JPH05182261A - 情報記憶装置 - Google Patents

情報記憶装置

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JPH05182261A
JPH05182261A JP34604091A JP34604091A JPH05182261A JP H05182261 A JPH05182261 A JP H05182261A JP 34604091 A JP34604091 A JP 34604091A JP 34604091 A JP34604091 A JP 34604091A JP H05182261 A JPH05182261 A JP H05182261A
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JP
Japan
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conductive
film
ferroelectric film
information
voltage
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Pending
Application number
JP34604091A
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English (en)
Inventor
Junichi Takahashi
淳一 高橋
Hiroyuki Horiguchi
浩幸 堀口
Motomi Ozaki
元美 尾崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録ピットを小さくして記録密度を向上させ
ると共に、ピット情報間のクロストークがなく読取りエ
ラーの少ない情報記憶装置を提供する。 【構成】 導電性基板15と、強誘電性膜16と、導電
性膜17と、抵抗層18とよりなる記憶媒体14を設
け、導電性基板15と導電性膜17とを電極として強誘
電性膜16に電圧を印加する第1情報書込み手段19を
設け、導電性膜17と導電性探針23との間に電圧を印
加し下層の強誘電性膜16を加熱する第2情報書込み手
段22を設け、導電性膜17と導電性探針23との間に
電圧を印加し下層の強誘電性膜16を加熱する第1情報
読出し手段24を設け、強誘電性膜16を加熱すること
により導電性基板15と導電性膜17との間に流れる焦
電電流を検出する第2情報読出し手段25を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強誘電体の分極を利用
した情報記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、強誘電体の分極を利用した情報記
憶装置に関するものとしては、その第一の従来例とし
て、“Local modification of organic dye materials
by die-lectric breakdown” なるタイトルで、J.Vac.
Sci.Technol.A8(1),Jan/Feb 1990に開示されているもの
があり、図8(a)はその回路構成の概略を示す。図8
(b)に示す記憶媒体1は、低抵抗のSi基板2上に有
機絶縁膜3が塗布されることによりなっている。Si基
板2にはFETプローブ4が接続されている。有機絶縁
体3には探針5が接触している。この探針5はパルスジ
ェネレータ6に接続され、FETプローブ4はオシロス
コープ7に接続されている。図9は有機絶縁膜3の構造
例を示すものであり、(a)はシアン染料(cyanine dy
e)、(b)はニッケル化合物(nickel complex)の化学
式を示したものである。
【0003】このような構成において、記憶媒体1の有
機絶縁膜3上に接触する探針5に、パルス電圧11.3
〜16v、パルス幅2〜15nsの電圧を印加する。こ
のような電圧を印加することにより、有機絶縁膜3は絶
縁破壊を起こし、窪み又は突起が発生する。このような
形状変化により情報を記録することができる。具体的に
