JPH0510771B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は電流の開閉を行う開閉器、特にその消
弧機構に関するものである。

本発明の主たる適用開閉器として電磁接触器や
配線用しや断器を挙げることができる。

〔従来技術〕

まず第１図に従つて従来の発明者等の先行提案
に係る電磁接触器の１例について説明する。な
お、第１図は左右対象であるから、片側断面のみ
を示す。第１図において、１はプラスチツクで成
形された取付台、２はこの取付台上にケイ素鋼板
で積層された固定鉄心、３は固定鉄心２に対向設
置されこれと同じくケイ素鋼板で積層された可動
鉄心、４は可動鉄心３と固定鉄心２とを引外しば
ね（図示せず）に抗して吸着させる駆動力を付与
する操作コイル、５はプラスチツクで形成され、
角窓を有するクロスバーで、その下端では可動鉄
心３を保持している。６は上記クロスバー５の角
窓に挿入されて押しばね７により保持されている
可動接触子、６Ａは可動接触子６に設けられた可
動接点、８は上記可動接触子６と対向して設けら
れ、電流の通電をおこなう固定接触子、８Ａはこ
の固定接触子８に設けられた固定接点、８Ｂは同
じくこの固定接触子８の端子部を示す。

更に９は電磁接触器本体を外部回路と接続する
ための端子ねじ、１０は固定接触子８を取付ける
ベース、１１は電磁接触子上面を覆うカバーで、
その内部には固定接点８Ａと可動接点６Ａとの間
に生じるアーク１２を消弧するための磁性体の金
属消弧板１３を設けており、この金属消弧板１３
は第１図から明らかなように、可動接触子と対向
させ固定接触子８上方に、これと平行に、かつ互
いに所定間隔を隔てて累積並設されている。

上記構成を有するため、この電磁接触器におい
て操作コイル４を消磁すると、図示されない引外
しばねにより可動鉄心３が固定鉄心２より開離
し、クロスバー５も、第１図に示す状態を占め、
固定接点８Ａと可動接点６Ａとが開離して固定接
点８Ａと可動接点６Ａとの間にアーク１２が生じ
るが、このアーク１２は第２図に示すように金属
消弧板１３に吸引されアーク１２Ａのように引き
伸ばされ、最終的には、アーク１２Ａは可動接触
子先端部から上記消弧板１３ａ〜１３ｆのうちの
１３ｃ〜１３ｆを介し固定接触子８に転移された
アーク１２Ｂとなつて消弧され、電流がしや断さ
れる。

ところが、このようなアーク１２の消弧動作で
は、折角しや断性能を向上させるために設けた金
属消弧板１３のうち消弧板１３ａおよび１３ｂが
全く消弧動作に寄与せず、その分しや断性能が劣
るという欠点を有していた。

〔発明の概要〕

本発明は叙上の欠点を解消すべなくなされたも
ので、固定接触子に接合された固定接点と、該固
定接点に対向し可動接触子に接合された可動接点
と、前記固定接触子に平行して所定間隔を隔てて
並設した複数の金属板からなる金属消弧板と、前
記可動接触子に設けられたアークホーンとを備え
た開閉器において、前記アークホーンを金属消弧
板の端部の側面に対向させて可動接触子上に立設
し、該アークホーンの上方で端部を前記金属消弧
板上に延長して対向させ可動接点に生じたアーク
の足を転流させる転流板を並設すると共に、前記
固定接触子に連結され折曲部に前記可動接触子の
通過を許容する切欠部を設けた倒Ｌ字状のアーク
ランナを前記転流板に対応するように延設したこ
とを特徴とするものである。

