JPH05113683A - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JPH05113683A
JPH05113683A JP27296591A JP27296591A JPH05113683A JP H05113683 A JPH05113683 A JP H05113683A JP 27296591 A JP27296591 A JP 27296591A JP 27296591 A JP27296591 A JP 27296591A JP H05113683 A JPH05113683 A JP H05113683A
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JP
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diphenoquinone
photoconductor
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Application number
JP27296591A
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Nobuyoshi Mori
伸義 森
Shinichi Tamura
信一 田村
Shigefumi Terasaki
成史 寺崎
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】下地の影響をあまり受けることなく容易に形成
することのできる良好な電荷発生層を備え、高感度で、
良好な画像が得られ、かつ、特性および画質が長期にわ
たって安定な感光体を提供する。 【構成】導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層を積層
してなる感光層を備えた感光体において、電荷発生層に
下記構造式(1)で示されるジフェノキノン誘導体を5
重量%以上80重量%以下の範囲内で含有する。 [式(1)中、RないしRは水素原子、塩素原子、
ふっ素原子、臭素原子、または、以下の炭素数が1から
20までの直鎖若しくは分岐のアルキル基、アラルキル
基、ハロゲン基、ニトロ基、フェニル基、アルコキシ
基、フェノキシ基のうちのいずれかを表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、導電性基体上に電荷
発生層と電荷輸送層を積層してなる感光層を備えた機能
分離型の有機系電子写真用感光体に関し、詳しくは、そ
の電荷発生層の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は、既にカールソンが米国特
許第2297691号明細書に開示しているように、光
導電性材料と静電現象とを巧妙に組み合わせた画像形成
法の一種であり、導電性基体上に光導電性材料からなる
感光層を備えた電子写真用感光体(以下、単に感光体と
も称する)を用い、その表面を暗所でコロナ放電などに
より一様に帯電した後、その表面に光像を露光して感光
層の光導電性を利用して静電潜像に変え、これに着色し
た電荷粉体(トナー)を付着させて可視像に変え、この
可視像を紙などの支持体上に移して定着させて画像を得
る方法である。
【0003】このような電子写真法に用いられる感光体
に要求される基本的な電気的および光電的特性として
は、暗所において適切な電位に帯電できること、光照射
により速やかに電荷を逸散させることかできることなど
が挙げられる。このような感光体の光導電性材料とし
て、従来、無定形セレン,硫化カドミウム,酸化亜鉛な
どの無機材料が広く用いられてきた。これらの無機材料
は、上記の要求はほぼ満足するが、いくつかの欠点も有
する。例えば、硫化カドミウムや酸化亜鉛は結着剤とし
ての樹脂に分散させて用いられるが、平滑性,硬度,引
っ張り強度,耐磨耗性などの機械的な欠点を有するため
に、そのままでは反復使用に耐えられない。さらに、硫
化カドミウムは衛生上の問題にも考慮が必要である。ま
た、無定形セレンにおいては、製法が蒸着によらねばな
らず製造コストが高価となる他に、可とう性がなくベル
ト状に加工することが困難であり、さらに、熱や機械的
衝撃に弱いために取扱いに注意を要するなどの欠点を有
する。
【0004】近年、これらの無機系光導電性材料に替わ
