JPH05117200A - 芳香族カルボン酸またはその誘導体にカルボキシル基 を導入する方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸またはその誘導体にカルボキシル基 を導入する方法

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JPH05117200A
JPH05117200A JP3305575A JP30557591A JPH05117200A JP H05117200 A JPH05117200 A JP H05117200A JP 3305575 A JP3305575 A JP 3305575A JP 30557591 A JP30557591 A JP 30557591A JP H05117200 A JPH05117200 A JP H05117200A
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Hidefumi Hirai
英史 平井
Rikinori Terakado
力範 寺門
Hisashi Mitsubori
寿 三堀
Tsutomu Nakamura
中村  勉
Kazuhiro Saito
和弘 斎藤
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】芳香族カルボン酸にカルボキシル基を直接導入
することを目的とする。 【構成】ベンゼンカルボン酸、ビフェニルカルボン酸、
ナフタレンカルボン酸またはジフェニルカルボン酸、ま
たはそれらの誘導体を、シクロデキストリンおよびアル
カリ金属水酸化物の存在下で四ハロゲン化炭素と反応さ
せ、それにより該芳香族カルボン酸または誘導体の芳香
環に結合する水素と置換してカルボキシル基を該芳香環
に選択的に導入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族カルボン酸また
はその誘導体にカルボキシル基を導入する方法に関す
る。更に詳しくは、芳香族カルボン酸またはその誘導体
をシクロデキストリンおよびアルカリ金属水酸化物の存
在下で四ハロゲン化炭素と反応させて、該芳香族カルボ
ン酸またはその誘導体にカルボキシル基を導入する方法
に関する。
【0002】芳香族ポリカルボン酸類およびその誘導体
は、アラミド系樹脂およびその繊維ならびにポリアリレ
ート系樹脂およびその繊維を構成する高分子化合物の原
料、また各種の液晶を構成する高分子化合物および低分
子化合物の原料、また農薬、医薬、染料などの原料とし
て工業的に重要なものである。
【0003】
【従来の技術】従来の芳香族ポリカルボン酸の製造方法
としては、アルキル基置換芳香族炭化水素を酸化する方
法が用いられている。しかし、この方法においては、反
応温度160℃以上および反応系内の圧力10atm以
上の厳しい条件と、コバルトおよびマンガン触媒の多量
の使用が必要であり、またこの酸化反応には20時間以
上という長い滞留時間を必要とする。さらにこの従来法
の問題はその原料が制約されることにある。たとえば、
テレフタル酸を製造するにはパラキシレンを原料として
使用することが必要であり、イソフタル酸を製造するに
はメタキシレンを原料として使用することが必要であ
る。また、4,4'−ビフェニルジカルボン酸を製造する
には、4,4'−ジメチルビフェニルを原料として使用す
ることが必要であり、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸を製造するには、2,6−ジメチルナフタレンを原料
として使用することが必要である。
【0004】また、安息香酸から安息香酸カリウムを製
造し、安息香酸カリウムを不均化反応によりテレフタル
酸二カリウムとベンゼンにする方法が知られている。し
かし、反応温度430〜440℃、二酸化炭素圧5〜2
0atm、触媒として安息香酸カドミウムおよび安息香
酸亜鉛を必要とし、厳しい反応条件の制御とカリウム塩
の取扱いが難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した芳香族ポリカ
ルボン酸製造のための従来技術に伴う諸問題を解決する
ための手法として、原料として芳香族カルボン酸又はそ
の誘導体に直接カルボキシル基を導入することが考えら
れる。芳香環に直接カルボキシル基を導入する反応とし
てはKolbe反応やReimer-Tiemann反応があり、これら反
応は求電子芳香族置換反応として知られている。しか
し、求電子芳香族置換反応の場合、芳香環の置換基とし
て水酸基(−OH)またはアミノ基(−NH2)が存在
する場合にはそれらの基が求電子芳香族置換反応の強力
な活性基としてオルト位およびパラ位に容易に置換反応
が起こるが、一方、芳香環の置換基としてカルボキシル
基またはカルボン酸エステル基が存在する場合にはそれ
らの基が求電子芳香族置換反応の強力な不活性基として
作用して置換反応を阻害することがよく知られており、
カルボキシル基を置換基として有し且つ水酸基およびア
ミノ基のいずれをも有さない原料芳香族カルボン酸に直
接カルボキシル基を導入することは極めて困難とされて
いて、事実、そのようなカルボキシル基導入についての
報告は今まで見られない[モリソン・ボイド(Morrison・
Boyd)著、中西他訳、有機化学(上)、第3版、p.42
8〜431、東京化学同人参照]。また一方、カルボキ
シル基の他に水酸基またはアミノ基が共存する場合に
は、求電子芳香族置換反応に対する水酸基またはアミノ
基の強力な活性によって、導入されるカルボキシル基は
水酸基またはアミノ基に対してオルト位またはパラ位に
置換配向性があり、出発芳香族カルボン酸のカルボキシ
ル基に対して遠くの位置にカルボキシル基が導入された
