JPH049599Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、液体金属冷却型原子炉建屋等におけ
る区画室の空気調和装置に関するものである。

高速増殖炉プラント（FBR）について従来例
を説明すると、冷却材として用いられている高温
液体ナトリウムが配管破損等で漏洩した場合を想
定してその事故に対処できるように設計されてお
り、前記想定事故の対応策として、前記原子炉建
屋には分割された複数の小区画室が設けられ、ま
た、前記高温液体ナトリウムの各冷却ループ（前
記ナトリウムが循環される配管、機器の冷却ルー
プ、通常、複数のループがある）ごとに、空調設
備を含めて分離された系統になつている。

また、従来より提案されている前記区画室の空
気調和装置は、第１図に示すように空調対象の区
画室１に出、入口隔離弁２，３を介して連結され
た室内空気循環用の配管４、配管４の途中に設け
られたクーリングコイルユニツト５、同じく区画
室１内の空気を強制循環するフアンケーシング６
付のフアン７、およびナトリウム漏洩を検知する
センサー８等によつて構成され、区画室１内の暖
められた空気が、フアン７により区画室１から配
管４内へ導入されてクーリングコイルユニツト５
の冷媒で冷却されたのち、再び区画室１内へ循環
されるクローズドサイクルの運転になつていると
ともに、区画室１内で火災発生即ちナトリウム火
災が発生するとナトリウムエアロゾルが発生し
て、該ナトリウムエアロゾルがフアン、コイル等
に付着して性能低下等をきたすため、区画室１内
のナトリウム漏洩をセンサー８で検知してその検
知信号に基づき出、入口隔離弁２，３を閉にし
て、区画室１を隔離してナトリウムエアロゾルが
空調対象の区画室１からリークしないようにする
空調隔離システムになつている。

しかし、従来の前記空気調和装置においては、
前記火災発生時に前記空調システムにより出、入
口隔離弁を瞬時に作動させて区画室を隔離し、前
記ナトリウムエアロゾルが区画室から空調システ
ムの配管内へリークするのを防止することは実際
上不可能であつて、空調システムの性能低下をも
たらし、また、区画室が隔離されるため、区画室
内の温度が急上昇してそのライナー、コンクリー
ト、機器、計器類等の許容温度を超えてそれらが
焼損されるなどの欠点がある。

本案は、前記のような実情に鑑みて考案された
ものであつて、液体金属冷却型原子炉建屋等にお
ける区画室の空気調和装置において、前記区画室
に連通された空気循環配管に切替弁によつて空気
流通が切替えられるバイパスラインを設けるとと
もに、前記バイパスラインにスクラバーを設けた
点に特徴を有し、その目的とする処は、空調対象
の区画室に付設されている空気調和装置の空気循
環配管に切替弁によつて空気流通が切替えられる
バイパスラインを設けかつ該バイパスラインにス
クラバーを設けることにより、火災発生時のナト
リウムエアロゾル即ち液体金属エアロゾルを除去
して空調の連続運転を可能にし、空調システムを
冷却し、循環機器等の性能低下、区画室内の温度
上昇などを防止して前記のような欠点を解消した
空気調和装置を供する点にある。

第２図に本考案の一実施例を示しており、図中
１は空調対象の区画室、１４は両端側が区画室１
に連結された空気循環用の配管、５は配管１４の
途中に設けられたクーリングコイルユニツト、７
は配管１４の途中に設けられ区画室１内の空気を
強制循環するフアンケーシング６付のフアンであ
つて、本実施例においては、さらに前記配管１４
の入側と出側間にバイパスライン２０を設けると
ともに、バイパスライン２０が連結されている部
分即ちクーリングコイルユニツト５の入側とフア
ン７の出側の配管１４に切替弁２１ａ，２１ｂを
設け、かつ同バイパスライン２０の入側と出側に
バイパス切替弁２２ａ，２２ｂを設けて、バイパ
ス切替弁２２ａ，２２ｂを閉にかつ切替弁２１
ａ，２１ｂを開にすることにより、区画室１内の
空気が配管１４を通りクーリングコイルユニツト
５およびフアン７を流通して通常の空調システム
になるとともに、切替弁２１ａ，２１ｂを閉にか
つバイパス切替弁２２ａ，２２ｂを開に切替える
ことにより、区画室１内の空気が配管１４の入側
からバイパスライン２０を通り配管１４の出側か
ら区画室１へ循環されて、クーリングコイルユニ
ツト５およびフアン７をバイパスする空気流通に
切替えられる構成にすることともに、前記バイパ
スライン２０に液体金属エアロゾルを除去するス
クラバー２３およびフアンケーシング２６付のフ
アン２７を設けて前記バイパスの空気流通を可能
にし、また、配管１４の入側（区画室１から切替
弁２１ａまで）、バイパスライン２０および配管
１４の出側（切替弁２１ｂから区画室１まで）
を、火災発生時における区画室１内の空気の高圧
に耐え得る耐圧構造とし、スクラバー２３および
フアンケーシング２６付のフアン２７も同様に耐
圧構造にされている。なお、配管１４の全長を耐
圧構造にすることもできる。