は、電圧値が11.3〜12.7vの場合は表面は窪
み、また、電圧値が12.7〜16vの場合では表面が
隆起する場合がある。この場合、絶縁破壊の高さは膜厚
以上なので基板と膜とは剥離しており、その形状は一定
していない。また、電圧値12.7〜16vで窪むか隆
起するかは全くランダムである。そして、このような変
形により記録された情報は、レーザ光又はAFM(Ato
mic ForceMicroscopy)により読出すことができる。
【0004】次に、その第二の従来例として、“強誘電
性高分子メモリー”というタイトルで、Trigger86
年、5月号に開示されているものがある。この場合、記
憶媒体は、導電性基板上に強誘電性膜を積層することに
より作製されている。強誘電性膜は、フッ化ビニリデン
/三フッ化エチレン共重合体等からなり、図10はその
熱書込みの原理を示すものであり、この場合、分極はこ
れに与える電界との間にヒステリシス特性をもってお
り、このヒステリシス曲線は高温になるほどに小さくな
る。図11(a)〜(e)は記憶媒体1の消去、書込
み、読出しの方法を示すものである。まず、(a)の状
態は未処理フィルムにおける分極状態(矢印方向)を示
すものであり、導電性膜側の表面に電極8を付けてお
く。(b)は消去方法を示すものであり、電極8と導電
性基板との間に導電性膜の抗電界(これは強誘電性膜の
分極反転に必要な最小電界のことをいい、ここでは約5
0MV/mとする)より十分高い電界Eaを加えて、こ
れにより分極の向きを一方向に揃える。この結果、強誘
電性膜に加えていた電界Eaを取り去った後も、分極の
状態は図10のP点に位置する。(c)は書込み方法を
示すものであり、この場合、(b)で印加した電圧Vと
逆極性であり、抗電界より低い電界Ebを強誘電性膜に
加えてレーザ光9aを照射して加熱する。(d)はその
照射後の分極状態を示すものであり、これにより分極状
態はQ点からR点に移行する。(e)は情報の読出し方
法を示すものであり、弱いレーザパルス光9bをフィル
ム面上で操作することにより、その表面の分極状態の変
化を電流アンプを用いて検出することにより情報の読出
しを行うことができる。
【0005】ここで、図10についてもう少し詳しく説
明する。図11の(c)(d)のシーケンスにより分極
状態が反転され、S点の状態になっている膜領域は、弱
いパルスレーザ光の照射によりその部分の温度が上昇
し、これにより分極状態がT点に移行すなわち分極が小
さくなる。この分極の変動に伴う電流(焦電流)が導電
性基板と導電性膜との間に流れ、これにより電流アンプ
9で検出することができる。分極が反転されていない状
態P点の膜領域は、パルスレーザ光の照射によりP点か
らU点に移行する。これにより、焦電流が生じるが、予
め分極が反転されている場合とは電流の方向が逆なので
情報を読出すことができる。また、温度が低くなると、
T,U点の状態からそれぞれS,P点の状態に戻り、こ
れにより元の状態となり情報を保持し続けることができ
る。さらに、情報を重ね書きする場合はレーザ光を照射
しながら、書込みたい情報に対応した極性の電界を印加
する(電界の極性をモジュールする)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】第一の従来例において
は、絶縁破壊により変形した有機絶縁膜3は元の形状に
は復帰することができない、すなわち、追記のみで消去
を行うことができない。また、絶縁破壊により隆起が生
じたような場合、形状が一定していないため、読取りエ
ラーが発生しやすい。また、安定した窪みの形状になる
探針5の電圧範囲は、11.3〜12.7vと狭い。有
機絶縁膜3表面の絶縁破壊により生じた変形の形状は、
印加される電界により決まるため、針先端部の電圧を制
御してもその先端部から有機絶縁膜3の表面までの距離
がスキャンニングによりばらつけば発生する有機絶縁膜
3表面の変形もばらつくことになり、好ましくない隆起
が容易に発生する。すなわち、常に読取りエラーが生じ
にくい安定したピット形状を作ることができない。
【0007】第二の従来例においては、情報を書込む場