有用な芳香族ポリカルボン酸が得られないという問題が
あった。そこで本発明者等は、芳香族カルボン酸ヘのカ
ルボキシル基の直接導入に伴う上記した従来技術の困難
な問題を解決すべく鋭意研究の結果、シクロデキストリ
ンおよびアルカリ金属水酸化物の存在下に芳香族カルボ
ン酸を四ハロゲン化炭素と反応させると、驚くべきこと
に、出発芳香族カルボン酸に水酸基またはアミノ基が存
在しなくても、温和な条件で直接該芳香族カルボン酸へ
カルボキシル基を導入することができ、また、出発芳香
族カルボン酸に水酸基またはアミノ基が共存している場
合でも、導入されるカルボキシル基は水酸基またはアミ
ノ基の位置に対してオルト位またはパラ位ではなく出発
芳香族カルボン酸のカルボキシル基に対して本来のカル
ボキシル基のメタ置換配向性からは考えられない遠い位
置に導入されることを知見した。上記の知見された現象
は、求電子芳香族置換反応におけるカルボキシル基の強
力な不活性化挙動および水酸基またはアミノ基の強力な
活性化挙動を考えると全く意外なことである。本発明は
これらの知見に基いてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明によれば、一
般式(1),(2),(3)または(4)で示される芳
香族カルボン酸またはその誘導体を、シクロデキストリ
ンおよびアルカリ金属水酸化物の存在下で四ハロゲン化
炭素と反応させ、それにより該芳香族カルボン酸または
誘導体の芳香環に結合する水素と置換してカルボキシル
基を該芳香環に導入することを特徴とする芳香族カルボ
ン酸またはその誘導体にカルボキシル基を導入する方法
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】 [式中、R1は水素、アルキル基またはアルカリ金属を示
し;COOR1は式(2)または(4)の場合には2、3
または4位に、式(3)の場合には1または2位に結合
しており;R2は水素、水酸基、アルキル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはハロ
ゲンを表すが、但し、式(1)の場合には水酸基とアミ
ノ基は除き、式(2)の場合には水酸基は除き、その結
合位置は式(1)の場合にはCOOR1のオルト位また
はメタ位、式(2)または(4)の場合にはCOOR1
が2位の場合3、4、5または6位、COOR1が3位
の場合2、4、5または6位、COOR1が4位の場合
2または3位、式(3)の場合にはCOOR1が1位の
場合2、3または4位、COOR1が2位の場合1、3
または4位であり;R3は水素、水酸基、アルキル基、
アルコキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基ま
たはハロゲンを表し、その結合位置は式(2)と(4)
の場合は2’、3’、4’、5’または6’位、式
(3)の場合は5、6、7または8位であり;Xは-O
-,-CH2-,-C(CH3)2-、-CH=CH-,-(C=0)
-,-NH-, -N=N-,-S-,または-SO2-を表す。]
が提供される。
【0007】本発明における化合物の命名法ならびに置
換基の置換位置の表示法はIUPAC有機化学命名規則
による。
【0008】本発明に用いる出発物質である芳香族カル
ボン酸類およびその誘導体を以下に示す。 I.一般式(1)で示されるベンゼンカルボン酸類およ
びその誘導体、
【化9】 [式中、R1は水素、アルキル基またはアルカリ金属を
示し、R2は水素、アルキル基、アルコキシ基、カルボ
キシル基、ニトロ基またはハロゲンを表わし、その結合
位置はCOOR1に対してオルト位またはメタ位であ
る。]。
【0009】II.一般式(2)で示されるビフェニルカ
ルボン酸類およびその誘導体、
【化10】 [式中、COOR1は2位、3位または4位に結合して
おり、R1は水素、アルキル基またはアルカリ金属を示
し、R2は水素、アルキル基、アルコキシ基、カルボキ
シル基、ニトロ基、アミノ基、またはハロゲンを表わ
し、その結合位置はCOOR1が2位の場合3、4、5
または6位、COOR1が3位の場合2、4、5または
6位、COOR1が4位の場合2または3位であり、R3
は水素、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキ
シル基、ニトロ基、アミノ基またはハロゲンを表わし、
その結合位置は2'、3'、4’、5’または6'であ
る。]。
【0010】III.一般式(3)で示されるナフタレン
カルボン酸類およびその誘導体、
【化11】 [式中、COOR1は1または2位に結合しており、R1
は水素、アルキル基またはアルカリ金属を示し、R2
水素、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ
ル基、ニトロ基、アミノ基またはハロゲンを表わし、そ
の結合位置はCOOR1が1位の場合2、3または4
位、COOR1が2位の場合1、3または4位であり、
3は水素、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、カル
ボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはハロゲンを表わ
し、その結合位置は5、6、7または8位である。]。
【0011】IV.一般式(4)で示されるジフェニルカ
ルボン酸類およびその誘導体、
【化12】 [式中、COOR1は2、3または4位に結合してお
り、R1は水素、アルキル基またはアルカリ金属を示
し、R2は水素、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、
カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはハロゲンを
