JPH0457192B2 - - Google Patents

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JPH0457192B2
JPH0457192B2 JP61300702A JP30070286A JPH0457192B2 JP H0457192 B2 JPH0457192 B2 JP H0457192B2 JP 61300702 A JP61300702 A JP 61300702A JP 30070286 A JP30070286 A JP 30070286A JP H0457192 B2 JPH0457192 B2 JP H0457192B2
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JP
Japan
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polyethylene terephthalate
acrylic resin
film
weight
monomer
Prior art date
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Application number
JP61300702A
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English (en)
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JPS63153134A (ja
Inventor
Juji Takeda
Motohiro Moriwaki
Atsushi Oohayashi
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Mitsubishi Kasei Vinyl Co
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Vinyl Co
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Kasei Vinyl Co filed Critical Mitsubishi Kasei Vinyl Co
Priority to JP61300702A priority Critical patent/JPS63153134A/ja
Publication of JPS63153134A publication Critical patent/JPS63153134A/ja
Publication of JPH0457192B2 publication Critical patent/JPH0457192B2/ja
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、農業用ポリエチレンテレフタレート
フイルムに関するものである。更に詳しくは、優
れた機械的強度と、優れた耐候(光)性と、優れ
た防曇性を有する農業用ポリエチレンテレフタレ
ートフイルムに関するものである。 (従来の技術及びその問題点) 一般に、ポリエチレンテレフタレートフイルム
は、高い結晶性、高い融点を示し、優れた耐熱
性、耐薬品性を有し、更に強度、弾性率等の機械
的性質においても、優れた性質を示すことが知ら
れている。このため、ポリエチレンテレフタレー
トフイルムは、磁気テープ用をはじめ、写真用、
電気用、メタライズ用、包装用および農業用等と
して、広く使用されている。しかし、ポリエチレ
ンテレフタレートフイルムは、表面が疎水性であ
るために、これを農業用ハウス(温室)の被覆材
として使用すると、ハウス内の温度、湿度等の条
件によつては、フイルムのハウス内側表面に曇り
を生ずる。この曇りは、フイルムを透過する光線
の量を少なくし、植物の生育を遅くしたり、水滴
が栽培植物に落下することにより、幼芽が害をう
けたり、病害の発生の原因となつたり、ハウス内
の作業者に不快感を与えるなど、種々の不都合を
生ずる。 このような不都合を解消するには、フイルム表
面に防曇性を附与すればよいことが知られてい
る。フイルム表面に防曇性を附与するには、界面
活性剤のような親水性物質を練り込んでフイルム
化する方法、またはフイルム表面に親水性物質も
しくは、水溶性高分子物質を塗布する方法等が知
られている。しかし、前者の方法はポリエチレン
テレフタレートのような硬質の樹脂では効果が小
さく、後者の方法で防曇性を附与する試みがされ
ている。 例えば特公昭46−13252号公報、特開昭49−
70885号公報、特開昭50−71770号公報にはポリビ
ニルアルコールなどの水可溶性親水性物質を塗布
する方法、更に特公昭50−6437号公報、特公昭53
−37075号公報にはアクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステルを主成分とする親水性ポリマーと界面
活性剤等からなる組成物を塗布する方法が提案さ
れている。 しかしながら、これら親水性物質は加水分解を
受けやすいので耐水性に乏しく、また疎水性のポ
リエチレンテレフタレートフイルムとの密着性に
劣るため、特に多湿条件下ではこれら親水性物質
に由来する塗膜は、樹脂フイルム表面から剥離し
やすく、防曇性能を充分発揮し得ない。 これらの欠点を改良するために、例えば特公昭
56−34219号公報には、ヒドロキシ基を含有する
親水性アクリル酸エステル系重合体を架橋剤にて
水不溶化する方法が提案されている。しかしなが
ら、この方法によると防曇性そのものも同時に低
下するので、満足すべき改良法とはいえない。 一方、親水性を附与するものとして、無機質水
性ゾルと界面活性剤の混合物を塗布する方法が提
案されている。例えば特公昭50−11348号公報に
は、界面活性剤を主体とし、これに少量のシリカ
ゾルを加えたもの、特公昭49−32668号公報には、
アルミナゾルに界面活性剤を加えたもの、特開昭
58−29831号公報には、コロイド状シリカに少量
の水溶性アルミニウム塩を加えたもの等が開示さ
れている。しかし、これら混合物は有機質である
ポリエチレンテレフタレートとの密着性に乏しい
ために、形成塗膜は時間の経過とともに脱落し
て、長期にわたる防曇効果を持続することができ
ないという欠点がある。 上記欠点を改良するために、例えば特開昭51−
81877号公報には、アルミナゾルに界面活性剤と
親水性ポリマーを加えたもの、特開昭57−119974
号公報、特開昭57−187347号公報、特開昭59−
15473号公報には、コロイド状シリカに親水性ポ
リマーと界面活性剤を加えたものが開示されてい
る。しかしながら、これら組成物には無機質水性
