JPH045097B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は掘削土砂等を鉛直方向へ容易に搬送し
得る鉛直方向搬送装置に関する。

（従来の技術） 橋脚の基礎、シールド等の発進、到達、管渠の
接合部等に使用される竪穴の築造、あるいは
LNGや石油の地下備蓄タンク等のような掘削面
積の大きな竪穴の築造に際して、掘削土砂の搬出
はバケツト等の容器をベルト、チエーンコンベア
等に取り付け、かつ回転させて掘削土砂の入つた
バケツトを釣り上げ、排土し、降ろすといつた動
作の繰り返しで行なわれている。これらはいずれ
も大規模でメンテナンス補修にかかる経費が大き
く騒音、安全に問題があつた。

第７図はケーソン本体１を地中に沈下させてい
く際、作業部３における掘削土砂を排出する場合
の従来例を示すもので、この場合、シヤフト３０
内を昇降自在なバケツト３１を介して作業室３内
の掘削土砂を排出しており、土砂の搬出が不連続
であるので作業性が悪いという欠点があつた。

また、この種のケーソンで、一般に作業室３内
に圧気をかけるため、シヤフト３０の上方に気密
用のロツク装置３２を設ける必要があり、しかも
バケツト３１の出し入れのたびにハツチ３３，３
４を開閉しなければならないためにエアーの消費
が大きく、圧気設備が大きくなつてしまうと共
に、ロツク装置３２側にもハツチ３３，３４を開
閉する専用の作業員３５を必要とするなどし、設
備面、作業面、および労力等の面での煩雑さがあ
つた。

また、バケツト３１がシヤフト３０内を上下動
するため、作業部３内の人間に対し危険が大き
く、かつ土砂搬出時の騒音が大きい等の種々の欠
点があつた。

更に、その他の従来例としてバケツト３１等に
換えスクリユーコンベアを鉛直に立てて掘削土砂
等の鉛直方向への排土装置として用いることが考
えられるが、このスクリユーコンベアのオーガー
を使つて鉛直方向に、例えば掘削土砂等の搬送物
を上方に搬送する場合、搬送用のオーガー羽根の
螺旋面の勾配が螺旋方向においては勾配を持つて
いるが、駆動軸の軸線に対しては直角方向すなわ
ち水平方向であるため、このスクリユーコンベア
を単に鉛直方向に立てて使用しても螺旋羽根の螺
旋面に搬送物が乗つてしまい、同心円的な水平位
置の移動は可能であるが、上方への搬送はできな
いために搬送物を速やかに上方へ搬送することは
できないという問題点があつた。

（発明の目的） 本発明は上記の点に鑑み提案されたもので、そ
の第１の目的とするところは、掘削土砂等を鉛直
方向に連続的に、かつ容易に搬送し得る鉛直方向
搬送装置を提供することにある。

また、第２の目的として、掘削面積の大きな竪
穴等であつても掘削土砂等の効率良く集め、連続
的に搬出し得る鉛直方向搬送装置を提供しようと
するものである。

（発明の構成） 第１図は本発明の一実施例を示すもので、この
実施例ではケーソン本体に上下動可能なオーガー
羽根を有する搬送装置を付設した点に特徴を有し
ている。

すなわち、図中１はケーソン本体で、ケーソン
本体１の下方部内壁と相俟つてケーソン本体１の
下方に設けられたスラブ２を介し作業室３が区画
形成されている。

４はケーソン本体１の略中央部において鉛直方
向に立設された搬送装置本体で、この搬送装置本
体４はスラブ３の略中央に設けられた摺動支持部
材５を介して支持され、かつ下端部が作業室３内
に臨んでいる。また、スラブ２上に設けられた適
数個の昇降用ジヤツキ６およびそのロツド６ａ先
端と連結された昇降支持部材７によつても搬送装
置本体４は支持されている。なお、この昇降用ジ
ヤツキ６は搬送装置本体４全体を昇降させるため
のものである。

しかして、搬送装置本体４は、円筒状をなし、
かつ鉛直方向に立設され、順次継ぎ足して延長可
能なケーシング８と、このケーシング８内に設け
られ、かつケーシング８と同様順次継ぎ足して延
長可能な、螺旋状のオーガー羽根９を有する駆動
軸１０にて成るオーガー１１とを備えている。

なお、ケーシング８の上端外周にはその軸方向
に沿つてオーガー昇降用ジヤツキ１２が設けら
れ、このオーガー昇降用ジヤツキ１２のロツド１
２ａ先端にはオーガー駆動モータ支持部材１３が
設けられ、このオーガー駆動モータ支持部材１３
上にオーガー駆動モータ１４が下向きに設けられ
ている。そして、オーガー駆動モータ１４のモー
タ軸は駆動軸１０に適宜連結されている。

