JPH0462790B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は被塗物をトロリーコンベアで搬送しつ
つ塗装を行う工場ライン塗装用のトロリーコンベ
アの被塗物回転装置に関するものである。

＜従来の技術＞ 従来、工場ライン塗装で用いられているトロリ
ーコンベアにおける被塗物回転装置としては、下
記の方法が用いられているが、夫々宿命的な短所
があり、特にロボツト塗装を対象とした場合、新
しい回転装置が望まれている。

即ち、例えば第４図Ａに示す一次ハンガーにス
プロケツトホイルを取付け、一線状に張つたチエ
ーンに噛み合せて回転させる方法は、コンベア連
続送り、ワーク（被塗物）連続回転に用途が限定
され、コンベアタクト送りや被塗物の90°回転は
出来ず、且つ被塗物の方向規制も出来ないもので
あつた。

又、第４図Ｂの様に一次ハンガーに十字車及び
90°割出し構成を備へ、固定させたピンにより十
字車を90°回転させる方法は、コンベア連続送り
に限定され、タクト送り方式には使えないもので
あつた。又、機構上、被塗物にスムーズな回転が
得られず、被塗物の形状、重量によつては回転時
の反動による揺れが大きく、90°割出し器を付け
ても慣性力により90°以上回転してしまい、割出
し器の作用で90°位置に戻している。

更に、この場合、90°回転位置が固定ピンの取
付位置で決められてしまい、毎回任意の位置で回
転させることは難しいものであつた。

更に、任意の位置で回転させるための方法とし
て、第４図Ｃの様な十字車付ハンガーを別の駆動
源を使い強制的に90°回転させる方法は、コンベ
アタクト送り方式が対象であり、しかも、エアー
シリンダーが固定のため連続送り方式には難かし
い。この場合、機構上、回転時の被塗物への揺れ
は前記割出し器を用いた例で説明したのと同じで
あり、停止時の揺れを防ぐ必要から、ハンガーの
停止位置精度が必要となる。

＜発明が解決しようとする課題＞ 本発明は上記実情に鑑み、コンベアが連続送り
でも、タクト送りでも、正確、確実に、且つ、任
意の位置、時間で回転し得るロボツト塗装に最適
なトロリーコンベアの被塗物回転装置を提供する
ことを目的としたものである。

＜問題点を解決するための手段＞ 一次ハンガー２を適宜間隔で懸架したトロリー
コンベアのコンベアレール１に沿つて前進、後退
するスライドフレーム４を該コンベアレール１に
取付けたスライドレール３上に載置すると共に、
前記スライドフレーム４に、移動する一次ハンガ
ー２の一部に係合離脱する駆動手段７を備えた係
合手段６と、一次ハンガー２の下端に取付けた従
動車８を回転させる駆動手段９，１０，１１，１
２と、前記従動車８の抑え手段１３，１４とを設
け、且つ、前記コンベアレール１に沿つて前進し
たスライドフレーム４を後退させる戻し手段５を
備えたものである。

＜作用＞ 上記のような構成のため、ハイローター１２を
有する回転装置を備えたスライドフレーム４は、
係合手段６がトロリーコンベアの一次ハンガー２
の一部と係合すると、該コンベアと共に移動し、
両者の相対的な動きはなくなる。この状態で、ト
ロリーコンベアに懸架された一次ハンガー２の下
端に回転自在に取付けられた従動車８に、両側よ
り該従動車８の押え手段１３，１４と、該従動車
８を回転させる駆動手段９，１０，１１，１２と
が作動し、従動車８と一体の二次ハンガー１７を
所定量（90°又は180°）回転させ、取付けた被塗
物の向きを変更する。被塗物の向きの変更が終了
すると前記押え手段１３，１４が従動車８より離
れ、駆動手段の原動車９との接触が解放され、次
の回転に備える。