って有機系光導電性材料の研究が進み、有機系光導電性
材料の成膜の容易性,可とう性,軽量,分光感度の多様
性などの多くの長所を生かして、種々の有機系感光体が
開発され、実用に供されるようになってきた。一般に、
有機系感光体はその構成により、単層型感光体と積層型
機能分離型感光体とに分けられる。単層型感光体は、従
来の硫化カドミウム,酸化亜鉛を用いた無機系感光体の
ように、有機系光導電性材料を結着剤中に分散させたも
のからなる単層の感光層を備えた構成のもの、または、
米国特許第3764315号明細書に記載さているよう
に、光を吸収して電荷を発生する物質を電荷を輸送する
能力の高い物質中に分散させたものからなる単層の感光
層を備えた構成のものである。すなわち、単一の感光層
の中で電荷の発生と電荷の輸送が行われる単純な構成で
理想的な構成のものである。しかしがら、このような単
層型感光体の場合、感度を良くするために電荷発生物質
を多量に含有させると、感光体の機械的強度,帯電性,
電荷保持能力の低下が起こり、また、電荷発生物質の強
い光吸収のために光が感光層内部にまで到達せず感光層
内部に十分な電荷が発生せず、意に反して感度の低下を
もたらすなどの問題があり、単一層内で電荷の発生と輸
送を効率良く行うことは技術的にかなり難しい。上述の
ような理由から、有機系感光体は現在では、米国特許第
3484237号明細書,米国特許第3791826号
明細書,米国特許第3871882号明細書,特開昭4
9−105537号公報,特開昭51−90827など
に記載されているような、感光層を主として光を吸収し
て電荷を発生する電荷発生層と発生した電荷を輸送する
電荷輸送層とに分離して積層した積層型機能分離型感光
体が主流となってきている。積層型機能分離型感光体
は、その構成において、導電性基体上に電荷発生層,電
荷輸送層を順次積層した感光層を設けたものと、導電性
基体上に電荷輸送層,電荷発生層を順次積層した感光層
を設けたものとに大別される。導電性基体と感光層の間
には必要に応じて下引き層が設けられることがある。積
層型機能分離型感光体においては、電荷発生層で発生し
た電荷の正孔と電子は再結合したりトラップに捕獲され
たりして失活しないうちに速やかに導電性基体と感光体
表面へ輸送されることが必要である。ところで、現在、
電荷輸送物質として、正孔輸送物質は高性能のものが種
々見出されているが、電子輸送物質は見出されていな
い。従って、現在の感光体では、電荷輸送層は正孔を輸
送する層であり、電荷発生層で発生した正孔と電子のう
ち、正孔は電荷輸送層により感光体表面あるいは導電性
基体に輸送され、電子は電荷発生層中で直接導電性基体
あるいは感光体表面に輸送される。そのために、電子の
移動距離を短くするために電荷発生層の膜厚をできるだ
け薄くすることが必要となる。このため、現在実用化さ
れている感光体においては、電荷輸送層の膜厚は10μ
m〜30μmであるのに対し電荷発生層の膜厚は0.5
μm以下とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、積層型
機能分離型感光体においては、電荷発生層の膜厚を薄く
しなければならないが、そのために多くの不利が生じ
る。
【0006】感光体の構成が導電性基体/電荷発生層/
電荷輸送層の順である場合には、電荷発生層の形成に際
して導電性基体表面の影響を受け易く、基体表面の粗
さ,傷,汚れ,変質(酸化など)、さらには、基体材質
が合金の場合には合金成分の結晶粒の大きさなどに起因
する塗布ムラや膜厚ムラが発生して、製造時の収率の低
下をきたし、また、画像欠陥や濃度ムラの原因となる。
このような問題を解消するために、基体表面に切削加工
や鏡面加工を施すことが行われてきた。しかし、このよ
うに平滑に加工された基体表面においても、薄膜の電荷
発生層を塗布する場合には基体と電荷発生層との親和性
の不一致のために塗布ムラや密着性不足などの問題が発
生することが多かった。これを避けるために、平滑加工
された基体表面をさらに下引き層で被覆することが行わ
れてきた。このような目的の下引き層の材料としては、
無機化合物ではアルマイトのような金属酸化物、有機化
合物では塗工可能な低抵抗の有機樹脂であるカゼイン,
ポリビニルアルコール,ポリビニルメチルエーテル,ポ
リ−N−ビニルイミダゾール,エチルセルロース,メチ
ルセルロース,エチレン−アクリル酸ポリマー,ゼラチ
ン,ポリアミドなどが知られている。しかし、金属酸化
