JPH0457623B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は自動車のフロントガラス、建築物の窓
ガラス、装飾用ガラスあるいは熱線反射／吸収ガ
ラスに関し、とくに安全性、耐久性、耐擦傷性、
耐貫通性にすぐれた合せガラスに関するものであ
る。 従来、合せガラスはその中間層として各種の合
成樹脂が用いられているが、必ずしも安全性、耐
久性、耐貫通性、耐擦傷性のいずれをも満足せし
めるものはほとんど存在しない。とくに耐貫通性
及び耐擦傷性において一応目的は達したとしても
さらにその改良がのぞまれる。 また、省エネルギーの観点より近年一般住宅用
窓ガラスあるいはビル用窓ガラスに熱線反射／吸
収ガラスが採用されつつある。熱線反射ガラスは
ガラス自体あるいはその表面が着色されているも
のであり、熱線反射ガラスは透明もしくは着色さ
れたガラス表面に熱線反射層として金属あるいは
金属酸化物の薄膜が付与されたものである。 しかし熱線反射／吸収ガラスはきわめて高価で
あるとともに一度破損した場合、通常のガラスと
同様に破片が飛散し、安全面において問題があ
る。 さらに、熱線反射／吸収フイルムをガラス表面
に貼着した場合は比較的簡単に処理でき、しかも
破損による破片の飛散防止にわずかながら効力を
発揮するが、フイルム自体の耐久性に乏しく、剥
離しやすく且つ耐擦傷性が低く、数年毎に貼りか
える必要がある。 また、近年各種の窓ガラスあるいは間仕切りガ
ラスの表面に種々な図柄、絵、写真、文字等によ
るデザインを施した装飾ガラスが普及しつつあ
る。これら装飾ガラスは風呂場の間仕切り、子供
部屋等の窓ガラス、天井面の採光用、商店あるい
はビルのデイスプレー、シヨーウインド用とし
て、さらにはステンドグラス代替品として広く用
いられているが、デザインがガラス表面に印刷、
塗着あるいは貼着されたものであるため、上記の
熱線反射／吸収フイルム貼着ガラスの場合と同様
な欠点があり、耐久性、安全性に少からず問題が
ある。とくに風呂場の間仕切り用としてかかるガ
ラスを使用した場合、その雰囲気が高温多湿とい
う過酷な条件下にあり、１〜２年でフイルムが浮
き上がりあるいは剥離し、さらには変色する。ま
た各種のデザインを印刷したフイルムを直接ガラ
ス面に貼着したものも同様な欠点がある。 さらに、ガラス表面に着色剤を混入したフイル
ムを貼着して熱線を吸収し、あるいはガラス表面
に例えば金属を直接に蒸着あるいはフイルム表面
に金属を蒸着したフイルムを貼着して熱線反射効
果あるいは導電性を付与することはできるが、か
かるものも上述の如き欠点を有する。 本発明は上述の欠点を排除した合せガラスを提
供するものであり、架橋タイプのポリマー組成物
よりなる少なくとも２層の各中間層の間に有機樹
脂よりなるフイルムを間挿した積層体を２枚のガ
ラス板体の間に介在させた合せガラス、２枚のガ
ラス板体が熱線反射／吸収ガラスである合せガラ
ス、有機樹脂よりなるフイルムが透明であり、且
つその全部あるいは一部に各種のデザインが施こ
された合せガラス、上記フイルムの全体あるいは
一部が熱線吸収のため着色されている合せガラ
ス、及び上記フイルムは表面に熱線反射効果ある
いは導電性付与のため金属あるいは金属酸化物が
付着された合せガラスに存する。 本発明の中間層に使用される架橋タイプのポリ
マー組成物としては、例えば金属イオン架橋エチ
レン−（メタ）アクリル酸共重合体、エチレン−
アクリル酸メチル共重合体、エチレン−（メタ）
アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重
合体、カルボキシル化エチレン−酢酸ビニル共重
合体、さらには（メタ）アクリル酸、及びその誘
導体で変性された分子内に不飽和２重結合を有す
る高分子物質Ａと少なくとも１種の（メタ）アク
リロキシ基含有化合物Ｂとからなる感光性組成物
（特開昭55−90445号）等が挙げられる。 本発明に使用する有機樹脂からなるフイルムの
材質としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−
ビニルアセテート共重合体、鹸化エチレン−ビニ
ルアセテート共重合体、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリビニルブチラール、エチレン−エチルア
クリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレ
ート共重合体、金属イオン架橋エチレン−メタク
リル酸共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、
