JPH0455897B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業状の利用分野〕 本発明は主として自動車床敷用に供せられるカ
ーペツト成形物の製造方法に関するものである。 この種のカーペツトには抜止強度や保形性の向
上および成形性の付与のため裏面処理が施され
る。また更にフエルト等のインシユレーシヨンシ
ートを接着するための接着層も設けられる。 〔従来の技術〕 従来、このような裏面処理をカーペツトに施す
にはカーペツト裏面にゴムラテツクスおよび／ま
たは合成樹脂エマルジヨンを塗布し、完全に乾燥
してバツキング層を形成した後、該バツキング層
表面に別途に押出し成形等で製造したポリエチレ
ンフイルムを加熱圧着する方法がとられていた。
該バツキング層は抜糸強度を確保するものであ
り、該ポリエチレンフイルムはカーペツトに成形
性を付与し更に抜糸強度を補完するものである。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかし上記従来方法ではバツキング層は完全に
乾燥させなければならないこと、ポリエチレンフ
イルムは別途製造しなければならないこと等に問
題があり、一貫した工程によつて製造することが
不可能であつた。バツキング層のみでカーペツト
に十分な抜糸強度と成形性を与えることが可能で
あればポリエチレンフイルムの貼着は不要になる
が、バツキング層として熱成形性の良い、即ち熱
によつて軟化流動し易い合成樹脂を用いると成形
後の形状安定性や抜糸強度が劣ると云う二律背反
的な問題点が生ずる。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は上記従来の欠点を解消して優れた抜糸
強度、成形性および成形後の形状安定性の付与と
インシユレーシヨンシートとの接着性とを合せ有
する裏面処理を一段階でカーペツトに施すことを
目的とし、裏面処理層として熱硬化性スチレン含
有アクリル樹脂を用いることを骨子とするもので
ある。 本発明を以下に詳細に説明する。 本発明に用いられるカーペツトはタフトカーペ
ツト、ニードルカーペツト等すべての種類のカー
ペツトを含むものである。 本発明に用いられる熱硬化性スチレン含有アク
リル樹脂とはスチレンと、アクリルメチル、アク
リルエチル、アクリルｎ−ブチル、アクリルiso
−ブチル、アクリル２エチルヘキシル等のアクリ
ルエステルの一種もしくは二種以上との単量体混
合物、あるいは上記スチレンとアクリルエステル
との混合物に更に所望なればメタクリルメチル、
メタクリルエチル、メタクリルｎ−ブチル、メタ
クリルiso−ブチル、メタクリル２エチルヘキシ
ル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、α−メチルスチレン、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、エチルビニルエーテル、ｎ−ブチ
ルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のスチ
レンおよびアクリルエステルに共重合可能な単量
体の一種もしくは二種以上を追加した単量体混合
物に更に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、シトラコン酸、アトロパ酸、クロトン酸、β
−ハイドロキシエチルアクリレート、β−ハイド
ロキシプロピルアクリレート、β−ハイドロキシ
エチルメタクリレート、β−ハイドロキシプロピ
ルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、グリシジルアリルエー
テル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエ
チルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメ
タクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、Ｎ−メチロールアクリルアミド、Ｎ−メチロ
ールメタクリルアミド等のスチレンおよびアクリ
ルエステルに共重合可能な官能性単量体の一種も
しくは二種以上を混合した単量体混合物を重合す
ることによつて得られる共重合体であり、共重合
体内部に相互に反応し得る二種以上の官能基を含
む自己架橋型共重合体および共重合体内部に含ま
れる官能基を有する架橋剤が混合される架橋剤混
合型共重合体のいずれをも包含するものであ。 上記架橋剤としてはメラミン樹脂、尿素樹脂、
フエノール樹脂、レゾルシン樹脂等が用いられ
る。 上記熱硬化性スチレン含有アクリル樹脂には所
望なればポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレンアイオノマ
ー、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド等