合は、導電性基板と導電性膜側の電極8との間に印加さ
れる電圧を切換えることにより行うが、記憶媒体をディ
スクとした場合、ディスク面全体を電極とする平行平板
コンデンサが構成されることになり、導電性基板と電極
8との間の静電容量は大きくなる。従って、書込み時に
電圧を切換える際にコンデンサの充放電のために電圧の
立上り、立ち下がりが遅くなり、これにより書込みスピ
ードが遅くなる。
【0008】また、この第二の従来例の場合、書込み、
読出し共にレーザ光が必要であり、レーザ光は直径1μ
m以下には絞り込むことが困難であり、ピットの大きさ
もこれにより制限されこれ以上記録密度の上昇は望めな
い。
【0009】さらに、この第二の従来例においては、読
出し時の焦電流のクロストークにより読出し速度が制限
される。このクロストークが生じる例を図12(a)
(b)に基づいて説明する。(a)において、上下の電
極10,11間に電流アンプ12を接続した状態で、ピ
ットaの領域にレーザ光13が照射されると、分極状態
が図10のS点からT点に移行する。なお、ピットbの
領域は照射されないため、S点の状態のままでいる。次
に、(b)において、ピットaの領域の温度が室温に戻
る前に、ピットbの領域にレーザ光13が照射される
と、温度上昇に伴って図10のS点からT点に移行し、
焦電流I2 が流れると同時にピットaの領域は冷えるた
め、その分極状態はT点からS点に移行し、これにより
逆焦電流I1が流れる。従って、このようにピットa,
bの電極10,11が共通となっているので、ピットa
の領域が冷える前にピットbの読出しを行うと焦電流計
測のための電流アンプ12には、I1+I2の電流が流れ
込み、これにより読出しを行った後のピットaの情報が
混信する。
【0010】これを防止するには、ピットaの領域が冷
えてからピットbの領域を加熱すればよい。しかし、加
熱に要する時間は投入するパワーを大きくすれば短くす
ることができるものの、放冷による冷却に要する時間は
容易には短くすることができない。従って、この第二の
従来例においては、加熱されたピットが放冷される冷却
時間によって読出し速度が制限されるため、高速化する
ことが困難となる。
【0011】さらにまた、この第二の従来例において
は、焦電流を読出すためには、導電性基板と導電性膜と
が導通してはいけない。従って、ディスクの大面積に渡
って強誘電性材料にピンポールが存在して導通するよう
なことがあってはならないが、実際にはこのようなこと
を実現することはほとんど不可能である。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、導電性基板と、この導電性基板上に形成された強誘
電性膜と、この強誘電性膜上に形成された導電性膜と、
この導電性膜上に形成された抵抗層とよりなる記憶媒体
を設け、前記導電性基板と前記導電性膜とを電極として
前記強誘電性膜に電圧を印加する第1情報書込み手段を
設け、前記導電性膜と前記抵抗層上に設置した導電性探
針との間に電圧を印加し前記導電性探針から前記抵抗層
内に流れる電流によりジュール熱を発生させ下層の強誘
電性膜を加熱する第2情報書込み手段を設け、前記導電
性膜と前記抵抗層上に設置した導電性探針との間に電圧
を印加し前記導電性探針から前記抵抗層内に流れる電流
によりジュール熱を発生させ下層の強誘電性膜を加熱す
る第1情報読出し手段を設け、前記強誘電性膜を加熱す
ることにより前記導電性基板と前記導電性膜との間に流
れる焦電電流を検出する第2情報読出し手段を設けた。
【0013】請求項2記載の発明では、導電性基板と、
この導電性基板上に形成された強誘電性膜とよりなる記
憶媒体を設け、前記導電性基板と前記強誘電性膜上に設
置した導電性探針との間に電圧を印加しその導電性探針
から放たれる電荷を前記強誘電性膜の膜上に帯電させる
ことにより前記強誘電性膜の抗電界を超える電界をその
強誘電性膜上に加える情報書込み手段を設け、前記強誘
電性膜の分極した部分の表面電位を測定する情報読出し
手段を設けた。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明では、第1情報書込み手段
