JPH051137A - サーモトロピツク液晶性ポリエステルの製造方法 - Google Patents

サーモトロピツク液晶性ポリエステルの製造方法

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JPH051137A
JPH051137A JP15320491A JP15320491A JPH051137A JP H051137 A JPH051137 A JP H051137A JP 15320491 A JP15320491 A JP 15320491A JP 15320491 A JP15320491 A JP 15320491A JP H051137 A JPH051137 A JP H051137A
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JP
Japan
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group
liquid crystalline
ester monomer
acid
mol
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Application number
JP15320491A
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English (en)
Inventor
Haruyo Ozaki
晴代 小崎
Hideyori Fujiwara
英資 藤原
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】均一性が高く、かつ耐熱性および流動性に優れ
た液晶性ポリエステルを提供する。 【構成】下記の一般式〔I〕で示されるエステルモノマ
ー、一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化合物お
よび一般式〔III〕で示される芳香族ジカルボン酸化合
物とを重縮合させる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーモトロピック液晶
性ポリエステル(以下、液晶性ポリエステルと記す)の
製造方法に関するものである。とくに本発明は耐熱性に
優れ、かつ、流動性・均一性に優れた液晶性ポリエステ
ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子分野、自動車分野の発
展に伴い、プラスチックに対しても高性能化の要求が高
まり、数多くのプラスチックが開発され、市場に提供さ
れている。中でも、溶融時に光学的異方性を示し、分子
鎖が平行に配列する一群の高分子化合物は、サーモトロ
ピック液晶性ポリマーと呼ばれ、成形加工性に優れると
共に成形体の機械的性質が向上することから注目を集め
ている。液晶性ポリエステルとしては、ポリエチレンテ
レフタレート単位とパラヒドロキシ安息香酸単位とのエ
ステル結合のみからなる共重合ポリエステルが代表的で
ある〔ダブリュウ ジェイ ジャクソン(W.J.Jackson)
ら、ジャーナル オブ ポリマー サイエンス、ケミカル
エディション(J.Polym.Sci.Polym.Chem.Ed.)14巻、2043
頁(1976年)、米国特許第3804805号、特公昭56-18016
号公報等)。上記の特公昭56-18016号公報中には、ポリ
エチレンテレフタレート単位とパラアセトキシ安息香酸
(以下、p−ABAという)とを混合し、240〜30
0℃に加熱することにより重合させて液晶性ポリエステ
ルを製造する方法が記載されているが、この方法では、
p−ABA成分を75モル%以上とした場合、p−AB
Aがブロック的に重合して生じたと考えられるポリマー
が不溶不融の異物として混在し、得られた液晶性ポリエ
ステルの流動性が悪くなり、成形加工性が低下するとい
う問題があった。この異物の発生は、この種のポリマー
の良溶媒であるフェノール/1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン=1/1(容量比)に溶解させたとき、多量の
不溶物質が存在することからもうかがえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、p−
ABAに代表されるパラヒドロキシ安息香酸(以下、p
−HBAという)構造単位を多く含有でき、耐熱性・流
動性に優れ、均一な液晶性ポリエステルの製造方法を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
の一般式〔I〕で示されるエステルモノマー、一般式〔I
I〕で示される芳香族カルボン酸化合物および一般式〔I
II〕で示される芳香族ジカルボン酸化合物とを重縮合さ
せることを特徴とする、サーモトロピック液晶性ポリエ
ステルの製造方法を提供するものである。
【0005】
【化2】
【0006】〔式中、R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭
化水素基であり、Ar1、Ar2およびAr3は、それぞれ独
立に炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であり、X1
よびX2 はそれぞれ独立に水素原子またはR2−CO−
(ただし、R2 は炭素数1〜6の炭化水素基である)で
示される基であり、X3 、X4 およびX5 はそれぞれ独
立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であ
る。〕
【0007】R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基
であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピ
レン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘ
プチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、
ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テト
ラデシレン基、ペンタデシレン基であり、直鎖状のもの
の他、分岐鎖または環を有していてもよい。Ar1、Ar2
およびAr3は、それぞれ独立に炭素数6〜15の芳香族
炭化水素基であり、具体的には、フェニレン基、ナフチ
レン基、ビフェニレン基、アントリレン基、ターフェニ
レン基等が挙げられ、これらはアルキル基、アルコキシ
基、フェニル基、ハロゲン原子等を置換基に有していて
もよい。
【0008】X1 およびX2 はそれぞれ独立に水素原子
またはR2−CO−(ただし、R2は炭素数1〜6の炭化
水素基である)で示される基であり、具体的には、水素
原子、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−
プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、n
−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、t−
ブチルカルボニル基、1−メチルエチルカルボニル基、
ペンチルカルボニル基(直鎖状または分岐鎖を有するも
の)、ヘキシルカルボニル基(直鎖状、環状または分岐
鎖を有するもの)、フェニルカルボニル基等が挙げられ
る。X3 、X4 およびX5 はそれぞれ独立に水素原子ま
たは炭素数1〜10の炭化水素基であり、炭化水素とし
