JPH0991776A - 強誘電体メモリ装置 - Google Patents

強誘電体メモリ装置

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JPH0991776A
JPH0991776A JP25091795A JP25091795A JPH0991776A JP H0991776 A JPH0991776 A JP H0991776A JP 25091795 A JP25091795 A JP 25091795A JP 25091795 A JP25091795 A JP 25091795A JP H0991776 A JPH0991776 A JP H0991776A
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JP
Japan
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pulse
probe
polarization
ferroelectric memory
ferroelectric
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Withdrawn
Application number
JP25091795A
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English (en)
Inventor
Yasuo Isono
靖雄 磯野
Takashi Mihara
孝士 三原
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】情報の記録密度が大きく増大するとともに、記
録された情報を簡単な方法で安定にかつ高速に読み出す
ことができる強誘電体メモリ装置を提供する。 【解決手段】強誘電体薄膜110と、この強誘電体薄膜
110に対して所定の距離をおいて配置され、針状の先
端形状を持つ探針111と、この探針111に第1のパ
ルスを印加して、強誘電体薄膜110を自発分極の2つ
の状態のうち第1の状態に分極させるとともに、第1の
パルスとは逆極性の電圧を有する第2のパルスを探針1
11に印加して、強誘電体薄膜110を第1の状態とは
逆の第2の状態に分極させる書き込みパルス発生回路1
21とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強誘電体メモリ装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】IEEE Transactions on Electron Device
s ED−28巻7号1981年854頁(S.Iwamura,Y.Ni
shida,and K.Hashimoto )は、図23に示すごとく、P
型シリコン1210上に積層された強誘電体1200の
近傍にカンチレバー112の先端に取り付けられた探針
111を保持し、探針111とP型シリコン1210と
の間に電圧を印加することによって強誘電体1200内
に自発分極を誘起させることによって電気信号を記録す
る方法を開示している。
【0003】すなわち、探針111に正の電圧を印加し
た場合、強誘電体1200中には矢印で示した方向の自
発分極が生じ、それから生じる電界によって強誘電体1
200に隣接した領域のP型シリコン中には空乏層12
20ができる。その結果、その領域では探針111とP
型シリコン1210との間の電気容量が減少する。これ
により、空乏層1220が存在しない状態での容量を
“0”状態、空乏層1220が存在する状態での容量を
“1”状態と区別することによって電気的に2値の信号
(デジタル信号)を記録することができる。
【0004】一方、Journal of Applied Physics, 70
巻,5号,(1991年)2725頁(R.C.Barret and
C.F.Quate) は、図24に示したように、P型シリコン
1210上に極めて薄い酸化シリコン(SiO2 )12
40と、窒化シリコン(Si3 4 )1230とを積層
し、そのSi3 4 層1230の近傍にカンチレバー1
12の先端に取り付けられた探針111を保持し、探針
111とP型シリコン1210との間に電圧を印加する
ことによってSiO2 1240との界面近傍のSi3
4 1230中に存在する電子トラップ準位に電子をトラ
ップさせていた。この場合、極薄のSiO2 膜1240
はトンネルスイッチング膜として作用し、十分に高い電
圧が印加された時のみトンネル電流が流れ(ON状
態)、電子を上記トラップ準位に導く。その後、電圧の
印加をやめるとSiO2 膜1240は高抵抗状態(OF
F状態)になり、トラップ電子を長期間にわたって保持
する。
【0005】また、図23の場合と同様、このトラップ
電子から生じる電界によってそこに隣接した領域のP型
シリコン中には空乏層1220ができる。この空乏層1
220の寄与によって生じる容量の変化から、“0”状
態と、“1”状態を区別して記録することは図23で述
べたことと同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例では、
“0”状態及び“1”状態の判別にはいずれもP型シリ
コン1210中にできる空乏層1220に起因する容量
変化を利用していた。この空乏層1220は自発分極あ
るいはトラップ電荷から広がっている電界によって誘起
される。この際、電界は離れた距離rに対してl/rの
割合で減少するので実際に自発分極、あるいはトラップ
電荷の存在する領域よりも広い領域に空乏層が形成され
る。
【0007】例えば探針111先端の曲率半径が100
0オングストロームの場合、自発分極あるいはトラップ
電荷の占める領域は直径1000オングストローム程度
になる。しかし、不純物としてホウ素を1×1017cm
-3だけドーピングしたP型シリコン1210を基板に用
いた場合、空乏層領域の大きさは約3倍の3000オン
グストロームになる。これにより、情報ビットの占める
面積を十分に小さくすることができずメモリの高密度化
に対する妨げになっていた。
【0008】さらに、強誘電体の比誘電率は通常100
0程度であるが、シリコンの比誘電率は11.9である
からこれらは約2桁違う。従って、強誘電体中に自発分
極を誘起させて情報を記録する場合、仮に前記空乏層の
厚みが強誘電体の厚みと同じだとしても容量の変化は数
%にとどまる。そのため信号量が大きくとれず、S/N
が低くなって信頼度を向上させることができなかった。
また、信頼度を上げるためには情報ビットを大きくする
必要があり、そのために高密度化を犠牲にしなければな
らなかった。
【0009】本発明はこのような課題に着目してなされ
たものであり、その目的とするところは、情報の記録密
度を大きく増大させるとともに、記録された情報を簡単
な方法で安定にかつ高速に読み出すことができる強誘電
体メモリ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明に係る強誘電体メモリ装置は、強誘電
体メモリと、この強誘電体メモリに対して所定の距離を
おいて配置され、針状の先端形状を持つ探針と、この探
針に第1のパルスを印加して、前記強誘電体メモリを自
発分極の2つの状態のうち第1の状態に分極させる第1
のパルス印加手段と、前記第1のパルスとは逆極性の電
圧を有する第2のパルスを前記探針に印加して、前記強
誘電体メモリを前記第1の状態とは逆の第2の状態に分
極させる第2のパルス印加手段とを具備する。
【0011】また、第2の発明に係る強誘電体メモリ装
置は、強誘電体メモリと、この強誘電体メモリに対して
所定の距離をおいて配置され、針状の先端形状を持つ探
針と、この探針に前記強誘電体メモリの抗電圧よりも大
きい電圧を有する第1のパルスを印加して、前記強誘電
体メモリを自発分極の2つの状態のうち第1の状態に分
極させる第1のパルス印加手段と、前記第1のパルスと
は逆極性の電圧を有する第2のパルスを前記探針に印加
して、前記第1の分極状態を有する領域と、前記第1の
分極状態とは逆の第2の分極状態を有する領域とが混合
した部分分極状態を形成する第2のパルス印加手段とを
具備する。
【0012】すなわち、第1の発明に係る強誘電体メモ
リ装置は、強誘電体メモリに対して所定の距離をおいて
配置され、針状の先端形状を持つ探針に第1のパルスを
印加して、前記強誘電体メモリを自発分極の2つの状態
のうち第1の状態に分極させるとともに、前記第1のパ
ルスとは逆極性の電圧を有する第2のパルスを前記探針
に印加して、前記強誘電体メモリを前記第1の状態とは
逆の第2の状態に分極させる。
【0013】また、第2の発明に係る強誘電体メモリ装
置は、強誘電体メモリに対して所定の距離をおいて配置
され、針状の先端形状を持つ探針に前記強誘電体メモリ
の抗電圧よりも大きい電圧を有する第1のパルスを印加
して、前記強誘電体メモリを自発分極の2つの状態のう
ち第1の状態に分極させるとともに、前記第1のパルス
とは逆極性の電圧を有する第2のパルスを前記探針に印
加して、前記第1の分極状態を有する領域と、前記第1
の分極状態とは逆の第2の分極状態を有する領域とが混
合した部分分極状態を形成する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0015】図1は第1実施形態に係る強誘電体メモリ
装置の基本構成を示す図である。情報担体となる強誘電
体薄膜110が導電体からなる白金電極100の上に形
成されている。さらにカンチレバー(片持ち梁)112
の先端に取り付けられた導電体から成る探針111をわ
ずかな間隙を介して強誘電体薄膜110に近接させる。
ここで探針111に電圧Vが印加されると、強誘電体薄
膜110中に誘起される分極量は、電圧Vに対して非線
形的に応答して図2(a)に示す様なヒステリシス特性
を示す。
【0016】この様なヒステリシス特性は通常周波数1
kHz程度のサイン波、又は三角波を用いて測定され
る。図2(a)に示すように、電圧が上昇するときと下
降するときとで分極量の変化が異なるヒステリシス特性
は、強誘電体に特有のものであり、常誘電分極の他に、
常温では反転することの無い自発分極を持っていること
に起因する。ここで、正の方向に分極した自発分極をデ
ータ“1”、負の方向に分極した自発分極をデータ
“0”と定義すると、データ“1”とデータ“0”から
成る2値の信号を記憶する強誘電体メモリ装置を作成す
ることができる。なお、ここでは図2(a)に示すよう
な分極状態を完全分極と呼ぶことにする。
【0017】また、強誘電体薄膜110に電圧Vを印加
した時に流れる変位電流を、図2(b)に示す。同図か
らわかるように上記分極量のヒステリシス特性の大きく
変化する位置に対応した2つのピークが見られる。
【0018】以下、図1にもとづき強誘電体薄膜110
にデータを書き込み、および読み出しする動作の説明を
する。カンチレバー112と切替スイッチ120を介し
て書き込みパルス発生回路121又は読み出しパルス発
生回路122が接続される。また、白金電極100には
切替スイッチ130を介して読み出し時以外の負荷容量
131、又は読み出し時の負荷容量132が接続され、
さらに読み出し時の負荷容量132にはセンス回路13
3が接続される。
【0019】データ書き込み時には、切替スイッチ12
0は書き込みパルス発生回路121側に、さらに切替ス
イッチ130は読み出し時以外の負荷容量131側に倒
される。この状態で書き込みパルス発生回路121から
書き込みパルスを発生させる。この書き込みパルスは正
負いずれの極性でも良いが、例えば正のパルスだとする
と強誘電体薄膜110にはデータ“1”が書き込まれ
る。
【0020】データ読み出し時には、切替スイッチ12
0は読み出しパルス発生回路122側に、さらに切替ス
イッチ130は読み出し時の負荷容量132側に倒され
る。この状態で読み出しパルス発生回路122から読み
出しパルスを発生させる。この読み出しパルスの極性は
正負いずれでも良い。例えば、読み出しパルスを正とし
た場合、書き込まれているデータが“1”の場合、回路
には常誘電分極の誘起に伴う変位電流のみが流れる。
【0021】一方、書き込まれているデータが“0”の
場合、回路には常誘電分極の誘起に伴う変位電流に加え
て、自発分極の反転に伴う変位電流が流れる。従って読