を用いて導電性基板と導電性膜との間にこれらを電極と
して電圧を印加させた状態で、第2情報書込み手段を用
いて導電性膜と導電性探針との間に電圧を印加させ導電
性探針から抵抗層内に流れる電流によりジュール熱を発
生させ下層の強誘電性膜を加熱することによって、強誘
電性膜の分極方向を反転させて情報の書込みを行うこと
が可能となる。また、第1情報読出し手段を用いて導電
性膜と導電性探針との間に電圧を印加させ抵抗層内に流
れる電流によりジュール熱を発生させて下層の強誘電性
膜を加熱させた状態で、第2情報読出し手段を用いて導
電性基板と導電性膜との間に流れる焦電電流を検出する
ことにより情報の読取りを行うことが可能となる。
【0015】請求項2記載の発明では、情報書込み手段
を用いて導電性基板と導電性探針との間に電圧を印加さ
せた状態で、前記導電性探針から放たれる電荷をその強
誘電性膜の膜上に帯電させ、前記強誘電性膜の抗電界を
超える電界をその強誘電性膜上に加えることによって、
その強誘電性膜を分極させて情報の書込みを行うことが
可能となる。また、情報読出し手段を用いて強誘電性膜
の分極した部分の表面電位を測定することにより情報の
読出しを行うことが可能となる。
【0016】
【実施例】請求項1記載の発明の一実施例を図1及び図
2に基づいて説明する。図2において、記憶媒体14
は、導電性基板15と、この導電性基板15上に形成さ
れた強誘電性膜16と、この強誘電性膜16上に形成さ
れた導電性膜17と、この導電性膜17上に形成された
抵抗層18とよりなっている。このような記憶媒体14
を用いて、情報書込み回路を構成した例を図1(a)に
示し、情報読出し回路を構成した例を図1(b)に示
す。
【0017】まず、図1(a)において、前記導電性基
板15と前記導電性膜17との間には、アンプ20と、
書込み情報用のメモリ21とよりなる第1情報書込み手
段19が接続されている。この第1情報書込み手段19
は、前記強誘電性膜16の室温における抗電界以下の電
圧を印加する働きがある。また、前記導電性膜17と前
記抵抗層18との間には、電圧源V1 と、前記抵抗層1
8の表面真上に設けられた導電性探針23とによりなる
第2情報書込み手段22が接続されている。この第2情
報書込み手段22は、前記導電性膜17と、前記抵抗層
18上に設置した導電性探針23との間に電圧を印加さ
せることにより、前記導電性探針23から前記抵抗層1
8内に流れる電流によりジュール熱を発生させ、下層の
前記強誘電性膜16を加熱する働きがある。なお、前記
抵抗層18上に設置される導電性探針23は、その先端
部が非常に鋭い(曲率半径rが数百nm以下)形状をな
している。
【0018】また、図1(b)において、前記導電性膜
17と前記抵抗層18との間には、電圧源V2 と、前記
導電性探針23とよりなる第1情報読出し手段24が設
けられている。この第1情報読出し手段24は、前記導
電性膜17と、前記抵抗層18上に設置した導電性探針
23との間に電圧を印加させることにより、前記導電性
探針23から前記抵抗層18内に流れる電流によりジュ
ール熱を発生させ、下層の前記強誘電性膜16を加熱す
る働きがある。また、前記導電性基板15と前記導電性
膜17との間には、電流計26を備えた第2情報読出し
手段25が設けられている。この第2情報読出し手段2
5は、前記強誘電性膜16を加熱することによって、前
記導電性基板15と、前記導電性膜17との間に流れる
焦電電流を検出する働きがある。
【0019】このような構成において、情報の書込み動
作、読出し動作のシーケンスについて説明する。まず、
書込み動作を図1(a)に基づいて述べる。記憶媒体1
4は、導電性基板15と導電性膜17との間に予め強誘
電性膜16の抗電界以上の電界を生じる電圧を印加する
ことにより、一方向に分極された状態となっている。書
込みの際には、導電性探針23と導電性膜17との間に
電圧V1 を印加させ、導電性探針23の先端から放電又
はトンネリングにより電流I1 を抵抗層18を通して導
電性膜17中に流す。その抵抗層18の電流I1 が流れ
た部分においてジュール熱が発生し、その直下に位置す
