JP4018248B2 - 自動車用ディスクホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ディスクホイールに関するもので、より詳しくは、リムとディスクのフランジ部との継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用ディスクホイールにおいて、リムとディスクとの継手構造として、図7に示すように、ブレーキ101の大型化に対し内側空間を大きくするために、リム100のドロップ部に、ディスク102の板厚分を吸収するだけの拡開部103を設け、該拡開部103にディスク102の外周端を嵌め込み溶接する構造のものが例えば特開昭55−123501号公報に開示されている。
【0003】
しかし、この構造のものにおいては、リム100とディスク102を溶接するときに双方の正確な位置決めが必要であることの他、リム側に新たに拡開部103を設ける必要があり、加工工程の追加でコストアップが避けられない問題がある。
【0004】
また、図8に示すように、内側空間を大きくすることとディスク201のフランジ部202とリム203のビードシート204の内周面との接触長さを長くすることを目的として、ディスクフランジ部202を表側に屈曲させてビード嵌合する構造のものが、例えば実開平4−31601号公報に開示されている。
【0005】
このものは、ビード嵌合であるため、本質的にディスク板厚を厚く設計する必要があり軽量化はなし得ない問題がある。
そこで、上記の問題を解決するために、本出願人は先に、図9に示すように、ディスク301のフランジ302を2段階に屈曲するとともに、そのフランジ302の基部303はリムのドロップ斜面305とほぼ同じ勾配でドロップ斜面305に接触するように屈曲し、該屈曲したフランジ302の先端部306はリム304のビードシート307の内周面とほぼ同じ勾配で表側へ屈曲してビードシート307の内周面に嵌合し、上記リム304とフランジ302とを溶接接合した継手構造を提案した(特願平9−73280号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特願平9−73280号の継手構造においては、リム304における外開きテーパ状のビードシート307の内周面にディスク301における外開きテーパ状のフランジ302を嵌合する構造であるため、これらの溶接前の嵌合状態では、その嵌合状態の保持力が弱い。そのため、その嵌合工程終了後から溶接工程開始時までの搬送時に、振動等で振れが悪化しやすい。更に、溶接スタート時においては、図10に示す溶接部位Aでの溶接熱によって溶接部位Aの径方向180°反対側でリム304が矢印Bにように浮き上がり、振れが悪化する。更に、ディスクのフランジが周方向に等分割されたものにおいては、そのフランジが舌片状の板となり、その剛性が弱く保持力も弱くなるため、一層振れが悪化しやすい。
【0007】
そのため、嵌合工程から溶接工程へ搬送する際には振動を与えないように配慮する必要があり、更に溶接時には図11に示すように、クランプ400でディスク301及びリム304を保持しなければならない問題がある。
【0008】
そこで本発明は、上記各問題を解決できる自動車用ディスクホイールを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために請求項1記載の発明は、ディスク(5)のフランジ(6)をディスク(5)の外側へ屈曲して該フランジ(6)をリム(1)に嵌合するものにおいて、ディスク(5)のフランジ(6)はディスク(5)の外周に舌片状に複数形成されており、該ディスク(5)のフランジ(6)に、リムハンプ部内径側凹部(4)に嵌合圧着する凸部(6d)を形成したことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リム(1)の外周には拡開状のドロップ斜面部(2)とその外周に拡開状のビードシート(3)が2段階に屈曲して形成され、ドロップ斜面部(2)とビードシート(3)との屈曲点の内側にはリムハンプ部内径側凹部(4)が形成され、