み出しパルスを印加した際回路に流れる電流を検知する
ことによって、強誘電体薄膜110にデータ“1”、
“0”のいずれが書き込まれていたかを知ることができ
る。また、読み出しパルスを負とした場合も同様の作用
でデータ“1”、“0”の判別をすることが可能であ
る。
【0022】上記した第1実施形態によれば、書き込み
時に書き込みパルスを印加することで極めて安定した自
発分極を作り出すことができ、この自発分極は熱力学的
に安定なため、外部からそれを維持するための動作、あ
るいはエネルギーの供給をおこなわなくても長時間にわ
たって記憶データを保持し続けることができる。
【0023】また、読み出し時には書き込みパルスとは
逆極性の読み出しパルスを印加することにより、自発分
極を書き込まれていた時とは逆の極性に反転される。こ
の時の変位電流は常誘電分極の変位電流に比べて大きい
ので、ノイズの影響の小さなS/Nの良い読み出しが可
能になる。
【0024】また、書き込みパルスによって作られる自
発分極状態の領域の大きさは、探針111の先端の曲率
半径程度に小さくすることが可能であり、情報密度、す
なわちメモリ容量を増大させることが可能である。
【0025】以下に本発明の第2実施形態を説明する。
【0026】図3に第2実施形態の強誘電体メモリ装置
を示す。これは第1実施形態で示した図1の強誘電体メ
モリ装置のカンチレバー112をx方向ピエゾスタック
30およびy方向ピエゾスタック31に固定したもので
ある。x方向及びy方向は図3の中に記入したごとく定
義する。x方向ピエゾスタック30およびy方向ピエゾ
スタック31はそれぞれ独立した制御回路(図示せず)
により駆動され、探針111をx方向およびy方向に独
立に微少移動させる。強誘電体薄膜110上の適当な場
所に書き込みパルスを探針111によって印加したあ
と、x方向ピエゾスタック30およびy方向ピエゾスタ
ック31に制御信号を印加して探針111を別の場所に
移動させた後、さらにそこで書き込みパルスを印加す
る。この動作を繰り返すことにより、前記自発分極領域
を強誘電体薄膜110上に独立に複数箇所作り込むこと
ができる。
【0027】第2実施形態によれば強誘電体薄膜110
の上に、記憶ビットである自発分極状態を複数箇所、所
定の順番で並べることができる。そのため、“0”と
“1”を基本単位として、それらを複数単位組み合わせ
たデジタル信号の記憶、読み出しが可能となる。
【0028】また、上記複数の自発分極状態の領域は、
お互いになんら電気的な接続を持たない。そのため、通
常金属ストライプをマトリックス状に組み合わせたxy
マトリックス型メモリで問題となるクロストークが生じ
ない。クロストークとは、ある位置に自発分極状態を作
成する動作で、他の位置に自発分極状態が出来たりある
いはある位置の自発分極状態を読み出す動作で他の位置
の自発分極状態が読み出されてしまう現象を言う。
【0029】すなわち第2実施形態によればS/Nの良
い書き込みおよび読み出しの可能な強誘電体メモリが具
現できる。勿論、上記作用、効果と同等の作用、効果を
生じる変形例としては、白金電極100及びその上に形
成された強誘電体薄膜110をx方向ピエゾスタック3
0およびy方向ピエゾスタック31に固定する構成も挙
げられる。
【0030】以下に本発明の第3実施形態を説明する。
【0031】図4に第3実施形態の強誘電体メモリ装置
を示す。これは第1実施形態で示した強誘電体メモリ装
置(図1)のカンチレバー112を直径方向ピエゾスタ
ック40に固定し、さらに白金電極100と強誘電体薄
膜110とから成る記録担体は回転軸41に固定され
る。この回転軸41を介してモーター42の駆動力によ
って回転させられる直径方向ピエゾスタック40に適当
な制御信号を印加することにより、探針111は白金電
極100と強誘電体薄膜110とから成る記録担体の直
径方向の任意の位置に移動させられる。強誘電体薄膜1
10上の適当な場所に、前述書き込みパルスを探針11
1によって印加した後、直径方向ピエゾスタック40に
制御信号を印加して探針111を別の場所に移動させた
後、さらにそこで書き込みパルスを印加する。この動作
を繰り返すことにより、前記自発分極領域を強誘電体薄
膜110上に独立に複数箇所作り込むことができる。
【0032】第3実施形態によれば、強誘電体薄膜11
0の上に、記憶ビットである自発分極を複数箇所、所定
の順番で並べることができる。そのため、“0”と
“1”を基本単位として、それらを複数単位組み合わせ
たデジタル信号の記憶、読み出しが可能となる。
【0033】また、上記複数の自発分極状態の領域は、
お互いになんら電気的な接続を持たない。そのため、通
常は金属ストライプをマトリックス状に組み合わせたx
yマトリックス型メモリで問題となるクロストークが生
じない。クロストークとは、ある位置に自発分極状態を
作成する動作で、他の位置に自発分極状態が出来たりあ
るいはある位置の自発分極状態を読み出す動作で他の位
置の自発分極状態が読み出されてしまう現象を言う。す
なわち第3実施形態によればS/Nの良い書き込みおよ
び読み出しの可能な強誘電体メモリ装置が具現できる。
【0034】以下に本発明の第4実施形態を説明する。
【0035】図5に第4実施形態の強誘電体メモリ装置
を示す。これは第1実施形態で示した強誘電体メモリ装
置(図1)にレーザー光源50とポジションセンシティ
ブディテクター(以下PSDと呼ぶ)51を付け加えた
ものである。レーザー光源50は、それから発せられた
レーザー光が丁度カンチレバー112に照射される様な
位置に固定されており、同時にPSD51はカンチレバ
ー112から反射されたレーザー光を受光できる位置に
固定されている。このPSD51はレーザー光スポット
の入射した位置に依存した大きさの信号を出力する機構
を持つ受光素子である。
【0036】第4実施形態はレーザー光源50、および
PSD51共に位置が固定されているので、PSD51
の出力信号からレーザー光の反射角の変化、すなわちカ
ンチレバー112の傾いた角度を知ることができる。
【0037】データの書き込みは第1実施形態と同様、
探針111に書き込みパルスを印加することにより行
う。読み出しは、読み出しパルスを印加し、その時のカ
ンチレバー112にかかる力学的応答を検出することで
行う。前述のように、正の方向の自発分極をデータ
“1”とし、負の方向の自発分極をデータ“0”と定義
する。負の読み出しパルスが印加された瞬間、強誘電体
薄膜110に蓄えられる分極エネルギーEは、データ
“1”の領域ではE=Ep +Es であり、データ“0”
の領域では、E=Ep となる。ここでEp は常誘電分極
の誘起によって蓄えられたエネルギー、Es は自発分極
の誘起によって蓄えられたエネルギーである。
【0038】この時、探針111は静電的な力Fを受
け、 F=dE/dL (1)式 と書ける。ここではLは探針111と白金電極100と
の間の距離である。探針111に静電的な力Fが働くと
カンチレバー112がたわんで傾く。その結果、上記レ
ーザー光の反射角が変わりPSD51の出力が変化す
る。さらに読み出しパルスの印加された領域がデータ
“1”であったか、データ“0”であったかによって上
記エネルギーEが異なるため上記静電的な力F、すなわ
ちPSD51の出力が異なり両者の判別ができる。
【0039】第4実施形態によれば、読み出しパルスを
印加した時に強誘電体薄膜110に蓄えられるエネルギ
ーがデータ“1”とデータ“0”の領域で異なるため、
カンチレバー112へ働く力を検知することによりデー
タの読み出し動作ができる。またカンチレバー112の
バネ定数をきわめて小さくしておけば、読み出しパルス
を印加した際に探針111にかかる力によってカンチレ
バー112が傾く角度がより大きくなる。さらに、この
カンチレバー112の傾いた角度はレーザー光の反射角
度によって検出しているため、この検出動作によって検
出値への誤差は生じない。すなわち、本実施形態によれ
ば極めて高感度、かつS/Nの良い読み出し動作の可能
な強誘電体メモリ装置が具現できる。
【0040】上記作用、効果と同等の作用、効果を生じ
る変形例として、光干渉計、走査型トンネル顕微鏡(S
TM)、原子間力顕微鏡(AFM)、圧電素子、あるい
はバイモルフ等によってカンチレバー112の傾き角を
検出する方法が挙げられる。以下に本発明の第5実施形
態を説明する。
【0041】第5実施形態の強誘電体メモリ装置は、第
2実施形態(図3)、あるいは第3実施形態(図4)で
示した強誘電体メモリ装置に、さらに第4実施形態(図
5)で示したレーザー光源50およびPSD51を加え
た構成を持つ。データの書き込みは、強誘電体薄膜11
0上の適当な場所に前述書き込みパルスを探針111に
よって印加した後、x方向ピエゾスタック30、又はy
方向ピエゾスタック31、または直径方向ピエゾスタッ
ク40に制御信号を印加して探針111を別の場所に移
動させた後、さらにそこで書き込みパルスを印加するこ
とによって行う。
【0042】データの読み出しは、探針111に直流電
圧を印加しながら、上記x方向ピエゾスタック30、又
はy方向ピエゾスタック31、又は直径方向ピエゾスタ
ック40に制御信号を印加して探針111を別の場所に
移動させるか、あるいはモーター42の動力によって白
金電極100および強誘電体薄膜110を回転させる動
作を行いながら、前記PSD51の出力信号をモニター
することによって、カンチレバー112の傾き角の変化
を検出する。すなわち第4実施実施形態と同様に、デー
タ“1”の状態(正の書き込みパルスにより設定された
自発分極状態)と、データ“0”の状態(負の書き込み
パルスにより設定された自発分極状態)とでは読み出し
パルスが印加された時に強誘電体薄膜110に蓄えられ
るエネルギーが異なるので、直流電圧の印加された探針
111が各々のデータ領域上に移動して来た瞬間に探針
111の受ける静電的な力F((1)式)が異なる。
【0043】その結果カンチレバー111の傾き角が変
わりPSD51の出力信号が変化し、探針111がデー
タ“1”の上を通過したのか、データ“0”の上を通過
したのかが判別できる上記した第5実施形態によれば、
読み出しパルスを印加した時に強誘電体薄膜110に蓄
えられるエネルギーがデータ“1”とデータ“0”の領
域で異なるため、カンチレバー112へ働く力を検知す
ることによりデータの読み出し動作ができる。また、カ
ンチレバー112のバネ定数をきわめて小さくしておけ
ば、読み出しパルスを印加した際に探針111にかかる
力によってカンチレバー112が傾く角度がより大きく
なる。さらに、このカンチレバー112の傾いた角度は
レーザー光の反射角度によって検出しているため、この
検出動作によって検出値への誤差は生じない。すなわ
ち、第5実施形態によれば極めて高感度、かつS/Nの
良い読み出し動作の可能な強誘電体メモリ装置が具現で
きる。
【0044】また、データ読み出し時には、探針111
には直流電圧を印加するだけで良い。したがって、探針
111がデータ“1”の領域、あるいはデータ“0”の
領域の上を通過する度に読み出しパルスを同期させて発
生させる手段を必要とせず、構成が簡略化される。さら
に上記読み出しパルスの同期がずれることによって生じ
るノイズも本質的に生じないのでS/Nの良い読み出し
動作が可能となる。
【0045】以下に本発明の第6実施形態を説明する。
【0046】第6実施形態における強誘電体メモリ装置
は、図6に示す様に記録担体である強誘電体薄膜110
の上にこの強誘電体薄膜110の面積よりも小さいパッ
ド60を複数箇所に設けることを特徴とする。従来、探
針111に書き込みパルスを印加して強誘電体薄膜11
0にデータ書き込み領域である自発分極領域を作成した
際、充電電荷としての電子は、上記自発分極状態にある
強誘電体薄膜110と大気との界面近傍に局在してい
る。この界面近傍では、面内方向における電子の易動
度、すなわち電気伝導度が大きい。そのため上記手段に
よって極めて微小領域に自発分極状態を作成しても、上
記充電電荷としての電子が拡散によって面内方向に広が
ってゆく。その結果、上記自発分極領域の大きさは広が
ってしまい、隣の自発分極領域との区別がつかなくな
り、読み出しエラーが生じる。
【0047】第6実施形態で設けたパッド60を用いる
とこの読み出しエラーを極力低減することができる。パ
ッド60は、各種導電体、例えば金属、あるいは不純物