ては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基であり、直鎖状、環状、ま
たは、分岐鎖を有するものでもよい。
【0009】(各構成成分)エステルモノマー〔I〕 一般式〔I〕で示されるエステルモノマーは、下記一般
式〔IV〕で示されるジオール化合物と一般式〔II〕で示
される芳香族カルボン酸化合物とを、エステル結合形成
に関して合目的的な任意の方法によって製造することが
できる。
【0010】
【化3】
【0011】〔式中、R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭
化水素基であり、X6 およびX7 はそれぞれ独立に水素
原子またはR2−CO−(ただし、R2 は炭素数1〜6
の炭化水素基である)で示される基である。〕この場合
の〔IV〕のジオールとしては、エチレングリコール、
1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−ブ
テン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオールなどの脂肪酸ジオールや、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジ
メタノールなどの脂環式ジオール等が挙げられる。
【0012】エステルモノマーの合成に使用される一般
式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化合物は、ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステル、またはア
シルオキシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステルであ
り、例えば、〔II〕のアシロキシ芳香族カルボン酸とし
ては、p−アセトキシ安息香酸、p−プロピオノキシ安
息香酸、p−ブチロキシ安息香酸、p−バレロキシ安息
香酸、p−カプロキシ安息香酸、2−アセトキシ−6−
ナフトエ酸、4'−アセトキシビフェニルカルボン酸等
が挙げられる。
【0013】エステルモノマー〔I〕の合成において
は、例えば、一般式〔IV〕で示されるジオール化合物と
一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化合物とを直
接エステル化する方法、一般式〔IV〕で示されるジオー
ル化合物と一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化
合物の少なくとも一方をその機能的誘導体の形で反応さ
せる方法、などが挙げられる。後者の方法としては、例
えば芳香族カルボン酸を酸ハライド(例えば酸クロライ
ド)とし、ジオールと反応させる場合、あるいはジオー
ル化合物のヒドロキシル基をそのアシル誘導体の形で芳
香族カルボン酸と反応させる場合、および、芳香族カル
ボン酸をエステル誘導体の形でヒドロキシル基と反応さ
せる場合等がある。例えば、一般式〔IV〕で示されるジ
オール化合物としてジオールを用い、一般式〔II〕で示
される芳香族カルボン酸化合物として、アシロキシ芳香
族カルボン酸を用いるとき、アシロキシ芳香族カルボン
酸を酸クロリドとし、ジオールに対し約2倍強のモル比
で反応させて脱塩酸することによりエステルモノマーを
製造することができる。〔IV〕で示されるジオールと
〔II〕で示される芳香族カルボン酸から〔I〕のエステ
ルモノマーを製造する場合には、〔I〕のAr1およびX1
は、それぞれ〔II〕のAr2およびX2と同じになる。
【0014】芳香族カルボン酸化合物〔II〕 本発明で使用される芳香族カルボン酸〔II〕は、上記の
エステルモノマー〔I〕の製造において説明したヒドロ
キシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステル、またはア
シルオキシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステルであ
る。勿論、エステルモノマー〔I〕の製造に使用したも
のとは、同一の芳香族カルボン酸であってもよく、また
は異なっていてもよい。ヒドロキシル基またはアシルオ
キシ基の位置はオルト、メタ、パラのいずれでもよい
が、とくに好ましくは、パラ位置である。
【0015】芳香族ジカルボン酸化合物〔III〕 本発明に使用される、一般式〔III〕で示される芳香族
ジカルボン酸化合物は、芳香族ジカルボン酸または芳香
族ジカルボン酸モノエステルあるいはジエステルであ
り、Ar3は、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であ
り、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェ
ニレン基、アントリレン基、ターフェニレン基等が挙げ
られ、これらはアルキル基、アルコキシ基、フェニル
基、ハロゲン原子等を置換基に有していてもよい。芳香
族ジカルボン酸の具体的な例としては、テレフタル酸、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4'−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0016】(液晶性ポリエステルの製造)本発明にお
いては、一般式〔I〕で示されるエステルモノマーと、
一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸と、一般式
〔III〕で示される芳香族ジカルボン酸化合物とを重縮
合させて、液晶性ポリエステルを製造する。芳香族ジカ
ルボン酸化合物〔III〕の使用量は、エステルモノマー
〔I〕に対して実質的に当量である。すなわち、そのモ
ル比が〔I〕/〔III〕=0.9〜1.1、好ましくは、
0.95〜1.05の範囲である。芳香族カルボン酸化合
物〔II〕の使用量は、エステルモノマー〔I〕に対し
て、0.1〜17モル倍の範囲である。
【0017】重合反応は、原料(エステルモノマー
〔I〕、芳香族カルボン酸化合物〔II〕および芳香族ジ
カルボン酸化合物〔III〕)を仕込み、反応温度を20
0〜350℃、好ましくは250〜325℃にすること
により行われる。仕込みの方法としては、全量を同時に
仕込んで反応させることの他に、全量の混合物を逐次装
入してもよい。反応時間は、反応温度によって異なる
が、例えば、反応温度を250℃から325℃に徐々に
昇温する場合、約7時間を要する。なお、この重合反応
は不活性ガス気流下で行うのが好ましい。不活性ガスと
しては、窒素やアルゴン等を用いることができ、系内に
連続的に導入させるのが好ましい。重縮合反応の進行に
伴い、下記の一般式〔V〕、〔VI〕、〔VII〕、〔VII
I〕、〔IX〕、〔X〕等で示される化合物が脱離してく
る。
【0018】
【化4】
【0019】これらの化合物を理論量系外に留去する
が、この場合反応時間などの点から最終的には減圧で反
応を行うのが好ましい。具体的には、反応の終期に1mm
Hg以下の真空度で1時間程度、さらに好ましくは、それ
に続いて0.1mmHg以下の真空度で0.5時間程度反応を
行う。本発明により製造される液晶性ポリマーは、十分
に分子量の大きいものであるべきである。この液晶性ポ
リマーは、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエ
タン=1/1の溶媒(またはペンタフルオロフェノー
ル、パラクロロフェノール)で測定した固有粘度が0.