皮膜のような無機系の下引き層は膜形成の工程が複雑で
あるうえに、基体自身も平滑に加工しなくてはならず、
高価となる欠点を有する。また、有機樹脂を塗工する有
機系の下引き層は、有機樹脂がまだ高抵抗であるため、
その膜厚を薄くしなけは露光時に感光層からの電荷を基
体に速やかに逃がすことができず、残留電位の増加,感
度の低下をもたらす。従って、薄膜をムラなく均一に成
膜しなければならないという本質的な問題は解決されな
いことになる。
【0007】さらに、電荷発生層を薄膜としなければな
らないことは、基体からの影響だけでなく電荷発生層自
体の問題もある。一般に現在の有機系感光体で用いられ
ている有機顔料,染料などの電荷発生物質はそれ自体で
は皮膜形成性を持たないために、高分子樹脂などの結着
剤を併用し、これらの結着剤と共に有機溶媒に分散,溶
解した塗液を塗布することにより成膜する。このような
結着剤は光導電性を有しないため、その量を増やすと電
荷の移動を妨げ、感光体の感度低下,繰り返し使用時の
特性変動の増大をきたす。このために、結着剤の割合を
できるだけ減らすことが望ましいが、このことは、電荷
発生層の機械的強度や耐溶剤性を低下させることにな
り、感光体製造時の収率の低下や感光体自身の機械的強
度の低下をきたす。また、薄膜を形成するためには必然
的に塗液の濃度を薄くする必要があり、有機顔料の分散
安定性が当然のことながら低下し、塗液の保存性の低
下,塗工時での膜中の有機顔料の凝集などが発生し、塗
液の管理や塗工技術が難しいという問題がある。
【0008】また、感光体の構成が導電性基体/電荷輸
送層/電荷発生層の順である場合には、上述の問題点の
他に、感光体の表面が薄膜であるために、例えば、トナ
ーを付着させるための磁気ブラシとの接触,残留トナー
を除去するためのクリーニングブレードとの接触などに
より表面が磨耗すると感光体特性が大幅に悪化すること
になり、寿命が著しく短くなるという問題を有する。
【0009】この発明は、上述の問題点を解消して、下
地の影響をあまり受けることなく容易に形成することが
できる塗布ムラ,膜厚ムラの少ない電荷発生層を備え、
高感度で、良好な画質の画像を得ることができ、かつ、
特性および画質が長期にわたって安定な感光体を提供す
ることを解決しようとする課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明
によれば、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層を積
層してなる感光層を備えた電子写真用感光体において、
前記電荷発生層に下記構造式(1)で示されるジフェノ
キノン誘導体が含有されている感光体とすることによっ
て解決される。
【0011】
【化2】
【0012】式(1)中、R1 ないしR8 は水素原子、
塩素原子、ふっ素原子、臭素原子、または、以下の炭素
数が1から20までの直鎖若しくは分岐のアルキル基,
アラルキル基,ハロゲン基,ニトロ基,フェニル基,ア
ルコキシ基,フェノキシ基のうちのいずれかを表し、具
体例としては、例えばメチル基,エチル基,プロピル
基,イソプロピル基,n−ブチル基,t−ブチル基,n
−アミル基,イソアミル基,ヘキシル基,オクチル基な
どが挙げられる。
【0013】この発明に係わる電荷発生層は電荷発生物
質と前記構造式(1)で示されるジフェノキノン誘導体
と結着剤を主成分としてなる。前記構造式(1)で示さ
れるジフェノキノン誘導体は、酸化剤の存在下で対応す
るフェノール誘導体の酸化カップリング反応により簡単
に、かつ、高収率で合成することができる。このような
ジフェノキノン誘導体の好適な例としては、3,3´,
5,5´−テトラ−ter−ブチル−4,4´−ジフェ
ノキノン、3,5−ジメチル−3´,5´−ジ−ter
−ブチル−4,4´−ジフェノキノンが挙げられる。
【0014】また、前記構造式(1)で示されるジフェ
ノキノン誘導体は、それ自身では皮膜形成能を有しない
ため、電荷発生層に含有させるためには結着剤中に溶解
もしくは分散させて用いることが必要である。結着剤と
しては、フィルム形成性の良い高分子の重合体あるいは
共重合体が用いられが、電荷発生層を形成した後にその
上に電荷輸送層を設ける際に、使用する溶剤によって溶
けだし電荷発生層が形成できないような状態にならない
ものであればよい。具体例としては、ゼラチン,カゼイ
ン,ロジン,セルロース,フェノール樹脂,ポリエステ
