JPH045426B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアロエジユース飲料、特にキダチアロ
エの葉肉を搾汁して製造するアロエジユース飲料
及び葉肉を搾汁した際に生ずる残滓を利用して製
造するアロエジユース飲料の製造方法に関するも
のである。

〔従来技術及びその問題点〕

アロエは「医者いらず」の俗言が示すとおり古
来より外用薬としての効用（例えば、火傷、虫刺
され、切り傷、打ち身、捻挫、魚の目、イボ、虫
歯、歯槽膿漏、痔等）や内用薬としての効用（例
えば、胃腸病、便秘、高血圧、低血圧、二日酔、
肝臓病、糖尿病等）を有することが知られ、また
その他に養毛剤、ふけ取り剤等としてもその効用
が広く知られている。

アロエ、特にキダチアロエは薬事法の適用外品
であるためにこれを使用して薬効を有する各種製
剤を製造することが多くの人によつて行われてい
る。

しかしながら、従来より提供されているキダチ
アロエのジユース（以下、キダチアロエを単にア
ロエと称する）はその葉肉成分を単純に破砕、搾
汁しただけのものでありしかも搾汁手段が稚拙で
あつたために、ジユース中に残滓が多く残つて飲
用感を損なうほか、搾汁されたジユースの苦みが
強過ぎてそのままでは飲用に適さず、また短期間
のうちに変色等を生じて保存性に欠けていた。

このために保存性、飲用性に適させるものとし
て、搾汁したアロエジユースを水その他の希釈液
剤を用いて数倍乃至数十倍に希釈し、更に、この
希釈液に蜂蜜、水飴その他の甘味料、クエン酸等
の酸味料、或いはビタミン類等を添加した飲料が
市販されているが、肝心のアロエの成分は極めて
少量となりアロエジユース飲料というには含有成
分が少な過ぎるという問題を抱えていた。

また、従来のアロエジユース飲料の製造方法に
よれば、アロエの葉肉を搾汁した後の残滓は全く
利用されることなく廃棄されており、残滓中に残
存する多量の有効な成分を無駄にしていた。

〔発明の目的〕

本発明はこのような事情に鑑みこれらの問題に
対応しようとするものである。

即ち、本発明は、簡単な製造方法であるにもか
かわらず搾汁されたジユースは100％その成分を
維持しているにもかかわらず、飲用感を損なうこ
となくそのまま飲用に供することができることは
勿論のこと、しかも製造されたジユース飲料は保
存性に優れたものであるアロエジユース飲料の製
造方法を提供せんとするものである。

また、本発明の他の目的は、アロエジユース飲
料を製造する際に生ずる搾汁の残滓を利用して更
にもう一度前記とは別のアロエジユース飲料を製
造する方法を提供しようとするものである。

〔発明の要点〕

本発明は、原料となるアロエの葉肉を洗浄した
のち破砕したものを遠心分離して粘液（搾汁液）
を得、次いでこの得た粘液（搾汁液）を加熱蒸煮
したのちに粘液中に残留する不純物を濾過し、更
に、前記濾過液を所定温度にて加熱殺菌してアロ
エジユース飲料を得ることを発明の第１の要点と
している。

また、本発明は、アロエジユース飲料を搾汁す
る際に発生する搾汁の残滓と、搾汁液を加熱濾過
する際に生ずる濾滓（沈澱物及び浮遊物）とを加
熱乾燥して残滓中の水分を除去し、次いで、この
乾燥した残滓を温湯中にて１時間程度蒸煮するこ
とによつて乾燥された残滓中に残留するアロエ成
分を温湯中に溶出させて回収し、この回収された
アロエ成分に甘味料、酸味料、ビタミン剤等の必
要な添加剤を添加することによつてアロエジユー
ス飲料を得ることを第２の要点としている。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を説明する。

第１の実施例 先ず、原木より採取した原料となるキダチアロ
エの葉肉30Kgを手または洗浄機により洗浄し、葉
肉に付着した土や水垢を完全に除去する。

なお、この場合使用をする葉肉は、30cm以上の
寸法に成育した原木にあつては根元の方から採取
したものを、また、枝分れした古い原木から採取
する場合には茎基の方より採取したものを使用す
ることが望ましい） 洗浄された葉肉は外皮を剥皮することなく全体
をジユーサーミキサーのような破砕機にかけてド
ロドロとしたジユースとする。