表わし、その結合位置はCOOR1が2位の場合3、
4、5または6位、COOR1が3位の場合2、4、5
または6位、COOR1が4位の場合2または3位であ
り、R3は水素、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、
カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはハロゲンを
表わし、その結合位置は2’、3’、4’、5’または
6’位であり、Xは-O-,-CH2-,-C(CH3)2-、-C
H=CH-,-(C=0)-,-NH-, -N=N-,-S-,ま
たは-SO2-を表す。]。
【0012】また上記一般式(1)〜(4)においてR
1、R2及びR3のアルキル基ならびにアルコキシ基中の
アルキル基の好ましい例は炭素数12以下の直鎖状また
は分枝状炭化水素残基であり、R2及びR3のハロゲンの
例はF、Cl、Br、Iであり、好ましくはClおよび
Brである。
【0013】本発明に用いられるシクロデキストリンと
しては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキスト
リンおよびγ−シクロデキストリンなどが用いられる
が、β−シクロデキストリンが好ましい。また、これら
のシクロデキストリンをメチル化、エチル化、ヒドロキ
シエチル化およびヒドロキシプロピル化した修飾シクロ
デキストリンも用いることができる。前記のシクロデキ
ストリンの水酸基をヒドロキシアルキル基で架橋した固
体状固定化シクロデキストリンを用いることもできる。
固体状固定化シクロデキストリンを用いることによって
高価なシクロデキストリンを回収して再利用することが
できて有利である。固体状固定化シクロデキストリンに
ついての詳細については、米国特許第4,663,478
号明細書を参照することができる。シクロデキストリン
の量は、一般に芳香族カルボン酸1モルに対して0.0
1〜5モルが用いられる。好ましくは、ベンゼンカルボ
ン酸1モルに対して0.1〜2モル、ビフェニルカルボ
ン酸、ナフタレンカルボン酸およびジフェニルカルボン
酸それぞれ1モルに対して0.2〜2モルが用いられ
る。また、シクロデキストリンの量は、四ハロゲン化炭
素1モルに対して0.001〜3モルが好ましく用いら
れる。
【0014】本発明に用られる四ハロゲン化炭素の好ま
しい例としては、四塩化炭素および四臭化炭素などをあ
げることができる。四ハロゲン化炭素の量は、一般に芳
香族カルボン酸1モルに対して1〜100モルが用いら
れる。好ましくは、ベンゼンカルボン酸1モルに対して
1〜50モル、ビフェニルカルボン酸1モルに対して1
〜40モル、ナフタレンカルボン酸およびジフェニルカ
ルボン酸それぞれ1モルに対して1〜10モルが用いら
れる。
【0015】本発明の方法に用いられるアルカリ金属水
酸化物の好ましい例としては、水酸化ナトリウムおよび
水酸化カリウムなどが挙げられる。アルカリ金属水酸化
物の量は出発物質としての芳香族カルボン酸1モルに対
して一般に10〜130モル、好ましくは30〜100
モルが用いられる。
【0016】本発明の方法は通常反応溶媒中で実施さ
れ、アルカリ金属水酸化物を溶解できることから水系溶
媒、好ましくは水が使用される。反応溶媒の水に、水に
可溶性の、本反応条件下で安定なメタノール、エタノー
ル、アセトン、ジメトキシエタンのような有機溶媒を少
量添加して併用することができる。
【0017】本発明は銅触媒を用いなくても進行する
が、銅触媒を用いる方が反応が円滑に進む。銅触媒の例
としては、金属銅の粉末すなわち銅粉、銅ブロンズ(C
opper bronze)、銅クロマイト、酸化銅
(I)、硫酸銅および銅(I)アセチルアセトナトなど
を挙げることができる。銅触媒の量としては、一般に出
発物質としての芳香族カルボン酸1モルに対し、0.0
1〜4モル(銅原子モル)、好ましくは、銅粉、酸化銅
(I)及び硫酸銅の場合0.3〜2モル、銅ブロンズ、
銅クロマイトおよび銅(I)アセチルアセトナトの場
合、それぞれ0.01〜0.5モル(銅原子モル)が用
いられる。
【0018】反応温度としては、一般に20〜85℃、
好ましくは40〜70℃で行われる。
【0019】反応時間に特に制限はなく、使用する芳香
族カルボン酸およびハロゲン化物の種類と量、シクロデ
キストリンおよび銅触媒の種類と量、反応温度、出発物
質および反応試薬の添加方法等により変化するが、一般
には10分〜40時間である。
【0020】反応は空気下で行うことができるが、好ま
しくは窒素下で行なわれる。反応圧に特に制限はない
が、通常は大気圧下で反応は行われる。
【0021】本発明を実施するにあたり、出発物質であ
る芳香族カルボン酸、アルカリ金属水酸化物とシクロデ
キストリンを含む反応系に反応開始時に、使用する四ハ
ロゲン化炭素の全てを加えることができる。また、これ
とは別のやり方として、四ハロゲン化炭素を上記の反応
液に、シクロデキストリンの四ハロゲン化炭素に対する
モル比が上記の0.001から3の範囲に維持されるよ
うに、制御しながら徐々に加えることもできる。
【0022】本反応において、シクロデキストリンは触
媒として作用し、特殊な反応場を提供していると考えら
れ、シクロデキストリンを用いないと反応はほとんど進
行しない。四ハロゲン化炭素はアルカリ水溶液にはほと
んど溶解しないが、シクロデキストリンが存在すると、
反応溶液に分散するようになる。シクロデキストリンの
効果は、単に四ハロゲン化炭素の分散を向上させるのみ
でなく、後記の比較例2に示すように、シクロデキスト
リンの代りに多量のエタノールを用いて、四ハロゲン化
炭素の溶解性を高めた場合に比し、この反応によりカル
ボキシル基が置換的に芳香環に導入される位置が異な
