JP2011027347A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】室外凝縮器への冷媒の溜まり込みを抑制し、温度・湿度の制御を思い通りに実行して冷媒不足による能力不足等の不具合を抑制する。
【解決手段】空気調和装置100は、圧縮機1、室外凝縮器3、室内凝縮器5、絞り装置7及び冷却器8を直列に配管接続した冷凍サイクルを備え、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを室外凝縮器3の伝熱管3aの径よりも太くした径を有する液配管4で直接に接続するとともに、室外凝縮器3を伝熱管3aによる単一パス構成としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、室内外に凝縮器を有する空気調和装置に関し、特に室外凝縮器への冷媒の溜まり込みを抑制するようにした空気調和装置に関するものである。
従来から、室内外に凝縮器を有する空気調和装置が存在している。そのようなものとして、「圧縮機と、室外用電磁弁と、室外凝縮器と、絞り装置と、冷却器とを順次冷媒配管で接続し、さらに、圧縮機と室外用電磁弁との間から分岐し、室内用電磁弁及び室内凝縮器を順次冷媒配管で接続して前記絞り装置に合流する冷凍サイクルと、前記室外用電磁弁と前記室内用電磁弁とを制御して前記圧縮機の準備運転を行う制御部とを備え、前記冷凍サイクルの高圧側に液溜めを設けることなく、前記準備運転を行うことで冷凍サイクル内の冷媒不足を解消する」ようにした空気調和装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2007−78242号公報(実施の形態1、第2図等)
特許文献1に記載の空気調和装置は、室内凝縮器と室外凝縮器とが並列となるように構成され、冷媒溜まり込みを防止するための準備運転を行ない、室内外の冷媒分布を適正に保持し、冷凍サイクル内の冷媒不足を解消するようにしたものである。しかしながら、この技術では、準備運転を行なうことで室外凝縮器への冷媒溜まり込みに対応しているが、このような準備運転中は、温度・湿度の制御を思い通りに実行しにくいという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、室外凝縮器への冷媒の溜まり込みを抑制し、温度・湿度の制御を思い通りに実行して冷媒不足による能力不足等の不具合を抑制することを目的としている。
本発明に係る空気調和装置は、圧縮機、室外凝縮器、室内凝縮器、絞り装置及び冷却器を直列に配管接続した冷凍サイクルを備え、前記室外凝縮器と前記室内凝縮器とを前記室外凝縮器の伝熱管の径よりも太くした径を有する液配管で直接に接続するとともに、前記室外凝縮器を前記伝熱管による単一パス構成としていることを特徴とする。
本発明に係る空気調和装置によれば、室外凝縮器への冷媒寝込みを抑制でき、冷媒不足による能力不足や吐出温度上昇等の異常の発生を抑制することが可能になる。
本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路構成を示す概略構成図である。 複数パスで構成された熱交換器を模式的に示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和装置を構成する室外凝縮器を模式的に示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の冷媒回路構成を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の冷媒回路構成を示す概略構成図である。 高室内温度、高室外温度からの圧縮機起動後の圧力上昇を示したグラフである。 本発明の実施の形態4に係る空気調和装置の冷媒回路構成を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態5に係る空気調和装置の冷媒回路構成を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態6に係る空気調和装置の圧縮機の起動時の制御処理の流れを示すフローチャートである。 圧縮機の起動前における室外送風手段の運転の高圧への影響を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置100の冷媒回路構成を示す概略構成図である。図1に基づいて、空気調和装置100の構成について説明する。この空気調和装置100は、室内外に凝縮器を有し、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用して、冷房運転又は暖房運転を実行できるものである。併せて、空気調和装置100は、除湿機能を有している。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
