JPH045726B2 - - Google Patents
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- JPH045726B2 JPH045726B2 JP59008564A JP856484A JPH045726B2 JP H045726 B2 JPH045726 B2 JP H045726B2 JP 59008564 A JP59008564 A JP 59008564A JP 856484 A JP856484 A JP 856484A JP H045726 B2 JPH045726 B2 JP H045726B2
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
本発明はSiを多量に添加することにより時効硬
化が促進され、時効処理時間を短縮できる靱性に
優れたマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼
材の製造方法に関する。従来、ばね材料等の高強
度ステレス鋼の代表的なものとしては次の2種が
挙げられる。 (a) SUS301鋼に代表される加工硬化型ステンレ
ス鋼。 (b) 17−7PH鋼に代表される析出硬化型ステン
レス鋼。 これらのばね用ステンレス鋼は、硬さを高くし
ようとすれば高度の冷間加工を必要とし、しかも
冷間加工状態での硬さが高く、成形加工性、打抜
き性が劣ることになり、また成形加工性、打抜き
性をよくしようとすれば、時効硬化後の硬さが不
十分であるという相反した制約を受けるし、さら
に製造困難な割に得られた加工製品の硬さが十分
でなかつた。 この様な状況のもとに、本発明者らは先に高強
度のばね製品用に前記SUS301鋼や17−7PH鋼よ
りも成形加工性や製造性が改良された、溶体化処
理状態か軽度の加工状態でマルテンサイト組織を
呈するばね用ステンレス鋼を開発し、これを「析
出硬化型ばね用ステンレス鋼」として、特開昭56
−130459号(特願昭55−341385号)に開示した。
以下これを先願鋼という。 先願鋼は、 C:0.03%を超え0.08%以下 N:0.03%以下 Si:0.3−2.5% Mn:4.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:12.0〜17.0% Cu:0.1〜2.5% Ti:0.2〜1.0% Al:1.0%以下 残部Feおよび不可避的不純物 からなり、かつ溶体化処理状態または50%以下の
冷間加工を施した状態で実質的にマルテンサイト
組織を有し、その後約480℃前後でバツチ式で時
効処理することにより、高強度が得られることを
特徴とするものであつた。 本発明者らは、この系統のばね用鋼についてさ
らに研究を重ね、Siを1.0%以上添加した鋼は高
温で時効処理すると短時間で高強度が得られるこ
とを見出した。Si無添加の鋼でも、高温で時効処
理すると、硬さが最高になる時間は短くなるが、
あまり顕著ではなく、そのピーク硬さも高くな
い。このために、高強度を得るためには高度の加
工を加える必要があつた。これに対して、Siを添
加した場合には、溶体化処理状態で冷間加工を施
さないで時効処理を施しても短時間での硬化が著
しかつた。 その要因を調査した結果、Siを添加することに
より、Ni,Ti(あるいはNbもしくはAl)とSiよ
りなる金属間化合物が微細でかつマトリツクスに
対して整合に析出していた。即ち、析出物がマト
リツクスに対して整合であるために容易に短時間
で析出し、かつ整合歪を伴なうので高強度を呈す
ることがわかつた。 このような知見に基づいて本発明者らは本願の
鋼を開発した。即ち、本発明によれば、 重量で C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼、さらに Cu:0.3〜2.5%を含有する鋼、 および C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% Nb:0.1〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼、さらにCu:0.3〜2.5%を含有する鋼であつ
て、 Si,Ti,Al,Nbが次式 H=Si×(Ti+Al+0.8Nb) であらわされるHの値が1.0以上になるように調
整された鋼を、500℃〜650℃で0.2〜10分の短時
間、時効処理を施すことからなるHv500以上の硬
さを有する優れたマルテンサイト系析出硬化型ス
テンレス鋼材の製造方法が提供される。 さらに本発明によれば、上記の組成に加えてさ
らにCuを0.3−2.5%含有する同様の鋼が提供され
る。 本願発明における組成限定の理由は次のとおり
である。 (1) 炭素(C) Cの量が増大すると、焼き入れマルテンサイ
ト相が固くなり、冷間加工変形能が低下し、満
足な成形加工性が得られず、またCを固定する
TiNb量を増加させねばならず不経済となる。