り、その反応生成物を選択的に高い収率で生成せしめる
ことである。
【0023】本発明の方法において、一般式(1)で示
される芳香族カルボン酸またはその誘導体を出発物質と
して用いる時、式(5)で示すテレフタル酸またはその
誘導体が選択的に得られる。
【化13】 (式中、R4は水素またはアルカリ金属を示す。)。こ
れらのテレフタル酸類およびその誘導体の例としては、
テレフタル酸、メチルテレフタル酸、メトキシテレフタ
ル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、ニトロテレ
フタル酸、クロロテレフタル酸、およびそれらのナトリ
ウム塩などがあげられる。これらは、ポリエステル系繊
維フィルム、およびフィルム樹脂、アラミド系繊維、フ
ィルムおよび樹脂、ポリアリレート系繊維、および樹
脂、液晶ポリマーおよび液晶材料、農薬、医薬および染
料などの原料として工業的に重要なものである。
【0024】本発明の方法において、一般式(2)で示
されるビフェニルカルボン酸またはその誘導体を出発物
質として用いる時、式(6)で示すビフェニルジカルボ
ン酸またはその誘導体が選択的に得られる。
【化14】 (式中、COOR4は2’位、3’位、4’位、5’位
または6’位に結合している。但し、出発物質のR3
位置は除く。)。
【0025】これらのビフェニルジカルボン酸およびそ
の誘導体の例としては、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、2,2'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ビフェ
ニルジカルボン酸、2,4'−ビフェニルジカルボン酸、
3−メチル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3−メ
トキシ−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,4,4'
−ビフェニルトリカルボン酸、3−ニトロ−4,4'−ビ
フェニルジカルボン酸、2−クロロ−4,4'−ビフェニ
ルジカルボン酸、4−アミノ−3,4'−ビフェニルジカ
ルボン酸、およびそれらのナトリウム塩などがあげられ
る。これらは、ポリエステル系アラミド系およびポリア
リレート系繊維、フィルムおよび樹脂、液晶ポリマーお
よび液晶材料などの原料として工業的に重要なものであ
る。
【0026】本発明の方法において、一般式(3)で示
されるナフタレンカルボン酸またはその誘導体を出発物
質として用いる時、式(7)で示すナフタレンジカルボ
ン酸またはその誘導体が選択的に得られる。
【化15】 (式中、COOR4は5位、6位、7位または8位に結
合している。但し、出発物質のR3の位置は除く。)。
【0027】これらのナフタレンジカルボン酸および誘
導体の例としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−ヒドロキシ−2,
6−ナフタレンジカルボン酸、8−メチル−2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、8−メトキシ−2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、1,2,6−ナフタレントリカルボン
酸、8−ニトロ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、7
−アミノ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、7−ブロ
モ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの
ナトリウム塩などがあげられる。これらは、ポリエステ
ル系、ポリアリレート系繊維、フィルムおよび樹脂、液
晶ポリマーおよび液晶材料、染料などの原料として工業
的に重要なものである。
【0028】本発明の方法において、一般式(4)で示
されるジフェニルカルボン酸またはその誘導体を出発物
質として用いる時、式(8)で示すジフェニルジカルボ
ン酸またはその誘導体が選択的に得られる。
【化16】 (式中、COOR4は2'位、3'位、4'位、5'位また
は6'位に結合している。但し、出発物質のR3の位置は
除く。)。
【0029】これらのジフェニルジカルボン酸類および
その誘導体の例としては、4,4'−ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、4−(4'−カルボキシベンジル)安息
香酸、4−(4'−カルボキシフェニルジメチルメチ
ル)安息香酸、4−(4'−カルボキシスチリル)安息
香酸、4−(4'−カルボキシベンゾイル)安息香酸、
4,4'−イミノ二安息香酸、4,4'−(1,1’−ア
ゾ)安息香酸、4,4'−チオ二安息香酸、4,4'−スル
ホニル二安息香酸およびそれらのナトリウム塩などがあ
げられる。これらは、ポリエステル系、ポリアリレート
系繊維、フィルムおよび樹脂、液晶ポリマーおよび液晶
材料、農薬、医薬および染料などの原料として工業的に
重要なものである。
【0030】本発明の方法により、得られる生成物は次
に述べる方法により単離することができる。カルボキシ
ル基導入反応によって得られる反応液を中和し弱酸性
(pH2〜5)にすると生成物である芳香族ポリカルボ
ン酸の全部と未反応の出発芳香族カルボン酸の大部分が
沈殿するので、濾過により濾滓と濾液に分ける。この濾
滓中の未反応の出発芳香族カルボン酸はpH2〜5の条
件下でメタノールあるいはエタノールに溶解するが、一
方生成物である芳香族ポリカルボン酸は溶解しないの
で、濾滓をメタノールあるいはエタノールで処理するこ
とで未反応出発物質を抽出し、生成物と未反応出発物質
