JPH05101457A - 情報再生装置 - Google Patents

情報再生装置

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JPH05101457A
JPH05101457A JP3283792A JP28379291A JPH05101457A JP H05101457 A JPH05101457 A JP H05101457A JP 3283792 A JP3283792 A JP 3283792A JP 28379291 A JP28379291 A JP 28379291A JP H05101457 A JPH05101457 A JP H05101457A
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
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    • Y10S977/932Specified use of nanostructure for electronic or optoelectronic application
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    • Y10S977/947Information storage or retrieval using nanostructure with scanning probe instrument

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録媒体の表面に凹凸がある場合でも正しい
読取再生を行う。 【構成】 異なる複数の条件による再生情報を取得する
ために、図4に示すように2本の互いに絶縁された探針
t1、t2と下地電極2との間にそれぞれ電圧印加手段5、
6で異なる電圧V1、V2を印加する。記録時には、探針t1
にオン/オフ状態のトンネル電流差の大きい領域で書込
み最適電圧V1を電圧印加手段5で与え、探針t2に閾値電
圧を越えるの書込みパルス電圧V2を必要に応じて電圧印
加手段6で印加し、スイッチングさせることによってデ
ジタル化された2値情報を記録してゆく。再生時には、
探針t1の印加電圧による再生トンネル電流J1の他に、探
針t2による別の印加電圧によるもう1つの再生トンネル
電流J2を検出し、探針t1、t2に印加する電圧V1、V2との
関係から再生信号を識別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報再生装置に関し、
特にメモリ特性を示す記録媒体上に針状電極を相対移動
させ、両者間に流れるトンネル電流を用いて情報の記録
・再生を行う記録・再生装置に特に好適に用いられるも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、導体の表面原子の電子構造を直接
観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下STMと云う)
が開発され、単結晶、非結晶を問わず高い分解能を有す
る実空間像の測定が可能になり、しかも試料に電流によ
る損傷を殆ど与えずに低電力で観察でき、更に大気中で
も動作し種々の材料に対して用いることができるため、
広範な応用が期待されている。
【0003】STMは金属の探針と導電性試料との間に
電圧を加えて1nm程度の距離まで近付けると、トンネ
ル電流が発生する現象を利用している。この電流は両者
の距離の変化に非常に敏感であり、探針の高さを一定に
保って走査することによって変化するトンネル電流をモ
ニタするか、又はトンネル電流が一定に保たれるように
探針の高さをフィードバック制御しながら走査するため
のフィードバック量をモニタすることにより、試料表面
の実空間構造を描くことができ、同時に表面電子の全電
子雲に関する種々の情報をも読み取ることができる。従
って、STMの原理を応用すれば十分に原子オーダでの
高密度の記録再生を行うことが可能となる。
【0004】この原理を用いた記録再生法は大別して2
つの種類に分類される。1つは表面の物理的な形状を変
化させることによるものであり、探針による物理的な変