ポリカーボネート、セロフアン等であり、フイル
ムの平滑性、表面光沢（蒸着等により金属の薄膜
を形成するために要求される）、強度、作業性等
の観点から最も好ましいのはポリエステルフイル
ムである。 また、熱線反射効果あるいは導電性付与のため
にこのフイルムに例えば蒸着等により付着させる
金属あるいは金属の酸化物の主成分は酸化インジ
ウム、酸化クロム、金、バナジウム、錫、酸化カ
ドミウム、銀、プラチナ、アルミニウム、銅、沃
化銅、酸化錫、酸化アンチモン錫、酸化チタン等
である。 本発明における中間層と有機樹脂よりなるフイ
ルムを複合させる際に考慮すべきことは中間層と
フイルムとの接着性である。ガラスと中間層、中
間層とフイルムのそれぞれの接着が確保されて安
全な合せガラスとなり、長期にわたる耐久性が保
証される。 かかる観点からみて最も好ましい中間層はエチ
レン−ビニルアセテート共重合体を主成分とし、
これに少量の有機過酸化物、さらにはシランカツ
プリング剤を添加したものである（特開昭57−
196747号）。 さらにエチレン−ビニルアセテート共重合体
（以下EVA共重合体という）は有機樹脂からなる
フイルム中ポリエステルを用いた場合、EVA共
重合体中間層に含まれる有機過酸化物の分解温度
以上で熱処理することにより、透明化し、ガラス
との接着、及びフイルムとの接着が強固に行われ
る。 また、EVA共重合体中間層は有機樹脂よりな
るフイルムの金属薄膜蒸着面、各種デザインの印
刷面あるいは塗装面とも強固に接着するため、安
全合せガラスを提供するのにEVA共重合体は最
適なものである。 さらに、本発明においては金属薄膜蒸着面、各
種デザインの印刷あるいは塗装面が直接外に出て
いないため耐擦傷性が抜群である上、空気との接
触が断たれるため、紫外線、熱等による酸化、退
色等の変質、変色の可能性がきわめて少ないもの
である。勿論水あるいは溶媒等による腐食、剥離
等の可能性もないものである。 上述の如き多くの特徴を有する本発明による合
せガラスの製造手順としては、大別してガラス板
体上に中間層、フイルム、中間層の順に積層する
方法と、あらかじめ中間層−フイルム−中間層を
接着、粘着あるいはホツトメルト等の方法でラミ
ネートした状態で積層しておき、これを合せ工程
時２枚のガラス板体間に挟着する方法と２方法が
あるが、そのいずれの方法によつても目的とする
性能を有する合せガラスが得られる。 以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に詳
述する。 実施例 １ 市販の金属イオン架橋タイプのアイオノマー樹
脂（商品名ハイミラン1707：三井ポリケミカル社
製）を170℃にてプレスして尺角サイズ（305×
305mm）、厚さ0.4mmのシート２枚を得た。 別にポリエステル樹脂を主成分とする厚さ50μ
の着色された市販の熱線吸収フイルムを用意し、
この上下に上記のハイミラン中間層シートを積層
し、これを尺角、厚さ３mmのガラス板体間に挟着
し、ゴム袋にて真空にした後170℃の熱板上にて
約30分熱処理し、エアー入りのない合せガラスＡ
を得た。 得られた合せガラスＡにはポリエステルフイル
ムのしわ、透視像のゆがみ等はみとめられず、上
記熱線吸収フイルムを尺角、厚さ３mmのガラス板
体表面に直接粘着剤、水等を使用して貼付したも
のＢと比較したが、外観、熱線吸収効果とも同等
であり、むしろ後者Ｂは一部に残留する水、エヤ
ーあるいは異物の影響でフイルム面に細かい凹凸
がみとめられ、美観を損ねているのに対し、本発
明の合せガラスＡにはそのような欠陥は全くみと
められなかつた。 また、合せガラスＡの耐衝撃性レベルを評価す
るために、単に0.8mmにプレスした尺角の中間層
シートを同じく尺角、厚さ３mmのガラス板体間に
挟着させ、真空加熱により合せガラスＣを得た。 Ａ，Ｂ及びＣ各６組について、JISR3212にも
とづいて2.25Kgの鋼球を4mの高さから落下させ、
耐貫通性能を比較した。 Ａはいずれも鋼球が供試体を貫通せず、剥離し
て落下したガラス量もきわめてわずかであつた
が、Ｃでは６組中４組において鋼球が供試体を貫
通し、剥離したガラス量もやや多かつた。さら
に、Ｂにおいては鋼球が６組とも貫通し、ガラス
破片が多数飛散した。 実施例 ２ 下表にしたがつて組成物Ｄは室温にてニーダー
により、組成物Ｅは130℃のロール上で配合した。

〔合せガラスの作成〕

組成物 Ｄ ２枚の離型紙の中央部に組成物Ｄを適量置き、
周辺に0.3mmのスペーサーをかませた状態で70℃
にてプレスし、0.4mm厚さの尺角のシートを複数