を分離することができる。このアルコール処理した濾滓
を例えば生成物を溶解する溶媒であるジメチルホルムア
ミドで抽出して分離し、得られたジメチルホルムアミド
溶液を減圧乾固することで、生成物を単離することがで
きる。また、別の単離方法として、芳香族ポリカルボン
酸生成物の純度を更に上げたい場合にはイオン交換カラ
ム法によって精製することができる。イオン交換カラム
としては強アニオン交換樹脂カラムが好ましい。強アニ
オン交換樹脂カラムを用いて更に精製する場合前記のア
ルコール処理した濾滓を硝酸ナトリウムおよびホウ酸系
水溶液(水酸化ナトリウムを加えてpH9.7に調整)
にアセトニトリルを加えた溶液に加えて撹拌し、生成物
を溶解した後再び濾過し、濾液を強アニオン交換カラム
に流下させるとジカルボン酸類が未反応のモノカルボン
酸類より先に分離して流出するので、それぞれに単離す
ることができる。上記の操作において、加えるアセトニ
トリルの量は、生成物がテレフタル酸類の場合は、0〜
5%、生成物がビフェニルジカルボン酸類、ナフタレン
ジカルボン酸類及びジフェニルジカルボン酸類の場合に
は、約25%加えるのが好ましい。
【0031】上記したように、本発明により従来極めて
困難とされていた水酸基またはアミノ基を有さない芳香
族カルボン酸へのカルボキシル基の導入が始めて容易に
行なうことが可能になると共に、出発芳香族カルボン酸
に水酸基またはアミノ基が共存する場合でも、水酸基ま
たはアミノ基の位置に対してオルト位またはパラ位では
なく出発芳香族カルボン酸のカルボキシル基に対して本
来のカルボキシル基のメタ置換配向性からは考えられな
い遠い位置に導入して有用な芳香族ポリカルボン酸を得
ることが可能になった。このようにして、本発明の方法
によれば、例えば、多くの高機能性樹脂や繊維、あるい
は液晶構成物質としての高分子または低分子化合物等の
原料として工業的に重要な芳香族ジカルボン酸は、安息
香酸またはその誘導体などの芳香族モノカルボン酸を原
料として選択的に有利に得ることができる他、順次カル
ボキシル基を1個づつ導入していくことによって所望の
芳香族ポリカルボン酸を選択的に得ることができる。
【0032】次に、本発明を具体的に実施例を挙げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。以下の実施例において、出発物質および反応生
成物の分析は液体クロマトグラフ法を用いて行なった。
高速液体クロマトグラフ装置(東ソー製、8010シリ
ーズ)に紫外可視吸収検出器(東ソー製、UV−801
0)およびイオン交換カラム(東ソー製、TSK−ge
l SAX、強アニオン交換カラム)を装着して用い
た。
【0033】一般式(1)で示されるベンゼンカルボン
酸類の反応の場合は、検出波長254nm、流速1.0
ml/min、カラム温度40℃、展開溶媒0.3M硝
酸ナトリウム+0.05Mほう酸(pH9.7)+5%
アセトニトリルで測定を行った。ただし、イソフタル酸
を分析するためには、展開溶媒0.3M硝酸ナトリウム
+0.05Mほう酸(pH9.7)を用いた。その他の
芳香族カルボン酸類の反応の場合は、検出波長258n
m、流速1.0ml/min、カラム温度40℃、展開
溶媒0.5M硝酸ナトリウム+0.05Mほう酸(pH
9.8)+25%アセトニトリルで測定を行った。出発
物質および反応生成物にそれぞれ対応する標準物質を用
いて、保持時間を比較することにより定性を行い、ま
た、絶対検量線法により定量を行なった。なお、反応生
成物の収率は、各反応で仕込んだ芳香族カルボン酸類に
対するモル%で示す。また、未反応のまま反応液中に残
存する出発物質の量は、仕込んだ芳香族カルボン酸に対
するモル%で示した。
【0034】
【実施例】
実施例1 還流冷却器付き200ml丸底フラスコ中に、安息香酸
(関東化学製特級試薬)0.36g(3.00mmo
l)、銅粉(関東化学製一級試薬)0.05g(0.8
0mmol)およびβ−シクロデキストリン(東京化成
製試薬)1.7g(1.50mmol)を採取し、反応
器の空間部を窒素置換した後、これに30wt%水酸化
ナトリウム水溶液30mlを加え、磁気撹拌器を用い十
分撹拌した後、60℃に加温し、これに四塩化炭素(関
東化学製特級試薬)0.9ml(9.55mmol)を
加え反応を行った。7時間後、反応溶液を冷却し塩酸で
中和し、弱酸性(pH2)として反応を停止した。この
反応溶液を濾過し、濾液は炭酸水素ナトリウム(関東化
学製鹿1級試薬)で中和した後、前記した液体クロマト
グラフ法により出発物質および反応生成物の分析、定量
を行なった。濾滓は0.5M炭酸水素ナトリウム水溶液
200mlに投入し、3時間、撹拌混合して、出発物質
および反応生成物を抽出溶解し、再び濾過して、濾液を
液体クロマトグラフ法で分析、定量した。テレフタル酸
およびイソフタル酸をそれぞれ収率31.0%および
1.8%で得た。フタル酸は検出されなかった。未反応
安息香酸の量は37.0モル%であった。
【0035】実施例2 β−シクロデキストリンを0.35g(0.31mmo
l)を用いる以外は実施例1と同様に反応したところ、
テレフタル酸のみを収率9.9%で得た。フタル酸およ
びイソフタル酸は検出されなかった。未反応安息香酸の
量は86.0モル%であった。
【0036】実施例3 β−シクロデキストリンを6.8g(6.00mmo
l)用いる以外は実施例1と同様に反応したところ、テ
レフタル酸およびイソフタル酸をそれぞれ収率7.0%
および3.3%で得た。フタル酸は検出されなかった。
未反応安息香酸の量は58.1モル%であった。
【0037】実施例4 四塩化炭素を6.0ml(62.4mmol)用いる以
外は実施例1と同様に反応したところ、テレフタル酸お
よびイソフタル酸をそれぞれ収率44.4%および5.
