JPH0511104A - ポリゴンミラー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ミラー面の面精度、角度精度が高く、物理的
安定性、化学的が高く耐久性に優れたポリゴンミラーを
提供することを目的とする。 【構成】 正多角柱体をなすサファイア結晶を基材と
し、該基材の外側面をレーザ光を反射するミラー面とす
る。 【効果】 サファイア結晶の基材上に成膜することによ
り、基材と成膜面との密着性が向上し、耐久性の高いミ
ラー面が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はレーザプリンタ等に用い
るポリゴンミラーに関する。

【０００２】

【従来の技術】ポリゴンミラーは外側面をミラー面とす
る正多角柱体として形成され、レーザプリンタでの光偏
向器として使用されている。レーザプリンタではポリゴ
ンミラーのミラー面に画像信号に応じて光変調されたレ
ーザ光を投射し、ポリゴンミラーを軸線の回りに高速回
転することによって感光体面上に走査露光する。レーザ
プリンタで用いるポリゴンミラーには六角柱体、八角柱
体等の正多角柱体が用いられており、この正多角柱体の
製造精度がレーザプリンタでの光走査光学系の性能上で
重要な要素となる。

【０００３】従来のポリゴンミラーには、ガラスを基材
として正多角柱体を形成し、その外側面に成膜処理を施
してミラー面としたもの、アルミニウム等の金属ロッド
を基材として正多角柱体を形成しその外側面を磨き面に
形成してミラー面としたもの等がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、ポリ
ゴンミラーはきわめて精度の高い光走査光学系の構成部
品として使用されるから、その角度精度、面精度等の点
できわめて高精度が要求される。また、同時に、ポリゴ
ンミラーはきわめて高速で回転して用いられるから、そ
れ自体の強度、ミラーの耐久性の点でも高度の性能が要
求される。

【０００５】前述したガラスを基材とするポリゴンミラ
ーは、ガラス基材の表面にミラー膜を形成して作製する
が、このミラー膜はポリゴンミラーがきわめて高速で回
転することによって空気抵抗を受けることから、ミラー
膜と基材表面との密着性が問題となっている。ガラスを
基材とするポリゴンミラーの場合は、ガラスの基材が非
晶質体であることから、ミラー膜と基材表面との密着性
が必ずしも十分ではない。また、ガラス基材そのものの
物理的特性、化学的特性の点でも十分とはいえないとい
う問題点がある。また、金属のロッドから正多角柱体を
形成したポリゴンミラーの場合は、高速回転時の基材の
変形の問題や基材の熱膨張による変形といった問題点が
ある。そこで、本発明は上記問題点を解消するものとし
てなされたものであり、その目的とするところは、従来
のポリゴンミラーとくらべてより高精度に形成でき、強
度面、耐久性等の点ではるかに優れた特性を有するポリ
ゴンミラーを提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、正多角柱体をな
すサファイア結晶を基材とし、該基材の外側面をレーザ
光を反射するミラー面としたことを特徴とする。

【０００７】

【発明の概要】本発明に係るポリゴンミラーはポリゴン
ミラーの基材としてサファイア結晶を使用することを特
徴とする。すなわち、本発明に係るポリゴンミラーは正
多角形体に形成したサファイア結晶の外側面に成膜処理
を施すことによってミラー面を形成して成る。ここで、
サファイア結晶はきわめて硬度が高い物質であるから、
たとえば円柱状に形成したものを研削等によって正多角
形体とすることは、ある程度の量産加工を実施する場合
はほとんど適用可能性がない。そこで、本発明に係るポ
リゴンミラーの場合は、溶融サファイアから電極を使用
して引き上げて結晶を作製する際に、作製すべきポリゴ
ンミラーの外形形状に合わせて正多角形体の形状のまま
作製する方法を採用した。なお、ポリゴンミラーでは基
材の芯位置にモータドライブの駆動軸を挿入する透孔を
形成する必要があるが、この透孔もサファイア結晶を形
成する際に同時に所定径で形成する。