る強誘電性膜16が加熱されその部分の温度が上昇す
る。一方、この時、導電性基板15と導電性膜17との
間には、書込みたい情報に応じた極性を持ち室温におけ
る抗電界を越えない電界を生じる電圧を印加してあるた
め分極方向は全て同一方向となっているが、温度が上昇
した部分は第二の従来例の分極特性(図10参照)によ
り分極方向が逆方向に変化し、これにより情報が書込ま
れる。
【0020】この場合、電流I1 は、抵抗層18の非常
に狭い領域(広くても直径数十nm以下)にのみ流れる
ため、これにより発生するジュール熱により強誘電性膜
16が加熱される領域も直径100nm以下となる。従
って、その加熱により1ビットの情報が書込まれる領域
は、直径100nm以下の非常に狭い領域とすることが
できる。これに対して第二の従来例においては、レーザ
光のスポットを直径1μm以下に絞れないために、1ビ
ットの情報が書込まれる領域も直径1μm以下にはなら
ない。従って、このようなことから本実施例では従来の
記憶媒体に比べて約100倍程度の記録密度を実現させ
ることができるものである。
【0021】次に、読出し動作を図1(b)に基づいて
述べる。導電性膜17と抵抗層18上の導電性探針23
との間に電圧V2 を印加し、抵抗層18を介して導電性
膜17中に電流I2(<I1)を流す。これにより、読出
したい部分の直上の抵抗層18には、前述した書込みの
場合(図1(a)参照)よりも小さいジュール熱が発生
することになるため、そのジュール熱が発生した直下の
強誘電性膜16が加熱される。この加熱の温度は書込み
の場合の温度よりも低くなっている。従って、このよう
な加熱によって導電性基板15と導電性膜17との間に
は、前述した第二の従来例で説明した場合と同様な焦電
流Isが流れるため、その焦電流Isにより情報を読出
すことができる。
【0022】上述したように、非常に鋭い導電性探針2
3の先端から放出される電流が抵抗層18の非常に狭い
領域(直径数十nm以下)を流れ、これにより発生する
ジュール熱により強誘電性膜16が加熱され、その加熱
される領域も直径100nm以下の非常に狭い領域とな
る。従って、その加熱に伴って強誘電性膜16の分極方
向が反転する領域も直径100nm以下となり、これに
より、1ビットの情報を直径100nm以下の領域に記
録することができる。このようなことから本実施例の記
憶媒体14は、従来よりも100倍以上の記録密度を達
成することができることになる。
【0023】次に、請求項2記載の発明の一実施例を図
3〜図7に基づいて説明する。ここでは、記憶媒体27
は、図3(a)に示すように、導電性基板28と、この
導電性基板28上に形成された強誘電性膜29とからな
っている。また、図3(c)に示すように、前記強誘電
性膜29上に設置した導電性探針30と、情報書込み手
段としての電圧源Vとからなる情報書込み手段31が設
けられている。この情報書込み手段31は、前記導電性
基板28と、前記導電性探針30との間に電圧Vを印加
し、その導電性探針30から放たれる電荷を前記強誘電
性膜29の膜上に帯電させることにより、前記強誘電性
膜29の抗電界を超える電界をその強誘電性膜29上に
加える働きがある。
【0024】また、図4に示すように、前記強誘電性膜
29の分極した部分の表面電位を測定する情報読出し手
段32が設けられている。この情報読出し手段32は、
前記導電性探針30と、測定用のコンデンサCmと、高
入力抵抗アンプ33とよりなっている。
【0025】このような構成において、まず、情報書込
み手段31を用いて情報の書込みを行う方法を図3
(a)〜(e)に基づいて説明する。(a)に示すよう
に、フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体等か
らなる強誘電性高分子膜(以下、強誘電性膜29と呼
ぶ)をスピンコート法により導電性基板28上に作製す
る。この状態では、強誘電性膜29の分極状態はバラバ
ラである。次に、(b)に示すように、強誘電性膜29
上に初期分極用電極34を設け、この初期分極用電極3
4と導電性基板28との間に電圧Vを印加する。この
時、強誘電性膜29の抗電界以上の電界が印加されるよ