2以上、好ましくは0.4以上である。また液晶開始温
度は、好ましくは160℃以上である。
【0020】本発明により製造される液晶性ポリマー
は、芳香族基の合計モル数(Ar1+Ar2+Ar3に相当)
に対するp−ヒドロキシ安息香酸構造単位(Ar1+Ar2
に相当)のモル比が68〜97%、好ましくは70〜9
5%であるものである。また、一般式〔I〕に対応する
構造単位と一般式〔III〕に対応する構造単位とのモル
比〔I〕/〔III〕は0.9〜1.1、好ましくは0.95
〜1.05である。ただし、このことは必ずしもこの液
晶性ポリマーが、構造単位〔I〕と〔III〕からなるポリ
エステルブロックと構造単位〔II〕からなるポリエステ
ルブロックとのブロックコポリエステルであることを意
味するものではない。すなわち、本発明による液晶性ポ
リエステルは、このようなブロックコポリエステルの他
に、各構造が無作為に結合しているランダムコポリエス
テルを包含するものである。もっとも無作為とはいって
も、各構造単位がエステル結合で結合しているところよ
り、それらの配列には自ずから制限がある。本発明の液
晶性ポリエステルは、射出成形、押出成形、圧縮成形、
ブロー成形などの通常の溶融成形に供することができ、
三次元成形品、フィルム、繊維、容器などに加工するこ
とが可能である。また、他の熱可塑性樹脂と混合するこ
とによって、ポリマーアロイとすることもできる。な
お、成形時には、本発明の液晶性ポリエステルに、ガラ
ス繊維、炭素繊維などの強化剤、充填剤、酸化防止剤、
安定剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を添加して、成形
品に所望の特性を付与することができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、共重合ポリエステルの極限粘
度、熱重量減少開始温度(TGA)、流動開始温度、液
晶性は次のようにして求めた。 (1)極限粘度:フェノール/1,1,2,2−テトラク
ロロエタン=1/1(重量比)である混合溶媒中30℃
で測定した。 上記の条件で溶解しないものについては、ペンタフルオ
ロフェノール(以下の表中、PFPと記す)、もしくは
パラクロロフェノール(以下の表中、p−ChPと記
す)中で50℃で測定した。 (2)熱重量減少開始温度(TGA):SEIKO I
&E製TG/DTA20を用い、昇温速度10℃/分、窒素中で
測定した。 (3)流動開始温度および液晶性:ホットステージ付き
偏光顕微鏡で確認した。
【0022】(参考例 1)p−アセトキシ安息香酸クロライドの合成 チオニルクロライド500mlにp−アセトキシ安息香
酸180.16g(1.0mol)を加え、触媒としてジメ
チルホルムアミド(DMF)1mlを滴下して撹拌し、塩
化水素、二酸化硫黄の発生が止まり反応液が透明になっ
たところで、さらに、p−アセトキシ安息香酸を18
0.16g(1.0mol)ずつ5回にわたって合計(6.0
mol)添加した。6.0molの全てが添加された後、塩化
水素、二酸化硫黄の発生が止まり、反応液が透明になっ
たところで、還流を3時間行った。その後蒸留により精
製した(173℃、10mmHg)。
【0023】(参考例 2)シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマー〔I〕
の合成 シクロヘキサンジメタノール194.684g(1.35
mol)、ピリジン242.64ml(3.0mol)、アセトン
1000mlをアルゴン気流下20℃以下に冷却した。こ
の中へ、p−アセトキシ安息香酸クロライド595.8
21g(3.0mol)を、反応液が20℃を越えないよう
に注意しながら滴下した。滴下後、室温で2時間、60
℃で2時間撹拌後静置し、蒸留水中に流し込んで濾過し
た。濾紙上の結晶を水で2回、メタノールで2回洗浄後
乾燥し、ジオキサンより再結晶し濾取乾燥し、シクロヘ
キサンのエステルモノマーを545.21g(1.164
mol、86.2%)得た。
【0024】(参考例 3)エチレングリコールのエステルモノマー〔I〕の合成 エチレングリコール27.932g(0.45mol)、ピ
リジン80.88ml、アセトン500mlをアルゴン気流
下20℃以下に冷却した。この中へ、p−アセトキシ安
息香酸クロライド198.607g(1.0mol)を、反
応液が20℃を越えないように注意しながら滴下した。
滴下後、室温で2時間、60℃で2時間撹拌後静置し、
蒸留水中に流し込んで分液した。上層の有機層を溶媒留
去し、得られた結晶をメタノールより再結晶し、濾取乾
燥し、エチレングリコールのエステルモノマー140.
