JPH0454593B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、文字・模様等のパターン付成形品の
製造方法に関するものであり、その目的とすると
ころは、立体形状を呈する成形品の隣接する２つ
の被転写面に耐摩耗性に優れた文字・模様等のパ
ターンが形成された成形品を、容易な工程にて工
業的に大量生産することができる方法を提供する
ことにある。

成形品として、プツシユボタン式電話器、電子
卓上計算機、タイプライター、ワードプロセツサ
ー、パーソナルコンピユター等のキーボード部に
多々使用されている文字・記号付キーキヤツプを
採り上げ、以下、この文字・記号付キーキヤツプ
を製造方法について説明を行う。

従来から文字・記号付キーキヤツプを製造する
方法としては種々あるが、本出願人は以前、キー
キヤツプ基材の２以上の表面に対して一工程にて
同時に文字・記号等を形成することができる方法
を発明し、出願した（特願昭57−152928号）。こ
の方法は、熱移行性染料を含有するインキを用い
て文字・記号等の着色層が基体シート上に形成さ
れ、転写印刷時に前記着色層とキーキヤツプ基材
の２以上の被転写面とが密着し得るようにハーフ
カツト或いは破断線状の穿孔が設けられてなる転
写シートを、キーキヤツプ基材の一被転写面上に
前記着色層が接するように載置するとともに伸張
状態で固定し、次に先端が曲面を呈する弾性突起
物を有する転写用パツドを用いて前記転写シート
の基体シート側から押圧することにより前記転写
シートの基体シートを被転写面の接触線で折曲さ
せるとともに前記ハーフカツト部分或いは穿孔部
分で適宜切断させて前記着色層を前記キーキヤツ
プ基材の各被転写面に密着せしめ、そのままの状
態で加熱染色処理することにより前記着色層内の
熱移行性染料を熱移行させて前記キーキヤツプ基
材の２以上の表面に所望の文字・記号を染色せし
め、しかる後、前記転写シートを除去することを
特徴とする文字・記号付キーキヤツプの製造方法
である（第１図及び第２図参照）。

この方法を用いるとキーキヤツプ等の立体形状
を呈する成形品の２以上の被転写面に、一工程に
て同時に文字・記号等を形成することができるも
のである。しかしながら、この方法は、生産効率
が極めて優れている半面、転写印刷時、転写用パ
ツドがキーキヤツプ基材のエツジに対して局部的
に強く押しつけられるため、工業的に大量生産を
行う場合、転写用パツドが破損し易く、頻繁に交
換を要するという問題点が生じるものであつた。

本発明者らは、前記した問題点に鑑み、転写用
パツドの形状を鋭意工夫してキーキヤツプ基材の
エツジに対して局部的に力がかからないようにし
て転写用パツドの破損を防ぐことを種々試みた
が、今度はキーキヤツプ基材を側面部に対して転
写シートの着色層をうまく密着させることがでに
ないというような新たな問題点を生じたりして、
転写用パツドの形状のみを考慮するだけでは効果
的な打開策を得ることができなかつた。

本発明者らは、このような現状に鑑み、更に
種々実験、考察を重ねた結果、被転写対であるキ
ーキヤツプ基材の固定状態を、文字・記号等のパ
ターン形成が必要な面の種類に応じて変化させる
ことによつて前記問題点を全て解決することを見
い出し、遂に本発明を完成するに至つたものであ
る。即ち、本発明は、立体成形品の隣接する２つ
の被転写面に転写されるべき文字・模様等からな
る着色層が熱移行性染料を含むインキを用いて基
体シート上に形成され、前記着色層間には折り目
やハーフカツト或いは破断線状の穿孔が設けられ
てなる転写シートを、前記折り目やハーフカツト
或いは穿孔が前記隣接する２つの被転写面の接触
線上に一致するように被転写体上に載置し、次に
先端が曲面を呈する弾性突起物を有する転写用パ
ツドを用いて前記弾性突起物が前記隣接する２つ
の被転写面に略同時に接触し得るように転写シー
トの基体シート側から押圧し、そのままの状態で
加熱染色処理することにより前記着色層内の熱移
行性染料を熱移行させて前記被転写面に文字・模
様等のパターンを染色せしめ、しかる後、前記転
写シートを除去することを特徴とする文字・模様
付成形品の製造方法である。