これらの点を考慮すると、Cの含有量は0.08%
以下となる。 (2) けい素(Si) Siは短時間時効処理で高強度を得るために必
要な元素で、Ni,Ti,Nb,Si等よりなる金属
間化合物の微細整合析出により硬化させるもの
で、1.0%未満では、短時間での硬化度が小さ
く、2.5%を超えて添加することが望ましい。
しかし5.0%を超えて、添加してもそれに見合
う効果はなく、またδ−フエライトの生成を助
長する。このような理由により、Si量は1.0〜
5.0%に限定される。 (3) マンガン(Mn) Mnはδ−フエライト相生成抑制のために添
加されるが、添加量が多くなると残留オーステ
ナイト相の生成が多くなる。この点を調和を考
慮してMn量は1.0%以下と限定される。なお
MnはNiと同様にδ−フエライト相生成抑制効
果を有するのでNiの一部を置換できる。 (4) ニツケル(Ni) Niは析出硬化現象を起させ、δ−フエライ
ト相の生成を抑制する。しかし、添加量を多く
すると残留オーステナイト相の量が増加する。
本発明の場合、析出硬化を低下させないため
に、最低5.0%必要であり、残留オーステナイ
ト相の量を増加させないために9.0以下にする
必要がある。 (5) クロム(Cr) 一般的に耐食性を得るためには、少なくとも
10.0%以上必要である。しかし添加量を多くす
るとδ−フエライト相の量が増加するので上限
は17.0%に限定される。 (6) チタン(Ti) Tiは析出硬化を起させるために添加される
が、2.0%を超えると、靱性が著しく低下する
のでその値に限定される。 (7) アルミニウム(Al) アルミニウムはTi同様析出硬化を起させる
ために添加されるが、その効果を得るためには
少なくとも0.01%必要である。一方2.0%を超
えて添加されると、Tiの場合と同様に靱性が
低下する。その値に限定される。なお上記の
Tiの一部をAlで置換することができる。 (8) ニオブ(Nb) NbもTi,Alと同様析出硬化を起させるため
に添加されるが、それに加えて結晶粒微細化の
効果も大きく、適量のNbの添加は強度に靱性
の向上に有効である。ただし、2.0以上の添加
はTi,Alと同様靱性を低下させるので2.0%を
限度とする。 (9) 窒素(N) Nは析出効果を起させるTi,Al,Nbとの親
和力が大きいので、Ti,Al,Nbの添加効果を
減少させる。N含有量が高すぎるとTiNの大
きな介在物を多量に形成し、靱性を低下させ
る。これらの事情を考慮してN含有量は0.03%
以下と限定される。 (10) 銅(Cu) 本発明鋼の場合、強度、靱性の観点からは
Cuの析出硬化作用を特に重要視しなくても、
満足な強度と靱性を達成することができる。し
かし亜硫酸ガス系の腐食環境における耐食性改
善効果が大きいのでCuを添加する。その効果
はおよそ0.3%前後から現れる。しかし多量に
添加すると赤熱脆化が起つて熱間加工性を劣化
させ、表面にひび割れ発生させるので2.5%を
上限とする。 (11) H値 H=Si×(Ti+0.8Nb+Al) で定義されるHの値が1.0以上と限定されるが
これは本発明者によつて実験的に決定されたも
ので、この値が1.0未満では本願発明の特徴と
する高強度と、その短時間の時効処理による達
成の効果が得られない。 本発明の鋼は、溶体化処理状態または50%以下
の冷間加工状態で組織が実質的にマルテンサイト
組織である。従来、高強度を得るためには480℃
前後の温度で約1時間バツチ式で時効処理を施す
ことが必要であつたが、本発明の鋼は500〜650℃
での連続的な短時間時効処理で高強度が得られ
る。 次に実施例によつて本願発明を具体的に説明す
る。 供試鋼の成分を第1表に示す。これらの鋼は常
化が促進され、時効処理時間を短縮できる靱性に
優れたマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼
材の製造方法に関する。従来、ばね材料等の高強
度ステレス鋼の代表的なものとしては次の2種が
挙げられる。 (a) SUS301鋼に代表される加工硬化型ステンレ
ス鋼。 (b) 17−7PH鋼に代表される析出硬化型ステン
レス鋼。 これらのばね用ステンレス鋼は、硬さを高くし
ようとすれば高度の冷間加工を必要とし、しかも
冷間加工状態での硬さが高く、成形加工性、打抜
き性が劣ることになり、また成形加工性、打抜き
性をよくしようとすれば、時効硬化後の硬さが不
十分であるという相反した制約を受けるし、さら
に製造困難な割に得られた加工製品の硬さが十分
でなかつた。 この様な状況のもとに、本発明者らは先に高強
度のばね製品用に前記SUS301鋼や17−7PH鋼よ
りも成形加工性や製造性が改良された、溶体化処
理状態か軽度の加工状態でマルテンサイト組織を
呈するばね用ステンレス鋼を開発し、これを「析
出硬化型ばね用ステンレス鋼」として、特開昭56
−130459号(特願昭55−341385号)に開示した。