うにする。この時の電極状態は図5中のV点である。次
に、(c)に示すように、初期分極用電極34を取り除
き、導電性探針30(探針先端の曲率半径は数百nm程
度)を強誘電性膜29の直上に設置する。この導電性探
針30と導電性基板28との間に前述した(b)とは逆
向きの電圧Vを印加する。これにより、導電性探針30
の先端部から放電又はトンネル電流により電流が流れ、
強誘電性膜29の上に電荷35が帯電していく。この時
の帯電は探針先端直下の強誘電性膜29の表面部分に限
られる。なお、帯電する領域の直径は探針先端部の寸法
から考えると数十nm以下である。次に、(d)に示す
ように、帯電がさらに進んでいくと、(b)で印加した
電圧とは逆方向の電界が強誘電性膜29の帯電した部分
に加わる。そして、抗電界を超え、この電界の作用した
領域の分極方向が反転する。図5において、分極状態
は、V点からW点に移動する。次に、(e)に示すよう
に、導電性探針30を除去後、表面に帯電した電荷を自
然放電又は除電により取り除くと、(d)で逆電界を印
加したところの分極だけが反転したままの状態で残るこ
とになり、これにより、1ビットの情報を書込むことが
できる。
【0026】次に、情報読出し手段32を用いて情報を
読出す方法を図4に基づいて述べる。前述した図3
(e)に示すような一部領域の分極が反転した記憶媒体
27から情報の読出しを行う場合には、導電性探針30
を強誘電性膜29上に設置し、導電性基板28との間に
測定用のコンデンサCmを接続し、また、その導電性探
針30を高入力抵抗アンプ33の入力端と接続する。こ
れにより、導電性探針30には、その直下の膜表面の分
極電荷と逆極性の電荷が誘導される。その誘導された電
荷はコンデンサCmに蓄積されるため、その蓄積された
電荷の極性によりその時の分極電荷の極性が判る。従っ
て、蓄積された電荷は、高抵抗用抵抗アンプ33により
増幅されることにより、記憶媒体27に記録した情報を
Voから読出すことができる。
【0027】次に、前述した図4に示した情報読出し手
段32の回路の変形例を図6に基づいて説明する。ここ
では、強誘電性膜29の上部に位置する導電性探針30
は、片持ち梁36の先端に取付けられており、この片持
ち梁36は固定台37に固定されている。片持ち梁36
の上面にはミラー38が取付けられ、このミラー38に
はLD(半導体レーザ)39からレーザ光が入射できる
ようになっている。ミラー38より反射された光はPS
D(位置検出受光素子)40に検出されるようになって
いる。このPSD40はアンプ41に接続されている。
このアンプ41の前段には、2個のS/H回路42,4
3、NOT回路44、差動増幅回路45が順次接続され
ている。前記導電性探針30と前記片持ち梁36とより
なるスタイラスと、前記導電性基板28との間には、交
流電圧源46が接続されている。また、交流電圧源46
のシンクロ出力Vsoは、2つのS/H回路42,43に
も同時に送られる。この場合、LD39から出射された
レーザ光がミラー38により反射されPSD40に検出
されることにより、片持ち梁36のたわみ量を測定する
ことができる。
【0028】このような構成において、情報読出し方法
を図7(a)〜(g)に基づいて説明する。(a)にお
いて、導電性探針30の先端部には、交流電圧源46の
出力電圧Vsty が印加される。今、導電性探針30の先
端部が強誘電性膜29の+の分極電荷の存在する真上に
あるものとし、その部分の表面電位をVsとする。これ
により、時刻t1 においては針先端部と表面との電位差
はV1 、時刻t2 においては針先端部と表面との電位差
はV2 となる(V1<V2)。次に、(b)は導電性探針
30が受ける力Fの様子を示すものであり、時刻t1
おいて受ける力F1 と、時刻t2 において受ける力F2
との間には、F1<F2の関係が成り立つ。従って、片持
ち梁36のたわみはt1 よりもt2 において大きくな
る。次に、(c)はアンプ41の出力電圧Vaの時刻t
1,t2における電圧値の様子を示すものであり、時刻t
1 における値Va1 と、時刻t2 における値Va2 との
間には、Va1 <Va2 の関係が成り立つ。次に、