をドーピングした半導体で作成することが望ましい。図
6(a)は上部から見た図、図6(b)は断面図であ
る。データ書き込み時に前記探針111をパッド60の
上部に設定して書き込みパルスを印加すると、該パッド
60の下部に当たる領域のみが自発分極状態になる。こ
の時、上記充電電荷としての電子は該パッド60内に均
一に分布している。パッド60には厚みがあるため、上
記充電電荷としての電子の大部分は大気にはばまれて面
内方向に拡散することができない。言い換えれば上記自
発分極領域は、パッド60の下部領域のみに限られて作
成されその後その領域が広がることはない。
【0048】第6実施形態によれば、自発分極状態を作
成する領域の上にパッド60が設置されているために作
成された自発分極状態の領域が広がることがない。その
結果、常に隣接している自発分極状態の領域との区別が
明確につけられるのでS/Nの良いデータ読み出し動作
が常に可能となる。
【0049】以下に本発明の第7実施形態を説明する。
【0050】第7実施形態における強誘電体メモリ装置
は、図7に示すように、強誘電体薄膜110の上に半導
体層70が設けられていることを特徴とする。この半導
体層70は、ケミカルベイパーデポジション法(CV
D)で作成したアモルファスシリコン、あるいは多結晶
シリコンなどが望ましい。ここで探針111をわずかな
間隙を介して半導体層70に近接させ、第1実施形態で
述べたごとく書き込みパルスを印加する。すると第6実
施形態で述べた充電電荷としての電子は半導体層70の
内部に分布する。
【0051】半導体の電気伝導度は通常、強誘電体薄膜
110の表面における面内電気伝導度に比べて小さい。
そのため上記充電電荷としての電子は面内に拡散してゆ
くことは無い。そのため第6実施形態で述べたごとく、
データを書き込んだ後、自発分極領域の大きさが大きく
なることは無い。
【0052】第7実施形態によれば、強誘電体薄膜11
0の上に半導体層70が設置されているため、作成され
た自発分極状態の領域が広がることが無い。その結果、
常に隣接している自発分極状態の領域との区別が明確に
つけられるのでS/Nの良いデータ読み出し動作が常に
可能になる。
【0053】以下に本発明の第8実施形態を説明する。
【0054】第8実施形態では、第1実施形態(図1)
で述べた強誘電体メモリ装置において、強誘電体薄膜1
10の大気との界面近傍領域の化学量論比(ストイキオ
メトリー)を通常の値から遠ざけることを特徴とする。
例えば強誘電体薄膜110を、PZT(PbZrO3
PbTiO3 との固溶体)で作った場合、白金電極10
0の上に形成した状態で熱処理を行うと実現される。熱
処理の条件は、N2 等の活性の低いガス中、あるいはA
r等の不活性ガス中、あるいは真空中で700℃で1時
間放置することが望ましい。この熱処理の結果、PZT
薄膜の大気との界面近傍のPb原子が蒸発して抜けだ
し、化学量論比が通常の値から大きくずれる。
【0055】その結果、その部分のみ強誘電体的性質が
消え、半導体的性質が発現する。したがって、第8実施
形態によって強誘電体薄膜110を処理すると、結果的
には第7実施形態(図7)で述べたように、強誘電体薄
膜110の表面に半導体層70を形成したものと等価的
な構造の強誘電体メモリ装置が具現できる。その結果、
データを書き込んだ後、充電電荷としての電子が面内方
向に拡散してゆく事が無い。
【0056】第8実施形態によれば、強誘電体薄膜11
0表面を熱処理により、通常の化学量論比の値から遠ざ
けて、半導体化することによって、作成された自発分極
状態の領域が広がることを防いでいる。その結果、常に
隣接している自発分極状態の領域との区別が明確につけ
られるのでS/Nの良いデータ読み出し動作が常に可能
になる。
【0057】以下に本発明の第9実施形態を説明する。
【0058】第9実施形態の強誘電体メモリ装置は、図
8に示すごとく第1実施形態(図1)におけるカンチレ
バー122に探針A(80)、探針B(81)、および
探針C(82)が設置されていることを特徴とする。さ
らにこれらの探針A、B、C(80,81,82)は切
替スイッチ83を介して切替スイッチ120に接続され
ている。切替スイッチ83を探針A(80)の側に固定
し、かつ切替スイッチ120を書き込みパルス発生回路
121の側に固定し、探針A(80)に書き込みパルス
を印加すると、第1実施形態で述べたことと同様の作用
により、探針A(80)によって設定された強誘電体薄
膜110の領域が自発分極状態になり、データが書き込
まれる。
【0059】引き続いて切替スイッチ83を探針B(8
1)の側に固定し、前述と同様に探針B(81)に書き
込みパルスを印加すると、探針B(81)によって設定
された強誘電体薄膜110の領域が自発分極状態にな
り、データが書き込まれる。さらに切替スイッチ83を
探針C(82)の側に固定することによって同様に、探
針82によって設定された強誘電体薄膜110の領域が
自発分極状態になり、データがかきこまれる。
【0060】この操作を繰り返すことにより、強誘電体
薄膜110にはそれぞれの探針の位置に対応した位置に
自発分極領域が作成される。また、それぞれの自発分極
領域からデータを読み出す際は、切替スイッチ120を
読み出しパルス発生回路122の側に固定し、さらに切
替スイッチ83を探針A(80)、探針B(81)、あ
るいは探針C(82)のいずれかの側に固定した状態で
読み出しパルスを印加することにより、第1実施形態で
述べた作用と同様の作用で読み出し動作が行われる。
【0061】第9実施形態によれば、電気的な作用で切
替スイッチ83、および切替スイッチ120を切り替え
ることのみにより、すなわち、カンチレバー112なる
質量のある物体の位置を強誘電体薄膜110に対して相
対的に移動させることなしに複数の位置に自発分極(デ
ータ)を書き込む事が可能となる。半導体による電気的
なスイッチ作用の速度は、質量のある物体の移動速度に
比べて極めて高速であるため、データの書き込み、およ
び読み出し速度が大幅に向上する。
【0062】また第9実施形態によれば、作成された複
数の自発分極状態(データ)の相対的位置が複数の探針
A(80)、B(81)、C(82)の相対的位置と厳
密に等しい。そのためそれぞれの自発分極状態(デー
タ)を読み出す際にカンチレバー112の位置調整をす
る手段を必要とせず、強誘電体メモリ装置が簡略化、お
よび小型化される。さらに上記位置調整動作の誤差から
生じるノイズを除去することができるので、S/Nの良
い読み出し動作が可能となる。
【0063】以下に本発明の第10実施形態を説明す
る。
【0064】第10実施形態の強誘電体メモリ装置(図
9)は、第9実施形態(図8)の複数の探針のうち、い
ずれか1つの探針を参照探針90として作動させること
を特徴とする。すなわち、参照探針90には参照パルス
発生回路92が接続されていて、かつ参照探針90は参
照センス回路91を介して差動回路93の一方の入力端
子に接続されている。
【0065】一方、他の探針に読み出しパルスを印加し
た際に読み出し信号を出力するためのセンス回路133
は、出力端子が上記差動回路93のもう一方の入力端子
に接続されている。参照パルス発生回路92からは、他
の探針に印加する読み出しパルスに同期して規格化され
た参照パルスを発生させる。参照探針90に参照パルス
が印加された時の参照探針90の電圧は、参照探針90
と白金電極100との間のインピーダンスに依存する。
このインピーダンスは、参照探針90と白金電極100
との間の相対的振動に伴って変化する。したがって参照
探針90の電圧は強誘電体メモリ装置が振動することに
よって生じたノイズ成分と見なすことができる。したが
って各探針によって読み出されて、センス回路133か
ら出力された読み出し信号を、差動回路93の一方の入
力端子に入力すると、該差動回路93からは、該読み出
し信号から前記振動によって生じたノイズ成分を差し引
いた信号が出力される。
【0066】第10実施形態によれば、複数の探針のう
ち1つの探針を参照探針として作動させ、振動により生
じるノイズ信号をモニターすることによって、読み出し
信号から振動により生じるノイズ成分を除去することが
可能となり、S/Nが良く、読み出しエラーの無い強誘
電体メモリ装置が具現できる。
【0067】なお、第10実施形態では複数の探針のう
ちいずれか1つの探針を参照探針90として作動させる
ようにしたが、複数の探針のうち2つ以上の探針を参照
探針として作動させるようにしてもよい。
【0068】以下に本発明の第11実施形態を説明す
る。
【0069】第11実施形態では第9実施形態(図8)
および第10実施形態(図9)で用いた複数の探針を均
一に作る方法を提供するものである。図10に第11実
施形態で作成した複数の探針の断面図を示す。基板とし
てシリコンウェハー1000を用い、その表面を熱酸化
処理によって絶縁膜であるSiO2 膜1010を作る。
さらにその上にケミカルベイパーデポジション(CV
D)法によってポリシリコン膜1020を形成する。
【0070】このポリシリコン膜1020の厚さは10
00オングストローム〜1μm程度が望ましい。さらに
このポリシリコン膜1020の1部分に不純物をドーピ
ングする。不純物をドーピングする領域の選択はフォト
リソグラフィーの手法を用いる。不純物を含まないポリ
シリコン膜1020は絶縁体なので、探針としては機能
しない。一方、ドープ領域のポリシリコン膜1030は
電気伝導性を持つので、この領域のみが探針として機能
する。図10に示した様にドープ領域1030を複数適
当な間隔をおいて設置することによって各々電気的に独
立な複数の探針が作成できる。ドープ領域1030の巾
は数ミクロンである。隣接する領域間での記録密度をこ
の巾よりも大きくしたいときは、斜めにカットすればよ
い。
【0071】第11実施形態の方法によれば、探針の形
状、あるいはお互いの間隔の精度はフォトリソグラフィ
ーの際のフォトマスクの作成精度で決まる。フォトマス
クの精度は一般にμmオーダーの機械工作精度に比べて
極めて高いため、各探針の形状、および間隔が極めて均
一な複数の探針の作成方法が提供される。
【0072】以下に本発明の第12実施形態を説明す
る。
【0073】第12実施形態では第9実施形態(図8)
および第10実施形態(図9)で用いた複数の探針を均
一に作る方法を提供する。図11に本実施形態の探針作
成法の手順を示す。まず、図11(a)に示すように基
板1100の上にアルミニウム1110と酸化アルミニ
ウム1120を交互に積層する。基板1100は金属、
半導体あるいはセラミックス等いずれでも良い。またア
ルミニウム1110および酸化アルミニウム1120は
蒸着法、あるいはスパッタリング法等で作成し、厚さは
10オングストローム〜1μmが望ましい。その後、機
械的研磨法、ウェットエッチング法、あるいはリアクテ
ィブイオンエッチング(RIE)法によって図11
(b)に示すような形状に加工する。酸化アルミニウム
1120は絶縁体なので、探針としては機能しない。一
方、アルミニウム1110は電気伝導性を持つので、こ
の領域のみが探針として機能する。
【0074】図11(b)に示した様にアルミニウム1
110と酸化アルミニウム1120とが交互に並ぶこと
によって各々電気的に独立な複数の探針が作成できる。
さらに酸化アルミニウム1120はアルミニウム111
0の1部を酸化処理によって作成する方法もある。すな
わち、基板1100上に第1層目のアルミニウム111
0の蒸着を行い、さらにそのアルミニウム1110の表
面を熱酸化処理して第1層目の酸化アルミニウム層11
20を形成する。引き続き第2層目のアルミニウム11
10の蒸着を行い、さらに熱酸化処理を行い第2層目の
酸化アルミニウム1120を形成する。
【0075】この作業を繰り返して図11(a)に示し
たアルミニウム1110と酸化アルミニウム1120の
交互構造を作成する。この方法によれば、基板1100
上への蒸着物質が1種類であるため、蒸着装置が簡略化
され、かつ作業工程が単純化される。
【0076】第12実施形態の方法によれば各探針の間
隔の制御はアルミニウム1110と酸化アルミニウム1
120の蒸着条件、あるいはアルミニウム1110の酸
化条件によって行われる。これらの方法による制御精度
は機械工作やフォトマスクの精度よりもさらに高い。そ
の結果、各探針の形状、および間隔が極めて均一な複数