図1に示すように、空気調和装置100は、圧縮機1、室外凝縮器3、室内凝縮器5、絞り装置7及び冷却器8が直列に配管接続されて構成されている冷凍サイクルを備えている。圧縮機1と室外凝縮器3とは、吐出配管2で接続されている。室外凝縮器3と室内凝縮器5とは、第1液配管4で接続されている。室内凝縮器5と絞り装置7とは、第2液配管6で接続されている。冷却器8と圧縮機1とは、吸入配管9で接続されている。なお、絞り装置7と冷却器8とは、第2液配管6で接続されている。また、空気調和装置100は、室外送風手段10及び室内送風手段11を備えている。
圧縮機1は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態にするものであり、たとえば容量制御可能なインバータ圧縮機などで構成するとよい。室外凝縮器3は、室外送風手段10により供給される空気と冷媒との間で熱交換を行ない、その冷媒を凝縮するものである。室内凝縮器5は、室内送風手段11により取り込まれる空気と冷媒との間で熱交換を行ない、その冷媒を凝縮するものである。絞り装置7は、減圧弁や膨張弁としての機能を有し、冷媒を減圧して膨張させるものであり、開度が可変に制御可能なもの、たとえば電子式膨張弁などで構成するとよい。冷却器8は、室内送風手段11により取り込まれる空気と冷媒との間で熱交換を行ない、室内空気を冷却するものである。
室外送風手段10は、ファン等の送風機で構成され、室外空気を室外凝縮器3に供給して冷媒の凝縮を促すものである。室内送風手段11は、ファン等の送風機で構成され、室内空気を冷却器8及び室内凝縮器5を介して室内に排出するものである。吐出配管2は、圧縮機1から吐出した冷媒を導通するものである。第1液配管4は、室外凝縮器3で凝縮液化した液冷媒を導通するものである。第2液配管6は、室内凝縮器5で凝縮液化した液冷媒を導通するものである。吸入配管9は、圧縮機1に吸入される冷媒を導通するものである。そして、圧縮機1及び室外凝縮器3は室外に、室内凝縮器5、絞り装置7及び冷却器8は室内に、それぞれ配置されている。
この実施の形態1では、第1液配管4の径を室外凝縮器3の伝熱管(図3で示す伝熱管3a)の径よりも太くしている。たとえば、室外凝縮器3の伝熱管の外径をΦ9.52とし、第1液配管4の外径をΦ12.7あるいはΦ15.88等としている。第1液配管4は、室外と室内とを接続する配管であり、産業用で使用される場合では室外機の設置自由度を高めて商品力を向上させるためにある程度の長さが要求される。第1液配管4が産業用除湿機に使用される場合では、第1液配管4の長さが30m上限で設定されている。そこで、実施の形態1では、空気調和装置100が産業用除湿機に使用される場合を想定し、第1液配管4の長さ30m分での圧力損失を考慮して第1液配管4の外径をΦ12.7以上としている。
空気調和装置100の動作について説明する。
圧縮機1から吐出された高温・高圧のガス冷媒は吐出配管2を通って室外凝縮器3に流入する。室外凝縮器3に流入したガス冷媒は、室外送風手段10により供給された室外空気と熱交換することで一部液化する。室外凝縮器3は、銅配管等の伝熱管に伝熱面積を増大させる目的でアルミ等で形成したフィンを密着固定させた構造をしている。室外凝縮器3で一部液化した気液二相冷媒は、第1液配管4を通って室内凝縮器5に流入する。室内凝縮器5に流入した気液二相冷媒は、室内送風手段11により導かれ、冷却器8により冷却された室内空気に放熱することで凝縮液化する。
室内凝縮器5で凝縮液化した液冷媒は、第2液配管6を通って絞り装置7で減圧された後に冷却器8に流入する。冷却器8に流入した液冷媒は、室内送風手段11により導かれた室内空気と熱交換して蒸発ガス化する。つまり、冷却器8では、室内送風手段11により導かれた室内空気を冷却しているのである。冷却器8で蒸発ガス化したガス冷媒は、吸入配管9を通って圧縮機1に再度吸入される。空気調和装置100は、以上のようなサイクルを繰り返し実行することで運転を継続する。
ところで、室内送風手段11により取り込まれた室内空気は、冷却器8で冷却されて露点以下となることで一部が冷却器8に結露することになる。つまり、室内送風手段11により取り込まれた室内空気は、冷却器8によって冷却・減湿されてから、室内凝縮器5で加温されて相対湿度の低い空気として室内に排出されることになる。