形、レーザー光や電子線等の高エネルギ線による融解、
或いは微粒子の付着等によって、記録媒体表面に物理的
凹凸を形成する装置である。他の1つは物理的形状は変
化させずに、表面又はその近傍の可逆的な電子状態の変
化を利用する装置である。実用上は記録密度や消去・書
換えの可能性の見地からも後者の電子状態を変化させる
装置が有力である。
【0005】例えば、下地電極上に絶縁性又は半絶縁性
の薄膜構造体を設け、この薄膜構造体、具体的にはシリ
コン基板上に形成されたシリコン酸化膜とシリコン窒化
膜との積層膜界面等の電荷蓄積可能な微細構造によって
記録・再生を実現するものや、Johns Hopkins 大学のRS
Potember らによる銅−テトラシアノキノジメタン(C
u−TCNQ)電荷移動錯体に関する報告(Jounal of
Vacume Science Technology B9(2),p1129 〜,1990)、又
はIBMのA.Aviramらによるプロトンの二重井戸型ポテ
ンシャル構造を有するヘミキノン(hemiquinones) 化合
物に関する報告(Chemical Physics Letters vol.29,p27
7,1988) などに見られるように、電極上に形成した有機
分子膜において記録・再生を実現するものが知られてい
る。
【0006】図7は上述した記録媒体を用いた記録・再
生装置の原理図である。図7(a) に示すように基板1上
に形成された記録層2の表面上に沿って、一定の高さを
保持しながら探針tを走査し、各記録単位領域に対して
探針t−下地基板1間に所定閾値以上の電圧Vを選択的
に印加すると、探針t−下地基板1間の空隙と記録層
2、又は探針t−記録層2間の空隙を障壁とするトンネ
ル電流が発生して、オン状態ビットが形成され、図7
(b) に示すような二値情報が記録される。
【0007】再生は同様に探針tを走査しながら、探針
t−下地基板1間に所定閾値以下の電圧を順次に印加
し、各記録単位領域の電子状態を反映したトンネル電流
を読み出すことができる。なお、トンネル電流一定モー
ドで探針tのフィードバック量に記録情報を反映させる
ことも可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の従
来例では、トンネル電流に対して影響を与えるような記
録媒体表面の物理的な起伏が全くない理想的な場合を仮
定しており、もし表面に凹凸があると、その凹凸による
トンネル電流の変化と記録ビットを反映したトンネル電
流の変化との区別ができずに、再生時のエラーレートが
著しく増大してしまうという問題がある。事実、トンネ
ル電流は探針tと記録層2間の距離に応じて指数関数的
に変化し、例えば1オングストロームの凹凸があるとそ
の電流値は1桁変化するため、記録ビットの電子状態変
化による電流変化が3桁ある場合でも、許容される表面
の起伏は高々数オングストローム以下である。
【0009】ただし、凹凸の空間周波数が記録単位領域
の周波数に比べてはるかに大きいか又は小さい場合に
は、電気的に信号を分離することができるため、問題と
なるのは記録単位領域と同等の空間周波数帯に属し、し
かも記録ビットの変化による場合と同程度のトンネル電
流変化をもたらす凹凸を有する起伏である。例えば、図
8(a) に示すように記録単位領域d3に存在する凸部及び
領域d7に存在する凹部では、図8(b) に示すように再生
時にそれぞれオフ状態である筈の信号をオン状態、オン
状態である筈の信号をオフ状態と、誤読してしまうこと
が起こる場合がある。
【0010】この問題を解決するためには、表面の微視
的な起伏の影響を補うように予め表面を走査し、微視的
な起伏状態を記録しておくことも可能であるが、記録単
位領域の起伏状態に対する初期情報は莫大であり、記録
媒体の全容量以上に相当する副記憶装置を必要とするた
め、原理上は可能であっても実用的ではない。
【0011】一方、バイアス印加電圧又は探針t−基板
1間距離の何れかの変調信号で読み出す方法も考えられ
る。バイアス変調値や距離の変調値は、原理的にそれぞ
れ或る特殊な電子状態変化や表面の仕事関数変化のみを
反映する場合があり、起伏の影響を受けない再生の可能
性がある。
【0012】しかしながら、記録ビットの変化でこれら