の探針の作成方法が提供される。
【0077】上記した実施形態では強誘電体メモリの完
全分極作用を利用して情報の記録を行ったが、以下に述
べる実施形態では強誘電体メモリの部分分極作用を利用
して情報の記録を行なう。
【0078】図12は第13実施形態に係る強誘電体メ
モリ装置の基本的構成を示す図である。情報記録担体と
なる強誘電体薄膜11が白金電極10の上に形成されて
いる。さらにカンチレバー(片持ち梁)13の先端に取
り付けられた導電体から成る探針12をわずかな間隙を
介して強誘電体薄膜11に近接させる。ここで該探針1
2に電圧Vが印加させると、該強誘電体薄膜11中に誘
起される分極量は、その電圧Vに対して非線形的に変化
して図13(a)に示すようなヒステリシス特性を示
す。
【0079】図13(b)はこのようなヒステリシス特
性と印加電圧に対する分極量の関係を示す。ヒステリシ
ス特性は通常1kHz程度の連続サイン波、または三角
波を用いて測定される。Pr を残留分極量、Ps を飽和
分極量と称し、またPs とPr の差をバックスイッチン
グと称する。Vc ′はヒステリシス特性から求められる
抗電圧、Vc はPr −V特性から求められる抗電圧であ
り、これら2つは必ずしも一致しない。
【0080】ここで(I)の領域は連続波の印加では、
第1のパルスにて第1の方向に分極設定された分極状態
から、分極反転、つまり分極の変化が起こらない領域で
あり、(III )の領域は第1の方向に分極設定された分
極を、ほぼ第2の方向に反転させた分極状態を有する領
域である。(II)は部分分極状態である。部分分極とは
第1の方向と第2の方向の分極との混合状態を有する分
極状態である。
【0081】図14(a)、(b)はこの部分分極を単
一パルスを用いて作る方法を説明するための図である。
まず、図14(a)に示すように、パルス幅te 、パル
ス高Ve を有する第1のパルスにより強誘電体薄膜11
を十分負に分極させた後、強誘電体薄膜11のスイッチ
ング時間ts の5倍以上のパルス幅tw を持つ高さVw
の第2のパルスを印加し、その時の分極反転量を評価し
たものが図14(b)である。
【0082】図14(b)において、(I)、(II)、
(III)は図13(b)と同様の領域である。この場合、
(II)の領域はパルス幅tw を有する第2のパルス印加
後も極めて安定に存在することを示している。
【0083】図15(b)は、図15(a)に示すよう
に、第1、第2のパルスを印加した後に高さVr を有す
る第3のパルスを印加して得られた電荷量と印加パルス
数との関係をパルス高Vw をパラメータとして示したも
のであり、パルス高Vw を強誘電体薄膜11の抗電圧V
c の0.3〜1.5倍、パルス数を1〜104 回まで変
化させた場合の結果である。ここで斜線部の領域は部分
分極の領域である。パルス高Vw が抗電圧Vc 程度の大
きさの場合、パルス幅tw をスイッチング時間ts の1
/3とすると、3〜30回程度のパルス印加で部分分極
を起こすことができる。
【0084】図16は上記のことをパルスの高さVw と
パルス幅tw で整理して示すものである。同図中、斜線
部で示されるパルス幅tw とパルス高Vw を有する第2
のパルスにより強誘電体薄膜11の分極を部分分極状態
とすることができる。
【0085】以上により、白金電極10の上に形成され
た強誘電体薄膜11を記憶セルとして、探針12を介し
てまず、強誘電体薄膜11の抗電圧Vthよりも大きい電
圧を有する第1のパルスを印加して、自発分極の2つの
状態のうち第1の方向に分極させ、次に前記第1のパル
スとは逆極性の電圧を有する第2のパルスを印加する。
これによって、前記第1の方向の分極状態を有する領域
と、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向の分極状態
を有する領域とが混合した部分分極状態を安定して形成
することができる。
【0086】なお、部分分極については本出願人による
特願平6−225415号に詳細に述べられている。
【0087】以下に図17にもとずき部分分極を発生す
るための強誘電体メモリ装置の構成および動作を説明す
る。図17は回路図であり、61′は第1のパルスを発
生する第1のパルス発生回路であり、62′は第2のパ
ルスを発生する第2のパルス発生回路であり、63′は
第3のパルスを発生する第3のパルス発生回路であり、
65および66は切り替えスイッチ、10は白金電極、
11は強誘電体薄膜、12は探針、13はカンチレバ
ー、67は読み出し時以外の負荷容量、68は読み出し
時の負荷容量、そして69はセンス回路である。
【0088】図18にパルストレインを示す。61は第
1のパルス、62は第2のパルス、63は第3のパルス
を示す。これらのパルスは切り替えスイッチ65を切り
替えることにより選択される。強誘電体薄膜11は第1
のパルス61により第1の方向(負の方向)に分極設定
され、その後、第2のパルス62により部分分極状態に
設定される。この時のパルス高Vw とパルス幅tw の関
係は、上記部分分極作成条件(図16)を満たす必要が
ある。
【0089】好ましくは第2のパルス62の大きさVw
(絶対値)が、前記強誘電体薄膜11の抗電圧の0.3
〜2倍であるかあるいは前記第1のパルス61の大きさ
Ve(絶対値)と、前記第2のパルス62の大きさVw
(絶対値)が、Vw ≦Ve であり、さらに第2のパルス
62のパルス幅tw が第1のパルス61のパルス幅te
の1%〜100%、好ましくはtw ≦te とすることで
分極量が第1の分極状態の分極量の10%〜90%であ
る安定した部分分極状態を作り出すことができる。
【0090】読み出しは、第3のパルス63を印加し、
その応答を検出することで行う。第3のパルス63は基
本的に第2のパルス62と同一か、もしくはパルス幅と
高さが異なっていても図16中の斜線部で規定された値
を持ったパルスとする。切り替えスイッチ66は分極設
定時と書き込み時は、負荷容量67、又は低インピーダ
ンスに固定され、かつ、読み出し時においては比較的大
きい負荷容量68に固定される。この負荷容量68は強
誘電体薄膜11の容量の5〜100倍が望ましい。すな
わち、このセンス回路69に流入する信号の流動量をで
きるだけ抑えて、かつ、信号検出に十分なものである必
要がある。勿論、センス回路69はどのようなもので構
成されていても良く、オペアンプ、あるいはエミッター
フォロアー、カソードフォロアー等を用いた低インピー
ダンスアンプでも良い。
【0091】ここで第1のパルス発生回路61′により
設定される分極状態をデータ“0”とし、第2のパルス
発生回路62′で形成された部分分極状態をデータ
“1”に定義する。すると、第3のパルス63を印加す
ることにより、分極の変化分が異なるため、得られる電
荷量も異なる。従って、その差を判別することでデータ
“1”、および“0”が識別でき、前記第1の方向、お
よび部分分極の分極状態によりデータ“1”、および
“0”の2値を記憶できる。このようにして読み出しの
できる強誘電体メモリを具現することができる。
【0092】上記した第13実施形態によれば、書き込
み時に第1のパルス61とは逆極性の第2のパルスを印
加することで、完全分極ではなく、極めて安定した部分
分極の状態を作り出すことができ、この部分分極状態は
電圧がゼロでも部分分極状態“0”と“1”とで容量値
が異なるため、これを完全なゼロバイアス状態で読み出
しが行えることから完全な非破壊状態で読み出し動作が
できる。
【0093】また、書き込み時に第1のパルス61とは
逆極性の、しかも、抗電圧の0.3〜2倍のパルス高を
有する第2のパルス62を印加することで、第1の方向
の分極を完全反転させることなく、第2の方向の分極状
態を混在させた部分分極状態を安定して形成できる。
【0094】また、書き込み時に第1のパルス61とは
逆極性の、しかも大きさ(絶対値)が前記印加電圧Ve
の大きさより小さい電圧Vw を有する第2のパルス62
を印加することで、第1の方向の分極を完全反転させる
ことなく第2の方向の分極状態を安定して形成できる。
【0095】また、書き込み時に第1のパルス61とは
逆極性の、しかも第1のパルス幅の1%〜300%のパ
ルス幅を有する第2のパルス62を印加することで、第
1の方向の分極を完全反転させることなく、第2の方向
の分極状態を混在させた部分分極状態を安定して形成で
きる。
【0096】さらに、第1の分極状態の分極量の10%
〜90%の分極量を有する部分分極状態とすることで、
電圧がゼロであっても部分分極状態“1”と“0”を識
別することができる。
【0097】また、第1の分極状態と部分分極の差を容
量値の差として検出することで、第3のパルスの振幅は
小さくて良く、すなわち、強誘電体薄膜11への印加電
圧は小さくてよく、分極状態の破壊を防ぐことができ
る。
【0098】また、第1のパルス61および第2のパル
ス62によってつくられる部分分極状態の領域の大きさ
は探針12の先端の曲率半径程度に小さくすることが可
能であり、情報密度、すなわちメモリ容量を増大させる
ことが可能である。
【0099】以下に本発明の第14実施形態を説明す
る。
【0100】第14実施形態における第3のパルス63
は、第1のパルス61と同極性でもよいが、第2のパル
ス62とは極性が逆である第3のパルス63を印加して
読み出しを行えば分極の変化率が大きくなり、従って得
られる電荷量が大きくなるため、読み出しのS/Nがよ
くなる。さらに読み出し信号検出のためのセンス回路6
9が定常動作するまでに必要なセット時間よりも長いパ
ルス幅を有する第3のパルス63を使用することで、セ
ンス回路69の定常動作領域で読み出し動作を行うこと
ができるため、読み出し動作のエラーを防止することが
できる。
【0101】また、強誘電体薄膜11の抗電圧の0.3
倍以下のパルス高を有するかあるいは、パルス高または
パルス幅が第2のパルス62のパルス高、パルス幅に比
べて小さい第3のパルス63を用いることで、読み出し
の動作による分極の破壊は起こらない。すなわち、読み
出し動作後、分極は元の状態のままであり記憶状態がそ
のまま維持されている非破壊読み出しのできる強誘電体
メモリが提供できる。
【0102】上記した第14実施形態によれば、第2の
パルス62とは極性が逆である第3のパルス63により
情報を読み出すことで、記憶情報の“1”、“0”をS
/N良く読み出す事ができる。
【0103】またパルス幅がセンス回路69のセット時
間よりも長い第3のパルス63で情報を読み出すこと
で、センス回路69が定常動作状態で読み出しができる
ため、読み出しエラーを防止できる。すなわち、S/N
の良い読み出しが可能となる強誘電体メモリが具現でき
る。
【0104】また、パルス高が強誘電体薄膜11の抗電
圧Vc の0.3倍以下である第3のパルス63で情報を
読み出すことで、強誘電体薄膜11の分極状態を読み出
し動作により破壊することがない。
【0105】また、読み出し時に、前記第2のパルス6
2に比べてパルス高、あるいはパルス幅が小さい第3の
パルス63を印加することで、強誘電体薄膜11の分極
状態を破壊することが無い。
【0106】さらに、読み出し時に第3のパルス63を
印加した際、応答する領域の大きさは、探針12の先端
の曲率半径程度に小さくすることが可能であり、情報密
度、すなわちメモリ容量を増大させることが可能であ
る。
【0107】以下に本発明の第15実施形態を説明す
る。
【0108】第15実施形態では、第3のパルスをゼロ
バイアスにベースラインを有する交流信号として、第1
の分極状態と部分分極状態の差を容量値の差として検知
する。こうすることにより、従来の様にDCバイアスに
交流波形を重畳する方法と異なり、強誘電体薄膜11に
印加される電圧の最大値がDCバイアス分だけ減少する
ため、強誘電体薄膜11の分極、すなわち、記憶状態を
破壊することがなくなる。好ましくは振幅の最大値を強
誘電体薄膜11の抗電圧Vc の0.3倍以下とすること
で、さらに非破壊性は高まる。
【0109】ここで図15に、SrBi2 Ta2 9
ら成る強誘電体薄膜の印加電圧に対する分極の変化を実
測した結果が示されているが、この強誘電体薄膜の場
合、ヒステリシスカーブから求められる抗電圧は膜厚に
依存するが、第15実施形態の場合、200nmの厚み
で0.6〜0.8V程度である。この膜に対して、0.