ル樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリ
ペプチド樹脂,セルロース系樹脂,ポリビニルピロリド
ン,ポリエチレンオキサイド,ポリ塩化ビニル樹脂,で
んぷん類,ポリビニルアルコール,アクリル系共重合体
樹脂,メタクリル系共重合体樹脂,シリコーン樹脂,メ
タアクリロニトリル系共重合体樹脂,ポリビニルブチラ
ール,ポリビニルアセタール樹脂,ポリ塩化ビニリデン
樹脂,ポリマレイン酸樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリ
スチレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリアミド樹脂,ポ
リスチレン−マレイン酸共重合体樹脂,ポリスチレン−
メチルメタアクリレート共重合体樹脂,ナイロン樹脂,
ポリメチルメタクリレート樹脂,塩化ゴム,エチルセル
ロース,ポリビニルピリジン樹脂などが挙げられる。こ
れらの結着剤は単独で用いられても良く、また2種以上
混合して用いられても良い。
【0015】電荷発生層に用いられる電荷発生物質は、
光を吸収して電荷を発生する物質であればいずれの物質
であってもよい。好ましい物質としては、硫化カドミウ
ム,酸化亜鉛などの無機物質、または、ピリリウム系,
チオピリリウム系,トリアリールメタン系,チアジン
系,アズレニウム系,シアニン系の各染料や各顔料、フ
タロシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ系顔料、チ
オインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、スクアリック
酸顔料、スーダンレッド,ダイアンブルー,ジナスグリ
ーンBなどのアゾ系顔料、アルゴールイエロー,ピレン
キノン,インダンスレンブリリアントバイオレットRR
Pなどの多環キノン系顔料などの有機物質が挙げられ
る。これらの物質は、単独であるいは2種以上組み合わ
せて用いることができる。また、これらの顔料の結晶型
に多形が存在するときには、電荷発生機能を有するもの
であればいずれでも良い。
【0016】電荷発生層のジフェノキノン誘導体,電荷
発生物質および結着剤の含有割合は、用いる物質の種類
の組み合わせや電荷発生層の膜厚によって適宜選択され
るものであって、特に限定されるものではないが、ジフ
ェノキノン誘導体は、1重量%以上,好ましくは5重量
%以上80重量%以下の範囲内で含有させるとよい。ま
た、電荷発生層の膜厚は0.05μmから20μmとさ
れるが、その膜厚が薄い場合には下地である基体の影響
を受け易いのでこの発明の本来の目的とするものではな
く、むしろ厚い方が好ましいが、あまり厚いと経済的に
も不利となるので0.1μmから10μmの範囲内とす
るのが望ましい。なお、電荷発生層には上記の主成分以
外に種々の安定剤を含有させてもよい。
【0017】この発明に係わる電荷輸送層は、正孔輸送
能を有する物質と結着剤とを主成分として形成される。
正孔輸送物質としては従来より知られている種々の物質
を用いることが可能である。その例としては、米国特許
第4150987号明細書,米国特許第4278747
号明細書,西ドイツ特許出願公開明細書第293948
3号,英国特許出願公開明細書第2034493号,ヨ
ーロッパ特許出願公開明細書第13172号などに記載
されているようなヒドラゾン系化合物、特開昭54−1
12637号公報に記載さているようなオキサジアゾー
ル系化合物、特開昭50−31773号公報に参照され
ているようなスチリル化合物、米国特許第356745
0号明細書,特公昭49−35702号公報,西ドイツ
特許1110518号公報,米国特許第3180703
号明細書,米国特許第3249597号明細書,米国特
許第3658520号明細書,米国特許第423210
3号明細書,米国特許第4175961号明細書,米国
特許第4012376号明細書,特開昭55−1442
50号公報,特開昭56−119132号公報,特公昭
39−27577号公報に記載されているようなアリー
ルアミン化合物、米国特許第3542546号明細書に
記載されているようなオキサゾール系化合物、米国特許
第3180729号明細書,特開昭49−105536
号公報に記載されているようなピラゾリン,ピラゾロン
系化合物、米国特許第3615402号明細書,米国特