破砕によつて得たジユースは布袋等に収容した
のち遠心分離機にかけることによつて比較的粘稠
性の弱い、やや緑色がかつた茶褐色の粘液を得る
ことができた。

遠心分離によつて得られた粘液は、鍋等の加熱
容器に収容して100℃で約10分間加熱する。

加熱に伴う沸騰によつてアロエ葉の周辺の葉緑
素部分が浮遊物として浮き上がるので丁寧に除去
する。

約10分間の加熱を終え浮遊物を除去した粘液は
更に粘液中に残留する沈澱物を濾過することによ
つて薄い茶褐色または赤褐色をしたアロエエキス
11.3Kgを得た。

なお、葉肉の搾汁工程及び加熱による浮遊物並
びに沈澱物の除去によつて得られた残滓の量は全
体で17.8Kgであつた。

上記によつて得られたアロエエキスは何らの添
加物を加えることなく所望の容器に収容、打栓し
た後約80℃の温湯で30分間加熱して殺菌し最終的
にアロエジユース飲料とすることができた。（因
に、本実施例においては720c.c.容器入のアロエジ
ユース飲料15本を得ることができた。） 本実施例によつて得られたアロエジユース飲料
はその組成中に葉肉の搾汁滓が全く残存しないの
で飲用感に優れている他、学問的に根拠、理由は
不明であるが従来より実施されているアロエジユ
ースに比較して飲用時の苦みが軽減されていた。

また、本発明の方法によつて得られたアロエジ
ユース飲料は容器を開封して空気に触れた場合で
も５℃〜10℃程度の低温下であれば１ケ月程度の
保存が可能であつた。

容器に収容されたままのアロエジユースは栓を
開封しなければ数カ月の保存によつても全く変質
しないことが確認できた。

第２の実施例 まず、第１の実施例によつて得た葉肉の残滓、
特に第１の実施例の搾汁過程によつて得られた葉
肉の残滓と、遠心分離機によつて得られた粘液を
加熱した際に生ずる浮遊物及び沈澱物の総て17.8
Kgを集めて乾燥させる。（以下これらを総称して
乾燥残滓と称する。） 完全な乾燥の後に得られる残滓は乾燥前の重量
の約30分の１の量、0.59Kgであつた。

上記した残滓の乾燥手段は特に限定しないが、
天日乾燥の場合には乾燥された残滓の色上がりが
良くないことと、量産性に適さないことを考えれ
ば火力を利用して加熱乾燥手段を頼ることが望ま
しい。

上記の手段によつて得られた乾燥残滓0.59Kgを
100の水の中に入れ、100℃で約１時間沸騰蒸煮
する。

乾燥されることによつて濃縮状態となつている
残滓は１時間の沸騰蒸煮によつて残滓中に含有し
ているアロエ成分が徐々に熱湯中に溶出され、ア
ロエエキス原液よりはやや濃度が薄いが成分がほ
ぼ50％程度であるエキス成分を有するアロエエキ
ス溶剤を得ることが出来た。

アロエエキス溶剤はこれに蜂蜜、水飴、砂糖等
の甘味料、クエン酸、酒石酸等の酸味料を添加す
ることによつて極めて味趣に富んだアロエエキス
ジユース飲料を得ることができた。

本実施例によつて得られたアロエジユース飲料
は僅かな苦みを有するが口当たりは極めて良好で
あり、優れた健康飲料とすることができた。

〔発明の効果〕

本発明の効果を述べれば以下の通りである。

(1) アロエジユース飲料を製造するための手段が
簡単である。

(2) 製造されたアロエジユース飲料は、その成分
中からアロエの葉肉成分が完全に除去されてお
り残滓の滞留が全くないので口当りの良い極め
て優れた飲用感を得ることができた。

(3) 得られたアロエジユース飲料の品質を一定に
保つことができることは勿論のこと、得られた
製品を長期にわたつて変質することなく保存す
ることが可能となつた。

(4) 製造のためのコストが低廉である。

(5) 第２の方法の場合、それに使用する原料は、
第１の方法に使用をした残滓のみであるので原
料コストをゼロとすることが可能となる他、従
来の製造方法においては廃棄処分をしていただ
けの残滓を極めて有効に利用をすることができ
た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 原料となるアロエの葉肉を洗浄したのち破砕
   したものを遠心分離して粘液（搾汁液）を得、次
   いでこの得た粘液（搾汁液）を加熱蒸煮し、加熱
   時の沸騰に伴い発生する浮遊物の除去及び加熱し
   た粘液中に残留する不純物を濾過し、更に、前記
   濾過液を100℃にて加熱殺菌してアロエジユース
   飲料を得ることを特徴とするアロエジユース飲料
   の製造方法。 ２ アロエの葉肉を破砕、搾汁した後搾汁液に適
   宜の加熱を施すことによつて得るアロエジユース
   飲料を製造する際に発生する搾汁の残滓と、搾汁
   液を加熱濾過する際に生ずる濾滓（沈澱物及び浮
   遊物）とを加熱乾燥して残滓中の水分を除去し、
   次いで、この乾燥した残滓を温湯中にて１時間程
   度蒸煮することによつて乾燥された残滓中に残留
   するアロエ成分を温湯中に溶出させて回収し、こ
   の回収されたアロエ成分に甘味料、酸味料、ビタ
   ミン剤等の必要な添加剤を添加することを特徴と
   するアロエジユース飲料の製造方法。