0%で得た。フタル酸は検出されなかった。未反応安息
香酸の量は25.7モル%であった。
【0038】比較例1 β−シクロデキストリンを用いない以外は実施例1と同
様に反応したところ、反応はほとんど進行しなかった。
【0039】比較例2 比較例1と同様にβ−シクロデキストリンを用いずに、
さらに30wt%水酸化ナトリウム水溶液:エタノール
=1:2混合溶媒を用いて実施例1と同様に反応したと
ころ、イソフタル酸のみを収率1.1%で得た。未反応
安息香酸の量は98.9モル%であった。
【0040】実施例5 実施例1と同様な反応装置に、安息香酸0.36g
(3.00mmol)、銅粉0.05g(0.80mm
ol)およびβ−シクロデキストリン1.7g(1.5
0mmol)を採取し、反応器の空間部を窒素置換した
後、これに15wt%水酸化ナトリウム水溶液30ml
を加え、磁気撹拌器を用い十分撹拌した後、60℃に加
温し、これに四塩化炭素0.9ml(9.55mmo
l)を加え反応を行った。7時間後、反応溶液を冷却し
塩酸で中和し弱酸性(pH2)として反応を停止した。
テレフタル酸およびイソフタル酸をそれぞれ収率7.3
%および1.3%で得た。フタル酸は検出されなかっ
た。未反応安息香酸の量は87.2モル%であった。
【0041】比較例3 β−シクロデキストリンを用いない以外は実施例5と同
様に反応したところ、テレフタル酸のみを収率0.1%
で得た。フタル酸およびイソフタル酸は検出されなかっ
た。未反応安息香酸の量は98.7モル%であった。
【0042】実施例6 40wt%水酸化ナトリウム水溶液30mlを用いる以
外は、実施例5と同様に反応したところ、テレフタル酸
のみを収率0.5%で得た。フタル酸およびイソフタル
酸は検出されなかった。未反応安息香酸の量は96.4
モル%であった。
【0043】実施例7 α−シクロデキストリン(東京化成製特級試薬)1.5
g(1.54mmol)を用いる以外は、実施例4と同
様に反応したところ、痕跡程度のテレフタル酸を検出し
た。フタル酸およびイソフタル酸は検出されなかった。
未反応安息香酸の量は98.4モル%であった。
【0044】実施例8 γ−シクロデキストリン(ナカライテスク製特級試薬)
1.9g(1.46mmol)を用いる以外は、実施例
4と同様に反応したところ、テレフタル酸およびイソフ
タル酸をそれぞれ収率2.8%、2.5%で得た。フタ
ル酸は検出されなかった。未反応安息香酸の量は77.