許第3820989号明細書,米国特許第354255
4号明細書,特公昭45−555号公報,特公昭51−
10983号公報に記載されているようなポリアリール
アルカン系化合物、特公昭34−10966号公報に記
載されているようなポリビニルカルバゾールおよびその
誘導体、特開昭50−85337号公報に記載されてい
るようなN−アクリルアミドメチルカルバゾールの重合
体、特開昭50−93432号公報に記載されているよ
うな6−ビニルインドロ(2,3−6)キノキサリンポ
リマー、特公昭43−18674号公報,特公昭43−
19192号公報に記載されているようなビニル重合
体、特開昭56−90883号公報,特開昭56−16
1550号公報に記載されているようなトリフェニルメ
タンポリマー、特公昭43−19193号公報に記載さ
れているようなスチレン共重合体、ポリアセナフテン、
ポリインデン、アセナフチレンとスチレンとの共重合
体、特公昭56−13940号公報に記載されているよ
うなホルムアルデヒド系縮合樹脂などの化合物を挙げる
ことができる。これらの正孔輸送物質は、それ自体が皮
膜形成性を有する場合にはそれだけを溶解した溶液で電
荷輸送層を形成してもよいが、低分子化合物でそれ自体
には皮膜形成性がない場合には成膜性のある樹脂と共に
溶解させた溶液を用いて電荷輸送層を形成することが必
要である。電荷輸送層の膜厚は一般に5μm〜40μm
とされる。
【0018】この発明に係わる感光体は、上述のような
電荷発生層,電荷輸送層を導電性基体上にディップコー
ト法,スプレーコート法,ワイヤーバーコート法などの
通常の塗工法で形成して作製され、導電性基体/電荷発
生層/電荷輸送層の構成のものと、導電性基体/電荷輸
送層/電荷発生層の構成のものとがある。導電性基体
は、材料的には導電性のあるものはいずれも用いること
ができ、その形状もシート状,円筒状などの特定の形状
に限定されるものではなく、アルミニウム,バナジュウ
ム,ニッケル,銅,亜鉛,パラジュウム,インジュウ
ム,すず,白金,ステンレス鋼,クロム,真鍮などの金
属円筒や金属シート、あるいは金属を蒸着またはラミネ
ートしたプラスチックシートなどを用いることが可能で
ある。また、これらの基体上に下引き層が設けられてい
てもよい。
【0019】
【作用】電荷発生層に前記構造式(1)で示されるジフ
ェノキノン誘導体を含有させることにより、下地の影響
をあまり受けることなく塗布ムラ,膜厚ムラの少ない良
好な電荷発生層を容易に形成することができ、高感度
で、良好な画質の画像が得られ、かつ、特性および画質
が長期にわたって安定な感光体を得ることが可能とな
る。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する
が、この発明が以下の実施例により限定されないことは
言うまでもない。なお、以下に部とあるのは重量部を、
%は重量%をそれぞれ示す。
【0021】まず、この発明で用いるジフェノキノン誘
導体のうちの代表的な一化合物について、その合成法を
示す。 [合成例]500mlの四つ口フラスコ中に、トリクロ
ロメタン200ml、2,6−ジ−ter−ブチル−フ
ェノール30.9g、過マンガン酸カリウム95gを仕
込み、還流下3時間反応を行った。次に、メタノールを
加え、さらに冷却して十分な沈殿物を形成させてから、
この沈殿物を濾別した後、さらに水洗を行った。次に、
メチルエチルケトンとエタノールからなる溶液で再結晶
したところ、黄橙色の結晶の3,3´,5,5´−テト
ラ−ter−ブチル−4,4´−ジフェノキノンが得ら
れた。3,3´,5,5´−テトラ−ter−ブチル−
4,4´−ジフェノキノンの分子式はC28402 であ
るが、得られた物質の元素分析を行ったところ、表1に
示すような値が得られ、目的とする物質とほぼ同等の値
であった。
【0022】
【表1】
【0023】この発明に用いられる他のジフェノキノン
誘導体も、同様にして合成することができる。
【0024】実施例1 アルマイト加工されたアルミニウム円筒上に、X型メタ
ルフリーフタロシアニン4部,3,3´,5,5´−テ
トラ−ter−ブチル−4,4´−ジフェノキノン3
部,結着剤としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体4
部およびシクロヘキサノン100部からなる電荷発生層
用の塗液を塗工して、乾燥膜厚0.4μmの電荷発生層