の変調信号に大きな変化を生ずる材料を得ることは困難
であり、また熱ドリフトや外部振動等による微小ノイズ
の重畳は避けられず、変調信号に対して大きく影響して
しまうため、測定可能なS/N比を得るためには極低温
環境及び高度な除震環境が必要である。
【0013】本発明の目的は、上述の諸問題を解消し、
記録媒体の表面に凹凸がある場合でも正しい読取再生が
できる情報再生装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る情報再生装置においては、記録媒体
と再生用プローブとを備え、該記録媒体と再生用プロー
ブ間の信号により情報を再生する情報再生装置におい
て、前記記録媒体の各記録単位領域に対して、複数の条
件によって再生情報を取得する手段を有することを特徴
とするものである。
【0015】
【作用】上述の構成を有する情報再生装置は、再生時に
複数の条件で各記録領域を走査して得られる複数の異な
る情報を得ることによって、記録ビットを反映するトン
ネル電流の変化と、表面の凹凸に起因するトンネル電流
の変化とを区別し、エラー信号の除去等を行って補正を
することが可能になる。
【0016】
【実施例】本発明を図1〜図5に図示の実施例に基づい
て詳細に説明する。本発明では、図1に示すような記録
媒体の印加電圧−トンネル電流特性、又は図2に示すよ
うな探針記録媒体間距離−トンネル電流特性において、
表面の電子構造又はその状態変化を反映する記録媒体材
料に固有なトンネル電流特性と、単なる探針−基板間距
離に対するトンネル電流特性を識別するために、特性曲
線上の少なくとも2つ以上の異なるポイントにおいてト
ンネル電流値を比較できるように、印加電圧の絶対値又
はその極性又は探針と記録媒体間の距離等の測定条件の
内の、少なくとも1つの条件に関する複数の再生情報を
取得し比較する。或いは、特性曲線上の1つのポイント
についてのトンネル電流値と、その印加電圧又は探針−
記録媒体間の距離に対する変調値とを複数情報とするこ
ともできる。
【0017】このために本発明では、各記録単位領域か
ら複数の情報を読取する手段を有している。これは、例
えば図3(a) に示すように記録単位領域サイズ以下に接
近した2つの探針t1、探針t2に異なる測定条件を設定
し、記録単位領域Bを同時に一括走査するもの、或いは
図3(b) に示すように1個の探針tが1個の記録単位領
域を走査する時間を2分割し、前半と後半とで異なる測
定条件による再生を行うものが考えられ、後者では1条
件当りの実効測定距離を確保するために、走査方向と垂
直な方向に探針tをウォブリングさせている。この他に
も、記録単位領域列又は記録単位領域ブロックごとに、
単一又は複数の探針を複数回掃引する装置が考えられる
が、この場合はブロックサイズに対応したサブメモリが
必要となる。
【0018】以下、絶縁体界面への電荷蓄積方式による
記録媒体について具体的に説明する。図4(a) におい
て、基板1としてボロンをドープしたP型の[100]
シリコン基板を用いる。シリコン基板1はH2 SO4
より洗浄した後にHCl中に浸漬し、シリコン酸化膜S
iO2を10〜20オングストロームの厚みに形成す
る。その後にLPCVD法を用いて、シリコン窒化膜S
34 を10〜500オングストロームの厚みに真空
蒸着することにより、シリコン酸化物層とシリコン窒化
膜層から成る記録層2を得る。
【0019】このようにして形成した記録層2に対し
て、探針を適当な高さに固定した上で、基板1と探針間
に探針側がマイナスであるような所定の閾値電圧以上の
バイアスを印加することによって、探針と基板1間にト
ンネル電流が発生し、トンネル電子の一部は基板1上に
形成されたシリコン酸化物とシリコン窒化物界面に存在
する界面準位にトラップされ、バイアス印加後も界面蓄
積電荷として残留し、記録情報が書込まれる。
【0020】図1(a) は電気蓄積前後のトンネル電流、
バイアス電圧特性を示し、バイアス方向は書き込み時と
は逆に探針側をプラスとしている。電荷蓄積前、トンネ
ル電流Jbはバイアス増加に伴い、単調に増加する特性Jb
を示すが、電荷蓄積後は界面に蓄積された電子とトンネ
ル電子との間での非弾性的なエネルギ交換に伴う新しい
チャネルが発生し、界面トラップ準位エネルギに相当す
