JPH0464779B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、表層部及び内層部が異種の金属材料
でできた複合金属材料を連続鋳造法によつて溶融
状態の金属から製造する方法に関する。

〔従来の技術〕

連続鋳造法によつて複合材料を製造する方法と
して、長さの異なる２本の浸漬ノズルを鋳型内の
溶湯プールに挿入し、鋳造方向に関して異なる位
置に設定したそれぞれの浸漬ノズルの吐出口から
異種の溶融金属を注湯し、これを鋳型内壁を介し
た抜熱および二次冷却帯での抜熱によつて凝固さ
せて鋳片とすることが特公昭44−27361号公報で
開示されている。

本発明者等も、この形式の複合材料の製造を研
究しており、その一環として内層部及び表層部と
の間の混合を抑制する静磁場を印加することによ
り、明瞭な界面をもつ複合材料が得られることを
見い出し、これを特願昭61−252898号として出願
した。

第３図は、この出願で提案した連続鋳造方法に
おける鋳型内の状況を説明するための図である。

鋳型１内に、それぞれ長さの異なる浸漬ノズル
２，３が配置されている。そして、これら浸漬ノ
ズル２，３から鋳型１内の溶湯プール４にそれぞ
れ異種の溶融金属が注湯される。注湯された溶融
金属は、鋳型内壁を介した抜熱および二次冷却帯
での抜熱によつて表層部５及び内層凝固部６とな
る。この内層凝固部６は、鋳片が下降するに従つ
て成長し、中実の複層鋳片となる。このとき、磁
石７によつて、鋳造方向に直交する磁力線が延在
する静磁場が形成され、溶湯プール４内の流れが
制動される。その結果、上下の異種金属が接する
位置での両者の混合が抑制され、表層及び内層の
成分が異なる複層鋳片が得られる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

溶湯プール４内の上部にある溶融金属と下部に
ある溶融金属との混合は、静磁場によつて抑制さ
れる。しかし、短い浸漬ノズル２から注湯される
溶融金属の落下エネルギーが大きいため、その落
下流によつて上層の溶融金属と下層の溶融金属と
の界面が攪拌されやすくなる。その結果、鋳片の
横断面において、第２図に示すように５mm程度の
溶質濃度が変化する遷移域が形成される。

この遷移域に形成される層は、内層及び外層の
中間的な成分・組成をもち、本来目的とするもの
ではない。しかも、この中間層は、材質的に不安
定である場合が多いため、できる限り小さくする
ことが必要とされる。

そこで、本発明は、このような問題を解消すべ
く案出されたものであり、鋳型内に挿入される注
湯ノズルに改良を加えることにより、溶湯プール
における上下部の溶融金属の混合を抑制し、表層
及び内層の明確な２層構造をもつ複合金属材料を
製造することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の複合金属材料の連続鋳造方法は、その
目的を達成するために、鋳型内に形成した静磁場
帯を境界として上下に注湯された異種の溶融金属
を鋳造することによつて複合金属材料を製造する
際、前記静磁場帯の下方にある溶融金属を、先端
がラツパ状に広がつた浸漬ノズルを介して供給す
ることを特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら、実施例により本発
明の特徴を具体的に説明する。

第１図は、本実施例における鋳型内の状況を説
明するための図である。同図において、第３図に
示した部材等については同一の符番で指示し、そ
の説明を省略した。

溶湯プール４の下部に溶融金属を注湯する浸漬
ノズル３は、その先端部がラツパ状に拡開されて
いる。そのため、浸漬ノズル２から流下する溶融
金属は、その運動エネルギーが静磁場帯及び浸漬
ノズル３の拡開先端部３ａによつて弱められ、溶
湯プール４を過度に攪拌することがない。したが
つて、浸漬ノズル２から注湯された溶融金属と浸
漬ノズル３から注湯された溶融金属との混合を抑
制する磁石７による静磁場の効果が充分に発揮さ
れる。

拡開先端部３ａの内面積は、溶湯プール４の水
平断面積に対して30〜70％の面積比にすることが
好ましい。溶湯プール内にこのようなラツパ状ノ
ズルを配置することは、通常の操業上からして好
ましいことではない。すなわち、耐火物のみで異
種溶湯の混合を抑制しようとすると、浸漬ノズル
３の拡開先端部３ａを凝固シエルに接触する直前
まで広げる必要がある。しかし、このような先端
部の拡開によつて、拡開先端部３ａと凝固シエル
が接触する機会が高くなり、ブレークアウト等の
大きなトラブルを引き起こす。しかし、本発明に
おいては静磁場の印加により浸漬ノズル３の拡開
先端部３ａの面積比を下げることができる。しか
も、これらの相乗効果によつて、浸漬ノズル２，
３から吐出される溶湯の混合は、より一層抑制さ
れる。

第２図は、この面積比か混合抑制に与える効果
をグラフ化したものである。なお、本例において
は、浸漬ノズル２から154Kg／分の流量でオース
テナイト系ステンレス鋼組成の溶湯を注湯し、浸
漬ノズル３から1346Kg／分の流量で普通鋼組成の
溶湯を注湯し、表層部５の厚みが10mmの複合材料
を製造した。また、混合抑制効果は、得られた複
合材料における表層部と内層部との間において成
分が連続的に変化している界面の厚みを縦軸とし
て示している。

第２図から明らかなように、拡開先端部３ａの
ある浸漬ノズル３を使用せずに鋳造した場合、
（第３図）に得られた鋳片にあつては、約５mmの
遷移層が形成されていた。これに対し、溶湯プー
ル４の水平断面積に対する拡開先端部３ａの面積
比が30〜70％の浸漬ノズル３を使用して鋳造され
た鋳片にあつては遷移層の厚みを約１mm程度に減
少させることができた。なお、拡開先端部３ａの
面積比を70％以上としたところ、拡開先端部３ａ
が凝固シエルに接触し、浸漬ノズル３の一部が破
損したり、凝固シエルの一部が破れたりする場合
があつた。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明においては、拡
開先端部をもつ浸漬ノズルを使用して、鋳型内の
溶湯プール下部に溶融金属を注入することによつ
て、溶湯プール内における溶融金属に運動エネル
ギーを与えることなく、上下部の溶融金属の界面
を静かに維持している。この状態で、静磁場が溶
融金属に印加されるので、磁力により溶融金属の
混合を抑制する効果が効率良く発揮される。その
ため、得られた鋳片は、表層及び内層の境界が明
確に区分された２層構造をもつものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例における鋳型内の状況を
説明する図であり、第２図は浸漬ノズルの拡開先
端部の効果を具体的に表したグラフである。他
方、第３図は、本発明者等が別途開発した複合材
料の連続鋳造法を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋳型内に形成した静磁場帯を境界として上下
   に注湯された異種の溶融金属を鋳造することによ
   つて複合金属材料を製造する際、前記静磁場帯の
   下方にある溶融金属を、先端がラツパ状に広がつ
   た浸漬ノズルを介して供給することを特徴とする
   複合金属材料の連続鋳造方法。