JP3847314B2 - 冷媒自然循環式暖房システム - Google Patents
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Description
最も下方に位置する室内機(室内ユニット)への入口付近において、冷媒液配管内の圧力を測定する圧力センサを設け、暖房運転が停止されている間中、冷媒液配管内の圧力をモニタリングし、その測定圧力が所定圧力よりも低くなったときに膨張弁を開き、冷媒液配管内に発生した冷媒ガスを抜くように構成されている(特許文献1参照)。
上述従来例は、いずれも冷媒を自然循環させて冷房を行う場合のものであり、冷媒を自然循環させて暖房を行う場合について起動時に冷媒の自然循環への移行を速やかに行わせようとするものについては、従来無かった。
気体と液体とに相変化する冷媒を凝縮液化して温熱を放熱する利用側熱交換器を備えた室内ユニットを複数個設け、前記利用側熱交換器と、冷媒を蒸発気化する蒸発器とを冷媒液配管と冷媒ガス配管とを介して接続し、前記蒸発器を前記利用側熱交換器よりも下方に配置し、前記蒸発器と前記利用側熱交換器との間に、自然循環により前記蒸発器で蒸発気化した冷媒ガスを前記利用側熱交換器に移送するとともに、前記利用側熱交換器で凝縮液化した冷媒液を前記蒸発器に移送するに足るヘッド差を備え、前記利用側熱交換器に供給する冷媒ガス量を調整する開閉弁を設けた冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
前記利用側熱交換器から吹き出される温調空気の給気温度を測定する給気温度センサと、
前記利用側熱交換器に戻される温調空気の還気温度を測定する還気温度センサと、
前記還気温度センサで測定される還気温度と前記給気温度センサで測定される給気温度との差を算出する温度差算出手段と、
前記温度差算出手段で算出された温度差が定常暖房運転状態に移行可能な状態と判断できる定常移行温度差になったときに定常暖房運転移行信号を出力する比較手段と、
暖房運転の起動後に前記比較手段からの定常暖房運転移行信号に応答して前記開閉弁の開度を定常暖房運転状態で必要な開度に切り換える開度制御手段と、
暖房運転の起動後設定時間経過しても前記温度差算出手段で算出された温度差が定常暖房運転状態に移行可能な状態と判断できる定常移行温度差にならなかったときに起動不能信号を出力する起動不能判別手段と、
前記起動不能判別手段からの起動不能信号に応答して、起動予定の室内ユニットと暖房運転状態の室内ユニットとを除いた室内ユニットのうちの優先順位の高い室内ユニットを選出して選出された室内ユニットに起動支援信号を出力し該当する室内ユニットの開閉弁を開いて前記冷媒ガス配管内の冷媒液を前記冷媒液配管側に抜く支援室内ユニット選出手段とを備えて構成する。
ここで、「起動予定の室内ユニット」とは、暖房運転を起動しようとした室内ユニットのことをいう。また、「起動予定の室内ユニットと暖房運転状態の室内ユニットとを除いた室内ユニット」とは、運転を停止している室内ユニットに限らず、換気モードで運転している状態の室内ユニット、ならびに、冷房をも行う室内ユニットの場合には、冷房モードで運転している状態の室内ユニットをも含む(以下、同じであり、暖房運転停止状態の室内ユニットということもある)。
請求項1に係る発明の冷媒自然循環式暖房システムの構成によれば、暖房運転を起動し、設定時間経過しても温度差算出手段で算出された温度差が定常暖房運転状態に移行可能な状態と判断できる定常移行温度差にならなかったときに起動不能と判断し、起動予定の室内ユニットと暖房運転状態の室内ユニットとを除いた室内ユニット、すなわち、暖房運転停止状態の室内ユニットのうちの優先順位の高い室内ユニットの開閉弁を開き、冷媒ガス配管内の冷媒液を冷媒液配管側に抜く冷媒ガス配管の径を実質的に拡大し、冷媒液が抜けやすいようにする。
しかも、冷媒が自然循環を開始し、定常暖房運転状態に移行可能であるかどうかを、利用側熱交換器から吹き出される温調空気の給気温度と還気温度との温度差に基づいて判断するから、安価な温度センサを用いることができ、この点でも経済性を向上できる。
請求項1に記載の冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