凝縮器では冷却能力分と圧縮機入力分の熱量が放出され、冷却器では冷却能力分の熱量が吸熱されるが水分凝縮潜熱分の熱量が放熱され、凝縮器と冷却器のトータルでは圧縮機入力分及び水分凝縮潜熱分の熱量が放出される。したがって、室内凝縮器のみで放熱した場合には、室内温度はその分だけ上昇し続けることになる。一方で、室外凝縮器のみで放熱した場合には、室内温度はクーラーのように低下し続けることになる。そこで、空気調和装置100は、室内温度を調節する目的で、室内と室外との双方に凝縮器を設けている。つまり、空気調和装置100は、室内と室外との双方に凝縮器を設けることで室内での放熱量を制御して室内温度を自在に調節できるようにしている。
また、空気調和装置100は、回路構成を単純化し、コストダウンを図る目的で、室内凝縮器5と絞り装置7とを第2液配管6で直接に接続している。こうすることで、室内凝縮器5と絞り装置7との間に冷媒バッファを設けなくて済み、回路構成の単純化、及び、コストダウンを図ることを可能としている。そのため、空気調和装置100の冷媒回路全体としては、冷媒不足や冷媒過多になると吐出圧力・吸入圧力や各部温度への影響に直ぐに現れることになる。
冷媒不足では、低圧低下及び冷却器出口部での冷媒加熱度が大きくなることでの吐出温度上昇等が現れ易く、機器の保護停止、最悪は寿命低下や故障に至る可能性が高くなる。そのような意味からも、冷媒不足を解消する必要があり、冷媒不足を引き起こす液冷媒の回路での冷媒の溜まり込み(冷媒寝込み)を抑制することが必要である。
図2は、複数パス(2パス)で構成された熱交換器を模式的に示す模式図である。図2に基づいて、複数パスで構成された熱交換器での冷媒の寝込みについて説明する。仮に、室外凝縮器3を図2に示すような複数パスの熱交換器で構成した場合、特に室内温度や室外温度が低い場合は下の方にあるパスに冷媒が寝込むことがあり、冷媒不足を引き起こす可能性がある。室外凝縮器3内において、冷媒は、気液二相状態であるが、寝込むと液冷媒となる。液冷媒は、気液二相冷媒に比較して密度が高く(冷媒の状態によるが、2倍程度)、その分同一容積では冷媒量(重さ)が必要であり、結果として冷媒サイクル回路内で流動する冷媒が不足となる。
複数パスで構成された熱交換器での冷媒寝込みについて更に説明する。
冷媒の流速は、室内温度が低温になり蒸発温度が低下するほど低くなる。複数パスで冷媒流速が低くなった場合、上方に位置するパス(図2に示すパス1)からの冷媒圧力に押されて下方に位置するパス(図2に示すパス2)は、流速が低くなり、冷媒が流れない、つまり冷媒寝込み現象が発生する場合がある。冷媒寝込みを解消するために冷媒流速を上昇させるような冷媒回収運転を行なうことはできるが、そのような運転は冷媒回収を目的とするものであり、空気調和の性能を十分に発揮できない場合も多く、課題が残っている。すなわち、室外凝縮器3を複数パスの熱交換器で構成するのは好ましくない。
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置100を構成する室外凝縮器3を模式的に示す模式図である。図3に基づいて、室外凝縮器3の構成について説明する。図3に示すように、室外凝縮器3は、伝熱管3aが単一パスの熱交換器で構成されている。したがって、圧縮機運転中は、必ず室外凝縮器3の全容積を冷媒が循環することになり、冷媒寝込みの発生を抑制することができる。以上により、空気調和装置100では室外凝縮器3への冷媒寝込みを高効率に抑制することができるので、冷媒不足とならず、安定した運転を継続して行なうことができる。
また、ここでは、室外凝縮器3を複数パスの熱交換器で構成した場合の冷媒寝込みについて説明したが、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを並列に接続した場合も一方の凝縮器に冷媒が寝込むことが想定される。そこで、空気調和装置100では、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを直列に接続するようにしており、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを並列に接続した場合に発生する冷媒寝込みも抑制している。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る空気調和装置100aの冷媒回路構成を示す概略構成図である。図4に基づいて、空気調和装置100aの構成について説明する。この空気調和装置100aは、室内外に凝縮器を有し、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用して、冷房運転又は暖房運転を実行できるものである。併せて、空気調和装置100aは、除湿機能を有している。なお、この実施の形態2では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