〔発明の実施例〕

以下、第３図および第４図に示した実施例に基
づき本発明を同一部分または相当部分には同一符
号を付して説明すると、固定接触子８の固定接点
８Ａ側端部に倒Ｌ字状に折曲されたアークランナ
１４が第３図のように電気的に接合して設置さ
れ、さらにこのアークランナ１４の折曲部には切
欠部１４Ａが設けられており、この切欠部を可動
接触子６が通過して上記固定接点８Ａと接触でき
るように形成される。また可動接触子６の先端部
には、第４図に示すようにアークホーン６Ｂが立
設されている。さらに、この可動接触子６の上方
には第４図に示す平板状の転流板１５が設けられ
る。そして転流板１５の端部１５Ａは上記金属消
弧板１３の最上部に累積された消弧板１３ａの上
方に位置するように延設される。

上記構成を有する消弧機構の消弧動作を第４図
に基づき説明すると、上記先行例に係る開閉器と
同様にアーク１２が可動接点６Ａと固定接点８Ａ
間に発生するが、このアーク１２は磁性体の金属
消弧板１３に吸引されて引き伸ばされアーク１２
Ａとなる。このとき、上記アークランナ１４が固
定接触子８表面より高い位置に設けられているた
め、固定接点８Ａ上のアーク１２の下方の足は容
易にアークランナ１４に転移してアーク１２Ａの
ようになる。アーク１２の下方の足がアークラン
ナ１４に転移するとアークランナ１４には第４図
の矢示Ｘ方向に電流が流れ、アーク１２Ａはいつ
そう固定接触子の端子部８Ｂ側に駆動される。ア
ーク１２Ａはその上方の足を可動接点６Ａから可
動接触子６の先端部に転移するとともに、金属消
弧板１３に引き込まれ、下方の足は金属消弧板１
３のうちの消弧板１３ｃないし１３ｅを経由して
アークランナ１４上を走行する。次いで、この可
動接触子６に転移したアーク１２Ｂの上方の足は
金属消弧板１３によつて駆動されるとともに、ア
ークランナ１４を流れる電流が作る磁界によつて
上方に駆動され、固定接触子６からアークホーン
６Ｂに転移し、さらにアークホーン６Ｂの上方に
走行して、アークホーン６Ｂの上端部に達する。
するとアークホーン６Ｂ上端部から金属消弧板１
３を介して伸延されたアーク１２Ｃは金属消弧板
１３の消弧板１３ａないし１３ｅの全てを経由し
アークランナ１４に至る。次にアーク１２Ｃの上
方の足は転流板１５に転移し、転流板１５外方
（図中右側）に走行して、金属消弧板１３を構成
する全消弧板１３ａないし１３ｅを経由しアーク
ランナ１４を連絡するアーク１２Ｄとなつて消弧
される。このように、転流板１５を設けたことに
より、消弧板１３ａのアークホーン６Ｂ側先端部
でアークは消弧されず、金属消弧板１３ａないし
１３ｅを経由してこれら消弧板の平担部で消弧さ
れ極めて優れたしや断性能を得ることができる。
したがつて、転流板１５がない場合に起こる、消
弧板１３ａアークホーン６Ｂ間の消弧を回避し得
るため、消弧板１３ａ端部の電界集中、ひいては
温度上昇を回避し得、しや断性能の低下を防止す
ることができる。

また、第２の実施例を第５図に示すと、この場
合は金属消弧板１３を改変したこと以外は上記実
施例と同様である。同図によれば、金属消弧板１
３はそれを構成する各消弧板１３ａないし１３ｅ
の可動接触子と対向する側に切欠部１６を設けコ
の字形状に形成されており、可動接触子６の三方
を囲繞するように構成されている。このような金
属消弧板１３の場合、アークに作用する磁気力が
強められるので、上記実施例の遮断性能をいつそ
う高めることができる。

さらに第６図は配線用しや断器に第１の実施例
と同様の消弧機構を適用したものであり、図中、
１７は回転軸、１８はより線を示し、このより線
１８を介して可動接触子６と転流板１５は電気的
に接合されている。この場合においても上記各実
施例と同効を奏することは言うまでもない。