2V以下の電圧では1010回のパルス印加後、分極は維
持される。つまり抗電圧の0.3倍以下の電圧であれば
少なくとも1010回のパルスを印加しても分極は破壊さ
れない。
【0110】逆に言えば、1010回のパルス印加を想定
した場合には、0.2V印加で読み出しを行う必要があ
り、容量を読み出すための交流波形の励振電圧に加え
て、DCバイアスを印加するといった従来の方法では強
誘電体薄膜の分極を非破壊で読み出すことは不可能であ
る。
【0111】また、第3のパルス63は前記センス回路
69のセット時間より長い立ち上がり時間tr を持たせ
ることで、該センス回路69の定常動作領域で読み出し
動作を行うことができるため、読み出し動作のエラーを
防止することができる。
【0112】上記した第15実施形態によれば、ゼロバ
イアス状態にベースラインを有する交流信号である第3
のパルス63により情報を読み出すことで、強誘電体薄
膜11の分極状態を破壊することがない。
【0113】また、ゼロバイアス状態にベースラインを
有し、振幅の最大値が抗電圧の0.3倍以下である交流
信号である第3のパルス63により情報を読み出すこと
で、強誘電体薄膜11の分極状態を破壊することがな
い。
【0114】以下に本発明の第16実施形態を説明す
る。
【0115】図19に第16実施形態の強誘電体メモリ
装置を示す。これは、第13〜第15実施形態で示した
強誘電体メモリ装置(図17)のカンチレバー13をピ
エゾスタック70に固定したものである。ピエゾスタッ
クとは圧電体物質を積層して作ったアクチュエータ素子
であり、電圧パルスを複数回印加することによりその電
圧パルスの回数に応じた微小な距離だけ物体を移動させ
ることができる。所定の距離を移動させるだけの回数の
電圧パルスは、ピエゾスタック制御回路71によって作
成されピエゾスタック70に印加される。
【0116】図20は記録担体となる強誘電体薄膜11
に電圧パルスを印加する手順を示す図である。まず、直
流電源72によって探針12には一定の電圧を印加して
おく。この時点では探針12には強誘電体薄膜11の分
極を変化させるに十分な電圧は分配されない。ここで、
ピエゾスタック70に適当な制御パルスを印加して、図
20に示すように、探針12と強誘電体薄膜11との距
離を時間τの間だけパルス的に近接させる。その結果こ
の近接されている時間τの間だけ強誘電体薄膜11には
十分に高い電圧が分配される。すなわち探針12の位置
を変化させることによって結果的に強誘電体薄膜11に
はパルス電圧がかかる。
【0117】さらにこの時間τの間、探針12を強誘電
体薄膜11にどれだけの距離近づけるかによって、直流
電源72の電圧を変化させることなしに強誘電体薄膜1
1にかかる電圧パルスの大きさを微妙に変化させること
ができる。
【0118】上記した第16実施形態によれば強誘電体
薄膜11にパルス電圧を印加するためにパルス電源、す
なわち電圧を時間的に変動させる手段を必要としない。
そのため直流電源72とカンチレバー13とを接続する
リード線、カンチレバー13、あるいは探針12自身の
もっている浮遊容量によって強誘電体薄膜11にかかる
パルス波形がなまる、すなわち、高周波成分が減衰する
ことがない。そのため、強誘電体薄膜11が応答する限
り十分に高速のパルス電圧を印加することが可能となり
書き込み、あるいは、読み出し時間が短縮される。
【0119】また、本発明の記録書き込み、および読み
出し法では、記誘電体薄膜11に印加する第1のパル
ス、第2のパルス、および第3のパルスの相対的な大き
さを微妙に変化、調整する必要があるが、第16実施形
態では探針12の移動距離の調整のみによってそれが可
能となる。すなわち、多種類の定電圧源を用意する必要
が無く強誘電体メモリ装置の構成が概略化および小型化
される。
【0120】以下に本発明の第17実施形態を説明す
る。
【0121】第17実施形態は図17の強誘電体メモリ
装置のカンチレバー13をx方向ピエゾスタック及びy
方向ピエゾスタックに固定するものである。このx,y
方向ピエゾスタックとして、第2実施形態の図3に示す
x方向ピエゾスタック30、y方向ピエゾスタック31
と同等のものを用いることができる。また、第17実施
形態の作用もほぼ第2実施形態と同様であるが、第17
実施形態では自発分極領域ではなく部分分極領域が強誘
電体薄膜110上に複数箇所作成される点が異なる。
【0122】以下に本発明の第18実施形態を説明す
る。
【0123】第18実施形態は図17の強誘電体メモリ
装置のカンチレバー13を直径方向ピエゾスタックに固
定し、さらに白金電極10と強誘電体薄膜11からなる
記録媒体は回転軸に固定され、この回転軸を介してモー
ターの駆動力によって回転させられる。直径方向ピエゾ
スタック、回転軸、は第3実施形態の図4に示す直径方
向ピエゾスタック40、回転軸41、モーター42と同
等のもので実現できる。また、第18実施形態の作用も
第3実施形態とほぼ同様であるが、第18実施形態では
自発分極ではなく部分分極領域が強誘電体薄膜110上
に複数箇所形成される点が異なる。
【0124】なお、第17、第18実施形態において、
ピエゾスタックはさらにリニヤモーターに固定されてい
てもよい。該リニヤモーターはピエゾスタックより大き
な範囲で探針を粗動させることができるので、第17実
施形態の方法で情報を記録できる領域を広げることがで
きる。
【0125】以下に本発明の第19実施形態を説明す
る。
【0126】図21に第19実施形態の強誘電体メモリ
装置を示す。これは第13〜第15実施形態で示した強
誘電体メモリ装置(図17)にレーザー光源100とP
SD101をつけ加えたものである。レーザー光源10
0は、それから発せられたレーザー光が丁度カンチレバ
ー13に照射される様な位置に固定されており、同時に
PSD101はカンチレバー13から反射されたレーザ
ー光を丁度受光できる位置に固定されている。このPS
D101はレーザー光スポットの入射した位置に依存し
た大きさの信号を出力する機構を持つ受光素子である。
本実施形態はレーザー光源100、およびPSD101
共に位置が固定されているので、PSD101の出力信
号から、レーザー光の反射角の変化、すなわちカンチレ
バー13の傾いた角度を知ることができる。
【0127】以下に図21に基づき第19実施形態の構
成で部分分極を発生、および読み出す動作について説明
する。強誘電体薄膜11は第1のパルス61により第1
の方向(負の方向)に分極設定され、その後、第2のパ
ルス62により部分分極状態に設定される。この時のパ
ルス高Vw とパルス幅tw の関係は前記部分分極作成条
件(図13)を満たす必要がある。
【0128】読み出しは、第3のパルス63を印加し、
その時のカンチレバー13にかかる力学的応答を検出す
ることで行う。第3のパルス63は基本的に第2のパル
ス62と同一か、もしくはパルス幅と高さが異なってい
ても、図13中の斜線部で規定された値を持ったパルス
とする。ここで第1のパルス61により設定された分極
状態をデータ“0”とし、第2のパルス62により形成
された部分分極状態をデータ“1”と定義する。
【0129】すると、前述のようにデータ“0”とデー
タ“1”の状態では容量値が異なり、各々、C0 および
C1 と定義する。第3のパルス63(高さV)が印加さ
れた瞬間、強誘電体薄膜11に蓄えられる分極エネルギ
ーEは、データ“0”(C=C0 )の領域ではE=(1
/2)C0 V2 であり、データ“1”(C=C1 )の領
域では、E=(1/2)C1 V2 となる。この時、探針
12は静電的な力Fを受け、前記した(1)式で表され
る。ここでLは探針12と白金電極10との間の距離で
ある。上記の様に分極エネルギーEは容量Cの関数だか
ら、探針12に静電的な力Fが働くとカンチレバー13
がたわんで傾く。その結果、上記レーザー光の反射角が
変わりPSD101の出力の違いより判別することがで
きる。
【0130】上記した第19実施形態によれば、データ
書き込み時に第1のパルス61とは逆極性のパルスを印
加することで、完全分極ではなく、極めて安定した部分
分極の状態を作り出すことができ、この完全分極状態
“0”と部分分極状態“1”とでは容量値が異なるた
め、第2のデータ書き込みパルスと同等の分極状態を変
化させることのない第3のデータ読み出しパルスを印加
した際のカンチレバー13へ働く力を検知することによ
り、完全に非破壊状態でデータの読み出し動作ができ
る。
【0131】また、カンチレバー13のバネ定数をきわ
めて小さくしておけば、第3のデータ読み出しパルスを
印加した際に探針12にかかる力によってカンチレバー
13が傾く角度がより大きくなる。さらに、このカンチ
レバー13の傾いた角度はレーザー光の反射角度によっ
て検出しているため、この検出動作によって検出値への
誤差は生じない。すなわち、本実験例によれば極めて高
感度、かつS/Nの良い読み出し動作の可能な強誘電体
メモリ装置が具現できる。
【0132】上記作用、効果と同等の作用、効果を生じ
る変形例として、光干渉計、走査型トンネル顕微鏡(S
TM)、原子間力顕微鏡(AFM)、圧電素子、あるい
はバイモルフ等によってカンチレバー13の傾き角を検
出する方法が挙げられる。
【0133】以下に本発明の第20実施形態を説明す
る。
【0134】第20実施形態の強誘電体メモリ装置は、
第17実施形態、あるいは第18実施形態で示した強誘
電体メモリ装置に、さらに第19実施形態で示したレー
ザー光源100及びPSD101を加えた構成を持つ。
データの書き込みは、強誘電体薄膜11上の適当な場所
に前述第1のパルスおよび第2のパルスを探針12によ
って印加した後、x方向ピエゾスタック(図3のx方向
ピエゾスタック30と同等のもの)、又はy方向ピエゾ
スタック(図3のy方向ピエゾスタック31と同等のも
の)、または直径方向ピエゾスタック(図4の直径方向
ピエゾスタック40と同等のもの)に制御信号を印加し
て探針12を別の場所に移動させた後、さらにそこで第
1のパルスおよび第2のパルスを印加することによって
行う。
【0135】データの読み探針12に直流電圧を印加し
ながら、上記x方向ピエゾスタック(図3のx方向ピエ
ゾスタック30と同等のもの)、又はy方向ピエゾスタ
ック(図3のy方向ピエゾスタック31と同等のも
の)、又は直径方向ピエゾスタック(図4の直径方向ピ
エゾスタック40と同等のもの)に制御信号を印加して
探針12を別の場所に移動させるか、あるいはモーター
(図4のモーター42と同等のもの)の動力によって白
金電極10および強誘電体薄膜11を回転させる動作を
行いながら、前記PSD101の出力信号をモニターす
ることによって、カンチレバー13の傾き角の変化を検
出する。すなわちデータ“0”の状態(第1のパルスに
より設定された分極状態)と、データ“1”の状態(第
2のパルスにより形成された部分分極状態)とでは容量
値が異なるので、直流電圧の印加された探針12が各々
の領域上に移動して来た瞬間に探針12の受ける静電的
な力F((1)式)が異なる。その結果カンチレバー1
3の傾き角が変わりPSD101の出力信号が変化し、
探針12がデータ“0”の上を通過したのか、データ
“1”の上を通過したのかが判別できる。
【0136】上記した第20実施形態によれば、データ
書き込み時に第1のパルス61とは逆極性のパルスを印
加することで、完全分極では無く、極めて安定した部分
分極の状態を作り出すことができ、この完全分極状態
“0”と、部分分極状態“1”とでは容量値が異なるた
