JPH1134601A - フルフェイス板ディスクホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の展伸材製リムを使用し、エアー漏れの
防止、製造の容易化、コスト低減化、意匠性の確保等を
図る。 【解決手段】 通常の形状ままの展伸材製リム１と、そ
の外周端部にリムビードシート裏面に嵌合する５°テー
パーを形成したディスク嵌合曲面８、さらに加えて該外
周端部の意匠面側に開先部６を備えた板ディスク２とか
らなる。リム表側フランジ垂直面９とディスク側嵌合溶
接部頂点１０との面差Ｌを小さくする。ディスク外周開
先部６で溶接し、その溶接３の表面を切削して仕上げ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用ディスク
ホイールに関するもので、詳しくは、リムとディスクと
の結合構造に特徴をもつフルフェイス板ディスクホイー
ルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車用のフルフェイス板ディス
クホイールは大別して、図７に示すリム内曲げフランジ
タイプと、図９に示すリム直当てタイプなどがある。

【０００３】図７は、米国特許４６１０４８２号公報の
ＦＩＧ２に対応するホイールの断面図である。図９は、
実開平３−７２００１号公報の第１図に対応するホイー
ルの断面図である。

【０００４】図７に示すリム内曲げフランジタイプのも
のは、図８に示すような片フランジの異形リム２１をロ
ール成形し、リム嵌合部２５を切削仕上げして形成した
後、図７に示すようにプレス成形及び切削仕上げによっ
て作成したディスク２２のディスク嵌合部２６に嵌合
し、固定治具で固定した状態で溶接（符号２７で示す）
している。

【０００５】また、図９に示すリム直当てタイプのもの
は、図１０に示すように、両フランジリム３１をロール
成形し、リム表側ビードシートの端部をほぼストレート
に切削仕上げして形成した後、図９に示すように、プレ
ス成形及び切削仕上げによって作成したディスク３２の
ディスク嵌合部３４に嵌合し、固定治具で固定した状態
で溶接（符号３５で示す）している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の両タイ
プとも、溶接部がタイヤ側に形成されているため、チュ
ーブレスタイヤを使用した場合、リムとディスクとの溶
接部からのエアー漏れを生じることがあった。又その対
策として厳重なるエアー漏れ検査を実施することは当然
のことであるが、ホイール単品でのエアー漏れ検査に合
格したとしても、車両装着後の実走行負荷応力により、
溶接部の微小亀裂やブローホールといった内部に存在す
る欠陥が表面にまで成長することによるエアー漏れを発
生させることもあった。

【０００７】又、上記従来技術のうち、リム内曲げフラ
ンジタイプ（図７）のものは、図８に示すような、片フ
ランジの異形リム２１をロール成形する場合、内曲げフ
ランジ２３と裏側フランジ２４との形状のアンバランス
によって、特にリムビード周長の寸法精度が安定しない
ため高度な成形技術を要することと、ロール成形機のロ
ール型及び搬送装置に特殊なものが必要であるため段取
り調整に多大な工数を費やさねばならなかった。

【０００８】又、上記従来技術のうち、リム直当てタイ
プ（図９）のものは、リム表側ビードシートの端部をほ
ぼストレートとするために、図１０に示すように該ビー
ドシート部をビードシート半径（Ｒ）だけ長く（約６ｍ
ｍ）成形した後、表側フランジの不要部分３６を切削除
去するため材料の浪費になることと、表側ビードシート
の長い特殊なリムをロール成形することにより、コスト
高になるという問題点があった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになしたものであり、その要旨とするとこ
ろは、通常の形状のままの展伸材製リムと、その外周端
部にリムビードシート裏面に嵌合する５°テーパーを形
成したディスク嵌合曲面、さらに加えて該外周端部の意
匠面側に開先部を備えた板ディスクとからなり、該リム
とディスクをリム表側フランジ垂直面からホイール軸に
対し垂直に引いた線と、ディスク側嵌合溶接部頂点から
ホイール軸に対し垂直に引いた線の間隔が＋５〜−１０
ｍｍ（但し、前記垂直面より前記嵌合溶接部頂点が外側
に位置するとき（＋）とし逆の場合を（−）とする）の
範囲を保持して嵌合密着せしめ、ディスク外周開先部に
てリムとディスクを溶接接合し、該溶接ビードの表面を
切削加工し、段差のない平滑形状としたことを特徴とす
るフルフェイス板ディスクホイールである。

