JP6100470B2 - 熱成型性を有する接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱成型性を有する接着剤組成物に関するものである。詳しくは、繊維基材又は紙に塗布あるいは含浸することにより、かかる繊維基材又は紙に熱成型性を与える接着剤組成物に関する。
共重合体ラテックスが紙加工分野やカーペットのバックサイジング等をはじめとする各種接着剤(バインダー)として広く用いられていることは周知である。それぞれの用途に応じてバインダーに要求される性能は多岐にわたり、それに対応するために共重合体ラテックスは、ラテックス組成や構造を変えることで接着強度と他の性能とのバランスを改善してきている。
特に自動車内装用のニードルパンチカーペットおよびタフテッドカーペットにおいては、繊維基材に強度と剛性を付与するために共重合体ラテックスや樹脂エマルジョンが使用されている。
従来より、共重合体ラテックスや樹脂エマルジョンを主成分とする接着剤組成物を該カーペット裏面に塗布および/または含浸加工することにより不織布繊維またはパイル糸を固着せしめた後に、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂皮膜を熱融着によって裏打ちする2段加工法にて製造されている。しかしこのような2段加工法では、カーペットの製造工程が煩雑で生産効率が悪い。そこで、例えば、特定の組成を有する共重合体ラテックスAとBを特定比率で含有する接着剤組成物(特許文献1)、特定の粒子径の関係式を満たす共重合体ラテックスAとBを含有する接着剤組成物(特許文献2)、さらには高架式フローテスターにおけるフローレイトを規定した共重合体ラテックスを含有する接着剤組成物(特許文献3)を用いることにより、熱可塑性樹脂皮膜の熱融着を必要としない1段加工法が採用されて製造されている。
しかし、最近、さらなる生産効率の向上や合理化検討が進むに従い、熱成型性、成型後の形状を保ちえる性能(保型性)及び最終カーペット製品の剛性に対して要求物性は日々高まっている。上記した改良技術において熱成型性、保型成、剛性を改良しようとすれば、繊維の固着力が低下してしまい、高まる要求物性を十分に満足するレベルには至っておらず、総合的な性能バランスの更なる向上が望まれていた。
特開平03−177477号公報
特開平03−182581号公報
特開平04−255783号公報
本発明の目的は、熱成型性、保型性、剛性の要因となる熱成型時の接着剤組成物の相転移連続層の良好な形成性及び繊維の固着力に優れる熱成型性を有する接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、前述の諸事情に鑑み鋭意検討した結果、分子量調整剤として、特定の割合で構成されるアルキルメルカプタンを用いて乳化重合して得られる共重合体ラテックスを含有する接着剤組成物を用いることにより、熱成型性、保型性、熱成型時に接着剤組成物の相転移連続層の良好な形成、繊維の固着力の全てに優れる熱成型性を有する接着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記1)及び2)を満たすことを特徴とする接着剤組成物を提供するものである。
1)エチレン系単量体100重量部を乳化重合するにあたり、下記のアルキルメルカプタンを使用する共重合体ラテックスを含有する
(1)ウンデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
(2)ドデシルメルカプタン 0.025〜1.8重量部、
(3)トリデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
(4)テトラデシルメルカプタン 0〜0.2重量部
(5)その他のメルカプタン 0〜0.2重量部
2)該共重合体ラテックスが、(A)ガラス転移温度が90〜140℃である共重合体ラテックスと、(B)70℃以下のガラス転移温度を有する共重合体ラテックスとを含有する
本発明の熱成型性を有する接着剤組成物を用いることによって、熱成型時における相転移連続層の形成が優れていることから、熱成型性、保型性、剛性に優れ、かつ繊維の固着力に優れる繊維基材又は紙を得ることが可能となる。
型付け金型の断面図を示す。 熱成型後及び保型性評価時のカーペットの断面図を示す。
本発明の接着剤組成物に使用する共重合体ラテックスは、エチレン系単量体を乳化重合することにより得られる。
エチレン系単量体としては、乳化重合に通常使用される単量体であれば特に限定されずに使用可能であるが、例えば、脂肪族共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、不飽和カルボン酸単量体、マレイミド系単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体、エチレン系不飽和アミン系単量体等が挙げられる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられる。これらの脂肪族共役ジエン系単量体のうち、好ましくは、1,3−ブタジエンが挙げられる。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの芳香族ビニル系単量体のうち、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等が挙げられる。これらのシアン化ビニル単量体のうち、好ましくは、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが挙げられる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体のうち、好ましくは、メチルメタクリレートが挙げられる。