ゾルとの混和性をだす目的からポリビニルアルコ
ールや水酸基含有アクリル系樹脂等の親水性ポリ
マーが配合されているため、形成塗膜は本質的に
耐水性に劣る傾向がある。したがつて、多湿条件
下に常時さらされると、無機質水性ゾルが親水性
ポリマーと共に流失したり分散不良を起こし、短
時間で防曇性の効力が損われ、実用的に満足でき
るものではない。 さらに上記欠点を改良するために、例えば特開
昭55−99976号公報、特開昭55−99987号公報に
は、シリカ/親水性ポリマー/有機ケイ素化合物
からなる無機−有機複合体反応物による防曇性附
与の方法が提案されている。しかし、これらの方
法も耐水性が充分でなく、また防曇性能も満足す
るまでに至つておらず、充分に所期の目的を達成
することができない。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、かかる背景下にあつて、ハウス
被覆用等として長期間使用しても機械的強度が低
下せず、優れた耐候(光)性を示し、かつ、優れ
た防曇性が長期間持続される農業用ポリエチレン
テレフタレートフイルムを提供すべく、鋭意検討
した結果、本発明を完成するに至つたものであ
る。しかして本発明の要旨とするところは、二軸
方向に延伸されたポリエチレンテレフタレートフ
イルムの片面に、紫外線吸収剤が配合されてなる
厚み1〜10ミクロンのアクリル系樹脂の皮膜を形
成し、他方の面にアクリル酸又はメタクリル酸の
アルキルエステル単量体又はそれらとアルケニル
ベンゼンとの混合単量体60〜100重量%及び上記
単量体と共重合し得るその他のα,β−エチレン
性不飽和単量体0〜40重量%を乳化重合させて得
られるガラス転移温度が35〜80℃の範囲にある疎
水性アクリル系樹脂の水系エマルジヨン、及び無
機質コロイドゾルを主成分とする防曇剤組成物を
塗布してなる農業用ポリエチレンテレフタレート
フイルムにある。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明にいうポリエチレンテレフタレートと
は、共重合されていないポリエチレンテレフタレ
ート・ホモポリマーのみならず、繰り返し単位の
数の85%以上がポリエチレンテレフタレート単位
よりなり、残りが他の成分であるような共重合ポ
リエチレンテレフタレートや、ポリエチレンテレ
フタレート85重量%以上であり、残りの15重量%
以下が、他の重合体であるポリマーブレンド物を
含む。ブレンドできる他の重合体としては、ポリ
アミド類、ポリオレフイン類、他種のポリエステ
ル類があげられる。このポリエチレンテレフタレ
ートには、必要に応じ、滑剤、着色剤、安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合することがで
きる。 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレー
トフイルムは二軸に延伸されたものである。二軸
延伸フイルムを製造する方法は、特に限定される
ものではなく、例えば逐次に、又は同時に縦横二
軸に延伸する、公知の方法を採用すればよい。 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレー
トは、二軸方向に、夫々2.0〜5.0倍延伸されたも
のが好ましい。延伸倍率が2.0倍未満であると、
製品の強度が充分のものとならないので好ましく
なく、5.0倍を越えたものでは、製品の強度は充
分なものとなるが、製造作業が困難となるので好
ましくない。延伸倍率は二軸方向とも、夫々2.5
〜4.0倍の範囲が特に好ましい。 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレー
トは、厚みが0.01〜0.3mmのものがよい。厚みが
0.01mm以下であると製品の強度が充分なものとな
らないので好ましくなく、0.3mm以上ではフイル
ムが硬くなり、取り扱い難くなるので、好ましく
ない。 本発明に係る農業用ホリエチレンテレフタレー
トフイルムは、その片面に、紫外線吸収剤が配合
されてなるアクリル系樹脂の皮膜が形成されてな
る。 本発明においてアクリル系樹脂とは、架橋アク
リル酸エステル系弾性体の存在下に、メタクリル
酸アルキルエステル単量体、又はメタクリル酸ア
ルキルエステルを主成分とし、これと共重合可能
なビニル化合物単量体との混合物を重合して得ら
れるグラフト共重合体であつて、前記架橋アクリ
ル酸エステル系弾性体を5〜80重量%含むものが
好ましい。 アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキ
ル基の炭素数が1〜8のものが好ましく、直鎖状
でも分岐鎖状のいずれでもよい。その具体的例と
しては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル
等があげられ、これらは混合して使用することも
できる。 これらアクリル酸アルキルエステル共重合可能
なビニル化合物単量体としては、メタクリル酸お
よびメタクリル酸のアルキルエステル(アルキル
基の炭素数1〜12)、イタコン酸のジアルキルエ
ステル(アルキル基の炭素数1〜10)、アクリル
ロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、スチレン、核アルキル置換スチ
レン、α−メチルスチレン等があげられる。これ
ら単量体は、40重量%以下、好ましくは25重量%
以下とするのがよい。 架橋性単量体としては、通常多官能性化合物と
して使用されているものでよく、具体例として
は、エチレングリコールジメタクリレート、1,
3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,
4−ブチレングルコールジメタクリレート、プロ
ピレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、テトラメチロ
ールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレン
グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルアジペート、ジアリルフタレート、
ジアリルマレート、アリルアクリレート、アリル
メタクリレート、トリアリルシアヌレート等があ
げられ、これらは2種以上を併用してもよい。 架橋アクリル酸エステル系弾性体は、乳化重合
法によつて製造するのがよい。 この際使用できる重合開始剤は、通常の遊離基
発生開始剤である。具体例をあげると、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;
キユメンハイドロパーオキサイド、p−メンタン