06g(0.36mol、80.56%)を得た。
【0025】(参考例 4)ブタンジオールのエステルモノマー〔I〕の合成 ブタンジオール40.554g(0.45mol)、ピリジ
ン80.88ml、アセトン500mlをアルゴン気流下2
0℃以下に冷却した。この中へ、p−アセトキシ安息香
酸クロライド198.607g(1.0mol)を反応液が
20℃を越えないように注意しながら滴下した。滴下
後、室温で2時間、60℃で2時間撹拌後静置し、蒸留
水を流し込んで濾過した。濾紙上の結晶を水で2回、メ
タノールで2回洗浄後乾燥し、メタノールより再結晶し
濾取乾燥し、ブタンジオールのエステルモノマーを15
8.51g(0.38mol、85.00%)得た。
【0026】実施例 1 参考例2で製造したシクロヘキサンジメタノールのエス
テルモノマー〔I〕93.70g(0.2mol)、p−アセ
トキシ安息香酸〔II〕36.032g(0.2mol)およ
びテレフタル酸〔III〕33.228g(0.20mol)を
撹拌機、温度計、留出管、窒素導入管を装備した300
mlのセパラブルフラスコに装入した。アルゴンで3回置
換後、メタルバスを200℃とし、30分間加温して内
容物を溶融させた。撹拌を開始し、メタルバスを250
℃として2時間、その後275℃で2時間、300℃で
2時間、325℃で1時間反応させると酢酸が理論量
(34.35ml)の9割程度(33.0ml)留出した。さ
らに、325℃で1mmHg以下の減圧とし、30分間減圧
状態として、酢酸を理論量留出させた。重合終了後、セ
パラブルフラスコから熱いうちに内容物を取り出した。
このポリマーは、ホットステージ付き偏光顕微鏡により
溶融異方性が確認された。この液晶性ポリエステルは、
極限粘度〔η〕は0.549、流動開始温度は235
℃、TGAは404.6℃であった。得られた液晶ポリ
マーの、赤外分光スペクトルを図1に示す。
【0027】実施例 2〜4 実施例1の仕込みモル比を種々変化させ、同様に重合さ
せた。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例 5 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例3により製造したエチレングリコールのエステルモ
ノマー77.272g(0.2mol)に変えた以外は実施
例1と同様にして、液晶性ポリマーを得た。このポリマ
ーは、ホットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性
が確認された。この液晶性ポリエステルは、極限粘度
〔η〕は0.311(p−ChP)。流動開始温度は2
30℃で、TGAは417.3℃であった。
【0030】実施例 6〜8 実施例5の仕込みモル比を種々変化させ、同様に重合さ
せた。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】実施例 9 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例4により製造したブタンジオールのエステルモノマ
ー82.883g(0.2mol)に変えた以外は実施例1
と同様にして、液晶性ポリマーを得た。このポリマー
は、ホットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が
確認された。この結晶性ポリエステルは、極限粘度
〔η〕は0.272、流動開始温度は160℃で、TG
Aは377.0℃であった。
【0033】実施例 10〜12 実施例9の仕込みモル比を種々変化させ、同様に重合さ
せた。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】実施例 13 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例3により製造したエチレングリコールのエステルモ
ノマー57.954g(0.15mol)に変え、また、テ
レフタル酸を2,6′−ナフタレンジカルボン酸32.4
29g(0.15mol)に変えた以外は実施例1と同様に
して、液晶性ポリマーを得た。このポリマーは、ホット
ステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認され
た。この結晶性ポリエステルは、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン=1/1(重量比)の溶
媒、ペンタフルオロフェノールおよびパラクロロフェノ
ールのいずれにも不溶であり、極限粘度〔η〕は測定不
可能であった。流動開始温度は260℃で、TGAは4
33.0℃であった。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】実施例 14 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例3により製造したエチレングリコールのエステルモ
ノマー57.954g(0.15mol)に変え、また、テ
レフタル酸を4,4′−ビフェニルジカルボン酸36.3
35g(0.15mol)に変えた以外は実施例1と同様に
して、液晶性ポリマーを得た。このポリマーは、ホット
ステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認され
た。この結晶性ポリエステルは、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン=1/1(重量比)の溶
媒、ペンタフルオロフェノールおよびパラクロロフェノ
ールのいずれにも不溶であり、極限粘度〔η〕は測定不
可能であった。流動開始温度は275℃で、TGAは4
28.9℃であった。結果を表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、パラヒドロ
キシ安息香酸(p−HBA)の構造単位を多く含有する
ことができ、均一性が高く流動性に優れ、かつ、耐熱性
に優れた液晶性ポリエステルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた液晶ポリマーの赤
外分光スペクトルを示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 サーモトロピック液晶性ポリエス
テルの製造方法
【特許請求の範囲】
【化1】 〔式中、R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基であ
り、Ar1、Ar2およびAr3は、それぞれ独立に炭素数6
