JP2591105B2 - カーペット裏打ち用接着剤 - Google Patents

カーペット裏打ち用接着剤

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JP2591105B2
JP2591105B2 JP63262175A JP26217588A JP2591105B2 JP 2591105 B2 JP2591105 B2 JP 2591105B2 JP 63262175 A JP63262175 A JP 63262175A JP 26217588 A JP26217588 A JP 26217588A JP 2591105 B2 JP2591105 B2 JP 2591105B2
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康久 渡部
芳明 米川
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はカーペット裏打ち用接着剤に関し、詳しく
は、自動車のカーペット、内装材などのような、加熱成
形工程を経て得られる熱成形カーペットの製造に使用す
るカーペット裏打ち用接着剤に関する。
(従来の技術) 自動車内装用のニードルパンチおよびタフテドカーペ
ットは、ブタジエン−スチレン共重合体ラテックスなど
を主成分とする接着剤を塗布あるいは含浸させた後、熱
成形性および耐熱保形性(80〜95℃程度の高温雰囲気中
で、その形状を保持し得る性能)を付与するために熱可
塑性樹脂シートをラミネートするという2段加工法によ
って製造されている。このようにして得られたカーペッ
トは、裁断し、熱成形して所望形状とした後、自動車に
組み込まれて使用される。
しかし、この2段加工法では、熱成形カーペットの製
造工程が複雑になることから、生産性の向上とコストダ
ウンとを目的として、上記のような熱可塑性樹脂シート
を使用しない1段加工法が提案されている(特開昭53−
52776号公報)。また、この1段加工法に使用する改良
接着剤として、80〜110℃のガラス転移温度を有する樹
脂エマルジョン、−50〜0℃のガラス転移温度を有する
樹脂エマルジョンおよびカルボキシル基と反応性を有す
る架橋剤を含有する接着剤(特開昭63−178182号公
報)、80〜140℃のガラス転移温度を有する共重合体と
−90〜50℃のガラス転移温度を有する共重合体とをコア
/シェル構造などの粒子形態で含有する接着剤(特開昭
63−196779号公報)などが提案されている。
(発明が解決しようとする課題) 1段加工法においては、熱可塑性樹脂シートを使用す
ることなく接着剤のみによって、熱成形カーペットに要
求される剛性、熱成形性および耐熱保形性を同時に付与
しようとするものであるが、例えば、熱成形性および耐
熱保形性を改良しようとすると剛性が低下するなどの問
題が生じ、上記従来の接着剤によっては剛性、熱成形性
および耐熱保形性が同時にバランスよく向上された熱成
形カーペットを得ることはできない。
従って、本発明は、上記従来の問題点を解決し、剛
性、熱成形性および耐熱保形性がバランスよく、高レベ
ルにある熱成形カーペットの製造を可能とするカーペッ
ト裏打ち用接着剤を提供することを目的とするものであ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、特定の性質を有する2種類の共重合体
ラテックスを組み合わせて使用すると上記目的が達成で
きることを知り、この知見に基づいて本発明を完成し
た。
すなわち、本発明は、共重合されているシアン化ビニ
ル化合物の含有率が共重合体の5〜50重量%であり、ガ
ラス転移温度が80℃以上の共重合体(A)ラテックス40
〜95重量%(固形分基準)とガラス転移温度が5〜50℃
の共重合体(B)ラテックス5〜60重量%(固形分基
準)とからなることを特徴とするカーペット裏打ち用接
着剤に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の共重合体(A)とは、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物を必須成
分とし、これと共重合可能な、ブタジエン、イソプレ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどのジエン化合
物;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロルビニルトルエンなどのビニ
ル芳香族化合物;メチル(メタ)アクリレート(メチル
アクリレートとメチルメタクリレートを意味する。以下
同様)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
2−ヘチルエキシル(メタ)アクリレートなどの(メ
タ)アクリレート化合物;塩化ビニル、酢酸ビニルなど
のビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸化合物;アクリル
アミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルア
ミド、N−メチロールメタクリアミドなどのアミド化合
物;塩化ビニリデンなどのビニリデン化合物などから選
ばれた1種または2種以上のモノマーとの共重合体を意
味する。
共重合体(A)の具体例としては、ブタジエン−アク
リロニトリルを主成分とする共重合体、ブタジエン−ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−スチ
レン−イタコン酸−アクリロニトリル共重合体、ブタジ
エン−スチレン−イタコン酸−アクリル酸−アクリロニ
トリル共重合体、メチル(メタ)アクリレート−塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリ
レート−n−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共
重合体、メチルメタクリレート−イタコン酸−アクリロ
ニトリル共重合体などを挙げることができる。
これらのうち、シアン化ビニル化合物5〜50重量%、
ジエン化合物(特に、ブタジエン)0〜10重量%、ビニ
ル芳香族化合物(特に、スチレン)0〜90重量%、およ
びこれらと共重合可能なモノマー0〜50重量%とから得
られる共重合体、あるいはシアン化ビニル化合物5〜50
重量%、(メタ)アクリレート化合物(特に、メチルメ
タクリレート)0〜90重量%およびこれらと共重合可能
なモノマー0〜50重量%とから得られる共重合体が特に
好ましく使用される。
共重合体(A)における、共重合されているシアン化
ビニル化合物の含有率は、共重合体の5〜50重量%、好
ましくは10〜40重量%である。シアン化ビニル化合物の
割合が、5重量%未満では、耐熱保形性および剛性が低
下する。一方、50重量%を越えると、ラテックスの重合
安定性が劣り、凝集物が多く、満足するラテックスが得
られない。
共重合体(A)のガラス転移温度は、80℃以上、好ま
しくは90〜110℃である。ガラス転移温度が、80℃より
低いと、耐熱保形性および熱成形性が低下する。
なお、本発明におけるガラス転移温度は下記式により
求めたものである。
ここで、 Tg:共重合体のガラス転移温度(絶対温度表示) Tgi:単量体成分(i)の単独重合体のガラス転移温度
(絶対温度表示) Wi:共重合体中の成分(i)の重量分率共重合体(A)
ラテックスは、共重合体(A)中のシアン化ビニル化合
物の割合およびそのガラス転移温度が上記範囲内にある
ように、使用モノマーの種類および量を選択し、従来公
知の方法および条件下に乳化重合することにより容易に
得ることができる。
共重合体(B)は、シアン化ビニル化合物を必須成分
とせず、そのガラス転移温度が5〜50℃という点を除け
ば、上記共重合体(A)で例示された化合物から選択さ
れた2種以上のモノマーからなる共重合体であり、これ
らのモノマーを従来公知の方法により乳化重合すること
により容易に得ることができる。
共重合体(B)の具体例としては、ブタジエン−スチ
レン共重合体、ブタジエン−スチレン−メチルメタクリ
レート共重合体、ブタジエン−メチルメタクリレート共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエン−スチレン−アクリロニトリル共重合体、ブタジ
エン−スチレンメチルメタクリレート−イタコン酸共重
合体、ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート−
イタコン酸−アクリル酸共重合体、スチレン−メチルメ
タクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体、スチ
レン−メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート
−イタコン酸共重合体、メチルアクリレート−塩化ビニ
ル共重合体、メチルアクリレート−塩化ビニリデン共重
合体、メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート
共重合体などを挙げることができる。
これらのうち、ジエン化合物(特に、ブタジエン)20
〜40重量%、ビニル芳香族化合物(特に、スチレン)60
〜80重量%およびこれらと共重合可能なモノマー0〜20
重量%から得られる共重合体、あるいは(メタ)アクリ
レート化合物5〜30重量%およびこれらと共重合可能な
モノマー70〜95重量%から得られる共重合体が特に好ま
しく使用される。
共重合体(B)のガラス転移温度は、5〜50℃、好ま
しくは10〜40℃である。ガラス転移温度が5℃より低い
と、熱成形性および耐熱保形性が低下し、一方50℃を越
えると剛性が低下して好ましくない。
本発明のカーペット裏打ち用接着剤における共重合体
(A)ラテックスの割合(固形分基準)は、40〜95重量
%、好ましくは60〜90重量%である。共重合体(A)ラ
テックスの使用割合が40重量%未満では熱成形性および
耐熱性保形性が低下し、一方95重量%を越えると剛性が
低下して好ましくない。
本発明のカーペット裏打ち用接着剤には、上記成分の
外に、必要に応じて、充填剤、顔料、消泡剤、老化防止
剤、架橋剤、難燃剤、増粘剤、湿潤剤などの添加剤を配
合することができる。上記添加剤のうち充填剤の具体例
としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、ガラス繊維、金属繊維などの無機充填
剤、ポリスチレン粒子などのプラスチック中空粒子、合
成繊維、天然繊維などの有機充填剤などを挙げることが
できる。
本発明のカーペット裏打ち用接着剤は、ポリエステ
ル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロンなどの繊維を
用いたニードルパンチカーペット、タフテッドカーペッ
トなどのカーペットに適用可能であり、得られる熱成形
カーペットは、自動車などのカーペット、内装材などと
して使用することができる。
(実施例) 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明す
る。なお、「部」および「%」は、重量基準である。
製造例1 (共重合体ラテックス(A−1)の製造) ブタジエン4部、スチレン77部、アクリロニトリル15
部、イタコン酸2部、アクリル酸2部、t−ドデシルメ
ラカプタン0.2部、過流酸カリウム0.3部、イオン交換水
150部およびジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウ
ム1.5部の混合物を10オートクレーブに仕込み、撹拌
しながら60℃で25時間反応させて共重合体ラテックス