前記支援室内ユニット選出手段から該当する室内ユニットの全てに起動支援信号を出力して支援動作を完了した後にも前記起動不能判別手段からの起動不能信号を受けたときに異常信号を出力する異常判別手段を備えて構成する。
請求項2に係る発明の冷媒自然循環式暖房システムの構成によれば、暖房運転停止状態の全ての室内ユニットの開閉弁を開いても起動できないときには異常と判断し、そのことを異常信号を出力して知らせることができる。
したがって、冷媒の洩れや開閉弁の作動不良といった冷媒循環系統の異常などを早期に見出すことができ、トラブル発生を未然に防止できる。
請求項1または2に記載の冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
上下方向に高さの異なる位置に室内ユニットを設け、
支援室内ユニット選出手段を、高位置にある室内ユニットほど優先順位が高くなるように設定して構成する。
請求項3に係る発明の冷媒自然循環式暖房システムの構成によれば、暖房運転停止状態にある室内ユニットのうち、高位置にある室内ユニット、すなわち、蒸発器からの冷媒ガス配管の長さが長い室内ユニットの開閉弁を優先的に開く。
したがって、冷媒ガス配管の長さが長くて溜まる冷媒液量が多い部分の冷媒ガス配管から冷媒液を抜いて蒸発器に回収していくことができるから、冷媒液の抜けが早くなり、起動不良を有効に解消できる。
請求項1、2、3のいずれかに記載の冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
鉛直方向の冷媒ガス配管に水平方向に距離が異なる状態で室内ユニットを設け、
支援室内ユニット選出手段を、前記鉛直方向の冷媒ガス配管から遠い位置にある室内ユニットほど優先順位が高くなるように設定して構成する。
請求項4に係る発明の冷媒自然循環式暖房システムの構成によれば、暖房運転停止状態にある室内ユニットのうち、鉛直方向の冷媒ガス配管から遠い位置にある室内ユニット、すなわち、鉛直方向の冷媒ガス配管からの冷媒ガス配管の長さが長い室内ユニットの開閉弁を優先的に開く。
したがって、冷媒ガス配管の長さが長くて溜まる冷媒液量が多い部分の冷媒ガス配管から冷媒液を抜いて蒸発器に回収していくことができるから、冷媒液の抜けが早くなり、起動不良を有効に解消できる。
しかも、冷媒が自然循環を開始し、定常暖房運転状態に移行可能であるかどうかを、利用側熱交換器から吹き出される温調空気の給気温度と還気温度との温度差に基づいて判断するから、安価な温度センサを用いることができ、この点でも経済性を向上できる。
室内ユニット1は、気体と液体とに相変化する冷媒を凝縮液化して温熱を放熱する利用側熱交換器2と、室内からの空気を吸い込んで利用側熱交換器2を通過させて吹き出す送風ファン3とを備えて構成されている。
蒸発器4と利用側熱交換器2との間に、蒸発器4で蒸発気化した冷媒ガスを、自然循環により利用側熱交換器2に移送するとともに、利用側熱交換器2で凝縮液化した冷媒液を蒸発器4に移送するに足るヘッド差が備えられている。
開閉弁7として、定常暖房運転状態で必要な最大開度〔室内ユニット1の空調(暖房)能力に応じて特定される〕の1.5倍以上の開き可能開度を有するものが選定されている。
比較手段17では、温度差算出手段16で算出された温度差と設定値(0.3T)とを比較し、算出温度差が設定値以上で無いときには未起動信号を、そして、算出温度差が設定値以上になったときに定常暖房運転移行信号をそれぞれ出力するようになっている。
上下方向に高さの異なる位置の室内ユニット1と、鉛直方向の冷媒ガス配管5から遠い位置にある室内ユニット1がそれぞれ複数個ある場合には、高位置に有る室内ユニット1を優先する。
先ず、運転スイッチ14がONされて運転信号が出力されているかどうかを判断する(S1)。
運転信号が出力されていれば、ステップS2に移行して、送風ファン3を駆動するなどの運転制御を行う。運転信号が出力されていなければ、ステップS1に戻る。
暖房モードで無ければ、冷房モードや換気モードなどの他の運転モードに移行する。暖房モードであれば、開閉弁7の開度を開き可能開度まで開いてからステップS4に移行し、温度差ΔTが設定温度差以上かどうか、すなわち、起動しているかどうかを判断する。