以下これを先願鋼という。 先願鋼は、 C:0.03%を超え0.08%以下 N:0.03%以下 Si:0.3−2.5% Mn:4.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:12.0〜17.0% Cu:0.1〜2.5% Ti:0.2〜1.0% Al:1.0%以下 残部Feおよび不可避的不純物 からなり、かつ溶体化処理状態または50%以下の
冷間加工を施した状態で実質的にマルテンサイト
組織を有し、その後約480℃前後でバツチ式で時
効処理することにより、高強度が得られることを
特徴とするものであつた。 本発明者らは、この系統のばね用鋼についてさ
らに研究を重ね、Siを1.0%以上添加した鋼は高
温で時効処理すると短時間で高強度が得られるこ
とを見出した。Si無添加の鋼でも、高温で時効処
理すると、硬さが最高になる時間は短くなるが、
あまり顕著ではなく、そのピーク硬さも高くな
い。このために、高強度を得るためには高度の加
工を加える必要があつた。これに対して、Siを添
加した場合には、溶体化処理状態で冷間加工を施
さないで時効処理を施しても短時間での硬化が著
しかつた。 その要因を調査した結果、Siを添加することに
より、Ni,Ti(あるいはNbもしくはAl)とSiよ
りなる金属間化合物が微細でかつマトリツクスに
対して整合に析出していた。即ち、析出物がマト
リツクスに対して整合であるために容易に短時間
で析出し、かつ整合歪を伴なうので高強度を呈す
ることがわかつた。 このような知見に基づいて本発明者らは本願の
鋼を開発した。即ち、本発明によれば、 重量で C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼、さらに Cu:0.3〜2.5%を含有する鋼、 および C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% Nb:0.1〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼、さらにCu:0.3〜2.5%を含有する鋼であつ
て、 Si,Ti,Al,Nbが次式 H=Si×(Ti+Al+0.8Nb) であらわされるHの値が1.0以上になるように調
整された鋼を、500℃〜650℃で0.2〜10分の短時
間、時効処理を施すことからなるHv500以上の硬
さを有する優れたマルテンサイト系析出硬化型ス
テンレス鋼材の製造方法が提供される。 さらに本発明によれば、上記の組成に加えてさ
らにCuを0.3−2.5%含有する同様の鋼が提供され
る。 本願発明における組成限定の理由は次のとおり
である。 (1) 炭素(C) Cの量が増大すると、焼き入れマルテンサイ
ト相が固くなり、冷間加工変形能が低下し、満
足な成形加工性が得られず、またCを固定する
TiNb量を増加させねばならず不経済となる。
これらの点を考慮すると、Cの含有量は0.08%
以下となる。 (2) けい素(Si) Siは短時間時効処理で高強度を得るために必
要な元素で、Ni,Ti,Nb,Si等よりなる金属
間化合物の微細整合析出により硬化させるもの
で、1.0%未満では、短時間での硬化度が小さ
く、2.5%を超えて添加することが望ましい。
しかし5.0%を超えて、添加してもそれに見合
う効果はなく、またδ−フエライトの生成を助
長する。このような理由により、Si量は1.0〜
5.0%に限定される。 (3) マンガン(Mn) Mnはδ−フエライト相生成抑制のために添
加されるが、添加量が多くなると残留オーステ
ナイト相の生成が多くなる。この点を調和を考
慮してMn量は1.0%以下と限定される。なお
MnはNiと同様にδ−フエライト相生成抑制効
果を有するのでNiの一部を置換できる。 (4) ニツケル(Ni) Niは析出硬化現象を起させ、δ−フエライ
ト相の生成を抑制する。しかし、添加量を多く
すると残留オーステナイト相の量が増加する。
本発明の場合、析出硬化を低下させないため
に、最低5.0%必要であり、残留オーステナイ
ト相の量を増加させないために9.0以下にする
必要がある。 (5) クロム(Cr) 一般的に耐食性を得るためには、少なくとも
10.0%以上必要である。しかし添加量を多くす
るとδ−フエライト相の量が増加するので上限
は17.0%に限定される。 (6) チタン(Ti) Tiは析出硬化を起させるために添加される
が、2.0%を超えると、靱性が著しく低下する
のでその値に限定される。 (7) アルミニウム(Al) アルミニウムはTi同様析出硬化を起させる
ために添加されるが、その効果を得るためには
少なくとも0.01%必要である。一方2.0%を超
えて添加されると、Tiの場合と同様に靱性が
低下する。その値に限定される。なお上記の
Tiの一部をAlで置換することができる。 (8) ニオブ(Nb) NbもTi,Alと同様析出硬化を起させるため
に添加されるが、それに加えて結晶粒微細化の
効果も大きく、適量のNbの添加は強度に靱性