【００１０】本発明は、ディスク側嵌合溶接部頂点の位
置を上記の値に設定したことと、リムとディスクを接合
するアーク溶接ビードをほぼ平面状に肉盛形成して、該
肉盛部表面を切削加工することによりリムとディスクの
接合部を段差のない平滑形状にしたことにより、一体に
形成された外観意匠面は見栄えの良いフルフェイス意匠
面を呈する。さらにディスク外周開先部を有するので該
ビードを切削加工しても充分な溶接量を確保でき、充分
な溶接強度が得られる。そして、溶接部がタイヤ側にな
いことから従来のように溶接部からのエアー漏れがな
い。また、リムは従来のように切削除去して形成するこ
となく、通常形状のリムを採用できるので材料ロスが生
じない。また、リムはその表裏側にフランジを有したバ
ランスのよい形状であるため、その成形に高度な技術を
要せず、かつロール型及び搬送装置に特殊なものを必要
とせず通常のもので良い。したがって、生産性にも優れ
安価なフルフェイスディスクホイールの提供が可能にな
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】次に図１乃至図６に示す実施例に
基づいて本発明の実施の形態について説明する。

【００１２】図１は本発明のフルフェイス板ディスクホ
イールの上半部断面、図２はそのリム、図３はそのディ
スクを示し、１は通常の展伸材リムで、その表裏側にフ
ランジ部１ａ，１ｂを有し、旧来の成形ロール工程で作
成される。４，５はリムの嵌合面で、４はビードシート
裏面を、５はリムの表側ビードシート半径Ｒの裏側を示
す。

【００１３】２は通常のプレス加工をした後、ディスク
の外周端部を据込み成形し、切削加工を施して形成され
た金属板製のディスクで、リム１に密着嵌合する嵌合面
７，８と外周開先部６が形成されている。そして、リム
嵌合面４，５にディスク嵌合面７，８を嵌入密着した
後、展伸材リム１の表側ビードシート半径（Ｒ）の裏側
５とディスク外周開先部６とが全周溶接（符号３）接合
された後、該溶接ビード表面を平滑形状（ほぼ平面又は
軽度の凹Ｒ）に切削仕上げされている。

【００１４】尚、図示の例はリム表側フランジ垂直面９
からホイール軸に対し垂直に引いた線１１とディスク側
嵌合溶接部頂点１０からホイール軸に対し垂直に引いた
線１２の間隔Ｌが−３ｍｍ、すなわち、垂直面９から内
側へ３ｍｍ以内の例である。このように、溶接ビード表
面を平滑形状に仕上げられていることと間隙Ｌが小さい
ことによって意匠面外観は見栄えの良いフルフェイス形
状を呈する。

【００１５】図４〜図６はディスクの外周接合部の加工
順序を示す説明図で、説明上ディスクの一部のみを拡大
した断面で示している。図４は最初のプレス加工を示
し、円筒絞りにより、外周接合部７ａを粗成形する。

【００１６】図５は第２工程としての据込み加工を示
し、上記外周接合部７ａの接合先端外周面７ｂを先細り
形状に加工すると同時に溶接に必要な外周開先部６も１
回の据込み加工にて形成する。図５においてＡ，Ｂ，Ｃ
は据込み加工のための金型配置を示し（動作機構部は省
略）、Ａは上金型、Ｂは下金型、Ｃはリング金型であ
る。この据込み加工に代えてスピニング加工にても成形
可能であるが、据込み加工であれば同一プレス加工工程
の中で成形ができるので生産性が高く、かつ、ワークの
余分な運搬が省略できるので極めて好都合である。

【００１７】尚、外周開先部６は図示の例ではテーパー
面として形成してあるが、プレス加工のままの曲面状で
あっても差し支えない。但し、飾り穴の位置が最外周に
近い部位に形成されるような場合、外周部に凹凸が生じ
ることがあり、かかる状態のまま溶接するのは好ましく
ないため据込み加工又は切削加工等によってテーパー面
を形成する。

【００１８】図６は最後の工程である切削加工を示し、
７はリムビードシート裏面に嵌合するために必要な５°
テーパー面を形成したディスク嵌合面で、前工程の据込
み加工で肉厚となった面を所定の外径、テーパーとなる
様に切削加工して形成される。