なお、本発明に係る消弧室を有する開閉器は、
金属消弧板１３を構成する消弧板１３ａないし１
３ｅの枚数を上下方向に増減させることにより、
所要の電圧に対応した開閉器とすることができ
る。したがつて高電圧に適用される開閉器であつ
ても、より低電圧のものと同程度の据付面積で構
成することができるため、本発明に係る開閉器は
高電圧のものほど有効性を発揮させ得る。

なお、アークホーンの先端と転流板の間の距離
が転流板に最も近い金属消弧板と転流板の間の距
離より小さくなるように構成すればアークホーン
上のアークの足は転流板に転移しやすくなるの
で、遮断時におけるアーク時間を短縮できる。

〔発明の効果〕

以上本発明によれば、アークホーンを金属消弧
板の端部の側面に対向させて可動接触子上に立設
し、このアークホーンの上方で端部を金属消弧板
上に延長して対向させ可動接点に生じたアークの
足を転流させる転流板を並設すると共に、前記固
定接触子に連結され折曲部に前記可動接触子の通
過を許容する切欠部を設けた倒Ｌ字状のアークラ
ンナを転流板に対応するように延設した開閉器を
構成した。この結果、操作コイルの消磁で可動接
触子が切欠部内を上昇して可動接点が固定接点か
ら開離されると、発生したアークが電磁力で金属
消弧板に引き込まれながら下側のアークの足がア
ークランナへ容易かつ円滑に転移して端子部側に
駆動される。また、金属消弧板に引き込まれたア
ークの上側の足は可動接点から可動接触子の先端
を経て垂直方向に立設されたアークホーンに移つ
てから、更に上方の転流板に速やかに転移して外
方に向かつて走行する。そして、上下の足を互い
に対向する転流板とアークランナ上を走行させな
がら金属消弧板に引き込まれたアークは、更に外
方に駆動されて電流零点で消弧される。

即ち、金属消弧板を挟んで互いに対向する上側
の転流板と可動接触子の通過する切欠部を設けた
倒Ｌ字状の下側のアークホーン及び転流板の側面
に立設されたアークランナとの３部材の協働動作
によつて、接点の開離で発生したアークが円滑に
転移しながら走行すると共に、アークの消弧に全
消弧板が寄与して行われる。よつて、本発明によ
れば、消弧動作が短時間で遮断性能の優れた開閉
器が実現できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は先行技術の開閉器の部分断面図、第２
図は第１図のものの消弧動作説明用の要部断面
図、第３図は本発明に係るアークランナを適用し
た固定接触子の要部斜視図、第４図は本発明に係
る転流板を適用した実施例のものの消弧動作説明
用の要部断面図、第５図は本発明のさらに他の実
施例に係る金属消弧板を適用した要部平面図、第
６図は第４図の消弧室を配線しや断器に適用した
場合の要部断面図である。 ６……可動接触子、６Ａ……可動接点、６Ｂ…
…アークホーン、８……固定接触子、８Ａ……固
定接点、１３……金属消弧板、１３ａ〜１３ｆ…
…消弧板、１４……アークランナ、１５……転流
板。尚、各図中同一符号は同一または相当部分を
示すものとする。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 固定接触子に接合された固定接点と、該固定
   接点に対向し可動接触子に接合された可動接点
   と、前記固定接触子に平行して所定間隔を隔てて
   並設した複数の金属板からなる金属消弧板と、前
   記可動接触子に設けられたアークホーンとを備え
   た開閉器において、前記アークホーンを金属消弧
   板の端部の側面に対向させて可動接触子上に立設
   し、該アークホーンの上方で端部を前記金属消弧
   板上に延長して対向させ可動接点に生じたアーク
   の足を転流させる転流板を並設する共に、前記固
   定接触子に連結され折曲部に前記可動接触子の通
   過を許容する切欠部を設けた倒Ｌ字状のアークラ
   ンナを前記転流板に対応するように延設したこと
   を特徴とする開閉器。