空気調和装置100aの基本的な構成は、実施の形態1に係る空気調和装置100と同様である。空気調和装置100aでは、室外凝縮器3を単一パスの熱交換器で構成し、室内凝縮器(以下、室内凝縮器5aと称する)を複数パスの熱交換器で構成するようにしている。つまり、実施の形態1に係る空気調和装置100では室内凝縮器5のパス構成について言及しなかったが、実施の形態2に係る空気調和装置100aでは室内凝縮器5aを複数パスの熱交換器で構成するようにしている。また、空気調和装置100aは、実施の形態1と同様に室外凝縮器3と室内凝縮器5aとを直列に接続している。
空気調和装置においては、一般的に、室外は地域・季節により温度変化が多いが、室内は人や産業用品を温度コントロール下に置くため温度変化が少ない場合が多い。つまり、空気調和装置における室外の使用温度範囲は、室内の使用温度範囲に対し広い場合が多い。産業用の除湿機においては、室外温度は−5℃から+43℃を運転範囲とし、室内温度は+10℃〜+40℃を運転範囲として設定することが一般的である。冷媒は、低温に曝されることで液化して寝込む可能性が高くなるので、室外では冷媒の寝込みが発生しやすい。
一方、熱交換器は、1パス当りの冷媒循環量を増やすことで熱伝達率が増加して性能が向上する。ただし、1パス当りの冷媒循環量が増大することで圧力損失が大きくなるため、ある程度のパス数にすることで性能を確保している。そこで、空気調和装置100aでは、室外凝縮器3を単一パスの熱交換器(1パス構成の熱交換器)で構成することで圧力損失が増大するため、室内凝縮器5aを複数パスの熱交換器で構成することで圧力損失の増大を抑制している。以上により、空気調和装置100aでは、室外凝縮器3への冷媒寝込みを高効率に抑制することができるので、冷媒不足とならず、安定した運転を継続して行なうことができる。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置100bの冷媒回路構成を示す概略構成図である。図5に基づいて、空気調和装置100bの構成について説明する。この空気調和装置100bは、室内外に凝縮器を有し、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用して、冷房運転又は暖房運転を実行できるものである。併せて、空気調和装置100bは、除湿機能を有している。なお、この実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明するものとする。
空気調和装置100bの基本的な構成は、実施の形態1に係る空気調和装置100と同様である。空気調和装置100bは、実施の形態1に係る空気調和装置100の構成に加え、吐出配管2に高圧圧力検知器12が設けられている。この高圧圧力検知器12は、圧縮機1からの吐出冷媒の圧力、つまり高圧圧力を検出する高圧圧力検知手段である。また、絞り装置7としては、開度をマイコン等により自由に調整することができる電子式リニア膨張弁(以下、LEVと称する)を使用している。さらに、室外凝縮器3は、単一パスの熱交換器で構成されている。空気調和装置100bでは、室外凝縮器3を単一パス化しているため、圧力損失で圧縮機起動時の高圧圧力の上昇スピードが高い。
図6は、高室内温度、高室外温度からの圧縮機起動後の圧力上昇を示したグラフである。図6に基づいて、高室内温度、高室外温度からの圧縮機起動後の圧力上昇について説明する。この図6では、横軸が圧縮機起動からの経過時間を、縦軸が高圧圧力を、それぞれ表している。なお、圧縮機1としては、回転数可変のものでなく、いわゆる一定速の圧縮機を使用しているものとする。
図6から、LEV開度の高圧圧力への影響が確認でき、LEV開度が大きいほど圧力上昇スピードは早く、圧力上昇により保護停止する可能性があることがわかる。また、高圧上昇スピードを抑制するのにLEV開度を絞るとよいこともわかる。圧力上昇スピードが早いのは、LEV開度が大きいために圧縮機1に吸入される冷媒量が多く、低圧圧力が上昇し、その結果として高圧上昇が発生することによる。LEV開度は、一般的に、吸入過熱度(冷却器出口加熱度、以下SHと称する)や液過冷却度(LEV入口過冷却度、以下SCと称する)を目標値とするように制御される。