ハイドロパーオキサイド、ジターシヤリーブチル
ハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオ
キサイド;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、キユメンパーオキサイド等の
有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリルの
ようなアゾ系の開始剤をあげることができる。 更に、これらと亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸
ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホ
ルムアルデヒドスルフオキシレート、グルコー
ス、ホリアミン、アスコルビン酸ヒドロキシアセ
トン等の還元剤を組み合せた、通常のレドツクス
系開始剤も使用しうる。 使用できる乳化剤は、通常の乳化重合用の界面
活性剤をあげることができる。例えば、炭素数が
8〜20個のアルキル硫酸のナトリウム、カリウ
ム、アンモニウム塩およびラウリン酸、ステアリ
ン酸、パルミチン酸等の脂肪族カルボン酸のナト
リウム、カリウム塩等の陰イオン界面活性剤や、
アルキルフエノール類、脂肪族アルコール類およ
びポリプロピレンオキサイド類とエチレンオキサ
イドとの反応生成物等の非イオン界面活性剤があ
げられる。また、場合によつては、これら界面活
性剤を2種以上併用することもできる。更に、ナ
フタレンホルムアルデヒト縮合スルフオン酸塩等
の界面活性剤を添加することもできる。更に、要
すれば、アルキルアミン塩酸塩等の陽イオン界面
活性剤を使用することもできる。 乳化重合法によつて架橋アクリル酸エステル系
弾性体を製造するには、次の方法があげられる。 (1) アクリル酸アルキルエステル単量体、又はア
クリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能
なビニル化合物単量体の混合物に、少量の架橋
性単量体を加えて、乳化重合法によつて製造す
る方法。 (2) (1)の方法で得た重合体エマルジヨンに、更に
アクリル酸アルキルエステル単量体、又はアク
リル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な
ビニル化合物単量体混合物を加え、乳化重合法
によつて製造する方法。 (3) (2)の方法において、単量体又は単量体混合物
に、少量の架橋剤を加え、乳化重合法によつて
製造する方法。 (4) まず、アクリル酸アルキルエステル単量体又
はアクリル酸アルキルエステルとこれと共重合
可能なビニル化合物単量体の混合物より乳化重
合法によつて、未架橋弾性体を製造する。次い
で、この重合系に更にアクリル酸アルキルエス
テル単量体、又はアクリル酸アルキルエステル
とこれと共重合可能なビニル化合物単量体の混
合物、および少量の架橋性単量体を加えて、乳
化重合法によつて製造する方法。 (5) (1)〜(4)の方法で得た重合体エマルジヨンの一
種に、更にアクリル酸アルキルエステル単量
体、又はアクリル酸アルキルエステル共重合可
能なビニル化合物単量体を加え、架橋性単量体
を加えず又は少量加えて、乳化重合法によつて
製造する方法。 架橋アクリル酸エステル系弾性体は、前記界面
活性剤の使用量や、使用する水性媒体の量を加減
することによつて、架橋弾性体エマルジヨン粒子
の平均粒子径を調整し、0.05〜0.30ミクロンの範
囲とすることが好ましい。0.05ミクロン以下で
は、皮膜として使用されるアクリル系樹脂の機械
的強度が低下し、0.30ミクロンを超えると、応力
白化が著しくなり好ましくない。 架橋アクリル酸エステル系弾性体は、上のどの
ような方法で製造したものであつても、次の方法
で測定したゲル含量が80%以上で、膨潤度が15以
下のものがよい。 架橋弾性体を所定量W0採取し、室温でメチル
エチルケトンに48時間浸漬した後の膨潤した重量
W1、およびこの試料を減圧乾燥機で乾燥した後
の重量W2を測定し、次式により算出する。 ゲル含量=W2/W0×100(%) 膨潤度=W1−W2/W0 ゲル含量、膨潤度は、前述の架橋性単量体の種
類および量の調整以外に、弾性体成分を重合する
時の温度、開始剤の種類とその使用量、弾性体成
分を構成する単量体の添加方法、分子量調節剤の
有無等の重合諸条件によつて影響されるので、適
宜調節するのがよい。ゲル含量が80%に満たない
ときは、その弾性体から得られる皮膜形成用アク
リル系樹脂は、後述する有機溶媒に完全に溶解
し、又は過度に膨潤し、弾性体粒子が変形してし
まい、機械的強度、特に耐衝撃性を改善する機能
を失なうので、好ましくない。膨潤度について
も、15を越えると応力白化しやすくなり、好まし
くない。 上記架橋アクリル酸エステル系弾性体にグラフ
トさせる単量体は、メタクリル酸アルキルエステ
ル、又はメタクリル酸アルキルエステルを主成分
とし、これと共重合可能なビニル化合物単量体と
の混合物である。 グラフトさせる成分としてのメタクリル酸エス
テルは、弾性体製造の際に使用される前述の中か
ら選んでよく、これと共重合可能なビニル化合物
単量体もまた、弾性体製造の際に使用されると例
示したものの中から選んでよい。 この場合、グラフトさせる単量体成分から得ら
れる重合体又は共重合体自体のガラス転移温度
(Tg)が、50℃以上となるように単量体の種類、
組み合せを選ぶことが好ましい。Tgが50℃に満
たないときは、このグラフト重合体を含むアクリ
ル系樹脂の皮膜を形成したポリエチレンテレフタ
レートフイルムの耐ブロツキング性が悪くなる
(ブロツキングしやすい)ので、好ましくない。 グラフト重合反応は、乳化重合法によつて遂行
するのがよいが、溶液重合法によつてもよい。乳
化重合法によるときは例えば、架橋アクリル酸エ
ステル系弾性体のエマルジヨンに、グラフトさせ
る単量体を加え、必要があれば乳化剤、重合開始
剤、分子量調節剤、水等を加えて、通常の乳化重
合の条件を選んで、遂行することができる。 グラフト重合反応を遂行する際の架橋弾性体
と、グラフトさせる単量体との割合は、架橋弾性
体エマルジヨンを重合体固形分として10〜90重量
部、グラフトさせる単量体90〜10重量部の範囲か
ら選ぶのがよい。 グラフト重合体はそのまま、またはグラフト重
合体と相溶性があり、Tgが50℃以上で透明な硬
質熱可塑性樹脂をブレンドして、皮膜形成用アク
リル系樹脂として使用することができる。後者に
おいて、ブレンドするに当つては、アクリル系樹
脂に含まれる架橋弾性体の割合を5〜80重量%、
好ましくは10〜50重量%の範囲とするのがよい。
架橋弾性体の割合が5重量%に満たないときは、
機械的強度が劣り、80重量%を超えるときは、こ
