JPH0511534B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、表皮に毛ば立ちを有する車輌用内装
表皮材の製造方法に関するもので、雌型の真空成
形型を使つて製品表面の毛ば立ちを傷めることな
く表皮材を製造するものである。

（従来の技術） 従来より車輌用内装表皮材の製造に真空成形法
は盛んに利用されている。この真空成形法に用い
る成形型には、雄型と雌型との２タイプあり、成
形品の形状によつて使い別けられている。例え
ば、車輌用シートクツシヨン等の袋状の表皮材を
成形する場合は、成形品の脱型が容易な雌型の真
空成形型が使われる。この場合、表皮材の原反は
その表面となる側を真空成形型に向けて張架し、
成形を行うのが一般であつた。（特開昭59−33142
号公報第１図参照）。

（発明が解決しようとする課題） 近年、ニーズの多様化に伴い真空成形の原反に
スエード調、布地調等、表面に毛ば立ちを有する
レザーが使われるようになつた。

しかし、上記従来の製法で表面に毛ば立ちを有
する袋状の表皮材を得ようとする場合、成形の
際、毛ば立ちを有する原反の表面を真空成形型に
沿わせるため、原反の毛ば立ちが型に押し付けら
て倒れてしまう問題があつた。また、成形時に原
反はその軟化温度まで加熱されているので、その
時に倒れた原反の毛ば立ちは癖が付き容易には元
に戻らない。表皮材の表面の毛ば立ちが倒れた部
分は、光りの加減で容易に判別でき、非常に見栄
の悪いものになつていた。

本発明はかかる点に鑑み、雌型の真空成形型を
使つて製品表面の毛ば立ちを傷めることなく表皮
材を製造することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、次の工程で表面に毛ば立ちを有する
表皮材を製造することにより、上記目的を達成し
た。即ち、 (イ) 表面に毛ば立ちを有する原反を加熱し軟化さ
せる工程。

(ロ) 上記原反を、雌型の真空成形型に裏面を向け
て張架する工程。

(ハ) 上記原反に真空と必要があれば圧空とを作用
させ、該原反を上記真空成形型に沿わせて毛ば
立ちを有する面が内側を向いた成形品を形成す
る工程。

(ニ) 上記成形品を裏返して、毛ば立ちを有する面
を外側に出す工程。

からなる。

（作用） 上記(ロ)の工程で原反の裏面を真空成形型に向け
て張架することにより、表皮材の形状を形成する
(ハ)の工程は原反の裏面を型に沿わせて行われる。
従つて、原反は成形のため軟化させた状態で、そ
の毛ば立ちを有する面を全く型に接触させないで
成形される。

上記(ハ)の工程で成形された成形品の形状は、袋
状の薄い表皮材であり、上記(ニ)の工程で成形品を
裏返してもその形状は容易に再現できる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を各工程を表わす図に従
つて説明する。

第１図は本発明の上記(イ)の工程を表わす。

本発明に適用される原反１は、第１図のＡ部の
拡大図である第６図及び第７図に示される通り、
PVCフオーム層２の表面を機械的にささくれさ
せて毛ば立ち３を持たせたスウエード調のレザー
４、あるいは布地５に樹脂フイルム６をラミネー
トさせた積層レザー７等、表面に毛ば立ちを有す
るレザーで真空成形が可能なものは全て含まれ
る。

本工程では、上記原反１をヒーター８で約200
℃前後に加熱し十分軟化させる。

第２図は本発明の上記(ロ)の工程を表わす。

本工程では、上記(イ)の工程で十分軟化させた原
反１を雌型の真空成形型９に張架する。この時毛
ば立ちを有する面１０を原反１の表面とすると、
原反１はその裏面１１を上記雌型の真空成形型９
に向ける。

また、深絞りの成形や成形しにくい原反を使用
する等で真空だけでは成形が困難な場合は圧空も
併せて利用するが、この場合、本工程で圧空型１
２と真空型９とで原反１の外周を挟み付ける。

第３図は本発明の上記(ハ)の工程を表わす。

真空ポンプ１３で真空成形型９の透穴１４より
原反１と真空成形型９との間の空気を抜き、か
つ、圧空を利用する場合はコンプレツサー１５で
圧空型１２内に圧空を送り、原反１を真空成形型
９に沿わせる。軟化した原反１は真空成形型９に
接触することで冷され、軟化し、所望する表皮材
１６の形状の裏返つた形状の成形品１７が形成さ
れる。

次に、上記(ニ)の工程は、上記(ハ)の工程で形成さ
れた成形品１７を真空成形型９から取り出し、手
作業で成形品１７の表面１０を表側に裏返して表
皮材１６を得る。なお、上記裏返し作業をより効
率的な方法で行うには第４図に示した方法により
行う。即ち、上記(ハ)の工程の終了後、成形品１７
を真空成形型９の内面に沿わせた状態で成形品１
７の外周を圧空型１２と真空成形型９とで挟んだ
まま、真空成形型９の透穴１４より真空成形型９
と成形品１７との間にコンプレツサー１８で圧空
を送る。この時、圧空型１２は型内の空気が型外
に抜けるよう、バルブ１９を切り換え外気と連通
させる。これにより、成形品１７は圧空型１２内
に毛ば立ちを有する表面１０が成形品１７の表側
に裏返つてふくらみ、表皮材１６が得られる。

また、第４図において圧空型１２を使用しない
場合には、第５図のように圧空型１２のかわりに
成形品１７の外周を押える砕材２０が必要であ
る。この場合、真空成形型９と成形品１７との間
に圧空を送ることで同様に表皮材１６が得られ
る。

なお、本発明で製造された表皮材１６は、二次
加工でウレタン注入発泡が行われ、表皮一体発泡
成形品に成形される。この時、モールド型へのセ
ツトで毛ば立ちを有する表皮材１６の表面１０が
モールド型に接触するが、ウレタン注入発泡時の
型温度は高くとも40℃前後であり、表皮材１６の
毛ば立ちに悪影響を及ぼす恐れはない。

また、本発明の製法で効果的に製造できる製品
として、シートクツシヨン、アームレスト、ヘツ
ドレスト等の表皮材があげられる。

（発明の効果） 以上、本発明によれば、表皮材の成形時に原反
の毛ば立ち側が真空成形型の型面に圧接しないた
め、見栄の良い毛ば立ちを有する車輌用内装表皮
材の優れた製造方法を提供することができた。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はそれぞれ本発明の実施例を表
わす工程図、第４図及び第５図は成形品の裏返し
工程のそれぞれ他の実施例を示す工程図、第６図
及び第７図は第１図Ａ部の拡大図で原反の例を表
わす図である。 １……原反、９……真空成形型、１７……成形
品、１６……表皮材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表面に毛ば立ちを有する原反を加熱し軟化さ
   せ、該原反の裏面側を雌型の真空成形型に向けて
   張架した後、少なくとも真空圧で上記原反を上記
   真空成形型に沿わせて毛ば立ちを有する面が所望
   する形状の内側を向いた成形品を形成し、該成形
   品を裏返して毛ば立ちを有する面を外側に出すこ
   とを特徴とする車輌用内装表皮材の製造方法。 ２ 上記成形品を裏返す工程は、上記雌型の真空
   成形型に上記成形品の外周を保持した状態で上記
   真空成形型と成形品との間に圧空を供給し、該成
   形品の毛ば立ちを有する面を外側に裏返すことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の車輌用内
   装表皮材の製造方法。