不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸単量体のうち、好ましくは、アクリル酸が挙げられる。
マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレート等が挙げられる。これらのヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体のうち、好ましくは、β−ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸アミド単量体のうち、好ましくは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドが挙げられる。
エチレン系不飽和アミン系単量体としては、例えば、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン等が挙げられる。
これらエチレン系単量体は、単独(1種類のみ)で用いることもでき、2種以上併用することもできる。
本発明の接着剤組成物に使用される共重合体ラテックスを乳化重合するに際しては、エチレン系単量体100重量部に対して分子量調整剤として下記のアルキルメルカプタンを使用する。
(1)ウンデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、好ましくは、0.0005〜0.5重量部、
(2)ドデシルメルカプタン 0.025〜1.8重量部、好ましくは、0.025〜1.5重量部、
(3)トリデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、好ましくは、0.0005〜0.5重量部、
(4)テトラデシルメルカプタン 0〜0.2重量部、好ましくは、0〜0.16重量部、
(5)その他のメルカプタン 0〜0.2重量部、好ましくは0〜0.16重量部
(1)〜(5)に記載のアルキルメルカプタンを一種使用した場合、もしくは、二種以上を上記範囲外の量で使用した場合は、良好な熱成型性、相転移連続層の形成及び繊維の固着力が得られない。また、アルキルメルカプタンのアルキル基としては、直鎖タイプ、分岐タイプがあるが、上記範囲内の量を用いた場合には、いずれのタイプでも、良好な熱成型性、相転移連続層の形成及び繊維の固着力が得られる。
本発明で使用する(1)〜(5)に規定する量であるアルキルメルカプタンを得るには、炭素数違いの原料(例えば、ハロゲン化炭化水素)を規定量になるように調整してからメルカプタン化する方法でも、すでに得られた炭素数違いのアルキルメルカプタンを、規定範囲内になるように2種以上混合して使用する方法でもいずれでもよい。
本発明の接着剤組成物に使用する共重合体ラテックスの重合において、上記(1)〜(5)のアルキルメルカプタン以外の分子量調整剤を使用可能である。使用可能な分子量調整剤としては、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
本発明に使用される共重合体ラテックスを乳化重合するに際しては、常用の乳化剤、重合開始剤、還元剤、酸化還元触媒、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムの水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイドの油溶性重合開始剤の使用が好ましい。
また、乳化重合において、必要により、炭化水素系溶剤として、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、例えば、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を使用することができる。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留等によって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが、環境負荷の観点から好適である。
また、その他の助剤として、必要により、例えば、老化防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤等を使用することができる。
乳化重合の方法としては、特に限定されず、バッチ重合、セミバッチ重合、シード重合等を用いることができる。また、各種成分の添加方法についても特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法、パワーフィード法等を用いることができる。
本発明に使用される共重合体ラテックスのゲル含有量(ラテックスフィルムのトルエン不溶分)については、特に制限はないが、70重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは50重量%以下である。