【０００８】上記のようにして作製したサファイア結晶
は、外形形状が正多角柱体として形成されているから、
その外側面を研磨してミラー面として仕上げ加工するこ
とも容易であり、所定の面精度、角度精度に仕上げ加工
した後、成膜処理によってミラー面を形成する。本発明
に係るサファイア結晶を基材とするポリゴンミラーはサ
ファイアを基材とすることにより、耐熱性、熱的安定性
の点で優れた特性を有するとともに、材質の物理的特
性、化学的特性の面で従来のガラスを基材とするポリゴ
ンミラーや金属製のポリゴンミラーと比較してはるかに
安定で耐久性に優れるという特徴を有する。さらに、本
発明に係るポリゴンミラーはサファイア結晶を基材にし
ていることから、基材に成膜処理を施した場合、ミラー
膜と基材との密着性がガラスを基材としたものと比べて
大きく向上させることができるという特徴がある。すな
わち、結晶を基材として成膜する場合には成膜される金
属は下地の結晶配列にならって整然と配列しながら成膜
されるから、下地と成膜面との密着性は非晶質体を下地
とする場合にくらべはるかに向上するからである。

【０００９】以上のように、サファイア結晶を基材に用
いることによって、ミラー膜と基材との密着性が優れた
ポリゴンミラーを得ることができ、ポリゴンミラーを高
速回転した場合でもミラー膜の耐久性を向上させること
が可能になる。また、サファイア結晶を基材として用い
ることにより、物理的特性、化学的特性の点できわめて
優れたポリゴンミラーを提供することが可能であり、レ
ーザプリンタ等の高速かに好適に対応することが可能に
なる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明に係るポリゴンミラーの一実施
例につき、添付図面に基づいて説明する。図１は本発明
に係るポリゴンミラーの一実施例の外形図を示す。実施
例のポリゴンミラーはサファイア結晶の正六角柱体を基
材として形成したもので、正六角柱体の本体１０の外側
面にミラー面１２を形成している。各ミラー面１２は本
体１０に銀を蒸着して形成した。ミラー面はいずれも平
板面に形成している。１４は本体１０を上下に貫通させ
て設けた貫通孔である。貫通孔１４はポリゴンミラーを
回転させるドライブ用の透孔である。１６は本体１０の
上下面に設けた平面形状が円形となる段差部である。実
施例の製品ではこの段差部１６の外側範囲の本体上下面
とミラー面１２の銀蒸着し、段差部１６は基材をそのま
ま露出させている。図１に示す実施例の寸法は、ミラー
面の幅４０ｍｍ、高さ１０ｍｍ、全体厚さ１２ｍｍ、貫
通孔１４ｍｍである。

【００１１】実施例のポリゴンミラーは、上述したよう
に、サファイア結晶を基材としたことにより、面精度の
高いミラー面が形成され、基材との密着性の良いミラー
膜が形成されることによって、耐久性が高く信頼性の高
いポリゴンミラーが得られる。

【００１２】なお、実施例のポリゴンミラーは正六角柱
体として形成したが、正八角柱体等の他の正多角柱体と
して形成することももちろん可能であり、寸法サイズも
適宜設定可能である。また、ミラー面の成膜方法も蒸着
法以外の適宜方法を適用することができ、成膜に使用す
る金属等も銀以外の他の金属を用いてももちろんかまわ
ない。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係るポリゴンミラーによれば、
上述したように、ミラー面の面精度や角度精度の点でき
わめて精度の高い製品を得ることができるとともに、基
材の物理的、化学的安定性、基材の剛性強度が高度であ
ること等から、高精度で、耐久性の高いポリゴンミラー
が得られる等の著効を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】ポリゴンミラーの一実施例の斜視図である。

【符号の説明】

１０ 本体 １２ ミラー面 １４ 貫通孔 １６ 段差部

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 正多角柱体をなすサファイア結晶を基材
   とし、該基材の外側面をレーザ光を反射するミラー面と
   したことを特徴とするポリゴンミラー。