ディスク(5)のフランジ(6)における先端部の内側に、前記リムハンプ部内径側凹部(4)に嵌合圧着する凸部(6d)を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、リムとディスクを、その溶接工程前の嵌合工程において嵌合すると、ディスクのフランジに形成した凸部が、リムハンプ部内径側凹部に嵌合し、その連結が強固になり、ディスクの保持力が強くなる。そのため、嵌合工程から溶接工程までの搬送時において振動等で振れが悪化することがない。
【0011】
更に、溶接工程、特に溶接スタート時において、溶接熱により溶接位置と反対側の部分のディスクが浮き上がることを阻止し、振れの悪化を防止する。
したがって、上記搬送工程及び溶接工程において、上記従来のようにリムおよびディスクをクランプしなくてもホイールの振れ精度を高めることができる。
【0013】
更に、リムとディスクとの結合部を、上記リムハンプ部内径側凹部としたので、ディスクのフランジをリムのビードシート部まで延長することなくリムハンプ部内径凹部までとして、従来のビード嵌合タイプのものに比べて短くできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1はディスクホイールの略半分を切断した斜視図、図2はそのリムとディスクの嵌合部の拡大断面図、図3(a)はリムの嵌合部の拡大断面図、(b)はディスクの嵌合部の拡大断面図である。
【0018】
これらの図において、そのリム1の外周には拡開状のドロップ斜面部2とその外側に拡開状のビードシート3が2段階に屈曲して形成され、そのドロップ斜面部2とビードシート3との屈曲点の内側にはリムハンプ部内径側凹部4が全周に渡って形成されている。該リムハンプ部内径側凹部4は、図3(a)に示すように、その底部内径R3 をビードシート3部の最小径R2 よりも大径にして形成されている。
【0019】
ディスク5の外周には舌片状のフランジ6が、複数、図の実施例では周方向に4本等間隔に形成され、該フランジ6の基部6aは上記リム1のドロップ斜面部2とほぼ同じ勾配で表面側に屈曲され、その基部6aの嵌合面6bと上記ドロップ斜面部2の嵌合面2aとが密着して嵌合するようになっている。
【0020】
上記フランジ6における先端部6cの内側には、上記リムハンプ部内径側凹部4に沿って嵌合する凸部6dが、そのフランジ6の周方向全長に渡って形成されている。更に図の実施例では、上記凸部6dより先のフランジは切断され、リム1のビードシート3部に位置する部分は欠除されている。
【0021】
また、図3(b)に示すように、上記凸部6dの外径R1 は、リム1のビードシート3部の最小径R2 より大きく設定され、望ましくは、0.3〜1.0mm大きくするとよい。
【0022】
以上の構造であるから、ディスク5に対するリム1の嵌合に際しては、ディスク5をリム1の外側よりビードシート3間に押圧する。これにより、ディスク5における各フランジ6に形成した凸部6dは、リム1のビードシート3の内面に沿って若干縮径しながら摺動し、リムハンプ部内径側凹部4に位置した所でフランジ6が、その復元力によって拡開し、その凸部6dがリムハンプ部内径側凹部4内に嵌合圧着して係止される。したがって、この嵌合により、リム1とディスク5は強固に連結される。
【0023】
そして、上記の連結状態で溶接工程が行われる溶接機まで搬送する。
この嵌合工程から溶接工程までの搬送時においては、上記のようにリムハンプ部側内径凹部4内にディスク5におけるフランジ6の凸部6dが嵌合係止して、リム1とディスク5が強固に連結されているため、ホイールの取り扱いがラフでも振れ精度が悪化しない。
【0024】
次に、溶接機により、図10に示す従来と同様に溶接機により、リム1とディスク5を溶接する。図1及び図2において、Wは溶接部を示す。
この溶接工程において、特に溶接スタート時においては、図10に示す溶接部位Aでの溶接熱によって、該部位Aの径方向180°反対側のリムに矢印B方向の浮き上がり力が生じるが、上記のように、リムハンプ部内径側凹部4内に凸部6dが嵌合係止してリム1とディスク5が強固に連結されているため、上記の浮き上がりが阻止され、振れ量が少なくなる。
【0025】
したがって、上記搬送工程及び溶接工程において、前記従来のようにホイールをクランプしなくても振れ精度が悪化しない。