また、圧縮機起動時のLEV開度(以下、初期開度と称する)は、冷媒サイクルが最終的に安定となる開度にセットする。そうすることで、圧縮機起動後、安定運転に達する時間を短くすることができ、室内環境調整を短時間で行なえるようにしている。冷媒サイクルが安定する開度は、室内温度と室外温度とで機器により推定できるが、空気調和装置100bには、そのような温度検知器を設けていない。結果として、空気調和装置100bでは、中間的な温度、たとえば室内温度25℃、室外温度15℃程度での冷凍サイクルが安定する開度を周囲温度に関係なく初期開度として設定している。
室内温度が10℃〜40℃まで使用するような空気調和装置100bでは、LEV開度の安定開度は周囲温度により300パルス〜1200パルス程度の安定開度があり、中間的な開度ではそれぞれの周囲温度に適切な開度から大きくかけ離れたものとなる。また、LEV開度の設定インターバルは、SH目標の場合であれ、SC目標の場合であれ、30秒単位以上ごとが一般的である。これは、LEVの耐久性上の問題、及び、サーミスター等の応答時間を要する検知器を使用していることが理由である。したがって、図6で示すような短時間ではLEV開度を再度設定するという制御は一般的には行われない。
空気調和装置100bでは、高圧カットによる異常停止を回避するため、高圧カットより低い値で圧力上昇を検知して圧縮機1を一旦停止するようにしている。その圧力上昇の信号により次回起動時のLEV開度を決定するもので、停止後の再起動は、前回起動時のLEV開度よりも絞りぎみ、たとえば前回起動時の半分とすることで起動時の高圧上昇を抑制するようにしている。たとえば、冷媒回路に使用する冷媒としてR410Aを使用した場合は、高圧圧力の下限値を4.0MPaとすると、高圧カットは高圧圧力が4.0MPaに達すると即作動するものであるが、高圧圧力検知器12としては3.9MPaとすればよい。
以上のように、空気調和装置100bでは、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを直列接続し、室外凝縮器3を1パス化して冷媒寝込みを高効率に抑制することができるので、冷媒不足とならず、安定した運転を継続して行なうことができる。また、室外凝縮器3を1パス化したことによって、圧縮機1の起動後の圧力上昇スピードの上昇で高圧カットの危険性があるが、高圧圧力検知器12により検知した圧力により次回の圧縮機1の起動時のLEV開度を設定することで高圧カットを回避できる。つまり、空気調和装置100bは、冷媒寝込み及び高圧カットを回避でき、信頼性の高い高性能なものとなる。
なお、ここでは、高圧圧力検知器12をある圧力による接点が入切する圧力スイッチの動作にて説明したが、圧力の経過を検知し、検知した圧力推移により圧力上昇スピードを求めるような圧力センサーとマイコンとの組合せによっても同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係る空気調和装置100cの冷媒回路構成を示す概略構成図である。図7に基づいて、空気調和装置100cの構成について説明する。この空気調和装置100cは、室内外に凝縮器を有し、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用して、冷房運転又は暖房運転を実行できるものである。併せて、空気調和装置100cは、除湿機能を有している。なお、この実施の形態4では、実施の形態1〜実施の形態3と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1〜実施の形態3との相違点を中心に説明するものとする。
空気調和装置100cの基本的な構成は、実施の形態1に係る空気調和装置100と同様である。空気調和装置100cは、実施の形態1に係る空気調和装置100の構成に加え、吸入配管9に低圧圧力検知器13が設けられている。この低圧圧力検知器13は、圧縮機1に吸入される冷媒の圧力、つまり低圧圧力を検出する低圧圧力検知手段である。また、絞り装置7としては、開度をマイコン等により自由に設定することができる電子式リニア膨張弁(以下、LEVと称する)を使用している。さらに、室外凝縮器3は、単一パスの熱交換器で構成されている。
空気調和装置100cでは、室外凝縮器3を単一パス化しているため、冷媒回路内圧力損失が大きく、圧縮機1を吐出された冷媒が圧縮機1に吸入されるのに時間を要することで低圧圧力が低下する。特に室内温度が−15℃等の低温である場合では、低圧圧力は低くなりやすい。過度の低圧低下は、圧縮機1へのダメージが想定される。それに対する対策として、低圧カット等の保護装置を取り付けることがあるが、圧縮機1の運転、低圧低下、低圧カットでの停止、再起動の発停繰返しを発生することがある。発停の繰り返しは、室内環境の空気調和を妨げるだけでなく、圧縮機1が損傷してしまう可能性もある。
