JPH0510001U - 自動車用ホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 板材を略皿形状に成形したディスク３をリム
２のウエル４内周面あるいはビードシート８内周面に接
合してなる自動車用ホイール１であって、接合部となる
ディスク３の外周部５を、リム２の面に対して角度を有
する傾斜面とし、当該ディスク３の外周部５の外径の小
さい側においてリム２とのアーク溶接を施してなる。 【効果】 リムとディスクの適正な嵌合寸法が得られる
と同時に嵌入が容易であるため、優れた品質で製造する
ことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、鋼あるいは軽合金の板材を成形してなるリム及びディスクを、アー ク溶接により一体に接合してなる自動車用ホイールの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、リムとディスクを接合してなるいわゆる２ピースホイールは、大部分が リムのウエル部において接合される構造のもので、その接合面は互いが平行にな るように形成されていた。すなわちリムのウエル内周面は軸芯と平行であるため 、これと組合わせられるディスクの外周面も軸芯と平行に形成されているもので あった。

【０００３】 また、リムのビードシート内周面にディスクを接合する構造のホイールもある が、この場合はビードシートに所定の角度（例えば乗用車用のホイールでは軸芯 に対して５°）という角度が与えられているため、ディスクの外周部もそれと同 一の角度に形成されているものであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

リムとディスクの嵌合部の寸法は自動車用ホイールの品質に大きな影響を与え るもので、略皿形状に成形したディスクを用いる自動車用ホイールでは特に影響 が大きい。リムとディスクの嵌入が甘い場合、すなわちリムの内径に対してディ スクの外径が小さすぎる場合には、溶接部に欠陥が生じて必要な強度が得られな くなるという問題や、嵌入後、溶接を施すまでにリムとディスクが動いたり、溶 接熱によって変形が生じたりすることによって振れ精度が悪化するという問題や 、あるいはリムとディスクに部分的に隙間が生じて外観が悪化するという問題が 生じる。

【０００５】 反対にリムとディスクの嵌入が固すぎる場合、すなわちリムの内径に対してデ ィスクの外径が大きすぎる場合には、嵌入時にリムあるいはディスクが変形する という問題や、カジリ傷が生じて、外観が悪化するという問題が生じる。 さらに、リムとディスクの嵌合が適正な寸法でなされたとしても、通常ディス クに比してリムの板厚がかなり薄いこの種のホイールでは、リムの方への焼き抜 けが起こりやすいために溶接の溶け込みをあまり深くすることができないという 欠点もあった。 本考案は、上記のような問題点を解決するためになしたものであり、その目的 とするところは、安定した嵌合状態が得られ、品質に優れる自動車用ホイールを 提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案の自動車用ホイールは、板材を略皿形状に 成形したディスクをリムのウエル内周面あるいはビードシート内周面に接合して なる自動車用ホイールであって、接合部となるディスクの外周部を、リムの面に 対して角度を有する傾斜面とし、当該ディスクの外周部の外径の小さい側におい てリムとのアーク溶接を施してなる。

【０００７】

【作用】

ディスクの外周面がリムの面に対して角度を有しているため、外径の小さい方 からリムに嵌入することによって、変形やカジリ傷を生じることなく容易に嵌入 することができる。

【０００８】 また、必要な嵌入代は最大外径の部分で得られ、溶接までリムとディスクが強 固に保持されるとともに、溶接熱によって変形を生じることもない。 さらにリムとディスクに若干の隙間があることで、溶接がディスクの板厚方向 へ深く溶け込み、接合強度も向上する。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】 実施例１ 図１、図２及び図３に示すように、本考案の自動車用ホイール１は、金属板材 をロール成形してなるリム２と、同じく金属板材をプレス成形してなるディスク ３とから構成され、アーク溶接により一体に接合される。 ディスク３はリム２のウエル４内周面に接合されるものであるが、ウエル４の 内周面が軸芯と平行であるため、ディスク３の外周面５は軸芯に対して約２°の 角度θで表側へ向かって広がるテーパ面としている。 上記外周面５は、ディスク３の加工工程において切削加工により形成するもの で、最大外径はウエル４の内径と同じか0.５mm以下程度大きくするのがよい。そ して嵌入の際にはディスク３の裏面側すなわち外径の小さい方から嵌入される。

【００１１】 嵌入後、アーク溶接がディスク３の裏面側に、好ましくは全周にわたって施さ れてリム２とディスク３が接合されるが、角度の違いによってリム２とディスク ３の間のわずかに隙間があるため、溶接部11はディスク３の板厚方向へ深く、か つリム２の板厚方向へは浅く溶け込み、良好な接合部が得られる。 なお、ディスク３の外周面５の角度は正確に２°である必要はなく、0.５°〜 ４°の範囲が適当で、さらに１°〜３°が最適の範囲である。なお、上記値を超 えるとリムとディスクの隙間が大きくなりすぎて、あまり好ましくない。

【００１２】 実施例２ また、図４及び図５に示す自動車用ホイール６は、リム７のビードシート８内 周面にディスク９を接合したものである。 ビードシート８の外周面は、一般的な乗用車用のホイールにおいては軸芯に対 して５°の角度に形成されるが、板材をロール成形したリム７の場合その内周面 もほぼ同一の角度Ａに形成される為、ディスク９の外周面10は軸芯に対しては７ °すなわちリムの面に対しては２°の角度θで表側へと広がるテーパ面とする。

【００１３】 ディスク９は外径の小さい裏面側からリム７に嵌入され、裏面側において溶接 され、溶接部12を形成することによって、上記の実施例１と同様な効果が得られ るものであるが、この場合もディスク９の外周面10の角度は、リムの面に対して １°〜３°が最適の範囲である。

【００１４】

【考案の効果】

本考案の自動車用ホイールは上記構成としたことにより、リムとディスクの適 正な嵌合寸法が得られると同時に嵌入が容易であるため、振れ精度も外観も悪化 させることなく優れた品質で製造することができる。

【００１５】 また、薄いリムの板厚方向には浅く、かつ厚いディスクの板厚方向には深く溶 接を溶け込ませることが可能であるため、効果的な溶接を施すことができ、強度 が大幅に向上するという優れた実用的効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の自動車用ホイールの断面図である。

【図２】図１に示す自動車用ホイールの嵌入状態を示す
要部切断端面図である。

【図３】図１に示す自動車用ホイールの溶接状態を示す
説明図である。

【図４】本考案の自動車用ホイールの他の実施例を示す
一部断面図である。

【図５】図４に示す自動車用ホイールの嵌入状態を示す
切断端面図である。

【符号の説明】

１ 自動車用ホイール ２ リム ３ ディスク ４ ウエル ５ ディスク外周面 ６ 自動車用ホイール ７ リム ８ ビードシート ９ ディスク 10 ディスク外周面 11 溶接部 12 溶接部

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 板材を略皿形状に成形したディスクをリ
   ムのウエル内周面あるいはビードシート内周面に接合し
   てなる自動車用ホイールであって、接合部となるディス
   クの外周部を、リムの面に対して角度を有する傾斜面と
   し、当該ディスクの外周部の外径の小さい側においてリ
   ムとのアーク溶接を施した自動車用ホイール。