を形成した。その上に、N−エチルカルバゾール−3−
アルデヒドジフェニルヒドラゾン50部とポリカーボネ
ート樹脂(三菱化成(株)製;ノバレックス7030
A)50部をトルエン550部に溶解した溶液を塗布し
て、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を形成して感光体と
した。 比較例1 実施例1において、電荷発生層用塗液に3,3´,5,
5´−テトラ−ter−ブチル−4,4´−ジフェノキ
ノンに替えて塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用い、
電荷発生層中の電荷発生物質の割合は変わらないように
し、その他は実施例1と同様にして、感光体を作製し
た。
【0025】このようにして得られた感光体について、
静電記録紙試験装置(川口電機製;SP428)を用い
て、電子写真特性の表面電位Vo,暗減衰率,半減衰露光
量(感度)E1/2 ,残留電位Vr について初期特性およ
び帯電除電を繰り返したときの特性安定性を調べた。そ
の結果を表2および表3に示す。半減衰露光量は波長7
80nmの単色光のときの値である。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表2に見られるように、実施例1の感光体
は初期特性が全て比較例1に比べて優れており、また、
表3に見られるように特性安定性も優れており、電荷発
生層に3,3´,5,5´−テトラ−ter−ブチル−
4,4´−ジフェノキノンを用いる効果は明らかであ
る。
【0029】実施例2 最大表面粗さ0.8μm,平均表面粗さ0.4μmの表
面粗さのアルミニウム円筒の表面に、ビスアゾ顔料(ク
ロロダイアンブルー)3部,3,3´,5,5´−テト
ラ−ter−ブチル−4,4´−ジフェノキノン3部,
結着剤としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体4部お
よびシクロヘキサノン100部からなる電荷発生層用塗
液を塗工して、乾燥膜厚5μmの電荷発生層を形成し
た。その上に実施例1と同様にして電荷輸送層を形成し
て感光体とした。 実施例3 実施例2において、電荷発生層の膜厚を5μmから0.
3μmに変えたこと以外は、実施例2と同様にして感光
体を作製した。 比較例2 電荷発生層に3,3´,5,5´−テトラ−ter−ブ
チル−4,4´−ジフェノキノンを含有させることな
く、実施例3の感光体とほぼ同等の初期電子写真特性を
有し、しかも電荷発生層の膜厚も同じである感光体とす
るために、導電性基体上に固形分組成がビスアゾ顔料
(クロロダイアンブルー)6.3部,結着剤としての塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体3.7部からなる膜厚
0.3μmの電荷発生層を形成し、その上に実施例2と
同様にして電荷輸送層を形成して感光体を作製した。 比較例3 比較例2において、電荷発生層の膜厚を0.3μmから
5μmに変えたこと以外は比較例2と同様にして感光体
を作製した。
【0030】このようにして得られた各感光体につい
て、実施例1の感光体の場合と同様にして、電子写真特
性の初期特性および帯電除電を繰り返したときの特性安
定性を調べた。その結果を、表4および表5に示す。た
だし、半減衰露光量の測定は通常のハロゲンランプの光
を用いて行った。
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】表4および表5に見られるように、初期特
性,特性安定性共に実施例の感光体では電荷発生層の膜
厚により殆ど変動しないが、比較例の感光体では膜厚依
存性が大きく、特に比較例3の感光体においては、初期
特性が悪く,さらに特性変動も大きく好ましいものでは
なかった。
【0034】次に、各感光体を複写機に搭載して画像出
しを行い画質を評価した。実施例2の感光体では、黒点
のない良好な画像が得られ、しかも、繰り返し画像出し
を行っても安定して良好な画像が得られた。実施例3の
感光体では実施例2の感光体に比べて若干の黒点はある
が良好な画像が得られ、繰り返し画像出しを行っても黒
点の増加は殆ど見られず安定した画像が得られた。一
方、比較例2の感光体では黒点の非常に多い画像しか得
られず、また、画像出しを繰り返していくことによって
黒点数が増加した。比較例3の感光体では、初期の画像