るバイアス近傍でのトンネル電流Jaが増大する。
【0021】従って、このバイアス近傍で再生すること
によって、蓄積電荷の有無を反映する2つの安定な状態
を読取ることが可能であり、更に閾値電圧Vth 以上の電
圧を印加すると、トラップ準位と探針間でのトンネル電
流が発生し、トラップされていた蓄積電子はトンネル電
子として探針側に放出され、それに伴い電流特性も電荷
蓄積前の特性Jbに戻る。このようにして閾値電圧Vth 以
下において、2つの安定な状態間でメモリ性を有し、閾
値以上の電圧を印加することによって、2つの状態間を
スイッチングすることのできる記録方式が実現される。
なお、電流が良好に流れる状態をオン状態、電流の流れ
難い状態をオフ状態とする。
【0022】本実施例においては、異なる複数の条件に
よる再生情報を取得するために、図4に示すように2本
の互いに絶縁された探針t1、t2と下地電極2との間にそ
れぞれ電圧印加手段5、6で異なる電圧V1、V2を印加す
る場合を考える。2本の探針t1、t2からの異なる再生情
報は、探針t1とt2間の距離を記録単位領域サイズよりも
短く、走査方向に対して直交して並べることによって同
時に取得し、差分回路等を介して各単位領域ごとの再生
情報を比較処理してもよい。
【0023】探針t1、t2はマイクロメカニクス技術を用
いて形成することができ、X、Y方向の走査、Z方向高
さの微動、サーボ駆動機構を有するSiO2 、Si3
4 等の片持ち梁状の基板の先端上にSiをフォーカスド
イオンビームで打込み、基板上に選択的にSiを結晶成
長させ、Auを蒸着して導電性処理するか、STMを利
用した原子レベルのマイクロマニピュレーション技術に
よって、数n〜数10nmの間隔で互いに絶縁された導
電性探針部を形成して得ることができる。
【0024】以下に動作を説明すると、先ず探針t1、t2
を記録層2の表面の単位領域サイズ以上の大きな空間周
波数成分に対しては、図示しない周知のフィードバック
機構でZ方向のフィードバック制御を行うことによっ
て、一定高さで各単位領域を順次に走査する。記録時に
は、探針t1にオン/オフ状態のトンネル電流差の大きい
領域で書込み最適電圧V1を電圧印加手段5で与え、初期
状態がオフ状態にある各記録単位領域を走査しながら、
標準となるトンネル電流が流れる凹凸のない標準高さの
記録単位領域のみを有効記録領域として選択し、同時に
選択された各有効領域に対して探針t2に閾値電圧を越え
る書込みパルス電圧V2を必要に応じて電圧印加手段6で
印加し、スイッチングさせることによってデジタル化さ
れた2値情報を記録してゆく。この制御は制御回路10
で行い、Z方向のフィードバック制御に掛からない記録
単位領域と同等の空間周波数帯に属する凹凸を持つ記録
単位領域は、無効領域として無視し情報は記録しない。
【0025】このようにして記録された情報を再生する
時には、記録時に有効領域として認められた領域のみの
情報を再生し、無効領域として排除された領域は再生せ
ずに無視することが重要となる。このためには、基本的
には有効領域の再生情報として期待される情報以外を無
視すればよいが、有効領域のオン状態と凸無効領域のオ
フ状態とのトンネル電流が等しくなる場合に、図4(b)
に示すように凸無効領域のオフ状態は有効領域のオン状
態として誤読されてしまう場合が発生するという問題が
残る。
【0026】本実施例では、探針t1の印加電圧による再
生トンネル電流J1の他に、探針t2による別の印加電圧に
よるもう1つの再生トンネル電流J2を検出することによ
って上述の問題を解決する。即ち、図1(a) の電流電圧
特性図において実線で表される有効領域の電流特性Ja、
Jbと、点線で表される凸無効領域の電流特性Ja’、Jb’
とでは、探針t1に印加された電圧V1においてはオフ状態
にある凸無効領域の検出トンネル電流Jb'(V1) と、有効
領域のオン状態にある検出トンネル電流Ja(V1)とが等し
い。しかしながら、探針t2に印加する電圧V2としてオン
状態の電流電圧特性Ja(V2)と、オフ状態の電流電圧特性
Jb'(V2) との差異を抽出できる領域の電圧を選択すれ
ば、明らかに両者の区別をすることができる。
【0027】この場合には、V1<V2<Vth の領域で電圧
V2を選択すれば、比較的大きな差異を抽出することがで