18の芳香族炭化水素基であり、X1 およびX2 はそ
れぞれ独立に水素原子またはR2−CO−(ただし、R2
は炭素数1〜6の炭化水素基である)で示される基で
あり、X3 、X4 およびX5 はそれぞれ独立に水素原子
または炭素数1〜10の炭化水素基である〕。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーモトロピック液晶
性ポリエステル(以下、液晶性ポリエステルと記す)の
製造方法に関するものである。とくに本発明は耐熱性に
優れ、かつ、流動性・均一性に優れた液晶性ポリエステ
ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子分野、自動車分野の発
展に伴い、プラスチックに対しても高性能化の要求が高
まり、数多くのプラスチックが開発され、市場に提供さ
れている。中でも、溶融時に光学的異方性を示し、分子
鎖が平行に配列する一群の高分子化合物は、サーモトロ
ピック液晶性ポリマーと呼ばれ、成形加工性に優れると
共に成形体の機械的性質が向上することから注目を集め
ている。液晶性ポリエステルとしては、ポリエチレンテ
レフタレート単位とパラヒドロキシ安息香酸単位とのエ
ステル結合のみからなる共重合ポリエステルが代表的で
ある〔ダブリュウ ジェイ ジャクソン(W.J.Jackson)
ら、ジャーナル オブ ポリマー サイエンス、ケミカル
エディション(J.Polym.Sci.Polym.Chem.Ed.)14巻、2043
頁(1976年)、米国特許第3804805号、特公昭56-18016
号公報等)。上記の特公昭56-18016号公報中には、ポリ
エチレンテレフタレート単位とパラアセトキシ安息香酸
(以下、p−ABAという)とを混合し、240〜30
0℃に加熱することにより重合させて液晶性ポリエステ
ルを製造する方法が記載されているが、この方法では、
p−ABA成分を75モル%以上とした場合、p−AB
Aがブロック的に重合して生じたと考えられるポリマー
が不溶不融の異物として混在し、得られた液晶性ポリエ
ステルの流動性が悪くなり、成形加工性が低下するとい
う問題があった(比較例1)。 この異物の発生は、この種のポリマーの良溶媒であるフ
ェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=1/1
(容量比)に溶解させたとき、多量の不溶物質が存在す
ることからもうかがえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、p−
ABAに代表されるパラヒドロキシ安息香酸(以下、p
−HBAという)構造単位を多く含有でき、耐熱性・流
動性に優れ、均一な液晶性ポリエステルの製造方法を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
の一般式〔I〕で示されるエステルモノマー、一般式〔I
I〕で示される芳香族カルボン酸化合物および一般式〔I
II〕で示される芳香族ジカルボン酸化合物とを重縮合さ
せることを特徴とする、サーモトロピック液晶性ポリエ
ステルの製造方法を提供するものである。
【0005】
【化2】
【0006】〔式中、R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭
化水素基であり、Ar1、Ar2およびAr3は、それぞれ独
立に炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、X1
よびX2 はそれぞれ独立に水素原子またはR2−CO−
(ただし、R2 は炭素数1〜6の炭化水素基である)で
示される基であり、X3 、X4 およびX5 はそれぞれ独
立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であ
る。〕
【0007】R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基
であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピ
レン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘ
プチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、
ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テト
ラデシレン基、ペンタデシレン基であり、直鎖状のもの
の他、分岐鎖または環を有していてもよい。Ar1、Ar2
およびAr3は、それぞれ独立に炭素数6〜15の芳香族
炭化水素基であり、具体的には、フェニレン基、ナフチ
レン基、ビフェニレン基、アントリレン基、ターフェニ
レン基等が挙げられ、これらはアルキル基、アルコキシ
基、フェニル基、ハロゲン原子等を置換基に有していて
もよい。
【0008】X1 およびX2 はそれぞれ独立に水素原子
またはR2−CO−(ただし、R2は炭素数1〜6の炭化
水素基である)で示される基であり、具体的には、水素
原子、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−
プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、n
−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、t−
ブチルカルボニル基、1−メチルエチルカルボニル基、
ペンチルカルボニル基(直鎖状または分岐鎖を有するも
の)、ヘキシルカルボニル基(直鎖状、環状または分岐
鎖を有するもの)、フェニルカルボニル基等が挙げられ
る。X3 、X4 およびX5 はそれぞれ独立に水素原子ま
たは炭素数1〜10の炭化水素基であり、炭化水素とし
ては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基であり、直鎖状、環状、ま
たは、分岐鎖を有するものでもよい。
【0009】(各構成成分)エステルモノマー〔I〕 一般式〔I〕で示されるエステルモノマーは、下記一般
式〔IV〕で示されるジオール化合物と一般式〔II〕で示
される芳香族カルボン酸化合物とを、エステル結合形成
に関して合目的的な任意の方法によって製造することが
できる。
【0010】
【化3】
【0011】〔式中、R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭
化水素基であり、X6 およびX7 はそれぞれ独立に水素
原子またはR2−CO−(ただし、R2 は炭素数1〜6
の炭化水素基である)で示される基である。〕この場合