本発明の実施例の継手構造によるホイールと上記特願平9−73280号(以下先の出願という)の継手構造によるホイールを使用して、横裏振れと横表振れ及び縦平均振れを測定して比較した結果を図12に示す。本発明の実施例の継手構造でクランプ無しで組み付けた結果、振れ量は図12(a)の値を示し、先の出願の継手構造でクランプ無しで溶接した場合の振れ量は図12(b)の値を示し、更に、先の出願の継手構造でリムおよびディスクをクランプして溶接した場合の振れ量は図12(c)の値を示した。
【0026】
この結果から、本発明の実施例の継手構造によれば、先の出願の構造でクランプした場合とほぼ同等の振れ量となった。
したがって、本発明によれば、上記のクランプを省略して振れ量の精度を高めることができる。
【0027】
更に、本発明の実施例において、リム1とディスク5の連結はリムハンプ部内径側凹部4の位置で行われるため、ディスク5のフランジ6における上記凹部4より外側の部分が不要になる。すなわち、図9に示す先の出願におけるフランジ部302の先端部306が不要になる。
【0028】
したがって、図4に示すように、本実施例のフランジ長L1 を先の出願のフランジ長L2 よりも短くでき、その分ホイールの軽量化を図ることができる。
図5及び図6は参考例を示す。
【0029】
参考例は、ディスク5の外周部に、内側へ折曲した舌片状のフランジ6Aを形成し、該フランジ6Aをリム1のビードシート3の内面に嵌合するものにおいて、そのフランジ6Aの先端外面に、上記実施例と同様な、リムハンプ部内径側凹部4に嵌合する凸部6eを形成したものである。
【0031】
【発明の効果】
以上のようであるから、請求項1及び2記載の発明によれば、搬送工程及び溶接工程において、リムおよびディスクをクランプする必要がないので、クランプ機構を有しない従来の設備や治具が流用でき、設備コストも安く、生産性も良い。
【0032】
更に、ディスクのフランジを短くしてホイールの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すディスクホイールの略半分を切断した斜視図。
【図2】 図1におけるリムとディスクの嵌合部を示す拡大断面図。
【図3】 (a)は図1におけるリムの嵌合部の拡大断面図、(b)はディスクの嵌合部の拡大断面図。
【図4】 図1における嵌合部を説明するための図。
【図5】 参考例を示すディスクホイールの断面図。
【図6】 図5におけるディスクを示す略半分を切断した斜視図。
【図7】 第1の従来構造を示す断面図。
【図8】 第2の従来構造を示す断面図。
【図9】 本出願人が先に出願したものの断面図。
【図10】 リムとディスクの溶接状態を示す図。
【図11】 リムとディスクの溶接時において、リムをクランプした図。
【図12】 リムとディスクとの振れ量を示すもので、(a)は本発明のハンプ嵌合による振れ量、(b)は先願のものにおいてクランプ無しの場合の振れ量、(c)は先願のものにおいてクランプした場合の振れ量を示す。
【符号の説明】
1…リム 2…ドロップ斜面部
3…ビードシート 4…リムハンプ部内径側凹部
5…ディスク 6…ディスクのフランジ
6d…凸部
Claims (2)
- ディスク(5)のフランジ(6)をディスク(5)の外側へ屈曲して該フランジ(6)をリム(1)に嵌合するものにおいて、ディスク(5)のフランジ(6)はディスク(5)の外周に舌片状に複数形成されており、該ディスク(5)のフランジ(6)に、リムハンプ部内径側凹部(4)に嵌合圧着する凸部(6d)を形成したことを特徴とする自動車用ディスクホイール。
- 前記リム(1)の外周には拡開状のドロップ斜面部(2)とその外周に拡開状のビードシート(3)が2段階に屈曲して形成され、ドロップ斜面部(2)とビードシート(3)との屈曲点の内側にはリムハンプ部内径側凹部(4)が形成され、
ディスク(5)のフランジ(6)における先端部の内側に、前記リムハンプ部内径側凹部(4)に嵌合圧着する凸部(6d)を形成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ディスクホイール。
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- 1998-07-24 JP JP20882798A patent/JP4018248B2/ja not_active Expired - Fee Related
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