の他の合成樹脂もしくは天然樹脂、炭酸カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、硫化バリウム、チタン
白、タルク、ベントナイト等の充填材、可塑剤、
老化防止剤、消泡剤、分散剤、増粘剤等が添加さ
れてもよい。 上記熱硬化性スチレン含有アクリル樹脂を主体
とした裏面処理剤は望ましくは軟化温度が110〜
150℃程度にすべきである。何故なら例えばポリ
プロピレン繊維等の耐熱性に乏しい繊維からなる
カーペツトの場合には150℃以下の成形温度が必
要とされるからであるが、軟化温度が110℃を下
廻ると成形されたカーペツトの形状安定性が低下
する。 上記熱硬化性スチレン含有アクリル樹脂はエマ
ルジヨン、有機溶剤溶液、水溶液等の形状で一般
に供されるが、塗工作業性、取扱いの容易性から
みてエマルジヨン型が最も望ましい。 上記裏面処理剤の処方例を以下に述べる。 〔実施例〕 処方例 １ 下記単量体組成の共重合体エマルジヨン（50
％）を作成する。 スチレン 40重量部 メタクリルメチル 30 〃 アクリルエチル 25 〃 グリシジルメタクリレート ３ 〃 メタクリル酸 ２ 〃 上記共重合体エマルジヨンを用いて下記の処方
に混合して裏面処理剤１を得る。 共重合体エマルジヨン 100重量部 水酸化アルミニウム 200 〃 メトローズ３％水溶液 10 〃 処方例 ２ 下記単量体組成の共重合体エマルジヨン（50
％）を作成する。 スチレン 30重量部 アクリルメチル 60 〃 Ｎ−メチロールアクリルアミド ７ 〃 アクリル酸 ３ 〃 上記共重合体エマルジヨンを用いて下記の処方
に混合して裏面処理剤２を得る。 共重合体エマルジヨン 100重量部 炭酸カルシウム 250 〃 ポリアクリル酸ソーダ（0.5％水溶液） 20 〃 消泡剤 １ 〃 処方例３ 下記単量体組成の共重合体エマルジヨン（50
％）を作成する。 スチレン 40重量部 アクリルエチル 54 〃 β−ハイドロキシエチルメタクリレート ４〃 イタコン酸 ２ 〃 上記共重合体エマルジヨンを用いて下記の処方
に混合して裏面処理剤３を得る。 共重合体エマルジヨン 100重量部 炭酸カルシウム 150 〃 硫化バリウム 50 〃 ポリビニルアルコール（５％水溶液） ５ 〃 分散剤 １ 〃 処方例 ４ 下記単量体組成の共重合体エマルジヨン（50
％）を作成する。 スチレン 30重量部 アクリルブチル 20 〃 メタクリルメチル 30 〃 アクリロニトリル 10 〃 メタクリル酸 10 〃 上記共重合体エマルジヨンを用いて下記の処方
に混合して裏面処理剤４を得る。 共重合体エマルジヨン 100重量部 メラミン樹脂（50重量％水溶液） 20 〃 炭酸カルシウム 200 〃 硫化バリウム 50 〃 CMC（５％水溶液） ５ 〃 分散剤 １ 〃 上記各裏面処理剤の成形接着温度は次の通りで
ある。

〔作用〕

本発明は上記したように熱硬化性スチレン含有
アクリル樹脂を主体とした裏面処理層を設けるも
のである。スチレンを含むアクリル樹脂はスチレ
ンの有するフエニル基による立体障害のために分
子間距離が維持され、それがために分子の相対的
運動が容易であり、しかもアクリル重合体鎖は柔
軟性に富むので、150℃以下の温度で軟化して系
の粘性を急激に低下させるものであり、したがつ
て熱成形性は極めて良好でかつ接着性に富み、特
に接着層を設ける必要なくしてインシユレーシヨ
ンシート等とも接着可能になるから従来の裏面処
理層と接着層との役割が単一層で兼備されること
になる。しかし一方では該スチレンを含むアクリ
ル樹脂のこのような性質は成形形状安定性には不
利なものとなる。そこで本発明では該スチレン含
有アクリル樹脂を熱硬化性とし成形時の加熱で一
旦軟化させて良好な成形性と接着性を与え、その
後該スチレン含有アクリル樹脂を硬化三次元化さ
せて機械的強度および耐熱性を増大せしめ、良好
な成形形状安定性を与えるのである。 〔発明の効果〕 したがつて本発明においてはカーペツトは容易
に成形出来かつインシユレーシヨンシート等との
接着性に優れ、成形形状安定性も極めて優れたも
のになると云う効果が奏せられる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すものであり、第
１図は側断面図、第２図は成形物斜視図である。 図中、１……カーペツト、２……裏面処理層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ カーペツトの裏面に熱硬化性スチレン含有ア
   クリル樹脂を主体とした裏面処理層を設けた成形
   性カーペツトを加熱軟化せしめて所定形状に成形
   するとともに該熱硬化性スチレン含有アクリル樹
   脂を熱硬化せしめることを特徴とするカーペツト
   成形物の製造方法。 ２ 熱硬化性スチレン含有アクリル樹脂エマルジ
   ヨンを主体とした成形性カーペツトの裏面処理
   剤。