の向上に有効である。ただし、2.0以上の添加
はTi,Alと同様靱性を低下させるので2.0%を
限度とする。 (9) 窒素(N) Nは析出効果を起させるTi,Al,Nbとの親
和力が大きいので、Ti,Al,Nbの添加効果を
減少させる。N含有量が高すぎるとTiNの大
きな介在物を多量に形成し、靱性を低下させ
る。これらの事情を考慮してN含有量は0.03%
以下と限定される。 (10) 銅(Cu) 本発明鋼の場合、強度、靱性の観点からは
Cuの析出硬化作用を特に重要視しなくても、
満足な強度と靱性を達成することができる。し
かし亜硫酸ガス系の腐食環境における耐食性改
善効果が大きいのでCuを添加する。その効果
はおよそ0.3%前後から現れる。しかし多量に
添加すると赤熱脆化が起つて熱間加工性を劣化
させ、表面にひび割れ発生させるので2.5%を
上限とする。 (11) H値 H=Si×(Ti+0.8Nb+Al) で定義されるHの値が1.0以上と限定されるが
これは本発明者によつて実験的に決定されたも
ので、この値が1.0未満では本願発明の特徴と
する高強度と、その短時間の時効処理による達
成の効果が得られない。 本発明の鋼は、溶体化処理状態または50%以下
の冷間加工状態で組織が実質的にマルテンサイト
組織である。従来、高強度を得るためには480℃
前後の温度で約1時間バツチ式で時効処理を施す
ことが必要であつたが、本発明の鋼は500〜650℃
での連続的な短時間時効処理で高強度が得られ
る。 次に実施例によつて本願発明を具体的に説明す
る。 供試鋼の成分を第1表に示す。これらの鋼は常
【表】
法によつて溶製加工され厚さ1mmの試片に作成さ
れ、種々の状態でビツカーズ硬度を測定した。切
欠試験には両側切欠のKα=5の試験片を使用し
た。No.1〜6は本発明鋼であり、No.7〜10は比較
鋼である。そのうちNo.9は組成は本発明鋼と同じ
であるが、Hの値が本発明の条件を満足しないも
のである。 これらの試験結果は第1〜4図にまとめて示し
た。 第1図は析出硬化元素の添加量と時効硬さの関
係を示したもので、横軸に主硬化元素であるTi
とAlとNbの添加量を取つた。Nbは硬化に対す
る寄与がTi,Alに比べて小さいので、それに見
合う係数0.8をかけた。縦軸は550℃で5分間時効
後の硬さを示す。図中、黒ぬり記号で示した比較
鋼では十分な時効硬さが得られず、いずれも
500Hv未満となつている。一方、白ぬり信号で示
した本発明鋼では、5分間の短時間時効処理であ
るにもかかわらず、高硬度となつている。 第1図において、Hv500以上が得られるSiある
いはTi+0.8Nb+Alの範囲を示すと、第2図で実
線で包囲した部分に相当する。これは特許請求の
範囲に限定された成分とHの値を満足する範囲で
ある。 第3図は表1に示した本発明鋼のNo.2,No.3と
比較鋼No.8を種々の温度で時効した時に硬さが
Hv500に到達するまでの時間と時効温度との関係
を示したものである。No.8も525℃以下の温度で
時効した場合はHv500に到達するが、その時間は
100分以上かかり、バツチ式の処理を必要とする。
また550℃以上の温度ではHv500に到達する以前
に過時効となる。一方、本発明鋼No.2,No.3は
500〜650℃の範囲で時効にすれば、10分以内の短
時間で高強度となる。ただし、650℃を超える温
度で時効すると短時間で析出物が粗大化したり、
逆変態オーステナイトが生成するため十分な強度
が得られない。 第4図は本発明鋼No.2,No.3と比較鋼No.8とを
時効処理(時効温度を550℃一定とし、時効時間
を変化させた)した際に得られた硬さと切欠強度
比(切欠強さ/引張り強さ)との関係を示したも
のである。切欠強度は靱性の指標の1種であり、
1.0を超える材料は高靱性と考えられる。 以上延べたように、本発明の鋼はSiを多量に添
加することにより、短時間で時効硬化を起すこと
ができ、かつ高強度、高靱性が得られることを特
徴とする。それ故、従来行なわれてきたバツチ炉
による熱処理でなく、焼鈍ライン内における連続
的な熱処理が可能となり生産性が著しく向上す
る。
れ、種々の状態でビツカーズ硬度を測定した。切
欠試験には両側切欠のKα=5の試験片を使用し
た。No.1〜6は本発明鋼であり、No.7〜10は比較
鋼である。そのうちNo.9は組成は本発明鋼と同じ
であるが、Hの値が本発明の条件を満足しないも
のである。 これらの試験結果は第1〜4図にまとめて示し
た。 第1図は析出硬化元素の添加量と時効硬さの関
係を示したもので、横軸に主硬化元素であるTi
とAlとNbの添加量を取つた。Nbは硬化に対す
る寄与がTi,Alに比べて小さいので、それに見
合う係数0.8をかけた。縦軸は550℃で5分間時効
後の硬さを示す。図中、黒ぬり記号で示した比較
鋼では十分な時効硬さが得られず、いずれも
500Hv未満となつている。一方、白ぬり信号で示
した本発明鋼では、5分間の短時間時効処理であ