以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。

本発明において使用する転写シート１及び転写
用パツド２は、前記従来（特願昭57−152928号）
で使用したものと略同様のものを使用することが
できる。

即ち、本発明に係る転写シート１としては、基
体シート３上に文字・記号等のパターンからなる
着色層４が形成されているものを基本的な層構成
とし、転写印刷時に前記着色層４と被転写体であ
るキーキヤツプ基材５の隣接する２つの被転写面
６とが同時に密着し得るように折り目７ａやハー
フカツト７ｂ或いは破断線状の穿孔７ｃが設けら
れているものを使用するとよい（第３−ａ図、第
３−ｂ図、第４−ｂ図参照）。

なお、前記ハーフカツト７ｂとは、基体シート
３の厚さ方向に対して略半分の厚みまでの切れ込
みのことをいい、また前記破断線状の穿孔７ｃと
は、例えばミシン目等の基体シート３を貫通した
切れ込みのことをいう。

前記転写シート１に設ける折り目７ａやハーフ
カツト７ｂ或いは破断線状の穿孔７ｃの形状とし
ては、転写用パツド２の前記基体シート３への押
圧により前記転写シート１が被転写面の接触線８
で折曲せしめられるとともに前記折り目７ａ部分
やハーフカツト７ｂ部分或いは破断線状の穿孔７
ｃ部分で適宜折り曲げられ、或いは切断されて前
記着色層４がキーキヤツプ基材５の２つの被転写
面６の所定の位置に同時に密着することができる
ようなものならよい。

前記基体シート３としては、通常転写シートに
用いるシート状物、例えば中質紙、上質紙、クラ
フト紙等の非コート紙等の紙類、アルミニウム等
の金属箔、前記紙類と金属箔とをラミネートした
シート状物、あるいはプラスチツクスフイルム等
を挙げることができる。

前記着色層４は、任意の色の熱移行性染料を含
有するインキを用いて、スクリーン印刷等の適宜
の手段にて所望の文字・記号等のパターンを印刷
することにより形成する。

また一方、本発明に係る転写用パツド２として
は、例えばシリコンゴム等の弾性体を用い、その
形状としては、先端が曲面を呈する突起物を有す
るものを用いるとよい。

なお、本発明に係る効果をより一層顕著なもの
とするために、前記転写用パツド２として、キー
キヤツプ基材５の形状に即した形状のもの、例え
ばキーキヤツプ基材５のエツジと接触する部分に
くびれが入つた形状のものを用いたり（第９図参
照）、あるいは柔軟な弾性体、例えば硬度45（デユ
ロミータシヨンＡスケールポイント）以下のも
の、好ましくは硬度30以下のものを用いると好適
である。

本発明に係る文字・記号付キーキヤツプの製造
方法において特徴とするところは、転写用パツド
２の押圧の際、転写シート１の着色層４がキーキ
ヤツペ基材５の隣接する２つの被転写面６、例え
ばキーキヤツプ基材の天面と前面とに略同時に接
触するように、キーキヤツプ基材５を傾斜させて
固定せしめておくことである。このようにするこ
とによつて前記従来法の問題点を全て解決するこ
とができるものである。

このことを詳細に説明するために、次にキーキ
ヤツプ基材５に文字・記号等のパターンを施す工
程を説明する。

先ず、転写シート１を、該転写シート１の折り
目７ａやハーフカツト７ｂ或いは穿孔７ｃが前記
隣接する２つの被転写面の接触線８上に一致する
ようにキーキヤツプ基材５上に載置する（第５図
参照）。この段階では転写シート１の着色層４は
キーキヤツプ基材５の被転写面６に、密着は成さ
れていない。

次に転写用パツド２を用い、該転写用パツド２
の弾性突出物が前記隣接する２つの被転写面６に
略同時に接触し得るように前記接写シート１の基
体シート３側から押圧する。このようにすること
により、傾斜させたキーキヤツプ基材５上の被転
写面の接触線８で前記転写シート１を折曲させる
（第６図参照）。キーキヤツプ基材５を傾斜させて
固定するには、キーキヤツプ固定用支持具を予
め、キーキヤツプ基材５を傾斜させて固定するこ
とができるように構成しておくか、或いはキーキ
ヤツプ固定用支持具の凹部に適当なステツプ等を
設けておくとよい。キーキヤツプ基材５の傾斜角
度としては、キーキヤツプ基材５の隣接する２つ
の被転写面６が水平面から略同一角度となるよう
にしておくのが好ましい。特に、一度に複数個の
キーキヤツプ基材５に転写印刷を行う際には、パ
ターンの位置精度の向上を企る上で、キーキヤツ
プ基材５の被転写面６が水平面から同一角度とな
るように固定し、転写シート１の着色層４が被転
写面６に対して同時に接触するようにしておくと
好ましい。