1モル%であった。
【0045】比較例4 銅粉を用いない以外は、実施例4と同様に反応したとこ
ろ、テレフタル酸およびイソフタル酸をそれぞれ収率
9.7%および1.2%で得た。フタル酸は検出されな
かった。未反応安息香酸の量は77.0モル%であっ
た。
【0046】実施例9 30wt%水酸化ナトリウム水溶液の代りに30wt%
水酸化カリウム水溶液30mlを用いる以外は、実施例
4と同様に反応したところ、テレフタル酸およびイソフ
タル酸をそれぞれ収率17.1%および10.3%で得
た。フタル酸は検出されなかった。未反応安息香酸の量
は72.0モル%であった。
【0047】実施例10 実施例1と同様な反応装置に、安息香酸0.36g
(3.00mmol)、銅ブロンズ(アルドリッチ製試
薬)0.05g(0.80mmol)およびβ−シクロ
デキストリン1.7g(1.50mmol)を採取し、
反応器の空間部を窒素置換した後、これに30wt%水
酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、磁気撹拌器を用
い十分撹拌した後、60℃に加温し、これに四塩化炭素
6.0ml(62.4mmol)を加え反応を行った。
7時間後、反応溶液を冷却し塩酸で中和し弱酸性(pH
4)として反応を停止した。この溶液に炭酸水素ナトリ
ウムを加えてpH8とし、3時間撹拌を行って、出発物
質および反応生成物を溶解・抽出した。その後、濾過
し、その濾液について液体クロマトグラフ法で分析、定
量した。テレフタル酸およびイソフタル酸をそれぞれ収
率63.2%および12.6%で得た。フタル酸は検出
されなかった。未反応安息香酸の量は17.4モル%で
あった。
【0048】実施例11 四塩化炭素を15.0ml(156mmol)用いる以
外は実施例10と同様に反応したところ、テレフタル酸
およびイソフタル酸をそれぞれ収率73.8%および1
4.3%で得た。フタル酸は検出されなかった。未反応
安息香酸の量は11.9モル%であった。
【0049】実施例12 銅ブロンズ0.02g(0.31mmol)を用いる以
外は実施例11と同様に反応したところ、テレフタル酸
およびイソフタル酸をそれぞれ収率74.4%および1
1.8%で得た。フタル酸は検出されなかった。未反応
安息香酸の量は13.8モル%であった。
【0050】実施例13 実施例1と同様な反応装置に、4−ビフェニルカルボン
酸(ナカライテスク製一級試薬)0.60g(3.00
mmol)、銅粉0.05g(0.80mmol)およ
びβ−シクロデキストリン3.4g(3.00mmo
l)を採取し、反応器の空間部を窒素置換した後、これ
に30wt%水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、
磁気撹拌器を用い十分撹拌した後、60℃に加温し、こ
れに四塩化炭素0.9ml(9.55mmol)を加え
反応を行った。7時間後、反応溶液を冷却し塩酸で中和
し弱酸性(pH2)として反応を停止した。その溶液を
濾過した。濾液を水で200mlまで希釈し、これに硝
酸ナトリウム(関東化学製特級試薬)8.5g、ほう酸
(関東化学製特級試薬)0.6gを加え、1N水酸化ナ
トリウム水溶液(関東化学製)でpH9.8とし、さら
にアセトニトリルを50ml加え、3時間撹拌を行なっ
た後、再び濾過し、この濾液について液体クロマトグラ
フ法で分析定量した。最初の濾過で得た濾滓は、前に説
明した展開溶媒0.5M硝酸ナトリウム+0.05Mほ
う酸(pH9.8)+25%アセトニトリル200ml
に加えて3時間、撹拌した後、再び濾過し、この濾液に
ついて液体クロマトグラフ法で分析定量した。4,4'−
ビフェニルジカルボン酸を収率24.9%で得た。未反
応4−ビフェニルカルボン酸の量は38.2モル%であ
った。
【0051】実施例14 β−シクロデキストリン1.7g(1.50mmol)
を用いる以外は、実施例13と同様に反応したところ、
4,4'−ビフェニルジカルボン酸を収率19.1%で得
た。未反応4−ビフェニルカルボン酸の量は68.7モ
ル%であった。
【0052】比較例5 β−シクロデキストリンを用いない以外は実施例13と
同様に反応したところ、反応はほとんど進行しなかっ
た。
【0053】実施例15 四塩化炭素を6.0ml(62.4mmol)用いる以
外は、実施例13と同様に反応したところ、4,4'−ビ
フェニルジカルボン酸を収率28.9%で得た。未反応
4−ビフェニルカルボン酸の量は51.6モル%であっ
た。
【0054】実施例16 四塩化炭素を12.0ml(125mmol)用いる以
外は、実施例13と同様に反応したところ、4,4'−ビ
フェニルジカルボン酸を収率33.4%で得た。未反応
4−ビフェニルカルボン酸の量は56.3モル%であっ
た。
【0055】実施例17 実施例1と同様な反応装置に4−ビフェニルカルボン酸
(ナカライテスク製一級試薬)0.60g(3.00m
mol)、銅ブロンズ0.05g(0.80mmol)
およびβ−シクロデキストリン3.4g(3.00mm
ol)を採取し、反応器の空間部を窒素置換した後、こ
れに30wt%水酸化ナトリウム水溶液30mlを加
え、磁気撹拌器を用い十分撹拌した後、60℃に加温
し、これに四塩化炭素12.0ml(125mmol)
を加え反応を行った。7時間後、反応溶液を冷却し、塩
酸で中和し、弱酸性(pH5)として反応を停止した。
この溶液を水で200mlまで希釈し、その溶液に硝酸
ナトリウム(関東化学製特級試薬)8.5g、ほう酸
(関東化学製特級試薬)0.6gを加え、1N水酸化ナ
トリウム水溶液(関東化学製)でpH9.8とし、さら
にアセトニトリルを50ml加え、3時間撹拌を行なっ
た後、再び濾過し、この濾液について液体クロマトグラ
フ法で分析定量した。その結果、4,4'−ビフェニルジ
カルボン酸を収率64.9%で得た。未反応4−ビフェ
ニルカルボン酸の量は30.5モル%であった。
【0056】実施例18 実施例1と同様な反応装置に、2−ナフタレンカルボン
酸(ナカライテスク製特級試薬)0.52g(3.00
mmol)、銅粉0.05g(0.80mmol)およ
びβ−シクロデキストリン3.4g(3.00mmo
l)を採取し、反応器の空間部を窒素置換した後、これ
に30wtモル%水酸化ナトリウム水溶液30mlを加
え、磁気撹拌器を用い十分撹拌した後、60℃に加温
し、これに四塩化炭素0.9ml(9.55mmol)
を加え反応を行った。7時間後、反応溶液を冷却し塩酸
で中和し弱酸性(pH5)として反応を停止した。この
溶液について実施例17と同様の方法で分析定量した結
果、2,6−ナフタレンジカルボン酸を収率39.0%
で得た。未反応2−ナフタレンカルボン酸の量は28.