【００１９】８はリムの表側ビードシート半径（Ｒ）の
裏側５に密着嵌合するために形成した曲面で、同様に切
削加工して形成される。このように成形された板ディス
クを用いて上記通常のリム１と嵌合し組み立てるには、
フルフェイス板ディスクホイールとして意匠面の見栄え
が特に重要であり、このため本発明においては、リム１
とディスク２の嵌合態様を、リム表側フランジの垂直面
９を基準として該垂直面９よりホイール軸方向に垂直に
引いた線１１と、ディスク側嵌合溶接部頂点１０からホ
イール軸方向に垂直に引いた線１２との間隔Ｌが＋５〜
−１０ｍｍ（但し、前記垂直面１１より前記嵌合溶接部
頂点１０が外側に位置するとき（＋）、逆の場合を
（−）とする）の範囲を保持して嵌合密着させ、この状
態にてディスク外周開先部６にてリム１とディスク２を
溶接接合し、その肉盛された溶接３における溶接ビード
の表面を段差のない平滑形状に切削加工するものであ
る。

【００２０】しかして前記間隔が＋５〜−１０ｍｍの範
囲を外れるときはフルフェイス板ディスクホイールとし
て見栄えが悪くなり好ましくない。外観意匠上、特に好
ましい範囲は±３ｍｍ以内である。

【００２１】また、上記のようにディスク外周開先部６
を形成したことにより溶接３の肉盛量を多くすることが
でき、上記のように、この溶接３を平滑に切削仕上げし
ても充分な溶接量が残存し、充分な溶接強度を確保でき
る。

【００２２】

【発明の効果】以上詳細に述べたように、本発明によれ
ばフルフェイスホイールとして旧来の表裏面にフランジ
を有する通常の展伸材製リムが使用できるため、エアー
漏れの防止が可能で、かつ前記従来のような特殊な製造
設備を必要としないことからフルフェイス板ディスクホ
イールの生産性に優れ、生産コストの削減が可能にな
る。

【００２３】更に、リムとディスクの接合部が意匠面
（表面）に位置しても見栄えの良いフルフェイス意匠面
を形成できる。更に、上記溶接部の外観を良くするため
に、これを切削仕上げしても、その溶接強度を充分確保
できる。

【００２４】更にリムは、そのフランジ部を切削除去し
ない通常のリムを使用できるため、材料ロスがなく、安
価に製造できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のフルフェイス板ディスクホイールの実
施例の上半分を示す縦断側面図。

【図２】図１の実施例に使用するリムの上半分を示す縦
断側面図。

【図３】図１の実施例に使用するディスクの上半分を示
す縦断側面図。

【図４】図１の実施例に使用するディスクにおける外周
接合部の最初のプレス加工後の部分断面図。

【図５】図４の状態からディスク外周接合部を据込み加
工した状態を示す部分断面図。

【図６】図５の状態からディスク外周接合部の切削加工
後の最終形状を示す部分断面図。

【図７】従来技術の一例の上半分を示す縦断側面図。

【図８】図７の従来技術に用いるリムの上半分を示す縦
断側面図。

【図９】従来技術の他の例の上半分を示す縦断側面図。

【図１０】図９の従来技術に用いるリムの上半分を示す
縦断側面図。

【符号の説明】

１…リム ２…ディスク ３…溶接部 ４…リム嵌合面 ５…リム嵌合Ｒ面 ６…ディスク外周
開先部 ７…ディスク嵌合面 ８…ディスク嵌合
曲面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通常の形状のままの展伸材製リムと、そ
   の外周端部にリムビードシート裏面に嵌合する５°テー
   パーを形成したディスク嵌合曲面、さらに加えて該外周
   端部の意匠面側に開先部を備えた板ディスクとからな
   り、 該リムとディスクをリム表側フランジ垂直面からホイー
   ル軸に対し垂直に引いた線と、ディスク側嵌合溶接部頂
   点からホイール軸に対し垂直に引いた線の間隔が＋５〜
   −１０ｍｍ（但し、前記垂直面より前記嵌合溶接部頂点
   が外側に位置するとき（＋）とし逆の場合を（−）とす
   る）の範囲を保持して嵌合密着せしめ、ディスク外周開
   先部にてリムとディスクを溶接接合し、該溶接ビードの
   表面を切削加工し、段差のない平滑形状としたことを特
   徴とするフルフェイス板ディスクホイール。