め、第2のデータ書き込みパルスと同等の分極状態を変
化させることの無い直流電圧を印加した探針12に働く
力を検知することにより、完全に非破壊状態でデータの
読み出し動作ができる。
【0137】また、データ読み出し時には、探針12に
は直流電圧を印加するだけで良い。したがって、探針1
2がデータ“0”の領域、あるいはデータ“1”の領域
の上を通過する度に読み出しのための第3のパルスを同
期させて発生させる手段を必要とせず、構成が簡略化さ
れる。さらに上記第3のパルスの同期がずれることによ
って生じるノイズも本質的に生じないのでS/Nの良い
読み出し動作が可能となる。
【0138】以下に本発明の第21実施形態を説明す
る。
【0139】第21実施形態の強誘電体メモリ装置を図
22に示す。これは信号処理および制御を行う回路11
1と、上記した実施形態で述べた白金電極10と強誘電
体薄膜11とから成る記録部112と、上記した実施形
態で述べた探針12とカンチレバー13と、必要ならば
カンチレバー13の傾き角を検出するためのレーザー光
源100と、PSD101を含むヘッド113と、上記
した実施形態で述べたx方向ピエゾスタック(図3のx
方向ピエゾスタック30と同等のもの)、あるいはy方
向ピエゾスタック(図3のy方向ピエゾスタック31と
同等のもの)、あるいは直径方向ピエゾスタック(図4
の直径方向ピエゾスタックと同等のもの)から成るアク
チュエータ114とが同一の基板110の上に固定され
ている。さらにもう1つの溝を設けた形状の基板を上か
ら覆って、上記溝の中に、回路111、記録部112、
ヘッド113、およびアクチュエータ114を納めても
良い。
【0140】第21実施形態によれば、回路111、記
録部112、ヘッド113、およびアクチュエータ11
4が同一の基板110上にあるため、お互いの相対的な
振動は起きない。そのため上記相対的な振動に伴う機械
的振動ノイズ、あるいは静電容量の振動に伴う電気的な
ノイズを除去することができる。
【0141】また、前記溝を設けた形状の基板を覆う
と、回路111、記録部112、ヘッド113、および
アクチュエータ114が外界から遮断されるので、ほこ
り等によるノイズ発生が抑えられる。また、機械的な強
度が強いので、手で持って運ぶ、といった携帯性に優れ
た強誘電体メモリ装置が実現できる。
【0142】なお、上記した実施形態には以下の発明が
含まれる。
【0143】(構成1)導電体100の上に形成された
強誘電体110と、導電性物質から成り、針状の先端形
状を持つ探針111と、その探針111を支持する支持
部材112とから成る強誘電体メモリ装置であって、第
1のパルスを印加して、自発分極の2つの状態のうち第
1の方向の状態に分極させる第1のパルス印加手段12
1と、前記第1のパルスとは逆極性の電圧を有する第2
のパルスを印加して前記第1の方向とは逆の第2の方向
に自発分極を分極させる第2のパルス印加手段122
と、を具備したことを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0144】この構成には第1実施形態(図1、2)が
該当する。導電体には白金電極100が、支持部材には
カンチレバー112が、第1のパルス印加手段には書き
込みパルス発生手段121が、第2のパルス印加手段に
は読み出しパルス発生回路122が該当する。導電体と
してはこの他に導電性のある各種金属、あるいは不純物
を添加した半導体が用いられる。また、支持部材は弾性
を持つ材料をたんざく状、棒状、あるいは薄膜状に加工
したものである。
【0145】(作用) 強誘電体110中に自発分極を
誘起するための電圧パルスを、探針111によって極め
て微小な領域に印加することによって、自発分極状態の
しめる面積を極めて小さくすることができる。また、こ
のことと自発分極を反転することによってデータを読み
出す方法を組み合わせることにより、情報ビットの大き
さは上記自発分極領域の大きさに等しくなる。
【0146】(効果)強誘電体中の自発分極の極性の違
いによってデータを記録すると、記録密度は大幅に向上
する。また自発分極の反転に伴う変位電流は、常誘電分
極の反転に伴う変位電流に比べて非常に大きいので、信
号量が増加しS/Nが向上する。例えば3.5インチの
ディスク状媒体に情報を記録すると約5ギガバイトの容
量が実現できる。
【0147】(構成2)構成1において、探針111を
支持する支持部材112は、第1の方向に対する微少移
動手段30と、第2の方向に対する微少移動手段31と
に固定されている事を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0148】この構成には第2実施形態(図3)が該当
する。支持部材にはカンチレバー112が、第1の方向
に対する微少移動手段にはx方向ピエゾスタック30
が、第2の方向に対する微少移動手段にはy方向ピエゾ
スタック31が該当する。
【0149】(作用) 第1の方向に対する微少移動手
段、および第2の方向に対する微少移動手段によって探
針111を移動させることにより、強誘電体110上に
複数箇所前記自発分極状態の領域を作成する。
【0150】(効果)“0”と“1”を基本単位とし、
それらを複数単位組み合わせたデジタル信号の記憶、読
み出しが行える。また、それぞれの自発分極状態を書き
込み、および読み出しする際のクロストークによるノイ
ズを除去することができ、S/Nの良い強誘電体メモリ
装置が具現できる。
【0151】(構成3)構成1において、探針111を
支持する支持部材112が微少移動手段40に固定され
ていて、かつ、強誘電体110が回転動力源42によっ
て回転運動している事を特徴とする強誘電体メモリ装
置。
【0152】この構成には第3実施形態(図4)が該当
する。支持部材にはカンチレバー112が、微少移動手
段には直径方向ピエゾスタック40が、回転動力源には
モーター42が該当する。
【0153】(作用) 微少移動手段によって探針11
1を移動させながら、回転動力源によって強誘電体11
0を回転させることにより、強誘電体110上に複数箇
所前記自発分極状態の領域を作成する。
【0154】(効果)“0”と“1”を基本単位とし、
それらを複数単位組み合わせたデジタル信号の記憶、読
み出しが行える。また、それぞれの自発分極状態を書き
込み、および読み出しする際のクロストークによるノイ
ズを除去することができ、S/Nの良い強誘電体メモリ
装置が具現できる。
【0155】(構成4)構成1、2および3において、
支持部材112の偏角を検知する手段50,51を具備
することを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0156】この構成には第4実施形態(図5)が該当
する。支持部材にはカンチレバー112が、支持部材の
偏角を検知する手段には、レーザー光源50およびポジ
ションセンシティブディテクター(PSD)51が該当
する。
【0157】(作用) 探針111に読み出しパルスが
印加された際、強誘電体110に蓄えられるエネルギー
に応じた量だけの支持部材の偏角を検知する。
【0158】(効果) 強誘電体110の正の方向の自
発分極領域と負の方向の自発分極領域での、読み出しパ
ルスが印加された時に蓄えられるエネルギーの違いを前
記支持部材の偏角の違いによって読み出すことにより、
データの読み出しを行うことができる。また前記支持部
材の偏角信号は電荷(電流)信号に比べて大きくとるこ
とができるため、高感度、かつS/Nの良い強誘電体メ
モリ装置が具現できる。
【0159】(構成5)構成4において、探針112に
直流電圧を印加して前記部分分極状態を読み出す事を特
徴とする強誘電体メモリ装置。
【0160】この構成には第5実施形態が該当する。
【0161】(作用)探針111に直流電圧を印加した
状態で前記正の自発分極領域、あるいは前記負の自発分
極領域上を通過した時の前記支持部材の偏角を検知す
る。
【0162】(効果)強誘電体110の正の方向の自発
分極領域と負の方向の自発分極領域での、読み出しパル
スが印加された時に蓄えられるエネルギーの違いを前記
支持部材の偏角の違いによって読み出すことにより、デ
ータの読み出しを行うことができる。また前記支持部材
の偏角信号は電荷(電流)信号に比べて大きくとること
ができるため、高感度な強誘電体メモリ装置が具現でき
る。また読み出しパルスと前記自発分極領域上探針11
1が通過するタイミングのずれから生じるノイズを除去
することができるためS/Nの良い強誘電体メモリ装置
が具現できる。
【0163】(構成6)構成1において、強誘電体11
0の上に導電体、あるいは半導体から成り該強誘電体1
10の面積より小さい領域が複数箇所、お互いに距離を
隔てて形成されていることを特徴とする強誘電体メモリ
装置。
【0164】この構成には第6実施形態(図6)が該当
する。導電体、あるいは半導体から成る領域にはパッド
60が該当する。
【0165】(作用) 書き込みパルスによって充電さ
れた電子はそれぞれのパッド60の上に局在する。
【0166】(効果)書き込みパルスによって充電され
た電子はそれぞれのパッド60の大きさより広がること
が無い。その結果隣り合った自発分極状態の区別が明確
につけられるので、S/Nの良いデータ読み出し動作が
常に可能となる。
【0167】(構成7)構成1において、強誘電体11
0の上に半導体層が形成されていることを特徴とする強
誘電体メモリ装置。
【0168】この構成には第7実施形態(図7)が該当
する。
【0169】(作用)書き込みパルスによって充電され
た電子は拡散によってその分布領域を広げることが無
い。
【0170】(効果)書き込みパルスによって作成され
た自発分極領域の大きさは、その後広がることが無い。
その結果隣り合った自発分極状態の区別が明確につけら
れるので、S/Nの良いデータ読み出し動作が常に可能
となる。
【0171】(構成8)構成1において、強誘電体11
0の大気との界面近傍の化学量論比(ストイキオメトリ
ー)が強誘電体相のものからはずれていることを特徴と
する強誘電体メモリ装置。
【0172】この構成には第8実施形態が該当する。
【0173】(作用)強誘電体薄膜110の大気との界
面近傍領域が半導体化する。そのため、書き込みパルス
によって充電された電子は拡散によってその分布領域を
広げることが無い。
【0174】(効果)書き込みパルスによって作成され
た自発分極領域の大きさは、その後広がることが無い。
その結果となり合った自発分極状態の区別が明確につけ
られるので、S/Nの良いデータ読み出し動作が常に可
能となる。
【0175】(構成9)構成1において、支持部材11
2に複数の探針(80,81,82)が設置されている
ことを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0176】この構成には第9実施形態(図8)が該当
する。
【0177】(作用)探針(80,81,82)を動か
すこと無しに複数の位置に自発分極(データを書き込む
ことができる。
【0178】(効果)データの書き込み、読み出し速度
が向上する。また、探針支持部材の位置調整機構が不要
になるので、装置の小型化がはかれる。また上記位置調
整動作の誤差から生じるノイズを除去できるのでS/N
の良い読み出し動作が可能となる。
【0179】(構成10)構成9において、複数の探針
のうち少なくとも1つに参照パルス印加手段92が接続
されており、該参照パルス印加手段92からは、第1の