また、本発明に使用される共重合体ラテックスの粒子径については特に制限はないが、光子相関法による平均粒子径が0.4μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.05〜0.35μmである。
本発明の接着剤組成物に使用される共重合体ラテックスは、そのガラス転移温度(Tg)が90〜140℃である共重合体ラテックス(A)と、ガラス転移温度(Tg)が70℃以下である共重合体ラテックス(B)を含有することが好ましい。
共重合体ラテックス(A)のガラス転移温度が90℃未満では保型性が劣る傾向にあり、また140℃を超えると熱成型性に劣る傾向にあり、いずれも好ましくない。さらに好ましくは、95〜120℃である。また共重合体ラテックス(A)は、芳香族ビニル系単量体及びその他共重合可能なエチレン系単量体から構成されることが好ましい。
共重合体ラテックス(B)のガラス転移温度が70℃を超えると、繊維の固着力が劣る傾向にあり、好ましくない。さらに好ましくは−20℃〜50℃である。また共重合体ラテックス(B)は、脂肪族共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、不飽和カルボン酸単量体及びその他共重合可能なエチレン系単量体から構成されることが好ましい。
本発明の接着剤組成物に使用される共重合体ラテックスにおいて、共重合体ラテックス(A)と共重合体ラテックス(B)を、A/B=40/60〜80/20(重量比)の割合で含有することが好ましい。
共重合体ラテックス(A)の比率が40未満では、接着剤の相転移連続層形成性が劣る傾向があり、(A)の比率が80を超えると繊維の固着力に劣る傾向があり、いずれも好ましくない。
本発明の接着剤組成物には、上記した共重合体ラテックスの他に、さらに酸化防止剤、充填剤、成膜助剤、難燃剤、増粘剤、界面活性剤、架橋剤、撥水剤等を含有することができる。
本発明の接着剤組成物を、繊維基材もしくは紙へ塗布および/または含浸加工することで、熱成型性を有する繊維基材もしくは紙を得ることが出来る。繊維基材の種類としては、特に制限されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、羊毛等の繊維を用いたタフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット等のカーペットに好適に適用される。
本発明の接着剤組成物を繊維基材もしくは紙へ塗布および/または含浸するに際しては、公知の方法が特に制限なく適用可能である。本発明の接着剤組成物を発泡あるいは増粘させて用いてもよく、その加工方法としては、リックロール、絞りロール、スプレー、浸漬等が挙げられる。また、カーペットへの含浸を十分に行うために、塗布された接着剤組成物を絞りロールにより圧搾することが好ましい。接着剤組成物を塗布した後、加熱により水分を除去して成型可能な製品を得ることができる。製品を成型する方法としては加熱後加圧ロールまたはプレス成型機による成型方法等が挙げられる。
なお、本発明の接着剤組成物をカーペット裏面もしくは紙に塗布した後、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂皮膜を熱融着によって裏打ちすることを何ら妨げるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を変更しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は重量基準によるものである。また実施例における諸物性は次の方法に拠り評価を行い、その結果を表1〜表3に示した。
共重合体ラテックスのガラス転移温度の測定
得られた各共重合体ラテックスを、ガラス板に0.5g程度塗り、70℃で4時間乾燥してフィルムを作成した。乾燥後のフィルムを示差走査熱量計(DSC、(製品名)DSC6200、セイコーインスツルメンツ社製)のアルミニウム製の試験用パンにセットし、再度加熱によりサンプルを均一化し、その後、測定温度を−100〜150℃まで速度10℃/分で昇温した。得られた温度−吸熱曲線より、相変化の吸熱の開始点を読み取って各共重合体ラテックスのガラス転移温度(℃)とした。相変化が2つ以上見られる場合は、各々の吸熱の開始点を読み取った。
共重合体ラテックス(イ)〜(リ)の調整
耐圧製の重合反応器に、純水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、炭酸水素ナトリウム0.5部、表1に示す各単量体、各アルキルメルカプタン、過硫酸カリウムを添加して、70℃に保ち、単量体の重合転化率が97%になるまで乳化重合を継続した。水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整して、水蒸気蒸留を行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去して、共重合体ラテックス(イ)〜(リ)を得た。
共重合体ラテックス(ヌ)、(ル)の調整
