JPH044869A - 細胞培養基材およびそれを用いる細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養基材およびそれを用いる細胞培養方法

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JPH044869A
JPH044869A JP2105878A JP10587890A JPH044869A JP H044869 A JPH044869 A JP H044869A JP 2105878 A JP2105878 A JP 2105878A JP 10587890 A JP10587890 A JP 10587890A JP H044869 A JPH044869 A JP H044869A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、より生体内に近い状態で細胞を培養できる新
規細胞培養基材および細胞培養法を提示する。また、本
発明により得られる細胞は、ハイブリッド型人工臓器、
例えば人工皮膚、人工肝臓、人工血管などを作成する際
に用いることができる。
[従来の技術] 生体外で細胞を培養し増殖させる、いわゆる細胞培養技
術は、研究室レベルから各種の生理活性物質の生産など
の工業的なレベルまでその利用が活発になってきた。株
化していない、いわゆる正常細胞は、普通その生育には
基材への接着を必要とする。このため細胞の生育に適当
な各種の高分子材料の開発が行なわれてきた。−例を挙
げると、組織培養フラスコやマイクロビーズなどが挙げ
られる。
しかしながら、従来の培養法は主として株化細胞や線維
芽細胞などに限られ、肝細胞などの高次の機能を有する
細胞を機能の低下をきたすことなく長期間維持したり、
細胞を増やすことは困難であった。また、細胞を基材上
で単層に生育させるものがほとんどであった。−例を挙
げると、ガラス、表面をグロー放電処理したポリスチレ
ン、あるいは適度の正電荷を有する多糖ビーズなどであ
る。これらの基材上では細胞は単層に生育し、基材の表
面全体を被覆した後、コンフレンドとなって生育を停止
することが知られていた。
一方、培養細胞を三次元的に集合させ高次の組織や器官
を形成させるなど、より生体内に近い状態で培養する手
法はあまり知られていなかった。
こうした試みの中の1つに、コラーゲンゲル内培養法が
あり、本性では細胞は三次元的に集合することで、より
生体内に近い状態で培養が可能であることが知られてい
る。
しかしながら、コラーゲンゲルは強度が低く、手間がか
かり、また高価であるため、その使用は実験室レベルに
限られていた。
[発明が解決しようとする課題] 従来の培養法では、生体内で高次の機能を有する細胞を
長期間維持することが困難であった。また、コラーゲン
ゲル内培養などの特殊な培養法を用いなければ、細胞を
材料表面で単層に培養できるだけで、生体内のように多
数の細胞が三次元的に集合し独自の機能を果たす、いわ
ゆる組織や器官の形成までいたらしめることはできなか
った。
すなわち、本発明の目的は、細胞を三次元的に集合させ
得る、より生体内に近い状態で培養することである。
[課題を解決するための手段] 本発明の目的は、水との前進接触角が20度以上50度
未満である部位(A)と、水との前進接触角が50度以
上100度未満の部位(B)からなる細胞培養基材によ
り達成される。
本発明で用いる細胞は、例えば血管内皮細胞、血管平滑
筋細胞、肝実質細胞、牌上皮細胞、線維芽細胞、あるい
はHeLa細胞、L細胞などの株細胞などである。
特に、生体内で三次元的に集合体を形成して(する細胞
群、例えば肝実質細胞、牌上皮細胞などはこの手法によ
り細胞を多数集合させると次第に機能分化を示し、単層
で培養するよりも形態的、あるいは機能的に生体内に近
い状態で培養することが可能であるので好ましい。
本発明の水との接触角とは、水の自由表面が固体壁に接
する場所で、液面と固体面とのなす角(液の内部にある
角をとる)をいい、前進接触角とは、ぬれていない新し
い表面での接触角である。
本発明の部位(A)は、水との前進接触角が20度以上
50度未満である必要があり、好ましくは20度以上4
0度以下である。
このような水との前進接触角を持つ基材は、例えば、次
の各手法によって得られる。
1)接触角の高い基材の接触角を低下させる。
2)接触角の低い基材の接触角を上げる。
3)直接目的の接触角を有する材料を得る。
1)の手法において、接触角の高い材料としては、ポリ
オレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリカーボネイト、ポリアクリロニトリルなど、
フィルムにした際、表面での水滴の接触角が60度以上
90度未満である材料が挙げられる。
このような基材の水との接触角を20度以上50度未満
にする方法として、 A)親水性ポリマーで上述の細胞付着性材料の表面を、
グラフト反応、カップリング反応などによって修飾する
方法 B)低分子化合物による修飾反応によって、水酸基など
の親水性の官能基を導入する方法などがある。
A)の手法をとる際に用いることのできる親水性ポリマ
ーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリア
クリルアミド、ポリヒドロキシメチルメタクリレート、
セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース)