パルスもしくは第2のパルスの印加と同期してパルス高
とパルス幅が規格化された参照パルスが出力されること
を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0180】この構成には第10実施形態(図9)が該
当する。参照パルス印加手段には参照パルス発生回路9
2が該当する。
【0181】(作用)強誘電体メモリ装置の機械的振動
に伴うノイズを見積もることができる。
【0182】(効果)読み出し信号からノイズを除去す
ることができるので、S/Nが良く、読み出しエラーの
無い強誘電体メモリ装置が具現できる。
【0183】(構成11)構成9における複数の探針
(80,81,82)は基板1000の上に半導体10
20を形成し、その一部分に選択的に不純物を添加する
ことによって作成することを特徴とする強誘電体メモリ
装置。
【0184】この構成には第11実施形態(図10)が
該当する。基板にはシリコンウェハー1000が、半導
体にはポリシリコン膜1020が該当する。
【0185】(作用)半導体上の不純物が添加された領
域のみが探針として作用する。
【0186】(効果)各探針の形状、および間隔が極め
て均一な複数の探針の作成方法が提供される。
【0187】(構成12)構成9における複数の探針
(80,81,82)は基板1100の上に絶縁性物質
1120と導電性物質1110とを交互に形成して作成
することを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0188】この構成には第12実施形態(図11)が
該当する。絶縁性物質には酸化アルミニウム1120
が、導電性物質にはアルミニウム1110が該当する。
【0189】(作用)それぞれの導電性物質が独立の探
針として作用する。
【0190】(効果)各探針の形状、および間隔が極め
て均一な複数の探針の作成方法が提供される。
【0191】(構成13)導電体10の上に形成された
強誘電体11と、導電性物質から成り、針状の先端形状
を持つ探針12と、その探針を支持する支持部材13と
から成る強誘電体メモリであって、前記強誘電体の抗電
圧Vthよりも大きい電圧Ve を有する第1のパルス61
を印加して、自発分極の2つの状態のうち第1の方向の
分極状態に分極させる第1のパルス印加手段と、前記第
1のパルス61とは逆極性の電圧Vw を有する第2のパ
ルス62を印加して、前記第1の方向の分極状態を有す
る領域と、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向の分
極状態を有する領域とが混合した部分分極状態を形成す
る第2のパルス印加手段と、を具備したことを特徴とす
る強誘電体メモリ装置。
【0192】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。導電体には白金電極10
が、強誘電体には強誘電体薄膜11が、支持部材にはカ
ンチレバー13が該当する。導電体としてはこの他に導
電性のある各種金属、あるいは不純物をドープした半導
体が用いられる。支持部材は弾性を持つ材料をたんざく
状、棒状、薄膜状に加工したものである。
【0193】また、第1のパルス印加手段には第1のパ
ルス発生回路61′が、第2のパルス印加手段には第2
のパルス発生回路62′が該当する。
【0194】(作用)強誘電体中に部分分極状態を作成
するための電圧パルスを、探針によって極めて微小な領
域に印加すると、部分分極状態が占める面積が極めて小
さくなる。
【0195】(効果)強誘電体が完全分極状態にある
か、部分分極状態にあるかの違いによってデータを記録
すると、多大な記録密度を有する強誘電体メモリ装置が
具現でき、かつ何回データを読み出してもそのデータが
消失することはない。
【0196】(構成14)構成13において、第2のパ
ルス62の大きさVw (絶対値)が、前記強誘電体11
の抗電圧の0.3倍〜2倍であることを特徴とする強誘
電体メモリ装置。
【0197】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0198】(作用)自発分極(分極)の2つの状態の
うち第1の分極状態に前記強誘電体薄膜11の抗電圧V
thよりも大きい電圧Ve を有する第1のパルス61を印
加して分極し次に前記印加電圧Ve とは逆極性の抗電圧
の0.3〜2倍であるパルス高を有する第2のパルス6
2を印加し、前記第1の方向の分極を有する領域と、前
記第1の方向とは逆極性の第2の分極を有する領域の混
合した部分分極状態にて情報の記憶を行う。
【0199】(効果)書き込み時に、第1のパルス61
とは逆極性の、しかも抗電圧の0.3〜2倍のパルス高
を有する第2のパルス62を印加することで、第1の方
向の分極を反転させること無く、第2の方向の分極を混
在させた部分分極状態を安定して形成できる。
【0200】(構成15)構成13あるいは14におい
て、前記第1のパルス61の大きさVe (絶対値)と、
前記第2のパルス62の大きさVw (絶対値)が、Vw
≦Ve であることを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0201】この構成には第13〜15実施形態(図1
〜6)が該当している。
【0202】(作用)自発分極(分極)の2つの状態の
うち第1の分極状態に前記強誘電体11の抗電圧Vthよ
りも大きい電圧Ve を有する第1のパルス61を印加し
て分極し、次に、前記印加電圧Ve とは逆極性の、しか
も大きさ(絶対値)が、前記印加電圧Ve の大きさより
小さい電圧Vw を有する第2のパルス62を印加し、前
記第1の方向の分極を有する領域と、前記第1の方向と
は逆極性の第2の分極を有する領域の混在した部分分極
状態にて情報の記憶を行う。
【0203】(効果)書き込み時に、第1のパルス61
とは逆極性の、しかも大きさ(絶対値)が、前記印加電
圧Ve の大きさより小さい電圧Vw を有する第2のパル
ス62を印加することで、第1の方向の分極を完全反転
させることなく、第2の方向の分極状態を混在させた部
分分極状態を安定して形成できる。
【0204】(構成16)構成13において、第2のパ
ルス62のパルス幅tw が、第1のパルス61のパルス
幅te の1%〜300%である事を特徴とする強誘電体
メモリ装置。
【0205】この構成には第1〜3実施形態(図1〜
6)が該当している。
【0206】(作用)自発分極(分極)の2つの状態の
うち第1の分極状態に前記強誘電体11の抗電圧Vthよ
りも大きい電圧Ve を有する第1のパルス61を印加し
て分極し、次に、前記印加電圧Ve とは逆極性の、第1
のパルス幅の1%〜300%のパルス幅を有する第2の
パルス62を印加し、前記第1の方向の分極を有する領
域と、前記第1の方向とは逆方向の第2の分極を有する
領域の混在した部分分極状態にて情報の記憶を行う。
【0207】(効果)書き込み時に、第1のパルス61
とは逆極性の、しかも第1のパルス幅の1%〜300%
のパルス幅を有する第2のパルス62を印加すること
で、第1の方向の分極を完全反転させることなく、第2
の方向の分極を混在させた部分分極状態を安定して形成
できる。
【0208】(構成17)構成16において、前記第1
のパルス61のパルス幅te と、前記第2のパルス62
のパルス幅tw が、tw ≦te であることを特徴とする
強誘電体メモリ装置。
【0209】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0210】(作用)自発分極(分極)の2つの状態の
うち第1の分極状態に前記強誘電体11の抗電圧Vthよ
りも大きい電圧Ve を有する第1のパルス61を印加し
て分極し、次に、前記印加電圧Ve とは逆極性の、しか
も、パルス幅がtw ≦te を満足する第2のパルス62
を印加し、前記第1の方向の分極を有する領域と、前記
第1の方向とは逆方向の第2の分極を有する領域の混在
した部分分極状態にて情報の記憶を行う。
【0211】(効果)書き込み時に、第1のパルス61
とは逆極性の、しかも第1のパルス幅がtw≦te を満
足する第2のパルス62を印加することで、第1の方向
の分極を完全反転させることなく、第2の方向の分極状
態を混在させた部分分極状態を安定して形成できる。
【0212】(構成18)構成13において、前記第1
の分極状態と前記部分分極状態の差を容量値の差として
検出する事を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0213】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0214】(作用)第1の分極状態と部分分極の差を
容量値の差として検出する。
【0215】(効果)第1の分極状態と部分分極の差を
容量値の差として検出することで、第3のパルス幅は小
さくて良く、すなわち、強誘電体11への印加電圧は小
さくても良く分極状態の破壊を防ぐ事ができる。
【0216】(構成19)構成18において前記第2の
パルス62と同じかより小さな第3のパルス63を印加
して、前記部分分極状態の分極状態の読み出しを行うこ
とを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0217】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0218】(作用)第2のパルス62とは極性が逆で
ある第3のパルス63により情報を読み出す。
【0219】(効果)第2のパルス62とは極性が逆で
ある第3のパルス63により情報を読み出すことで、記
憶情報の“1”、“0”をS/N良く読み出すことがで
きる。
【0220】(構成20)構成19において、第3のパ
ルス63が、前記強誘電体11の抗電圧の0.3倍以下
のパルス高を有することを特徴とする強誘電体メモリ装
置。
【0221】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0222】(作用)パルス高が強誘電体11の抗電圧
Vc の0.3倍以下である第3のパルス63で読み出
す。
【0223】(効果)パルス高が強誘電体11の抗電圧
Vc の0.3倍以下である第3のパルス63で情報を読
み出す事で、強誘電体11の分極状態を読み出し動作に
より破壊することが無い。
【0224】(構成21)構成19において、第3のパ
ルス63のパルス高、あるいはパルス幅が、前記第2の
パルス62のパルス高、パルス幅に比べて小さい事を特
徴とする強誘電体メモリ装置。
【0225】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0226】(作用)読み出し時に、前記第2のパルス
62に比べてパルス高、あるいはパルス幅が小さい第3
のパルス63を印加する。
【0227】(効果)読み出し時に、前記第2のパルス
62に比べてパルス高、あるいはパルス幅が小さい第3
のパルス63を印加する事で、強誘電体11の分極状態
を破壊することが無い。
【0228】(構成22)構成19において、第3のパ
ルス63がゼロバイアス状態にベースラインを有する交
流信号である事を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0229】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0230】(作用)ゼロバイアス状態にベースライン