るにもかかわらず、高硬度となつている。 第1図において、Hv500以上が得られるSiある
いはTi+0.8Nb+Alの範囲を示すと、第2図で実
線で包囲した部分に相当する。これは特許請求の
範囲に限定された成分とHの値を満足する範囲で
ある。 第3図は表1に示した本発明鋼のNo.2,No.3と
比較鋼No.8を種々の温度で時効した時に硬さが
Hv500に到達するまでの時間と時効温度との関係
を示したものである。No.8も525℃以下の温度で
時効した場合はHv500に到達するが、その時間は
100分以上かかり、バツチ式の処理を必要とする。
また550℃以上の温度ではHv500に到達する以前
に過時効となる。一方、本発明鋼No.2,No.3は
500〜650℃の範囲で時効にすれば、10分以内の短
時間で高強度となる。ただし、650℃を超える温
度で時効すると短時間で析出物が粗大化したり、
逆変態オーステナイトが生成するため十分な強度
が得られない。 第4図は本発明鋼No.2,No.3と比較鋼No.8とを
時効処理(時効温度を550℃一定とし、時効時間
を変化させた)した際に得られた硬さと切欠強度
比(切欠強さ/引張り強さ)との関係を示したも
のである。切欠強度は靱性の指標の1種であり、
1.0を超える材料は高靱性と考えられる。 以上延べたように、本発明の鋼はSiを多量に添
加することにより、短時間で時効硬化を起すこと
ができ、かつ高強度、高靱性が得られることを特
徴とする。それ故、従来行なわれてきたバツチ炉
による熱処理でなく、焼鈍ライン内における連続
的な熱処理が可能となり生産性が著しく向上す
る。
第1図は本発明鋼と比較鋼を550℃で5分間時
効した際の析出硬化元素の量と時効後の硬さの関
係を示すグラフである。第2図は本発明鋼と比較
鋼のSi量と、Ti+0.8Nb+Al量をプロツトしたも
ので、実線で包囲した部分がSi,Ti,Nb,Alに
関する特許請求の範囲に限定された範囲である。
第3図は本発明鋼と比較鋼を種々の温度で時効し
た時に硬さがHv500に到達するまでの時間と時効
温度の関係を示すめすグラフである。第4図は本
発明鋼と比較鋼とを550℃で種々の時間時効処理
を施した際の硬さと切欠強度比(切欠強さ/引張
り強さ)の関係を示すグラフである。
効した際の析出硬化元素の量と時効後の硬さの関
係を示すグラフである。第2図は本発明鋼と比較
鋼のSi量と、Ti+0.8Nb+Al量をプロツトしたも
ので、実線で包囲した部分がSi,Ti,Nb,Alに
関する特許請求の範囲に限定された範囲である。
第3図は本発明鋼と比較鋼を種々の温度で時効し
た時に硬さがHv500に到達するまでの時間と時効
温度の関係を示すめすグラフである。第4図は本
発明鋼と比較鋼とを550℃で種々の時間時効処理
を施した際の硬さと切欠強度比(切欠強さ/引張
り強さ)の関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量で C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、かつSi,Ti,Alが次式 H=Si×(Ti+Al) であらわされるHの値が1.0以上になるように調
整された組成の鋼を、500℃〜650℃で0.2〜10分
の短時間、時効処理を施すことからなるHv500以
上の硬さを有する優れたマルテンサイト系析出硬
化型ステンレス鋼材の製造方法。 2 重量で C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% Nb:0.1〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、かつSi,Ti,Al,Nbが次式 H=Si×(Ti+Al+0.8Nb) であらわされるHの値が1.0以上になるように調
整された鋼を、500℃〜650℃で0.2〜10分の短時
間、時効処理を施すことからなるHv500以上の硬
さを有する優れたマルテンサイト系析出硬化型ス
テンレス鋼材の製造方法。 3 重量で C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Cu:0.3〜2.5% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、かつSi,Ti,Alが次式 H=Si×(Ti+Al) であらわされるHの値が1.0以上になるように調
整された組成の鋼を、500℃〜650℃で0.2〜10分
の短時間、時効処理を施すことからなるHv500以
上の硬さを有する優れたマルテンサイト系析出硬
化型ステンレス鋼材の製造方法。 4 重量で C:0.08%以下 N:0.03%以下 Si:1.0〜5.0% Mn:1.0%以下 Ni:5.0〜9.0% Cr:10.0〜17.0% Cu:0.3〜2.5% Ti:0.1〜2.0% Al:0.01〜2.0% Nb:0.1〜2.0% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、かつSi,Ti,Al,Nbが次式 H=Si×(Ti+Al+0.8Nb) であらわされるHの値が1.0以上になるように調