れを皮膜として有するフイルムの耐ブロツキング
性が悪くなり、好ましくない。 上記アクリル系樹脂には、紫外線吸収剤を配合
して、基体フイルムの片面に皮膜を形成する。 これらアクリル系樹脂に配合される紫外線吸収
剤の種類は、従来公知の紫外線吸収剤、例えばサ
リチル酸系化合物、シアノアクリレート系化合
物、ベンゾフエノン系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物等があげられる。これらの中で、アク
リル系樹脂への溶解性、ポリエチレンテレフタレ
ートフイルムに塗布して農業用として使用する際
の耐候性等の観点から評価すると、ベンゾフエノ
ン系化合物の中の2,4−ジヒドロキシベンゾフ
エノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
エノン、2,2′−シヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフエノンが好ましく、ベンゾトリアゾール系
化合物の中の2−(2′−ヒドロキシ−5′−ターシ
ヤリーブチルフエニル)ベンゾトリアゾールが特
に好ましい。これは1種の使用でも、2種以上の
併用であつてもよい。 前記アクリル系樹脂に配合される紫外線吸収剤
の量は、余り少なすぎると本発明の目的が達成さ
れないし、余り多すぎるとブリード・アウトの問
題がある。好ましい配合量は、アクリル系樹脂
100重量部に対して、10〜25重量部の範囲である。 これら紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂
の皮膜の厚さは、余り薄すぎると本発明の目的が
達成されないので好ましくなく、余り厚すぎると
皮膜が剥離し易いという問題が生ずる。皮膜の厚
さは、1〜10μの範囲が好ましく、特に1〜5μの
範囲が好適である。 アクリル系樹脂に配合される紫外線吸収剤の
量、ポリエチレンテレフタレートの片面に形成さ
れる皮膜の厚さは、種々変更しうるが、フイルム
一定面積当りの紫外線吸収剤の量を150〜1000
mg/m2の範囲とすると特に好ましい。 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレー
トフイルムの片面に紫外線吸収剤が配合されたア
クリル系樹脂の皮膜を形成するには、まず、二軸
に延伸したポリエチレンテレフタレートを製造す
る。次いで、この二軸に延伸されたポリエチレン
テレフタレートフイルムの片面に、メチルエチル
ケトンのようなケトン類、ベンゼン、トルエン、
キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸メチ
ル、酢酸エチル等の酢酸エステル類などの1種又
は2種以上を混合した有機溶媒に、アクリル系樹
脂、紫外線吸収剤を溶解した溶液を塗布し、有機
溶媒を揮散させて、紫外線吸収剤入りアクリル系
樹脂皮膜を形成させる。塗布方法は、通常行われ
ているグラフビアコーテイング法、リバースコー
テイング法、スプレー法などが好適である。 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレー
トフイルムは、紫外線吸収剤が配合されたアクリ
ル系樹脂の皮膜を塗布した片面のもう一方の片面
に、疎水性アクリル系樹脂及び無機質コロイドゾ
ルを主成分とする防曇剤組成物を塗布してなる。 本発明において用いられる防曇剤組成物の構成
成分である疎水性アクリル系樹脂とは、60〜100
重量%のアクリル酸の或いはメタクリル酸のアル
キルエステル類[以下、これを(メタ)アクリル
酸アルキルエステル類と略記する。]、又は(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル類及びアルケニ
ルベンゼン類よりなる混合単量体と、0〜40重量
%の上記単量体と共重合しうるα,β−エチレン
性不飽和単量体とを界面活性剤の存在下に、水系
媒質中で乳化重合させて得られる共重合体であ
る。 本発明で用いる上記(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル類としては、例えばアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−
ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アク
リル酸デシル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタク
リル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチ
ル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタク
リル酸デシル等が挙げられ、一般にはアルキル基
の炭素数が1〜20個のアクリル酸アルキルエステ
ル及び/又はアルキル基の炭素数が1〜20個のメ
タクリル酸アルキルエステルが使用される。 本発明で用いるアルケニルベンゼン類として
は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン等が挙げられる。 このようなアルケニルベンゼン類と、(メタ)
アクリル酸アルキルエステル類との混合物からな
る単量体を用いる場合には、そのほかに加える
α,β−エチレン性不飽和単量体の使用量によつ
ても異なるが、通常、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル類の使用割合を10重量%以上するのが
よい。 そして疎水性アクリル系樹脂は、その中に、ア
ルケニルベンゼン類を70重量%以下の範囲で含有
されているものが望ましい。 本発明の防曇剤組成物の主成分である疎水性ア
クリル系樹脂は上記のような(メタ)アクリル酸
アルキルエステル類又は(メタ)アクリル酸アル
キルエステル類とアルケニルベンゼン類の混合物
からなる単量体が、重合すべき全単量体中、少な
くとも計60重量%含有するものであつて60重量%
に満たないときは、形成塗膜の耐水性が充分でな
く、防曇持続性能を発揮し得ない。 本発明で用いる上記(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル類又は(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル類及びアルケニルベンゼン類よりなる混合
単量体と共重合しうるその他のα,βエチレン性
不飽和単量体とは、例えばアクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、
クロトン酸、イタコン酸等のα,βエチレン性不
飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸のような
α,β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパン酸;α,β−
エチレン性不飽和ホスホン酸類;(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量
体;アクリロニトリル類;アクリルアマイド類;
(メタ)アクリル酸グリシジルエステル類等であ
る。これら単量体は、単独で用いても、又は2種
以上の併用でもよく、0〜40重量%の範囲で使用
できる。40重量%を越えると、防曇性能を低下さ
せるので好ましくない。 本発明における疎水性アクリル系樹脂を乳化重
合によつて製造する際に用いる界面活性剤として
は、下記に挙げるような陰イオン系界面活性剤、
陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤が
ある。 陰イオン系界面活性剤としは、例えばオレイン
酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸
塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アン
モニウム等の高級アルコール硫酸エステル類;ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル
ナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベ
ンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスル
ホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルホ
スフエート塩;ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキ
ルフエニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキ
シエチレンサルフエート塩等がある。 陽イオン系界面活性剤としては、例えばエタノ
ールアミン酸;ラウリルアミンアセテート、トリ
エタノールアミンモノステアレートギ酸塩、ステ
アラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン
塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ステアリトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウ
ムクロライド等の第4級アンモニウム塩等があ
る。 非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオ
キシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオ
レイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アル
コールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチル
フエノール、ポリオキシエチレンノニルフエノー
ル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエー
テル類;ポリエチレングリコールモノステアレー
ト等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポ
リプロピレングリコールエチレンオキサイド付加
物;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル類;シユガーエステル類;セルロースエー
テル類等がある。 これらは単独で用いても併用してもよいが、配
合する無機物の種類によつて制限をうける。すな
わち、水溶液中で一般に陰電荷に帯電するシリカ
ゾルと陽イオン系界面活性剤、水溶液中で一般に
陽電荷に帯電するアルミナゾルと陰イオン系界面
活性剤との組み合わせは避けるべきである。これ
らの組み合わせは、ゾルのゲル化や防曇剤組成物
の凝集・分離を起こしやすく、塗布を困難にす
る。 これら界面活性剤は、単量体との仕込み合計量
に対し、0.1〜10重量%の範囲で使用できる。10
重量%を超えると乾燥塗膜の耐水性を低下させる
ので好ましくない。 本発明の防曇剤組成物の主成分である疎水性ア
クリル系樹脂において共重合反応に用いられる重
合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、
過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アセチルパーオキ
サイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が
挙げられる。これらは、単量体の仕込み合計量に
対して0.1〜10重量%の範囲で使用される。 本発明の疎水性アクリル系樹脂を得るための重
合方法は、単量体の仕込方法が回分方式でも、連
続送入方式でもよい。また一部を先に重合したの
ち、残部を連続的に送入する方式でもよい。 連続的に送入する単量体は、そのままでもよい
が、水と界面活性剤を用いて単量体分散液として
送入する方式が、きわめて好適である。 本発明で用いられる防曇剤組成物の構成分であ
る疎水性アクリル系樹脂の水系エマルジヨンは、
上述のような乳化重合によつて得られた水系エマ
ルジヨンを、そのまゝ使用することもでき、又は
このものに更に後述のような液状分散媒を加えて
稀釈したものでもよく、また上記のような乳化重
合によつて生じた重合体を分別採取し、これを液
状分散媒に再分散させて水系エマルジヨンとした
ものでもよい。 本発明における疎水性アクリル系樹脂は、その
グラス転移温度(Tg)が35〜80℃の範囲内のも
のでなければならない。このようなTgの樹脂は、
使用する単量体の種類及び使用量(配合量)の選
択によつて得られる。しかして使用するアクリル
系樹脂のTgが80℃を超えると透明性のある均一
な塗膜が得られにくい。また35℃に満たないとき
は、無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な
分散状態をとりやすく、無機質コロイド粒子の塗
布基材に対する固着が充分でないので、時間の経
過とともに無機質コロイド粒子が基材表面から脱
落するなどして防曇性能を損ねる。 本発明で用いる防曇剤組成物の有効成分である
無機質コロイドゾルは、疎水性のポリエチレンテ