なお、この際、縦横に並べられた複数個のキー
キヤツプ基材５に対して同時に転写印刷する場
合、異なつたキーキヤツプ基材５へ転写されるべ
き着色層４間に、ハーフカツト７ｂ或いは破断線
状の穿孔７ｃが設けられた転写シート１を用い、
前記ハーフカツト７ｂ部分あるいは穿孔７ｃ部分
で適宜切断せしめながら、転写用パツド２を押圧
するようにするとよい。

次に、更に転写用パツド２を押圧し、転写シー
ト１の着色層４をキーキヤツプ基材５の隣接する
２つの被転写面６、例えばキーキヤツプ基材５の
天面と前面とに密着せしめる（第７図参照）。

その後、前記キーキヤツプ基材５の被転写面６
と前記着色層４とを密着させたまま加熱染色処理
を行う。このようにすることによつて前記着色層
４内の熱移行成染料が熱移行し、前記キーキヤツ
プ基材５の隣接する２つの転写面６に所望の文
字・記号等のパターンが形成される。

しかる後、前記転写シート１を除去することに
より本発明に係る文字・記号付キーキヤツプ９を
得ることができる（第８図参照）。

本発明に係る文字・記号付キーキヤツプの製造
方法は、以上のような構成からなるものであるか
ら次のような効果を有するものである。即ち、キ
ーキヤツプの隣接する２つの面、例えば天面と前
面とに文字・記号等のパターンを形成する際、転
写用パツドがキーキヤツプ基材のエツジで破損す
ることがなく容易な工程にて工業的に大量生産す
ることができるものである。更に転写用パツド及
び転写用シートに局部的な力がかかるのを極力避
けることができ、また転写シートの着色層がキー
キヤツプ基材の被転写面に対して略同時に接触さ
せることができるものであるため、キーキヤツプ
の被転写面上の所定の位置に正確に文字・記号等
のパターンを形成することができるものである。

依つて本発明は産業上、利用価値の極めて優れ
たものである。

なお、以上の説明は、文字・記号付キーキヤツ
プの製造方法について行つたが、本発明は被転写
体としてキーキヤツプに限定されるものではな
く、熱移行性染料で染色が可能なあらゆる成形
品、例えば合成樹脂成形品、陽極酸化皮膜を有す
るアルミニウム成形品、各種樹脂を表面に塗布し
た金属成形品等に体して適用が可能なものである
ことは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来法を示す断面図、第３
−ａ図及び第４−ａ図は本発明に係る転写シート
の断面図、第３−ｂ図及び第４−ｂ図は本発明に
係る転写シートの斜視図、第５図乃至第８図は本
発明に係る文字・模様付キーキヤツプの製造工程
を示す断面図、第９図は他の態様を示す断面図を
各々示す。 図中、１……転写シート、２……転写用パツ
ド、３……基体シート、４……着色層、５……キ
ーキヤツプ基材、６……被転写面、７ａ……折り
目、７ｂ……ハーフカツト、７ｃ……穿孔、８…
…被転写面の接触線、９……文字・記号付キーキ
ヤツプ、

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 立体成形品の隣接する２つの被転写面に転写
   されるべき文字・模様等からなる着色層が熱移行
   性染料を含むインキを用いて基体シート上に形成
   され、前記着色層間には折り目やハーフカツト或
   いは破断線状の穿孔が設けられてなる転写シート
   を、前記折り目やハーフカツト或いは穿孔が前記
   隣接する２つの被転写面の接触線上に一致するよ
   うに被転写体上に載置し、次に先端が曲面を呈す
   る弾性突起物を有する転写用パツドを用いて前記
   弾性突起物が前記隣接する２つの被転写面に略同
   時に接触し得るように転写シートの基体シート側
   から押圧し、そのままの状態で加熱染色処理する
   ことにより前記着色層内の熱移行性染料を熱移行
   させて前記被転写面に文字・模様等のパターンを
   染色せしめ、しかる後、前記転写シートを除去す
   ることを特徴とする文字・模様付成形品の製造方
   法。 ２ 転写シートが、異なつた立体成形品へ転写さ
   れるべき着色層間に、ハーフカツト或いは破断線
   状の穿孔が設けられたものであることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の文字・模様付成形
   品の製造方法。