きる。この際のトンネル電流J2は図4(c) に示すように
検出され、電圧V2において有効領域のオン状態に期待さ
れる電流値Ja(V2)と、検出信号J2との差信号|J2−Ja(V
2)|を調べることによって有効領域か否かの判断ができ
る。
【0028】或いは、図4(d) に示すように探針t1と探
針t2との差信号|J1−J2|を検出することによって無効
領域を抽出することもできる。この場合には、|Ja(V1)
-Ja(V2) |と|Jb'(V1)-Jb'(V2) |との差異が大きくな
るように、電圧V1、V2をオン状態での電流ピーク近傍の
互いに異なる側に設定することによって、|Ja(V1)-Ja
(V2) |=0とすることが可能であり、|Jb'(V1)-Jb'(V
2) |との差異を抽出し易いことになる。以上の処理を
信号処理回路11で行い、同時に有効領域のみからの信
号により信号再生処理を行う。
【0029】また、上記例では異なる再生情報として、
2つの異なる探針t1、t2に図1(a)の電流電圧特性曲線
上の異なる2つの電圧V1、V2に対応する電流を検出した
が、別法として電圧V1による検出電流とその電圧による
微分電流を異なる2つの再生情報として比較することも
考えられる。この際にも、検出電流信号のみでは有効領
域と無効領域の区別ができない場合があるのと同様に、
その電圧変調成分のみではやはり両者の区別ができない
場合が必ず存在する。この場合には、電流信号とその電
圧変調成分とを比較することによって識別が可能とな
る。
【0030】図1(b) は図1(a) の微分電流特性を示し
ている。電圧V1において、その検出電流はJa(V1)=Jb'(V
1)であるが、電圧V1における電流JaとJb' の微分成分は
一致しないために有効領域と無効領域とを区別できる。
逆に、微分電流が一致する場合でも、その電流値につい
てJa(V1)≠Jb'(V1) であるから区別が可能である。信号
は1つの探針t1又はt2で取得した複合検出信号をローパ
スフィルタ等を用いて電気的に分解処理して比較しても
よいし、2つの探針t1、t2を用いてもよい。
【0031】次に、更なる別法として異なる複数の条件
による再生情報を取得するために、図5(a) に示すよう
に、2本の互いに絶縁された探針t1、t2の間の先端高さ
にΔZだけ差を設け、記録層2との距離Z1、Z2が異なる
ようにする場合を考える。図2は探針t−記録層2間の
距離Zとトンネル電流jとの相関特性をオン状態JA、オ
フ状態JBについて示している。一般に、トンネル電流j
は距離が小さくなるにつれて指数関数的に増加するが、
オン状態において、絶縁層積層膜中の界面に蓄積された
電子が、或る特定の探針t−記録層2距離、即ち特定の
ポテンシャル条件が満たされる場合に新しいトンネル電
流として作用し、又はトンネル電子との間で弾性・非弾
性的に拘らず相互作用したエネルギ交換を行うことによ
って、図2の曲線JAに見られるような特異なピーク特性
を示すことが知られている。
【0032】本実施例では、探針t1、t2と記録層2との
間の距離Z1、Z2にΔZの差を設けることによって、オン
状態特性JAとオフ状態特性JBとの差異を抽出する。即
ち、距離Z1にある探針t1だけでは、図5(b) に示すよう
にオン状態にある有効領域の検出電流JA(Z1)と、オフ状
態にある凸無効領域での検出電流JB(Z1')が等しくなる
場合があり両者を区別できないが、しかしこれに対し探
針t2の距離Z2をZ2=Z1−ΔZにすることによって、図5
(c) に示すように特性の差異を抽出し、距離Z2において
オン状態の有効領域に期待される電流値JA(Z2)と検出信
号J2との差信号|J2−JA(Z2)|を調べることによって有
効領域か否かの判断ができる。つまり、図5(d) に示す
ように、両探針t1、t2の差信号|J1−J2|を検出するこ
とによって、無効領域を抽出できることになる。
【0033】更に、異なる2つの再生情報として、電圧
V1による検出電流とその距離Zによる変調成分を比較す
ることによっても識別が可能であり、上述の電圧Vによ
る変調成分の場合と同様に行うことができる。
【0034】さて、以上の実施例では電荷蓄積型の記録
媒体について述べてきたが、本発明は何らこの電流電圧