このようにして、オーガー１１はオーガー駆動
モータ１４を介し回転可能になつていると共に、
オーガー昇降用ジヤツキ１２を介しケーシング８
内を上下動して昇降するように構成されている。

また、オーガー１１の下方部はオーガー昇降用
ジヤツキ１２のロツド１２ａを縮めた場合、竪穴
Ｈを掘削すべくケーシング８下端から下方に突出
するのでその先端にはオーガー１１より大径の掘
削具１５が設けられている。

なお、８ａはケーシング８の上方に設けられた
排土口、１６はブルドーザーの如き土砂収集用の
機械である。

次に第１図および第２図を参照しつつ本発明の
動作を説明する。

地山にはオーガー１１の径よりも大きな穴Ｈ
があけられ、この穴Ｈ内にその底部を掘削すべ
くオーガー１１よりも大きな径の掘削具１５が
位置している。そして、穴Ｈ内に人力およびも
しくはブルドーザーの如き機械１６によつて掘
削された土砂が常時投入され穴Ｈ内は掘削土砂
で充満されている。

しかして、オーガー昇降用ジヤツキ１２のロ
ツド１２ａを縮めた状態で（掘削具１５は穴Ｈ
の下方に位置している）、かつオーガー駆動モ
ータ１４が駆動されると掘削具１５を介し地山
の穴Ｈが掘削されていく。この場合、ケーシン
グ８の下端部は穴Ｈの開口部近傍に位置し、か
つその周囲には掘削土砂が収集され、ケーシン
グ８の下端部は掘削土砂内に位置している（第
１図、第２図参照）。

そして、オーガー昇降用ジヤツキ１２を操作
してロツド１２ａを伸長させればオーガー１１
は引き上げられ、よつて掘削土砂中に埋まつて
いるオーガー１１の下方部および掘削具１５を
介し穴Ｈ内の掘削土砂はケーシング８の下方部
に取り込まれる（第２図参照）。この場合、
大径の掘削具１５がオーガー１１に設けられて
いるために掘削土砂は速やかにケーシング８内
に取り込まれるが、本来的にはオーガー１１自
体の機能によつて取り込まれる。

そして、オーガー昇降用ジヤツキ１２を操作
してロツド１２ａを縮めることによりオーガー
１１は下方に移動しその下方部は掘削土砂中に
ねじ込まれる（第２図参照）。この場合、最
初に取り込まれたケーシング８内の掘削土砂Ａ
は穴Ｈ内に充填されている掘削土砂によつて下
降が阻止され停滞している。

ついで、再びオーガー１１を上動させること
によりオーガー羽根に乗つている掘削土砂Ａは
新たにケーシング８内に取り込まれた掘削土砂
Ｂによつて上方へ押しやられていく（第２図
参照）。

以上の動作を繰り返すことにより掘削土砂は順
次上方へ搬送されていく。また、地山の掘削と共
に掘削面が下がり順次地中深く掘削されていく
が、この過程で昇降用ジヤツキ６によつて掘削面
とケーシング端部とを適当な間隔に保持する。ま
た、掘削が進めば単位長さのオーガーとケーシン
グとが一体となつた１ユニツトを順次継ぎ足して
所定の深さまでケーシング８およびオーガー１１
を伸長して掘削していくものである。

なお、掘削対象土質が透気性の小さな土質はこ
の装置だけで作業室内の圧力を逃がす事なく連続
的に土砂を搬出できるが砂礫層のように透気性の
大きな土質では搬送装置本体４の上部に、例えば
第３図に示す如き構成のロツク１７，１７′にて
成るロツク装置を付設し、各ロツク１７，１７′
内へ交互掘削土砂を取り入れ連続的に掘削土砂を
排出していくことも可能である。

第４図イ、ロは本発明の他の実施例で、ケーシ
ング８の下方部外側にケーシング８を中心に旋回
可能であると共に、ケーシング８側を基点として
先端部が上下動可能な土砂収集装置１８を設けた
点が前述の実施例と異なつている。

すなわち、この土砂収集装置１８は半円筒状の
土砂収集部１９と、この土砂収集部１９の基端部
上方に設けられたオーガー謙駆動モータ２０と、
このオーガー駆動モータ２０のモータ軸と連結さ
れ、かつ土砂収集部１９の基端側外方に取付けら
れ、また、土砂収集部１９の長さ方向に沿つてそ
の下方に取付けられた掘削具付オーガー２１を回
転さす駆動伝達部２２と、土砂収集部１９上部先
端側にロツド２３ａの先端が枢着され、かつ本体
が旋回ケーシング８Ａ側の支持部材２４に設けら
れたジヤツキ２３と、ケーシング８の下方部外周
にその軸方向に沿つて下向きに設けられた旋回モ
ータ２５と、この旋回モータ２５のモータ軸と連
結された、ケーシング８とその下方に設けられた
旋回ケーシング８Ａとの間に設けられ、かつ旋回
モータ２５の駆動により旋回ケーシング８Ａを旋
回させる旋回駆動伝達部２６とを備え、かつ前記
土砂収集部１９は旋回ケーシング８Ａに対し支持
部材２７によつて支持され、この支持部材２７間
に旋回部２８が設けられ、この旋回部２８を介し
必要に応じジヤツキ２３のロツド２３ａを縮める
ことにより回転可能な掘削具付オーガー２１を有
する土砂収集部１９の先端部が一点鎖線で示すよ
うに上方に移動し、穴Ｈの周辺に山盛りされた掘
削土砂を効率良く穴Ｈ内に取り込むことが出来る
ように構成されている。