次に回転指令があると、再び押え手段１３，１
４が従動車８を駆動手段の原動車９に押え込み、
駆動手段９，１０，１１，１２に連係させること
により二次ハンガー１７を回転させる。

必要な被塗物の回転が終了した後は、別の指令
によりトロリーコンベアとの係合手段６が外れる
と共に、戻し手段５が作動し、スライドフレーム
４は元の位置に後退し、次のハンガーとの係合を
持つべく待機する。

＜実施例＞ 以下、本発明を実施例の図面に基づいて説明す
れば、次の通りである。

１は公知の移動方式を採る一次ハンガー２を懸
架したコンベアレールで、該コンベアレール１の
所定位置（塗装装置）の上にスライドレール３を
設け、該スライドレール３の上面にコンベアレー
ル１を跨ぐようなコ字状を呈すスライドフレーム
４を走行ローラ１８を介在して取付けてなる。こ
の場合、スライドフレーム４のスライドする距離
は、ハンガーピツチと同じにするのが一般的で、
被塗物がハンガーピツチ分だけ移動する間に塗装
を完了し、該スライドフレーム４を素早く元のス
タート位置に戻し、次の被塗物の到着を待つよう
設計する。即ち、スライドフレーム４の後端には
元の位置に戻すための戻し手段となる戻しシリン
ダー５を設置する。又、スライドフレーム４の片
側部にはスライドフレーム４をコンベアレール１
に追従させるための係合手段となる追従ピン６と
該追従ピン６の駆動手段となる追従ピンシリンダ
ー７とが設けられ、又、コンベアレール１に懸架
された一次ハンガー２の下端に設けた従動車８の
側面位置に、該従動車８を回転させる原動車９を
臨ませる。更に、該原動車９は垂直の原動軸１
０、伝達ギヤー１１を介し、スライドフレーム４
の上面に設けた90°回転用ハイローター１２に連
結し、更に、スライドフレーム４の他側部に前記
原動車９と共に従動車８を挟持するための押え手
段となる２個の押え車１３を設け、該押え車１３
の基端には押え車シリンダー１４を配している。

即ち、スライドフレーム４に取付けられたハイ
ローター１２、伝達ギヤー１１、原動軸１０、原
動車９、押え車１３及び押え車シリンダー１４を
以つて、被塗物回転装置１５を構成している。こ
の場合、90°回転用ハイローター１２は、例えば
２つの直列シリンダーによるラツク、ピニオンを
組合わせたロータリーアクチユエータなどの市販
の駆動装置を利用することが出来る。この場合、
駆動部は安全性を考慮し、空気圧又は液圧の装置
を使用することが望ましい。又、一次ハンガー２
の下端の従動車８は回転可能に取付けられ、２個
の押え車１３が押え車シリンダー１４によつて押
し付けられると原動車９と接触し、ハイローター
１２により回転が伝えられる。尚、従動車８の下
面には90°割出し器１６（インデツクス）を備え
る。更に、従動車８の下端には二次ハンガー１７
が取付けられ、この二次ハンガー１７に被塗物Ａ
が直接取付けられる。

次に作用を説明すると、被塗物Ａは一次ハンガ
ー２の下端の従動車８の下方に突設された二次ハ
ンガー１７に直接取付けられ、一次ハンガー２が
コンベアレール１内のトロリーコンベア１′によ
つて移動されスライドフレーム４の待機位置（塗
装位置）まで来ると、これを適宜の検出器（図示
せず）で検知し、この信号に起因してスライドフ
レーム４の片側に設けた追従ピン６が追従ピンシ
リンダー７の作動によつて繰出され、該追従ピン
６が一次ハンガー２のハサミ部２ａに当ると、ス
ライドフレーム４は一次ハンガー２と一体とな
り、トロリーコンベア１′の移動に追従してスラ
イドレール３上を走行ローラ８を介して滑動す
る。このとき、一次ハンガー２に連結された従動
車８はいつでも90°回転できる態勢となつている。