空気調和装置100cでは、検知された低圧が所定値よりも低下した場合に圧縮機1の保護のため圧縮機1を一端停止するようにしている。停止後の再起動は、圧力低下による低圧カットが作動しないようにLEV開度を開きぎみ、たとえば前回起動時の倍の開度とすることで起動時の低圧低下を抑制するようにしている。たとえば、冷媒回路に使用する冷媒としてR410Aを使用した場合は、低圧圧力の下限値を0.25MPaとすると、低圧圧力検知器13としては0.3MPaとすればよく、前回起動時が300パルスであれば低圧低下を検知した次回起動時は600パルスとすればよい。
以上のように、空気調和装置100cでは、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを直列接続し、室外凝縮器3を1パス化して冷媒寝込みを高効率に抑制することができるので、冷媒不足とならず、安定した運転を継続して行なうことができる。また、室外凝縮器3を1パス化したことによって、圧縮機1の起動後の低圧圧力下降スピードの増加で低圧カットの連発の可能性があるが、低圧圧力検知器13により検知した圧力により次回の圧縮機1の起動時のLEV開度を設定することで低圧カットの連発を回避できる。つまり、空気調和装置100cは、冷媒寝込みや低圧カットの連発を回避でき、信頼性の高い高性能なものとなる。
なお、ここでは、低圧圧力検知器13をある圧力による接点が入切する圧力スイッチの動作にて説明したが、圧力の経過を検知し、検知した圧力推移により圧力低下スピードを求めるような圧力センサーとマイコンとの組合せによっても同様の効果を得ることができる。
実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5に係る空気調和装置100dの冷媒回路構成を示す概略構成図である。図8に基づいて、空気調和装置100dの構成について説明する。この空気調和装置100dは、室内外に凝縮器を有し、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用して、冷房運転又は暖房運転を実行できるものである。併せて、空気調和装置100dは、除湿機能を有している。なお、この実施の形態5では、実施の形態1〜実施の形態4と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1〜実施の形態4との相違点を中心に説明するものとする。
空気調和装置100dの基本的な構成は、実施の形態1に係る空気調和装置100と同様である。空気調和装置100dは、実施の形態1に係る空気調和装置100の構成に加え、室外温度検出器14及び室内温度検出器15が設けられている。室外温度検出器14は、室外空気温度を検知する温度検知手段である。室内温度検出器15は、室内空気温度を検知する温度検知手段である。また、絞り装置7としては、開度をマイコン等により自由に設定することができる電子式リニア膨張弁(以下、LEVと称する)を使用している。さらに、室外凝縮器3は、単一パスの熱交換器で構成されている。
空気調和装置100dでは、室内外の温度により圧縮機1の起動時のLEV開度を決定するようにしている。室内温度が低い場合にはLEV開度を開きぎみ、室内温度が高い場合にはLEV開度を絞りぎみとする。空気調和装置100dでは、室外凝縮器3を単一パス化しているため、特に室内温度が低温である場合では、冷媒が室外凝縮器3でせき止められることで低圧側に冷媒が到達しにくく、低圧低下が発生する。そのため、LEV開度を開き気味として圧縮機1を起動させる。一方、高室温や高外気である場合では、高圧圧力の上昇スピードが高く、高圧カットの可能性がある。そのため、LEV開度を絞りぎみとして圧縮機1を起動させる。
以上のように、空気調和装置100dでは、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを直列接続し、室外凝縮器3を1パス化して冷媒寝込みを高効率に抑制することができるので、冷媒不足とならず、安定した運転を継続して行なうことができる。また、室外凝縮器3を1パス化したことによって、高圧カット、低圧カットの連発の可能性があるが、室内外の温度により圧縮機1の起動時のLEV開度を設定することで回避できる。つまり、冷媒寝込みや、高圧カット、低圧カットの連発を回避でき、信頼性の高い高性能なものとなる。なお、室外温度検出器14及び室内温度検出器15の双方が設けられている状態を例に示しているが、いずれか1つだけの温度情報に基づいてLEV開度を設定してもよい。
実施の形態6.