整された鋼を、500℃〜650℃で0.2〜10分の短時
間、時効処理を施すことからなるHv500以上の硬
さを有する優れたマルテンサイト系析出硬化型ス
テンレス鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP856484A JPS60152660A (ja) | 1984-01-23 | 1984-01-23 | 高硬度マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP856484A JPS60152660A (ja) | 1984-01-23 | 1984-01-23 | 高硬度マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60152660A JPS60152660A (ja) | 1985-08-10 |
JPH045726B2 true JPH045726B2 (ja) | 1992-02-03 |
Family
ID=11696566
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP856484A Granted JPS60152660A (ja) | 1984-01-23 | 1984-01-23 | 高硬度マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60152660A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0674251B2 (ja) * | 1986-02-07 | 1994-09-21 | 全薬工業株式▲会▼社 | ビス−ジオキソピペラジン誘導体 |
JPH0436441A (ja) * | 1990-05-31 | 1992-02-06 | Nkk Corp | 高強度・高靭性ステンレス鋼およびその製造方法 |
US7513960B2 (en) | 2005-03-10 | 2009-04-07 | Hitachi Metals, Ltd. | Stainless steel having a high hardness and excellent mirror-finished surface property, and method of producing the same |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51141710A (en) * | 1975-06-02 | 1976-12-06 | Nisshin Steel Co Ltd | Stainless steel for spring having good forming property after cold wor king and high hardness after aging |
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JPS5357115A (en) * | 1976-11-04 | 1978-05-24 | Nisshin Steel Co Ltd | Method for making stainless steel for springs excellent in forming workability* toughness and age hardening ability |
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JPS56127755A (en) * | 1980-03-11 | 1981-10-06 | Hitachi Metals Ltd | High corrosion resistant ultra high strength steel |
JPS56130459A (en) * | 1980-03-19 | 1981-10-13 | Nisshin Steel Co Ltd | Stainless steel for precipitation hardening spring |
JPS5871363A (ja) * | 1981-10-22 | 1983-04-28 | Isao Tomizawa | ステンレス鋼を用いた引抜管 |
-
1984
- 1984-01-23 JP JP856484A patent/JPS60152660A/ja active Granted
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60152660A (ja) | 1985-08-10 |
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