この状態で、被塗物Ａに対する一面の塗装が終
り、該被塗物Ａの90°方向回転が必要な場合、別
途電気信号を送ると、先ず押え車シリンダー１４
が作動し、この下端に取り付いた２個の押え車１
３が一次ハンガー２の従動車８を押圧し、該従動
車８と背部に位置する原動車９とを接触させる。
次に、この原動車９はハイローター１２の回転を
伝達ギヤ１１、原動軸１０を介して廻わされ、該
原動車９に接触している従動車８が90°回転し、
該従動車８に突設された二次ハンガー１７に取付
けられた被塗物Ａは90°回転させられる。この被
塗物Ａの90°回転が終ると押え車１３は押え車シ
リンダー１４の戻り動により後退（退避）し、従
動車８を開放する。従つて、原動車９は空で逆転
し、次の回転に供える。以上の動作を必要回数だ
け繰り返す（第３図参照）。第３図において、Ｓ
はスプレーガンを示し、矢印は被塗物の回転の順
を示す。

最終回の回転が終了し、塗装が完了すると、追
従ピンシリンダー７が作動して追従ピン６が引込
み、スライドフレーム４に取付けられた回転装置
１５はコンベア１′との係合から開放されスライ
ドフレーム４の基端の戻しシリンダー５によつて
元のスタート位置まで戻される。

勿論、この方式の前提条件としては、次の被塗
物がスタート位置に到着する前に回転装置をスタ
ート位置に戻しておかねばならないことで、ハン
ガーがワンピツチ移動する時間から回転装置の戻
し時間を差し引いた残りを実際の塗装に使える時
間と考えなければならない。

＜発明の効果＞ 上述の様に本発明のトロリーコンベアの被塗物
回転装置は、一次ハンガーの移動に伴い回転装置
を取付けたスライドフレームが一次ハンガーと係
合して一緒に移動する如くしたため、連続送り及
びタクト送りのいずれのトロリーコンベアにも利
用でき、既設のコンベアラインを変えることなく
対応できる。

更に、一次ハンガーと回転装置を取付けたスラ
イドフレームは一体となつて移動するので、被塗
物の回転、駆動が確実に行われ、しかも、押え車
によつて従動車を原動車に接触させて回転を得る
ため、揺れが少なく、塗装の効率がよい。しか
も、一体に移動しているときは、回転の指令信号
によりどの位置でも何時でも被塗物を回転させる
ことが可能となり、且つその回転数も任意であ
る。例えば、被塗物の形状によつて塗装に時間が
かかる面と、かからない面があるため、任意に回
転できることは、作業者又はロボツトが被塗物の
回転を待つ時間が省け、所謂ロス時間を無くする
ことができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の要部を示す斜面図、第２図は
同縦断正面図、第３図は回転塗装状態を示す説明
図、第４図はＡ，Ｂ，Ｃは従来の回転方式の説明
図である。 １……コンベアレール、１′……トロリーコン
ベア、２……一次ハンガー、３……スライドレー
ル、４……スライドフレーム、５……戻しシリン
ダー、６……追従ピン、７……追従ピンシリンダ
ー、８……従動車、９……原動車、１２……90°
回転用ハイローター、１３……押え車、１４……
押え車シリンダー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一次ハンガー２を適宜間隔で懸架したトロリ
   ーコンベアのコンベアレール１に沿つて前進、後
   退するスライドフレーム４を、該コンベアレール
   １に取付けたスライドレール３上に載置すると共
   に、前記スライドフレーム４に、移動する一次ハ
   ンガー２の一部に係合離脱する駆動手段７を備え
   た係合手段６と、一次ハンガー２の下端に取付け
   た従動車８を回転させる駆動手段９，１０，１
   １，１２と、前記従動車８の押え手段１３，１４
   とを設け、且つ、前記コンベアレール１に沿つて
   前進したスライドフレーム４を後退させる戻し手
   段５を備えたことを特徴とするトロリーコンベア
   の被塗物回転装置。