このように、この実施例では搬送装置本体４の
下部が旋回するため、掘削土砂の収集が容易であ
る。

第５図および第６図は本発明の更に他の実施例
を示すもので、この実施例では土砂収集装置１８
が設けられた搬送装置本体４をLNGや石油の地
下備蓄タンク等の掘削面積の大きな竪穴H′の築
造に適用したものである。

しかして、この実施例では旋回可能な土砂収集
装置１８が設けられているため、搬送装置本体４
の周囲に収集された掘削土砂を速やかに地上に搬
送し得るものである。なお、第６図中２９は土砂
収集装置１８の旋回範囲である。また、搬送装置
本体４、土砂収集装置１８の構成は前述の実施例
と同様である。

（発明の効果） 以上のように本発明によれば、ケーソン本体ま
たは掘削面積の大きい竪穴等内に鉛直方向に立設
された円筒状のケーシングと、このケーシング内
に設けられ、かつオーガー昇降用ジヤツキを介し
上下動可能なオーガーの上方部に設けられ、かつ
オーガーを回転させるオーガー駆動モータとを備
え、前記オーガー下方部は作業部に形成された穴
内に常時充満された掘削土砂内を回転、かつ上下
動し前記ケーシング内に掘削土砂を順次充填して
掘削土砂を上方に搬送していくように構成したか
ら、ケーソン工法に適用した場合、 (イ) 作業室内の圧力を逃がすことなく、連続的に
土砂を鉛直方向に搬出できる。

(ロ) 土砂搬出用のクレーン設備等が不要で経済的
である。

(ハ) 土砂搬出用バケツトの上下がないため安全で
ある。

(ニ) チエーンコンベア、ベルト等に取り付けられ
たバケツトの回転運動による搬送機より、メン
テナンスに優れ、経済的である。

(ホ) 作業室内の圧力を一定に保つため、ハツチの
操作を行う人間が従来必要であつたが、本発明
ではその必要がなく経済的である。

(ヘ) 土砂搬出時、装置の出す振動、騒音が極めて
少ない。

(ト) ハツチの開閉によるエアーの消費がなくなる
ため設備が小さくでき経済的である。

等の利点がある。

また、旋回可能な土砂収集装置を設けておけば
上記利点に加え効率良く、かつ容易に掘削土砂を
収集できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例、第２図〜は同
上の動作説明図、第３図は同上の実施例にロツク
装置を設けた実施例、第４図イ，ロは土砂収集装
置を設けた本発明の他の実施例でイは正面図、ロ
は側面図、第５図および第６図は土砂収集装置を
有する本発明を掘削面積の大きい堅穴に適用した
更に他の実施例、第７図は従来例である。 １……ケーソン本体、３……作業室、４……搬
送装置本体、１１……オーガー、１２……オーガ
ー昇降用ジヤツキ、１４……オーガー駆動モー
タ、１８……土砂収集装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケーソン本体または掘削面積の大きい堅穴等
   内に鉛直方向に立設された円筒状のケーシング
   と、このケーシング内に設けられ、かつオーガー
   昇降用ジヤツキを介し上下動可能なオーガーと、
   このオーガーの上方部に設けられ、かつオーガー
   を回転させるオーガー駆動モータとを備え、前記
   オーガー下方部は作業部に形成された穴内に常時
   充満された掘削土砂内を回転、かつ上下動し前記
   ケーシング内に掘削土砂を上方へ搬送していくこ
   とを特徴とした鉛直方向搬送装置。 ２ ケーソン本体または掘削面積の大きい堅穴等
   内に、鉛直方向に立設された円筒状のケーシング
   と、このケーシング内に設けられ、かつオーガー
   昇降用ジヤツキを介し上下動可能なオーガーと、
   このオーガーの上方部に設けられ、かつオーガー
   を回転させるオーガー駆動モータと、前記ケーシ
   ング下方部にその周囲を旋回可能、かつ先端部が
   上下動可能に設けられた土砂収集装置とを備え、
   前記オーガー下方部は作業部に形成された穴内に
   常時充満された掘削土砂内を回転、かつ上下動し
   前記ケーシング内に掘削土砂を上方へ搬送してい
   くことを特徴とした鉛直方向搬送装置。