すなわち、第2の冷媒温度センサ11で測定される冷媒温度と第1の冷媒温度センサ10で測定される冷媒温度との冷媒温度差を算出し、その冷媒温度差が第1の設定値(例えば、4)以下のときには、開閉弁7の開度を設定量閉じ、冷媒温度差が第2の設定値(例えば、10)以上のときには、開閉弁7の開度を設定量開き、そして、冷媒温度差が第1の設定値と第2の設定値と間であるときには、開閉弁7の開度をそのままの状態に維持し、常に設定温度の温調空気を吹き出すことができるように暖房運転を行うようになっている。
これにより、定常暖房運転状態で冷媒ガスを制御する上での開閉弁の必要な最大開度にかかわらず、起動時には、選定した開閉弁自体の最大開度を開き可能開度として、冷媒液を抵抗少なく流動させ、一層迅速に冷媒液を抜くことができる。
したがって、空調場所に応じて好適に起動でき、しかも、それ自体の最大開度が同じ開閉弁でもって様々な空調場所に使用できるから、設計上での自由度が高くなり、設計を容易に行えるという効果を発揮させることができる。
2…利用側熱交換器
4…蒸発器
5…冷媒液配管
6…冷媒ガス配管
7…開閉弁
8…給気温度センサ
9…還気温度センサ
16…温度差算出手段
17…比較手段
18…開度制御手段
19…起動不能判別手段
20…支援室内ユニット選出手段
22…異常判別手段
Claims (4)
- 気体と液体とに相変化する冷媒を凝縮液化して温熱を放熱する利用側熱交換器を備えた室内ユニットを複数個設け、前記利用側熱交換器と、冷媒を蒸発気化する蒸発器とを冷媒液配管と冷媒ガス配管とを介して接続し、前記蒸発器を前記利用側熱交換器よりも下方に配置し、前記蒸発器と前記利用側熱交換器との間に、自然循環により前記蒸発器で蒸発気化した冷媒ガスを前記利用側熱交換器に移送するとともに、前記利用側熱交換器で凝縮液化した冷媒液を前記蒸発器に移送するに足るヘッド差を備え、前記利用側熱交換器に供給する冷媒ガス量を調整する開閉弁を設けた冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
前記利用側熱交換器から吹き出される温調空気の給気温度を測定する給気温度センサと、
前記利用側熱交換器に戻される温調空気の還気温度を測定する還気温度センサと、
前記還気温度センサで測定される還気温度と前記給気温度センサで測定される給気温度との差を算出する温度差算出手段と、
前記温度差算出手段で算出された温度差が定常暖房運転状態に移行可能な状態と判断できる定常移行温度差になったときに定常暖房運転移行信号を出力する比較手段と、
暖房運転の起動後に前記比較手段からの定常暖房運転移行信号に応答して前記開閉弁の開度を定常暖房運転状態で必要な開度に切り換える開度制御手段と、
暖房運転の起動後設定時間経過しても前記温度差算出手段で算出された温度差が定常暖房運転状態に移行可能な状態と判断できる定常移行温度差にならなかったときに起動不能信号を出力する起動不能判別手段と、
前記起動不能判別手段からの起動不能信号に応答して、起動予定の室内ユニットと暖房運転状態の室内ユニットとを除いた室内ユニットのうちの優先順位の高い室内ユニットを選出して選出された室内ユニットに起動支援信号を出力し該当する室内ユニットの開閉弁を開いて前記冷媒ガス配管内の冷媒液を前記冷媒液配管側に抜く支援室内ユニット選出手段と、
を備えたことを特徴とする冷媒自然循環式暖房システム。 - 請求項1に記載の冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
前記支援室内ユニット選出手段から該当する室内ユニットの全てに起動支援信号を出力して支援動作を完了した後にも前記起動不能判別手段からの起動不能信号を受けたときに異常信号を出力する異常判別手段を備えたものである冷媒自然循環式暖房システム。 - 請求項1または2のいずれかに記載の冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
上下方向に高さの異なる位置に室内ユニットが設けられ、
支援室内ユニット選出手段が、高位置にある室内ユニットほど優先順位が高くなるように設定してある冷媒自然循環式暖房システム。 - 請求項1、2、3のいずれかに記載の冷媒自然循環式暖房システムにおいて、
鉛直方向の冷媒ガス配管に水平方向に距離が異なる状態で室内ユニットが設けられ、
支援室内ユニット選出手段が、前記鉛直方向の冷媒ガス配管から遠い位置にある室内ユニットほど優先順位が高くなるように設定してある冷媒自然循環式暖房システム。
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