の〔IV〕のジオールとしては、エチレングリコール、
1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−ブ
テン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオールなどの脂肪酸ジオールや、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジ
メタノールなどの脂環式ジオール等が挙げられる。
【0012】エステルモノマーの合成に使用される一般
式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化合物は、ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステル、またはア
シルオキシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステルであ
り、例えば、〔II〕のアシロキシ芳香族カルボン酸とし
ては、p−アセトキシ安息香酸、p−プロピオノキシ安
息香酸、p−ブチロキシ安息香酸、p−バレロキシ安息
香酸、p−カプロキシ安息香酸、2−アセトキシ−6−
ナフトエ酸、4'−アセトキシビフェニルカルボン酸等
が挙げられる。
【0013】エステルモノマー〔I〕の合成において
は、例えば、一般式〔IV〕で示されるジオール化合物と
一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化合物とを直
接エステル化する方法、一般式〔IV〕で示されるジオー
ル化合物と一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化
合物の少なくとも一方をその機能的誘導体の形で反応さ
せる方法、などが挙げられる。後者の方法としては、例
えば芳香族カルボン酸を酸ハライド(例えば酸クロライ
ド)とし、ジオールと反応させる場合、あるいはジオー
ル化合物のヒドロキシル基をそのアシル誘導体の形で芳
香族カルボン酸と反応させる場合、および、芳香族カル
ボン酸をエステル誘導体の形でヒドロキシル基と反応さ
せる場合等がある。例えば、一般式〔IV〕で示されるジ
オール化合物としてジオールを用い、一般式〔II〕で示
される芳香族カルボン酸化合物として、アシロキシ芳香
族カルボン酸を用いるとき、アシロキシ芳香族カルボン
酸を酸クロリドとし、ジオールに対し約2倍強のモル比
で反応させて脱塩酸することによりエステルモノマーを
製造することができる。〔IV〕で示されるジオールと
〔II〕で示される芳香族カルボン酸から〔I〕のエステ
ルモノマーを製造する場合には、〔I〕のAr1およびX1
は、それぞれ〔II〕のAr2およびX2と同じになる。
【0014】芳香族カルボン酸化合物〔II〕 本発明で使用される芳香族カルボン酸〔II〕は、上記の
エステルモノマー〔I〕の製造において説明したヒドロ
キシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステル、またはア
シルオキシ芳香族カルボン酸もしくはそのエステルであ
る。勿論、エステルモノマー〔I〕の製造に使用したも
のとは、同一の芳香族カルボン酸であってもよく、また
は異なっていてもよい。ヒドロキシル基またはアシルオ
キシ基の位置はオルト、メタ、パラのいずれでもよい
が、とくに好ましくは、パラ位置である。
【0015】芳香族ジカルボン酸化合物〔III〕 本発明に使用される、一般式〔III〕で示される芳香族
ジカルボン酸化合物は、芳香族ジカルボン酸または芳香
族ジカルボン酸モノエステルあるいはジエステルであ
り、Ar3は、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基であ
り、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェ
ニレン基、アントリレン基、ターフェニレン基等が挙げ
られ、これらはアルキル基、アルコキシ基、フェニル
基、ハロゲン原子等を置換基に有していてもよい。芳香
族ジカルボン酸の具体的な例としては、テレフタル酸、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4'−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0016】(液晶性ポリエステルの製造)本発明にお
いては、一般式〔I〕で示されるエステルモノマーと、
一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸と、一般式
〔III〕で示される芳香族ジカルボン酸化合物とを重縮
合させて、液晶性ポリエステルを製造する。芳香族ジカ
ルボン酸化合物〔III〕の使用量は、エステルモノマー
〔I〕に対して実質的に当量である。すなわち、そのモ
ル比が〔I〕/〔III〕=0.9〜1.1、好ましくは、
0.95〜1.05の範囲である。芳香族カルボン酸化合
物〔II〕の使用量は、エステルモノマー〔I〕に対し
て、0.1〜17モル倍の範囲である。
【0017】重合反応は、原料(エステルモノマー
〔I〕、芳香族カルボン酸化合物〔II〕および芳香族ジ
カルボン酸化合物〔III〕)を仕込み、反応温度を20
0〜350℃、好ましくは250〜325℃にすること
により行われる。仕込みの方法としては、全量を同時に
仕込んで反応させることの他に、全量の混合物を逐次装
入してもよい。反応時間は、反応温度によって異なる
が、例えば、反応温度を250℃から325℃に徐々に
昇温する場合、約7時間を要する。なお、この重合反応
は不活性ガス気流下で行うのが好ましい。不活性ガスと
しては、窒素やアルゴン等を用いることができ、系内に
連続的に導入させるのが好ましい。重縮合反応の進行に
伴い、下記の一般式〔V〕、〔VI〕、〔VII〕、〔VII
I〕、〔IX〕、〔X〕等で示される化合物が脱離してく
る。
【0018】
【化4】
【0019】これらの化合物を理論量系外に留去する
が、この場合反応時間などの点から最終的には減圧で反
応を行うのが好ましい。具体的には、反応の終期に1mm
Hg以下の真空度で1時間程度、さらに好ましくは、それ
に続いて0.1mmHg以下の真空度で0.5時間程度反応を
行う。本発明により製造される液晶性ポリマーは、十分
に分子量の大きいものであるべきである。この液晶性ポ
リマーは、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエ
タン=1/1の溶媒(またはペンタフルオロフェノー
ル、パラクロロフェノール)で測定した固有粘度が0.