レフタレートフイルム表面に塗布することによ
り、フイルム表面に親水性を付与する機能を果た
すものである。無機質コロイドゾルとしては、例
えばシリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケ
ート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸
バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の
方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性
ゾルが挙げられる。中でも好ましいのは、シリカ
ゾルとアルミナゾルである。これらは、単独で用
いても併用してもよい。 無機質コロイドゾルとしては、その平均粒子径
が5〜100mμの範囲のものが好ましい。また平均
粒子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組み合
わせて用いてもよい。平均粒子径が100mμを超え
ると、塗膜が白く失透して好ましくない。また
5mμに満たないときは、無機質コロイドゾルの安
定性に欠けるので好ましくない。無機質コロイド
ゾルは、その配合量が固形分重量比でアクリル系
樹脂に対して0.5〜4の範囲にあるのが好ましい。
4を超えるときは、防曇効果が配合量に比例して
向上しないばかりでなく、フイルムが透明な場合
は、塗布後に形成される塗膜が白濁化し光線透過
率を低下させるので好ましくない。また塗膜が粗
雑で脆弱になり易くなる傾向がある。一方、0.5
に満たないときは、充分な防曇効果を発揮し得な
いので,好ましくない。 本発明で用いられる防曇剤組成物には、更に架
橋剤を配合すると耐水性が一層向上する。即ち、
この架橋剤によつて、アクリル系樹脂同志が架橋
し、耐水性を向上させることができる。 かゝる目的で使用される架橋剤としては、フエ
ノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、
アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネ
ート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物
類等が挙げられるが、特に、アミン化合物類、ア
ジリジン化合物類、エポキシ化合物類が好適であ
る。 アミン化合物類としては、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジ
アミン等の脂肪族ポリアミン;3,3′−ジメチル
4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソ
ホロンジアミン等の脂環式アミン;4,4′−ジア
ミンジフエニルメタン、m−フエニレンジアミン
等の芳香族アミンが用いられる。 アジリジン化合物類としては、トリス−2,
4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリ
アジン、トリメチロールプロパン−トリ−β−ア
ジリジニルプロピオネート、トリス[1−(2−
メチル)アジリジニル]ホスフインオキシド、ヘ
キサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリホ
スフアトリアジン等が使用される。 エポキシ化合物類としては、ビスフエノールA
又はビスフエノールFとエピクロルヒドリンとの
反応生成物、フエノール(又は置換フエノール)
とホルムアルデヒドとの樹脂反応生成物とエピク
ロルヒドリンの反応により形成されるエポキシ化
ノボラツク樹脂、エピクロルヒドリン及び脂肪族
多価アルコール、例えばグリセロール、1,4−
ブタンジオール、ポリ(オキシプロピレン)グリ
コール又は類似の多価アルコール成分から形成さ
れる樹脂状反応生成物及び過酢酸を用いるエポキ
シ化により得られる樹脂等が使用される。エポキ
シ化合物類では、さらに三級アミン類や四級アン
モニウム塩類を触媒として併用すると好ましい。 これら架橋剤は、その添加量がアクリル系樹脂
固形分に対して0.1〜30重量%の範囲で使用でき
る。特に、0.5〜10重量%の範囲が好ましい。 本発明で用いられる防曇剤組成物には、更に液
状分散媒を配合するのが好ましい。防曇剤組成物
に添加される液状分散媒としては、水を含む親水
性ないし水混合性溶媒が含まれ、水;メチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール等の一価アルコール類;エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価
アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アル
コール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等
が挙げられる。これらは単独で用いても併用して
もよいが、本発明で用いる防曇剤組成物の分散安
定性、フイルム表面に塗布した後の濡れ性、液状
分散媒除去の難易、経済性を勘案して決めるのが
好ましい。 本発明で用いる防曇剤組成物には、更に必要に
応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、増粘剤、顔
料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合すること
ができる。 本発明で用いる防曇剤組成物は、ポリエチレン
テレフタレートフイルムの表面に塗布し、強制乾
燥又は自然乾燥により、液状分散媒を揮散させる
ことができる。 強制乾燥する方法としては、熱風乾燥法、赤外
線輻射法等が採用できる。強制乾燥するときの加
熱温度は、塗布された防曇剤組成物によつて決定
されるが、通常は50〜250℃の範囲内から選ばれ、
好ましくは70〜200℃の範囲である。 本発明で用いる防曇剤組成物をフイルム表面に
塗布するには、ロールコート法、デイツプコート
法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート
法、ナイフコート法等それ自体公知のいかなる方
法によつてもよい。 フイルムの表面に防曇剤組成物を塗布し、液状
分散媒を乾燥、揮散させた後の固形物の付着量
は、通常0.01〜10g/m2、好ましくは0.1〜5g/m2
の範囲である。 フイルム表面と、本発明で用いる防曇剤組成物
に由来する塗膜との接着性が充分でない場合に
は、防曇剤組成物を塗布する前に、フイルム表面
にプラズマ処理を施すとか、もしくはコロナ放電
処理を施こす等の方法によつてフイルム表面を改
