JP4283370B2 - 空調システムおよびそのガス溜り除去方法 - Google Patents

空調システムおよびそのガス溜り除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の自然循環を利用する空調システムに関する。さらに詳しくは、少なくとも冷房時においては冷媒の自然循環を利用する空調システムおよびそのガス溜り除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷媒の自然循環を利用した空調システムの1つとして、図1に概略的に示したものが知られている。このシステムは、各室内に配置される室内機とそれらよりも高所に設けた室外機(凝縮器)1とを冷媒液配管および冷媒ガス配管で連結してなる冷媒循環系を備えている。
【0003】
室内機内の蒸発器(図示せず)内で蒸発し室内の熱を奪った冷媒ガスはそのガス圧によって高所の凝縮器1へと上昇する。冷媒ガスは、凝縮器1において熱を捨てることにより液化し、重力によって低所の各室内機へと移動する。
【0004】
このような冷媒の自然循環を利用して空調を行う場合、一般的に、冷媒ガス配管中に冷媒液が侵入すると冷媒の循環不良が引き起こされ、システムが正常に作動しなくなる。したがって、これを防止するために、各室内機において、図2にそのフローチャートを示したような制御が行われる。これを以下に説明する。
【0005】
図1に示した各室内機の出入口に設けた温度センサTによって、冷媒液配管内温度(TL)および冷媒ガス配管内温度(TG)をそれぞれ測定する(♯1)。この測定値の差(TG−TL)が所定値Z(例えば、5℃)以下である場合には、冷媒液がガス管内に入り込んでいると判断し(理由は後述する)、膨張弁を閉じてガス管内にそれ以上冷媒液が侵入しないようにする(♯2→♯3)。上記所定値の差がZより大きい場合には、システムは正常に作動していると考えられるため、そのまま膨張弁を開きつづけて冷房運転を続行する(♯2→♯4)。
【0006】
♯2において、TG−TLが所定値Z以下であれば「冷媒液がガス管内に入り込んでいる」と判断する理由は以下の通りである。すなわち、冷媒ガス配管内に冷媒液がまったく入り込んでいなければ、冷媒ガス配管内温度(TG)は飽和温度よりも高く、したがって冷媒液配管内温度(TL)よりも高くなるはずである。それと逆に冷媒液が冷媒ガス配管内に入り込んでしまうと、飽和温度以下の冷媒液が混入するため、その分だけ温度が下がる。したがって、TG−TLが所定値Z以下であれば、冷媒液がガス管内に入り込んでいると判断する。所定値Zは、両配管の圧力差や各種センサの誤差等を勘案して個々の条件に応じて設定する。
【0007】
なお図1では、冷房時に冷媒が循環する冷媒循環系のみを図示しているが、これに加えて暖房時に使用する熱媒が循環する熱媒循環系が別途設けられている。暖房運転も自然循環を利用して行う場合には、各室内機に対してそれよりも低所に蒸発器を設け、この蒸発器と室内機とを熱媒液配管および熱媒ガス配管で連結することで熱媒循環系が構成される。
【0008】
上記冷媒循環系においては、最下方の室内機2の冷房運転が停止している間(すなわち、室内機2がまったく停止しているか、または暖房運転を行っている間)でも、上方に設けた凝縮器1内では冷却水が循環しているため、凝縮器1内の圧力が相対的に低くなる。このため、高所の凝縮器1からの冷媒液の落下が不十分となり、その結果、冷媒液配管中において室内機2への入口付近の領域3では圧力低下に起因してガス溜りが発生することがある。このようなガス溜りが発生すると液ヘッド圧が降下し、冷房運転を再開しても、冷風が吹出されるまでに時間がかってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明が解決すべき技術的課題は、少なくとも冷房時において自然循環を利用する空調システムにおいて、冷房運転を停止後再開した場合に、冷風が吹き出すまでの所要時間を小さくすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段・作用・効果】
本発明は上記課題を有効に解決するために創案されたものであって、以下の特徴を備えた「空調システム」および「ガス溜り除去方法」を提供するものである。
【0011】
すなわち、本発明の空調システムは、「室内機」と「それよりも高所に配置された凝縮器」とを、「冷媒液配管」と「冷媒ガス配管」とで連結してなる冷媒循環系を含むものである。そして、「冷房運転が実働しているか否かを検知する検知手段」と「冷媒液配管の室内機への入口付近に設けた膨張弁の上流側に設けられており、当該冷媒液配管内の圧力を測定する圧力センサ」と「上記検知手段で冷房運転は実働していないと判断されたとき、圧力センサによる測定圧力を所定圧力値と比較する比較手段」と「上記比較手段で測定圧力が所定圧力よりも小さいと判断されたとき、上記膨張弁を開ける開弁手段」と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