2モル%であった。
【0057】実施例19 β−シクロデキストリン1.7g(1.50mmol)
を用いる以外は、実施例18と同様に反応したところ、
2,6−ナフタレンジカルボン酸を収率24.4%で得
た。未反応2−ナフタレンカルボン酸の量は59.3モ
ル%であった。
【0058】比較例6 β−シクロデキストリンを用いない以外は実施例18と
同様に反応したところ、反応はほとんど進行しなかっ
た。
【0059】実施例20 銅粉の代りに銅ブロンズ0.05g(0.80mmo
l)を用いる以外は実施例18と同様に反応したとこ
ろ、2,6−ナフタレンジカルボン酸を収率44.5%
で得た。未反応2−ナフタレンカルボン酸の量は27.
7モル%であった。
【0060】実施例21 銅ブロンズ0.02g(0.31mmol)を用いる以
外は実施例18と同様に反応したところ、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を収率47.1%で得た。未反応2
−ナフタレンカルボン酸の量は27.3モル%であっ
た。
【0061】実施例22 安息香酸の代りにオルトメチル安息香酸(東京化成製特
級試薬)0.41g(3.01mmol)を用いる以外
は、実施例4と同様に反応したところ、メチルテレフタ
ル酸のみを収率3.9%で得た。未反応オルトメチル安
息香酸の量は36.2モル%であった。
【0062】実施例23 銅粉の代りに銅ブロンズ0.05g(0.80mmo
l)を用いる以外は実施例22と同様に反応したとこ
ろ、メチルテレフタル酸のみを収率5.4%で得た。未
反応オルトメチル安息香酸の量は44.1モル%であっ
た。
【0063】実施例24 安息香酸の代りにオルトメトキシ安息香酸(関東化学製
特級試薬)0.46g(3.02mmol)を用いる以
外は、実施例4と同様に反応したところ、メトキシテレ
フタル酸のみを収率5.4%で得た。未反応オルトメト
キシ安息香酸の量は94.6モル%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 31/04 C07C 51/093 6742−4H 63/333 8930−4H 63/38 8930−4H 67/313 8018−4H 69/76 9279−4H 227/02 229/52 8930−4H 245/08 9160−4H 317/44 7419−4H 323/62 7419−4H // C07B 61/00 300 (72)発明者 斎藤 和弘 東京都板橋区板橋1丁目29番4

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1),(2),(3)または
    (4)で示される芳香族カルボン酸またはその誘導体
    を、シクロデキストリンおよびアルカリ金属水酸化物の
    存在下で四ハロゲン化炭素と反応させ、それにより該芳
    香族カルボン酸または誘導体の芳香環に結合する水素と
    置換してカルボキシル基を該芳香環に導入することを特
    徴とする芳香族カルボン酸またはその誘導体にカルボキ
    シル基を導入する方法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 [式中、R1は水素、アルキル基またはアルカリ金属を示
    し;COOR1は式(2)または(4)の場合には2、3
    または4位に、式(3)の場合には1または2位に結合
    しており;R2は水素、水酸基、アルキル基、アルコキ
    シ基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはハロ
    ゲンを表すが、但し、式(1)の場合には水酸基とアミ
    ノ基は除き、式(2)の場合には水酸基は除き、その結
    合位置は式(1)の場合にはCOOR1のオルト位また
    はメタ位、式(2)または(4)の場合にはCOOR1
    が2位の場合3、4、5または6位、COOR1が3位
    の場合2、4、5または6位、COOR1が4位の場合
    2または3位、式(3)の場合にはCOOR1が1位の
    場合2、3または4位、COOR1が2位の場合1、3
    または4位であり;R3は水素、水酸基、アルキル基、
    アルコキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基ま
    たはハロゲンを表し、その結合位置は式(2)と(4)
    の場合は2’、3’、4’、5’または6’位、式
    (3)の場合は5、6、7または8位であり;Xは-O
    -,-CH2-,-C(CH3)2-、-CH=CH-,-(C=0)
    -,-NH-, -N=N-,-S-,または-SO2-を表す。]
  2. 【請求項2】 アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウ
    ムまたは水酸化カリウムである請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 四ハロゲン化炭素が四塩化炭素または四
    臭化炭素である請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 該反応を銅触媒の存在下で行うことを特
    徴とする請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 シクロデキストリンがα-シクロデキス
    トリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリ
    ン、修飾シクロデキストリン及び固体状固定化シクロデ
    キストリンからなる群から選ばれることを特徴とする請
    求項1の方法。
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