では黒点は認められなかったが、画像出しを繰り返して
いくに従って画像全体が黒ずんできてカブリの強い画像
となった。
【0035】実施例4〜7 電荷発生物質としてアルミクロルフタロシアニン、ジフ
ェノキノン誘導体として3,5−ジメチル−3´,5´
−ジ−ter−ブチル−4,4´−ジフェノキノン、結
着剤としてポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業
(株)製;エスレックKS−5Z)を用い、これらを表
6に示す各割合で混合して、電荷発生層用の塗液1〜4
を作製した。
【0036】
【表6】
【0037】ごれらの塗液を厚さ1mmのアルミニウム
基板上にワイヤーバー法で塗布して膜厚0.5μmの電
荷発生層を形成し、その上に、N−エチルカルバゾール
−3−アルデヒドジフェニルヒドラゾン50部とポリカ
ーボネート樹脂(三菱化成(株)製;ノバレックス70
30A)50部をトルエン550部に溶解した溶液を乾
燥膜厚が25μmとなるように塗布して実施例の感光体
4〜7を作製した。 比較例4 実施例4〜7において、電荷発生層用塗液として、電荷
発生物質としてのアルミクロルフタロシアニンと結着剤
としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業
(株)製;エスレックKS−5Z)を1対1の割合で混
合した液を用いたこと以外は、実施例4〜7と同様にし
て比較例4の感光体を作製した。
【0038】これらの感光体について、実施例1の場合
と同様にして、電子写真特性の初期特性を調べた。その
結果を表7に示す。
【0039】
【表7】
【0040】表7に見られるように、電荷発生層にジフ
ェノキノン誘導体を含ませることにより、また、その含
有量が増すにつれて、暗減衰が小さくなり残留電位も減
少する。これに伴って感度も悪くなるが、これは電荷発
生層の膜厚を一定としたためであり、膜厚を厚くするこ
とにより実施例6の感光体も実施例4,5の感光体と同
程度の特性とすることができる。また、実施例7の感光
体における程ジフェノキノン誘導体の含有量を多くする
と感度が大幅に低下してしまう。電荷発生層へのジフェ
ノキノン誘導体の含有量は80重量%以下が望ましいと
言える。
【0041】
【発明の効果】この発明によれば、導電性基体上に電荷
発生層と電荷輸送層を積層してなる感光層を備えた電子
写真用感光体において、前記電荷発生層に前記構造式
(1)で示されるジフェノキノン誘導体を含有させるこ
とにより、高感度で、良好な画質の画像を得ることがで
き、かつ、特性および画質が長期にわたって安定な感光
体を得ることができる。上述のこの発明に係わる電荷発
生層は、下地の影響をあまり受けることなく塗布ムラ,
膜厚ムラの少ない良好な膜として容易に形成することが
でき、実質的に下引き層を必要としなくなり、生産性が
良く、経済的にも有利な感光体を得ることが可能とな
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層を
    積層してなる感光層を備えた電子写真用感光体におい
    て、前記電荷発生層に下記構造式(1)で示されるジフ
    ェノキノン誘導体が含有されていることを特徴とする電
    子写真用感光体。 【化1】 [式(1)中、R1 ないしR8 は水素原子、塩素原子、
    ふっ素原子、臭素原子、または、以下の炭素数が1から
    20までの直鎖若しくは分岐のアルキル基,アラルキル
    基,ハロゲン基,ニトロ基,フェニル基,アルコキシ
    基,フェノキシ基のうちのいずれかを表す。]
  2. 【請求項2】ジフェノキノン誘導体が3,3´,5,5
    ´−テトラ−ter−ブチル−4,4´−ジフェノキノ
    ンであることを特徴とする請求項1記載の電子写真用感
    光体。
  3. 【請求項3】ジフェノキノン誘導体が3,5−ジメチル
    −3´,5´−ジ−ter−ブチル−4,4´−ジフェ
    ノキノンであることを特徴とする請求項1記載の電子写
    真用感光体。
  4. 【請求項4】電荷発生層のジフェノキノン誘導体の含有
    量が5重量%以上80重量%以下の範囲内であることを
    特徴とする請求項1,2,3のうちのいずれかに記載の
    電子写真用感光体。
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