(d)に示すような交流電圧源46から出力される交流
電圧Vsty に同期したシンクロ出力Vsoにより、(e)
に示すように時刻t1 における電圧VaがS/H回路4
2によりホールドされ、その出力電圧Vsh1 の値はVa
1 になり、また、(f)に示すように時刻t2 における
電圧VaがS/H回路43によりホールドされ、その出
力電圧Vsh2 の値は、Va2 になる。そして、差動増幅
器45はVsh1 −Vsh2 の演算を行うため、その出力電
圧Vout は(g)に示すような負の値となる。これによ
り導電性探針30の直下の分極電圧の極性を知ることが
できる。また、シンクロ出力によるVaのサンプルホー
ルドは刻一刻と行われるため、導電性探針30と強誘電
性膜29との間の相対的な位置が変われば、次々に情報
の読出しを行うことができる。
【0029】なお、分極方向が逆の場合は同様なシーケ
ンスによりVout は正になる。また、片持ち梁36のた
わみを検出する手段としては、その片持ち梁36上に歪
ゲージを形成することにより検出したり、記憶媒体27
をディスクにしてこれを回転させ導電性探針30を固定
した状態で検出してもよいし、さらには、記憶媒体27
側を固定し、いわゆるSTMのスキャナのように導電性
探針30の側を移動させるようにしてもよい。
【0030】以下、本実施例における利点をまとめてみ
る。まず、第一の利点として、本実施例は前述した第一
の従来例のように放電による記憶媒体1の変形を利用す
るのではなく、記憶媒体27の分極作用を利用している
ため、書込みを行う場合は確実に抗電界を超えるように
導電性探針30に電圧を印加しさえすれば容易に書込み
を行うことができ、その分極状態は安定しているため読
取りエラーの少ない記録の読出しを行うことができる。
【0031】第二の利点として、分極の方向の反転は何
回でも行うことができるため、消去、書換えが可能とな
る。
【0032】第三の利点として、記憶媒体27への充放
電は導電性探針30を介して行われ、しかも、その導電
性探針30は先端が非常に鋭いため、導電性基板28と
の容量は非常に小さく、しかも、充放電の時定数も小さ
くなる。これにより、実用上、書込み、読出し速度に問
題となる制限が加わるようなことはなく、従来よりもは
るかに高速に読出しや書込みを行うことができる。
【0033】第四の利点として、記憶媒体27に電荷が
帯電し、分極を反転させる領域は、導電性探針30の寸
法(曲率半径:数百nm以下)から直径数十nm以下で
ある。従って、記録される最小単位1ビットの領域も直
径数十nmとなり、これにより、光スポット径により制
限されていた第二の従来技術の1000倍以上の記録密
度を達成することができる。
【0034】第五の利点として、第二の従来例のように
焦電流を信号検出用として用いていないため、ピット間
情報のクロストークがなくなり、これにより正確な信号
検出を行うことができる。
【0035】第六の利点として、焦電流を信号としない
ため、書込み時、読出し時に記憶媒体27の全面に電圧
を印加することがなくなり、これにより強誘電性膜29
にピンホールが存在していても情報を書込んだり、読出
したりすることができる。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、導電性基板と、
この導電性基板上に形成された強誘電性膜と、この強誘
電性膜上に形成された導電性膜と、この導電性膜上に形
成された抵抗層とよりなる記憶媒体を設け、前記導電性
基板と前記導電性膜とを電極として前記強誘電性膜に電
圧を印加する第1情報書込み手段を設け、前記導電性膜
と前記抵抗層上に設置した導電性探針との間に電圧を印
加し前記導電性探針から前記抵抗層内に流れる電流によ
りジュール熱を発生させ下層の強誘電性膜を加熱する第
2情報書込み手段を設け、前記導電性膜と前記抵抗層上
に設置した導電性探針との間に電圧を印加し前記導電性
探針から前記抵抗層内に流れる電流によりジュール熱を
発生させ下層の強誘電性膜を加熱する第1情報読出し手
段を設け、前記強誘電性膜を加熱することにより前記導
電性基板と前記導電性膜との間に流れる焦電電流を検出