純水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、炭酸水素ナトリウム0.5部、表2の1段目に示す各単量体、各アルキルメルカプタン、過硫酸カリウムを添加して、70℃にて重合を開始した。重合転化率が90%になった時点で、表2の2段目に示す各単量体、各アルキルメルカプタン、および純水10部と過硫酸カリウム0.5部の混合物の添加を開始し、4時間かけて連続添加した。連添終了後もそのまま重合を継続し、最終重合転化率が97%を超えたことを確認し、重合を終了した。水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整して、水蒸気蒸留を行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去して、共重合体ラテックス(ヌ)、(ル)を得た。
接着剤組成物の調製
表3に示す比率で混合した共重合体ラテックス100部(固形分)に対し、さらに、酸化防止剤(スミライザーWX−R:住友化学株式会社製)0.5部(固形分)を添加して、固形分48%の接着剤組成物を得た。
相転移連続層形成性の評価
硬度(1)
接着剤組成物を50℃、80%RHの条件にて乾燥し、厚みが6〜10mmのフィルムを作成した。得られたフィルムをJIS K-6253(1997)に基づき、タイプDデュロメーター硬さを測定した。
硬度(2)
硬度(1)にて作成したフィルムを、枠板状の金型を用い、170℃にてプレス成形して厚みが6〜10mmの成型品を作成した。得られた成型品をJIS K-6253(1997)に基づき、タイプDデュロメーター硬さを測定した。
硬度(1)と硬度(2)の値の差が大きい方が、熱成型における相転移現象が発現し連続層が良好に形成されたことを示すものである。硬度(2)の値から硬度(1)の値を差し引いた数値について、次の基準にて評価した。
○:5以上 (連続層形成性良好)
×:5未満 (連続層形成性劣る)
カーペット試料の調製
各接着剤組成物を、ホバートミキサーで3倍容量に泡立て、ポリエステルニードルパンチカーペットの裏面に270g/m塗布した後内部まで含浸させた。その後130℃、5分乾燥して得た。
熱成型性の評価
各カーペット試料を180℃のオーブン中にて5分間加熱した後、図1に示す凹凸状の金型(A部の角度:90度)にてプレス成形(1分間)して型付けを施した。この成形品を金型より取り出し、図2に示すA′部の角度を測定し、次の基準にて評価した。
○:80度超 (熱成型性良好)
△:75〜80度 (熱成型性不十分)
×:75度未満 (熱成型性不良)
保型性の評価
熱成型性評価後、成型品を再度90℃のオーブン中にて24時間静置した。
その後オーブンより取り出し図2に示すA’の角度を測定した。この角度の変化(熱成型評価時のA’の角度から、90℃オーブン取出し後のA’の角度を差し引いた角度)を次の基準にて評価した。
○:10度未満 (保型性良好)
△:10〜15度 (保型性不十分)
×:15度超 (保型性不良)
繊維の固着力の評価
各カーペット試料の裏面を金属片にて摩擦し、接着剤の脱落ならびに繊維のピリングの程度を次の基準に基づき評価した。
○:接着剤の脱落がなく、ピリング良好
△:接着剤の脱落が少し有り、ピリングやや不良
×:接着剤の脱落(粉落ち)が多く、ピリング不良
表3に示すとおり、本発明の接着剤組成物は、良好な熱成型性、保型性、相転移連続層の良好な形成に優れ、かつ繊維の固着力にも優れる。
表4に示すとおり、比較例においては、接着剤組成物に使用している共重合体ラテックスは、アルキルメルカプタンが本願発明の規定範囲外であり、熱成型性、保型性、相転移連続層の形成および繊維の固着力の物性バランスが劣ることが明らかである。
上記の通り、本発明にて得られる接着剤組成物は、優れた熱成型性、保型性、相転移連続層の良好な形成による剛性の発現ならびに繊維の固着力を同時に発現させることができ、かつ本発明の接着剤組成物は熱可塑性樹脂皮膜の裏打ちという2段加工技術の工程を省略することができ、カーペット製造工程の簡略化、生産性の向上という効果をも併せて具備している。このことから、本発明の接着剤組成物を塗布および/または含浸して得られる繊維基材や紙は、特に加熱成型性を必要とする自動車用カーペット、内外装材に極めて有用である。
イ: 金型
ロ: カーペット
A: 型付け時の角度(90度)
A’: 熱成型後の角度、保型性評価角度

Claims (2)

  1. 下記1)及び2)を満たすことを特徴とする熱成型性を有する接着剤組成物。
    1)エチレン系不飽和単量体100重量部を乳化重合するにあたり、下記のアルキルメルカプタンを使用する共重合体ラテックスを含有する
    (1)ウンデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
    (2)ドデシルメルカプタン 0.025〜1.8重量部、
    (3)トリデシルメルカプタン 0.0005〜0.6重量部、
    (4)テトラデシルメルカプタン 0〜0.2重量部
    (5)その他のメルカプタン 0〜0.2重量部
    2)該共重合体ラテックスが、(A)ガラス転移温度が90〜140℃である共重合体ラテックスと、(B)70℃以下のガラス転移温度を有する共重合体ラテックスとを含有する
  2. 共重合体ラテックス(A)と共重合体ラテックス(B)の比率が、A/B=40/60〜80/20(重量比)であることを特徴とする請求項1に記載の熱成型性を有する接着剤組成物。
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