このシステムにおいては、「冷媒液配管の室内機への入口付近に設けた膨張弁の上流側の圧力を、冷房運転が停止されている間中モニタリング」し、「上記圧力が所定圧力値よりも低くなったとき、上記膨張弁を開ける」ことで、冷媒液配管内に発生したガス溜りを除去することができる。
【0013】
したがって、冷媒の自然循環を利用した冷房運転が停止している場合(すなわち、室内機がまったく停止している場合、または室内機が暖房運転を行っている場合)に、冷媒液配管の室内機への入口付近に設けた膨張弁の上流側にガス溜りが発生した場合には、当該膨張弁を開けることでそのガス溜りが迅速に除去され、次に冷房運転を再開するときには、当該膨張弁の位置において十分な液ヘッド圧が確保されることとなる。したがって、冷房運転再開時に、実際に冷風が吹出すまでに要する時間を従来よりも短縮することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態を示す空調システムを示す概略図であって図1に対応するものである。図1の従来例と異なる点は、最も下方に位置する室内機21への入口付近において冷媒液配管内の圧力を検出する圧力センサPが設けられていることである。
【0015】
また、図示は省略しているが、この空調システムは自然循環で暖房を行うための循環系も有しており、したがって、室内機21よりも低所の位置に不図示の蒸発器が設置されている。このシステムにおける制御フローチャートを図4に示した。
【0016】
まず室内機21の運転モードとして「冷房モード」が選択されているのか「暖房モード」が選択されているのかを♯11で確認する。本発明は、冷房運転が停止されている間に、冷媒液配管中の膨張弁上流側における圧力をモニタリングし、当該圧力がガス溜りを誘発すると考えられる程に低下したとき、上記膨張弁を開いて、溜まったガスを室内機側に逃がすものである。したがって、「♯11で冷房モードが確認される」とともに「♯21で室内機のファンがONであること(すなわち、室内機が運転されていること)が確認された」場合には、冷房運転が実際に作動中であることから、「ガス溜まり除去制御」が行われることはない。この場合には、図2で説明したのと同様の「冷媒液が冷媒ガス配管内に侵入することを防止する制御」を行うことが好ましい。
【0017】
それ以外の場合には、少なくとも冷房運転は実働していないため、♯12に進んで「ガス溜まり除去制御」が開始される。なお、♯11で「冷房モード」が確認された場合であっても、♯21で「ファンがOFFであると判断」された場合、それは、室内機は「冷房モード」を記憶しているが実際の運転は行われていないということを意味する。
【0018】
♯12以後は「ガス溜まり除去制御」を説明するものであるが、以上の説明から分かるように、このシステムが♯12に進行するのは、冷房運転が実働していない場合に限られることに注意すべきである。これは、本発明の制御が「冷房運転が停止されている間において冷媒液配管内の圧力をモニタリングし、それにより、冷房運転再開時の冷風吹出しに要する時間を短縮する」ものだからである。
【0019】
「ガス溜まり除去制御」では、まず♯12において、図3に示した最下方の室内機21に設置した膨張弁の上流側の圧力を測定する。そして、この測定値P1を♯13において所定圧力値Xと比較する。所定圧力値Xは、この冷媒液配管内の圧力がこの値Xよりも小さい場合にはガス溜りが発生したものと想定される値であって、例えば、8kgf/cm2と設定することができる。♯13で測定値P1がX以上であると判断された場合には、ガス溜りは発生していないものと考え、膨張弁は閉じたままとする(♯14)。
【0020】
♯13で測定値P1がXよりも小さいと判断した場合には、「ガス溜まり除去制御」が必要となるので膨張弁を開けることが好ましい。しかしながら、自然循環システムにおいては、この「ガス溜まり除去制御」よりも「冷媒液がガス配管内に侵入することを防止する」ということを優先させるべきであるため、まず、従来例で説明した(図2の♯2参照)のと同様にして、冷媒液配管内温度(TL)および冷媒ガス配管内温度(TG)をそれぞれ測定して比較する(♯31)。この測定値の差(TG−TL)が所定値Y(例えば、5℃)以下である場合には♯14に進んで膨張弁を閉じる。
【0021】
♯31でのチェックをクリアすると(すなわち、冷媒液はガス配管内に侵入していないと判断されたとき)、膨張弁を開けることによって液配管内のガス溜りを除去する(♯34)こととなるが、その前に♯32において暖房運転が実働しているか否かが判断される。暖房運転が実働している場合には、室内機のファンをLo運転に切り換えた上で膨張弁を開く(♯33→♯34)。これは、暖房運転が実働しているのにも拘わらず無条件に膨張弁を開くと、冷媒が循環することで暖房に必要な暖気中に冷風がまぎれ込んで暖房効率を低下させてしまうので、この冷風のまぎれ込みを最小限に抑えるためである。一方、暖房運転が実働していない場合には、結局、当該再下方の室内機21は冷房も暖房も行っていない(停止中)ので、そのまま膨張弁を開けてガス溜りを除去することとなる(♯32→♯34)。