特性に限定されるわけではない。例として、図6に有機
薄膜において見られるスイッチング現象として有名な銅
−テトラシアノキノジメタン(Cu−TCNQ)電荷移
動錯体のオンの状態電流Ja、オフ状態の電流Jbの電流電
圧特性を示す。Cu−TCNQの電荷移動錯体において
は、閾値電圧Vth 以上のバイアスを印加することによっ
て、アクセプタ性のTCNQ分子とCu原子間での電子
移動に伴いエネルギバンド構造が変化し、2つの準安定
な状態間をスイッチングすることが可能であり、閾値以
下の限定された電圧領域において、ほぼオーミック特性
と見做せるオフ状態Jbと、非オーミックな特性を示すオ
ン状態の電流Jaを示す。
【0035】本特性において、バイアス電圧V1、V2を図
6に示すように設定し、2つの異なるバイアス電圧V1、
V2による再生トンネル情報を、前述の電荷蓄積型特性の
場合と全く同様の手段によって比較処理することによっ
て本発明の目的が達成される。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る情報再
生装置は、複数の条件下での再生情報を取得することに
よって、従来不可能であった記録単位領域の空間周波数
帯にある記録媒体表面の起伏つまり物理的凹凸と検出す
べき信号の区別ができるようになり、エラーレートを著
しく減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録媒体材料の電流電圧特性及び微分電圧特性
のグラフ図である。
【図2】記録媒体材料の探針−記録媒体間距離のグラフ
図である。
【図3】原理的説明図である。
【図4】実施例の説明図である。
【図5】他の実施例の説明図である。
【図6】別の記録媒体材料の電流電圧特性のグラフ図で
ある。
【図7】従来例の説明図である。
【図8】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 5 電圧印加手段 6 電圧印加手段 10 制御回路 11 信号処理回路 t、t1、t2 探針 d1〜d10 記録単位領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山野 明彦 東京都大田区下丸子三丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 宮▲崎▼ 俊彦 東京都大田区下丸子三丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体と再生用プローブとを備え、該
    記録媒体と再生用プローブ間の信号により情報を再生す
    る情報再生装置において、前記記録媒体の各記録単位領
    域に対して、複数の条件によって再生情報を取得する手
    段を有することを特徴とする情報再生装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の条件下での再生情報に基づい
    て、前記記録媒体表面の凹凸による信号変化を補正する
    手段を有する請求項1に記載の情報再生装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の条件は前記再生用プローブと
    しての探針と前記記録媒体間に印加する電圧の絶対値又
    は極性又は該電圧の変調の有無とした請求項1に記載の
    情報再生装置。
  4. 【請求項4】 前記複数の条件は前記再生用プローブと
    記録媒体間の距離、又は該距離による変調の有無とした
    請求項1に記載の情報再生装置。
  5. 【請求項5】 前記複数の再生情報を取得する手段は、
    複数の前記プローブによる同時又は順次の走査又は単一
    プローブによる時分割走査又は複数回の走査とした請求
    項1に記載の情報再生装置。
  6. 【請求項6】 前記複数の再生情報が電圧変調又は距離
    変調の有無である場合に、前記再生情報を取得する手段
    は単一の前記プローブにより取得した複合情報を電気回
    路的に分離演算処理するようにした請求項1に記載の情
    報再生装置。
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