に配設された第3の車体側部材に固定し、その固定部は所定以上の負荷入力時に離脱するように構成すると、ペダルブラケットの後方への移動が抑制されて負荷入力が吸収されるとともに、所定以上の負荷が入力するとその固定部が離脱することによって、固定されたペダルブラケットの後端部を支点にペダルが後方上方に向けて大きく撥ね上がるように回動するのを防止できるとともにペダルブラケットがその姿勢を大きく変えることなく受止ブラケットに当接して上記効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用ペダル装置の一実施形態のブレーキペダル装置の縦断側面図である。
【図2】図1の概略平面図である。
【図3】従来例のブレーキペダル取付構造の側面図である。
【図4】同従来例において、車体幅方向一側に片寄って負荷が入力したときの動作状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
2 ダッシュパネル(第1の車体側部材)
3 ピラーツーピラー部材(第2の車体側部材)
4 カウルパネル(第3の車体側部材)
6 ブレーキペダル
7 ペダルブラケット
8 瓢箪型長穴
9 固定ボルト
12 受止ブラケット
Claims (2)
- 車体前方から所定以上の負荷が入力した時に車体後方に変位する第1の車体側部材に、ペダルの上部を揺動可能に支持したペダルブラケットを固定し、第1の車体側部材より後方に配設され負荷入力時に第1の車体側部材より先に変位しない第2の車体側部材に、負荷が車体幅方向一側に片寄って入力した時に車体幅方向内側に偏向しながら後方に移動してきたペダルブラケットの車体幅方向外側部が当接するように受止ブラケットを固定し、かつ負荷入力前のペダルブラケットと受止ブラケットとの間の距離を、ペダルブラケットがその当初の後端位置より後方まで移動しても受止ブラケットに当接しないような十分に長い距離に設定したことを特徴とする車両用ペダル装置。
- ペダルブラケットの後端部を第1の車体側部材より後方に配設された第3の車体側部材に固定し、その固定部は所定以上の負荷入力時に離脱するように構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ペダル装置。
Priority Applications (1)
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- 1999-05-18 JP JP13727499A patent/JP3662770B2/ja not_active Expired - Fee Related
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