図9は、本発明の実施の形態6に係る空気調和装置の圧縮機1の起動時の制御処理の流れを示すフローチャートである。図10は、圧縮機1の起動前における室外送風手段10の運転の高圧への影響を示すグラフである。図9及び図10に基づいて、本発明の実施の形態6の特徴事項である圧縮機1の起動時の制御処理の流れについて説明する。この図10では、横軸が圧縮機起動からの経過時間を、縦軸が高圧圧力を、それぞれ表している。なお、圧縮機1としては、回転数可変のものでなく、いわゆる一定速の圧縮機を使用しているものとする。
空気調和装置100の制御装置(図示省略)は、運転指令が発せられると(ステップS101)、まず室外送風手段10のファンモーターを起動する(ステップS102)。そして、制御装置は、所定時間(T秒)経過したかどうか判断する(ステップS103)。制御装置は、所定時間経過したと判断すると(ステップS103;YES)、圧縮機1を起動させるようにする。空気調和装置100は、室外凝縮器3を単一パス化しているため、圧力損失で圧縮機1の起動時の高圧圧力の上昇スピードが高く、高圧カットの可能性がある。これは、圧縮機1の起動と同時に室外送風手段10のファンモーターを起動すると、室外送風手段10である程度の送風量を確保できる間に高圧圧力が上昇する課題があるからである。
図10から、圧縮機1の起動前における室外送風手段10の運転の高圧圧力に与える影響が確認できる。そこで、空気調和装置100では、圧縮機1の起動よりも室外送風手段10のファンモーターの運転を先に行なうことで、圧縮機1の起動時には室外送風手段10で確実に風量が確保できており、高圧上昇スピードを抑制することができ、高圧カットの異常を回避することができる。
以上のように、実施の形態6に係る空気調和装置では、室外凝縮器3と室内凝縮器5とを直列接続し、室外凝縮器3を1パス化して冷媒寝込みを高効率に抑制することができるので、冷媒不足とならず、安定した運転を継続して行なうことができる。また、室外凝縮器3を1パス化したことによって、高圧カットの可能性があるが、圧縮機1の起動より前に室外送風手段10を運転することで、高圧上昇スピードを抑制して高圧カットを防止することができる。つまり、冷媒寝込みや、高圧カットを回避でき、信頼性の高い高性能なものとなる。
また、実施の形態6では、室外送風手段10の運転から一定時間後に圧縮機1を起動するとしたが、室外送風手段10の全速運転後に圧縮機1を起動することで、より確実に高圧上昇を抑制することができる。
なお、本発明の特徴事項を実施の形態1〜実施の形態6に分けて説明したが、これらを適宜組み合わせてもよい。そうすることによって、より高性能な空気調和装置を提供することが可能になる。
1 圧縮機、2 吐出配管、3 室外凝縮器、3a 伝熱管、4 液配管、5 室内凝縮器、5a 室内凝縮器、6 液配管、7 絞り装置、8 冷却器、9 吸入配管、10 室外送風手段、11 室内送風手段、12 高圧圧力検知器、13 低圧圧力検知器、14 室外温度検出器、15 室内温度検出器、100 空気調和装置、100a 空気調和装置、100b 空気調和装置、100c 空気調和装置、100d 空気調和装置。

Claims (9)

  1. 圧縮機、室外凝縮器、室内凝縮器、絞り装置及び冷却器を直列に配管接続した冷凍サイクルを備え、
    前記室外凝縮器と前記室内凝縮器とを前記室外凝縮器の伝熱管の径よりも太くした径を有する液配管で直接に接続するとともに、前記室外凝縮器を前記伝熱管による単一パス構成としている
    ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記室内凝縮器を、単一構成または複数パス構成としている
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記冷凍サイクルを循環する冷媒の高圧圧力を検知する高圧圧力検知器を設け、
    前記高圧圧力検知器で検知される前記圧縮機の起動後における高圧圧力により、前記絞り装置の次回起動時の開度を設定している
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和装置。
  4. 前記高圧圧力検知器で検知される前記圧縮機の起動後における高圧圧力が所定値よりも高いとき、前記圧縮機を一旦停止させ、前記絞り装置の次回起動時の開度を前回よりも小さく設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の空気調和装置。
  5. 前記冷凍サイクルを循環する冷媒の低圧圧力を検知する低圧圧力検知器を設け、
    前記低圧圧力検知器で検知された前記圧縮機の起動後における低圧圧力により、前記絞り装置の次回起動時の開度を設定している
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和装置。
  6. 前記低圧圧力検知器で検知される前記圧縮機の起動後における低圧圧力が所定値よりも低いとき、前記圧縮機を一旦停止させ、前記絞り装置の次回起動時の開度を前回よりも大きく設定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置。
  7. 室内外の温度を検知する温度検出器を設け、
    前記温度検知器で検知される室内外の温度により、前記絞り装置の次回起動時の開度を設定している
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気調和装置。
  8. 前記室外凝縮器に空気を供給する室外送風手段を設け、
    運転指令が発せられた際、
    前記室外送風手段を運転させてから前記圧縮機を起動させる
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気調和装置。
  9. 前記室外送風手段を全速運転させてから前記圧縮機を起動させる
    ことを特徴とする請求項8に記載の空気調和装置。
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