(A−1)を製造した。この共重合体ラテックス(A−
1)の製造時に凝集物の生成はなく、重合性は良好であ
った。重合転化率は98.8%であった。
製造例2 製造例1において、仕込み原料を第1表に示すように
変更した以外は製造例1と同様にして共重合体ラテック
ス(A−2)、(B−1)、(B−3)、(a−1)、
(a−2)、(b−1)を製造した。
製造例3 (共重合体ラテックス(A−3)の製造) イオン交換水60部にラウリル硫酸ナトリウム1部とポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル3部とを添加
して乳化剤水溶液を調整した。この乳化剤水溶液にメチ
ルメタクリレート78部、アクリロニトリル20部、アクリ
ル酸2部および重合度調整剤としてn−ドデシルメルカ
プタン0.2部を乳化させて乳化液を調製した。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却器および滴下ロート
を備えた1内容積の四つ口フラスコにイオン交換水40
部および過硫酸ナトリウム0.3部を仕込み、窒素置換し
ながら70℃まで昇温した。液温が70℃に達したら上記の
乳化液を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時
間撹拌を継続し、反応させて共重合体ラテックス(A−
3)を得た。この共重合体ラテックス(A−3)の製造
時に凝集物の生成はなく、重合性は良好であった。重合
転化率は99.6%であった。
製造例4 製造例3において仕込み原料を第1表に示すように変
更した以外は製造例3と同様にして共重合体ラテックス
(B−2)、(b−2)を製造した。
製造例5 製造例2で得られた共重合体ラテックス(B−1)20
部(固形分基準)を10オートクレーブに仕込み、引続
きブタジエン4部、スチレン79部、アクリロニトリル15
部、イタコン酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.2
部、過硫酸カリウム0.3部、イオン交換水150部およびジ
フェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.5部の混合
物を仕込み、撹拌しながら60℃で25時間反応させてコア
/シェル型共重合体ラテックス(c−1)を製造した。
この共重合体ラテックスの製造時に凝集物の生成はな
く、重合性は良好であった。重合転化率は98.5%であっ
た。
実施例1〜6、比較例1〜6 製造例1〜5で得られた共重合体ラテックスを第2表
のように配合して、本発明の熱成形カーペット裏打ち用
接着剤(実施例1〜6)および比較用熱成形カーペット
裏打ち用接着剤(比較例1〜6)を調製し、その性能を
下記方法により評価した。
(成形カーペットの作成) 各共重合体ラテックスを万能混合撹拌機にて3倍の容
量に泡立てた後、綿目付450g/m2のポリエステルニード
ルパンチカーペットの裏面に乾燥重量が200g/m2になる
ように塗布、含浸させ150℃で10分間乾燥して、成形カ
ーペットを作成した。
(剛性の評価) 上記成形カーペットを2cm×10cmの大きさに裁断し、
得られた試験片をオルゼン式スティフネステスターを用
い30℃の角度で折り曲げた時の剛性を測定した。数値が
大きいほど剛性が高くなる。数値が25〜40の範囲にある
のが良好である。
(熱成形性) 上記成形カーペットを170℃の熱風乾燥機にて5分間
加熱し、凸凹状のプレス成形機にて型付けし、型付け性
を下記基準にて評価した。
○:良好 △:不十分 ×:不良 (耐熱保形性) 上記の型付けした成形カーペットを80℃および95℃の
熱風乾燥機中に8時間養成し、それぞれの温度での形状
の変化を下記基準にて評価した。
○:型くずれ なし △:型くずれ ややあり ×:型くずれ 大きい 比較例1は、共重合体(A)のガラス転移温度が本発
明の範囲未満の例であり、剛性および耐熱保形性が劣
り、バランスが悪い。
比較例2は、共重合体(B)のガラス転移温度が本発
明の範囲未満の例であり、耐熱保形性が劣る。
比較例3、4は、共重合体(A)ラテックスと共重合
体(B)ラテックスの混合割合が本発明の範囲外にあ
る。比較例3は、共重合体(B)ラテックスの割合が本
発明の範囲を越えている例であり、耐熱保形性および剛
性が劣る。また、比較例4は、共重合体(B)ラテック
スが本発明の範囲未満の例であり、熱成形および剛性が
劣り、バランスが悪い。
比較例5は、共重合体(A)のシアン化ビニル化合物
の割合が本発明の範囲未満であり、耐熱保形性および剛
性が劣り、バランスが悪い。
比較例6は、共重合体(A)、(B)を同一共重合体
粒子中に含むコア/シェル型共重合体ラテックスであ
り、耐熱保形性および剛性が劣り、バランスが悪い。
比較例7は、共重合体(B)のガラス転移温度が本発
明の範囲未満であり、耐熱保形性が劣る。
(発明の効果) 本発明の熱成形カーペット裏打ち用接着剤を用いて得
られる熱成形カーペットは、剛性、熱成形性および耐熱
保形性がいずれもバランスよく優れ、自動車のカーペッ
ト、内装材などとして好適に利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−289678(JP,A) 特開 昭48−59633(JP,A) 特開 昭60−181361(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共重合されているシアン化ビニル化合物の
    含有率が共重合体の5〜50重量%であり、ガラス転移温
    度が80℃以上の共重合体(A)ラテックス40〜95重量部
    (固形分基準)とガラス転移温度が5〜50℃の共重合体
    (B)ラテックス5〜60重量部(固形分基準)とからな
    ることを特徴とするカーペット裏打ち用接着剤。
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