枚得た。 50μ厚さのポリエステル樹脂製熱線反射フイル
ム（アルミニウム薄層蒸着）の上下両側に離型紙
を剥がした上記尺角プレスシート各１枚を気泡が
入らないように圧着し、さらにこの積層体を３mm
厚さの尺角ガラス板体２枚の間に気泡が入らない
よう挟着した。 これに400W水銀灯で15cm間隔をもつて10分間
片面から紫外線を照射して硬化させた。 組成物 Ｄ 上記と同様にして組成物Ｄのみの厚さ0.8mmの
尺角シートをプレスし、熱線反射フイルムが入つ
ていない外は組成物Ｄと全く同じ合せガラス
D′を得た。 組成物 Ｅ あらかじめ0.4mm厚さにプレス成型した尺角サ
イズの組成物Ｅのシートを複数板準備する。 厚さ50μの熱線反射フイルム（組成物Ｄのもの
と全く同じ）の上下両側に上記Ｅシートを各１枚
づつ積層し、この積層体を３mm厚さの尺角サイズ
のガラス板体２枚の間に挟着し、ゴム袋中にて脱
気しながら100℃のオーブンにて30分間放置した
のち、145℃のオートクレーブ中にて20分間加熱
加圧処理を行なつた。 〔耐貫通テスト〕 JISR3212にもとづいて2.25Kgの鋼球を4mの高
さから落下させ、耐貫通性能を比較した。 結果は以下の通りである。 すなわち合せガラスＤ（本発明）はその６組す
べてにおいて鋼球は供試体を貫通しなかつた。一
方合せガラスD′は６組中５組において鋼球は供
試体を貫通した。 〔耐久性テスト〕 合せガラスＤ及び合せガラスＥについて下記の
如き冷熱サイクル試験を100時間にわたつて行 つたところ合せガラスＥでは熱線反射フイルムと
中間膜の間にかなりの剥離現象がみとめられたの
に対し、合せガラスＤには何らの異常現象はみと
められなかつた。 その原因をさぐるために、合せガラスＤ及びＥ
の一部を切り出して剥離試験を行つたところ、合
せガラスＥにおいてはポリエステルフイルム面と
中間層シート間でたやすく剥離したが、合せガラ
スＤにおいてはいずれの層間も強固に接着し、剥
離不可能であつた。 実施例 ４ カラーグラビア印刷を施した厚さ50μのポリエ
ステルフイルムの上下に実施例２の組成物Ｄシー
ト２枚を重ね合せ、実施例２と同様の操作により
エヤー入り等の欠陥の全くない装飾用合せガラス
を得た。 この合せガラスの一部をサンシャインウエザー
メータ（スガ試験機製）中にて500時間促進暴露
を行つた。 条件：デユーサイクル ブラツクパネル温度 63℃ 槽内温度 40℃ サンシヤインカーボン使用 一方、この装飾用合せガラスの他の一部に対し
１年間の屋外暴露を行つた。 促進暴露及び屋外暴露のいずれの場合にも発
泡、剥離、退色、変色等の徴候はみとめられず、
原サンプルと同じ色調及び外観を保つていた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 架橋タイプのポリマー組成物よりなる少なく
   とも２層の各中間層の間に有機樹脂よりなるフイ
   ルムを間挿した積層体を２枚のガラス板体の間に
   介在させた構造の合せガラス。 ２ 中間層が金属イオン架橋タイプのアイオノマ
   ー樹脂である特許請求の範囲１記載の合せガラ
   ス。 ３ 中間層が（メタ）アクリル酸及びその誘導体
   で変性された分子内に不飽和２重結合を有する高
   分子物質Ａと、少なくとも１種の（メタ）アクリ
   ロキシ基含有化合物Ｂとからなる感光性中間層で
   あり、光（紫外線を含む）により架橋される特許
   請求の範囲１記載の合せガラス。 ４ ２枚のガラス板体が熱線反射／吸収ガラスで
   ある特許請求の範囲１記載の合せガラス。 ５ 有機樹脂よりなるフイルムが透明であり、且
   つその全面あるいは一部に各種のデザインが施こ
   されている特許請求の範囲１記載の合せガラス。 ６ 有機樹脂よりなるフイルムの全体あるいは一
   部が熱線吸収のため着色されている特許請求の範
   囲１記載の合せガラス。 ７ 有機樹脂よりなるフイルムの表面に熱線反射
   効果あるいは導電性を付与するために金属あるい
   は金属酸化物の薄膜が付着形成されている特許請
   求の範囲１記載の合せガラス。 ８ 金属あるいは金属酸化物の薄膜の付着形成が
   蒸着、スパツタ、イオンプレーテイング等の方法
   による特許請求の範囲７記載の合せガラス。 ９ 導電性付与あるいは熱線反射効果付与のため
   形成する金属あるいは金属酸化物の主成分が酸化
   インジウム、酸化クロム、金、パラジウム、錫、
   酸化カドミウム、銀、プラチナ、アルミニウム、
   銅、沃化銅、酸化錫、酸化アンチモン錫、酸化チ
   タン等である特許請求の範囲７又は８記載の合せ
   ガラス。