2以上、好ましくは0.4以上である。また流動開始温
度は、好ましくは160℃以上である。
【0020】本発明により製造される液晶性ポリマー
は、芳香族基の合計モル数(Ar1+Ar2+Ar3に相当)
に対するp−ヒドロキシ安息香酸構造単位(Ar1+Ar2
に相当)のモル比が68〜97%、好ましくは70〜9
5%であるものである。また、一般式〔I〕に対応する
構造単位と一般式〔III〕に対応する構造単位とのモル
比〔I〕/〔III〕は0.9〜1.1、好ましくは0.95
〜1.05である。ただし、このことは必ずしもこの液
晶性ポリマーが、構造単位〔I〕と〔III〕からなるポリ
エステルブロックと構造単位〔II〕からなるポリエステ
ルブロックとのブロックコポリエステルであることを意
味するものではない。すなわち、本発明による液晶性ポ
リエステルは、このようなブロックコポリエステルの他
に、各構造が無作為に結合しているランダムコポリエス
テルを包含するものである。もっとも無作為とはいって
も、各構造単位がエステル結合で結合しているところよ
り、それらの配列には自ずから制限がある。本発明の液
晶性ポリエステルは、射出成形、押出成形、圧縮成形、
ブロー成形などの通常の溶融成形に供することができ、
三次元成形品、フィルム、繊維、容器などに加工するこ
とが可能である。また、他の熱可塑性樹脂と混合するこ
とによって、ポリマーアロイとすることもできる。な
お、成形時には、本発明の液晶性ポリエステルに、ガラ
ス繊維、炭素繊維などの強化剤、充填剤、酸化防止剤、
安定剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を添加して、成形
品に所望の特性を付与することができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、共重合ポリエステルの極限粘
度、熱重量減少開始温度(TGA)、流動開始温度、液
晶性は次のようにして求めた。 (1)極限粘度:フェノール/1,1,2,2−テトラク
ロロエタン=1/1(重量比)である混合溶媒中30℃
で測定した。 上記の条件で溶解しないものについては、ペンタフルオ
ロフェノール(以下の表中、PFPと記す)、もしくは
パラクロロフェノール(以下の表中、p−ChPと記
す)中で50℃で測定した対数粘度で示した。但し、表
中の横線は、上記のいずれの溶媒にも溶解しなかったこ
とを示す。 (2)熱重量減少開始温度(TGA):SEIKO I
&E製TG/DTA20を用い、昇温速度10℃/分、窒素中で
測定した。 (3)流動開始温度および液晶性:ホットステージ付き
偏光顕微鏡で確認した。
【0022】(参考例 1)p−アセトキシ安息香酸クロライドの合成 チオニルクロライド500mlにp−アセトキシ安息香
酸180.16g(1.0mol)を加え、触媒としてジメ
チルホルムアミド(DMF)1mlを滴下して撹拌し、塩
化水素、二酸化硫黄の発生が止まり反応液が透明になっ
たところで、さらに、p−アセトキシ安息香酸を18
0.16g(1.0mol)ずつ5回にわたって合計(6.0
mol)添加した。6.0molの全てが添加された後、塩化
水素、二酸化硫黄の発生が止まり、反応液が透明になっ
たところで、還流を3時間行った。その後蒸留により精
製した(173℃、10mmHg)。
【0023】(参考例 2)シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマー〔I〕
の合成 シクロヘキサンジメタノール194.684g(1.35
mol)、ピリジン242.64ml(3.0mol)、アセトン
1000mlをアルゴン気流下20℃以下に冷却した。こ
の中へ、p−アセトキシ安息香酸クロライド595.8
21g(3.0mol)を、反応液が20℃を越えないよう
に注意しながら滴下した。滴下後、室温で2時間、60
℃で2時間撹拌後静置し、蒸留水中に流し込んで濾過し
た。濾紙上の結晶を水で2回、メタノールで2回洗浄後
乾燥し、ジオキサンより再結晶し濾取乾燥し、シクロヘ
キサンのエステルモノマーを545.21g(1.164
mol、86.2%)得た。
【0024】(参考例 3)エチレングリコールのエステルモノマー〔I〕の合成 エチレングリコール27.932g(0.45mol)、ピ
リジン80.88ml、アセトン500mlをアルゴン気流
下20℃以下に冷却した。この中へ、p−アセトキシ安
息香酸クロライド198.607g(1.0mol)を、反
応液が20℃を越えないように注意しながら滴下した。
滴下後、室温で2時間、60℃で2時間撹拌後静置し、
蒸留水中に流し込んで分液した。上層の有機層を溶媒留
去し、得られた結晶をメタノールより再結晶し、濾取乾
燥し、エチレングリコールのエステルモノマー140.
06g(0.36mol、80.56%)を得た。
【0025】(参考例 4)ブタンジオールのエステルモノマー〔I〕の合成 ブタンジオール40.554g(0.45mol)、ピリジ
ン80.88ml、アセトン500mlをアルゴン気流下2
0℃以下に冷却した。この中へ、p−アセトキシ安息香
酸クロライド198.607g(1.0mol)を反応液が
20℃を越えないように注意しながら滴下した。滴下
後、室温で2時間、60℃で2時間撹拌後静置し、蒸留
水を流し込んで濾過した。濾紙上の結晶を水で2回、メ
タノールで2回洗浄後乾燥し、メタノールより再結晶し
濾取乾燥し、ブタンジオールのエステルモノマーを15
8.51g(0.38mol、85.00%)得た。
【0026】実施例 1 参考例2で製造したシクロヘキサンジメタノールのエス
テルモノマー〔I〕93.70g(0.2mol)、p−アセ
トキシ安息香酸〔II〕36.032g(0.2mol)およ
びテレフタル酸〔III〕33.228g(0.20mol)を
撹拌機、温度計、留出管、アルゴン導入管を装備した3
00mlのセパラブルフラスコに装入した。アルゴンで3
回置換後、メタルバスを200℃とし、30分間加温し
て内容物を溶融させた。撹拌を開始し、メタルバスを2
50℃として2時間、その後275℃で2時間、300
℃で2時間、325℃で1時間反応させると酢酸が理論
量(34.35ml)の9割程度(33.0ml)留出した。
さらに、325℃で1mmHg以下の減圧とし、30分間減
圧状態として、酢酸を理論量留出させた。重合終了後、
セパラブルフラスコから熱いうちに内容物を取り出し
た。このポリマーは、ホットステージ付き偏光顕微鏡に
より溶融異方性が確認された。この液晶性ポリエステル
は、極限粘度〔η〕は0.549、流動開始温度は23
5℃、TGAは404.6℃であった。得られた液晶ポ
リマーの、赤外分光スペクトルを図1に示す。
【0027】実施例 2〜4 実施例1の仕込みモル比を種々変化させ、同様に重合さ
せた。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例 5 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例3により製造したエチレングリコールのエステルモ