する第2情報読出し手段を設けたので、従来に比べて記
録ピットを小さくし、記録密度を一段と向上させること
ができるものである。
【0037】請求項2記載の発明は、導電性基板と、こ
の導電性基板上に形成された強誘電性膜とよりなる記憶
媒体を設け、前記導電性基板と前記強誘電性膜上に設置
した導電性探針との間に電圧を印加しその導電性探針か
ら放たれる電荷を前記強誘電性膜の膜上に帯電させるこ
とにより前記強誘電性膜の抗電界を超える電界をその強
誘電性膜上に加える情報書込み手段を設け、前記強誘電
性膜の分極した部分の表面電位を測定する情報読出し手
段を設けたので、請求項1記載の発明の効果に加え、書
込みだけでなく消去も行うことが可能となり、しかも、
書込み、読出し速度が速く、さらには、ピット情報間の
クロストークがなく読取りエラーが少ない情報記憶装置
を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の一実施例を示すものであ
り、(a)は情報書込み時の回路図、(b)は情報読出
し時の回路図である。
【図2】情報記憶媒体の断面図である。
【図3】請求項2記載の発明の一実施例である情報書込
みの動作方法を示す説明図である。
【図4】情報読出しの構成を示す回路図である。
【図5】強誘電性膜の電界・分極特性を示す特性図であ
る。
【図6】情報読出しの他の構成例を示す回路図である。
【図7】情報読出しの動作方法を示す説明図である。
【図8】(a)は第一の従来例を示す回路図、(b)は
その記憶媒体の側面図である。
【図9】有機絶縁膜を構成する化学式を示す模式図であ
る。
【図10】電界と分極とのヒステリシス特性を示す特性
図である。
【図11】従来における情報の書込み、読出し、消去の
各動作を示す説明図である。
【図12】従来の情報読出し時における焦電流によりク
ロストークが発生する様子を示す説明図である。
【符号の説明】
14 記憶媒体 15 導電性基板 16 強誘電性膜 17 導電性膜 18 抵抗層 19 第1情報書込み手段 22 第2情報書込み手段 23 導電性探針 24 第1情報読出し手段 25 第2情報読出し手段 27 記憶媒体 28 導電性基板 29 強誘電性膜 30 導電性膜 31 情報書込み手段 32 情報読出し手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板と、この導電性基板上に形成
    された強誘電性膜と、この強誘電性膜上に形成された導
    電性膜と、この導電性膜上に形成された抵抗層とよりな
    る記憶媒体を設け、前記導電性基板と前記導電性膜とを
    電極として前記強誘電性膜に電圧を印加する第1情報書
    込み手段を設け、前記導電性膜と前記抵抗層上に設置し
    た導電性探針との間に電圧を印加し前記導電性探針から
    前記抵抗層内に流れる電流によりジュール熱を発生させ
    下層の前記強誘電性膜を加熱する第2情報書込み手段を
    設け、前記導電性膜と前記抵抗層上に設置した導電性探
    針との間に電圧を印加し前記導電性探針から前記抵抗層
    内に流れる電流によりジュール熱を発生させ下層の前記
    強誘電性膜を加熱する第1情報読出し手段を設け、前記
    強誘電性膜を加熱することにより前記導電性基板と前記
    導電性膜との間に流れる焦電電流を検出する第2情報読
    出し手段を設けたことを特徴とする情報記憶装置。
  2. 【請求項2】 導電性基板と、この導電性基板上に形成
    された強誘電性膜とよりなる記憶媒体を設け、前記導電
    性基板と前記強誘電性膜上に設置した導電性探針との間
    に電圧を印加しその導電性探針から放たれる電荷を前記
    強誘電性膜の膜上に帯電させることにより前記強誘電性
    膜の抗電界を超える電界をその強誘電性膜上に加える情
    報書込み手段を設け、前記強誘電性膜の分極した部分の
    表面電位を測定する情報読出し手段を設けたことを特徴
    とする情報記憶装置。
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