さらに、区画室１内に火災発生の原因となり得
る液体金属冷却材の漏洩を検知するセンサー３０
を設けて、前記センサー３０の検知信号に基づき
切替弁２１ａ，２１ｂを閉にバイパス切替弁２２
ａ，２２ｂを開にするとともに、スクラバー２３
およびフアン２７を作動する制御機構が設けられ
ている。

図示した本考案の実施例は、前記のような構成
になつており、通常の運転時は、切替弁２１ａ，
２１ｂを開にバイパス切替弁２２ａ，２２ｂを閉
にして、従来と同様に空調対象の区画室１内で暖
められた空気は、フアン７によつて配管１４内に
取出されクーリングコイルユニツト５で冷媒によ
り冷却されたのち、区画室１内へ循環されて同区
画室１が所望温度に保持されるとともに、区画室
１内で火災が発生した時は、切替弁２１ａ，２１
ｂを閉にかつバイパス切替弁２２ａ，２２ｂを開
にすると、フアン２７によつて配管１４へ取出さ
れる区画室１内の液体金属エアロゾルを含む高温
の空気が、バイパスライン２０側へバイパスされ
る流通となり、スクラバー２３によつて液体金属
エアロゾルが除去されるとともに空気が冷却され
て区画室１に再び循環されて、空調システムの運
転を実質的に継続して区画室１内の液体金属エア
ロゾルを連続的にかつ区画室１内が連続的に冷却
される。

また、前記火災発生の原因となる区画室１内に
おける液体金属冷却材の漏出、存在を前記センサ
ー３０によつて検知し、その検知信号によつて切
替弁２１ａ，２１ｂを閉、バイパス切替弁２３
ａ，２３ｂを開にし、かつスクラバー２３および
フアン２７を作動する制御によつて、火災発生に
即応した自動制御にすることもできる。

前述のように本考案によれば、通常時には従来
のような空調を行なうことができるとともに、火
災発生時は、空調システムの運転を実質的に継続
した状態の空気循環で、区画室内の液体金属エア
ロゾルを含む空気をバイパスライン２０のスクラ
バー２３に送り込んで液体金属エアロゾルを連続
的に除去しかつ冷却して再び区画室１に循環する
ことができ、通常の空調システム運転となるクー
リングコイルユニツト５およびフアン７側へ液体
金属エアロゾルが流入されないため、それらの機
器の性能低下がなくなりかつ区画室内の温度上昇
を効率よく防止できて、空調システムとともに区
画室設備の損傷を最少限にすることができる。

さらに、前記のようなセンサーによる自動制御
によつて前記効果をさらに助長できるとともに、
極めて簡単な構造になつておりかつ耐圧構造の部
分も少なくてすみ低コストで提供でき、さらに、
耐圧構造にすることによつて信頼性が高められ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の空気調和装置を示す機構図、第
２図は本考案の一実施例を示す機構図である。 １……区画室、５……クーリングコイルユニツ
ト、７，２７……フアン、１４……配管（空気循
環配管）、２０……バイパスライン、２１ａ，２
１ｂ……切替弁、２２ａ，２２ｂ……バイパス切
替弁、２３……スクラバー、３０……センサー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 液体金属冷却型原子炉建屋等における区画室の
   空気調和装置において、前記区画室に連通された
   空気循環配管に切替弁によつて空気流通が切替え
   られるバイパスラインを設けるとともに、前記バ
   イパスラインにスクラバーを設けたことを特徴と
   する空気調和装置。