質してもよい。 (発明の効果) 本発明は次のような特別に顕著な効果を奏し、
産業上の利用価値は極めて大である。 (1) 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレ
ートフイルムは、疎水性アクリル系樹脂を含有
する防曇剤からなる塗膜を有するの極めて耐水
性にすぐれている。 (2) 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレ
ートフイルムは無機質コロイドゾルを含有する
防曇剤からなる塗膜をするので非粘着性、表面
硬度、耐水性において優れている。 (3) 本発明に係る農業用ポリエチレンテレフタレ
ートフイルムはガラス転移温度が35〜80℃の範
囲にある特定の組成のアクリル樹脂と無機質コ
ロイドゾルからなる防曇塗膜を有するので、極
めて優れた防曇性を示し、特に高温多湿条件下
においても安定した防曇性を示す。また基材の
ポリエチレンテレフタレートフイルムの他方の
面に紫外線吸収剤を配合したアクリル系樹脂の
皮膜が形成されており、これによつて本発明の
防曇塗膜の防曇性能が長期間持続する。 (実施例) 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
例に限定されるものではない。 実施例1〜8、比較例1〜8 (1) 基体ポリエチレンテレフタレートフイルム 縦、横それぞれ3.5倍に延伸され、密度が
1.392g/m2、厚みが150μのもの。 (2) アクリル系樹脂の調製 紫外線吸収剤を配合するためのアクリル系樹脂
溶液は、次のようにして調製した。 1 アクリル系樹脂溶液Aの調製 架橋弾性体の製造 重合缶中に、脱イオン水300重量部(以下、単
に「部」と表示するのは「重量部」を意味す
る。)、過硫酸カリ0.3部、燐酸二ナトリウム12水
塩0.5部、燐酸水素ナトリウム2水塩0.3部を仕込
み、充分窒素置換を行つたのちに、内温を70℃に
昇温した。内温をこの温度に保持し、攪拌しなが
ら、スチレン19.8部、アクリル酸ブチル69.3部、
メタクリル酸アリル0.9部、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム(乳化剤)2.5部からなる混合
物を、2時間を要して連続的に添加した。 添加終了後直ちに、t−ブチルパーオキシ−2
−エチルヘキサノエート1.0部、スチレン2.2部、
アクリル酸ブチル7.7部、アクリル酸アリル0.1部
からなる混合物を加えた。加え終つてから30分間
経過してから、内温を90℃に昇温し、この温度で
3時間反応を続け、架橋弾性体のエマルジヨンを
得た。 この架橋弾性体の平均粒子径は0.20ミクロンで
あり、ゲル含量は97.1%、膨潤度は7.2であつた。 グラフト共重合体の製造 重合缶に、上記で得た架橋弾性体エマルジヨ
ン400部を仕込み、攪拌しながら、窒素置換した
のち、内温を80℃に昇温した。内温をこの温度に
保持し、攪拌しながら脱イオン水3.0部にナトリ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を
溶解した液を添加してからメタクリル酸メチル
30.0部、n−オクチルメルカプタン0.03部、パラ
メンタンハイドロパーオキサイド(50%溶液)
0.15部の混合物を、30分間を要して連続的に添加
した。添加終了後、更に30分間重合反応を継続
し、グラフト共重合体エマルジヨンを得た。なお
グラフトさせた単量体成分から得られる共重合体
自体のガラス転移温度(Tg)は108℃であつた。 得られたグラフト共重合体エマルジヨンは、常
法に従つて塩析し、重合体を別し、水洗し、乾
燥して、グラフト共重合体の粉末を得た。 樹脂溶液Aの調製 上で得たグラフト共重合体6.5部に、メタクリ
ル樹脂(メタクリル酸メチル/メタクリル酸エチ
ルが96/4の割合の共重合体)のビーズ13.5部を
混合し、この混合物をメチルエチルケトン64部と
トルエン16部とよりなる混合溶媒中に入れて、攪
拌しつつ溶解し、固形分が20重量%のアクリル系
樹脂溶液Aを調製した。 2 アクリル系樹脂溶液Bの調製 架橋弾性体の製造 重合缶中に、脱イオン水250部、ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム2.0部、ナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート0.05部を仕込み、
充分窒素置換を行つた。この重合缶の内容物を攪
拌しつつ、メタクリル酸メチル1.6部、アクリル
酸ブチル8部、1,3−ブチレンジメタクリレー
ト0.4部、メタクリル酸アリル0.1部、キユメンハ
イドロパーオキサイド0.04部からなる混合物を仕
込んだ。重合缶内温を70℃に昇温し、この温度で
60分間反応を継続した。続いて、この重合缶にメ
タクリル酸メチル1.5部、アクリル酸ブチル22.5
部、1,3−ブチレンジメタクリレート1.0部、
メタクリル酸アリル0.25部およびこれら単量体混
合物に対して0.05重量%の量のキユメンハイドロ
パーオキサイドを加えた混合物を60分を要して添
加した。 得られた架橋弾性体は、平均粒子径が0.12ミク
ロン、ゲル含量は90%、膨潤度は10であつた。 グラフト共重合体の製造 上のの架橋弾性体エマルジヨンを含む重合缶
に、イオン水3部にナトリウムホルムアルデヒド
スルホキシレート0.01部を溶解した液を添加して
から、メタクリル酸メチル5部、アクリル酸ブチ
ル5部、アクリル酸アリル0.1部およびこれら単
量体に対して0.03重量%の量のキユメンハイドロ
パーオキサイドを加えた混合物を30分間要して、
連続的に添加した。添加終了後、更に30分間重合
反応を継続した。 この重合缶に、イオン水3部にナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート0.05部を溶解した
液を添加してから80℃に昇温し、メタクリル酸メ
チル52.25部、アクリル酸ブチル2.75部、パラメ
ンタンハイドロパーオキサイド(50%溶液)0.13
部よりなる混合物を30分を要して添加した。この
添加終了後、80℃で30分間重合反応を継続し、グ
ラフト共重合体エマルジヨンを得た。なお、最外
層にグラフトさせた単量体成分から得られる共重
合体自体のガラス転移温度(Tg)は10.3℃であ
つた。 得られたグラフト共重合体エマルジヨンは、常
法に従つて塩析し、重合体を別し、水洗し、乾
燥して、グラフト共重合体の粉末を得た。 樹脂溶液Bの調製 上で得たグラフト共重合体20部を、メチルエチ
ルケトン64部とトルエン16部とよりなる混合溶媒
中に入れて攪拌し、固形分が20重合%のアクリル
系樹脂溶液Bを調製した。 (3) 紫外線吸収剤入り皮膜の形成 上記(2)に記載の方法に従つて調製したアクリル