ノマー77.272g(0.2mol)に変えた以外は実施
例1と同様にして、液晶性ポリマーを得た。このポリマ
ーは、ホットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性
が確認された。この液晶性ポリエステルは、極限粘度
〔η〕は0.311(p−ChP)。流動開始温度は2
30℃で、TGAは417.3℃であった。
【0030】実施例 6〜8 実施例5の仕込みモル比を種々変化させ、同様に重合さ
せた。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】実施例 9 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例4により製造したブタンジオールのエステルモノマ
ー82.883g(0.2mol)に変えた以外は実施例1
と同様にして、液晶性ポリマーを得た。このポリマー
は、ホットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が
確認された。この結晶性ポリエステルは、極限粘度
〔η〕は0.272、流動開始温度は160℃で、TG
Aは377.0℃であった。
【0033】実施例 10〜12 実施例9の仕込みモル比を種々変化させ、同様に重合さ
せた。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】実施例 13 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例3により製造したエチレングリコールのエステルモ
ノマー57.954g(0.15mol)に変え、また、テ
レフタル酸を2,6′−ナフタレンジカルボン酸32.4
29g(0.15mol)に変えた以外は実施例1と同様に
して、液晶性ポリマーを得た。このポリマーは、ホット
ステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認され
た。この結晶性ポリエステルは、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン=1/1(重量比)の溶
媒、ペンタフルオロフェノールおよびパラクロロフェノ
ールのいずれにも不溶であり、極限粘度〔η〕は測定不
可能であった。流動開始温度は260℃で、TGAは4
33.0℃であった。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】実施例 14 シクロヘキサンジメタノールのエステルモノマーを、参
考例3により製造したエチレングリコールのエステルモ
ノマー57.954g(0.15mol)に変え、また、テ
レフタル酸を4,4′−ビフェニルジカルボン酸36.3
35g(0.15mol)に変えた以外は実施例1と同様に
して、液晶性ポリマーを得た。このポリマーは、ホット
ステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認され
た。この結晶性ポリエステルは、フェノール/1,1,
2,2−テトラクロロエタン=1/1(重量比)の溶
媒、ペンタフルオロフェノールおよびパラクロロフェノ
ールのいずれにも不溶であり、極限粘度〔η〕は測定不
可能であった。流動開始温度は275℃で、TGAは4
28.9℃であった。結果を表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】比較例 1 実施例1と同様の反応装置に、ポリエチレンテレフタレ
ート63.99g(0.333mol)とp−アセトキシ安
息香酸120.11g(0.667mol)とを仕込んだ。
アルゴンで3回置換後、メタルバスを200℃とし、3
0分加温して内容物を溶融させた。続いて、撹拌を開始
し、メタルバスを250℃で2時間、その後275℃で
1時間経過したころ、白色固体が析出してきた。この白
色固体の極限粘度を測定しようとしたが、フェノール/
1,1,2,2-テトラクロロエタン=1/1(重量比)の混合
溶媒、p−クロロフェノール、ペンタフルオロフェノー
ルには溶解せず、固有粘度の測定ができなかった。ま
た、流動開始温度において、不溶物質が見られ、均一な
液晶相が得られなかった。
【0040】比較例 2 実施例1と同様の反応装置に、ポリブチレンテレフタレ
ート73.41g(0.333mol)とp−アセトキシ安
息香酸120.11g(0.667mol)とを仕込んだ。
アルゴンで3回置換後、メタルバスを200℃とし、3
0分加温して内容物を溶融させた。続いて、撹拌を開始
し、メタルバスを250℃で2時間、その後275℃で
1時間経過したころ、白色固体が析出してきた。この白
色固体の極限粘度を測定しようとしたが、フェノール/
1,1,2,2-テトラクロロエタン=1/1(重量比)の混合
溶媒、p−クロロフェノール、ペンタフルオロフェノー
ルには溶解せず、固有粘度の測定ができなかった。ま
た、流動開始温度において、不溶物質が見られ、均一な
液晶相が得られなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、パラヒドロ
キシ安息香酸(p−HBA)の構造単位を多く含有する
ことができ、均一性が高く流動性に優れ、かつ、耐熱性
に優れた液晶性ポリエステルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた液晶ポリマーの赤
外分光スペクトルを示す図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】下記の一般式〔I〕で示されるエステルモ
    ノマー、一般式〔II〕で示される芳香族カルボン酸化合
    物および一般式〔III〕で示される芳香族ジカルボン酸
    化合物とを重縮合させることを特徴とする、サーモトロ
    ピック液晶性ポリエステルの製造方法: 【化1】 〔式中、R1 は炭素数1〜15の脂肪族炭化水素基であ
    り、Ar1、Ar2およびAr3は、それぞれ独立に炭素数6
    〜15の芳香族炭化水素基であり、X1 およびX2 はそ
    れぞれ独立に水素原子またはR2−CO−(ただし、R2
    は炭素数1〜6の炭化水素基である)で示される基で
    あり、X3 、X4 およびX5 はそれぞれ独立に水素原子
    または炭素数1〜10の炭化水素基である〕。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5599408A (en) * 1992-09-04 1997-02-04 Mitsubishi Jukogyo Kabushiki Kaisha Method of producing a structural member
JP2010150377A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Kaneka Corp 高熱伝導性熱可塑性樹脂及び組成物

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