【0022】
図5および図6は、本発明のシステム(図5)および従来のシステム(図6)について、一定時間の冷房運転停止の後、冷房運転を再開した場合における「室内機内のファンのオンオフ状態」、「電磁弁の開度」、「冷媒液配管内圧力」、「室内機からの吹出温度」を示している。両図は同一縮尺で描いたものであり、この両者を比較することにより、本発明の制御方法による効果を明瞭に理解することができる。
【0023】
冷房運転停止時における両図を比較すると、本発明(図5)においては、冷媒液配管内の圧力が下がったとき、電磁弁を開くことによってガス溜りを除去し、これによって、同圧力が所定値以上に復帰していることが分かる。これによって、冷房運転再開時において、電磁弁上流側の液ヘッド圧が十分に確保される。これに対して、図6の場合には、冷媒液配管内の圧力が下がった場合でもそのまま放置しているため、冷房運転再開時に十分な液ヘッド圧を確保することができていないことが分かる。
【0024】
このような違いの結果、本発明においては、冷房運転が再開され室内機内のファンがオンになった時点から、実際に吹出温度が15℃以下になるのに要する時間は僅か3分となっている。これに対して、図6のシステムでは、同様の吹出温度を得るまでに19分もかかっている。また、冷房運転再開時における弁の開度を比較しても、本発明(図5)では、その時既に十分な液ヘッド圧が確保されているため、弁の開度が比較的小さいのに対して、図6のシステムでは、液ヘッド圧が不足している分、弁を大きく開く必要のあることが分かる。
【0025】
なお、以上に説明した実施形態においては、複数ある室内機のうち最下方に配置した室内機についてのみ冷媒液配管の圧力モニタリングを行っているが、必要に応じて、他の室内機に対しても同様の制御を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自然循環を利用して冷房を行う従来の空調システムを説明する概略図である。
【図2】 図1の空調システムにおいて、冷媒ガス配管に冷媒液が侵入することを防止するための制御を説明するフローチャートである。
【図3】 本発明の一実施形態に係る空調システムを説明する概略図である。
【図4】 図3の空調システムにおける制御を説明するフローチャートである。
【図5】 本発明のシステムについて、一定時間の冷房運転停止の後、冷房運転を再開した場合における吹出温度の変化等を説明する説明図である。
【図6】 従来のシステムについての図5に対応する説明図である。
【符号の説明】
1、11 凝縮器
2、21 最下方の室内機
3 ガス溜まりの発生する領域

Claims (2)

  1. 室内機(21)とそれよりも高所に配置された凝縮器(11)とを冷媒液配管と冷媒ガス配管とで連結してなる冷媒循環系を含む空調システムであって、
    冷房運転が実働しているか否かを検知する検知手段と、
    冷媒液配管の室内機(21)への入口付近に設けた膨張弁の上流側に設けられており、当該冷媒液配管内の圧力を測定する圧力センサと、
    室内機(21)への出入口である冷媒ガス配管および冷媒液配管に設けられ、冷媒ガス配管内温度(TG)および冷媒液配管内温度(TL)を測定する温度センサと、
    上記検知手段で冷房運転は実働していないと判断されたとき、圧力センサによる測定圧力を所定圧力値と比較する比較手段と、
    上記比較手段で測定圧力が所定圧力よりも小さいと判断されたとき、温度センサによる測定値に基づいて、冷媒ガス配管内温度と冷媒液配管内温度の温度差(TG−TL)を求め、これを所定値(Y)と比較する温度差判定手段と、
    上記比較手段で測定圧力が所定圧力よりも小さいと判断され、かつ上記温度差判定手段で温度差(TG−TL)が所定値(Y)を超えていると判断されたとき、上記膨張弁を開ける開弁手段と、を備えたことを特徴とする空調システム。
  2. 室内機(21)とそれよりも高所に配置された凝縮器(11)とを冷媒液配管と冷媒ガス配管とで連結してなる冷媒循環系を含む空調システムにおいて、
    冷媒液配管の室内機(21)への入口付近に設けた膨張弁の上流側の圧力と、冷媒ガス配管内温度と冷媒液配管内温度の温度差(TG−TL)を、冷房運転が停止されている間中モニタリングし、
    上記圧力が所定圧力値よりも低く、かつ温度差(TG−TL)が所定値(Y)を超えているとき、上記膨張弁を開けることで、冷媒液配管中の冷媒液が冷媒ガス配管内に侵入することを防止しつつ、冷媒液配管内に発生したガス溜りを除去することを特徴とする、ガス溜り除去方法。
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