系樹脂溶液に、第1表に示した種類の紫外線吸収
剤を、同表に記載した割合(樹脂固形分に対する
割合を意味する。)で添加した。添加後の溶液を
ポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、
グラビアコート法によつて塗布し、塗布面を加温
して溶媒を揮散させて、紫外線吸収剤入りの皮膜
を形成させた。この皮膜の厚さ、フイルムの単位
面積当りの紫外線吸収剤の量を、第1表に示す。 (4) 防曇剤組成物の調製 四ツ口フラスコにポリオキシエチレンラウリル
エーテル2重量部及び水80重量部を仕込んで窒素
ガス気流下に60℃まで加熱し、ここに過硫酸アン
モニウム0.5重量部を添加し、さらに第1表に示
した各単量体の混合物100重量部を3時間にわた
つて滴下した。このさいの反応温度は60〜70℃の
範囲に保持するが、滴下終了後も同温度範囲に2
時間保持してから冷却し、アンモニア水で中和し
て、アクリル系樹脂エマルジヨンを得た。各樹脂
のガラス転移温度及び組成は、第1表に示すとお
りであつた。 こうして得られたアクリル系樹脂エマルジヨン
に、第1表に示した種類及び量の無機質コロイド
ゾルその他を配合し、各種の防曇剤組成物を調製
した。但し比較例については無機質コロイドゾル
又はアクリル系樹脂を配合しない防曇剤組成物も
作成した。 (5) 防曇剤組成物による塗膜の形成 (1)で得られたポリエチレンテレフタレートフイ
ルムのアクリル系樹脂を塗布した片面のもう一方
の片面に(4)で得られた各種防曇剤組成物をバーコ
ート法によつて、乾燥後の塗布量が固形分として
0.5g/m2となるように塗布し、80℃の熱風中に1
分間滞留させ溶媒を飛散させた。 (6) ポリエチレンテレフタレートフイルムの評価 (5)で得られたポリエチレンテレフタレートフイ
ルムについて次に記載した方法で各種の性質を評
価した。 防曇剤組成物塗膜の密着性 各フイルムの防曇性塗膜の形成した面にセロハ
ンテープを接着し、このセロハンテープを剥した
時に、塗膜の剥離状況を肉眼で観察した。 結果を、第2表に示す。この評価基準は、次の
とおりである。 ○…塗膜が全く剥離せず、完全に残つたもの。 ○x…塗膜の2/3以上が剥離せず残つたもの。 △…塗膜の2/3以上が剥離したもの。 ×…塗膜が完全に剥離したもの。 防曇性試験 各フイルムを名古屋市内の試験圃場に設置した
片屋根式の防曇試験槽(間口1m、奥行5m、棟高
1.3m、屋根勾配30°)に塗膜を設けた面を試験槽
の内側にして被覆し、定期的に肉眼で防曇性を評
価した。結果を第2表に示す。その評価基準は次
のとおりである。 ◎…水が薄膜状に付着し、水滴が認められない
状態。 ○…水が薄膜状に付着しているが、わずかに大
粒の水滴が認められる状態。 ○x…水が薄膜状に付着しているが、部分的に
大粒の水滴の付着が認められる状態。 △…部分的に細かい水滴の付着が認められる状
態。 ×…フイルムの内面全体に細かい水滴の付着が
認められる状態。
【表】
【表】
【表】 第2表より次のことが明らかである。 (1) 本発明の農業用ポリエチレンテレフタレート
フイルムは、防曇性、特に防曇持続性に優れて
おり36カ月経過後においてもほぼ展張初期の良
好な防曇性を維持している。 (2) 本発明になる防曇剤組成物を塗布してもポリ
エチレンテレフタレートフイルムの他方の面に
形成された紫外線吸収剤を配合しないアクリル
系樹脂皮膜の場合は防曇性持続性が劣る。(比
較例 1)。 また、紫外線吸収剤を配合したアクリル系樹脂
の皮膜を形成しても厚みが1μ未満である場合も
防曇持続性が劣る。(比較例 2) (3) 防曇剤組成物に含まれるアクリル系樹脂のガ
ラス転移温度が80℃以上の場合は、防曇塗膜の
フイルムとの密着性が劣り、防曇持続性も劣
る。(比較例 3) 逆にガラス転移温度が35℃未満の場合は防曇持
続性が劣る。(比較例 4) (4) 防曇剤組成物に含まれるアクリル系樹脂のう
ち、疎水性アクリル系樹脂が60重量%に満たな
い場合は、防曇塗膜のフイルムとの密着性が劣
り、防曇持続性も劣る。(比較例 5) (5) 防曇剤組成物を構成する2種の成分、つまり
アクリル系樹脂と無機質コロイドゾルのうちど
ちらか一方が欠けると防曇性が非常に劣る。
(比較例 6,7) (6) 市販品の農業用ポリエチレンテレフタレート
フイルムは防曇持続性が劣る。(比較例 8)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 二軸方向に延伸されたポリエチレンテレフタ
    レートフイルムの片面に、紫外線吸収剤が配合さ
    れてなる厚さ1〜10ミクロンのアクリル系樹脂の
    皮膜を形成し、他方の面にアクリル酸又はメタク
    リル酸のアルキルエステル単量体又はそれらとア
    ルケニルベンゼンとの混合単量体60〜100重量%
    及び上記単量体と共重合し得るその他のα,β−
    エチレン性不飽和単量体0〜40重量%を乳化重合
    させて得られるガラス転移温度が35〜80℃の範囲
    にある疎水性アクリル系樹脂の水系エマルジヨ
    ン、及び無機質コロイドゾルを主成分とする防曇
    剤組成物を塗布してなる農業用ポリエチレンテレ
    フタレートフイルム。 2 紫外線吸収剤を配合するアクリル系樹脂が、
    架橋アクリル酸エステル系弾性体の存在下にメタ
    クリル酸アルキルエステル単量体を、又はメタク
    リル酸アルキルエステルを主成分としこれと共重
    合可能なビニル化合物単量体との混合物を重合し
    て得られるグラフト共重合体であつて、前記架橋
    アクリル酸エステル系弾性体を5〜80重量%含む
    ものである特許請求の範囲第1項記載の農業用ポ
    リエチレンテレフタレートフイルム。 3 紫外線吸収剤が、2,4−ジヒドロキシベン
    ゾフエノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
    ゾフエノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキ
    シベンゾフエノンまたは2−(2′−ヒドロキシ−
    5′−ターシヤリーブチルフエニン)ベンゾトリア
    ゾールであり、その量がフイルム1m2当り150〜
    1000mgの範囲である特許請求の範囲第1項または
    第2項記載の農業用ポリエチレンテレフタレート
    フイルム。 4 防曇剤組成物が、架橋剤及び/又は液状分散
    媒を含有する特許請求の範囲第1〜3項のいずれ
    かの項に記載の農業用ポリエチレンテレフタレー
    トフイルム。
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