を有する交流信号である第3のパルス63により情報を
読み出す。
【0231】(効果)ゼロバイアス状態にベースライン
を有する交流信号である第3のパルス63により情報を
読み出すことで、強誘電体11の分極状態を破壊するこ
とがない。
【0232】(構成23)構成22において、第3のパ
ルス63の振幅の最大値が、前記強誘電体11の抗電圧
の0.3倍以下である事を特徴とする強誘電体メモリ装
置。
【0233】この構成には第13〜15実施形態(図1
2〜18)が該当している。
【0234】(作用)ゼロバイアス状態にベースライン
を有し、振幅の最大値が抗電圧の0.3倍以下である交
流信号である第3のパルス63により情報を読み出す。
【0235】(効果)ゼロバイアス状態にベースライン
を有し、振幅の最大値が抗電圧の0.3倍以下の交流信
号である第3のパルス63により情報を読み出す事で、
強誘電体11の分極状態を破壊することがない。
【0236】(構成24)構成13において、探針12
を支持する支持部材13が微少移動手段70に固定され
ている事を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0237】この構成には第16実施形態(図19、2
0)が該当する。支持部材にはカンチレバー13が、微
少移動手段にはピエゾスタック70が該当する。
【0238】(作用)微少移動手段によって探針12と
強誘電体11との距離を変化させることにより、強誘電
体11に所定の電圧値のパルスを印加する。
【0239】(効果)探針12にパルス電圧を印加する
必要が無いために、浮遊容量によるなまりが無くなる。
また、第1、2、および3のパルス(61,62,6
3)を用いるのでそれぞれ異なった電圧値の電圧源を用
意する必要が無く、強誘電体メモリ装置の構成が簡略
化、および小型化される。
【0240】(構成25)構成13において、探針12
を支持する支持部材13が、第1の方向に対する微少移
動手段30と、第2の方向に対する微少移動手段31と
に固定されている事を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0241】この構成には第17実施形態(図3、図1
7)が該当する。支持部材にはカンチレバー13が、第
1の方向に対する微少移動手段にはx方向ピエゾスタッ
ク30が、第2の方向に対する微少移動手段にはy方向
ピエゾスタック31が該当する。
【0242】(作用)第1の方向に対する微少移動手
段、および第2の方向に対する微少移動手段によって探
針12を移動させることにより、強誘電体11上に複数
箇所前記部分分極状態の領域を作成する。
【0243】(効果)“0”と“1”を基本単位とし、
それらを複数単位組み合わせたデジタル信号の記憶、読
み出しが行える。また、それぞれの部分分極状態を書き
込み、および読み出しする際のクロストークによるノイ
ズを除去することができ、S/Nの良い強誘電体メモリ
装置が具現できる。
【0244】(構成26)構成13において、探針12
を支持する支持部材13が微少移動手段90に固定され
ていて、かつ、強誘電体11が回転動力源92によって
回転運動している事を特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0245】この構成には第18実施形態(図4、図1
7)が該当する。支持部材にはカンチレバー13が、微
少移動手段には直径方向ピエゾスタック40が、回転動
力源にはモーター42が該当する。
【0246】(作用)微少移動手段によって探針12を
移動させながら、回転動力源によって強誘電体11を回
転させることにより、強誘電体11上に複数箇所前記部
分分極状態の領域を作成する。
【0247】(効果)“0”と“1”を基本単位とし、
それらを複数単位組み合わせたデジタル信号の記憶、読
み出しが行える。また、それぞれの部分分極状態を書き
込み、および読み出しする際のクロストークによるノイ
ズを除去することができ、S/Nの良い強誘電体メモリ
装置が具現できる。
【0248】(構成27)構成23、24、25におい
て、支持部材13の偏角を検知する手段100,101
を具備することを特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0249】この構成には第19実施形態(図21)が
該当する。支持部材にはカンチレバー13が、支持部材
の偏角を検知する手段にはレーザー光源100およびポ
ジションセンシティブディテクター(PSD)101が
該当する。
【0250】(作用)探針12に第3の読み出しパルス
が印加された際、強誘電体11の容量値に応じた量だけ
の支持部材の偏角を検知する。
【0251】(効果)強誘電体11の前記完全分極領域
と、前記部分分極領域の容量値の違いを前記支持部材の
偏角の違いによって読み出すことにより記憶状態を破壊
すること無く読み出し動作を行うことができる。また前
記支持部材の偏角信号は電荷(電流)信号に比べて大き
くとることができるため、高感度、かつS/Nの良い強
誘電体メモリ装置が具現できる。
【0252】(構成28)構成26において、探針12
に直流電圧を印加して前記部分分極状態を読み出す事を
特徴とする強誘電体メモリ装置。
【0253】この構成には第20実施形態が該当する。
【0254】(作用)探針12に直流電圧を印加した状
態で前記完全分極領域、あるいは前記部分分極領域上を
通過した時の前記支持部材の偏角を検知する。
【0255】(効果)強誘電体11の前記完全分極領域
と、前記部分分極領域の容量値の違いを前記支持部材の
偏角の違いによって読み出すことにより記憶状態を破壊
すること無く読み出し動作を行うことができる。また前
記支持部材の偏角信号は電荷(電流)信号に比べて大き
くとることができるため、高感度な強誘電体メモリ装置
が具現できるまた第3の読み出しパルス63と前記部分
分極領域上を探針12が通過するタイミングのずれから
生じるノイズを除去することができるためS/Nの良い
強誘電体メモリ装置が具現できる。
【0256】(構成29)構成13、23、24、25
において、情報処理、あるいは制御を行うための回路1
11と導電体と強誘電体とから成る記録部112と、探
針12と支持部材13とから成るヘッド113と、ヘッ
ドを駆動するためのアクチュエーター114が同一の基
板上に固定されていることを特徴とする強誘電体メモリ
装置。
【0257】この構成には第21実施形態(図22)が
該当する。
【0258】(作用)上記回路111と記録部112と
ヘッド113とアクチュエーター114とが同一の基板
上に固定される。
【0259】(効果)回路111と記録部112とヘッ
ド113とアクチュエーター114との相対的な振動を
除去することができるので、機械的振動ノイズ、あるい
はそれに伴う電気的ノイズが除去されてS/Nが向上す
る。また、装置全体の機械的強度が上昇するため、携帯
性の優れた強誘電体メモリ装置が具現できる。さらに、
ほこり等の侵入を抑えることができる。
【0260】
【発明の効果】本発明によれば、情報の記録密度が大き
く増大するとともに、記録された情報を簡単な方法で安
定にかつ高速に読み出すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る強誘電体メモリ装置の基本
構成を示す図である。
【図2】ヒステリシス特性について説明するための図で
ある。
【図3】第2実施形態の強誘電体メモリ装置の構成を示
す図である。
【図4】第3実施形態の強誘電体メモリ装置の構成を示
す図である。
【図5】第4実施形態の強誘電体メモリ装置の構成を示
す図である。
【図6】第6実施形態の構成を説明するための図であ
る。
【図7】第7実施形態の構成を説明するための図であ
る。
【図8】第9実施形態の強誘電体メモリの構成を示す図
である。
【図9】第10実施形態の強誘電体メモリ装置の構成を
示す図である。
【図10】第11実施形態の構成を説明するための図で
ある。
【図11】第12実施形態の構成を説明するための図で
ある。
【図12】第13実施形態に係る強誘電体メモリ装置の
基本的構成を示す図である。
【図13】(a)は強誘電体メモリのヒステリシス特性
を示す図であり、(b)はこのようなヒステリシス特性
と印加電圧に対する分極量の関係を示す図である。
【図14】部分分極を単一パルスを用いて作る方法を説
明するための図である。
【図15】第1、第2のパルスを印加した後に高さVr
を有する第3のパルスを印加して得られた電荷量と印加
パルス数との関係をパルス高Vw をパラメータとして示
した図である。
【図16】図15に示す内容をパルスの高さVw とパル
ス幅tw で整理して示す図である。
【図17】部分分極を発生するための強誘電体メモリ装
置の構成を示す図である。
【図18】パルストレインを示す図である。
【図19】第16実施形態の強誘電体メモリ装置の構成
を示す図である。
【図20】記録担体となる強誘電体薄膜に電圧パルスを
印加する手順を示す図である。
【図21】第19実施形態の強誘電体メモリ装置の構成
を示す図である。
【図22】第21実施形態の強誘電体メモリ装置の構成
を示す図である。
【図23】従来の強誘電体メモリ装置の記録方法を説明
するための図である。
【図24】従来の他の強誘電体メモリ装置の記録方法を
説明するための図である。
【符号の説明】
100…白金電極、110…強誘電体薄膜、111…探
針、112…カンチレバー、120…切替スイッチ、1
21…書き込みパルス発生回路、122…読み出しパル
ス発生回路、130…センス回路、131…読み出し時
以外の負荷容量、132…読み出し時の負荷容量、13
3…センス回路。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体メモリと、 この強誘電体メモリに対して所定の距離をおいて配置さ
    れ、針状の先端形状を持つ探針と、 この探針に第1のパルスを印加して、前記強誘電体メモ
    リを自発分極の2つの状態のうち第1の状態に分極させ
    る第1のパルス印加手段と、 前記第1のパルスとは逆極性の電圧を有する第2のパル
    スを前記探針に印加して、前記強誘電体メモリを前記第
    1の状態とは逆の第2の状態に分極させる第2のパルス
    印加手段と、 を具備したことを特徴とする強誘電体メモリ装置。
  2. 【請求項2】 強誘電体メモリと、 この強誘電体メモリに対して所定の距離をおいて配置さ
    れ、針状の先端形状を持つ探針と、 この探針に前記強誘電体メモリの抗電圧よりも大きい電
    圧を有する第1のパルスを印加して、前記強誘電体メモ
    リを自発分極の2つの状態のうち第1の状態に分極させ
    る第1のパルス印加手段と、 前記第1のパルスとは逆極性の電圧を有する第2のパル
    スを前記探針に印加して、前記第1の分極状態を有する
    領域と、前記第1の分極状態とは逆の第2の分極状態を
    有する領域とが混合した部分分極状態を形成する第2の
    パルス印加手段と、 を具備したことを特徴とする強誘電体メモリ装置。
  3. 【請求項3】 前記強誘電体メモリが強誘電体薄膜を具
    備し、この強誘電体薄膜上にはその面積よりも小さい導
    電体又は半導体からなる複数の領域が互いに所定の距離
    を持って設けられていることを特徴とする請求項1記載
    の強誘電体メモリ装置。
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