、アミロース、アルギン酸など、あるいはこれらの共重
合体および誘導体がある。また、アルブミンなどの親水
性の生体内物質を固定化してもよい。
(A)の手法の中でも、基材としてポリ塩化ビニルを用
い、親水性ポリマーとしてポリエチレンオキシドを用い
るのが好ましい。
また、B)の手法をとる際に用いる官能基は、水酸基、
カルボキシル基、スルホン酸基がある。
本手法をとる際は、使用する材料によって反応を選ぶ必
要があり、例えばポリエステルなどでは水酸化ナトリウ
ムにより表面を加水分解によって導入する方法がある。
2)の例を挙げると、本発明において見い出された接触
角よりも、低い接触角を有する材料としては、表面での
水の接触角が低い材料、例えばセルロースおよびその誘
導体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチ
レンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール
、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒ
ドロキシメチルメタクリレートなどと、その共重合体お
よび誘導体などがある。
これらの細胞付着性の低い材料に、本発明に適した細胞
付着性を賦与する手法として、表面に疎水性の低分子化
合物やポリマーを表面カップリング反応あるいはグラフ
ト反応によって導入したり、化学架橋剤によって表面を
修飾するなどの方法がある。
ここで用いる低分子化合物としては、例えばアルキルイ
ソシアネート、アルキルグリシジルエーテルなどが挙げ
られ、架橋剤としては、ポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネート、グ
リセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポ
リグリシジルエーテル、両末端に活性エステル基を有す
るポリエチレンオキシド、グルタルアルデヒドなどがあ
る。
また、3)の例を挙げると、オレフィン、スチレン、塩
化ビニル、アクリロニトリルなどの疎水性モノマーと親
水性モノマー、例えばポリエチレンオキシドを含むビニ
ル系モノマー、アクリル酸、ビニルアルコール、ビニル
ピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシメチルメタク
リレート、アルギン酸の共重合体などが挙げられる。
この共重合体の割合としては、例えばポリアクリロニト
リルとポリビニルピロリドンの共重合体では、ポリビニ
ルピロリドンの割合が5〜30%が好ましい。
本発明の部位(A)は、ヒドロゲルからなるものが好ま
しい。ここでいうヒドロゲルとは、コロイド溶液がシェ
リー状に固化したものであるゲルのうち、多量の水を含
むものであり、含水率30〜98%のものが好ましく用
いられる。このヒドロゲルとしては、例えばセルロース
およびその誘導体、ポリアクリルアミド、ポリエチレン
グリコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビ
ニルピロリドンを30〜98%含むポリ塩化ビニル、ポ
リアクリロニトリルまたはポリスチレンなどの重合体、
あるいはデンプン、アガロース、メチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロースの架橋体などが挙げられる。
また、部位(A)としては、細胞接着因子として知られ
るコラーゲンフィブロネクチン、ビトロネクチン、ある
いはラミニンをイオン結合あるいは共有結合にて固定化
したもの、あるいは3級または4級アミノ基などの強い
正電荷を持つ基材は、基材への細胞接着性が向上するた
め、細胞が基材表面の全面を単層に被覆し、三次元集合
体を形成しないため、好ましいものではない。
本発明の細胞培養基材は、上述の水との前進接触角20
度以上50度未満の部位(A)と、水との前進接触角5
0度以上100度未満の部位(B)からなり、部位(B
)は好ましくは水との前進接触角60度以上90度未満
が好ましい。
部位(B)は、水との前進接触角が50度以上100度
未満であれば特に限定されないが、ポリエチレン、ポリ
プロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエス
テル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニ
トリル、ポリカーボネートが好ましく用いられる。
本発明の細胞培養基材において、水との前進接触角が2
0度以上50度未満である部位(A)と、水との前進接
触角が50度以上の部位(B)を作る方法には、例えば
、 A)第2図に示すように、適度の細胞接着性を有する材
料と、細胞付着性の高い材料を重層し周りを抑える方法 B)両者を接着剤を用いて付着させる方法C)材料表面
の部分的な化学修飾反応によって両部位を得る方法 などがあるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
上述の方法の中でも(A)の重層し、周りを抑える方法
が簡便で好ましい。
本発明において、水との前進接触角が20度以上50度
未満である部位(A)と、水との前進接触角が50度以
上100度未満の部位(B)の割合やその形状は特に制
約されないが、通常は、部位(A)と部位(B)の面積
比率が2:1〜20:1のものが用いられ、その形状と
しては、長方形あるいは丸型のものが用いられる。
また、使用する細胞あるいは目的とする組織の形状によ
り適宜工夫して用いるのが好ましい。
−例を挙げると、内皮細胞から毛細血管への組織形成の
場合には、第2図に示すような長方形が好ましく用いら
れる。部位(A)と部位(B)の間隔としては、細胞が
B間をはしわたしできるように、Bの開口部は幅1mm
〜5cmが好ましく・さらにl mm〜l cmが好ま
しい。
本発明では、従来の細胞付着の強固な材料と比べて、細
胞の増殖が悪い傾向が認められる。このため基材上に播
種する細胞数は多い方がよく、基材1c♂あたり1〜1
04から1〜106程度か好ましい。
本発明の細胞培養方法としては、通常の手法が用いられ
るが、例えば、日本組織培養学会編、組織培養の技術第
二版(朝食書店)に記載された手法を細胞の種類に応じ
て用いればよい。
本発明の細胞培養基材を用いて細胞培養を行なうと培養
細胞が集合し、毛細血管、肝、牌といった組織および器
官が形成されることを見い出した。
この理由は十分明らかではないが、次のような理由が考
えられる。
■ 水との接触角が20度以上50度未満の基材のみの
場合より、細胞が三次元的な集合体を形成したときに、
細胞集合体全体が基材から浮遊しにくくなり、本基材上
ではある程度基材と接触したままでとどまれること。
■ 特に、血管内皮細胞の場合、水との接触角が20度
以上50度未満の基材上で培養された細胞は互いに集合
し、細胞集合体全体に収縮力を生じる。本基材では、こ
の収縮力を細胞接着性の部位間で受は止めることができ
るため、なんらかの遺伝子発現の変化を生じ毛細血管が
より形成しやすくなる。
[実 施 例] 以下、実施例に従って本発明を説明する。
実施例1 市販のセルロース透析膜(ユニオンカーバイト社製)を
10%プロピルイソシアネートDMSO溶液に浸漬し、
撹拌しつつ40℃で1時間反応させた。反応の進行は、
反応時間の経過に伴ない、材料表面の窒素原子が増加す
ることをESCAによって観察するとともに、接触角が
増加することによって確認した。
第1.2図に示すように、反応時間1時間の化学修飾セ
ルロース膜(接触角35度)をスライドグラス上におき
、上部から長さ10mm、幅1mmの穴のあいたポリエ
ステルフィルム(接触角70度)を重層した後、チャン
バーにセットした。
中太動脈から単離し、組織培養用フラスコで増殖させた
血管内皮細胞を、上述のフィルム1c♂あたり5X10
4個まき炭酸ガスインキュベーター内で培養した。
本基材上で培養した細胞の培養1日目の形態は、比較的
丸い形であった。3日目では細胞同士が集合して、基材
から離れた細胞を含めて細胞集合体を形成した。7日目
には凝集した細胞は部位(B)のポリエステルフィルム
の開口部をつなぐ形で細長い高次集合体を形成した。集
合体の断面の走査型および透過型電子顕微鏡で観察した
ところ、細胞同士の境界が曖昧で細胞同士が非常に強固
に結合していること、断面に管腔構造が観察されたこと
より、本構造体が毛細血管であることが確認された。本
毛細血管はチャンバー10細巾8個で観察された。
比較例1〜3 比較例1として実施例1で用いたセルロース膜(水との
前進接触角15度)を、比較例2として10%プロピル
イソシアネートDMSO溶液と24時間反応させたセル
ロース膜(水との前進接触角65度)を、比較例3とし
て市販のポリエステルフィルム(接触角70度)を用い
て実施例1と同様に検討した。
無処理のセルロースフィルム(比較例1)を用いたとき
には、細胞は基材にほとんど付着せず、従って毛細血管
は形成されなかった。また、反応時間24時間のもの(
比較例2)およびポリエステルフィルム(比較例3)で
は、培養1日目では細胞は実施例1と比較し、より伸展
した形状を示し、3日目では増殖するものの基材に強固
に付着しており、実施例のように細胞が基材から離れる
例は観察されなかった。7日目には細胞は、いわゆるコ
ンフレンドの状態になって増殖は停止し、実施例1のよ
うな毛細血管の形成は認められなかった。
[発明の効果] 本発明により、より生体内に近い状態で細胞培養が行な
えるため、細胞を三次元的に集合させることができ、組
織、器官の形成が可能となる。従って、本発明により毛
細血管、肝、牌などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本実施例で用いる細胞培養チャンバーである
。 第2図は、内皮細胞を用いる際の細胞培養基材の平面図
である。 1・・・化学修飾されたセルロースフィルム部位(A) 2・・・ポリエステルフィルム部位(B)3・・・スラ
イドガラス 4・・・押 さ え 5・・・シリコーン・ゴム A・・・水との前進接触角20度以上50度未満の部位
(A) B・・・水との前進接触角50度以上100度未満の部
位(B)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)水との前進接触角が20度以上50度未満である
    部位(A)と、水との前進接触角が50度以上の100
    度未満の部位(B)からなる細胞培養基材。
  2. (2)部位(A)がヒドロゲルからなる請求項1記載の
    細胞培養基材。
  3. (3)部位(B)がポリオレフィンまたはポリエステル
    からなる請求項1または2記載の細胞培養基材。
  4. (4)請求項1〜3記載の細胞培養基材を用いることを
    特徴とする細胞培養方法。
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